ファイル[pdf 12.7M] - 東北工業大学 工学部 知能エレクトロニクス学科

所
感
知能エレクトロニクス学科
学科長 本多 直樹
1 年間の長期に渡る卒業研修ご苦労様です.ここに卒業論文概要集として君達の
努力の結果が形となって現れたことを嬉しく思います.1 年間本当に真剣に取り
組んだものも,最後の方になってからやっと真面目に取り組めたものもいるか
もしれません.いずれにしても,この概要集は皆満足すべきものに仕上がって
いると思います.しかし,これには背後に諸君ら以上に努力した指導教員がい
たことを決して忘れてはいけません.
卒業研修は大学生活の総括ともいうべきものです.諸君らは入学以来,1 年次か
ら次第に専門知識や実験手法を学び,3 年次後半で初めて研究室配属となり卒業
研修の準備を始め,4 年次に進級した 1 年前より研修を開始しました.当初は,
就職活動もありなかなか研修に集中できなかったことと思います.また,卒業
研修そのものがそれまで経験したことのないことであり,大いに戸惑ったこと
と思います.授業では既存の知識を学ぶことであり,学生実験も有意な結果が
出る課題だけでした.しかし,研修は未知の目的に向かって時間をかけて主体
的に取り組むという初めて経験だったはずです.解決法も自分で考え,学んで
きた知識や経験,研究室でのゼミも総動員することが要求されたはずです.そ
れだけに卒業論文としてまとめ上げた今は感慨無量と思います.これこそが大
学でなければ出来なかったことです.この経験は社会に出てから一番役立つは
ずです.
将来この卒業論文概要集を読み返すとき,未知の課題に全力で取り組んだこと
を思い出し,困難な問題にも果敢に挑戦する気力を感じてもらえれば幸甚です.
目次
<<知能システム系>>
◇
中山研究室
類似文字識別における C-SVM と B-SVM の比較
◇
ロボットアームを用いた筆跡追跡システムの検討
◇
大規模センサネットワークにおけるグループ化に関する考察
◇
アドホックネットワークを利用したマルチホップ歩数計の検討
◇
◇
◇
◇
◇
◇
◇
◇
◇
志田正樹
阿部護
松田亨平
池田信
及川杏太
武田博明
稲森一馬
杉坂光亮
佐々木哲矢
宮城雄志郎
伊藤博人
北村貴也
石橋凌
小松原浩樹
…1
…2
…3
…4
藤田研究室
ロボットの姿勢を考慮した4自由度可動型レーザレンジファインダによる3次元形状計測
高橋克
…5
不整地移動ロボットにおけるサブクーラのユニット化
長谷部順也
…6
他者ロボットの観察による 6 自由度アームにおける SIFT 特徴量の検出
尾形紘佑
…7
双腕不整地移動ロボットにおける登坂補助アームの開発
吉田翔椰
…8
不整地移動ロボットにおける遠隔操縦インターフェースの開発
黒澤翔
…9
ロボット動作観察時の注視点の計測
田村大地
…10
車輪型移動ロボットによる他者ロボット作業環境の 3 次元位置検出
岩本賢三
…11
双腕移動ロボット用制御システムの構築と操作インターフェースの開発
土屋雄一
…12
車輪型移動ロボットにおける作業用パラレルリンクアームの開発 菅原宏
…13
伊藤研究室
◇ 連続母音知覚における調音結合と発話速度の効果
◇ 合成母音を用いた位相特性の知覚実験
◇ 耳介模型を用いたモノラル音源定位
◇
歌唱音声合成システムの性能評価実験
◇
水野研究室
周辺環境音に基づく周囲への存在主張ジャケットの製作
◇ Pawn による ARM マイコンプログラミングとロボットの製作
◇ 全方向移動トイレ用生体情報計測センサシステムの製作
◇ 室内用遠隔操作飛行船の製作
四本遼介
小野寺宰
佐藤一民
横山智也
杉山卓也
鈴木拓也
…14
…15
…16
南舘優
森洋信
元木雄太
鈴木明
松本翔太郎
半澤芳宇
久野眞一郎
…18
…17
…19
…20
…21
<<知能センシング系>>
内田研究室
無開口金属プローブを用いた近接場光学顕微鏡による微細構造の観察
青柳暁介
上田勇気
◇ クエン酸還元法により作製した Au ナノ粒子の配列構造形成の検討 阿部壮吾
赤間翔
◇ Au ナノ粒子を加熱成長させるための小型 DC スパッタ装置の開発 永浜大樹
◇ 光弾性変調器を用いた磁気ストークスパラメータ測定機構の開発 井上篤司
◇ レーザ描画装置の試作とフォトレジストパターンの形成
坂本彰宏
相澤歩
◇ クラマース-クローニッヒ変換を用いたプラズモニック磁気構造体の検討
武石拓也
◇
◇
◇
◇
◇
◇
◇
◇
小林研究室
細胞遺伝子発現の時空間動態分析のための画像処理プログラムの開発
田口京介
超音波音場イメージングシステムのための LabVIEW による制御プログラムの開発
田口裕大
伊藤堅人
超高感度冷却型 CCD カメラを用いたキノコのバイオフォトン画像計測
佐々木俊太郎
ゲート型光子計測法による超音波タグ生体蛍光イメージングの基礎検討
佐藤竜次
関根大樹
顕微極微弱発光画像計測システムによる細胞遺伝子発現の長時間動態計測
石黒利樹
2 次元光電子増倍計数管を用いた大豆発芽根のバイオフォトン発光動態計測
杉村脩
渋谷武尚
メラニン由来極微弱化学発光検出による過酸化脂質計測と抗酸化能評価
高橋淳
原恭一
◇
宮下研究室
微粒子分散系の光学特性の測定に関する研究
◇
屈折率の波長分散の測定と評価に関する研究
◇
3D 画像生成に関する研究
◇
スペックルノイズの定量化に関する研究
◇
加納研究室
光学計測による動脈硬化の定量評価法における問題点に関する検討
◇ 近赤外分光法による前頭前野血流計測の応用に関する研究
◇ 生体信号の時間-周波数解析に関する研究
菊地晃紀
永浦一樹
小松英也
渡辺卓也
板垣匠
志小田純
太田正太郎
信平丈智
佐々木隼
大友秀則
後藤俊彦
…22
…23
…24
…25
…26
…27
…28
…29
…30
…31
…32
…33
…34
…35
…36
…37
…38
…39
…40
…41
◇ 容量性電極による心電図簡易計測法に関する検討
◇ 小型表面電極による眼電図計測に関する研究
◇
生体電気信号テレメトリシステムの基本設計に関する研究
佐藤拓弥
佐藤航
菅原政人
菅原望
大沼駿平
…42
…43
…44
<<知能デバイス系>>
阿部研究室
◇ Mo 薄膜/Si 基板を用いた角型 MoO2 ナノチューブの形成―形成時間変化によるナノチューブの
モフォロジー―
菊地弘晃
…45
加藤広昭
平田瞭
◇ 種々のスパッタ膜基板を用いたダイヤモンド成長のその場モニター法
佐藤学
…46
佐藤裕人
麦沢尚人
◇ Mo 薄膜/Si 基板を用いた角型 MoO2 ナノチューブの形成-Ar・He 混合ガスカーテンによる形
成-
岡崎諒
…47
平田瞭
菊地弘晃
◇ スパッタリングによって形成した透明導電膜の Ar および O2 ガス雰囲気中における熱処理効
果
今野敬太
…48
今野諒平
斉藤大生
片方豪人
◇ 不活性ガスカーテン燃焼炎法による角形 WO2 ナノチューブの生成 平田瞭
…49
菊地弘晃
阿部裕介
志賀野慧
◇
◇
◇
◇
内野研究室
新構造グラフェン/シリコン・へテロ接合ダイオードの開発
佐竹岳
今野康弘
グラフェン FET の作製とその電気特性評価
鈴木英之
及川仁
ショットキーバリア FET のシミュレーションによる解析
加藤征也
清水佑真
シミュレーションによるショットキーダイオードの高性能化の検討
小林翔太
國分大輔
◇
庄司・小野寺研究室
環境放射線及び放射能濃度の測定Ⅱ
◇
フィルタ法による TlBr 結晶の精製
◇
TlBr 結晶の PL 評価Ⅱ
佐々木佑介
三膳由鶴
藤井謙
中野翔
早坂拓馬
渚健太郎
大平晃也
…56
畠山哲史
…50
…51
…52
…53
…54
…55
平栗大嵩
◇
本多研究室
Co-Fe25 合金薄膜を用いた巨大磁気抵抗(GMR)効果膜の作製
萱場宏郁
萩田紘貴
◇ Co-Fe25 薄膜を用いた GMR 膜の面内磁化曲線と磁気抵抗効果の測定
大野智史
角田浩基
◇ 自作試料振動型磁力計(VSM)の外来ノイズの低減
箱崎大騎
吉野康平
◇ 単原子層積層スパッタ堆積による規則化 Co-Pt 薄膜の作製検討
土屋垂穂
綾部佳史
◇ 異常ホール効果(AHE)による Co/Pt 垂直磁気異方性膜の垂直磁化ループ測定
宮川哲也
近藤征士
…57
…58
…59
…60
…61
ロボットの姿勢を考慮した4自由度可動型レーザレンジファインダによる3次元形状計測
藤田研究室 0811150 高橋 克
1. はじめに
近年、地震や津波などの災害時に救助活動を行うレ
スキューロボットに多くの期待が寄せられている。倒壊
した建物など、複雑かつ未知環境での作業が求められる
ため、ロボットには周囲環境の正確な地図生成が必要で
ある。
そのため、筆者らの研究室では 3 次元形状計測が可能
な不整地移動型ロボットの開発を進めている[1]。このロ
ボットは 2 リンク3関節機構(以降アームユニットと略
す)の先端にレーザレンジファインダ(以降 LRF と略
す)を搭載したセンサ機構を有する。更にこのアームユ
ニットに左右の回転(ロール回転)機構を追加して 4 自
由度とし、ロボットが左右に傾いた状態でも LRF を鉛
直に上下可動できるようにした。このことで等間隔に水
平面内形状を計測することができるため、効率的な3次
元形状の計測が可能となる。ただし、そのためには不整
地上でロボットが自身の姿勢を常に把握している必要
がある。
そこで本研究では、新たにジャイロセンサをロボット
内部に搭載し、ロボットが自身の姿勢角度を検知し、そ
れに対応して LRF の姿勢を水平に保ちながら計測でき
るようにする。
2.
圧電振動ジャイロセンサを用いた LRF の角度補正
本研究で用いたロボットと4自由度可動型 LRF を図
2-1 に示す。ロボットに対して進行方向に x 軸、左方向
に y 軸、上面方向にz軸を設定した。ロボットのサイズ
は L:350mm、W:330mm、H:320mm、総重量は約 9.0 ㎏で
ある。
に示す。図中に示した座標系において、x軸回りのロボ
ットの傾斜角がθ₁の場合、アームユニットにより-θ₁
ロール回転することで LRF の姿勢を水平に保つことが
できる。
本研究ではこの手法を用いて LRF の姿勢を制御して
計測を行う。
図 2-2 斜面上でのロール回転補正の概念
3.
実験
実験環境を図 3-1 に示す。階段状の形状に正対して
ロボットをx軸回りに 10°傾斜させた状態にし、アー
ムを上下運動させて形状計測をする。また、同様にx軸
回りに-10°傾斜させた場合の計測も行い、両者の計測
結果を比較し、LRF を水平に保ちつつ正確な形状計測
を行えるかを検証する。実験の外観を図 3-2 に示す。
図3-1
実験環境
図3-2 実験の外観
x軸回りに 10°傾斜させた場合の計測結果とx軸回
りに-10°傾斜させた場合の計測結果を比較し、大きな
相違点がなければ、ロボットの傾きを考慮して LRF を水
平に制御しながらの形状計測を行うことができたとい
える。
図 2-1 4自由度可動型LRF搭載不整地移動ロボット
本研究では、このロボット内部に圧電振動ジャイロセ
ンサ(村田製作所製圧電振動ジャイロスターM-04523)を
新たに搭載した。
このジャイロセンサは、角速度に応じたアナログ電圧
を出力する為、これをマイコンで AD 変換して積分処理
することで初期状態からの角度(傾斜角)を算出するこ
とができる。尚、センサは静止時にオフセット電圧を出
力しているため、計算時にはこのオフセットを除き、よ
り精度の高いドリフト補正をかける必要がある。そして
得られた角度を補正するようにアームユニット先端の
ロール回転機構用サーボモータを回転することで LRF
を水平に保つことができる。この計測の概念を図2-2
4.まとめ
本研究では圧電振動ジャイロセンサによる角度補正
により、ロボットが左右に傾いた状態でも LRF を水平
に保ちながら形状計測を行う方法を検討した。
今回は予め静止した状態で左右の傾斜を変化させた
ときの計測を検討したが、今後は様々な不整地上を移動
しながら LRF を水平に保ち、計測できることを検証す
る。
参考文献
[1]近藤雄哉,”不整地移動ロボットによるレーザレン
ジセンサを用いた3次元環境計測に関する研究”,東北
工業大学大学院工学科電子工学専攻修士学位論文,
pp.53-57,2009
不整地移動ロボットにおけるサブクローラのユニット化
藤田研究室
1.はじめに
災害現場や危険な環境で活動できるロボット
に期待が高まっている、特に悪路での走行にお
いてクローラ型ロボットは有効であり、不整地
での移動性能を向上させるためにメインクロー
ラとサブクローラを搭載した方式のロボットが
これまで開発されてきた[1][2] 。
本研究では、走破性向上のために複数のサブ
クローラの搭載を目指し、ユニット化したクロ
ーラを開発した。本稿では開発したクローラユ
ニットの概念と特徴を述べる。
2.ロボットの機構
本研究で用いた不整地移動ロボットを図 1 に
示す。このロボットは、メインクローラの前後
に 4 個のサブクローラを装着し、さらにより高
い走破性を持たせるために前部サブクローラの
先端に 2 個のサブクローラ(以降第 2 サブクロー
ラと呼ぶ)を搭載したものである。
ロボットのサイズは、L:1380mm、W:740mm、
H:230mm で、総重量は約 32.0kg である。
0911148 長谷部順也
サブクローラユニットの角度制御は、前段の
サブクローラ内に搭載された角度制御モータ
(⑦)を駆動することで連結されたシャフト(⑧)
が回転し、これに固定されたリンク(⑨)が軸回り
に回転することで行うことができる。
4.サブクローラのユニット化
4-1.ユニット化前の問題点と改良
当初装着していた第2サブクローラを図 3 に
示す。この第2サブクローラは、内部にある平
歯車に DC モータを装着したため DC モータが突
起してしまい障害物に接触し破損する恐れがあ
った。そのため、図 2 に示したように平歯車、
傘歯車を使用し DC モータを 90°回転し機構内
部に収まるように改良した。図 4 に改良したク
ローラユニットを示す。
サブクローラユニットのサイズは、L:390mm、
W:170mm、H:100mm で重量は約 1.0kg である。
図 3.改良前の第2
サブクローラ
図 1.クローラ型不整地移動ロボット
3.サブクローラユニットの機構
図 4.改良後の第2
サブクローラ
4-2.ユニット化によるサブクローラの拡張
本研究で考案した機構により、図 5 に示すよ
うに第2サブクローラの内側に新たにサブクロ
ーラを取り付けることができる。更に、内側、
外側と連結することで多段型に拡張することが
可能となる。
図 5.サブクローラの拡張
5.おわりに
図 2.サブクローラユニットの機構
第2サブクローラはユニット化した構造とな
っており、2 個の前部サブクローラの先端外側
に装着される。図 2 にサブクローラユニットの
機構を示す。
サブクローラユニットの駆動は内部に搭載し
た駆動モータ(図 2 中①)の動力がシャフト(②)に
取り付けられた傘歯車(④)を介して平歯車(③)、
プーリ(⑤)に伝えられる。そして、プーリ(⑤)の
動力をアイドラー(⑥)にベルトで伝えることで
メインクローラと独立して駆動する。
本研究では、クローラ型不整地移動ロボット
におけるユニット化したサブクローラを開発し
た。今後は、実際に実験を行い乗り越え性能を
検証し、ユニット化の有効性を確認する。
【参考文献】
[1]吉田智章,小柳栄次,入江清,原祥尭,岡田佳都,永谷圭
司,“クローラ型移動ロボット Kenaf を使用した屋外自
律走行システム”,第 8 回 計測自動制御学会 システムイ
ンテグレーション部門 講演会 論文集,pp.955-956,2007
[2]永谷圭司,木下宏晃,西村健志,小柳栄次,油田信一,久
武経夫,森山裕二,“小型クローラ移動ロボットの遠隔操
作による火山活動区域の観察-浅間山での走行試験-”,
第 11 回 計測自動制御学会 システムインテグレーショ
ン部門 講演会 論文集,pp.555-558,2010
他者ロボットの観察による 6 自由度アームにおける SIFT 特徴量の検出
藤田研究室 0911214
1.
はじめに
現在ロボットが色々な分野で活躍しており様々な種
類の複数のロボットが同じ現場で協調して作業するこ
とが必要になる。そこでロボットが視覚情報を持つこ
とで他のロボットの動作を認識することができれば有
効である。本研究では、ロボットの視覚機能に注目し、
近 年 盛 ん に 使 用 さ れ て い る SIFT(Scale-Invariant
Feature Transform)特徴量を用いて安定して観察対
象を検出することを目的とする。特に6自由度アーム
を搭載した作業を行うロボットを他者ロボットが観察
したときにアームの手先を検出することを目指す。
2 6 自由度アームの概要
2.1 アーム概要
車輪型移動ロボットに搭載されている 6 自由度型
アームを用いた。各関節およびハンド部には、近藤
科学社製のサーボモータ KRS-4014S を 4 個、
KRS-2525HV を 3 個使用した。このアームの概観
を図 1 に示す。アームの全長は 743[mm],重量は
690[g]である。
図1 6 自由度アームの概観
2.2 アーム手先検出のための改良点
アームの手先は、金属がむき出しになり光の反
射や模様が無く特徴点の出にくいものになってい
た。そのため様々な表面パターンのカバーを製作
し付け替え可能にした。サイズは横 100[mm],縦
120[mm]とした。
3 SIFT 特徴量
SIFT とは画像の中から特徴点の検出と特徴量の記
述を行うものである。SIFT は、回転・スケール変化
等に不変な特徴量を記述するため、イメージモザイク
等の画像のマッチングや物体認識に用いられている。
特徴点を検出する際には、特徴点の候補の位置とスケ
ールを DOG(Difference-of-Gaussian)を用いて検
出し、ローカライズによりそれらの候補点の主曲率か
ら安定した特徴点を絞り込む[1]。
4 特徴点検出のための手先部パターン設定
手先パターンとして図2に示す黒の水玉と黒のチェ
ック 2 種類を設定した。さらに、各パターンで3通り
のサイズを用意した。それぞれのサイズは、チェック
柄が一辺の長さ 1.5, 2.5, 3.0[cm]で、水玉は直径 1.5,
2.5, 3.0[cm]とした。以後チェック柄の各パターンをサ
イズの小さい順に s1, s2, s3, 水玉の各パターンを m1,
m2, m3 と呼ぶ。密度は、s1, m1 は 1.1 個/cm, s2, m2
は 0.6 個/cm, s3, m3 は 0.56 個/cm となる。
図2チェック柄(左:s1)と水玉(右:m1)
5
尾形紘佑
実験
5.1 特徴点検出実験
前章で設定した s1, s2, s3, m1, m2, m3,について
それぞれ特徴点を検出した。その結果を図3に記
す。このグラフの四角点がチェック柄、ひし形の
点が水玉の各パターンで得られた特徴点である。
図3各パターンに対する検出した特徴点量
5.2 アーム手先対応点検出実験
アームの手先に実際に各パターンのカバーを取り
付け二点から撮影した時の対応点を検出した。実験
環境を図4に示す。アームの位置(A)を
(506,1624,350)[mm]、一回目の撮影位置 pos1(o1)
は(600,0,305)[mm],観察角度 90°、二回目の撮影位
置 pos2(o2)は(0,0,305)[mm],観察角度 115°とした。
図4
実験環境
pos1,pos2 から撮影した画像について対応点を検出
した。得られた対応点の数を表1に記す。
表1検出した対応点の数
個数
6
s1
8
チェック
s2
5
s3
6
m1
5
水玉
m2
9
m3
7
考察
特徴点検出実験では、図3より、チェック柄のパタ
ーンの方が検出量が多くなった。これは、チェック柄
には特徴点の出やすい角が多数あるためだと考える。
アームの手先対応点の検出実験では、表1から m2
が最も多く対応点を検出できた。パターンの大きさと
個数に何らかの関係がある可能性がある。また、規則
的にならんだ同じ模様のため誤検出があり、対応点の
検出に影響が生じた可能性も考えられる。
7 まとめ
特徴点検出実験では、パターンや密度により検出
量が変わることがわかった。しかしアームの手先対応
点検出実験では傾向は特に見られなかった。今後特徴
量などについてさらなる検討が必要となると考える。
参考文献
[1]藤吉 弘亘:"Gradient ベースの特徴抽出-SIFT
と HOG-", 情 報 処 理 学 会 研 究 報 告 CVIM 160, pp.
