【(株)Rida】に対する業務停止命令及び指示について

News Release 平成24年10月18日
特定商取引法違反の連鎖販売業者に対する
業務停止命令(3か月)について
○
リ
ダ
消費者庁は、美容機器付音響機器の連鎖販売業者である株式会社Rida
(本店:東京都中央区、旧本店:神戸市中央区)に対し、本日、特定商取引
法第39条第1項の規定に基づき、平成24年10月19日から平成25年
1月18日までの3か月間、連鎖販売取引に関する業務の一部(新規勧誘、
申込み受付及び契約締結)を停止するよう命じました。
併せて、同社に対し、同法第38条第1項の規定に基づき、同社の販売す
る美容機器付音響機器を使用することで、あたかも病気の治療若しくは予防
又は症状の改善ができるかのように告げていたことがあるが、当該美容機器
付音響機器についてそのような効果を裏付ける合理的な根拠はない旨を購入
者に通知することを指示しました。
○
認定した違反行為は、名称等の不明示、不実告知、公衆の出入りしない場
所においての勧誘、迷惑勧誘です。
1.株式会社Rida(以下「同社」という。)は、美容機器付音響機器(以下
「本件商品」という。)の販売事業者であって、同社の会員となって本件商品
の販売のあっせんをして別の消費者を会員にさせれば、同社からボーナスが
得られるとして、本件商品を購入させる連鎖販売取引を行っていました。
勧誘を行う際は、同社の紹介役の会員が友人や知人等の消費者を呼び出し、
同社の営業員又は説明役の会員が待つ喫茶店や同社サロン等に連れて行き、
あるいは紹介役の会員の自宅に訪問させ、その場で本件商品及び連鎖販売取
引の契約について勧誘を行っていました。
2.認定した違反行為は以下のとおりです。
(1)同社の紹介役会員は、消費者を勧誘場所に誘引する際、電話や電子メ
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ール等で「いい話がある。」、
「お茶でも飲みましょう。」、
「会いませんか。」
とだけ告げて呼び出しており、その勧誘に先立って、会社(統括者)の
名称、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘する目的
である旨及び当該勧誘に係る商品の種類を明らかにしていませんでした。
(名称等の不明示)
(2)同社の営業員は、連鎖販売取引の勧誘を行うに際し、本件商品の性能
について、病気の治癒や症状の改善などの効果を裏付ける合理的な根拠
がないにもかかわらず、
「この機械は、イルカが発信するような音波と同
じものが出て、脳波の不調を治すので、ついては体の不調を全て整えま
す。」、
「このリラクゼーション機器で脳を刺激することによって、身体が
どこと言わず良くなります。」などと告げて勧誘を行っていました。
(不実告知)
(3)同社の紹介役会員は、電話や電子メール等で「会いませんか。」等と勧
誘する目的である旨を告げないまま呼び出した消費者に対し、
「ちょっと
行ってもらいたいところがある。」とだけ告げて、公衆の出入りしない同
社事務所、オートロックマンションの一室にある同社サロン等に同行さ
せ、あるいは「よい話がある。話だけでも聞いて。」とだけ告げて紹介役
会員の自宅に来訪を要請し、当該場所において同社の営業員等が連鎖販
売取引の契約締結について勧誘を行っていました。
(公衆の出入りしない場所においての勧誘)
(4)同社の営業員等は、消費者が、「えー、今日は契約しませんよ。」、「と
てもじゃないけど無理だよ。」などと、何度も断り、連鎖販売取引の契約
を締結しない旨の意思を表示しているにもかかわらず、
「いや、今日契約
して。」などと告げて執拗に勧誘を行ったり、購入するまで4時間も勧誘
を続けたりするなど、相手方に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行
っていました。
(迷惑勧誘)
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【本件に関するご相談窓口】
本件に関するご相談につきましては、
消費者庁から権限委任を受けて消費
者庁とともに特定商取引法を担当している経済産業局の消費者相談室で承
ります。お近くの経済産業局までご相談ください。
北海道経済産業局消費者相談室
電話 011-709-1785
東北経済産業局消費者相談室
022-261-3011
関東経済産業局消費者相談室
048-601-1239
中部経済産業局消費者相談室
052-951-2836
近畿経済産業局消費者相談室
06-6966-6028
中国経済産業局消費者相談室
082-224-5673
四国経済産業局消費者相談室
087-811-8527
