英国マギーセンター記録

がん患者さんが相談するということ、相談の質の評価と進化のための研究
~ロンドンのマギーズがんケアセンター訪問インタビュー
逐語通訳:重松加代子 文責: 村上紀美子
お話し
右:マギーズがん
マギーズがんセンター
がんセンターCEO
センターCEO ローラ・
ローラ・りーさん:
さん:
がん専門看護師、セントバーソロミュー病院で看護教
育を受け、バーミンガム大学で修士号を取得。マギー
さんの担当ナースであり、マギセンターを創立。
左:ロンドンの
ロンドンのマギーズセンター長
マギーズセンター長 バーニーさん
バーニーさん:
さん:
がんの CNS、エジンバラの病院で勤務中からローラと
マギーを知り、ともに働く。
・欧州・地域ケアの実際と教育・自主協力グループ視察
研修(企画:村上紀美子)
(英語逐語通訳:重松加代子)
・2012 年 1 月 5 日マギーズがんセンターにて
CEO ローラ・リーさん
みなさまこんにちは。2011 年のクリスマスに、新しいマギーズがんケアセンターが世界的に有名な日本
の建築家・故黒川紀章さん設計によりウエールズで完成しました。オープンセレモニーには、駐英日本大
使や黒川さんのご家族もご列席いただき、特別な 1 日になりました。
今日は、秋山正子さんはじめみなさま来てくださってありがとうございます。今日のプログラムは、マ
ギーズがんケアセンターにおける日々の活動、相談のプロセス、質の保証と進化についての研究などを、
用意しています。
<マギーズ
マギーズがんケア
がんケアセンター
ケアセンターの
センターの基礎知識・
基礎知識・病院を
病院を補完>
補完>
マギーズがんケアセンターは、スコットランドで 4 年前に始まりました。
2012 年初には 14 か所になり、多
多くは、
くは、がんセンター
がんセンター病院
センター病院の
病院の敷地内にあります
敷地内にあります。
にあります。マギーがんケアセンタ
ーは、がんの患者さんに医療サービスを提供する病院にとって代わるのではなく、病院
病院では
病院では提供
では提供できない
提供できない
部分を
部分を補完することが
補完することが、
することが、我々の目標です
目標です。
です。
一番新しいのは、オックスフォードでサービスが始まろうとしています。またロンドンの 2 つ目のマギ
ーが、ロンドンのセントバーソロミュー病院(1 月 3 日に訪問)に新しいがんセンターを作るのでその構
内に、2013 年初めから、建設が始まります。
ロンドンのマギーがんケアセンターには、患者
患者さん
患者さん、
さん、ご家族、
家族、お友達など
友達など(
など(以下「
以下「患者さん
患者さんたち
さんたち)
たち)で総
称)
。1 日に 40 人~100 人が訪れます。
マギーのスタッフのチームは、小規模です。小規模
小規模の
小規模のチームが
チームが良い理由は、同じ患者さんたちが何度も
ここに来られるので、顔なじみの人がいることが、安心感につながります。スタッフも、ほとんどの患者
さんを知り、その方の物語を知っている状態ができるので、
“個人的なつながりのある
個人的なつながりのある場所
なつながりのある場所”
場所”だと、訪れ
る人に感じてもらうことができるのです。
このチームメンバーは、がんサポートのスペシャリスト、心理の専門家、がんの患者さんが利用できる
国の福祉サービス制度や経済援助のアドバイサー、個別グループ活動のリラクゼーションやストレスマネ
ジメントを指導する専門家などです。医療職スタッフは、自分の専門性・知識・スキルを、このチャリテ
ィの場に提供しています。
私たちの活動は、簡単にいうと、がんと診断されると患者さんたちはいろんな影響を受けますが、
“が
が
がん相談のプロセス・質・研究~マギーズがんケアセンター
文責:村上紀美子 1
んになったこと
んになったことは
ことは自分にとって
自分にとってどういうことなのかを
にとってどういうことなのかを、
どういうことなのかを、理解できるようお
理解できるようお手伝
できるようお手伝いする
手伝いする”
いする”ことが、目的だと