211-224, September,
双腕不整地移動ロボットにおける登坂補助アームの開発
藤田研究室 0911260 吉田 翔椰
1.はじめに
従来様々な不整地移動ロボットが開発されてきた。
クローラが 2 個しかない一般的なクローラ型ロボット
は、不整地の移動では適しているが、急斜面などを
登るのが難しいという問題があった。そこで本研究で
は一般的な不整地移動ロボットでは登ることのでき
ない急斜面の登坂を補助するアームを考案した。
このアームを開発し、本研究で開発中の双腕クロ
ーラ型不整地移動ロボット[1][2]に搭載することで従
来困難だった急斜面での登坂を可能とすることを目
的とする。
本稿では開発したアームについて述べるとともに、
急斜面でのこのアームを用いたロボットの登坂を検
証する。
図4 登坂補助アームの構造
3.動作実験
図 5 に実験環境を示す。斜面の傾斜角を一定角
度ずつ変化させて、ロボットが登板可能な傾斜角を
測定する。
2.登坂補助アームの概要
今回使用した双腕を有する不整地移動ロボットの
前方図を図 1、後方図を図2に示す。胴体には2つ
のクローラがあり、胴体の前方2隅に2本の作業アー
ムを搭載している。胴体の後方2隅に本研究で開発
した 2 本の登坂補助アームを搭載した。
図 5 実験環境
図1 ロボット前方
図 2 ロボット後方
開発した登坂補助アームを図3、構造を図4に示
す。各登坂補助アームはピッチ軸回転(Y軸回り)2関
節の 2 自由度を有する。アームの全長は420[mm]
である。ロボット本体を支えるため先端にシリコンゴム
を先端に装着した。各関節のアクチュエータには近
藤科学社製サーボモータ KRS-4034HV を使用し
た。
まず、不整地移動ロボットのクローラ駆動のみでの
登坂能力を確認する。傾斜角を5°ずつ傾斜角を
大きくし、登坂できる限界角を確認する。
次に、クローラのみで登ることのできなかった斜面
の角度で、登坂補助アームを用いた登坂能力を確
認する。
実験の結果クローラのみでは30°まで登ることが
できた。登坂補助アームを用いた場合35°まで登る
ことができた。そのときの関節角は、関節 1 は45°、
関節2は45°とした。
4.おわりに
今回の実験で、クローラのみではできなかった急
斜面の登坂を登坂補助アームを用いることで可能と
した。本研究で開発したアームによる登坂性能の改
善が確認できた。
図 3 開発した登坂補助アーム
【参考文献】
[1] 羽澤寛志、高橋俊太、藤田豊己“双腕を有する
不整地移動ロボットの開発” 平成 24 年東北地区若
手研究者研究発表会
[2] 高橋俊太“双腕を有する不整地移動ロボットの
作業動作” 平成 24 年東北地区若手研究発表会
不整地移動ロボットにおける遠隔操縦インターフェースの開発
藤田研究室 0911121 黒澤 翔
1.はじめに
災害現場や危険な環境で活動できるロボットに期待
が高まっている、特に悪路での走行においてクローラ
型ロボットは有効である。本研究室でも不整地での移
動性能を向上させるためにメインクローラとサブクロ
ーラを搭載した方式のロボットをこれまで開発してき
た[1]。従来はこの操縦をホストPCからコマンドを送
り行っていたが、本研究では操縦性を向上させるため
に、コントローラを用いた操縦インターフェースを考
案した。本稿ではその概要と開発したシステムについ
て述べる。
期・完全独立・駆動独立の 3 種類のモードを設定し、それ
ぞれについてコマンドを割り当てた。完全同期モードでは
メインクローラやサブクローラを左右同時に動かす。完全
独立モードではメインクローラやサブクローラを左右独立
にそれぞれ動かす。駆動独立モードではメインクローラの
部分のみ独立で動かし、他は同期して動かす。本システ
ムにより操縦する場面に応じてこれらを切り替えて使うこと
ができる。
表 1.設定コマンド
2.ロボットの概要
本研究で用いた不整地移動ロボットを図 1 に示す。
このロボットは、メインクローラの前後に 4 個のサブ
クローラ(第 1 サブクローラ)を装着し、さらにより高
い走破性を持たせるために前部サブクローラの先端に
2 個のサブクローラ(第 2 サブクローラ)を搭載してい
る。
図 1.8 クローラ型不整地移動ロボット
3.インターフェースの構成
3-1 コントローラの概要
操縦に使うコントローラとして、ロジクール製の[コードレ
ス・コンパクト・コントローラー]を使用した。これは
PlayStation 用コントローラで、コネクタ部分とコントローラ
部分に分かれており、無線通信によって遠隔で操作する
ことができる。ゲーム用のコントローラを使用することによっ
て、動作コマンドなどを容易に入力できると考えられる。
3-2 システムの構成
ロボットおよびインターフェースのシステム構成を図 2 に
示す。ロボットの駆動制御に AKI-SH2-7045F(以降 SH2 と
呼ぶ)を使用し、コントローラの制御に
AKI-H8-3052F(以降 H8 と呼ぶ)を使用している。専用の
無線アダプタを使い無線通信をすることにより、遠隔
操縦をすることができる。H8 はコントローラから受け
取ったキーデータ信号を処理し、動作コマンドを SH2
に送る。SH2 は受け取った動作コマンドに従って各駆
動部に動作信号を送る。
4.システムの開発
4-1 アルゴリズム
コントローラによる動作のフローチャートを図 3 に、全体
の通信の概要を図 4 に示す。コントローラと H8 は約
140kHz で通信を行っている。H8 による信号の読み取りは
約 10ms 間隔で行っており、このことで安定して信号を読み
取ることができる。コントローラは ID コードとキーコード分の
データを受信することで、各ボタンの状態をキーコードとし
て返す。ID コードは 1 バイト長で、上位 4 ビットはコントロー
ラのタイプを示し、下位 4 ビットは全体の転送バイト数を示
している。キーコードは各ビットがそれぞれのボタンに対応
し、押されていない場合は High、押されている場合は Low
となる[2]。この信号を H8 が読み取り、コマンド表に対応し
た命令をシリアル通信で SH2 に送る。SH2 は受信した命令
に応じて各駆動部に制御信号を送ることによってロボット
を動作させる。
図 3.動作フローチャート
図 4.通信の概要
5.動作実験
コントローラに割り当てたコマンドによる各部の基本動作
実験を行い、インターフェースによる操作を確認した。
6.おわりに
本研究ではコントローラによる遠隔操縦インターフェース
を開発し、不整地移動ロボットの基本動作実験を行い操
作の有効性を確認した。今後は不整地移動ロボットの駆
動部だけではなく、センサ類などの操作も同時に行う必要
がある。
【参考文献】
.
図 2.ハードウェア接続概要
3-3 コマンドの割り当て
作成したコントローラのコマンドを表 1 に示す。完全同
[1]近藤 雄哉,藤田 豊己, “位置・姿勢制御可能な測域セン
サによる不整地移動ロボットの 3 次元環境計測” FIT2009 第
8 回情報科学技術フォーラム,pp,503-504,2009
[2]プレイステーション・PAD/メモリ・インターフェース
の解析(http://kaele.com/~kashima/games/ps_jpn.txt)
ロボット動作映像観察時の注視点の計測
藤田研究室 0811153 田村 大地
1.はじめに
ロボットが人間または他のロボットと協力して作
業をスムーズに行うには、相手の行動を観察してその
動作内容を認識し、それに対応した行動をとれれば効
率的である。そのためには観察時にカメラから得られ
る動作画像から注目すべき特徴領域を検出することが
有効となる。人間は固視とサッケードからなる眼球運
動を繰り返して視覚情報を獲得し、環境認識を行って
いる[1]。そこでこの固視領域を解析することでロボッ
トの動作原理理解のための有効な注視特性が得られる
と考えられる。本研究では、眼球運動計測システムを
使い、ロボットが対象物に向けて手先を動作させてい
る映像を観察したときの注視位置を計測し、その特性
を検証する。
2.計測システムと実験方法
コンピュータ画面上にロボット手先動作の映像を
表示し、それを被験者が観測したときの注視位置を計
測した。計測システムを図1に示す。ディテクト社の
View Tracker(眼球運動計測装置)を用いた。
が完全に表示された直後の状態から動作映像終了直前
までフレームを操作し、それぞれの状態で四隅の赤い
点を左上、右上、右下、左下の順にクリックする。こ
のときの画像を図 2 に示す。ここで指定した値に応じ
て実際の注視点を補正する。1 実験分の処理が終わる
と次の人のデータへ進み同様に処理を繰り返す。
図 2. MATLAB
View Tracker の眼球運動計測の原理は、角膜反射光
法[2]である。この計測装置にはアイカメラが備わって
おり、眼球を赤外線 LED で照射したときの角膜上に生
じる反射点をアイカメラの画像から求める。この眼球
画像から瞳孔部分の中心点と角膜反射点の位置座標を
求める処理を行う。
このシステムにより、画面上に表示したロボット動
作映像を被験者が観察した時の注視位置を計測した。
映像はロボットが作業のために対象物に向かって手先
を動作させているシーンとした。実験は前回の計測の
影響が及ばないように1日以上のインターバルをあけ
た。
3.キャリブレーション
計測時のキャリブレーションは以下の方法で行っ
た。対象のロボット動画像が出る直前に緑の円状のマ
ークを全部で 5 箇所表示する。このとき被験者にその
マークを注視するように指示を出しておく。そして計
測終了後、その画面を MATLAB 上で表示し、視線データ
を校正する。まず、MATLAB R2007bを起動しプログラ
ムを開始する。画面上に緑のマークが出たら画面左右
のコマンドでフレームを操作し、緑のマークの出始め
と終了の直前のフレームにて緑点上をクリックする。
このフレーム間の注視位置とクリック点を保持してお
き、最後の緑マークでの処理の終了時に各点における
注視位置とクリック点からキャリブレーション値を求
める。その後四隅に赤い点が表示される。しばらくす
ると画面上にロボット動作が表示されるのでロボット
R2007b上によるキャリブレーション
4.結果と考察
手先動作観察時の注視点計測の結果を図 3 に示す。
この図は視線変化のデータから停留点を注視点として
抽出したものである。アームが動作する前の注視点は
ロボットのアームと対象物の間にあり、アームが動作
しているときはアームとその先端に存在していること
がわかった。映像の中で動いている部分に特徴がある
からだと考えられる。今回の映像は主にロボットアー
ムの動作だったことから被験者それぞれの注視点につ
いては類似の場所に存在すると思われる。
図 3.ロボット動作観察時の人間の注視位置
5.まとめ
本研究ではロボット手先動作時の人間の注視位置を
計測した。その結果、アームの特徴的な領域が注視点
となることがわかった。
【参考文献】
[1]藤田豊己,「作業移動ロボットの手先動作時の
関心領域の特性と検出」,東北工業大学紀要
Ⅰ:理工学編1,第 29 号,2009.
[2]古賀一男, 「眼球運動実験 ミニ・ハンドブ
ック」,pp.35,1998.
車輪型移動ロボットによる他者ロボット作業環境の 3 次元位置検出
藤田研究室 0911209
1.はじめに
現在,様々なロボットの研究が行われている。ロボットが作
業を行うためには周囲の環境を認識することが不可欠である。
複数のロボットが協調動作している状況であれば、他のロボ
ットや対象物を認識することで効率的な作業を行うことが可
能である。そこで本研究では、車輪型移動ロボットにカメラ
を搭載し、SIFT 特徴量を用いて得られた画像間の対応点から
両眼視の原理を用いて協調相手の作業ロボットおよびその対
象物の三次元位置を検出することを目的とする。
2.観察ロボット
車輪型移動ロボット P3DX を使用し、CCD カメラ Canon VC50i
を後方に設置した。図 1 にこの観察ロボットを後方から撮影
した外観を示す。
図 1 カメラ搭載 P3DX ロボット
3.作業ロボット
車輪型移動ロボット P3DX に 6 自由度アームを搭載したもの
を使用した。アームの各関節およびハンド部には近藤科学社
製サーボモータ 7 個を使用した。アームは全長 743mm, 重量
690g である。
4. 3 次元位置検出の方法
4-1.両眼視の原理
両眼視機能とは、左右の目でとらえた映像を脳で融合し、
立体的な情報を得るはたらきである。これを移動ロボットに
搭載した単体カメラで行うには、異なる位置で撮影した 2 つ
の 2 次元画像上の対応する点の間で 3 角測量の原理を適用す
ればよい。これにより 3 次元位置を得ることができる[1]。
4-2.SIFT 特徴量の検出
SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)とは、対象とな
る画像から特徴点の検出と特徴量の記述を行うものである。
回転・スケール変化などに不変な特徴量を記述するため、イ
メージモザイクなどの画像のマッチングや物体認識に用いら
れている。対象物を検知する処理には SIFT で効率の良い
DOG(Difference-of-Gaussian)を用いる。DOG 処理によって得
られた特徴点候補にローカライズ(絞り込み)を行う[2]。
5.実験
3 章および 4 章で述べた 2 台のロボットを使用して実験を行
った。観察ロボットによって作業ロボットと対象物を様々な
位置から撮影し、対応点を検出し位置を算出した。
5-1 実験環境
実験時の観察ロボットおよび観察対象の配置を図 2 に示す。
観察ロボットは 3 ヶ所から対象を観察し、対応点の検出を行
う。同様の方法で異なる配置での観察を 3 パターン行った。
なお、図中の記号は T:対象物、A:作業ロボットアームの
手先、W:作業ロボット、O1,O2,O3:各観察位置である。
各パターンにおける各対象の位置と観察位置は以下の通りで
ある。単位はすべて mm である。観察位置については観察角も
併記する。
パターン 1
T=(300,1826,334)/A=(506,1624,350)/W=(918,1826,190)/
岩本 賢三
O1=(550,30)93°/O2=(828,23)91°/O3=(1127,70)77°
パターン 2
T=(300,2438,334)/A=(506,2236,350)/W=(918,2438,190)/
O1=(610,70)93°/O2=(935,80)87°/O3=(1195,112)87°
パターン 3
T=(300,3046,334)/A=(506,2842,350)/W=(918,3046,190)/
O1=(605,84)97°/O2=(929,67)92°/O3=(1239,110)87°
図 2 カメラ、アーム、対象物の配置(パターン 1)
5-2.実験結果
対象物、アーム、作業ロボットの実際の位置と検出した 3
次元位置を表 1 に示す。検出位置は複数検出された特徴点に
ついての位置の平均とした。
表 1 検出位置結果
パターン1
作業ロボット(WA)
アーム(AA)
対象物(TA)
パターン2
作業ロボット(WB)
アーム(AB)
対象物(TB)
パターン3
作業ロボット(WC)
アーム(AC)
対象物(TC)
実際の位置(mm)
x
y
z
918
1826
190
506
1624
350
300
1826
334
x
852
634
608
検出位置(mm)
y
z
1775
314
1732
414
1927
260
918
506
300
2438
2236
2438
190
350
334
831
774
749
2992
2987
3040
317
356
313
918
506
300
3046
2842
3046
190
350
334
546
458
398
2927
2894
2947
324
377
356
6.考察
表 1 に示した通り、多くの場合で対象物やアームの位置が
実際の場所より 100mm 以上ずれて検出された。原因として、2
回目以降の観察位置が最初の観察位置から離れて角度が大き
くなり過ぎた場合、つまりカメラから見た景色が大幅に変わ
ってしまうような場合は誤対応する点が多くなり、正確な対
応点が少なくなってしまうからと考えられる。また、対象の
位置が画像中心から遠くなるにつれ、小さな模様は特徴点が
表れにくくなってしまうことも考えられる。カメラの画像中
心近くに捉えているものについては正確に特徴点を検出する
ことができたため、できるだけ中心で対象を観察することが
望ましいと考えられる。
7.まとめ
本実験では SIFT 特徴量と両眼視の原理を用いることで他ロ
ボットと対象物の検出を行った。距離や角度のみならずアー
ムの手先や対象物の模様や大きさなどによっても結果に違い
が生じた。今後はカメラからの画像により、目的地までロボ
ットが走行する動作が可能となるようにしていきたい。
【参考文献】
[1] 徐 剛、辻 三郎:3 次元ビジョン
[2] 藤吉 弘亘:"Gradient ベースの特徴抽出-SIFT と HOG-",
情報処理学会 研究報告 CVIM 160, pp. 211-224, September,
2007
双腕移動ロボット用制御システムの構築と操作インターフェースの開発
藤田研究室 0911244 土屋 雄一
1. はじめに
近年、レスキュー活動や被災地探索の作業を遂
行するロボットが多く開発されている。特に双腕機構
を持つロボットは、対象物の大きさや形状、状況など
に応じて片腕と双腕を使い分けることができるため、
作業腕を 1 本だけ有するロボットに比べより高度な作
業が可能である。そのため、筆者らは双腕型の不整
地移動ロボットを開発してきた[1][2]。
しかし、双腕機構を備えたロボットは操作が複雑と
なり、オペレータの負荷が大きくなる。そこで、本研
究ではオペレータの負荷を軽減し、作業動作の操
作を簡単にするため、双腕ロボット用操作インターフ
ェースの開発を行った。また、開発したインターフェ
ースに適するよう、ロボットの制御システムを改良し、
実装した。
本稿では、開発したインターフェースおよび改良し
た制御システムについて述べるとともに、実際に障
害物の除去や運搬動作等の実験を行ない、本シス
テムの有効性を検証する。
2. 制御システム
本研究で使用したロボットを図 1 に示す。このロボ
ットはクローラ機構と作業用双腕機構を備える。胴体
に 2 つのクローラを装着し、胴体前方の両端に 1 本
ずつ作業腕を配置している。
荷軽減を目的として、操作インターフェースの開発を
行った。この操作インターフェースはロボットの移動、
アームの動作パターンの指示、カメラ映像の確認、
速度の制御等、様々な操作や情報の確認を統合し
て行うことができる。
4.実験
今回は操作インターフェースを用いたロボットの遠
隔操作実験を行う。ロボットを目的地まで移動させ、
その進路上に障害物がある場合を想定し、除去作
業を行い、それにより、オペレータへの負荷が軽減
されたかを確認する。実験はパイプの把持、石の除
去、箱の運搬を行う。対象の障害物は、パイプ(長さ
290[mm] 重さ 85[g])と石(幅 90[mm] 重さ 465[g])、
箱(265[mm]×205[mm]×150[mm] 重さ 240[g])とし、
カメラの映像からこれらを発見し、片腕または双腕を
用いて除去作業を行う。実験時のリモート PC 上のロ
ボット操作インターフェースの外観を図 2 に示す。
Fig.2 Operation by the interface system
Fig.1 Overview of robot with two arms
さらに、ロボット上部にパン、チルト角制御可能な
CCD カメラを搭載している。これにより、カメラからの
映像を観察し、前進・後退・作業腕動作などのロボッ
トの操作を行うことができる。
オペレータは映像を見ながら、リモート PC から操
作インターフェースを用いてロボット制御メインボード
に作業動作の指示を送信し、遠隔操作を行う。
3. 操作インターフェース
本研究では、ロボット操作におけるオペレータの負
5.まとめ
本研究では双腕移動ロボットにおける操作インタ
ーフェースの開発を行い、作業動作実験によりロボ
ット操作中におけるオペレータの負荷軽減を確認す
ることができた。
一方で、通信が不安定で遅延が生じる、細かな操
作を行いづらい、対象物との距離感を掴むのが難し
い、といった問題も生じた。これらの問題を解決する
ため、今後はロボットに測距センサ等を搭載し自律
的動作をさせることや操作インターフェースの高機
能化などが必要となると考えられる。
【参考文献】
[1] 羽澤寛志,他,"双腕を有する不整地移動ロボットの開発”
平成 24 年 東北地区若手研究者研究発表会 ,2012
[2]高橋俊太,羽澤寛志, 藤田豊己, “双腕を有する不整地ロボッ
トの作業動作”,東北地区若手研究発表会,2012
車輪型移動ロボットにおける作業用パラレルリンクアームの開発
藤田研究室 0911136 菅原 宏
1.