九州経済産業局消費者相談室
092-482-5458
沖縄総合事務局経済産業部消費者相談室
098-862-4373
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株式会社Ridaに対する行政処分の概要
1.事業者の概要
(1)名
リ
ダ
称:株式会社Rida
(2)代 表 者:代表取締役 竹内 良樹
(3)所 在 地:東京都中央区日本橋三丁目8番14号
(旧本店所在地)
兵庫県神戸市中央区中山手通四丁目1番14号
(4)資 本 金:1,000万円
(5)設
立:平成19年10月23日
(6)取引形態:連鎖販売取引
(7)取扱商品:美容機器付音響機器 等
商品名「美フレ ViVid」、「BefreViVid」(ビフレヴィヴィッド)
2.取引の概要
株式会社Rida(以下「同社」という。)は、美容機器付音響機器(以下
「本件商品」という。)の販売事業者であって、同社の会員となって本件商品
の販売のあっせんをして別の消費者を会員にさせれば、同社からボーナスが
得られるとして、本件商品を購入させる連鎖販売取引を行っていた。
勧誘を行う際は、同社の紹介役の会員が友人や知人等の消費者を呼び出し、
同社の営業員又は説明役の会員が待つ喫茶店や同社サロン等に連れて行き、
あるいは紹介役の会員の自宅に訪問させ、その場で本件商品及び連鎖販売取
引の契約について勧誘を行っていた。
3.行政処分の内容
(1)業務停止命令
①内容
特定商取引法第33条第1項に規定する連鎖販売取引に関する業務
のうち、次の業務を停止すること。
ア.連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行い、又は勧誘者に
勧誘を行わせること。
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イ.連鎖販売業に係る連鎖販売取引について契約の申込みを受けるこ
と。
ウ.連鎖販売業に係る連鎖販売取引について契約を締結すること。
②停止命令の期間
平成24年10月19日から平成25年1月18日まで(3か月間)
(2)指示
同社と連鎖販売契約を締結し、同社が販売する本件商品を購入した者に
対し、
「美容機器付音響機器を使用することで、あたかも病気の治療若しく
は予防又は症状の改善ができるかのように告げていたことがあるが、当該
美容機器付音響機器についてそのような効果を裏付ける合理的な根拠はな
い。」旨を、平成24年11月19日までに通知し、同日までにその通知結
果について消費者庁長官まで報告すること。
4.命令の原因となる事実
同社又は同社の会員は、以下のとおり特定商取引法に違反する行為を行っ
ており、連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が著しく害さ
れるおそれがあると認められた。
(1)名称等の不明示(特定商取引法第33条の2)
同社の紹介役会員は、消費者を勧誘場所に誘引する際、電話や電子メ
ール等で「いい話がある。」、
「お茶でも飲みましょう。」、
「会いませんか。」
とだけ告げて呼び出しており、その勧誘に先立って、会社(統括者)の
名称、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘する目的
である旨及び当該勧誘に係る商品の種類を明らかにしていなかった。
(2)商品の性能に係る不実告知(特定商取引法第34条第1項)
同社の営業員は、連鎖販売取引の勧誘を行うに際し、本件商品の性能
について、病気の治癒や症状の改善などの効果を裏付ける合理的な根拠
がないにもかかわらず、
「この機械は、イルカが発信するような音波と同
じものが出て、脳波の不調を治すので、ついては体の不調を全て整えま
す。」、
「このリラクゼーション機器で脳を刺激することによって、身体が
どこと言わず良くなります。」などと告げて勧誘を行っていた。
(3)公衆の出入りする場所以外での勧誘(特定商取引法第34条第4項)
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同社の紹介役会員は、電話や電子メール等で「会いませんか。」等と勧
誘する目的である旨を告げないまま呼び出した消費者に対し、
「ちょっと
行ってもらいたいところがある。」とだけ告げて、公衆の出入りしない同
社事務所、オートロックマンションの一室にあるサロン等に同行させ、
あるいは「よい話がある。話だけでも聞いて。
」とだけ告げて紹介役会員
の自宅に来訪を要請し、当該場所において同社の営業員等が連鎖販売取
引の契約締結について勧誘を行っていた。
(4)迷惑勧誘(特定商取引法第38条第1項第3号)
同社の営業員等は、消費者が、「えー、今日は契約しませんよ。」、「と