思います。そこを理解すると、
“がんになって、自分ではどうしようもない状態になってしまった”と思っ
ていたけれども、
“そこでもまだ、自分でコントロールできる何かがある!”という気持ちを持って、日々
“自分から動きだせることがある”と分かり、
“動き出せる何かを見つける”ことができるのです。
マギーがんケアセンターでは、建物と庭などの空間が重要と考えています。この空間とここで提供され
るプログラムが一緒になって、患者さんが自分をコントロールできるように 1 歩を踏み出すお手伝いがで
きるのです。適切な環境にいることで、
「病気になってもう何も自分ではコントロールできない」と思って
いたのが、
「自分の悩みを話してみようかな」と思えるし、またそこから 1 歩踏み出して「自分の人生を
自分でコントロールして、何かやっていこう」と思えるようになるのです。
Ⅰ がんの患者
がんの患者さん
患者さんたち
さんたちが
たちが相談する
相談する、
する、ということ
1、 初めて訪
めて訪ねてきたとき:
ねてきたとき:友人のように
友人のように迎
のように迎える
まず、受け付けがありません。どこか友達
友達や
友達や近所の
近所の家を訪ねた感
ねた感じになるよう
になるように
るように、受け付けは置かず、
誰かが入ってきたら、スタッフなりボランティアが入口に出て「こんにちは」と迎えます。
このように迎えることは、いろんなレベルでとても大切なのです。
まず、患者さんたちは、がんの診断を受けて、いろんな影響を受けやすい繊細な弱い立場におられます。
意識しているか無意識かは別として、がんと診断されたことを気にかけ、誰かに頼る必要があるような状
態です。そういう状態にあるときにここのドアを開け、足を一歩踏み入れるのは、非常に大きな、勇気の
いることです。
・そういう方が、入ってきたらすぐに“ここは安心
ここは安心で
安心できる、
きる、楽に居られる場
られる場なんだ”
なんだ”と実感してもらう。
・出迎えたスタッフやボランティアと、患者さんたちが、人
人と人としての関係性
としての関係性をつくる。
関係性
・お話しながら、その
その方
その方がどういう状態
がどういう状態であるかを
状態であるかを、
であるかを、言語的・
言語的・非言語的に
非言語的にアセスメントする。
アセスメント
こういうことを、会
会った瞬間
った瞬間に
瞬間に把握する
把握することが、重要なのです。
する
2、ご本人に
本人に聴いてプログラム
いてプログラム:
プログラム:本人が
本人が一番の
一番のエキスパート
予約もいりませんし、自由に立ち寄れる場なので、いろんなことを求めて来られます。
・誰かと話したい、自分のことを説明したい、誰かに聞いてもらいたい
・自分に起きたこと、がんという診断が出た(治療する)というのは、いったい自分にとってどういう意
味を持つのか、その意味を理解したい
・もっと情報がほしい、など。
マギーに来られた方の、ご
ご自身の
自身の経験に
経験についての一番
ついての一番の
一番のエキスパートは
エキスパートは、ご自身です。
自身
我々スタッフは、さまざまな専門性やスキルを持っていますが、まず
まずそのご
まずそのご自身
そのご自身のお
自身のお話
のお話を聴きます。聴
きながら“
“その方
、それ
その方が必要としている
必要としている、
としている、私たちの提供
たちの提供できる
提供できる知識
できる知識や
知識やスキルや
スキルや支援は
支援は何かを見極
かを見極めて
見極めて”
めて”
をまとめて“
“その方
その方のプログラムへとつないでいく
プログラムへとつないでいく”
へとつないでいく”ことが大事です。
3、場の力:バラバラになった
バラバラになった感覚
になった感覚を
感覚を再統合する
再統合する
ここで行われているプログラムは、最初はシンプルに、簡単にアクセスできそこに行けば何かできる、
ということで生まれました。
玄関を
玄関を入るとすぐ見
るとすぐ見えるキッチンテーブル
えるキッチンテーブルの
キッチンテーブルの周りに集
りに集まって、お茶飲みながらよもやま話をしていた。
まって
