アプリケーションストーリー - FLIRmedia.com

アプリケーションストーリー
ソーラーチーム・テュウェンテの21Connectsは、
ワールド・ソーラー・チャレンジで5位になりました。
赤外線サーモグラフィは学生たちによる
ソーラーカー開発に利用されています
1987年からオーストラリアで2年ごとに開催されているワールド・ソーラー・チャレン
ジは、世界的なソーラーカーのレースです。世界各地から集う参加者たちは、独自に
設計し、組立てた車両でダーウィンからアデレードまで南北約3000 kmの距離を走
破します。
ソーラーチーム・ツウェンテは、傾斜可能なレンズユ
ニットを搭載した、解像度320x240ピクセルのハ
ンディタイプ 赤外線サーモグラフィ FLIR T450
scを使用しています。
オランダのサクシオン大学とトゥウェンテ大学の混成チームは、この大会に2005回
から5回連続で出場しています。両大学の学生16名によるソーラーチーム・
トゥウェン
テは、悲願の初優勝に向けて、1年半の間、
ソーラーカーの開発に専念してきました。
ソーラーチーム・
トゥウェンテの活動は、完
全に学生たちの自主運営で行われていま
す。チームメンバーは独自に車両の設計、
組立及び試験を行っていますが、企業や
学術機関、
メディアとの共同プロジェクト
にも意欲的です。学生メンバーは16人で
すが、パートナーやアドバイザー、他の多
くの学生との交流からさまざまな新しい
経験の機会を得ています。
サーモグラフィ導入の経緯
現在のソーラーチーム・
トゥウェンテの前
身となるサクシオン大学とトゥウェンテ大
学の混成チームは、地元で開催されたト
レードショーでサーマルイメージング技
術を見て、この技術をソーラーカー開発
に利用できるのではないかと考えました。
ただ、
この時点でチームはワールド・ソーラ
ー・チャレンジに向けた車両開発の最終段
階にあったため、
レース前とレース中のソ
チームにとって技術的な進歩と革新は何 ーラーパネル点検にサーモグラフィを使
よりも重要です。ソーラーカー開発では、 用しただけでした。
しかし、
この経験をもと
多様なテクニックを駆使して、複雑なシス に、現行チームは開発始動時からサーマ
テムを構築していきます。こうしたテクニ ルイメージング技術を導入することがで
ックの一つとして、サーモグラフィが利用 きました。まず、チームは、彼らの野心的な
されています。
プロジェクトにこの技術を利用するため、
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ブレーキ検査後のキャリパー
急停止直後のブレーキ
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温度変化を見分けることが可能です。最
新の検出素子技術と高度なアルゴリズム
により、高性能かつ-20~+1500℃の範
囲での高精度な測定を実現しています。
フリアーシステムズに協力を求めました。
用途
ソーラーカー開発段階では、サーモグラ
フィは主にソーラーカーの各部品が大会
規定の仕様通りに問題なく動作すること
を確認するために使用されます。
ブレーキは特に入念なチェックが必要な
重要部品なので、サーモグラフィ検査が
有効です。
「ソーラーカーは、安全上の理
由から、平均時速50 kmで走行中にブレ
ーキをかけて規定距離以内で完全に停止
できることを確認しなければなりません」
とソーラーチーム・
トゥウェンテのChiel
De Wit氏は説明します。
「この検査を行
う際は、
レースで使用する技術上の秘密
が漏えいしないよう、
ソーラーカーの実物
大モデルを近くの空港に持ち込み、人目
を避けて検査を行います。検査では、さま
ざまな速度で走行中にブレーキディスク
の温度上昇をサーモグラフィで測定し、大
会規定の仕様に適合することを確認しま
す。さらに、サーモグラフィを使用して、最
高出力でのソーラーカーのエンジン検査
も行います。エンジンには熱センサーが
付いていますが、サーモグラフィを使うこ