てもじゃないけど無理だよ。」などと、何度も断り、連鎖販売取引の契約
を締結しない旨の意思を表示しているにもかかわらず、
「いや、今日契約
して。」などと告げて執拗に勧誘を行ったり、購入するまで4時間も勧誘
を続けたりするなど、相手方に迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行
っていた。
5.勧誘事例
【事例1】
平成23年8月か9月頃、同社の会員Oは知人の消費者Aに電話をか
け、「今度新しいビジネスを始めたので、お話を聞いてもらえないです
か。」と告げた。会員Oを信頼していた消費者Aはお茶でも飲んで近況
を話し合いたいと思い了承した。後日、消費者Aが待ち合わせをした駅
へ行くと、会員Oは消費者Aを連れてオートロックのマンションへ入っ
た。消費者Aは会員Oから、「新しいオフィスです。」と言われた。そ
して、会員Oからそのマンションの一室に入るように言われて消費者A
は中へ入ったが、会員Oが何も説明しなかったため、消費者Aは不安で
あったし気持ちが悪かったので、「これ、なんかの団体なんですか。」
と尋ねると、会員Oからは否定されたが、何も説明はなかった。
消費者Aがマンションの部屋の個室に入り少し経ってから同社の営業
員Nが入ってきて自己紹介をした。営業員Nは本件商品を取り出して、
「この機械は、イルカが発信するような音波と同じものが出て、脳波の
不調を治すので、ついては体の不調を全て整えます。」、「自律神経を
整えるので、様々な不調に効果があります。」と説明した。また、営業
員Nは、「手足のしびれがある人も治りました。」、「これを聞いたら
十何キロも痩せられました。」などと言った。営業員Nの説明は、その
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機械の音楽を聴けば、あれもこれも健康効果が全てに及ぶようなもので
あった。さらに、営業員Nは、「あなたの知り合いにたくさん紹介して、
それで一緒にやっていきましょう。」とも言った。
消費者Aは、営業員Nの説明で、様々な効果がこの機械にあることは
分かったが、その効果の根拠が欲しいと思い、「エビデンスが出ている
データはありますか。データを見せてほしいんですけど。」と尋ねた。
すると、急に営業員Nは怖い感じになり、「目に見えないものだし、計
れないものなんだから、信じてもらうしかないんです。」と語気を強め
て言った。
機械を買う気はなかった消費者Aは、勧誘されて初めの頃に、「今日は
考えたい。」と言ったが、営業員Nに、「サインするだけでいいんです。
気に入らなければクーリング・オフもできるので。」と言われ、それ以上
言えなかった。営業員Nはとにかくサインをさせたい感じに見えた。消費
者Aはどこにあるのかもよく分かっていないマンションの部屋にいたの
で、契約しなければ、この部屋から出られないのではないかという気にも
なっていたため仕方なく契約した。
【事例2】
平成23年9月頃、同社の会員Qは知人の消費者B宛てに電子メール
で、「会いませんか。」、「お茶でもどうですか。」と何度も誘った。
消費者Bが承諾したところ、会員Qから、「神戸市にあるJR元町駅で
会いましょう。」との連絡があった。何の用事かと消費者Bが尋ねても、
会員Qからの電子メールには、「来てくれたら分かるから。」としか書
かれていなかった。消費者Bは少し不審に思ったが、お茶をするつもり
で駅に行くと、会員Qは、「ちょっと行ってもらいたいところがある。」
と言って、駅の北側方面にある同社の本社ビルへ消費者Bを連れて行っ
た。テーブルがいくつか置かれたサロンのようになっている場所で、消
費者Bは会員Qから会員Pという女性を紹介された。サロンといっても
街中にある喫茶店のような感じではなく、ビルの中にあるため、誰かに
連れて行かれないとその場所にそのようなサロンがあること自体分から
ないと思った。サロンでお茶をしていると、会員Qたちがおもむろに銘々
の袋から本件商品を取り出して、「こういう風にするんだ。」と言って
イヤホンをつけて、その機械の説明をした。
消費者Bは会員Qたちにそのように機械を勧められて少し驚いたが、
元々会員Qが待ち合わせするときに「来てくれたら分かるから。」と用
件を言わなかったため、もしかしたら勧誘されるかもしれないとも考え
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ていたので、大人しく話を聞いた。さらに、会員Qたちは、「この機械
を勧めてその人が購入したらバックマージンがありますよ。」とも説明
した。消費者Bは誰かにこの機械を勧めるにしても20万円もするもの
だったので、きちんとした良いものでなかったら勧められないと考えた
