第43回獣医疫学会学術集会【一般演題】 ⽇本の猫の下部尿路疾患と 飼育状況の関連調査 檀 華子、 河本 光祐、 井上 アニコム損害保険株式会社 舞 背景 猫の下部尿路疾患(FLUTD FLUTD) FLUTD 頻尿、⾎尿、不適切排尿、疼痛性排尿困難 を認める疾患の総称 含まれる疾患 ①特発性膀胱炎 ②尿路結⽯ ③尿道栓子 他・・・尿路感染、外傷、 先天性尿路異常、腫瘍等 背景 特発性膀胱炎(FIC) FIC) 下部尿路疾患徴候を伴うが、あらゆる検査において 特異的な所⾒を⽰すことがない疾患で、 FLUTDの約6割を占めているとされる。 現時点で原因も有効な治療法も不明。 ストレスの関与が⽰唆されている。 Buffington CA , J Urol, 167(4):1876-1880, 2002 Westropp J.L.,Am J Vet Res ,6 :731-736,2006 背景 ストレス要因 ・来客 ・引っ越し ・新しい家族の存在 ・同居猫の存在 ・・・ Pieter AM Defauw,J Feline Med Surg ,2011 背景 ストレス要因 ・来客 ・引っ越し ・新しい家族の存在 ・同居猫の存在 ・・・ ストレス要因の特定 新しい治療⽅法 発症予防 Pieter AM Defauw,J Feline Med Surg ,2011 目的 ⽇本の猫における FLUTDと飼育状況の関連調査を⾏い FLUTD発生のリスク因子と ストレス要因を明らかにする。 対象 2015年1月時点でアニコム損害保険株式会社の ペット保険に加入している猫26,984頭を対象に インターネットアンケート調査を実施。 有効回答942件を標本とした。 標本の構成 品種構成 雑種 純⾎種 58% 42% 標本の構成 15.0 58% 42% 20.0 純⾎種 25.0 2012年度アニコム契約データ 雑種 品種構成 (%) アンケート結果 30.0 10.0 5.0 0.0 ブ リ ティ ッシ ュ ・ シ ョート ヘア ベンガ ル メイ ン ・クー ン ラグ ドール ペルシャ ( チ ンチ ラ) マンチカ ン ノルウ ェージャン ・ フォレスト ・キ ャ ット ロシアンブ ルー アメリカ ン ・ シ ョート ヘア ス コティ ッシ ュ ・ フォールド 標本の構成 性別構成 アンケート結果 (%) 60 2012年度アニコム契約データ 50 40 30 20 10 0 雄 雌 標本の構成 FLUTD既往歴 あり 24% なし 76% 標本の構成 FLUTD既往歴 あり 24% なし 76% 1年間の保険⾦⽀払データからの FLUTD罹患率は約5%・・・ 既往歴のため? 方法 アンケートで得られた標本の 個体情報や飼育状況(計22項目)ごとの FLUTD既往率を比較検討した。 方法 個体情報 家庭環境 飼育状況 品種 家族の人数 トイレの数 年齢 子供の有無 トイレの清掃頻度 性別 飼育頭数 猫砂の好み 猫の性格 留守番時間 水飲み場の数 お迎え時期 家の広さ 水の交換頻度 お迎え経路 騒音 フード内容 室内飼育か 室外飼育か 来客頻度 遊び場の数 温度管理 結果 個体情報 家庭環境 飼育状況 品種 家族の人数 トイレの数 年齢 子供の有無 トイレの清掃頻度 性別 ②飼育頭数 猫砂の好み ①猫の性格 留守番時間 水飲み場の数 お迎え時期 家の広さ 水の交換頻度 お迎え経路 ③騒音 フード内容 室内飼育か 室外飼育か 来客頻度 遊び場の数 温度管理 結果① 猫の性格 「⾒知らぬ⼈に対してどのように接しますか?」 (%) 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 友好的である 友好的ではない 近寄る 近寄らない 結果① 猫の性格 「⾒知らぬ⼈に対してどのように接しますか?」 * (%) 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 友好的である 友好的ではない 近寄る 近寄らない χ2検定 *:p<0.05 結果① 猫の性格 「⾒知らぬ⼈に対してどのように接しますか?」 * (%) 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 友好的である 友好的ではない 近寄る 近寄らない χ2検定 *:p<0.05 結果① 猫の性格 「⾒知らぬ⼈に対してどのように接しますか?」 * (%) 30.0 * 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 友好的である 友好的ではない 近寄る 近寄らない χ2検定 *:p<0.05 結果② 飼育頭数 「ご家庭内に何頭猫ちゃんを飼育していますか?」 (%) 40.0 N.S. 35.0 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 1頭飼育 2頭飼育 3頭以上飼育 χ2検定 *:p<0.05 結果② 飼育頭数 「ご家庭内に何頭猫ちゃんを飼育していますか?」 * (%) 40.0 35.0 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 1頭飼育 2頭飼育 3頭以上飼育 χ2検定 *:p<0.05 結果③ 騒音 「周辺環境の音が気になりますか?」 (%) 35.0 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 気にならない 気になる 結果③ 騒音 「周辺環境の音が気になりますか?」 * (%) 35.0 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 気にならない 気になる χ2検定 *:p<0.05 結果のまとめ リスク 因子 ① 性格 ② 飼育頭数 ③ 騒音 ⾒知らぬ人 に対して 友好的ではない 多頭飼育 騒音の存在 (特に3頭以上の飼育) 考察① 猫の性格 ① 性格 ② 飼育頭数 ③ 騒音 リスク 因子 ⾒知らぬ人 に対して 友好的ではない 多頭飼育 騒音の存在 ストレス 要因 来客 同居猫との 相性不良 ・慢性的な騒音 ・特定の周波数 追加調査 予防策 環境の変化に気を使 い徐々に順応させる (特に3頭以上の飼育) ・ストレス緩和策として フェロモン製剤の使用 ・⽴場の強い猫の匂いを 消すなどの対策 ・防音カーテンの設置 ・猫が嫌う周波数の特定 考察② 飼育頭数 ① 性格 ② 飼育頭数 ③ 騒音 リスク 因子 ⾒知らぬ人 に対して 友好的ではない 多頭飼育 騒音の存在 ストレス 要因 来客 同居猫との 相性不良 ・慢性的な騒音 ・特定の周波数 追加調査 予防策 環境の変化に気を使 い徐々に順応させる (特に3頭以上の飼育) ・ストレス緩和策として フェロモン製剤の使用 ・⽴場の強い猫の匂いを 消すなどの対策 ・防音カーテンの設置 ・猫が嫌う周波数の特定 考察③ 騒音 ① 性格 ② 飼育頭数 ③ 騒音 リスク 因子 ⾒知らぬ人 に対して 友好的ではない 多頭飼育 騒音の存在 ストレス 要因 来客 同居猫との 相性不良 ・慢性的な騒音 ・特定の周波数 追加調査 予防策 環境の変化に気を使 い徐々に順応させる (特に3頭以上の飼育) ・ストレス緩和策として フェロモン製剤の使用 ・⽴場の強い猫の匂いを 消すなどの対策 ・防音カーテンの設置 ・猫が嫌う周波数の特定 結語 FLUTD発生のリスク因子として 猫の性格、飼育頭数、騒音が⽰唆された。 この結果より得られたストレス要因の仮説 をもとに追加調査を実施し、予防策も講じて いきたい。
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