国境こえた労働者の移動の自由 国民皆保険が崩壊の危機に 食の安全

労働市場の開放で
国境こえた労働者の移動の自由
TPPは、農業だけにとどまらず、労働市場の開放がふくまれています。賃金も、
アジア諸国の低賃金との競争にさらされ、大幅に引き下げられる危険があります。
とくに問題なのは、労働者の国境をこえた移動の自由化を重要目的にすることです。
そのための突破口として、介護など特殊な労働者の移動を手てはじめに、やがて普
通の労働者の移動を認めることにつながりかねません。
医療に市場開放をもちこむ
国民皆保険が崩壊の危機に
TPPは医療分野で、混合診療(※)の全面解禁を求める方針です。これにたい
して、日本医師会は、「医療の市場原理が持ちこまれ、国民皆保険の崩壊につなが
りかねない」と懸念を表明。混合診療が認められると、医療に自由競争がすすみ、
一部の医療品が高騰、所得によって受けられる医療に格差が生じるからです。
※健康保険の範囲内の医療費は健康保険でまかない、範囲外の費用を患者負担になる。
食の安全基準も撤廃へ
アメリカ政府は昨年11月のAPEC首脳会議の際に、日本のPTT参加を「歓
迎」。BSE(牛海綿状脳症)の安全が保障されない米国産牛肉にたいする輸入規
制の撤廃を持ち出しています。
TPPに参加すれば、アメリカ政府がたびたび日本に迫ってきた
郵便貯金や医療保険の民営化・市場開放、食に関する独自の安全基
準の撤廃などが押しつけられかねません。
日本経団連
米倉弘昌会長
「(TPP参加を機に)外国から移
住者をどんどん奨励すべきだ」
(2010年11月25日、「毎日」)
日本の医療・介護に市場・営
利化をもたらす
日本民主医療機関連合会が指摘してい
るはTPP参加による医療への影響と問
題点は以下のとおり。
●日本の混合診療の全面解禁による公
的医療保険の給付範囲の縮小、安全性の
低下●株式会社の医療機関経営の参入●
医師、看護師、患者の国際的移動による
医師不足・医師偏在の加速をもたらす
慎重な対応を要望
21世紀は「食料は金さえ出せば輸入できる」世界でありません。地球環境の保全や食
の安全・安心も切実に求められる時代です。いま、日本に迫られるのは、崩壊の危機危が
ひろがる農業を立て直し、食料自給率を向上させることです。農家が安心して生産にはげ
める条件を政府の責任で整え、各国の食料主権を尊重した貿易ルールの確立が不可欠です。
TPP参加はこの方向にまったく逆行します。また、外国人の看護師・介護士など受け
入れ、金融やサービス分野への外国企業への無秩序な開放なども迫られます。一部の輸出
大企業の利益と引き換えに国民の命や暮らしを売り渡し、「国のかたち」を大きく変えて
しまうものです。
3つの要求
日本共産党
①日本農業と地域経済を壊滅させるTP
Pに参加しないこと。
②農業の再生、食料自給率の向上が可能
になる貿易ルールの確立をめざすこと。
③価格保障、所得補償を抜本的に充実し、
農家が安心して生産にはげめるように
すること。
神奈川県議会が意見書
神奈川県議会は、TPP参加問題で、政
府に慎重な対応を求める意見書を、可決し
ています。
意見書では、「TPP協定は、農業、産
業構造、雇用など各方面にわたり我が国の
将来を左右する重大な問題」と指摘。安全
な食料の安定供給を損ね、食料自給率の低
下などが予想されると指摘、国民的議論を
尽くして、慎重に対応することを要望して
います。
川崎市議会、大和市議会、三浦市
議会は慎重対応、反対を求める国
への意見書をあげています。
TPP反対、食と農を守る
運動ひろがる
JA神奈川県中央会、県農林水産団
体協議会は1月31日、2月2日に横
浜市と厚木市で、「TPPに反対し、
神奈川の食と農を守る県民集会」を開
催。農漁業・林業従事者、消費者団体
をはじめ、多くの県民が参加しました。
日本共産党はTPP参加反対、日本農業の再生を求める請願署名にとりくんでいます。ご協力をお願いします。