アプリケーション ストーリー - アズビルトレーディング株式会社

アプリケーション ストーリー
フリアーシステムズの赤外線サーモグラ
フィは層流翼の開発に利用されています
極めて高感度なサーモグラフィFLIR SC7750L
航空機は、翼に当たった気流を曲げることで揚力を得ているため、飛行には気流が不可
欠です。
しかし同時に、気流は摩擦や抵抗を生み、失速や非効率化の原因となります。
航空機の翼に沿って滑らかに流れる層流の領域を広くするように設計された層流翼
は、摩擦抵抗を大幅に減らし、航空機の効率を向上させることができる技術として期待
されており、航空分野では層流翼の研究開発が広く行われています。フランスの航空
機メーカーのダッソー・アビアシオンは、飛行中の翼上の気流の状態を評価するため、
大型ジェット機のファルコン 7Xにフリアーシステムズののサーモグラフィを搭載して
テスト飛行を行いました。
ダッソーがテスト飛行に使用したサーモグ
ラフィはFLIR SC7750Lモデルです。この
モデルは飛行中の機外の厳しい気温や気
圧条件でも、温度勾配を測定できる最新
サーモグラフィです。フランス、
イストルの
ダッソー飛行試験センターで行われたテス
トでは、同社製ファルコン7Xジェット機の
右の水平尾翼に黒いカバーをかけ、水平
尾翼の表面を真上から撮影できる位置に
FLIR SC7750Lを設置しました。
このテスト飛行は、欧州クリーンスカイプ
ログラムのもとで、エアバス、
ダッソーなど
が共同で行っているスマート固定翼航空機
(Smart Fixed-Wing Aircraft)研究プ
ロジェクトの一環として行われました。こ
www.flir.com
のプロジェクトでは、2014年にエアバス
A340-300を改造して技術検証を行う計
画で、今回のテストはその予備段階となり
ます。クリーンスカイプログラムは欧州最
大の研究開発計画で、2020年に向けてク
リーンで静かな次世代航空機技術を開発
することを目標としています。
ダッソー・アビアシオンは5大陸、70ヶ国に
展開する世界有数の航空機メーカーで、
ラファール戦闘機、ビジネスジェット機の
ファルコンシリーズなどを製造していま
す。フランスと米国に組立製造拠点があ
り、世界各地にサービス施設を有していま
す。1963年のファルコン20の発売以来、
ファルコンジェット機は世界67カ国で使用
サーモグラフィFLIR SC7750Lをファルコン7Xの
右尾翼を真上から撮影できるよう、尾翼上部に設
置した。
乱流エリア
層流エリア
右水平尾翼の気流の赤外線画像
されています。
「航空機の翼周辺の気流は摩擦を引き起
こします」とPhilippe氏。
「気流は基本的に
層流と乱流に分類されます。不規則な流れ
が少なく、摩擦が低ければ層流、抵抗が大
きければ乱流と考えられます。摩擦抵抗が
大きいと、機体の推力に対するエネルギー
消費量が増えるため、航空機の設計ではい
かに乱流を減らし、層流を増やすかに取り
組んでいます。」
ダッソー・アビアシオンでは、1986~1989
年に層流翼を付けた小型ビジネスジェット
のファルコン50を使って、一連のテスト飛
行を成功させています。
しかし、現在は、セ
ールプレーン機や小型機以外の大型ジェッ
ト機への層流翼の採用が検討されている
段階で、大型機を使った層流翼の安全性と
効率性の検証試験や解析が求められてい
ます。
赤外線サーモグラフィFLIR SC7750L
• 640×512ピクセルの水銀カドミウムテルル
(MCT)焦点面アレイ
(FPA)検出素子
• 周波数帯8 - 9.4 μm
• ピッチ16 μm
• スターリングサイクル冷却器
• 熱感度 <35 mK
• 温度較正範囲 -20 °C ~ 1500 °C
• 高度な解析ソフトウェア (FLIR Altair)
• スペクトルフィルターも利用可能
層流領域
遷移
乱流領域
ファルコン7X の翼は層流翼ではありま
せん。高高度では水平尾翼表面の最大
40%が層流であると予測されています。
「FLIRSC7750Lサーモグラフィを使った
計測試験は、
この予測を検証するために実
施されました。初期の解析結果では、層流
の割合は予測通りだったことが示されてい
ます。」
気流の方向
航空機の改良
FLIR SC7750Lサーモグラフィを使ったテ
スト飛行によって、サーマルイメージング
航空機の翼の周辺の境界気流の層流と乱流のパ
技術が層流翼研究に役立つことが示され
ターン分布を示す図
ました」とPhilippe氏。
「2014年に計画さ
れているエアバスA340-300を使った層
流翼テストをはじめとして、ダッソー、エア
擦が増えると温度が上がるため、翼の乱流 バス、その他のパートナーによる一連の大
領域では層流領域よりも温度が高くなる 型テスト飛行にこの計測技術が使用され
のです。
しかし、温度差は0.5~3℃と極め るでしょう。こうしたテスト飛行の成果を基
て小さいため、わずかな温度差も正確に に、近い将来、エネルギー効率の高い航空
検出できる信頼性の高いサーモグラフィ 機の開発が実現するでしょう。」
が必要でした。」
複雑なプロセス
層流境界層が乱流に移行するプロセスを
境界層遷移といいます。
「これは極めて複
雑なプロセスで、解明は十分には進んでい
ません。境界層遷移の解明がなかなか進
まない理由の一つに、翼の層流と乱流の
領域の正確な位置を測定する機器がない
ことがあります。そこでフリアーシステム
ズのサーモグラフィが投入されることにな
ったのです。」
ソリューションとなったFLIRSC7750L
Phileppe氏はFLIRSC7750Lサーモグラ
フィがこの高度なニーズを満たすソリュー
ションになったと言います。
「ダッソー・アビ
アシオンとONERA(フランス国立航空宇
宙研究所)が共同で、テスト飛行で得られ
た熱データの解析を進めています。赤外
線画像上で温度差が明瞭に示されるかど
うか、翼の層流領域と乱流領域の境界が
わかるかどうかを検証するため、慎重に解
析を行っているのです。まだ最終結果はで
「サーマルイメージング技術を使用して、 ていませんが、中間報告では目的は達成
わずかな温度差を検出することで層流を されたことが示されました。」
検出します。」とPhilippe氏。
「気流と温度
差の関係は科学的に立証されています。摩
FLIR SC7750L
ファルコン7Xの水平尾翼を真上から検査するため尾翼上部にサーモグラフィFLIR SC7750Lを設置した
※ご購入は下記代理店からお願いします。
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フリアーシステムズジャパン株式会社
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層流翼技術の大きな可能性
ダッソーのフューチャーファルコンプログ
ラムのプロジェクトマネージャーPhilippe
Rostand氏は、同社は摩擦抵抗を軽減す
る層流翼技術を近い将来導入する予定だ
と話します。
「理論上、層流翼の可能性は
非常に大きいと考えられています。空気力
学的な革新技術の中でも層流翼技術は抗
力を劇的に減少させる最大の可能性を秘
めています。初期の研究では、大型航空機
に層流翼を使用することで、5~10%の効
力低減、そしてそれに伴う燃料及び二酸化
炭素排出量削減の可能性が示されていま
す。」