腎生検にて糖尿病性腎症

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糖尿病性腎症患者における血清p一クレゾー
ル,フェノール及びインドキシル硫酸濃度に
関する検討
東京女子医科大学糖尿病センター
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難治性の糖尿病性早期腎症における血圧日内
変動の検討
東京急行電鉄株式会社東急病院内科
,東京慈恵会医科大学糖
尿病代謝内分泌内科2
大田 真理,馬場園哲也,林
俊秀,坊内良太郎,
木内 由香,花井
豪,井上 愛子,田中 瑞保,
田中 伸枝,石井 晶子,岩本 安彦
【目的】糖尿病患者における血清p一クレゾール,フェノール及
びインドキシル硫酸濃度と腎機能の関係につき明らかにする.
【方法】糖尿病患者115名(男性81名,女性34名,平均年齢61±
14歳,透析患者を除く)を対象とし上記3者を測定,腎症病
期別にその値を比較検討した.また,血清クレアチニン,MDRD
簡易式から算出した推定GFRとの相関を検討した.
【結果】血清p一クレゾール,フェノール,インドキシル硫酸濃
度それぞれの対数値と推定GFRとの間には,r=一〇.606(p<
0.001),r=一〇.614(pく0.001),r=一〇.807(p<Oつ01)といず
れも有意な負の相関を認めた.
【結論】糖尿病性腎症において,血清p一クレゾール,フェノー
ル,インドキシル硫酸濃度は腎機能の低下に伴い上昇する.
相原 一夫1,松浦 憲一1,田瞑 尚子2
「目的」血糖,脂質,随時血圧などの危険因子を是正しても改
善しない難治性早期腎症に早朝高血圧(MH)や夜問高血圧な
どの24時間血圧変動(ABP)の関与をABP測定にて検討[方
法]血糖,脂質,随時血圧を十分コントロール(C)後,尿ア
ルブミンが50%以下にならない44例中,随時血圧でMHC可
能群(A群)22例,C不可能群(B群)22例のABPを検討[結
果]A群:non−dipper(日中血圧に比し夜間血圧下降度10%
未満)(ND)2例,dipper(下降度10〜20%)(D)8例,extrem−
dipper(ED)(下降度20%以上)12例,riser(R)(夜間血圧
上昇)0例.B群はND8例,D8例,ED4例,R2例.モーニ
ングサージ(就寝中最低血圧と早朝血圧と差が55以上)(MS)
はA群10例,B群4例.[結論]難知性早期腎症にMHコ可
能例に夜間過剰降圧,MSにつながる例,コ不可能な症例に夜
間持続夜間上昇型が多い事が関与している可能性が示唆され
た.
急速に腎機能悪化を来たした糖尿病性腎症一
腎生検にて糖尿病性腎症,ANCA関連腎炎と
膜性腎症合併を診断し得た興味ある一例
国立病院機構京都医療センター腎臓内科1,国立病院機構京都
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医療センター糖尿病センター2
岡本 千夏1,安藤 理子2,中川内玲子2,今牧 博貴 ,
瀬田 公一1,八幡 兼成1,菅原
照1
葉東病院内科2
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83歳男性.46歳時に糖尿病と診断73歳時にインスリン導入.
2006年4月初旬より下肢の浮腫が出現,糖尿病性腎症ネフロー
ゼ症候群が疑われ,血糖,血圧,浮腫コントロールを行った.
その時L6mg/d1であった血清クレアチニンが5月末に6.1mg/
dlと急速に悪化し,急速進行性糸球体腎炎を疑い腎生検を施行
した結果,糖尿病性腎症,半月体形成性糸球体腎炎,膜性腎症
の所見であった.MPO−ANCA陽性で,ステロイド治療により,
一旦導入した血液透析も離脱可能となった(その後敗血症を併
発し死亡).かかる糖尿病性腎症でも臨床経過から他の腎疾患
を疑い腎生検にて,治療方針の立つ他の腎疾患合併を診断しう
ることを経験する.当院における糖尿病症例で,急速な腎機能
糖尿病腎症における,腎機能の予後予測指標
としての脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)
の役割について
国立病院機構千葉東病院臨床研究センターエ,国立病院機構千
関
直人1,祖山 暁子2,西村 元伸1
[目的]糖尿病腎症における腎機能の予後予測指標としての脳
性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の役割について検討した.