はじめに
移動型ロボットにアームが搭載されていれば、作業範
囲・作業内容の拡大に有効である。そのため、筆者らの研
究室でも、アームを搭載した移動ロボットを製作している
[1]。一般に、搭載されるアームはシリアルリンクの機構が
多い。しかしシリアルリンクには主に以下のような問題点が
存在する[2]。
(a) 先端にかかる力を根本で支えねばならず、高出力を
得るのが難しい。
(b) 関節の数が増えるほどに誤差が累積する。
(c) 片手持ちはり構造なので剛性が低い
一方、パラレルリンク型アームには以下の特徴がある。
(a) 各部のジョイントの誤差が平均化される。
(b) 複数のリンクで先端を支持する為、剛性が高い。
(c) 複数のアクチュエータの力の合計が出力になるため
高出力を得られる
そこで本研究では、上記のような利点のあるパラレルリ
ンク機構を採用し、車輪型移動ロボットに搭載できる作業
用アームの開発を行った。
2. パラレルリンクアームの開発
2-1.基本概念
パラレルロボットとは、JIS B0134によると「ベースとメカ
ニカルインタフェースとの間の機械構造に複数の伝達経
路をもつロボット」と定義されており[3]、主に StewartGough 型、回転型、直動固定型がある。本研究では動作
速度が速い回転型を採用し、中央部を軸に前方部左右に
アーム機構全体を振ることができる機構を考案した。
アームを搭載する車輪型移動ロボットには、
MobileRobots 社 P3-DX を用いた。サイズは幅393[mm]、
長さ445[mm]、高さ237[mm]である。この移動ロボットに搭
載できるようにアームのサイズを考慮し、直下170[mm]ま
で可動できるものとした。P3-DX の前方110[mm]の位置
に突き出す形でアーム機構を配置した。ハンドは両開きで
開閉するタイプとし、縦幅100[mm]、横幅50[mm]までの
サイズの把持を可能とした。
2-2.アームの設計
P3-DXの天板の中央部にはスイング用サーボモータ
が固定されており、スイング用リンク(ビーム)により作業用
アームと連結している。スイング用リンク(ビーム)の長さを3
30[mm]とした。ビームの200[mm]先端に天板上を軽がる
車輪を装着しており、作業用アームからの荷重を支えてい
る。図1にこの機構とそれによる作業用アームのスイング動
作を示す。作業用アームは最大 90 度までスイングするこ
とができる。
図1 スイング機構(上面図)
パラレルリンクの各リンクの長さは、2-1章で述べた基本
概念に基づき、第1リンクの長さを100[mm]、第2リンクの
長さを150[mm]とした。図2はパラレルリンクアームの機構
の概略である。第1関節は駆動関節であり、モータの回転
により駆動する。第2関節と第3関節は自由関節となって
おり、ユニバーサルジョイントと軸受により構成される。この
リンク系が6個、ハンドベースに接続される。
図2 パラレルリンク機構 図3 開発したアームとロボットの外観
開発したパラレルリンクアームおよびシステムの外観を
図3に示す。アームは全長310[mm]、横幅355[mm]、重
量は1500[g]となった。ロボット全体では全長735[mm]、
横幅380[mm]、高さ480[mm]、重量は20.5[kg]であった。
3. 動作実験
3-1.実験方法
本研究では次の2種類の実験を行った。
(a) 実験1:作業用アームで持ち上げが可能な重量限界
を検証した。対象物におもりを入れた小箱を使用し、
1000[g]から100[g]ずつ重量を変えた。接地面から
10[mm]上がれば持ち上げ可能とした。図4に実験
の概観を示す。
図4 実験1の概観
図5 実験2の動作
(b) 実験2:スイング用リンクを用いて、操作対象物を右
から左へ移動させ、パラレルリンクの欠点である可動
範囲の狭さを拡大する検証を行った。図5は実験時
の動作手順を示す。アーム本体をスイングさせ、対
象物を右から左へと運搬させた。操作対象物は縦幅
100[mm]、横幅200[mm]、奥行52[mm]、重量約2.
1[kg]のドイツ煉瓦を使用した。
3-2.実験結果
実験1の結果、2.6[kg]までを持ち上げることができた。
また、2.7[kg]では5[mm]、2.8[kg]では2[mm]の高さまで
持ち上げることが確認できた。実験2では、ロボットは正常
に動作し、対象物を移動させることが確認できた。
4. まとめ
本稿では、車輪型移動ロボットに搭載可能な作業用パ
ラレルリンクアームの開発を行い、基本実験により対象物
の移動を確認した。
【参考文献】
[1] 小坂直之,“車輪型移動ロボット搭載用マニュピレータ
の製作と制御”,東北工業大学工学部知能エレクトロニクス
学科 平成 21 年卒業論文,2010
[2] 楠田喜宏,“パラレルメカニズム実用化の展望”,日本
ロボット学会誌 2012 年 3 月号,Vol.30 No.2,pp.2-6,2012
[3] 日本規格協会,“産業用マニピュレーティングロボット
用語”,JIS B 0134,1998
連続母音知覚における調音結合と発話速度の効果
伊藤研究室
0911261 四本 遼介
1.はじめに
音声の連続発話では、調音結合の影響により、同じ音
韻の音響特性が孤立発話の場合とは異なる事が知られ
ている。音声自動認識システムでは、この調音結合の影
響が誤認識の原因の一つになっている。本実験では、連
続母音知覚における調音結合の効果について調べるこ
とで、この問題を解決する手がかりを探す[1]。
2.実験1
2.1.刺激
防音室で 4 名の成人男性が発話した/aia/,/iai/, /aeiea/ ,
/ieaei/ を録音した。図 1 に/aia/のフォルマント周波数
を示す。このフォルマント分析から、最初と最後の/a/、
および中心の/i/、の位置を定め(1,3,5)、さらにそれらの
中間の位置を定め(2,4)、得られた 5 点周辺の波形を繰り
返し、200ms の刺激を作成した。それぞれの音声から 5
点切り出したので、全部で 80 通りの刺激を作った。
図 1. 切り出した点の例(/aia/)
2.2.手続き
実験は、防音室でヘッドホン(Sennheiser/HDA-200)
を用いて行った。80 通りの音声で被験者 8 人、試行回
数は 10 回で行った。選択肢は、/a/ , /i/ , /u/ , /e/ , /o/の 5
母音から強制選択した。
2.3.結果
母音の組み合わせごとの認識率は図 2~図 5 のように
なった。3 モーラの2と4は、/a/ , /i/ の両方を正解にし
た。/aia/と/iai/に/e/はないが、/a/と/i/の間が/e/と聞こえ
ている。5 モーラも同様の結果になった。/aia/ と比べ、
/aeiea/の4が/e/より/i/の認識率が少し高くなっている
が、差は小さく、他の点では、ほとんど差がなかった。
/iai/ と /ieaei/ を比較すると、特に/iai/の3の/a/の認識
率が低くなった。
図 2. /aia/の認識率
図 3. /iai/の認識率
図 4. /aeiea/の認識率
図 5. /ieaei/の認識率
3.実験2
3.1.刺激
実験 1 で録音した 16 種類の音声を PSOLA 法により
速度変換し、200ms , 300ms , 400ms , 500ms , 600ms
の長さの刺激を作成した。刺激は全部で、80 通りの音
声を使った。
3.2.手続き
選択肢は、3 モーラ、5 モーラの 2 択から強制選択し
た。それ以外は、実験1と同様の条件で行った。
3.3 結果
母音の組み合わせごとの認識率は図 6、図 7 のように
なった。5 モーラを速くすると 3 モーラに聞こえるが、
3 モーラを遅くしても 5 モーラには聞こえなかった。3
モーラの音声は、200ms と比較して 600ms の時も有意
差はなかった。しかし、5 モーラの音声は 600ms 比較
すると、/aeiea/では 300ms、/ieaei/では 400ms より速
くすると有意差が出た(p<0.01)。
図 6.認識率(3 モーラ)
図 7.認識率(5 モーラ)
4.結論
調音結合の影響を受けた音声の知覚は、発話速度だけ
で決定づけられるわけではないと分かった。今後は、発
話速度以外の影響について調べていく。
参考文献
[1] 板橋秀一、音声工学、森北出版株式会社
合成母音を用いた位相特性の知覚実験
伊藤研究室
0911215 小野寺 宰
1.はじめに
合成音声について音声の自然さ、人間の声らしさを持った
波形を合成するにはどうすれば良いのか。 その解答の一つと
して周波数の「位相特性」に注目した。一般的に「人間の耳
は音の位相に鈍感である」と言われている。しかし、最近の
研究で、音の位相が音の自然らしさや個人性に関係すること
が分かって来た[1]。そのため今回は、自然な音を合成するた
めに位相をパラメータとして用いて実験をする。
2.実験方法
2.1.刺激
実験に用いる刺激音はフォルマント型音声合成器で作成し
た合成母音である[2][3]。母音の持続時間は 100ms で、第 1~3
フォルマント周波数は表 1 のように設定する。定常母音刺激
ではこのフォルマント周波数が一定だが、/ai/などの 2 連母音
刺激では、フォルマント周波数が滑らかに変化する。基本周
𝜋 8
𝜋
波数は?Hz である。各調波成分の初期位相θを± 、 𝜋、 の
3
範囲でランダムに設定した 3 セットの刺激を用意する。
表 1 第 1~3 フォルマント周波数
a
i
u
e
810
290
330
490
1220
2290
1300
1990
2660
3120
2320
2650
F1
F2
F3
(a) θ=0
2
𝜋
3
2
8
8
4
かった(p>0.05)。
100
95
4
o
480
820
2660
4
有意差が見られた。しかし、位相 と 𝜋では有意差が見られな
90
85
80
75
定常母音
70
2連母音
65
60
55
50
π/2
𝜋
(b) θ=
3.実験結果
位相変化毎で定常母音と 2 連母音の正答率の平均を出し、
標準偏差を求めた。全て定常母音の方が 2 連母音よりも正答
率が高くなった(図 3)
。各位相で有意差を求めた結果、定常
𝜋 𝜋
3
𝜋
母音と 2 連母音共に位相 と 、また位相 𝜋と は危険率 1%で
正答率(%)
2
2.2.手続き
防音室にて知覚実験を行う。
刺激音の 1 番目の合成音声を A、
2 番目の合成音声を B、3 番目の合成音声を X として、その X
が A と B のどちらと同じものかを選択する。被験者は成人男
性 4 名である。各被験者は、各初期位相の刺激を 10 回ずつに
対して回答した。
3π/8
π/4
初期位相
4
図 3 定常母音と 2 連母音の平均正答率
8
(c) θ= 𝜋
3
𝜋
(d) θ=
2
図 1 合成母音/ai/の波形
図 2 合成母音/ai/のスペクトログラム
4.まとめ
今回の実験では定常母音の方が 2 連母音の合成音声に比べ
て、知覚しやすいということがわかった。時間変化する 2 連
母音の刺激音の方が、位相の変化が知覚しやすいと考えたが
そうはならなかった。しかし、それは何が原因なのか、その
メカニズムまではわからなかった。今後はそのメカニズムに
ついて調べていく。
参考文献
[1]赤木正人、安武浩二郎 ”時間方向情報の知覚の検討-位相変
化の音色知覚に及ぼす影響について-“ 信学技法,EA98-19
[2] Dennis H.Klatt,”Software for a cascade/parallel formant
synthesizer.”J.Acoust.Soc.Am.67,1980
[3] Ray D.Kent,Charles Read 監訳者 荒井隆行、菅原勉 “音
声の音響分析”、海文堂、1996
耳介模型を用いたモノラル音源定位
伊藤研究室
0911228
1.はじめに
人間は音を聞くことで、音源のおおよその位置を認識する
ことができる。この音源定位機能のうち、特に鉛直方向につ
いては、耳介の複雑な形が作る反射音が関係する事が分かっ
ている[1]。このメカニズムを明らかにするために、耳介模型を
用いた音源特性計測実験を行った。
佐藤一民
0911159
横山智哉
ッチ周波数の変化を図 3 に示す。このグラフを見ると、水平
角に応じてノッチ周波数が微妙に変化している事が分かる。
2.方法
2.1 耳介模型の製作
図 2 被験者 A のインパルス応答
液状にしたアルジネート(型取り剤)を耳栓をした被験者の
耳に流す。硬化したアルジネートを取り外し、耳の形に凹ん
でいる事を確認する。このアルジネートの雌型に水に溶かし
た石膏を入れる。硬化した石膏を型から取り出し、やすり等
で微調整する(図 1)。以上の方法で成人男性 16 名分の耳介模
型を作成した。
図 1 耳介模型(石膏製)
2.2 インパルス応答測定
防音室で、ターンテーブルに耳介模型を設置し、そこから
水平角 50°距離 30cm の所に耳介の中心に向くようにスピー
カーを設置する。ターンテーブルを鉛直角+30 ~-40°まで
10°刻みに、スピーカーを水平角 50 ~10°まで 10°刻みに
変えて測定する。
2.3 逆特性の畳み込み
防音室で水平角・鉛直角 0°のマイクのみのインパルス応答
を測定する。この測定で得たデータの逆特性を作製して、耳
介模型のインパルス応答に畳み込む。
3.実験結果
被験者 A から作成した耳介模型のインパルス応答を図 2 に
示す。鉛直角が上がるにつれて 6 ~10kHz の間にノッチ周波
数が現れていることが分かる。同じ耳介模型の水平角毎のノ
図 3 ノッチ周波数の水平角依存特性
4.まとめ
ノッチ周波数が鉛直角によって変化する事は以前から判明
していたことだが、今回の実験でノッチ周波数は水平角に対
しても変化する事が分かった。
だが、ノッチ周波数が見られる角度の範囲は、被験者によ
って大きく異なっており、今後被験者に共通する一般的な性
質を明らかにしていきたい。
参考文献
[1]飯田一博,森本政之:空間音響学,2010
歌唱音声合成システムの性能評価実験
伊藤研究室 0911236 杉山 卓也 0911238 鈴木 拓也
1.はじめに
音声は舌や声帯などの発声器官の運動により生成さ
れる。本研究では発声器官を用いず、両腕の運動から歌
唱音声を合成するシステムの構築を目指している[1,2]。
以下では、このシステムの性能評価実験の結果について
報告する。
2.歌唱音声合成システム
磁気センサを設置し、両手に位置情報を得るためのマ
ーカーを手に持つ。センサから得られた両手の位置情報
を元に、リアルタイムで合成音声の各パラメータを決定。
合成した信号は同時にスピーカーから出力し、合成音声
を制御する。
4.実験結果
直交座標と極座標を行った被験者 10 名の各 60 セット
分の平均エラー率を Fig.3 に示す。実験開始直後はエラ
ー率が高い値となっているが、セット数を重ねるごとに
エラー率が減少し、30 分以降はエラー率が近似した値
となっている。
また直交座標(左)と極座標(右)の被験者ごとにまと
めたグラフが Fig.4 である。結果を見るとどちらの平均
誤差も 50cent 付近の値となっている。直交座標と極座
標では音程・音量の制御誤差に大きな違いはなかった。
よって学習時間は 30 分位、最小誤差は 50cent 程度で制
御していることが分かった。
3.実験方法
上記のシステムを用いて、被験者が自分の音をガイド
に合わせようとする時に出てくる最小誤差とその誤差
が何処まで下がり、最終的に安定する時の最小誤差、お
よびそこまでの学習時間について調べた。操作には
Fig.1 の直交座標・極座標を用いて調査した。
実験のシステムを Fig.2 に示す。始めに初期設定を行
う。右肩を中心として行うため肩にマーカーを当て原点
補正をし、X,Y,Z の値を 0 として実験を行なった。次に
ランダムに出てくるガイドのスライダーの位置(音程と
音量)とスピーカーの音を参考に自分の音を合わせる。
ガイドは 1 つ 3 秒で計 30 個を 1 セットとし、実験回数
は 60 セット。被験者 10 名で行った。
Fig.3 被験者 10 名のエラー率
Fig.4 直交座標と極座標の平均誤差
5.まとめ
Fig.1 直交座標と極座標
Fig.1 直交座標と極座標
本稿では両腕の運動からリアルタイムで歌唱音声を
合成するシステムを実装し、演奏を行う際に操作者の学
習時間の調査と、実験回数の平均誤差について直交座標
と極座標の制御側を用いて検討した。今回の実験では音
程と音量の最小のエラー率と学習時間は、30 分程で
50cent が平均最小誤差であることが分かった。また、
直交座標・極座標について、操作性の違いについて大き
な誤差はなかった。今後は演奏曲数を増やして、連続と
離散制御による知覚実験を進める予定である。
参考文献
Fig.2 実験システム
[1] 伊藤 仁 伊藤 貴徳 庄子 卓志(東北工大)、
上肢運動情報を用いた歌声音声の生成システムの検討、
日本音響学会 春季研究発表会、2011
[2] 菅原 香澄 庄司 智憲 伊藤 仁(東北工大)、
両腕運動による歌唱合成音声の制御、日本音響学会 春
季研究発表会、2012
周辺環境音に基づく周囲への存在主張ジャケットの製作
水野研究室 南館 優 森 洋信
1. はじめに
夜間時における交通事故の割合は昼間時にお
ける交通事故に比べ,格段に多くなっている .
その原因として,夜間時における人物や物体の
発見が困難という背景がある. これらの現象を改善するためには歩行者と走
行車,両者が夜間時でもお互いの存在をしっか
りと認識しなければならない. そのため,本研
修では両者がお互いの存在のを容易に認識する
ことを目的とし,装置を製作することとした.
ている . そのため,このマイクロフォンは人間
の可聴領域内の周波数の音を集音することが可
能である.
集音した音圧を変換する回路として,Arduino
基盤を用いている . 回路で集音した音圧情報を
予め初期値として設定した閾値と比較する . 閾
値を越えた出力信号ならば対応した EL ワイヤへ
入力信号を送る . その際に集音した音圧に応じ
て発光時間を提示する.
2.2 発光デバイス
2. 装置概要
本研修では発光装置として 4 本の EL ワイヤを
本研修で製作したジャケットには,集音用の
マイクロフォンを図 1 に示すよう 4 ヶ所に配置し
た. また,装着者の存在を外部に示すための EL
ワイヤを 4 本配置した. このマイクロフォンの集
音した情報を基に回路で変換を行い EL ワイヤの
点灯信号を出力する. それにより,ジャケット
に張り巡らされた EL ワイヤのうち,集音したマ
イクロフォンに対応した EL ワイヤが発光する.
これにより,周囲に対してユーザーの存在を主
張するとともに,周囲の存在を自己で察知する
ことが可能である.
開発環境として Arduino IDE,信号処理回路に
は Arduino 基盤を用いた.
用いている . EL ワイヤは青色を 2 本,赤色を 1
本,緑色を 1 本用いた.
発光色の異なる EL ワイヤを用いる理由として,
装着者が発光パターンや発光時間により集音し
ている方向を察知するためである . これにより,
周囲に自己の存在を主張するとともに,装着者
も相手の存在する箇所を判断し,適切な行動を
とることが可能となると考えられる.
3.まとめ
本研修では,マイクロフォンと EL ワイヤを用
いて集音情報を基にした集音発光による存在主
張ジャケットを製作した . 現状動作に問題はな
EL ワイヤ : 緑
EL ワイヤ : 青
マイク 2
マイク 1
マイク 3
マイク 4
EL ワイヤ : 赤
(a):装置の前面図
(b):装置の背面図
図1
2.1 集音装置
く,集音による発光は正常に作動している . 現
在,フィルタなどによる集音する周波数の帯域
制限を行っていないため,集音可能な音ならば
雑音であってもマイクロフォンに拾われ,発光
基準値さえ満たした音圧ならばジャケットは発
光してしまう.
今後の展開として,発光させるべき必要があ
る環境音の周波数を測定し,その周波数帯域に
限定させた発光信号の発信を行い,不要な場面
での発光を抑えていくことが必要であると考え
られる.
本研修では,集音装置として MEMS 社製のマ
4.参考文献
イクロフォン,ADMP401 を使用した. このマイ
ク ロ フ ォ ン の 周 波 数 特 性 は 100 ~
1) Arduino をはじめよう Massimo Banzai 著
船田 巧 訳,オライリー・ジャパン 2009
2) Prototyping Lab 小林 茂 著
オライリー・ジャパン 2010
15kHz,SNR:62dBA,感度-42dBA となっている.