ため、データなどの資料を見せてほしいと依頼した。すると、会員Qた
ちは、「それは、また今度。とにかく聴いたら効果が分かりますから。」、
「自分で体感したら分かります。」と言うだけで、何も資料を渡さなか
った。
何度も会員Qたちからこの機械の音を聴くように勧められたが消費者
Bは断った。消費者Bは本件商品を買うつもりはなかったが、結局、会員
Qの顔を立てて契約することにした。
【事例3】
平成23年9月頃、同社の会員Sは知人の消費者Cに電話をかけ、「よ
い話がある。話だけでも聞いて。」と告げた。消費者Cと会員Sは過去に
別の連鎖販売業者の会員であったため、消費者Cはきっと何かの勧誘をさ
れると思い、その翌日に電話をかけて、「私は今はそういうことは一切や
っていないから、もういいです。」と断った。しかし、会員Sがしつこく
誘うので、仕方なく都合をつけて会員Sの自宅に行くことにした。会員S
は電話ではどういった用件か全く話さなかったが、以前のことがあったの
で、消費者Cは何かの勧誘をされるだろうと予想した。
後日、消費者Cが会員Sの自宅に行くと、会員Sは、「商品がいいも
のなのよ。」と言ったが、具体的な商品の説明や会社名などは全く話さ
なかった。消費者Cが到着してから会員Sが電話をかけると、少し経っ
てから同社の営業員Rが来た。その後の説明は営業員Rがほとんど行っ
た。営業員Rは本件商品を出して、「耳のツボに挟んで音楽を聴くと脳
が活性化される。」、「ツボを刺激して良くなる。」、「よく眠れる。
ボケ防止になり、うつ病にもならない。」と言った。耳には様々なツボ
があり、ダイエットできたり、肝臓や肩こりも良くなるということであ
った。そして、営業員Rは、「売るのは僕らだから紹介してもらうだけ
でいい。耳のある人なら誰でもいいから紹介してください。」と言った。
消費者Cは、「自分は人に広めて皆さんに買っていただくようなことは
できない。素質がない。私には無理です。」、「私には本当に無理です。」、
「お金もないし。」と言って何度も断ったが、会員Sたちは、「やってみ
よう。」などと何度も言った。消費者Cが何度も断っても営業員Rたちは
勧誘を続け、そうこうするうちに夕方の5時をとうに過ぎ、消費者Cが帰
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らなければならない時間になった。会員Sの自宅がある場所から消費者C
の自宅まで約1時間はかかるため、消費者Cは早くここから出たいと思っ
た。すると、営業員Rは、「取りあえずここにサインしてください。」と
言って申込書を出した。消費者Cは、「それはまた後にする。」と言った
が、営業員Rから、「急いで書いて。」と言われ、消費者Cは急いでいた
ので仕方がないと思い、取りあえず書類に記入し契約した。
【事例4】
同社の会員Vは知人の消費者Dとお茶をするたびに、「話を聞いてほし
い。私はよく分からないから、ちゃんと詳しい人から話を聞いてほしい。
私からは話ができません。」と告げていた。消費者Dが「なんなの。」と
尋ねても、会員Vは「とにかく話を聞いてほしい。」というだけで何も説
明しなかった。会員Vとは度々会うため消費者Dは無下に断ることもでき
ず、話を聞くだけなら良いかと考え、話を聞くことにした。
平成23年11月頃、消費者Dが会員Vと待ち合わせをした喫茶店に入
ると、会員Vと同社の営業員Tが座っていた。消費者Dは営業員Tから名
刺をもらった。営業員Tは最初に、「今、どういうことに興味があります
か。」、「欲しいものはありますか。」と消費者Dに聞き、消費者Dが、
「そうですね。ボケないようにしたいですね。」と答えると、すぐに営業
員Tが、「ちょうどいいものがあるんですよ。今日お勧めするのはこうい
うものなので、ちょっと聴いてみてください。」と言いながら、本件商品
を出した。その時になって初めて、消費者Dはその商品を勧誘されること
が分かった。そして、営業員Tは、「全ては脳から指令が出ていますから、
脳を活性化すれば全て良くなります。顔も若返りますし。」、「どこが悪
いといっても、全ては脳からの指令で体が動いているので、脳がちゃんと
活性化していないとダメなんですよ。そのためにはこのリラクゼーション
機器で脳を刺激することによって体がどこといわず良くなるんですよ。一
日一回は聴いてください。」、「脳が活性して頭も鮮明になるのでボケに
はなりませんよ。脳が若返ります。」と言った。また、営業員Tは、「こ
の美顔器は肌にハリが出て若返ります。一日15分くらいでいい。」とも
言い、本件商品にセットされている美顔器のことも説明した。それまでの
説明は全て営業員Tが行い、会員Vは一言もしゃべらなかった。そして、
営業員Tは、「もし良かったら是非是非契約してください。本当に良いも