[対象・方法]外来通院中の早期・顕性腎症の2型糖尿病患者
を対象に,BNP測定時と1年後の推算糸球体濾過率(e GFR)
を測定し,BNP値とe GFRの低下率との関連を検討した.
[結果]重回帰分析で,BMI・HbAlc・総コレステロール・血圧
に比し,BNPがe GFRの低下率に有意に大きな影響を与える
ことを認めた.BNPが高値の群でe GFRの低下率の有意な高
値を認めた.BNPとeGFRの低下率は有意な正の相関を認め,
腎症の病期ごとの解析では,その相関は,顕性腎症群に比し早
期腎症群で高い傾向を認めた.
[考察・結論]早期腎症期より心負荷が存在し,腎機能の予後
に影響を与えていると考えられた.BNPは糖尿病腎症におい
障害,尿所見の変化などの臨床所見から,腎生検にて確定診断,
早期治療につながった症例もまとめて報告する.
て腎機能の予後予測指標として有用であると考えられた、
卜P−159
★[一P−162
2型糖尿病患者における尿中肝型脂肪酸結合蛋
白の臨床的意義一高脂血症合併例における検
討一
高松内科クリニック1,高知学園短期大学生活科学学科食品化学研究室2,別
府大学食物栄養科学部食物栄養学科3,高知赤十字病院健診部4,高知市赤十
字病院内科5
高松
吉本
和永1,中山
和子2,古屋
美知2,安房田司郎3,大黒
隆司4,
幸生5
<目的>高脂血症を伴う2型糖尿病患者において尿中肝型脂肪酸
結合蛋白(L−FABP)を測定し,他の臨床指標などとの関係を検
討した、<対象と方法>対象は,尿蛋白陰性で高脂血症を合併,
治療中の2型糖尿病男性患者60例(未治療(N)群15例,スタ
チン(S)群27例,フィブラート(F)群18例)と健常対照群29
例である.尿中L−FABPは・酵素免疫測定法で測定した・<結果>
糖尿病患者群の尿中L−FABP濃度は,健常者群と比べて高値
(129±52vs7.6±34μg/g・cr,p<0・0001)でHbAlc濃度,尿中NAG
濃度と正相関を認め,N群,S群においては血清中性脂肪濃度と
正相関を認めたが,F群においてはこの関係はみられなかっ
た.<結語>1.高脂血症を伴う2型糖尿病患者において尿中L−
FABPは高値で,血糖コントロール不良,尿細管機能障害との関
連が考えられた.2.N群,S群とF群において,尿中L−FABP
濃度と血清TG濃度との関係が異なっており,薬剤の近位尿細管
に及ぼす影響の違いが推測された.
血糖コントロール不良な2型糖尿病患者にお
けるピ才グリタゾンのインスリン抵抗性改善
効果の検討
福島県立医科大学内科学第三講座
長谷川浩司,佐藤 博亮,工藤 明宏,平井 裕之,
藤原
淳,中嶋 真一,渡辺
毅
【目的】血糖コントロール不良な2型糖尿病患者におけるピオ
グリタゾン(Pio)投与におけるインスリン抵抗性改善効果を
検討した.
【方法】2型糖尿病患者12症例(男/女:6/6)に対して,Pio15
mg投与,前,6ヶ月後のインスリン感受性を高インスリン正
常血糖クランプ検査にて評価した.
【結果】Pio投与にてHoMA−Rは,36%(Pくo.05)有意に低下
し,インスリン抵抗性の改善が認められた.また,GIRは,約
66%(P〈α01)有意に増加し,末梢組織でのインスリン抵抗性
の改善が示唆された.一方,Suppression ofFFAとclamp FFA
は,有意な変化は認められず,肝臓でのインスリン抵抗性改善
効果は認められない可能性が示唆された.
【考察】Pioにおけるインスリン抵抗性改善作用は,末梢組織で
作用が主である可能性が示唆された.
一S−115一