一般的に人間の可聴領域は 20~20kHz と言われ
Pawn による ARM マイコンプログラミングとロボットの製作
水野研究室 0911258 元木 雄太
1. はじめに
ARM マイコンは現在世界最高のシェアを誇るマ
イコンの一つであり、今後の組み込みシステムの開
発現場においても広範囲の分野において採用されて
ゆく事が予想される。
本研修では ARM マイコンの開発についての学習
を目的とし、 ARM マイコンを用いたロボット製作
を行うことにした。
電源は直流 6V(単三電池 4 本)であり、モータ 2
個とモータドライバのロジック電源、サーボモータ
に供給されている。 ARM マイコンにはパソコンか
ら USB を使用して有線で 5V を給電している。外
見を図 1 に示す。
2. ロボットの概要
ロボットが自身の周囲の空間を把握する能力は屋
内等の閉所で行動するロボットが普及し始めた昨今
においては重要な課題である。そのため、本研修で
製作を行ったロボットは基礎的な空間認識機能を実
装することにした。
2-1.ARM マイコン
本研修では、 USB 経由でプログラムの書き込み
が可能な ARM マイコン LM3S3748 を用い、開発
[ ]
語にはスクリプト言語「 Pawn」を採用した 1 。言
語「 Pawn 」は組み込み機器用のスクリプト言語で
あり、記述は C++ に準拠しているため、 C 言語と
の互換性と拡張性に優れている。
本 研 修 で は ARM マ イ コ ン に モ ー タ ー の 制 御
PSD センサからの信号処理、および PSD センサに
よる機械式扇状走査機能を実装した。
図 1 試作したロボット
2-3. 制御方法
製作されたロボットは走行中 PSD センサーが感
知した物体との距離が一定以下に達すると本体が旋
回し、物体を避ける事が可能である。
プログラムの動作により扇状範囲を走査しながら、
設定した PWM の値に基づき前進、 PSD からの入
[ ]
力信号の AD 変換値を PSD のデータシート 2 記載
の換算式を用いて距離を求め、得られた距離の計測
値をパソコンの画面に出力する。
3. まとめ
2-2. 素子・装置概要
本研修で製作したロボット駆動部は DC モータ 2
個を接続した二輪駆動のクローラータイプであり、
大 1 対、小 2 対の従輪を有している。 DC モータの
制御にはモータドライバ (TA7267BP)2 個を使用し
ており、左右別個に正転・逆転が可能であり
ARM マイコンで生成した PWM 信号により速度制
御を行う。
空間走査用センサーには PSD(Position Sensitive
Detector:GP2Y0A21)1 個 を 使 用 し て お り 、 RC
サーボモータによる扇状走査を行うことによって得
られた距離データを基に空間物体の位置情報マッピ
ングを行う。なお、 PSD の検出距離は 10 ~ 80cm
である。また扇状走査範囲はパン軸回転で前方 180
度である。
本研修では ARM マイコンを用いたロボットの製
作を行い、スクリプト言語 Pawn によるプログラム
開発を行った。自己位置推定についてはプログラム
の動作回数をカウントすることで再現しているが、
走行中においてクローラに発生するのスリップは計
算されていない。したがって今後はロータリエン
コーダ、あるいは慣性センサ等を組み合わせた自己
位置推定機能の付加を行う必要があると考える。
参考文献
[1] 林原 靖男、兵頭 和人ほか、超入門!付属
ARM マイコンで始めるロボット製作、CQ 出版,2012
[2] PSD センサ GP2YOA21 データシート、
SHARP
全方向移動トイレ用生体情報計測センサシステム製作
水野研究室 0911237 鈴木明
1.
利用した(図 2(a)).測定温度範囲は-70~380℃であ
はじめに
高齢者の介護が必要となる重要な日常行動は食事,
り,分解能は 0.02℃である.センサ検知範囲はセン
入浴,トイレである.これまで我々は高齢者の生活
サ正面から 60 度,検知距離は 2 ㎝以上である.セン
補助の中でも排泄に注目し,トイレ補助を目的とし
サから得られたデータは I2C 通信で自走トイレに搭
た,全方向移動トイレシステムの開発を行った 1).
載されている Arduino MEGA 2560(CPU ATmega2560,
ここで、我々は便器に注目すると,排泄中において
メモリ 256MB,クロック 16MHz)に送信される.
便器は利用者と物理的に接触が多い器具である.セ
圧力センサには,Tekscon 社製の FexiForce25lb を
ンサを実装することで利用者の生体情報を取得でき
利用した(図 2(b)).圧力センサは力を加えると内部抵
ると考えられる.本研修では,移動トイレシステム
抗が変化し無負荷 10MΩ から 300kΩ まで変化する
利用者の生体情報の取得および利用状態の調査を目
ため,非反転増幅回路に組込み,増幅された出力電
的としている.本研修で我々は,基礎的なセンサシ
圧をマイコンで読み取り,体重を算出することにし
ステムを製作し,移動トイレシステムに搭載した.
た.
2.
自走トイレシステム概要
また,生体情報計測センサのほかに収得したデー
これまでに試作した自走トイレの外観を図 1 に示
タ を 見 る た め の LCD モ ジ ュ ー ル (XIAMEN
す.手すりを含めたシステムの外形寸法は,635(L)
ZETTLER 社製)を自走トイレに搭載した.これによ
×630(W)×790mm(H)で,最大走行速度は 3m/s,
り,パソコンに接続しない状態でのセンサの動作確
搭載荷重 50kg である.走行方法はメカナムホイール
認を可能とした.
によって全方向移動を可能とし.手すりには便座用
蓋の開閉ボタンを設置した.本研修では生体情報は
取得するためのセンサとして,自走トイレの側面に
赤外線温度センサを、座る部分に圧力センサを搭載
した.
(a)温度センサ
(b)圧力センサ
図 2.製作した回路図
4.
まとめ
本研究では,温度センサ・圧力センサを組み合わ
せた基礎的なセンサシステムの制作を行い実装した.
本システムを用いることで,排泄状態と同時に使用
者の生体情報を得ることが可能になった.
今後は,センサの増設による取得データ数の増加
と種類,無線通信による,外部サーバとの連携を目
図 1.自走トイレ
3.
生体情報計測センサ
温度センサには赤外線温度センサ(MLX90614)を
指したシステム開発を行う.
参考文献
1) 千葉祐太朗,水野文雄,藤田富己,山口隆美,
全方向移動機能を有する自走トイレの開発,平
成23年若手研究者発表会講演論文集,
p.p.199-200 ,2011
屋内用遠隔操作飛行船の製作
水野研究室 0911254 松本翔太郎 0911252 半澤芳宇 0911120 久野眞一郎
1.はじめに
近年, 多様なロボットの開発が行なわれ, 様々な
分野での活躍が期待されている. ロボットの多くは
地上で使用されるものであるが, 飛翔型移動方式や
遊泳移動方式を採用したものも提案され,一部は実
用化されている.
そこで我々は飛翔型ロボットに注目し, 本研究で
は,ワイヤレスカメラを搭載し画像を確認しながら
無線通信による遠隔操縦が可能な気嚢型飛行ロボッ
トの開発を行った.
2.飛行船概要
2.1 気嚢
本研究で試作した飛行船の外観を図 1 に示す. 屋
内での使用を想定しているため,小型でペイロード
が小さくなるように設計を行った.
3.コントローラー
また本研究では無線操作用コントローラーの製作
を行った. 飛行船とリモートコントローラーは組み
込 み シ ス テ ム で あ る ArduinoFio と IEEE802.15.4 を
ベースにしたプロトコルスタックを採用した XBee
を用いて製作した . リモートコントローラー側の
ジョイスティックの操作量を ArduinoFio で制御信号
に変換し XBee を介して AT コマンドモードで送信す
る. 送信された制御信号は,飛行船に搭載された受
信側の XBee で受信され, ArduinoFio を介してモー
タの制御を行う.なお,2 台の ArduinoFio の電源供
給にはリチウムイオンポリマー電池を使用している.
コントローラーの外観を図 2 に示す.
図 2. 無線コントローラー
図 1. 飛行船全体図
本研究で製作した飛行船の気嚢は,ガス透過性が
低いアルミ蒸着フィルムを使用し,浮上ガスはヘリ
ウムとしている. 気嚢は四枚のフィルムを張り合わ
せ た構 造を とっ てお り, 側面 形状 が The NPL low
drag airship となるように設計を行った 1-4). 完成した
気嚢の全長と直径,浮力を測定したところ,全長が
160cm,直径が 56.5cm,浮力は 184.3g であった. こ
の気嚢のアスペクト比は 2.44 であった.
2.2ゴンドラ 飛行船を移動させるためのモータには小型軽量な
コアレスモータを三個採用した,モータの駆動回路
には H ブリッジドライバを採用した. また,飛行船
には CMOS 小型ワイヤレスカメラを搭載しており,
カメラから送られたデータをテレビ画面に出力出来
るようになっている. これらの回路およびカメラは
飛行船下部に設置されたゴンドラに収納されている.
ゴンドラのフレームには軽量化のためバルサ材を用
いて製作した. 製作したゴンドラに必要な機材を収
納したときのペイロードは 114.8g であり,計測した
浮力より小さいため,飛行が可能であることを 確認
した.
4.まとめ
本研究では, ワイヤレスカメラを搭載した屋内用
遠隔操作飛行船を提案した. 本研究で製作した飛行
船では, ワイヤレスカメラと組み込みマイコンであ
る,ArduinoFio, RF モジュールである Xbee を用いる
ことで, 無線通信による飛行船の操縦を実現した.
今後は, 飛行船のさらなる小型化, ArduinoFio の
プログラムの改変や,各種センサーなどの搭載を行
い, 自己位置の推定及び対象の認識による自律飛行
機能の実装を行なう.
参考文献
1) 石田良平 他, 屋内用リモートセンシン
グ飛行船の開発
2) Khoury,G.A. and Gillett,J.D., eds., Airship
Technology,Cambridge Aerospace Series #10, Cambridge University Press, 1999
3) 森口繁一, 宇田川かね久, 一松信 数
学公式1,岩波書店, 2005
4) 森口繁一, 宇田川かね久, 一松信 数
学公式3,岩波書店, 2005
5) 広瀬量平 東北大学卒業論文, 独居老人
のための飛行船型見守りシステムの開発, 2009
微粒子分散系の光学特性の測定に関する研究
宮下研究室
0911217 菊地 晃紀
1.はじめに
近年の大画面表示用にスクリーンとして霧に投影
する方式に注目した。良好な表示を得るためには霧の
性質を調べる必要がある。そこでケースに霧を入れて
測定を試みた。ところがケースの内側に付着した霧に
よって誤差が生じるおそれがある。そこでその影響及
び対策について検討を行った。
2.原理
霧をスクリーンとして使用する時、霧の粒子が空気
中に分散することにより光の散乱現象が起こす。この
とき、霧は次の現象によって経時変化が生じる[2]。
① 微粒子がケース内側や底に付着する
② 粒子同士がぶつかることでひとつになる
ケース内に浮遊している霧の粒子量が減少し、これに
伴い光学特性も変化する。
3.実験方法
フ ォ グ マ シ ン ( V1 Fogger ) に リ キ ッ ド 液
(FOGLIQUID)を入れて霧を発生させた。これを
透明なアクリル製の箱へ一定量溜めた。ここにレーザ
ーを投射し、暗室で光の強度をパワーメータ(LP1、三
和電気計器(株)製)で計測した。ケース面の影響を調べ
るために図1のように 2 台のレーザーを使い、穴を
開けて壁面のない部分と壁面のある部分を通過した
光量を比較した。なお二つのレーザー光源の出力の差
は 0.05mW 以内に調整した。
0911143 永浦 一樹
同図(b)よりアクリル面を通した光強度は、測定毎
に強度にばらつきが大きく、ケース内側に付着した霧
の液体が測定毎に変わり再現性がないことを示して
いる。このことから壁面の影響は無視できないことが
わかる
(a)
図2.光の強度の経時変化
(b)
(a)平均値と(b)ばらつき
ケースに付着する霧の粒子による光学特性の変化
を抑制する方法として以下の方法を考えた。
①
ケースに付着した霧を蒸発させるためにその
表面を温める。
②
ケースの内面に界面活性剤を塗り霧の液体を
面になじませて平滑にする。
③
ケースの内側に付着した霧を拭く
④
強い振動をあてて、付着した液体を弾き飛ば
す。
この中で②の方法は実際に有効であることを実験か
ら確認した。
5.まとめ
本研究により、壁面がある条件で測定すると光量が
図 1.実験装置の配置概要
4.実験結果と考察
この結果を図2に示す。図 2.(a)よりアクリル面を
通した光強度は、直接測定した方に比べ弱く。これは
ケース内側に付着した霧の液体によりレーザー光が
遮られたことを示している。
減り結果のばらつきも大きいことから壁面の影響は
無視できないことを明らかにした。又、この影響の抑
制方法があることも示した。
6.参考文献
[1] 小川力、若木守明「光工学入門」実教出版(株)
P105~P110. [2] 内藤牧男、牧野尚夫「初歩から学ぶ粉体技術」
森北出版(株)第7章.
屈折率の波長分散の測定と評価に関する研究
宮下研究室
0911123 小松 英也
1.はじめに
我々の生活の中には液晶テレビなど光と密接な
関係にある品物が普及している。光学材料を使う
上で屈折率の波長分散は重要である。そこで本研
究では一般の屈折計から屈折率の波長分散の値を
測定する方法の確立を目標とした。
0911161
渡辺
卓也
を行い測定データの信憑性を高めた。屈折率は一
般にコーシーの分散式に従うが、ここでは直線で
近似した。測定値と真値を比較し補正値を算出した
ところ補正値は図のようになった。また今回の測定
結果から次の式を立てられる。
2.原理
屈折率の測定には一般にアッベの屈折計が用い
られる。屈折において屈折率の高い物質から低い
物質へ光が入射する時、入射角がある角度を超え
ると全反射が起こる。この角度が臨界角である。
図1より次の式が成り立つ。
図 2.テストピースの波長分散と主プリズムの補正値
図 1.屈折の原理
これにより
できる。
と表すことが
5.まとめ
本実験では屈折計のプリズムの補正値を算出す
ることができた。これにより一般の屈折計で測定
した値に補正値をかけて正しい値を導出できる。
この臨界角を測定することによって屈折率が測定
できる。波長分散を求めるうえで屈折計のプリズ
ムは波長によって屈折率が変わるので、真値と実
測値を比較し補正値を求める必要がある。
6.謝辞
本研究にご指導いただいた宮下教授に深く感謝い
たします。
3.実験方法
この補正値を求めるために屈折率が既知の媒体
を、入射光の波長を 450nm から 650nm まで 50nm
ずつ変化させて測定した。この結果と既知[3]の値を
比較し主プリズムの補正値を求めた。
参考文献
[1] 松本弘一,"光測定器ガイド”(オプトエレクトロ
ニクス社)(2004)第7章.
[2] 日本工学測定機工業会,”光計測ポケットブッ
ク”(朝倉書店)(2010)第2節.
[3] 国 立 天 文 台 編 , " 理 科 年 表 ”( 丸 善 株 式 会 社 )
(2005)P445.
4.実験結果と考察
屈折率が既知の媒体の波長分散を測定したとこ
ろに若干のばらつきが生じた。そこで 12 回の測定
3D 画像生成に関する研究
宮下研究室
1.
0911207
板垣
はじめに
匠
4.
0911233
志小田
純
実験結果と考察
近年、3D データの処理から表示ができる製品が我々
OpenGL を用いての出力画像を図(a)に示す。この画像
の身近に存在するようになってきた。しかし、実際の物
は 2 つの立方体を表示し、それぞれの座標を変化させ左
体の様に自然な表示のできるものはまだ無い。そこで本
右の目の画像を生成したものである。
研究では、より綺麗で自然な立体に見せるにはどんな工
Fire Monkey を用いての出力画像を図(b)に示す。こ
夫が必要なのかを研究する為、OpenGL と Fire Monkey
の画像は 1 つの立方体を表示したものと、そこから角度
という 2 つのソフトで生成した 3D 画像を用いて立体映
を少し変えたものの 2 つの画像を表示したものである。
像の生成を行った。
2.
原理
通常人間の目は、左右に付いている為にそれぞれが違
う位置、角度から物体を見ることになる。この 2 つの位
置、角度の違う映像を脳内で合成することにより物体の
奥行き感、立体感を認識している。
そこで、立体画像の表示をするために右目用・左目用
図(a) OpenGL の出力画像
の画像をそれぞれ映す 2 つのディスプレイを用意し組
み合せる。ディスプレイに表示した画像を反射率 50%・
透過率 50%のハーフミラーで一つの画像として合成し、
それを偏光メガネを用いて見ることによって、画像を立
体的に見せる装置を使用した。
図(b) Fire Monkey の出力画像
3.
実験方法
5. まとめ
実験には OS に依存せずに 2 次元・3 次元の画像を描
OpenGL と FireMonkey 共に 3D 画像の生成に成功した。
画することのできるソフト OpenGL 及び、高度なグラフ
これにより、より自然な画像を得る為のソフト及びハー
ィックス機能を始めとした多数の機能を備えたビジュ
ドの条件を求める準備ができた。
アルコンポーネントライブラリである Fire Monkey を用
いた。前述の立体表示装置に OpenGL で C++言語を使用
参考文献
してプログラミングした 3D 画像を表示して合成し立体
[1]
画像を表示させた。Fire Monkey も同様の機材を用いる
が、こちらは作成した 3D 画像を動作させる形をとった。
桐井敬祐、寺西忠勝“OpenGL ES による 3D グラ
フィックスプログラミング入門“
[2] 日向俊二“Delphi XE2 プログラミング入門”1、
2、6、7 章
スペックルノイズの定量化に関する研究
宮下研究室
0911145 信平丈智
1. はじめに
次世代型ディスプレイ用光源としてレーザの研究
開発が進んできている。レーザ光源にもいくつかの種
類があるが、ディスプレイの光源に用いられるのは半
導体レーザである。半導体レーザ自体は通信機器や計
測機器の信号源の他、民生品としても普及している。
ディスプレイの光源としてみると、レーザ光源は寿
命、色再現性、発光効率の点で他方式よりも優れてい
る。
将来は、レーザの特性を生かした高画質なディスプ
レイが普及していくと考えられる。
2.原理
半導体レーザを光源として用いる場合、レーザ光の
コヒーレント性が原因で、特有のスペックルノイズが
現れ均一な照明ができない。ざらつくような、あるい
は光がツブツブとなったムラのような照射となる。
こうした現象は一般に、位相の揃った光が、通過し
ていく媒質の不均質な場で乱されたり、微小物体やチ
リなどで散乱したり、または照射される表面の微小な
凹凸で波面が乱された結果、光の干渉が起きる。スク
リーンの場合も表面の微小な凹凸によって生じる。
[1]
3.実験方法
暗室中のスクリーン上にレーザ光を顕微鏡レンズ
50 倍で拡大し投射した。これを撮影するために、デ
ィジタルカメラ(カシオ計算機(株)製 EX-F1)を採用し、
RAW 画像データを用いることとした。RAW 画像デ
ータは、撮像素子で検出した光強度の情報をそのまま
の値で保存できるためデータの加工がされていない。
図 1 にその概略を示す。
まず、人間の眼で見た時と同じざらつき感が得られ
る条件を調べることとした。そのために撮影条件とし
て絞りの値を変化させた。F 値の設定を 2.7 と 7.5 の
二つにし、シャッタースピードは同じ露出になるよう
に調節した。
投射したレーザ光を移動して見た時に変化するノ
イズを取り出すために、移動前及び撮影位置を 1mm
動かした画像を各一枚、計二枚を撮った。動いたノイ
ズだけを取り出すために移動前後の画像の間で排他
的論理和(XOR)処理を行った。
出力された画像におけるノイズを定量化するため
に、ノイズを二値化し同じレベルの続く領域を一個と
し、領域の数を数える方法を考案した。これによりノ
イズの程度を表わせると考え、これを領域処理と名付
けた。
0911210 太田正太郎
図 1 装置概略
4.結果と考察
まず人間の眼では、視覚的にざらつき感が近いのは
F7.5 のほうであった。
次に XOR 処理をした結果を図 2 に示す。F2.7 では
F7.5 に比べ、ノイズが少ない。
図 3(a)のグラフから F 値による移動前と XOR に減
り幅の差はほぼ同じであった。これは、移動による固
定ノイズの量は同程度で、この分が無くなったものと
考えられる。
同図(b)より、F7.5 のほうが大きく、領域数の違い
が明らかだった。これにより、移動ノイズが大きいこ
とを定量的に示すことができた。
(a)
(b)
図2
(a)F 値 2.7 及び(b)F 値 7.5 の XOR 処理後の画
像(画像は見やすいよう明るさを調整した)
(b)
(a)
図 3 領域数の比較 (a) XOR 処理の前後
(b) XOR 処理後
5.まとめ
領域処理によって、ノイズの量を定量的に表せるこ
とを示した。
F 値と人間の眼の見た目に近いのは、今回の実験で
F7.5 の方であることを示した。
参考文献
[1] 伊藤國雄、半導体レーザの基礎マスター、電気書
院、(2009) 第 1,4 章.
光学計測による動脈硬化の定量評価法における問題点に関する検討
加納研究室
0911128 佐々木 隼
1.はじめに
近年、生活習慣病等の健康問題が注目されるようにな
ってきた。中でも動脈硬化は脳卒中や急性心不全と深く
関係していることが知られる。本研究では、末梢血管の
収縮の度合いを光学的に計測する装置を制作し、それを
使用して血管の柔らかさを測定する実験を行った。血管
は若年者や健常者ほど柔らかくそれにより「血管年齢」
を算出できる。その算出に関して生じる問題点について
検討した。
2.実験方法
測定機器の回路図を図 1 に示す。ここで RPR-220(ロ
ーム製)は発光ダイオードとフォトトランジスタを同一
筺体に収めたフォトリフレクタである。
測定器のセンサ部分に指を置き、15 秒間安静を保ち
ながら測定した。計測信号(指尖容積脈波)は AD コン
バータを搭載した PC で収録し、終了後解析に供した。
解析ではノッチフィルタ(2 次バタワースフィルタ)を
適用し,次いで二次微分操作を行い、加速度脈波を得た。
血管年齢指標値の算出は、以下の方法で行った[3]。加速
度脈波の変曲点における振幅値 Va,Vb,Vc,Vd,Ve を以下
の式から血管年齢の推定指標値(AI)を算出した。
AI= (Vb - Vc - Vd - Ve)/ Va
(1)
次いで以下の式から推定血管年齢を算出した。
血管年齢(男性)=43.47×AI+65.86
血管年齢(女性)=41.67×AI+61.75
(2)
(3)
3.実験結果と考察
計測信号から得られた加速度脈波、およびそれから得
られた推定血管年齢指標値(AI)と推定血管年齢値を図
2 に示す。
データの計測および解析を行い,推定血管年齢を算出
するにあたって生じた問題と,考えられる解決策を以下
に示す.