それが、徐々にさらにサポートグループのような感じになり、治療的効果がある、とわかりました。ただ
お茶を飲むよりは、そこに参加するのは、もう少し勇気がいることですね。
あちこちに行かなくてもサービスすむように、すべてはこの場所この建物と庭と空間で、提供します。
この場所
この場所で
場所で提供されるすべての
提供されるすべての活動
されるすべての活動に
活動に、心理的要素を
心理的要素を含めて統合
めて統合しています。
統合
サイコオンコロジスト(がんの心理学)の研究によると、どの患者さんたちも、がんと診断されると、
“やり
やり場
やり場がない、
がない、希望がない
希望がない、
がない、社会的に
社会的に自分は
自分は孤立してしまった
孤立してしまった”
してしまった”という感覚を持たれます。バラバラに
がん相談のプロセス・質・研究~マギーズがんケアセンター
文責:村上紀美子 2
なってしまったような感覚を“
“もう一度
もう一度、
一度、一人の
一人の人間として
人間として統合
として統合し
統合し直す”のに、この建物や庭の空間が重
要で、ここのキッチンテーブルに座ってお茶を飲んで、人の話が聞こえて、そのうちに自分も話に加わろ
うとする、それが大事なんです。
4、何かしたい:
かしたい:自助活動グループ
自助活動グループで
グループで心理・
心理・教育的アプローチ
教育的アプローチ
そうするうち「もう少し学びたい、知りたい」ということで、的を絞ったプログラムを始めようとなっ
てきました。女性はお茶飲んでしゃべるだけで治療的効果が得られるんですが、男性はもう少し形のある
コースに参加する方が魅力を感じる方が多いようですよ。
最初のコースは、がんと
がんと診断
「これからいったいどういう
がんと診断され
診断され治療
され治療を
治療を始めることになった人
めることになった人たちから、
たち
風になるんだろうか知りたい」と言う声から生まれました。
次に生まれたのは、治療
治療が
治療が一通り
一通り終わった後
わった後の方のためのコースです。主治医からは「これで治療が終
わったので、普段の生活に戻って良いですよ」と言われたが、どういうことなんだろう、普段の生活って
どういうことだろう、何が起きるんだろう、ほんとに元の生活ができるんだろうか?などが不安と言う方
のためです。
今は、食事と栄養や、ストレス管理、がん
がん患者
がん患者さんを
患者さんをサポート
さんをサポートしている
サポートしている介助者
している介助者のためのプログラム、運
介助者
動や文化活動(ヨガや太極拳、絵画など)のコースもあります。
「ゲットスタ―
」というコースは、今自分に起きていることや、受けている治療を理解
ゲットスタ―テド〔
テド〔始まり〕
まり〕
」
するためもプログラムです。治療開始前・治療中・治療終了後のかたに情報提供し、さらにこれからどう
なっていくかを示唆し、対処していけるような情報提供もします。
ここで提供するのは、医学的なアプローチではなく、心理・教育的なアプローチであり、学習
学習という
学習という要
という要
素とともに、
とともに、サポートという
サポートという要素
という要素が含まれています。
要素
同じような体験を持つ方があつまることで、互
互いに支
集中的な
いに支え合う要素もあります。中には、集中的
集中的な心理サ
心理サ
ポートが必要な方もおられるので、サポートグループや個人セッションも、場合によって行います。ファ
ポート
シリテーターは、経験豊かながんの専門家か心理の専門家です。
我々のしている活動はすべて、研究の裏付けがあります。ここで行っているコースには、バーニーロン
ドンセンター所長のような、がん看護の専門家が必要ですし、心理の専門家、体を動かすプログラムの時
は運動の専門家、ときには病院の医師やナースにも参加してもらいます。
5、学習マニュアル
学習マニュアル:
マニュアル:生活スタイル
生活スタイル変化
スタイル変化の
変化の行動計画や
行動計画や目標書き
目標書き込み
これらの教育コースでは、スライドやプレゼンやディスカッションを行うのですが、参加者にはマニュ
