ABL融資の高度化に向けた取組み ~『ABL業務マニュアルの制定』及び『動産評価システム』の導入~ (金融機関名)千葉銀行 ○当行では不動産担保や個人保証に過度に依存しない融資手法としてABLの活用 に着目していたものの、ABLの一層の普及にあたっては、本部・営業店とも、 業務に関わる関係者の理解促進が極めて重要と認識していた。 ○動産の評価については、ノウハウが不足する中で外部評価機関に委託するか、過 度に保守的な評価方法を採用せざるを得ない状況にあった。しかしながらABL 取組みの主眼である企業実態の把握という観点からすると、現地実査や経営者ヒ 1.動機(経緯) アリングを通じて銀行員自らが評価を行った上で、期中のモニタリング・管理ま で適切に実施することが望ましいとの認識の下、必要な態勢を整備することとし た。 ○具体的には、 「動産評価システム」を導入・活用し、行員自らが評価を行う仕組み の導入や、モニタリング・ルールの改定などを柱としたABLへの取組体制の見 直しを行うとともに、業務マニュアルを整備した。 2.概 要 (1)業務マニュアルの制定 ABLの概説、案件組成~期中管理~解約に至るまでの事務手続きの流れ、有 事の際の対応等について記載するとともに、 「動産評価システム」を活用した動 産の評価方法(後述)や月次・四半期ごとのモニタリング・ルールを明記した。 (2) 「動産評価システム」の導入 動産担保の評価に際して、外部機関との提携による「動産評価システム」を活 用して、動産の評価項目等をもとに動産を評価し、その評価掛目を統計的に算 出することとした。これにより、実際に適用する掛目は、従前の「30%」から 「70%」もしくは「動産評価システムで算出された掛目の中央値」のいずれか 低い方に変更した。 なお、千葉県信用保証協会との連携により、上記掛目の設定は千葉県信用保証 協会の流動資産担保融資保証(ABL保証)においても採用されている。 ○動産の評価を外部評価機関に委託せず、行員自ら評価することができる態勢が整備 された。 3.成果(効果) ○平成 25 年 5 月 15 日の「動産評価システム」導入以降、本システムにより算出した評 価掛目に基づく新規のABL融資 22 件(うちABL保証 8 件)を実行済。 (平成 26 年 3 月末現在) ○全ての営業店がABL取組みの実績をつくり、行員一人ひとりが企業の経営実態把握に関 するノウハウ・スキルを蓄積することで、組織全体として法人営業力の向上を目指す。 4.今後の予定 (課題) ○単に資金調達のニーズに応えるのみならず、企業の実態把握、分析をつうじて、いかに 金融機関の側からコンサルティング営業(付加価値の高い提案営業)に結び付けていけ るかが今後の課題である。 (取組みの概要) 「動産評価システム」の導入(行員自身が評価を行う仕組みの導入) 業務マニュアルの制定 ・外部業者との提携による「動産評価システム」の導入 ・ABLの概説、案件組成~期中管理~解約に至る ・これにより行員自身が実査および経営者に対するヒアリング までの手続きの流れ、有事の際の対応等について を通じて得た情報を基に動産評価を実施 記載 ・ 「動産評価システム」や月次・四半期ごとのモニ ・行員が行った評価結果を本部で精査した後、客観性の確保等 タリング・ルール改定(厳正化)の上、マニュア のため外部業者への確認を依頼。業者の最終チェックを経て ルに盛り込み 評価掛目の還元を受ける仕組み ①融資・保証申込 評価確認依頼 ②動産評価 評価確認結果 A社 お客さま (外部業者) 当行 ⑤動産担保提供 ※「客観性の確保」及び「効率性の向上」を ⑥融資実行 目的としてA社が当行の評価を確認 ⑦モニタリング 必要に応じて ③保証依頼 ④信用保証 地元信用保証協会
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