(1) 血管年齢の推定が不可能なほど微弱な脈波しか検
出できない被験者もいた。これは、末梢血管の血流
が少ないことが原因として考えられる。
(2) 被験者によって脈波の形に違いがあり、また同じ被
験者でも日によって加速度脈波の形に変動がある
ことが分かった。また,同じ被験者から同一の計測
で得られたデータから、図 2 に示すように脈波の波
形ごとに大きく異なる血管年齢指標が推定される
場合があった。このことから、利用できる加速度脈
波を全て血管年齢へ変換し、それらの平均を血管年
齢指標とするなどの方法をとる必要があると思わ
れる。
(3) 指標算出の指標となる 5 箇所の変曲点が加速度脈
波に明瞭に認められない場合があった。このような
場合、加速度脈波信号に周波数フィルタを適用する
ことで,推定の信頼性が向上する可能性がある。
図 1 製作した脈波測定装置の回路図
図 2 実験で得られた加速度脈波と、算出された血管年
齢指標値および推定血管年齢
本手法を用いて商品化されている血管年齢測定装置
で、これらの問題をどのように解決しているかも、これ
らの問題を解決する一助となると思われる。
4.まとめ
脈波を光学計測する回路を制作し、それを用いて指尖
容積脈波を検出した。また、指尖容積脈波を二次微分す
ることで被験者の血管年齢指標を推定した。
測定日や同一計測中の時間変動によって算出される
血管年齢の推定指標値に変動があること、信号の S/N 比
によって結果が大きく異なることなどの問題点が生じ
た。信号処理によりこれらの問題を解決する方法を定性
的,定量的に検討するのが今後の課題である。
謝辞
本研究に関してご教示を賜りました、東北大学大学院
情報科学研究科 片山 統裕 准教授に感謝いたします。
参考文献
[1] 佐野裕司、片岡幸雄、生山匡、和田光明、今野廣隆、
川村協平、渡辺剛、西田明子、小山内博:加速度脈
波による血液循環の評価とその応用,労働科学 61 巻
3 号 pp129-143.1985.
[2] フクダ電子ウェブサイト:医療サポート情報
http://was.fukuda.co.jp/medical/support/
blood_vessel/outline.html
[3] 小児科 西田医院ウェブサイト:動脈硬化
http://www.nishidaiin.com/ptg.htm
近赤外線分光法による前頭前野脳血流計測の応用に関する研究
0911112 大友 秀則
2.実験方法
椅子に着席した 9 名の被験者に対して,1 回の測定あ
たり 120 秒間の前頭前野血流計測実験を行った.時刻 0
~60 秒と 75~120 秒で安静状態を保ち,時刻 60~75
秒で課題を行った.
課題の内容は右手の把持動作を繰り返すもの(運動実
行課題)と,その動作を頭の中でイメージするもの(運
動イメージ課題)の 2 種類とした.
本実験では被験者ごとにこの測定を 10 試行ずつ行い,
求められたデータを試行間平均した加算平均波形から,
課題による応答の違いを評価した. また同じ課題を続
けた場合の脳血流の変化を求めるため,1 名の被験者に
対し,この実験を 23 日間行い,その応答変化の経過を
評価した.
3.実験結果
3.1
実行課題とイメージ課題による応答の違い
本実験の結果,運動実行課題では,すべての被験者が
安静状態よりも脳血流が増加するという結果になった.
一方,運動イメージ課題で脳血流が安静時より増加し
たのは 9 名中 2 名だった.他 7 名の内訳は,運動イメー
ジ時に安静時と比べ,動作時わずかに脳血流が増加した
被験者が 2 名,全く変化が認められなかった被験者が 3
名,脳血流が減少した被験者が 2 名であった.
3.2 運動イメージ課題に対する応答の訓練による変化
健常者にとって日常動作とは言い難い運動イメージ
を繰り返し行った際の脳活動の変化を観測するために,
運動イメージ課題で脳血流の変化がなかった 1 名の被
験者に対して,同じ実験を 23 日間毎日実施した.
図 1 に,測定初日と実験開始から 21 日目の運動実行
課題と運動イメージ課題における応答の違いを示す.初
日の測定(図左)から 13 日目までは動作イメージに対
する応答に変化は認められなかった.実験開始から 14
日目に,動作イメージ時に脳血流の増加した.しかし,
その後は脳血流の増加が再び認められなくなったので
実験を継続した.実験開始から 21 日目に再度脳血流の
増加が観測された(図右).それ以降の計測でも同様
0.1
0.1
0.08
0.08
0.06
0.06
0.04
0.04
Total H b[m M *m m ]
1.はじめに
近赤外線分光法(near-infrared spectroscopy:NIRS)
とは測定対象に近赤外線を照射し、近赤外線が吸収され
た度合いの変化によって脳血流変化を算出する方法で
ある.
本研究では近赤外線分光法を用いた 2 チャネル簡易
脳血流計測装置 HOT121((株)日立製作所)の応用の
ひとつとして,被験者が体を動かしている時と,それを
イメージした時の前頭前野の右脳・左脳領域における総
ヘモグロビン量の変化を本装置で計測し,実際に体を動
かした場合と動作をイメージした場合の応答の違いに
ついて検討した.
Total H b[m M *m m ]
加納研究室
0.02
0
0.02
0
-0.02
-0.02
-0.04
-0.04
-0.06
-0.06
50
60
Time [s]
75 80
50
60
Time [s]
75 80
図 1 運動イメージ課題に対する応答の訓練による変化.左:
実験初日の測定結果 右:実験開始から 21 日目の測定結果.
細線は動作課題時の,平太線はイメージ課題時の加算平均波
形,点線はそれぞれの標準偏差を示す.また 60 秒と 75 秒の
点線は,それぞれ課題開始と終了の時刻を示す.
に動作イメージ時の脳血流の増加が認められたので,
実験を終了した.
本図を見ると,初日の測定(図左)では運動実行課
題時の脳血流(細線)に比べ,運動イメージ課題時の
脳血流(太線)の時間変化が認められないが,21 日
目のデータ(図右)では,運動実行およびイメージ時
の脳血流がほぼ同レベル,かつ時間変化も同様となっ
た.この現象がどのような脳内機序で生じたのかは不
明であるが,これは運動イメージ課題の訓練の実施に
伴う,何らかの学習が成立したことによる結果かもし
れない.
4.まとめ
近赤外線分光法による前頭前野の脳血流計測の応
用事例として,手を握る動作とそれをイメージした際
の脳血流変化の計測実験を行った.また,運動イメー
ジ課題の訓練を行った際の脳活動の変化を観察した
結果,訓練前には運動イメージに対して応答が認めら
れなかった被験者でも,脳血流が変化するようになる
場合があった.
今後は,本実験で観測された脳活動の発現機序を検
討するとともに,訓練によって生じる脳活動変化をよ
り詳細に観察する必要がある.
謝辞
本実験の実施に際しご協力を賜りました、東北大学加
齢医学研究所 川島隆太教授、
(株)日立製作所に深く感
謝いたします.
生体信号の時間―周波数解析に関する研究
加納研究室
0911220 後藤 俊彦
1.はじめに
人体から発生している生体信号は被験者の心理的・身
体的状態や周囲の状況によって刻々と変化していく。そ
れを計測して何らかの形で利用する場合、その信号に含
まれる周波数成分の時間変化を観察することが有効で
ある.
本研究では,計測した脳波の時間―周波数解析を行う
ためのプログラムを作成した.
2.作成したプログラムの概要
作成したプログラムの概要を以下に述べる. 本プロ
グラムは Microsoft Windows XP Professional SP3 で動
作する MATLAB 2011a(Mathworks 社)上で作成した.
(1) 計測した 1 チャネルの脳波データに対して,中心周
波数を中心とした狭帯域の帯域通過フィルタ(2 次
バタワース型ゼロ位相ディジタルフィルタ)を適用
する.
(2) フィルタ適用後のデータを二乗し,前後 101 サンプ
ルの単純移動平均を適用することで,信号パワーの
包絡線に相当する時系列信号を算出する.
(3) 中心周波数を一定の間隔でずらして(1)と(2)の計
算を繰り返すことで,各中心周波数における帯域強
度の時間変化を算出する.
(4) (3)の結果を横軸・時間,縦軸・中心周波数で色調
表示する.
3.脳波データへの処理プログラムの適用
ヒトの閉眼時に後頭部から誘導されるα波(7~13 Hz)
を計測する実験を実施し,作成したプログラムを用いて
得られたデータを時間-周波数解析した.
3.1 脳波計測
防音機能を有した簡易磁気シールドルーム内に着座し
た被験者 1 名に対して計測を行った.計測時間を 90 s と
し,時刻 30~60 s に閉眼,その他の時刻では開眼するこ
とを求めた.国際 10-20 法における電極位置 Oz および
Pz から脳波を単極誘導し,サンプリング周波数 1000 Hz
で PC に収録した.
3.2 時間―周波数解析
電極位置 Oz から誘導した脳波信号と,作成したプロ
グラムによりその信号に対して時間-周波数解析を行っ
図 1.計測した脳波信号(上)と,それに対する時間-
周波数解析の結果(下).電極位置 Oz.
た結果を図 1 に示す.
本図における時間-周波数解析の結果(下)から,閉
眼した図2の下段を見ると目を閉じている 30~60s,特
に閉眼開始後の 30~40 s の時間帯で,開眼時に比べて
10Hz 付近の帯域強度が増加していることがわかる.こ
れは測対象となった脳波信(上)からも,振幅の変化の
大まかな違いとして視覚的に観測できる.この応答は,
閉眼に伴い生じる後頭部由来のα波であると推測され,
この解析結果は妥当なものであることが示唆される.
4.まとめ
今回本研究では,脳波を時間-周波数解析するプログ
ラムを作成し,実際に計測した脳波信号に適用してその
結果を評価した.より多くの脳波信号に対して本プログ
ラムを適用して,解析に供することが今後の課題である.
容量性電極による心電図簡易計測法に関する検討
0911130 佐藤
1.はじめに
心電図(Electrocardiogram;ECG)とは胸部から計測
される電気的な信号であり、心臓の活動の様子を観察す
るのに有効である。心電図を計測することによって心疾
患の発見や医療現場での診断、治療に活用され、身体の
異常を感知することに役立っている。
本研究では非接触、非拘束で、被計測者に意識をさせ
ることなく心電図を検知するため、椅子の背もたれ部に
容量性電極を設置し、着座した被計測者の心電図を計測
するための検討を行った。
2.計測系の構成と性能評価
本来心電図を計測するには表皮上に Ag/AgCl 電極な
どを直接貼付するが、本実験ではアルミニウム(Al)板を
非接触による容量性電極として使用した。厚さ 0.06mm
のアルミニウム板 2 枚(サイズ 10×10 ㎝)にリード線
を接続し信号電極とした。また接地電極(サイズ 10×
25 ㎝)も同様に作成した。信号電極は、椅子の背もた
れ部に、接地電極は座面に設置した。
衣類を着た状態の被験者に電極を設置した椅子に安
静に着座させ、2 枚の信号電極間の電位差を双極誘導に
より 60 秒間計測した。衣類は各条件で同じものを使用
した。計測された信号は、AD 変換器を搭載した PC で収
録し、ノッチフィルタ(50Hz)および帯域通過フィルタ
(10~30Hz、2 次バタワースフィルタ)を適用すること
で、心電図成分を抽出した。計測を行う際ディスポーサ
ブル電極を胸部の体表面に貼付して三点誘導法の第Ⅱ
誘導を用い同時に計測し、容量性電極から得られた信号
と比較した。被験者の左脇の腹部に+電極、胸の上部中
央に-電極を取り付け、接地電極は椅子に設置した。
本システムで計測した結果の例を図1に示す。本図よ
り、計測された信号(上)にはハム雑音が過剰に重畳し
ているが、上記のフィルタを適用後の信号(中)は、別
途計測した心電図(下)とよく符合していることがわか
る。
3.電極の大きさおよび位置の検討
信号電極のサイズを、2で用いた 10×10 ㎝の他に 5
×10 ㎝、5×14 ㎝、5×18 ㎝、5×5 ㎝のものを別途作
成し、大きさや電極配置およびその位置の違いによる計
測信号の違いを評価した。
まず電極の大きさによる違いを検討するため 10×
10cm、5×18cm、5×14cm、5×10cm、5×5cm の 5
通りを座面から高さ 20cm の位置に、電極と電極の間隔
を 1cm 開け平行に設置した。ついで、電極間の間隔 1cm、
5cm、10cm の間隔を開け検討を行い、その後電極の高
さによる違いを検討した。高さは 20cm、25cm、30cm
とした場合の計測信号を比較検討した。また電極を横方
向に 2 個配置するのではなく縦方向に配置した場合の
検討も行った。電極の大きさは 10×10cm、5×10cm、
5×5cm の 3 通りとした。
拓弥
1
Measured
0.5
0
-0.5
Amp. [mV]
加納研究室
0.2
Filtered
0
-0.2
0.2
Conventional ECG
0
-0.2
1
1.5
2
2.5
3
図 1 計測信号と処理後の信号の一例。計測されたデータ
(上)、計測データにフィルタを適用後のデータ(中)、湿
式電極を用いて三点誘導法により同時計測した心電図(下)
計測にフィルタを適用した後に波形を観察したとこ
ろ,電極の大きさは 10×10cm、5×10cm、5×14cm、
5×5cm のとき R 波と T 波のみが観察され、P 波、R 波
T 波が観察されたのは大きさが 10×10cm、5×10cm の
場合のみであった。大きさが 5×18cm の場合は縦に長
すぎたためか波形が乱れ雑音の重畳が過剰であった。電
極間の間隔では 1cm,5cm,
10cm の順で、
高さでは 20cm,
25cm,30cm の順で心電図を安定して計測することがで
きた。
電極を縦に垂直に設置した場合では、すべての条件で
明瞭に検出されることができなかった。
4.まとめと考察
電極のサイズを 10×10 ㎝とし、座面からの高さ 20 ㎝
に幅 1 ㎝で横に配置した場合に、最も品質の高い信号が
計測できた。
今実験では様々なノイズが問題となった。電極が大き
いほどハムノイズの影響を受けやすいが心電図は測定
し易かった。逆に電極が小さいとハムノイズは混入しに
くいが測定し難いことが分かった。オシロスコープを観
測時に混入度が違ったためである。
椅子の近くをヒトが歩行した場合や、被験者の筋肉の
収縮や姿勢の変化によっても波形に雑音が重畳した。
実用化するにあたり今後はこのような雑音の低減方
法を検討する必要がある。
参考文献
[1] 丸山敏弘・塩澤成弘・牧川方昭:非接地容量結合型
電極による心電図計測、生体医工学, 44, 1,
pp.177-183(2006)
生体電気信号テレメトリシステムの基本設計に関する研究
加納研究室
0911234 菅原 望
0911211
大沼駿平
1. 序論
被験者から生体電気信号を計測し、解析することによ
り、被験者の生理的・心理的指標を得ることができる。
本研究では、携帯可能な生体電気信号のテレメトリシス
テムの開発をめざし、部分回路の設計と評価を行った。
2. 設計装置の概要と設計
本装置は微小信号増幅部と、信号送受信部(AD 変換、
無線伝送)から構成される。
微小信号増幅部の回路には、低雑音計装増幅器
AD-8221(Analog Devices 社)を用いた。エイリアシ
ングを防ぐため、AD 変換回路の前段にアンチエイリア
シングフィルタを、また増幅回路の出力(-4.5~4.5V)
と後段の AD 変換回路の入力(0~3.3V)を整合させる
ため、両者の間に加算回路と分圧回路を付加する必要が
あったため、回路に実装した。
AD 変換部および Bluetooth 送信部は、PSoC 評価ボ
ード PSoC3 First Touch Kit(Cypress 社)上に実装し
た。PSoC 評価ボードに実装されている AD 変換部、非
同期通信部(UART)を用い、後段に Bluetooth アダプ
タ RBT-001(Robotech srl 社)を接続した。
無線送信された信号は、Bluetooth モジュールを有す
る PC によって受信され、PC 上のアプリケーションで
収録、表示および解析を行った。PC 側のプログラムは
MATLAB(Mathworks 社)上で開発した。
3. 製作装置の評価
微小信号増幅部および PSoC 評価ボードの動作特性
を評価した。
微小信号増幅部の増幅回路の差動利得の周波数特性を
評価した。その結果を図 1 に示す。本結果から、増幅率
を約 1000 倍とした際の周波数の上限が仕様通り 1 kHz
弱であることが確認された。
AD 変換されたデータを正常に Bluetooth 送信できる
条件を調べた。現状では標本化周波数 250 Hz で得られ
た 1 チャネルのデータを、3000 点(12 秒)バッファリ
ングして一括送信することが可能である。しかし、バッ
ファに格納されたデータの一括送信は AD 変換と並列し
て行われないアルゴリズムでプログラミングを行ったた
め、長時間連続してデータ計測を行う場合にはデータの
欠落が生じてしまうという問題点が生じた。その結果、
短時間の計測は可能であるが、長時間の連続計測は現状
では難しい。
PSoC 評価ボードに実装された UART の通信速度と
RBT-001 の通信速度を上げることでデータ欠落なく連
続計測を可能とする。また、PWM パルスを利用して割
り込みを行うことでデータ送信と AD 変換を並列で行
えるようにし、データ欠落なく長時間の連続計測を可能
とするプログラムを作成する予定である。
図 1 微小信号増幅回路の差動利得の周波数特性
図 2 テレメトリ計測された筋電図の例。受信後、PC 側で遮
断周波数 60Hz の広域通過フィルタ(2 次バタワース、ゼロ位
相フィルタ)を適用した。
4. 生体電気信号のテレメトリ計測
筋電図を増幅、AD 変換し、PC に無線伝送する実験を
行った。その結果を図 2 に示す。本結果は、左手掌の運
動時の筋電図である。安静状態と把持運動を比較すると、
把持運動時に筋電図が観測され、この信号が無線によっ
て PC に伝送されたことが確認された。
5. まとめ
微小信号増幅器と PSoC ボードを組み合わせ、増幅さ
れた計測データを外部へ信号送信するテレメトリ装置
の基本設計を行った。アンチエイリアシングフィルタな
どの周辺回路の作成が今度の課題である。また PSoC 側
では、データを逐次計測・送信する際に生じるデータの
欠落を防ぐため、割り込み処理によるプログラミングな
どの対策が課題である。
参考文献
[1]古平晃洋:シリーズ最強!PSoC3 ボード+デバッ
グ・ボード、CQ 出版社(2012)
[2]小林一行 鈴木郁:これならわかる!PSoC マイコン
活用術、オーム社(2009)
Mo 薄膜/Si 基板を用いた四角い断面を持つ MoO2 ナノチューブの形成
―形成時間変化によるナノチューブのモフォロジー―
阿部研究室
0911218 菊地弘晃 0911216 加藤広昭 0911150 平田瞭
1.はじめに 我々は不活性ガスカーテン燃焼炎による四角い断面を持
つ二酸化モリブデン(MoO2)ナノチューブ(以下角型 MoO2 ナノチュー
ブ)の形成法を提案し報告してきた 1 , 2)。
今回、
不活性ガスにアルゴン(Ar)
を用い、形成時間変化による角型 MoO2 ナノチューブの形成実験を行っ
た。その結果、形成時間により異なったモフォロジーの角型 MoO2 ナノ
チューブが形成された。本報告では、得られた角型 MoO2 ナノチューブ
を走査型電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散形X線分光器(EDS)及び X
線回折により評価した結果について述べる。
2.実験方法 図1に不活性ガスカーテン燃焼炎による角型MoO2 ナノチ
ューブ形成装置の概略を示す。酸素(O2)-アセチレン(C2H2)の流量比
(O2/C2H2)1.756 の燃焼炎を、不活性ガスカーテン(Ar ガス 0.70ℓ/min)
により包み込みながら、基板に対して垂直下向きに照射した。モリブデ
ン(Mo)板は、MoO2 ソースとして用い、さらに Mo 板と Si スペーサの
空間に Mo 薄膜/Si 基板(Si 基板上にスパッタリングによりMo 薄膜を堆
積したもの)を設置した。基板温度は、基板裏側のアルメルクロメル熱
電対で測定し、基板ホルダーを水冷することによって 500℃~600℃に
調整した。Mo ソース板の温度は電子式光高温計で測定した。また、そ
れぞれのガス流量はマスフローコントローラによって制御した。尚、角
型 MoO2 ナノチューブの形成時間は 1min~5min の間で行った。
3.実験結果と検討 図 2 の SEM 像は、不活性ガスカーテン(Ar ガス
0.70ℓ/min)燃焼炎による形成時間が 2min の角型 MoO2 ナノチューブを
示す。SEM 像から 0.7μm~1.8μm 口径の角型ナノチューブが均一か
つ高密度で形成していることが分かる。同図の右上には 1000 倍に拡大
した SEM 像を示す。
図 3 の SEM 像は、
形成時間が 5min の角型 MoO2
ナノチューブを示す。図 2 の SEM 像(形成時間 2min)との比較から、
角型 MoO2 ナノチューブの口径が 0.8μm~4μm と大きくなり、高密
度で形成することが分かった。
同図の右上には1000 倍に拡大したSEM
像を示す。得られた角型 MoO2 ナノチューブを X 線回析により評価し
た結果 ASTM(American Society for Testing Materials)-データ表に一
致するところの MoO2 に関する種々の回折ピークが得られた。
図 1 不活性ガスカーテン燃焼炎による角型 MoO2
ナノチューブ形成装置の概略図
B
A
図 2 不活性ガス(Ar ガス 0.70ℓ/min)
カーテン燃焼炎法による形成時間 2min
の角型 MoO2 ナノチューブの SEM 像
(A : 400 倍 , B: 1000 倍)
B
A
4.まとめ 本研究では、角型 MoO2 ナノチューブの形成時間変化によ
るモフォロジーの観察を行った。その結果、形成時間が長い程、角型
MoO2 ナノチューブは口径が大きくかつ高密度に形成することが分か
った。
参考文献
1) M.Suemitsu and T.Abe et. al : J. J. Appl. Exp., 44 (2005) L449-450.
