中山雄太君に質問してみました。 サッカー日本代表 U

龍ケ崎市立愛宕中学校
第2学年 学年通信 No,7
平成28年5月27日
文責 古山 久文
現在の,中山雄太先輩
5月に行われた,U-19 国際試合
の1シーン,
○ 愛宕中学校の先輩に,こんな人がいます。
現在2年生は,総合的な学習の時間に職業に関することについて色々と調べています。
「なぜ人は勉強す
Sports Graphic
Number Web より
るのか」
「社会人として働くということ」
「職業にはどんなものがあるか」
「将来自分はどんな生き方をして
いくか」などです。これは,2学期に行われます職場体験学習に向けての取り組みですが,単なる思い出
体験にならないように,学習を進めています。
そんな中,愛宕中学校の卒業生に「中山雄太さん」という,現在 J リーグ「柏レイソル」の選手として,
また U-19日本代表と活躍して先輩がいます。
中学校時代も,茨城県サッカー協会 U-14茨城県選抜欧州遠征選手に選ばれ,夏休みの間に10日間
オランダ・イタリアを遠征し,地元ジュニアユースチームとの試合や,プロコーチの指導のもとで国際経
験を積んだ先輩です。偶然ですが,その当時の学年通信の記事が出てきました。一人の先輩の生き方を見
て,今の自分に置き換えて考えてみるのも良いかと思います。
サッカー日本代表
U-19 代表がフランスに 1-3 完敗。ボランチ中山雄太は何を感じた?
○ 中山雄太君に質問してみました。
平成22年6月 インタビュー
1 県選抜欧州遠征選手に選ばれた時の気持ちは。
うれしかったです。
でもまだスタートラインに立っただけなので,帰国後と行く前の自分の差を見せつけるぞ!という気持ち
でした。
2 選抜選手としての抱負は。
日本のサッカーを見せつけて,サッカー選手としても一人の人間としても,しっかりと外国の人たちか
ら学んでいき,
「一流」に近づけるようにする。
3 ヨーロッパ遠征中には,何を一番にやりたいか。
イタリア・オランダのサッカーを前に,どうゲームを作るか,相手にどう勝つか(一対一)などの判断・
技術を学んでいきたい。
積極的に英語で質問し,アグレッシブにいきたい。
(英語の勉強頑張ります)
4 将来の実現したい夢は何か。
まずは,J リーグで活躍し,ヨーロッパからオファーがあり,海外のクラブチームでやっていきたい。
バロンドール(世界最優秀選手)に選ばれる。このように,大きく夢を持ち,日頃のトレーニングを大切
にしたい。
中山先輩のように将来の目的はハッキリしていなくても,
中学2年生という立場で将来につ
いて,色々と考えることはとても大切なことです。多いに悩み,苦しみましょう。立派な社会
人になるための勉強であるし,部活動であるし,中学校生活でもあるのです。
中山先輩はその当時,見た目には男らしく逞しい生徒だったのですが,ある時,学級代表・
体育祭の団長,そして双龍祭のクラス合唱の指揮者と一気に重責のある立場になりました。そ
の責任の重さに耐えきれなくなりそうになったのでしょう。
ベランダで一人涙をこぼしていた
こともありました。
また,高校を卒業した時,久しぶりに愛宕中学校を訪れ,その当時の担任の駒沢玲子先生に
謙虚に「無事,就職が決まりました」と報告していました。柏レイソルの選手として登録され
中学2年当時
同い年にして世界トップレベルの相手と戦える水原 JS 杯。18 歳の中山にとって,この衝撃の体験は,どう受け止め
られたのか。5 月 18 日に開幕した水原 JS 杯。初戦の U-19 フランス代表戦,ボランチとして先発出場をした中山雄
太が対峙したのは,フランス・リーグアンの名門パリ・サンジェルマンで今季リーグ戦 5 試合に出場し,チャンピオン
ズリーグの舞台にも立った,クラブ期待の 18 歳 MF クリストファー・ヌクンクだった。
同じように U-19 日本代表において,一番の注目は中山の代表選出だった。チーム立ち上げ時から内山篤監督は彼に
絶大の信頼を置き,ボランチと CB の 2 つのポジションを彼に与え,常にチームの中心に据えてきた。だが今年に入り,
所属する柏レイソルでレギュラーに定着すると,U-19 日本代表の合宿に彼の名前が挙がることは無くなってしまう。
クラブの事情から“呼びたくても呼べない選手”となった彼は,水原 JS 杯でもリーグ戦とナビスコカップの日程と重な
るため,招集されないだろうと思っていた。
しかし,メンバーが発表されると彼の名前がそこにはあった。そして,彼は水原 JS 杯初戦のピッチに立った。同じ年
齢のフランス代表とマッチアップした中山は……。
J リーグで掴んだ自信を,プレーで証明するには格好の相手だった。マッチアップするヌクンクはもちろん,MF リュ
ドヴィク・ブラス(18 歳/ギャンガン所属。リーグアンで 14 試合出場)
,CB オリヴィエ・ボスカーリ(18 歳/ニー
ス所属。リーグアンで 11 試合出場)
,GK クウェンタン・ブラー(18 歳/ナント所属。セカンド GK としてトップの