とで、熱センサーよりも精度の高い情報
が得られます。」
効率化
レースで優勝するためにはエネルギー効
率が重要なカギとなります。
「車両各部
品の走行中の消費電力が少なければ、そ
れだけ走行に多くの電力を使用できるた
め、有利です」とソーラーチーム・
トゥウェ
ンテの管理チームのJelle Wagenvoort
氏。
「サーモグラフィを車両の電子部品の
検査に使用し、どの部品の消費電力が最
も大きいのかを調べ、効率化の余地はな
いかを判断します。」
ソーラーパネル
ソーラーカーは、ソーラーパネルで太陽
ソーラーチーム・トゥウェンテは、F L I R
T450scを使用しました。この機種は回
転可能なレンズユニットやタッチスクリー
ンを搭載した解像度320×240ピクセル
のハンディタイプのサーモグラフィです。
操作性に優れたFLIR T450scは、
レー
ス中の検査に最適です。
「レース中は、さ
まざま場所でさまざまな検査を行うため、
このサーモグラフィは大変便利でした」と
Wagenvoort氏。
「今回初めてサーモグ
ラフィを使用しましたが、熱画像の品質と
精度の高さには非常に満足しています。」
FLIR T450scは0.04℃というわずかな
通電中のバッテリー管理システム
赤外線カメラに関する情報は弊社までお気
軽にお問い合わせください。
:
フリアーシステムズジャパン株式会社
〒141-0021
東京都品川区上大崎2-13-17
目黒東急ビル5F
電話:03-6721-6648
FAX:03-6721-7946
Eメール:[email protected] www.flir.com
T820327 {JP_jp}_A
通電中の電子バッテリー
結論
「サーモグラフィは、
ソーラーカーの開発
に大いに役立ちました」
とDe Wit氏。
「サ
ーモグラフィを使用していなければ、各部
品が想定通りに機能しているかどうかを
起動回路
確実に把握することはできなかったでしょ
う。サーモグラフィを使用したことで、車両
の開発段階だけでなく、
レース中にも重要
光エネルギーを電気エネルギーに変えて
な技術的なメリットが得られました。」
走行するため、ソーラーパネルの重要性
は言うまでもありません。ソーラーパネル
「私たちの目標は、4日間のレースで優勝
の最重要部品は太陽電池セルです。セル
することです」とWagernvoort氏は付け
がレース中に休みなく発電できるかどう
加えます。
「レース中、
ソーラーカーの点検
かが勝敗のカギとなります。このセルの品
や修理が必要となる時がきます。ソーラー
質評価にサーモグラフィが重要な役割を
パネルの検査以外にも、冷却が必要な電
担っています。サーモグラフィは、セルの
気部品の検査にもサーモグラフィを使用
異常をはっきりと熱画像上で確認できる
するつもりです。」大会では、部品の冷却
だけでなく、車両に設置し、稼働した状態
に使用できるのは、周囲と同じ温度の水だ
でソーラーパネルを検査できるという他
けです。
「人工的な冷却装置の使用は許可
の方法にはない利点を有しています。
「ソ
されていません。ですから、部品の損傷を
ーラーパネルの一部の太陽電池セルに損
防ぐために、できるだけ早くオーバーヒー
傷があると、公称最大出力が低下します」
トした部品を特定しなければなりません。
とDe Wit氏。
「レース開始前はもちろん
レース中も、ソーラーパネルの状態を確
サーモグラフィのおかげで、競争相手を凌
認し、不良があれば、修理や交換ができる
駕するソーラーカーを開発できたと自信
ようにしておく必要があります。」
を持っています」
とWagenvoort氏はしめ
くくりました。
ハンディタイプサーモグラフィ
フリアーシステムズのサーモグラフィは
世界中で多彩な用途で使用されていま
す。さまざまな新製品開発現場でサーモ
グラフィが活用されています。サーモグラ
フィは、温度分布や温度変化に関する情
報をリアルタイムで収集、記録できるた
め、各種機器、製品、工程における熱パタ
ーンや熱消散、熱漏れなどを確認し、正確
に測定できます。