アルをお渡ししています。マニュアルによって理解を深めたり、サポートを検討したり、家でもう一度振
り返るときの参考になるし、学んだことをもう一度復習することで自分のものにできますし、後々、見て
参考にできます。
「初めて治療を受ける方のコース」のマニュアルでは、がんの病気や治療によって自分の生活スタイル
を変える必要がありますが、
「自分はどういう
「ど
自分はどういう風
はどういう風に生活スタイル
生活スタイルを
スタイルを変えようか、
えようか、という活動計画
という活動計画」
活動計画」や、
ういう目標
ういう目標を
目標を達成し
達成しようか」
ようか」を書きこみ
きこみます。患者さんたちが、現実的に達成できるような目標を立てら
れるように、私たちは話し合いながらお手伝いします。
マニュアル作成は、これまでのマギーの活動を通して患者
患者さんやご
患者さんやご家族
さんやご家族の
家族の声を聞いてきた中
いてきた中から、
から、自然
に分かってきたこと、
かってきたこと、共通する
共通するテーマ
するテーマとして
テーマとして浮
として浮かび上
かび上がってきたことをベー
がってきたことをベース
ベースに、長年かけて、作っては
改善するというプロセスをへて、我々で作っています。例えばリラクゼーションやストレスマネジメント
のマニュアルができていますが、数年このコースを実施してきた中で徐々にできてきたものです。
6、コース終了後
コース終了後もつづく
終了後もつづく
こうしていろいろなコースを受けた方が増えて、最近では、一度コースを卒業した人のためのコースも
初めています。終了後、2 カ月に一度ここに
「生活スタイル
一度ここに集
ここに集まり、
まり、
生活スタイルを
スタイルを変えて行
えて行く行動計画」
行動計画」や「目標達成」
目標達成」
がうまく行
がうまく行ってるか、
ってるか、確かめるのです。
かめ
7、現実問題:
現実問題:経済援助や
経済援助や福祉サービス
福祉サービスなど
サービスなど
がん相談のプロセス・質・研究~マギーズがんケアセンター
文責:村上紀美子 3
現実的な問題、経済的
経済的な
経済的な支援や
支援や家事援助や
家事援助や子どもの養育
どもの養育問題は、ベネフィットアドバイザーが対応しま
養育
す。こういう対応がまず先になるケースもあります。こういう問題に困窮して、患者さんたちが自分の感
情的心理的問題に手がつけられないということもありますので、そういうときはまずその問題をかたずけ
ることで、自分の心の問題感情の問題に対処できるということがあります。
8、もう一度
もう一度、
一度、自分の
自分の足で自分の
自分の人生を
人生を歩んでいけるように
我々が提供できる要素を図示したのが「マギーの木」
(下図)です。どこから始まりどこから終わって
も、良いのです。マギーの木のいろんな枝はここでのプログラムを示していますが、患者さんたちがこの
玄関に入ったその時に、
「どのコースに行けばいい
のかが、分かっている」わけではありません。
そのために、ここで働くスタッフのスキルが必
要なのです。
入ってきた方が“
“どういう人
どういう人で、その人
その人の生活
構造や
構造や人生がどうなっているか
人生がどうなっているか、
がどうなっているか、何を必要として
必要として
いるか”
いるか”を全体的
全体的に、言葉や
言葉や言葉以外の
言葉以外の全体から
全体から、
から、
アセスメントします。
アセスメント
そうして、
“その方に必要ないろんな要素をつな
ぎあわせ”て、ここに入って来た時の、
“地に足が
つかなくなっている状態”から、もう一度“しっ
かりと自分の足を地につけて歩み出せる”
ように、
お手伝いしているのです。
そして“自分
自分の
自分の治療や
治療やケアに
ケアに、ご本人が
本人が積極的
に参加することができる
参加することができる”
することができる”ようになることが、そ
の方のその時の QOL にとても重要です。
Ⅱ 患者さんたちの
患者さんたちの記録
さんたちの記録がないこと
記録がないこと