2) 阿部俊三 他:平成24年度電気学会全国大会、広島工業大学、2012.3.22
阿部研究室 E-mail:[email protected]
図 3 不活性ガス(Ar ガス 0.70ℓ/min)
カーテン燃焼炎法による形成時間 5min
の角型 MoO2 ナノチューブの SEM 像
(A : 400 倍 , B: 1000 倍)
種々のスパッタ膜基板を用いたダイヤモンド成長のその場モニター法
阿部研究室 0911231 佐藤裕人、0911232 佐藤学、0911157 麦沢尚人
1.はじめに 我々は今回、種々のスパッタリング膜(Mo,W,SiC) を Si 基板上に成膜し、さらに、その薄膜上にダイヤモンドペーストを
塗布したものを基板として用いた。本研究では、ダイヤモンドペーストを塗布していない基板(スパッタ薄膜生成基板)上に成長実験も試
みた。また、不活性ガスカーテン燃焼炎法によるダイヤモンド薄膜形成をリアルタイムモニターするために、燃焼炎電流法を用いてダ
イヤモンド成長中の炎電流(以下基板電流)を測定した。その結果、ダイヤモンド成長過程をその場モニターできることが分かった。
2.実験方法 図 1に、不活性ガスカーテン燃焼炎によるダイヤモ
ンド薄膜の成長法と基板電流測定の概略を示す。マイクロトー
チの外部に不活性ガスを流し、アセチレン酸素の燃焼炎を包み
込むようにして外炎の発生を抑制した。燃焼炎は垂直下向きに
照射し、それぞれのガスの流量は、マスフローコントローラを
用いて制御した。本研究では、流量比(O2/C2 H2)を 1.819 に固定
して堆積を行った。基板は,3 種のスパッタ膜(Mo,W,SiC)基板
図 1.不活性ガスカーテン燃焼炎によるダイヤモンド薄膜成長法と基
上にダイヤモンドペーストを塗布し大気中で焼結処理(300℃)
板電流測定の概略図
した。これを熱伝導の良い銅製基板ホルダーに固定した。基板
温度は基板裏側に取り付けた白金-白金・ロジウム(13Rh‐
Pt/Pt)熱電対あるいは電子式光高温計で測定し、さらにホルダ
ーを水冷にすることで約 700~800℃に調整した。形成したダイ
ヤモンド薄膜は走査型電子顕微鏡(SEM)、ラマン分光分析によっ
て評価した。さらに本実験においては、ダイヤモンドペースト
を塗布していないスパッタ膜/Si 基板上にダイヤモンド成長を
試みた。
3.実験結果 図2 は、ダイヤモンドペーストを塗布した Mo膜/Si
基板から得られたダイヤモンド薄膜の SEM 像である。図から、
図 2.成長したダイヤモンド薄膜
ダイヤモンド薄膜が均一かつ大面積に堆積していることが分か
(Mo)の SEM像
図 3.ダイヤモンド(Mo)表面形態
る。Si 基板表面を炭化ケイ素(SiC)で研磨しただけの基板を用
いて成長させた場合と比べ、成長速度が速くなることが分かっ
た。図 3 に炎電流を増大させた場合のダイヤモンド表面形態を
示すが、ダイヤモンドの面方位{100}上のみに二次核成長がみら
れた。
図4は、ダイヤモンド薄膜(Mo)のラマン分光分析結果を示す。
ラマンスペクトルには、半値幅の狭いダイヤモンド特有の鋭い
ピークがみられる。天然ダイヤモンド特有のラマン線(1333cm-1)
と比較した結果、
半値幅が狭いラマン線(1333cm-1)が得られたこ
図 4.ダイヤモンド薄膜(Mo)のラマン分光分析
とから結晶性の高い高品質ダイヤモンド粒子であることが分か
った。
参考文献
4.まとめ 今回、ダイヤモンド成長過程時の基板電流を測定する
1)T.Abe,M.Suemitsu et.al.
,A.P.L.
,Vol.59,No.8,1991,pp.911-913.
ことで、ダイヤモンド薄膜成長その場モニターができることが
2)T.Abe,M.Suemitsu et.al.
,J.C.GROWTH.Vol.143.
,1994,pp.206-212.
わかった。ダイヤモンド薄膜成長期には基板電流が飽和するが、
3)T.Abe,M.Suemitsu et.al.
,J.C.GROWTH.Vol.183.
,1998,pp.183-189.
この飽和状態をモニターしながらXYステージを移動させるこ
連絡先
とによって、基板全面にダイヤモンドを成長することができた。
東北工業大学 工学部 知能エレクトロニクス学科 阿部俊三
得られたダイヤモンド薄膜をラマン分光分析で測定した結果、
〒982-8577 仙台市太白区八木山香澄町 35-1
結晶性の高い高品質ダイヤモンド粒子であることが分かった。
TEL:022-305-3213 E-Mail : toabe@tohtech.ac.jp
Mo 薄膜/Si 基板を用いた角型 MoO2 ナノチューブの形成
阿部研究室
-Ar・He 混合ガスカーテンによる形成-
0911114 岡崎諒 0911150 平田瞭 0911218 菊地弘晃
1.はじめに
我々は、不活性ガスカーテン燃焼炎法による、四角い断面を持つ二酸化モ
リブデン(MoO2)ナノチューブ(以下角型MoO2ナノチューブ)の成長法を提案
し報告してきた1-3)。今回、アルゴン(Ar) ・ヘリウム(He)混合ガスカーテン
の流量変化による角型 MoO2 ナノチューブの成長と、ヘリウム(He)ガスカー
テンのみによる角型 MoO2 ナノチューブの成長実験を行った。
本稿では、得られた角型 MoO2 ナノチューブの SEM によるモフォロジー
の観察と、エネルギー分散型 X 線分光器(EDS)、ラマン分光分析の評価につ
いて報告する。
2.実験方法
図1に不活性ガスカーテン燃焼炎法による角型MoO2 ナノチューブ成長装
置の概略図を示す。不活性ガスカーテンには、Ar・He の混合ガスを用いた。
酸素(O2)-アセチレン(C2H2)燃焼炎の流量比(O2 /C2H2)は 1.756 とし、
基板に
対して垂直下向きに照射した。モリブデン(Mo)板は、MoO2 ソースとして用
い、更に、Mo 板と Si スペーサの空間に Mo 薄膜/Si 基板を設置した。基板
温度の測定は、基板裏側に取り付けたアルメルクロメル熱電対で測定し、
Mo ソース板の温度は電子式光高温計で測定した。基板温度は 550℃~650℃
である。不活性ガスの流量は Ar が 0.18~0.70ℓ/min、He ガスが 0.10 ~
0.20ℓ/min である。それぞれのガス流量は、マスフローコントローラー に
よって制御した。
3.実験結果と検討
図 2 の SEM 像は O2-C2H2 の燃焼炎を、不活性ガスカーテン(Ar ガス
0.70ℓ/min, He ガス 0.10ℓ/min)で包み込み(大気からの酸素混入を阻止)、外
炎発生を抑制し形成した角型 MoO2 ナノチューブを示す。この SEM 像から
形成した角型 MoO2 ナノチューブの口径は 0.2~3μm であることが分かる。
一方、He ガス 0.10ℓ/min の不活性ガスカーテンで形成された角型 MoO2 ナ
ノチューブは SEM 像(図 3)から分かるように、断面口径が約 1~5μmm
であることがわかる。また、図 2 と図 3 を比較すると、Ar ガスの流量が多
い場合(図 2)
、断面口径の小さい角型 MoO2 ナノチューブが形成すること
がわかる。XRD により角型 MoO2 ナノチューブの回析を行った結果、回折
ピークは、ASTM-5-452 カードに示すところの格子面間隔と一致したことか
ら、半導体特性を示す MoO2 であることが分かった。
4.まとめ
今回の研究では、Ar,・He 混合ガスカーテンおよび He ガスカーテンを用
いた角型 MoO2 ナノチューブの成長を試みた。その結果、Ar ガス流量の減
尐に伴い基板温度が上昇することがわかった。また、He ガスカーテンのみ
で形成した場合も同様に温度が上昇し、得られた角型 MoO2 ナノチューブの
断面口径が大きく形成した。
参考文献
1) M..Suemitsu and T.Abe et.al:J.J.Appl..Exp..
,44 (2005) L449-L450.
2)柿澤智史 他:平成 23 年度電気関係学会東北支部大会、東北学院大学、2011.8.25
3)阿部俊三 他:平成 24 年度電気学会全国大会、広島工業大学、2012.3.22
図 1 不活性ガスカーテン燃焼炎法による
角型 MoO2 ナノチューブ成長装置の概略図
図 2 Ar ガス 0.70ℓ/min, He ガス 0.10ℓ/min
のガスカーテンによって成長した角型 MoO2
ナノチューブの SEM 像
図3 He ガス0.10ℓ/min のガスカーテンによ
って成長した角型 MoO2 ナノチューブの
SEM 像
スパッタリングによって形成した透明導電膜のArおよびO2 ガス雰囲気中における熱処理効果
阿部研究室 0911225 今野諒平 0911226 斉藤大生 0911224 今野敬太 0911116 片方豪人
[はじめに]
はじめに]
透明導電膜は、近年、液晶テレビ、ノートパソコン、携帯電話のディスプレイ部分の透明電極として実用化
されている。現在、透明導電膜として使われている酸化インジウム(ITO)は希少で高価なことから、価格的に
安価な酸化亜鉛(ZnO)などが透明導電膜材料として、実用化されている。今回、マグネトロンスパッタリング
法によって種々の焼結体をターゲットとして用い透明導電膜を作製し、それぞれの抵抗率、膜厚、透過率を調
べ、比較検討した。
[実験方法]
本研究では、各透明膜の生成にマグネトロンスパッタ装置を用いた。スパッタリングターゲットには、直径
60mm、厚さ 5mm の ITO、ZnO、SnO2、TiO2 焼結体を使用した。基板材料として耐熱性を有すバイコール
ガラス(40×40×2mm)を用いた。スパッタリング条件は供給電力 60W、Ar ガス圧は 6×10-2Torr である。ま
た、基板温度は室温で堆積時間は 30 分と 60 分で行った。基板とターゲット間の距離は 50mm である。さら
に、その 4 種類の透明膜を生成した基板は電気炉の石英ガラス管内中心部に設置した。それぞれの基板は酸素
ガスの流量を 9.6cc/min 一定にし、スパッタ時間 30 分で形成した基板は加熱温度 300℃で 60 分間の熱処理を
行い、またスパッタ時間 60 分で形成した基板は加熱温度 200℃で 60 分間の熱処理を行った。抵抗率は四探針
法を用いて測定した。
[実験結果]
透明導電膜(ITO、ZnO、SnO2)の抵抗率の比較から、酸素雰囲気中で熱処理した膜と、窒素雰囲気中で熱処
理した膜とでは、抵抗率の値に違いが見られた。さらに、スパッタ時間 30 分の透明膜を酸素雰囲気だけで再
加熱したところ、ITO、ZnO、SnO2 のすべての膜で低抵抗率の値を示した。しかし、透過率では、ITO のみ
が若干減少したが、他の膜では改善した。膜厚に関しては、酸素雰囲気中で 60 分、および 30 分で再加熱した
場合、わずかではあるが膜厚が増加した。この膜厚増加は酸素によって酸化が促進されたためと考えられる。
また、酸素雰囲気中と窒素雰囲気中での抵抗率の比較を表 1、表 2 に、分光光度計で測定した透過率のスペク
トルを図 1、図 2 に示す。
表 1 酸素雰囲気中で熱処理した場合の抵抗率
(熱処理温度 200℃、熱処理時間 60 分)
表 2 窒素雰囲気中で熱処理した場合の抵抗率
(熱処理温度 300℃、熱処理時間 60 分)
-4
試料
ITO
SnO2
ZnO
膜の抵抗率(10 Ω・cm)
熱処理前
熱処理後
88.56
13.83
23.32
9.898
29.33
18.33
T[%]
試料
ITO
SnO2
ZnO
膜の抵抗率(10-4・cm)
熱処理前
熱処理後
46.57
1.263
14.89
3.996
8.86
2.362
T[%]
Wavelength
[nm]
図 1 酸素雰囲気中の透過率
Wavelength
[nm]
図 2 窒素雰囲気中の透過率
[検討考察]
検討考察]
実験結果から、300℃で熱処理した場合は処理しないものと比べ(表-1、表-2)、低抵抗率を示す傾向が見られ
た。これは、熱処理した場合、より結晶性が向上するためと考えられる。酸素および、窒素雰囲気中で熱処理
した場合、共に低抵抗率の値を示した。また、透過率の比較で、酸素雰囲気中で熱処理した場合は、窒素雰囲
気中と比べわずかではあるが改善された。しかし、TiO2 に関しては、絶縁体に近く、抵抗率の測定はできな
かった。SnO2 の透過率測定では紫外領域において、酸素雰囲気中で熱処理した場合、紫外線の透過が顕著で
あった。今後、TiO2 ターゲットの Nb 含有量を増加させた実験を試み、TiO2 透明膜の低抵抗率化をはかりた
いと思っている。
不活性ガスカーテン燃焼炎を用いた角型 WO2 ナノチューブの形成
阿部研究室 0911150 平田瞭 0911218 菊地弘晃 071104 阿部裕介 0811240 志賀野慧
1.はじめに
我々は、これまでに不活性ガスカーテン燃焼炎法による四角い断面を持つ
二酸化モリブデン(Mo)ナノチューブ(以下角形チューブ)の研究を行い、その
結晶構造や電気的特性を評価し報告してきた 2)。
本稿では、角形 MoO2 ナノチューブ生成条件を基に角型二酸化タングステ
ン(WO2)ナノチューブ(以下角形 WO2 ナノチューブ)の生成を試みた。その結
果、最適な生成条件を見いだすことにより、角形 WO2 ナノチューブの生成
に成功したので報告する。
角形 WO2 ナノチューブの評価にはモフォロジー観察を走査型電子顕微鏡
(SEM)により行い、成分分析はエネルギー分散型 X 線分析器(EDS) を使用
した。また、結晶構造については X 線回折(XRD)を用いた。
2.実験方法
図 1 に角型 WO2 ナノチューブ形成に用いた燃焼炎装置の概略図を示す。
不活性ガスカーテンには、Ar ガスを用いた。酸素(O2)-アセチレン(C2H2)
燃焼炎の流量比(O2 /C2H2)は 1.756 とし、WO2 ソース板に対して垂直下向き
に照射した。タングステン(W)板は WO2 ソースとして用い、Si 基板は WO2
ソース板と Si スペーサー(0.6mm)の間に約 1mm 程度の空隙を施し、
その空
隙内に設置した。基板温度の測定は、基板裏側に取り付けたアルメルクロメ
ル熱電対で測定し、WO2 ソース板の温度は電子式光高温計で測定した。基
板温度は 500℃~600℃である。それぞれのガス流量は、マスフローコントロ
ーラーによって制御した。尚、角型 WO2 ナノチューブの成長時間は 30sec
~5min の間で変化させた。
3.実験結果と検討
図 2 に Si 基板上に C2H2 ガス 0.248L/min,O2 ガス 0.428L/min, Ar ガス
0.700L/min の条件の下、成長時間 1min で成長した角形 WO2 ナノチューブ
の SEM 像を示す。図 2 から断面口径 0.1μm~5μm の長さ約 20μm の角
形 WO2 ナノチューブが高密度で成長していることが分かる。図 3 はその拡
大図である。この SEM 像から断面口径 2.5μm×2μm の角形 WO2 ナノチ
ューブが成長していることがわかる。
図 4 は角形 WO2 ナノチューブの X 線回折スペクトルを示す。この X 線回
折結果を ASTM(American Society for Testing Materials )データ表 5-441
と比較したところ WO2 であることが分かった。
4.まとめ
今回、W 板を WO2 ソース板に用い角形ナノチューブの成長実験を行った
ところ、成長時間 1min という短時間で WO2 角形ナノチューブを得ること
ができた。また得られた角形ナノチューブは ASTM データと X 線回折結果
の比較から半導体特性を持つ WO2 であることが分かった。
図 1 不活性ガスカーテン燃焼炎法
図 2 角型 WO2 ナノチューブの SEM 像
(500 倍)
図 3 角型 WO2 ナノチューブの SEM 像
(4500 倍)
参考文献
1)橋本和仁監修:図解光触媒のすべて、p8~15、p110~111. 工業調査会(2004).
2)M. Suemitsu, T. Abe: Jpn.J.Appl.Phys.44.L449(2005)
3)宮崎龍平、細野浩平、飯田敏博、金澤祐一、広瀬洋一:東海大学紀要工学部,
Vol.48,No.1,2008,pp55-62.
図 4 角型 WO2 ナノチューブの
X 線回折スペクトル
新構造グラフェン/シリコン・ヘテロ接合ダイオードの開発
Development of graphene/Si hetero-junction diodes with gate
佐竹岳 今野康弘
1. はじめに
半導体集積回路には主にCMOSが用いられている。CMOSを高性能化するためには微細化が必要であるが、これ以上の
微細化するのが困難になっている。そこで、我々が注目したのがグラフェン(Graphene)である。グラフェンは炭素原子
が蜂の巣状に結び付いた理想的な二次元ナノ材料であり、キャリア移動度が200,000 cm2/Vs程度とシリコンよりも100倍以
上高いので、高速デバイスを実現する新素材として注目されている[1]。しかし、グラフェンは一般的に、半金属であるた
めトランジスタして使用する場合、ON/OFF電流比が小さいという問題があつた。そこで我々はグラフェンの高移動度、機
械的フレキシビリティを利用した新構造デバイスを考案した。新構造デバイスでは、グラフェンとシリコンのヘテロ接合
(hetero-junction)で形成し、グラフェンにゲート電極をつけることにより電気的にドーピングして、ON/OFF高電流比を実
現する。本研究では、準備段階としてグラフェン/シリコンダイオードとグラフェン上のゲート容量を作製し、電気特性を
調べたので、その結果について報告する。
SA5 20
20
10
0
0
Vf(V)
20
10
0
図3 グラフェン/シリコンヘテロ接合ダイオードのI-V特性
Jg(A/cm2)
4.0
3.0
2.0
1.0
0
-2
0
Vf(V)
2
図4 ゲート付きグラフェン/シリコンヘテロ接合
ダイオードのI-V特性
1.0
0.75
0.5
0.25
0
5. 参考文献
[1]家近 泰,Science&TechnologyTrendsMay2010 ,P.30.
