CNCフライス盤を使用した ロボットパーツ製作

CNC フライス盤を使用したロボットパーツ製作
製 作
製 作
CNCフライス盤を使用した
ロボットパーツ製作
—部品設計から組立てまで—
CNC フライスとは何か
CNC フライス盤を使用したロボットの
部品設計から組立てまでを全 2 回にわけ
て解説します。
があるのですが、そこで使用されるのは
鈍重なベースフレームで構成されており、
CAD とよばれるパソコンで設計をするソ
個人レベルでの工作に使用するには十分な
フトです。
加工精度を実現しています。
CNC フライスが動作するためのドライ
そもそも CNC とは何か?というと
ブ基板とパソコンの接続は、同社旧製品で
はパラレルポート(プリンタポート)での
ありコンピュータで数値制御された機器を
接続が必要でした。
フライス盤をコンピューター制御するこ
葵屋、太田 葵
ライス盤でありながら、頑丈なフレームと
Computer Numerical Control のことで
指します。
前編
そのためノートパソコン等パラレルポー
トを装備していないパソコンを使用する
CAD とは Computer Aided Design
の頭文字でありコンピュータによる設計支
援を示します。
CAD の種類は汎用品から高度な専門性
を持ったものまで、また 2D から 3D まで
多岐にわたります。
図面を手書きするのに比べて CAD を使
との利点は、
ことができなかったのですが、KitMill シ
う利点としては、
・手動では難しい曲線加工が可能にな
リーズからは USB での接続が標準になっ
・やり直し、繰り返しが容易で作業効率
り、より複雑な加工を行うことができ
ており、パラレルポートを装備していない
ること
パソコンでも CNC 加工を楽しめるように
・CNC 加工中に別の作業を行えること
・全く同じ加工を繰り返すことができる
こと
等があります。
なりました。
を上げることができること
・複雑な演算を代行させることでができ
ること
KitMill シリーズは完成品ではなく、購
・細かな部分まで正確に描画できること
入者が自分で組み立てるタイプの製品で
・数値の記入ミスなどヒューマンエラー
す。そのため購入者が自分好みにカスタマ
を軽減できること
最近では比較的手頃な値段で CNC フラ
イズできるところも、自作派ユーザーから
等の利点があげられ、設計におけるあらゆ
イス盤を導入することができるようなった
支持を得ている要因ではないかと思いま
る労力を低減してくれます。
ことで、個人でのロボット製作、各種 DIY
す。
に利用され、自作もの作りファンの支持を
受けています。
反面、組み立てる人により加工精度にば
らつきが出てしまったりベースフレームが
今回加工に使うオリジナルマインド製卓
鋳鉄製であるため、重量が 45kg もあり腰
上 CNC フライス KitMill RD300(図 1)
がピンチになったりするのですが、そこが
もこれら CNC フライスの一種で、20 万
また自作心をくすぐります。
円台から購入できるホビー用卓上 CNC フ
頑丈で重たいフレームは加工時の振動や
設計、製作をするのならば、CAD を使
わない選択肢はありません。
今回の設計では Vectorworks を使用し
て設計していきます。
Vectorworks
http://www.aanda.co.jp/Vector
works 2012/index.html
ビビリの発生を防ぐので工作機械には重要
な要素です。
精密な加工を行う工作機械はできるだけ
重く、頑丈なフレームが必要なのです。
では実際に設計をしていきましょう。
KitMill RD300 は自分だけの工作環境
今回は“かわさきロボット競技会”で頻
を手に入れ、自分好みの CNC フライスマ
繁に使用される脚機構の一つからヘッケン
シンに改造していくといった、もの作りの
リンク機構の設計をしてみます。
醍醐味を味わうことのできる CNC フライ
ス盤といえるでしょう。
さて、CNC フライス加工をするために
図 1 KitMill RD300
2 次元 CAD で部品を設計する
は加工する部品はパソコンで設計する必要
ヘッケンリンク機構とは 2 カ所の関節
を持ち 1 カ所の円運動を動力とするリン
ク機構で、脚先に歩幅を持たせた揺動運動
を行うための機構です。
ロボコンマガジン 2012.3
P17P21_80_CNCフライス盤_前編.indd 17
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12.1.31 4:46:48 PM