マギーがんケアセンターは、病院ではないし医学的アプローチではないので、患者さんたちの記録やカ
ルテはありません。ですから私
私たちスタッフ
たちスタッフは
スタッフは、病院のような
病院のようなカルテ
のようなカルテを
カルテを見るのではなく、
るのではなく、スタッフの
スタッフの専門
性で傾聴して
傾聴してアセスメント
してアセスメントして
アセスメントして、
して、患者さんたちの
患者さんたちの状況
さんたちの状況を
状況を見極める
見極めることが重要です。
める
常に集中して患者さんたちの様子を見、お話をし、話されることに、私たちの知識やスキルを加えて、
その患者さんたちに起きていることを理解できるようにする。
かみ合わない部分は、
患者さんたち自身が、
担当のドクターやナースに聞けるようにしていく。患者
患者さんたちと
患者さんたちと協働作業
さんたちと協働作業で
協働作業で、状況を
状況を明らかにしていく
プロセスが大事です。
患者さんは、ここに行きなさいと誰かに言われて来るんじゃなく、
「ここに来たい」と思って自由意思
でここに来られています。だから、どんな患者さんがここに来られているかを、医療者に連絡することは
私たちの責任ではありません。唯一病院のスタッフに連絡しないといけないのは、
「この患者さんはとても
大きなリスクをもっている」ことが判明した時だけ。それも患者さんに話して、病院に伝えることを了解
された時だけです。
マギーがんケアセンターの利用者全体の記録と言う意味では、患者さんたちがここを選んで訪ねてくる、
最初のステップを踏むレベルでは、記録はないのです。
でも、いくつかのレベルでは記録をしています。
・まず、ここで行っているプログラムに参加するレベルでは、記録を取ります。年齢や病名やすまいや家
族構成など。
・さらに、ここで行っている研究〔後述〕に協力していただく了解を得た方には、もっと詳しい記録にな
ります。
がん相談のプロセス・質・研究~マギーズがんケアセンター
文責:村上紀美子 4
Ⅲ スタッフの
スタッフの力:採用と
採用と力量育成
このように、マギーがんケアセンターはスタッフの力量が重要なので、スタッフ採用や育成は大きな課
題です。
○経験に
経験に基づく力量
づく力量で
力量で採用:まずは採用の時に、力のある人を採用しようという方針です。力があるとい
採用
うのは、修士号があるとか学歴というよりも、がん
がん看護
がん看護の
看護の経験に
経験に基づく力量
づく力量がある
力量がある、
がある、その中
その中でも優秀
でも優秀な
優秀な人
を採用したいのです。
○どのがんでもジェネラル
どのがんでもジェネラルに
情報源を把握:それでも、どんどん知識や情報は進化しますから、追いつき
把握
ジェネラルに情報源を
維持するのはどうするか。今は、がんの部位別に治療が進化していますが、マギーがんケアセンターは、
ジェネラルにどのがんでも
ジェネラルにどのがんでも対応
にどのがんでも対応できるように
対応できるようにしたいのです。このため、どんな専門家でも一人ですべての
できるように
知識を持つことは不可能なので、その状況
状況に
状況に合った適切
った適切な
適切な知識や
知識や情報がどこで
情報がどこで得
がどこで得られるかを
られるかを、把握してお
把握
くことで対応しようとしています。それを分かっているのが、センター長です。
○患者さんたち
患者さんたちに
さんたちに聴く:もうひとつ重要なのは、患者さんたちの話に耳を傾けることです。専門家がどれ
だけ良い知識やスキルを持っていてもそれは 50%だけで、後
後の 50%
50%は患者さん
患者さんたち
さんたちご
たちご自身の
自身の力です。A
さんに良かったこととBさんに良かったことは違いますから、
ご本人から情報をいただくことが重要です。
○患者さんたちに
患者さんたちに結果
さんたちに結果を
結果を確かめる:それと、患者さんたちと話し合ったりアドバイスしたことを、あとで、
あとで、
「あれはいかがでしたか?」
あれはいかがでしたか?」と
?」と聴いて確
いて確かめることも、とても大事です。覚えていて聴くことは、患者さ
かめる