-10
-20
Cp/Co
4. まとめ
新構造グラフェン/Siヘテロ接合の開発を行った。作製した試料を評価し
た結果、ダイオード動作を確認することに成功した。しかし、従来のダイ
オードと比べ電流が小さく、ON電圧が大きかったことから作製プロセス
の見直しが今後の課題として残った。
40
If(nA)
3. 結果・考察
図3にグラフェン/シリコンヘテロ接合のI-V特性を示す。SB5とSA5はグ
ラフェン/シリコンの接触面積の異なるヘテロ接合である。順方向電圧10V
前後で電流が流れ始めた。一方、逆方向に電圧-15Vを印加しても電流が流
れなかった。このことからグラフェン/シリコンヘテロ接合はダイオード特
性を持つことがわかった。作製したデバイスは、従来のショットキーダイ
オードと比較すると、ON電圧が大きく、ON電流が小さい。これはグラフェ
ン/シリコン間にドライエッチ工程で生成されたスカムが残ったためと考え
られる。
図4にグラフェン上に作製したゲート容量のJg-Vg特性を示す。ゲート電
圧Vg=3VにおけるJgがSiO2膜(tox=3.5nm)のJgに相当することから、低リ
ーク電流であることがわかった。
図5にグラフェンゲート容量のf=1MHzにおけるC-V特性を示す。Vg≦-2V
では容量はゲート電圧に関係なく一定だったが、ゲート電圧の増加と共に
空乏層が形成されたため容量が減少した。Vg≧0ではP+Si基板の不純物濃度
が高濃度なため空乏層にキャリアが注入された結果、容量が増加した。
If(pA)
2. 実験方法
図1にグラフェン/シリコンヘテロ接合ダイオード、図2にゲート付きグラフェン/シリコンヘテロ接合ダイオードのSEM像
を示す。試料作製には東北大通研のクリーンルームを利用し、
P+シリコン基板(p=1020cm-3)を熱酸化して形成したSiO2基板
SiO2
SiO2
GATE
(tox=285nm)上に転写した単層グラフェンを使用した。ダイ
Pd
Pd
オードのアノード電極として仕事関数の大きいPd/Au(30/120nm)
、カソード電極としてSi基板の裏面に蒸着したAlを用いた。ゲー
Si
ト付きダイオードのゲート絶縁膜には膜厚6nmのAl2O3を用いた。
シリコンデバイスで一般的に用いられる熱SiO2膜はグラフェンが Graphene
GAT
Al2OSi3
SiGraphene
酸素でエッチングされるためトップゲート構造には使用できな
い。そこで、我々はAl薄膜を自然酸化して作製したAl2O3をゲー
GRA
グラフェン/シリコン
ト絶縁膜として用いた。グラフェン上に電子ビーム蒸着法で形 図1
図2 ゲート付きグラフェン/シリコン
ヘテロ接合ダイオードのSEM画像 ヘテロ接合ダイオードのSEM画像
成したAl(3nm)を自然酸化する工程を二回繰り返してAl2O3形成し
80
た。ゲート電極にはPt/Au(50/100nm)を用いた。デバイスの電気特性は
30
60
SB5
Agilent4156C、E4980Aを用いて評価した。
-2
0
Vf(V)
2
図5 ゲート付きグラフェン/シリコンヘテロ接合
ダイオードのC-V特性(1MHz)
グラフェンFETの作製とその電気特性評価
Fabrication and DC measurements of graphene field-effect transistors(FETs)
内野研究室
鈴木英之 及川仁
【はじめに】
グラフェンは高キャリア移動度(室温下で200,000[cm2/V.s]以上でシリコ
ンの約100倍以上)と低雑音性能から集積回路の部材として理想的な特性
を持っている。近年グラフェンを電界効果トランジスタ(FET)のチャネ
ル部に応用したグラフェンFETの研究が盛んに行われている[1]。そこで
本研修では、バックゲートグラフェンFETを作製し、電気特性を調べた
のでその結果について報告する。
【実験方法】
1.試料の作製
まず最初にlayout editorというソフトウェアを用いてFETのマスクパター
ンを作製をした。図1に示すFETの作製工程に沿って東北大通研のクリー
ンルームでデバイスを作製した。
(a) 基板として SiO2(膜厚285nm)/P+-Si濃度(1020cm-3)上の単層グラフェ
ンを用いた。
(b) スピナーを用いてポジレジストを塗布した後、コンタクトアライナを
用いてパターンを露光した。次にアルカリ溶液で現像して島残しパ
ターンを形成した。
(c)O2プラズマを用いて、露出しているグラフェンをエッチングした後、
フォトレジストをアセトンで除去することによりグラフェンのパター
ンを形成した。
(d)リフトオフ技術を用いて、グラフェン上にPd電極を形成し、基板の裏
面にアルミ蒸着を行い、バックゲートを形成した。
図2に完成した試料の全体写真、図3にバックゲートグラフェンFETの
SEM写真を示す。
2. 試料の測定方法
グラフェンFETの電気特性はプローバと半導体パラメータアナライザー
Agilent4156cを用いて以下の条件で測定した。
Id-Vg特性 -40≦Vg≦100 V (Vd=±10mV)
Id-Vd特性
0≦Vd≦-10 V (Vg=−10 , −20 , −30 , −40 V)
【実験結果・考察】
図4にグラフェンFETのドレイン電流・ゲート電圧特性(Id-Vg特性)を
示す。Id-Vg特性がId=0に対して線対称になっていることからバック
ゲートグラフェンFETは両極性になることが分かった。さらにディ
ラ ッ ク 点 は 通 常 Vg=0 で あ る が 、 我 々 の 試 料 で は デ ィ ラ ッ ク 点 は
Vg=65VとP型特性を強く示していた。これはフェルミ準位がディラッ
ク点よりも低エネルギー側に存在し、Vg=65Vでトランジスタが動作し
たことを示している。次に電流のオン・オフ比を求めた。オン電流
Ion=1.72μA、オフ電流Ioff=0.3μAから、Ion/Ioff=5.7が得られた。シリコ
ンMOSFET(Ion/Ioff=107)と比較すると、とても小さい値だった。これ
はグラフェンがバンドギャップEg=0eVの半金属であることに起因して
いる。
図5にドレイン電流・ドレイン電圧特性(Id-Vd特性)を示す。ゲート電
圧を増加するにつれてドレイン電流が増加することからP型トランジス
タとして動作していることがわかった。我々のデバイスは、シリコン
MOSFETと比較すると、同等のドレイン電流が得られることがわかっ
た。
(b)
(a)
(d)
(c)
図1 FETの作製工程
図2 試料全体写真
図3 FETのSEM写真
図4 Id-Vg特性
【まとめ】
今回の研修で、Pd電極を持つバックゲートのグラフェンFETを作製し、
電気特性を評価した。その結果、作製したデバイスが両極性を持つが、
P型特性の方が強いことがわかった。これは、Pd電極の仕事関数が大
きいことによる。また、Ion/Ioff=5.7と小さい値だった。これは、グラ
フェン特有のゼロギャップに起因する。Ion/Ioffを改善する方法として
グラフェンにヘリウムイオンを照射して、結晶欠陥を導入する方法が
提案されているが[2]、製造工程が複雑なため多くの課題が残っている。
【参考文献】
[1]S.Sato et al, FUJITSU 60 5(2009 )PP.508-513.
[2]S.Nakaharai, et al , IEDM2012 4.2(2012).
図5 Id-Vd特性
ショットキーバリア FET のシミュレーションによる解析
(A simulation study of Schottky barrier field-effect transistors)
内野研究室
加藤征也
清水佑真
【はじめに】
ショットキーバリア FET(SBT)は浅くて低抵抗なソース・ドレ
イン層を実現しやすいという特長に加えて、微細 FET の問題
点である短チャンネル効果に対する耐性が高いという利点が
ある。その一方で、ソースに存在するショットキー障壁が抵
抗となってトランジスタ性能が劣化してしまうという短所が
あるので高性能な SBT の実用化例はあまりない。この問題を
解決するために、低抵抗の金属をソース・ドレインに用いた
SBT が検討されている[1]。FETの微細化には、チャネル長
を短くし、ゲート酸化膜を薄くすることに加え、ソース・ド
レイン層を浅く低抵抗にすることが重要である。最近、SB
Tが注目されているのは、金属の方が低抵抗を実現しやすい
ためである。本研究ではソース・ドレイン電極に仕事関数の
異なる金属を用い、シミュレーションを用いてSBTの最適
化を行った。
【実験方法】
この実験では、SILVACO 社のプロセスシミュレーター及びデバイスシミュレー
ターを用いた。図 1 にプロセスシミュレーターで作成した SBT の断面構造を示
す。まず、ソース・ドレイン両方およびドレインのみにヒ素をドーピングした
SBTの短チャネル特性を計算した。ゲート電極には多結晶にシリコンを用い、
ゲート絶縁膜には膜厚 tox=4.5 nm の SiO2 膜を用いた。ソース・ドレインの拡
散深さは xj=130 nm とした。しきい値電圧 Vt は Id=10⁻⁷Aの時の Vg で定義した。
【結果と考察】
図 2 にソース・ドレインに Al を用いたデバイス及び、図 3 に電極を変えたデバ
イスの Vg-Id 特性をそれぞれ示す(Lg=0.3μm)。図 4 に電極を変えたデバイス
のチャンネル長とドレイン電流の関係を示す。グラフからどちらのデバイス
も短チャンネルでは正常動作しないことが分かった。図 5 に電極を変えたデ
バイスのチャンネル長としきい値電圧の関係を示す。グラフから、Al、Ti と
もに短チャンネルでも、しきい値電圧の値が小さくならず、短チャンネル効
果を抑制できることがわかった。
【まとめ】
シミュレーションでソース・ドレインに使用する金属を変えて実験したとこ
ろ、Al が短チャンネル効果による劣化を抑制することができ、ドレイン電流の
増加を確認することがわかった。このことから、仕事関数が低いほどデバイス
性能が良いことが分かった。また、仕事関数が 4―5eV の間で Vg=0V を境に特
性が正反対になることが分かった。
【参考文献】
[1] 木下 敦寛ら 東芝レビュー 2004, Vol.59, No.12 p.52.
[2] B,Chen et al, IEEE EDL, 2006 , Vol.27, No.9, p.731.
[3] D. R. Lide, CRC Handbook of Chemistry and Physics, 2008, p.12.
シミュレーションによるショットキーダイオードの高性能化の検討
Design and analysis of Schottky diodes
内野研究室 小林翔太 國分大輔
1.実験の背景と目的
ショットキーダイオードは、半導体と金属を接合させたときに生ずる
ショットキーバリアを利用したデバイスでスイッチング特性が良好な
ため論理回路の高速化に利用されている[1]。本研修では、ショット
キーダイオードの高性能化を目的としてデバイスシミュレーションを
用いてデバイスの最適化を行ったので、その結果について報告する。
2.ショットキーダイオードの動作原理と実験方法
金属をシリコンなどの半導体材料に接触させたとき、電気は金属側
から半導体側、または逆のどちらか一方に流れやすくなる。それは 図1.シミュレーションに使用したショットキーダイオー
金属と半導体の接触界面にショートキーバリアが形成され、整流作 ドの断面構造
用を促すためである。本研修では、Silvaco社のプロセスシミュレータ
(Athena)とデバイスシミュレータ(Atlas)を用いて、ショットキーダイオー
ドの最適化を行った。図1に計算に使用したショットキーダイオードの
断面構造を示す。Si基板にn型不純物をドープし、仕事関数の異なる
金属(Al、Pt、Co、Ti、W)を電極として使用した。Si基板のn型不純物
濃度を1016cm-3≦n≦1020cm-3の間で変化させると同時に金属電極
の仕事関数を変化させて、デバイス特性を計算した。
3.実験結果と考察
図2にCo電極の場合のショットキーダイオードのI-V特性とそのSi基板
濃度依存性を示す。Vf≦0.5Vでは、I-V曲線の傾きは基板濃度に
関係なく一定だった。最大電流は基板濃度の増加と共に増加した。
図3にON電流の仕事関数依存性を示す。仕事関数の減尐と共にON
電流が増加した。これは、仕事関数が小さいとショットキー障壁が
低くなり、抵抗に近い働きをする傾向があるためである。図4にI-V
特性の曲線の傾きの仕事関数依存性を示す。仕事関数の小さいAl
やW電極では抵抗性が強く、仕事関数が大きいCoやPtではダイオ
ード特性を示すことが分かった。以上の結果から、Co電極がショット
キーバリアダイオードにおいて理想的なダイオードの特性を示すこと
がわかった。また、不純物濃度が高いほどON電流が大きいことが
わかった。
図2.ショットキーダイオードのI-V特性とそのSi基板
濃度依存性
図3.ON電流基板濃度依存性とその仕事関数
依存性
4.まとめ
シミュレーションを用いてショットキーダイオードの高性能化を検討し
た。その結果、電極には仕事関数の大きいCoが最適で、基板濃度
n=1020cm-3で最大電流Imax=0.1Aが得られることがわかった。
参考文献
[1]http://staff.aist.go.jp/shiro-hara/schottky/schottky-industry.html
図4.I-V特性の曲線の傾きの仕事関数依存性と濃度
依存性
環境放射線及び放射能濃度の測定Ⅱ
庄司・小野寺研究室
0911227 佐々木佑介
0911257 三膳由鶴
1. はじめに
2011 年 3 月 11 日の東京電力福島第一原子力発電所の
3-2. 空間線量の推移
大事故により、大量の放射性核種が飛散した[1]。原発事
図 1 は、2011 年 5 月 31 日から 2012 年 12 月 18 日に
故由来の放射性核種が食品や空間線量に与える影響は
かけての八木山キャンパスの空間線量の推移を示したもの
数年で収束するものでは無く、継続して評価する必要が
である。図に示した通り全体として空間線量が減尐傾向
ある。昨年の結果をふまえ、本研究では今後の放射能の
にある。
影響を調査するために昨年に引き続き本学八木山、長町
キャンパスの空間線量の測定及び、Ge 半導体放射線検出器
を用いた農畜産物の放射能濃度の測定支援を行った。
2. 実験方法
2-2. Ge 半導体放射線検出器を用いた放射能測定
Ge 半導体放射線検出器は線のエネルギ分解能が非常に
図 1. 八木山キャンパスの空間線量の推移
高いため放射性核種分析に適している。測定では、粉砕
した試料を 5g 計量しポリエチレン製の袋に詰めたものを検
出器の先端に固定した。試料と検出器の先端を鉛のブロ
3
3-3. 放射性核種の減衰
ック(10×20×5cm )で覆い外部からの放射線を遮蔽した。
空間線量が減尐する要因として、半減期による放射性
試料を 2 時間、バックグランドを 2 時間それぞれ測定し、差
核種の減衰がある。その様子を実験的に求めた。土壌試
し引いた正味カウントから放射能濃度(Bq/kg)を算出した。
料を日を空けて測定した結果、計算値に沿って放射能濃
2-1. 線量計を用いた空間線量の測定
度が減衰していることが確認できた。
線量計は CLEAR-PULSE 社製の「Mr.Gamma A2700 型」
である。測定条件は昨年と同じ地上 1m の高さとした。
測定地点は八木山及び長町各キャンパス 9 箇所で、1 分間の
平均値をその地点の空間線量とした。
3. 実験結果
図 2. 中庭土壌の放射能濃度の減衰
3-1. Ge 半導体放射線検出器を用いた放射能測定
表 1 は今年度の農畜産物の測定結果の一例である。す
べての品目で国の暫定基準値である 100(Bq/kg)を下回
り、検出限界以下だった。
表 1. 宮城県産農畜産物の放射能濃度の一例
Sample
きゅうり
たまねぎ
大麦
トマト
玄米
かぼちゃ
じゃがいも
さつまいも
なす
白菜
ねぎ
さつまいも
推定最大放射能濃度(Bq/kg)
137
合計
Cs
Cs
4.5±2.2
4.0±2.0
8.4±4.2
1.8±0.9
1.8±0.9
3.6±1.8
4.9±2.5
5.2±2.6
10±5.1
3.3±1.7
3.0±1.5
6.3±3.2
4.7±2.4
4.2±2.1
8.9±4.5
5.5±2.8
5.6±2.8
11±5.6
7.8±3.9
6.1±3.1
14±6.9
5.2±2.6
4.3±2.1
9.5±4.7
5.0±2.5
4.5±2.3
9.5±4.8
4.0±2.0
3.6±1.8
7.6±3.8
5.8±2.9
4.5±2.3
10.3±5.2
4.7±2.3
2.7±1.4
7.4±3.7
4. 結論
本学八木山、長町両キャンパスでの空間線量は昨年から減
尐傾向にあることがわかった。また、今年度測定した宮
城 県 産 の 農 畜 産 物 は す べ て 国 の 定 め る 暫定 基 準 値
100(Bq/kg)以下だった。
134
5.謝辞
本研究にご指導いただいた庄司忠良教授、
小野寺敏幸助手に深く感謝いたします。
参考文献
[1]東日本大震災後の放射性物質汚染対策
監修
斎藤
勝裕
株式会社エヌ・ティー・エス 2012 年
フィルタ法を用いた TlBr 結晶の精製
庄司・小野寺研究室 0911246 中野翔 0911247 渚健太郎 0911250 早坂拓馬 0911151 藤井謙
662 keV の光電ピークを示したが精製を行っていな
1.はじめに
臭化タリウム(TlBr)は、原子番号が Tl: 81、Br: 35
い検出器はピークを示さなかった。
と高く、7.56 g/cm3 と高密度であることから、線に
対して高い感度を持つ。高性能な放射線検出器を実
現するためには高品質な TlBr 結晶が必須である。フ
ィルタ法は、短期間で精製効果が期待できることや、
装置の構成が帯域精製法と比べて簡素という利点を
持つ。本研究ではフィルタ法で精製した TlBr 結晶を
用いて検出器を製作し、フィルタ法の TlBr 検出器の
図 1. 線スペクトル応答特性
特性に対する効果を評価した。
2.実験方法
3-2.積
2-1.フィルタ法による精製と TMZ 法による
育成
TlBr 検出器に低エネルギの X 線を照射し、印加電
圧を変化させエネルギスペクトルを測定した。エネ
精製に使用した材料は TlBr (4N: 25 g)の粉末で
ルギスペクトルで得られた X 線のピークポジション
ある。フィルタ管に石英片を入れ、その上に TlBr
と印加電圧の分布を電荷収集効率の電界に対する依
粉末を入れた。管内を Ar (1 atm.)雰囲気にし、電気
存性を示すヘクトの式を用いて担体の積を求めた。
炉を用いて TlBr を溶融させた。融液を石英片を通し
図は算出した TlBr 検出器の積である。図が示す
て螺旋状の管に流し、石英管に回収した。精製時間
ように、フィルタ法で精製することにより TlBr 検
は数分であった。その後、石英管内を HBr (1 atm.)