ベンチ入り)など,将来の A 代表を担う錚々たるメンバーを揃えて来たフランス。
「久しぶりの代表でのプレーというのもありましたし,フランスは日本よりも格上と言われていますけど,そういうチー
ムに対し,自分たちの力を試すのではなく,証明をしたかった」
(中山)
だが,立ち上がりからフランスの牙が容赦なく襲いかかった。
ヌクンクは立ち上がりから鋭い動き出しで,バイタルエリアでボールを引き出すと,前半 6 分には一瞬のスピードで
切れ込んで,正確なラストパスでブラスのゴールをアシスト。
中山はいきなり出鼻を挫かれることとなった。
その後もテンポの良いパスとドリブルで攻撃の起点を作られ,
「僕のミスでゴール前に運ばれたシーンがあった」と中
山がコメントした通り,その変化ある動きに翻弄され続けた。中山だけでは無い,チーム全体が相手のスピードと変化に
付いて行けず,14 分,25 分とブラスにゴールを浴び,あっという間にハットトリックを達成されてしまった。
試合にも出場しているということです。懐かしい思い出と共に,今後も応援していきたい教え
子でもあります。
裏へ続きます
中山「
『良い経験だった』とは絶対に言いたくない」
そんな中でも気持を切らさずに,中山は中盤での運動量を意識的に上げていっているのが分かった。積極的にスペースに顔を出してボール
を受け,FW 堂安律や MF 遠藤渓太,高木彰人などに縦パスを打ち込んで,攻撃の起点を作り出し始めた。
後半に入ると,バイタルエリアへの侵入回数も増え,高い位置でのポゼッションと,ラストパスを供給し始め,チャンスを演出していった。
特にドリブルで仕掛ける堂安へのサポートの動きの質は高く,中山も「距離感に対しては,常に意識を持っている。律がドリブルに入ったと
きにセカンドボールへの反応や,パスコースを作って相手 DF がそこを気にしてくれたら良いと思った」と,フリーランニングでも攻撃の活
性化を促すようだった。
だが,立ち上がりの 3 点が最後まで重くのしかかり,結局は 1 点を返すのが精一杯。試合は 1-3 の敗戦に終わる。後半は一時的に日本が
ペースを握ったように見えたかもしれないが,それはあくまでフランスが先に 3 点ものリードを奪っていたことで,ある程度のペースダウン
をしただけである。
「よく試合の後に『良い経験だったね』と言われるのですが,僕は試合に勝たないと良い経験だったとは絶対に言えない。この試合もそう。
勝ってから言いたいです」
中山は試合後,悔しそうな表情を浮かべてこう語った。
セカンドアクションは全て後手になる日本代表。
この試合では,彼の課題もはっきりとした。そしてそれは,フランスと日本の決定的な差でもあった。
「海外特有の足の伸びだったり,初速の速さは J とはやっぱり違った。コンタクトプレーもそれ自体は問題なかったけど,当てた後の速さが
凄かった。日本人には無いなと思った」と語ったように,
“フランスの選手たちはセカンドアクションのスピードが明らかに日本より速かった”
のだ。
ボールを受けたファーストアクションで相手に引っかかってしまう。正対される。コースを切られる。身体を当てられる。あるいはボール
を奪われる――。
このような形で流れを一度断ち切られた時,日本の選手は一瞬動きが止まってしまう。だが,フランスの選手は間髪入れずにセカンドアク
ションを起こし,すぐにマイボールにしたり,なんとかボールに触れて味方に繋いだりと,攻撃の連続性を生み出す。日本は相手の一次攻撃
を止めたにもかかわらず,すぐにセカンドを拾われたり,ボールを奪い返され,中途半端なポジショニングの間隙を突かれて崩されてしまう
シーンが何度もあった。
この点に触れて彼に深く突っ込んだ質問をすると,彼はうなずきながらこう口にした。
「以前から(相手選手と)正対した後のセカンドプレーは自分の大きな課題だと思っていましたた。J リーグでは正対してからでも自分の次
のプレーで十分に対応できることが多いのですが,フランスの選手相手だとそれが間に合わない。すぐに相手に危険なエリアまで侵入されて
しまっていた。もっともっとこの課題に対する意識を高めないといけないと思いました」
中山のリベンジの機会が,U-20W 杯であるように……。
J リーグではある程度通用していたプレーが,フランス相手ではそうはいかなかった。しかも,同年代の相手にだ。
「今日の試合は J リーグに出ている,出ていない関係無しに,久しぶりの代表ということで思うところはあった。なの
に 3 失点もして,悔いと課題が大きく残りました……」
この意識があるのなら,残りの試合ではきっちりと結果を出し,再び J リーグの舞台で躍動した姿を見せないといけ
ない。
そして 10 月の AFC U-19 選手権でより太くなったチームの柱となり,世界への扉をこじ開け,来年の U-20W 杯で
世界を相手に結果を示すこと。
願わくば中山雄太が U-20W 杯でフランスと再戦し,ヌクンクとのマッチアップを制してチームを勝利に導き,胸を
張ってあの言葉を言えるように――。