んたちとの関係性を深めることになりますし、私たちの経験知を豊かにすることになります。
○情報源の
情報源の良しあしを見極
しあしを見極める
見極める:今はいろんな良いウエブサイトがありますので、私たち専門家は善し悪
める
しの判断をしやすいので、適切なサイトを紹介することも重要です。
○ボランティアがここに
ボランティアがここに貢献
がここに貢献できるよう
貢献できるようサポート
できるようサポート:スタッフは少数で、ボランティアがたくさん活動して
サポート
います。動き方は、各地のセンターで少し違います。
ロンドンでは、ボランティアのお一人に、メンバーのマネジメントやパンフレットなどの整理など、す
べてしていただき、そのおかげで医療スタッフは専門の仕事ができます。
ボランティアになりたいという人を採用するときは、面接をし、日
日々マンツーマンでその
マンツーマンでその人
でその人の動きをア
きをア
セスメントをして
仕事の
セスメントをして助言
をして助言していきます。それと「ボランティアの仕事はこうこうです」と仕事
助言
仕事の内容と
内容と範囲
を明確に
ボランティアがここでの
明確に文書にしておくことも大事です。つまり、ボランティア
文書
ボランティアがここでの活動
がここでの活動に
活動に貢献できるよう
貢献できるようなサポ
できるよう
ートをしています。
Ⅳ サービスの
サービスの質を評価し
評価し進化する
進化する
マギーズがんケアセンターで提供するサービスや
サポートが最高のものであることを担保し、科学的
根拠や研究に基づくものであることを示すうえでも,
サービスの質に関する活動が重要です。
質の評価と向上に関して、
次のことをしています。
○サイコオンコロジーの
サイコオンコロジーの研究文献
研究文献:
文献
英国内外の文献を参照しています。
○専門家による
専門家によるアドバイ
によるアドバイザー
アドバイザー会議
ザー会議と
会議と利用者調査:
利用者調査
医師、ナース、公衆衛生医、心理などの専門家に
よるアドバイザー会議が、マギー
マギーがん
マギーがんケアセンター
がんケアセンターの
ケアセンターのプログラムや
プログラムやサービスについて
サービスについて見直
について見直し
見直しをし、
をし、アドバ
イスを受けます。
イス
ここが毎年
毎年の
利用者全体
毎年の監査を
監査を行います。毎年の監査にあたって、マギーがんケアセンター利用者
利用者全体から
全体から 2%を
抽出して
「もっと良くなることは?」
「どうだったらサービ
抽出して、
して 「ここのサービスは満足いくものだったか」
スがもっと改善できるか」など聴いています。これは毎年行っているので、年
年々の動きが、
きが、いま重要
いま重要な
重要なテ
ーマは
良い結果につな
ーマは何か、問題は
問題は何か、など把握
など把握できます。また我々の活動を変更したときに、それが良
把握
結果につな
がん相談のプロセス・質・研究~マギーズがんケアセンター
文責:村上紀美子 5
がっている
「そのコースを受け
がっているのか
ているのか、
のか、も確かめられます。また、何か特別なプログラムを始めた場合も、
かめ
て、自分のがんに対する理解が深まりましたか」などと聞いて評価を得ます。
○研究機関との
研究機関との提携
との提携:
提携
マギーは研究機関ではないので、
「自分たちの提供するプログラムやサポートが、質が高く役に立つも
のであるかどうか」確認しながらやっていくため、外部の研究機関と連携して、研究や活動評価をします。
たとえば、スコットランドのダンディにあるセンターでは、病院や大学と連携して、
「大腸がんの
大腸がんの患者
がんの患者
さんを対象
さんを対象に
に
、
マギーがん
マギー
がんケア
ケアセンター
センターに
に
来
た
人
と
、
来
なかった人
なかった
人
との比較研究
との
比較研究」
」
をしています。その研
対象
がんケアセンター
比較研究
究を通じて、
“患者さんが
“我々が提供すべき
患者さんが必要
さんが必要としているが
必要としているが、
としているが、我々が提供していないもの