出器の電子の積は精製前と比較し約 4 倍改善する
雰囲気にして封じ、TMZ 法を用いて TlBr 結晶を育
ことが分かった。
成(5 mm/h)した。なお、精製効果の比較のため精
製を行わない粉末を用い、同様に TlBr 結晶を育成し
た。
2-2.TlBr 検出器の製作
TlBr 結晶の精製効果を評価するため、育成した
TlBr 結晶を用いて TlBr 検出器を製作し、TlBr 検出

図 2.TlBr 検出器の積電子
器の積:移動度、:寿命時間と線スペクトル
を測定した。ワイヤーソを用いて TlBr 結晶を 1.5
4.結論
mm 厚で切り出し、約 0.5 mm の厚さに研磨した。
フィルタ法で精製した TlBr 結晶を用いて製作し
研磨した TlBr 結晶に真空蒸着法を用いて、2 mmφ
た TlBr 検出器は線のピークを示したことから担体
の金電極を形成した。
の輸送特性が向上していることが推測できる。今後
3.実験結果
は短時間で精製できるフィルタ法と高純度な結晶を
3-1.線スペクトル応答特性
TlBr 検出器に
137Cs
の線を照射しエネルギスペ
クトルを測定した。印加電圧は 250 V であった。図
は TlBr 検出器から得られた線スペクトル応答
特性である。
精製した TlBr 結晶を用いた検出器は、
得ることができる帯域精製法を併用し TlBr 検出器
の特性に有効で効果的な方法を模索する。
5.謝辞
本研究にご指導いただいた庄司教授、小野寺助手
に深く感謝いたします。
TlBr 結晶の PL 評価Ⅱ
庄司・小野寺研究室
0911113
大平晃也
1.はじめに
半導体放射線検出器の主力はゲルマニウム(Ge)半
導体検出器であり、最近の福島原子力発電所の事故
における飛散放射能の測定においてかなりの威力を
発揮した。しかし、動作時に冷却することが必要で
あるため装置が大きくなり、核医療装置への応用は
できない。その為、Ge 検出器に匹敵する性能を持ち、
室温動作が可能な半導体放射線検出器の出現が望ま
れた。
我々の研究室ではその候補として臭化タリウム
(TlBr)結晶を用いた放射線検出器の研究をしてき
た。この材料は原子番号、密度が大きく室温で動作
する検出器の材料として有望視されてきた。この結
晶の高品質化を行うことにより、現在、室温で動作
する検出器材料の主力になっているテルル化カドミ
ウム(CdTe)に匹敵する~10-3cm/V 程度の積(:
移動度、:キャリアの寿命)を達成している。しかし、
TlBr 結晶の育成において、試料の精製に時間がかか
る欠点がある。これを解消するため新しくフィルタ
法 1)で精製を行った。この方式は短時間で精製をす
ることが可能である。我々はこのフィルタ法、およ
び従来の帯域精製法で精製した試料を用いて育成し
た TlBr 結晶をフォトルミネッセンス(PL)法で測
定し、フィルタ法の効果を比較検討した。
0911149
0911249
畠山哲史
これらの結晶から製作した検出器で 137Cs の線ス
ペクトルを観測した結果、図 2 に 662keV の光電ピ
ークと Tl のエスケープピークが分離したエネルギ
スペクトルが得られた。662 keV の光電ピークの半
値幅は約 10%とそれほど良くはなかった。一方、
SD-4N2 から製作した検出器で同様の応答特性を測
定した結果、印加電圧は同様であるが、光電ピーク
とエスケープピークが明確に分離されなかった。こ
の結果よりフィルタによる効果がある程度確認する
ことができた。

2.実験方法
2.1 結晶育成
試料は公称純度 99.99%(4N)の TlBr 粉末をフィル
タ法、および従来の帯域精製法で精製し、その試料
を用い TMZ 法で結晶育成を行った。なお、フィル
タ法を通した結晶は SD-4N1、フィルタを通さず
TMZ 法で育成した結晶を SD-4N2とした。
2.2 PL 測定
PL 測定法は試料に非接触で測定でき、内部不純
物に対し非常に敏感な測定方法である。その為、材
料の物性測定には有効な測定方法の一つである。
使用した励起光源は He-Cd レーザー(325nm)を使
用した。試料を冷凍機に取り付け、4.5K まで冷却し
測定した。分光器は CT-50 を使用した。
3. 実験結果と考察
図 1 に SD-4N1 と通常の帯域精製法で育成した
SD-4N2 の PL スペクトルを示す。まず、SD-4N1
結晶において 2.6eV 付近の短波長側にわずかながら
発光が観測された。これまでの報告で、励起子によ
るもの、または間接遷移に関係するものと思われる。
また、直接遷移に関係する 3eV の発光は観測されな
かった。これは結晶性が悪いために発光が観測され
なかった。これに対して、SD-4N2 からはほとんど
励起子発光は見られなかった。 また、長波長側に
1.9eV 帯の発光 がわずか に観測された。 これまで
1.9eV 帯の発光は検出器の特性に関する重要な発光
帯 で あ る 2) と 報 告 し て き た 。 こ の 発 光 の 起 源 は
D-A(ドナーアクセプタ発光)ではないかと思われる
が、どのような不純物が寄与しているか不明である。
2.45eV と 2.20eV のブロードの発光は前回報告した
真空蒸留法 1)で育成した結晶に類似している。これ
らの発光起源は明確ではないが、ヨウ素や臭素に関
係している報告もあるが、現在、検討中である。
平栗大嵩
図1
図2
SD-4N1 試料 PL スペクトル 
SD-4N1 による
137
Cs の線スペクトル
4.まとめ
本研究で新しく試みたフィルタ法でした結晶を用
いて、検出器を製作し線応答特性を観測した結果、
検出器の特性において改善することが見出された。
現在、フィルタ法の精製条件の改善を行っている。

参考資料
 中野翔他、第回応用物理学会東北北支部大会
東北大学()
伊藤康裕他、第回応用物理学会東北支部大会
岩手県民情報交流センタ
謝辞
本研究にご指導いただいた庄司教授、小野寺助手
に深く感謝致します。


Co-Fe25 合金薄膜を用いた巨大磁気抵抗(GMR)効果膜の作製
0911118
萱場
0911248
宏郁
1.初めに
CoFe25 合金は磁性金属で、巨大磁気抵抗(GMR)
効果素子材料として使用されている。強磁性金属の
間に Cu などの非磁性金属を挿入することで大きな
GMR 効果を出す事が出来る。スピンバルブ型 GMR
膜では、磁化方向が固定された固定層と外部磁界に
よって磁化方向が変化する自由層が必要になる。こ
こでは、昨年度の検討 1)で明らかになった、CoFe25
スパッタ堆積膜では膜厚により抗磁力が大きく変
化することを利用して GMR 膜の作製を試みた。
萩田
紘貴
15
磁化量M [memu]
本多研究室
10
5
0
-100
-50
0
50
100
印加磁化 Ha[Oe]
-5
CoFe 50nm
-10
Cu 5 nm
CoFe 200 nm
-15
15
10
磁化量M[memu]
2. GMR 膜の作製
昨年度の金谷、今野による検討 1)で、CoFe25 スパッ
タ堆積膜では膜厚が 50 nm 以下では抗磁力 Hc が 10
Oe 以下となり、一方 200 nm 辺りで Hc>80 Oe の最
大値を示す。また、コリメータを使用することで面
内磁気異方性を抑制できる。そこで、固定層を 200
nm、自由層を 50 nm の CoFe25 として、中間層の Cu
の膜厚の効果を調べた。初期検討としてコリメータ
無しで製膜を行った。比較試料として自由層をパー
マロイ(Ni-Fe)としたもの、及び CoFe25 と、Ni-Fe そ
れぞれの Cu 層下地膜の単層膜を作製した。
図1CoFe25 50 nm/ Cu 5 nm /CoFe25 200 nm 膜
のヒステリシスループ
5
0
-100
-50
0
50
100
印加磁化Ha [Oe]
-5
CoFe 50 nm
-10
Cu 10 nm
CoFenm
200 nm
-15
図2CoFe25 50 nm/ Cu 10 nm /CoFe25 200 nm 膜
のヒステリシスループ
15
磁化量M [memu]
3.結果と考察
図 1、2は Cu 中間層の膜厚が異なる CoFe25 合金自
由層の三層膜の面内方向磁化曲線(MH ループ)を
示す。
間に挿入した Cu の膜厚が 10 nm の図 2 では、
上下の CoFe25 層がそれぞれ独立に磁化反転してお
り、逆磁界印加では上下層の磁化が反平行状態とな
り、スピンバルブ動作が期待できることがわかる。
しかし、Cu 層厚が 5 nm の図 1 では上下層の磁化反
転が独立ではなくいくらか結合している。中間層と
して挿入する非磁性金属はできるだけ薄いことが
望ましいが、今回の結果からは、Cu 層 10 nm 以上
必要であることがわかった。図 3 は Cu 中間層を 10
nm として、自由層の磁性材料をより磁化変化しや
すい Ni-Fe 膜とした三層膜の MH ループである。
Ha=0 で自由層が磁化反転しており、下層からの反
磁界でも、反転できるほどであることが分かった。
これらの試料膜で GMR 効果が期待されるが、大き
な GMR 効果を得るには固定層の膜厚が大きすぎる
ので、今後は薄膜化の検討が必要である。
-100
10
5
0
-80
-60
-40
-20
0
-5
-10
20
40
60
80
100
印加磁化H a [Oe]
Ni-Fe 50nm
Cu 10nm
CoFe 200 nm
-15
図3Ni-Fe 50 nm /Cu 10 nm /CoFe25 200 nm 膜
のヒステリシスループ
謝辞
本研究の遂行にあたり、数多くのご協力をいただ
きました本多研究室の方々に深く感謝申し上げます。
参考文献
1)金谷、今野、知能エレクトロニクス学科平成 23
年度卒業論文概要集.p.60, 2012.
Co-Fe25 薄膜を用いた GMR 膜の面内磁化曲線と磁気抵抗効果の測定
0911245 角田浩基
大野智史
1, はじめに
Co-Fe 薄膜は巨大磁気抵抗(GMR)効果素子の材
料に使われている。また、単層膜でも異方性磁気
抵抗(AMR)変化がパーマロイより大きい。本実験
では B-H ループトレーサーと、磁気抵抗効果測定
器を用いて、GMR 膜の面内磁化曲線と磁気抵抗効
果を調べ、非磁性中間層膜厚と材料による GMR
特性の変化を調べた。
15
Co-Fe50
Cu10
Co-Fe200
‐100
0.9078
M‐H
10
0.9073
5
0.9068
0
‐50
0
50
100
R (Ohm)
0911212
M( memu)
本多研究室
‐5
0.9063
0.898
0
-100
-50
0
50
H (Oe)
100
-5
0.897
-10
0.896
-15
0.895
図 2 Ni-Fe(50)/Cu(10)/Co-Fe(200nm)
3 層 膜 の M-H ル ー プ と 磁 気 抵 抗 変 化 。
Co-Fe50
Cu5
Co-Fe200
15
M(memu)
2.170
M‐H
10
2.165
5
0
-100
-50
2.160
0
-5
50
100
Ha(Oe)
2.155
-10
-15
2.150
図 3 Co-Fe(50)/Cu(5)/Co-Fe(200nm)
3 層 膜 の M-H ル ー プ と 磁 気 抵 抗 変 化 。
R(Ohm)
3, 結果と考察
反 平 行 磁 化 状 態 の 出 現 が 期 待 さ れ た
Co-Fe(50)/Cu(10)/Co-Fe(200 nm)膜と Ni-Fe(50)/
Cu(10)/Co-Fe(200 nm)膜の磁気抵抗の変化を図 1、
2 にそれぞれ M-H ループと共に示す。図 1、2 と
も反平行磁化で抵抗値が増加する GMR 効果が見
られたが、磁化ループから予想された磁界よりも
大きな、下層が磁化反転を始める磁界で最大値を
示した。このズレの要因として磁化容易軸がスト
ライプ長手方向からずれている事が考えられる。
また、図 2 の Ni-Fe 膜では抵抗変化ΔR が 2.3 mΩ
程(ΔR/R~0.25%)に対し図 1 の Co-Fe 膜では 1.3 m
Ω程(ΔR/R~0.14%)と小さい。これは図 3 での異方
性磁気抵抗(AMR)変化よりも小さい。反平行磁化
の形成が不十分である事と、下層膜厚が大き過ぎ
るためと考えられる。図 3 の Cu 中間層が 5 nm と
薄い膜では、磁化反転過程で抵抗値が低下する
AMR 効果が現れ、反平行磁化が実現されていない
事と対応する。
Cu 中間層を 10 nm とする事で反平行磁化が実現
され GMR 効果が観察された。しかし、得られた
抵抗変化は小さく、反平行磁化の形成が不十分と
考えられる。この改善と同時に、下層膜厚の低減
が今後の課題である。
R (Ohm)
M(memu)
2, 実験方法
‐10
ループトレーサーによる磁化ループの測定では、
Ha(Oe)
‐15
0.9058
2×8 と 3×8 mm2 の 2 本対のストライプ形状の薄
膜試料に 50 Hz、最大 100 Oe の交流磁界を印加し
図 1 C o - Fe ( 5 0 ) / C u ( 1 0 ) / C o - F e ( 2 0 0 n m )
た。磁化容易軸に近いストライプの長手方向に磁
3 層 膜 の M-H ル ー プ と 磁 気 抵 抗 変 化 。
場を印加して測定した。磁気抵抗効果の測定では、
15
2×8 mm2 のストライプ試料に最大 90 Oe の磁界
Ni-Fe50
M‐H
を磁化ループ測定と同様にストライプ長手方向に
Cu10
0.900
10
Co-Fe200
印加し、10 mA の電流を長手方向に流して測定し
0.899
た。
5
自作試料振動型磁力計(VSM)の外来ノイズの軽減
本多研究室
0911146 箱崎大騎
0911160 吉野康平
1.目的
20
出力電圧(mV)
15
10
5
0
-5
-4
-3
V(mV)
VSM は薄膜試料の磁化曲線を高精度で測定でき
る有用な装置である.本研修では VSM の自作を行
ない,実試料の測定に用いることを検討している。昨
年は配線のループを無くし,高磁界印加での精度の
改善を試みたが,2 kOe 以上の磁界印加においては
ノイズの影響を大きく受ける事がわかった.今回は
測定装置や回路の改善を行い,高磁界印加時の安定
性やノイズ軽減を試みた.
-2
-1
0
-5
1.0
-1.0
3
4
5
-10
0.0
-0.5
2.装置の構成
2
0.5
0.0
-2.0
1
印加磁界 (kOe)
1.0
2.0
-15
印加磁界(kOe)
-1.0
-20
今回は,以下4点の改善を行った。
Ⅰ.信号出力のバランス調整を行うボリューム入り
BOX の導入。
Ⅱ.検出コイルからの配線を左右対称配置に変更。
Ⅲ.接続部分の配線を捻りアンプ入力までのループ
を低減。
Ⅳ.小型電磁石の振動抑制.
図1.HD試料の磁化ループ(改善前)
3.結果と考察
改善前は 2 kOe 以上の磁界印加では図1のように大きなノ
イズの発生によりハードディスク媒体の測定は全く不能であ
った.そこで2-Ⅰの可変抵抗入りBOX を導入し,出力のバラ
ンス調節を行なってみたが,効果は見られなかった.
次に2-Ⅱの検出コイルからの配線を左右対称回路に変更した
図2.コイルケース間に挿入した突っかい棒の様
が、これも効果が見られなかった。更に2-Ⅲの配線変更を行
ったがこれも効果が見られなかった。ただし,2 kOe 以下で
2.74×10-4
は変更前より変動の小さな測定結果が得られるようになった.
emu
次に,
小型電磁石自体が高励磁時に共鳴振動していると考え、
ステンレスボルトと防振ゴムで、
対向コイルケース間に図2の
出力電圧(mV)
3
2
1
0
-6
-4
-2
0
ように突っかい棒を挿入した.その結果、図3に示すように、
-1
図1で15 mV 程あったノイズは0.2 mV 以下に抑制され、ハ
-2
2
4
6
印 加磁界 (kOe)
ードディスク媒体の磁化ループが得られるようになった。
-3
図3での変動幅0.2 mV(入力換算値で0.2 μV)は検出磁気
モーメントの約5×10-5 emu に相当し、10-4 emu 以下の磁気
モーメントの検出ができるようになった。今回の改善により測
-4
図3.HD試料の磁化ループ(振動抑制後)
定範囲が-3.7 kOe~3.7 kOe まで可能になり、検出感度も5×
4.まとめ
10-5emu 程度まで上昇した。
検出感度を更に高くするためには、
高磁界印加時の大きなノイズの原因が電磁石の振動であ
ることがわかった。電磁石に突っかい棒を入れることでノイ
ズを大幅に低減できた。今後は機械振動の更なる抑制ととも
に電気的ノイズの低減も必要と考える。
コイルの巻き数を増したり、機械的振動のより一層の抑制や、
電気的ノイズの低減などが必要と考える。
単原子層スパッタ堆積による規則化Co-Pt 膜の作製検討
本多研究室 0911243 土屋 垂穂 0911203 綾部 佳史
ビットパターン媒体方式は、現在のハードディスク
の記憶容量を増大させる次世代記録方式として期待さ
れている。この方式で高密度記録を実現するにはドッ
トの磁気異方性軸を傾けることが有効である。我々は
傾斜磁気異方性膜の作製を検討しており、斜方入射コ
リメータスパッタ堆積により、Co-Pt20 磁性膜において
9 度以上の磁気異方性軸の傾きを得ている 1)。今回、よ
り大きな磁気異方性が得られる L11 規則化 Co-Pt 膜の
作製を検討した。ただし、ここでは初期検討として、
垂直配向膜を単原子層積層スパッタ堆積により検討を
行った。
Pt
Co
Pt
Co
Pt
Co
30 nm
0.2 nm
0.2 nm
10 nm
下地層
6.4 Pa
3.2 Pa
10
20
30
2q [ °]
40
50
60
図 3. Ar ガス圧力違いによる超格子面反射の変化。
図1. 単原子層積層膜のイメージ図。
2.製膜法
RF 及び DC マグネトロンカソードを持つ三元スパ
ッタ装置を使用した。エタノール洗浄と真空中加熱ガ
ス出しを行ったスライドガラス基板に背圧 2.0×10-4 Pa
環境下で製膜した。結晶配向制御用に直径 14 mm の円
筒型コリメータを用いた。下地膜として Ar ガス圧力
0.8 Pa で Ta、Pt をそれぞれ 10 nm ずつ製膜し、その上
に Co と Pt の各層を 0.2 nm (1 原子層分)になるよう調
整し、基板を回転させて単原子層を交互に形成するよ
うにした。単原子層製膜時の Ar ガス圧力と基板温度
の違いによる変化を調べた。
3.結果と考察
次に図 3 に単原子層製膜時の Ar ガス圧力を変化さ
せたときの X 線回折パターンの変化を示す。Ar ガス
圧力が高いほど規則化が進みやすいことが分かった。
しかし、同時に超格子面反射ピークに広がりが見られ
規則化が短距離型に変化していると推測される。今回
の検討では規則化は兆候程度と小さく、原子層積層堆
積でも基板温度は 300°C 以上にする必要があることが
わかった。また単原子層積層膜は高ガス圧力高温下で
製膜することで大きな垂直磁気異方性が発生すること
が分かった。
4.おわりに
スパッタ堆積 Co/Pt 単原子層積層膜では製膜時の基
板温度が高いほど、また Ar ガス圧力が高いほど L11
規則化の兆候が増大することが分かった。
謝辞
本研究を行うに協力していただいた本多研究室の
方々に心より感謝いたします。
PAr=0.8Pa
count [a.u.]
9.6 Pa
0
(1 1 1)面
ガラス基板
400 ºC
参考文献
350 ºC
300 ºC
0
Ta=350
1原子層積層
Pt
Ta
10 nm
図2 に単原子層製膜時の基板温度違いによるX 線回
折パターンの変化を示す。同図より基板温度が高くな
るにつれて角度 20° 付近に見られるピークが大きく
なっていることがわかる。
このピークは fcc (1/2 1/2 1/2)
の超格子面の反射であり、最密面(111)面の Co と Pt が
交互に配列した L11 規則化によるものである。わずか
ではあるが基板温度とともに規則化が進行しているこ
とを示している。
count [a.u.]
1.はじめに
10
20
30
2q [°]
40
50
60
図 2. 基板温度違いによる超格子面反射の変化。
[1] A. Honda et al., “Deposition of Inclined Co-Pt Film with
Inclined Anisotropy ,”Abstracts of 12th Joint
MMM-Intermag conf., AV-06, p.107, Chicago, 2013. to be
published in IEEE Trans. Magn., vol.49, no.7, 2013.
異常ホール効果(AHE)による Co/Pt 垂直磁気異方性膜の垂直磁化ループ測定
本多研究室
0911223 近藤
目的
強磁性体では印加した磁場のほかに磁化によるホ
ール効果が発生する。これを異常ホール効果(AHE)と
いう。AHE は膜厚に反比例するので、薄膜試料の磁
化測定に適しているが、一般には AHE の測定には薄
膜試料の微細なパターニングが必要である。昨年の検
討結果から図 1 のように薄膜試料に十字にカット線を
入れることで簡便に AHE 測定できることが示された。
ここではカットがより容易なカット線の入れ方を検
討し、AHE による垂直異方性薄膜の磁気特性の評価
を行った。
実験方法
試料はコリメータスパッタ堆積により作製した
Co/Pt 単原子層積層膜の円形試料を用いた。磁性膜厚
はいずれも 30 nm であるが 20 nm の Pt/Ta 下地層上
に形成されている。ここでは十字に配置した4端子の
探針を用い、電流端子間 8.3 mm、電圧端子間 4.5 mm
で測定を行った。各試料をけ書き針を用いて図 1 のよ
うに角度の異なる X 字、もしくは十字に膜をカットし、
電流に対し直角方向に発生する電圧の印加磁界によ
る変化を測定した。電圧端子を角度φ側に配置した。
測定電流は 10 mA とし、磁界は膜面垂直方向に印加
し、最大磁界は 7.5 kOe とした。
結果と考察
図 2 はスパッタ堆積時の Ar ガス圧力を 9.6 Pa で作
製した Co/Pt 単原子層積層膜を十字及び X 字カットし
て測定した結果を示す。X 字カットでも基準とした十
字カットに近い磁化曲線が得られた。しかし、角度φ
が大きい方がより基準に近い AHE 電圧が得られる。
これは電圧測定側の面積が広がり、電圧降下が抑制さ
れるためと考えられる。そこでφが最大の 180°とな
り、カットが容易な図 3 の帯状カットを検討した。図
4 はスパッタ堆積時の Ar ガス圧力を 3.2 Pa で作製した
試料を帯状カットして測定した結果を示す。帯状カッ
トで 180°側を電圧端子とすることでほぼ基準に近い
磁化曲線を得ることができた。さらに今回の検討で、
Co/Pt 積層膜のガス圧力の違いによる磁気特性の変化
も明瞭に測定できることが分かった。
以上より、カットがより容易な帯状カットを用いるこ
とで、AHE による Co/Pt 積層膜の磁気特性の評価がで
きることが分かった。
参考文献
1)佐藤,早坂,「スパッタ推積垂直異方性膜の異常ホール
効果(AHE)による磁気特性解析」,平成 23 年度知能
エレクトロニクス学科卒業論文概要集, P.63, 2012.
征士
図1
0911256 宮川
哲也
X 字カットと十字カット
図 2 6.4 Pa 作製試料の AHE 磁化ループのカット角度
による違い。
図 3 帯状カット(180°カット)
図 4 帯状カットでの AHE 磁化ループ(3.2Pa 作製
Co/Pt 積層膜)。
東北工業大学工学部
知能エレクトロニクス学科教職員
学
科
長
教
授
学科長代理
教
授
本
多
直
樹
小
林
正
樹
教
授
阿
部
俊
三
教
授
内
田
裕
久
教
授
内
教
授
庄
司
忠
良
教
授
宮
下
哲
哉
野
俊
准
教
授
加 納
准
教
授
中
山
英
久
准
教
授
藤
田
豊
己
講
師
伊
講
師
水
慎 一 郎
藤
野
仁
文
雄
嘱 託 助 手
小 野 寺 敏 幸
技
師
森
事 務 職 員
芦
敬
原
正
則
子
平成24年度卒業論文概要集
平成25年2月26日発行
発行者
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