のですから。」と言いながら書類を出した。消費者Dは契約するのをどう
しようか迷ったが、自分のすぐ隣に会員Vが座っていたため、断ることも
できず取りあえず契約することにした。
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【事例5】
平成24年5月頃、同社の会員Xは友人の消費者Eに電話をかけ、「久
しぶりだけん、お茶でも飲みましょう。」と誘った。消費者Eは、「積
もる話もあるからいいよ。それならゆっくりお茶でも飲もうか。」と軽
い気持ちで返事をした。後日、消費者Eが会員Xと待ち合わせた喫茶店
に行くと、後から知らない男がやってきた。男は同社の営業員Wで、同
社の名称、商品や勧誘する目的である旨を話した。消費者Eはその時に
なって初めて、会員Xが消費者Eを勧誘するために呼び出したことを知
った。会員Xからの電話では、ただお茶を飲もうと誘われただけで勧誘
するなどとは言われなかったので、消費者Eは少し気分が悪くなった。
営業員Wは本件商品を出して、「この機械で脳を刺激して、足がむく
んで痛くなった人がこれを使われたら良くなりました。」、「ストレス
社会だから、いろんな面で影響が出るから、まず自律神経を良くしま
す。」、「耳から低周波を効かせて、それをしながら音楽を聴くとリラ
ックスしてよく眠れるようになります。」、「美顔器は肌を引き上げる
効果があります。」と言った。説明はほとんど営業員Wが行い、会員X
はほとんど話さなかった。
それから営業員Wは、「3人に紹介すると、これだけ返ってくる。仲が
良い人を何人か紹介してください。」などと言った。消費者Eは、「まず
は商品を使って見て良かったら人に紹介できるけど、使ってもみないのに
人に紹介できませんよ。それに20万は高いですよ。本当に良い商品だっ
たら別だけど、確信できないから。」と言って契約を断った。しかし、営
業員Wは、消費者Eが断っているにもかかわらず、すっと契約書を出した。
消費者Eは再度、「信用していない商品は勧められない。」と言って断っ
た。それでも営業員Wは、「とにかくこれに書いてください。お宅はクレ
ジットカードを持ってますよね。」と言った。営業員Wとそのようなやり
取りをしている間に夕方になってしまった。消費者Eは「とてもじゃない
けど無理だよ。」とも言ったが、営業員Wには通じず、相変わらず、「ク
レジットカードをお持ちでしたら、ちょっと書いてください。」などとし
つこく契約書を書くように言った。消費者Eは、クーリング・オフもでき
るしと考えて、取りあえず早く帰らなければならないので、契約書に記入
した。しつこさに負けたという感じだった。
【事例6】
平成24年7月頃、同社の会員Zは会社の同僚であった消費者Fに、
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「元気にしてる。」と電話をかけた。消費者Fが体調が悪い旨話したと
ころ、会員Zは「今、美容の仕事を始めてね。」、「耳ツボにする機械
なんだけど、身体にいいものなんだよ。」とだけ告げた。そして、会員
Zと消費者Fは後日レストランで会うことになった。
後日、消費者Fが待ち合わせのレストランへ行くと、初めて会った会
員Yも同席した。消費者Fは会員Yから名刺を貰い、同社の名称を確認
できたものの、特定負担を伴う取引についての契約の締結について勧誘
する目的であることは告げられなかった。名刺を渡すと、会員Yは本件
商品の説明を始め、消費者Fに機械を試させた。
その後、会員Yは人を紹介すれば利益がある旨も説明した。会員Zか
らも、「消費者Fさんは知り合いがたくさんいるけん、声をかけたら。」
と言われ、消費者Fは、「えー、今日は契約しませんよ。無職だし、収
入もないし、主人に話をしてから、そこから契約するかしないかの返事
をしますから、今日は契約しませんよ。」と断った。すると、会員Yが、
「いや、今日契約して。クーリング・オフは20日間できるから、取り
あえず20日間やってみて、効果がなかったらクーリング・オフしても
らってもいいから。」と言った。さらに、消費者Fは「いや、できませ
ん。今日はしません。」と何回も断ったが、会員Yは今日契約しなけれ
ばいけないようなことを言った。断っても断っても会員Yが契約するよ
うに迫ってくるので、消費者Fは、契約できない個人的な事情もあり、
契約が無理なことを説明したが、会員Yは勧誘を続けた。
会員Yにいくら言われても消費者Fは契約したくなかったため、1時間
ぐらいの間ずっと断り続けた。しかし、人に会う約束をしていた消費者F
は帰りたかったので、あきらめて「じゃあ、もう契約します。」と言って
契約した。
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