提供していないもの”
していないもの”があるか、
があるか、
提供すべき
ではないもの”
ではないもの”があるか、分かります。
別のセンターでは、
「リラクゼーションやストレス管理のコースの評価」もしています。そういう“
“コ
ースを
、
“コースをどれくらい
ースを受けるまでに、
けるまでに、病気と
病気と分かってからどれくらいの
かってからどれくらいの時間
どれくらいの時間がかかっているのか
時間がかかっているのか”
がかかっているのか”
コースをどれくらい
続けると
、
“今のやり方
けると効果があるのか
効果があるのか”
があるのか”
のやり方で良いのか、
いのか、もっと改善点
もっと改善点があるのか
改善点があるのか”
があるのか”など、調べています。
「環境の役割についての評価」もしています。マギーがんケアセンターは建物や庭を重視し、かなりの
投資をしているのですが、
“建物や
、
“そ
建物や庭や空間によって
空間によって、
によって、活動に
活動に本当に
本当にプラス効果
プラス効果があるのかどうか
効果があるのかどうか”
があるのかどうか”
こに集
こに集う人のつながりが深
のつながりが深まり、
まり、ホスピタリティや
ホスピタリティや希望が
希望が強まるのか”
まるのか”など、確かめます。
○外部監査:
マギーと
外部監査:3 年ごとに、外部の専門家に依頼して監査も行います。これは、マギー
マギーと全く接点を
接点を持たな
い、著名な
著名な専門家
専門家に依頼して
依頼
〔前回はスタンフォード大学の精神科医〕
、
「建設的な批評をしてもらい」
「よ
り高いものを目指す」
、あるいは「今やってることで間違いないんだと確認」するのです。
マギーの活動資金はチャリティですが、外部監査をの評価を通して、資金提供してくださる方たちに、
「マギーがんケアセンターのしていることは間違いない」
ということをアピールできることにもなります。
今年 2012 年の外部監査は
外部監査は、がんの遺伝子学
がんの遺伝子学と
遺伝子学と心理学の
心理学の専門家に依頼します。
専門家
というのは、がんの
がんの遺伝子治療
がんの遺伝子治療や
遺伝子治療や遺伝子検査ができるようになったことで
遺伝子検査ができるようになったことで、
ができるようになったことで、複雑な
複雑な問題が実際に生じて
問題
いるのです。両親ががんになった子世代は「自分もがん遺伝子を持っているんだろうか?」
「遺伝子検査を
すべきだろうか?」と悩む。検査で遺伝子を持っていると分かったら、
「ではどうするか?」の悩み。例え
ば乳がんの遺伝子を持つと分かったら、20 代前半で「将来がんにならないために、乳房切除したほうが良
いのだろうか」などの悩みも出ています。
「知識が知りたい」
「リスクを減らすために何ができるか知りた
い」という相談もあります。
マギーがんケアセンターの活動
活動が
こうした現実の
きや問題から
適切かどうか、どう
活動が、こうした現実
現実の動きや問題
問題から見
から見て適切かどうか
かどうか どう対応
どう対応すれば
対応すれば
いいかを
いいかを監査していただくために、著名な遺伝子学の専門家を依頼することにしました。
監査
Ⅴ これからの課題
これからの課題:
課題:変化に
変化に対応でき
対応できるよう
できるよう常
るよう常に進化
こういう、サービスの質の評価・保証の活動は、マギー
マギーがん
マギーがんケアセンター
がんケアセンターの
ケアセンターのクリエイティブな
クリエイティブな活動に
活動に、
さらに刺激
刺激をあたえてくれると信じています。
さらに
刺激
世界の経済不況、解雇、失業など、社会にいろんな課題がある中で、私たちの責任は、マギーがんケア
センターが常に健全で良い形で動いて行き、不況でも患者さんたちに適切なサービスや活動を提供し、英
国の医療にも貢献できていることを示すことです。質
質の評価をすることで
評価をすることで、
をすることで、今もそして将来
もそして将来も
将来も正しい方向
しい方向
で活動していけるようにし
活動していけるようにしていきたい
していけるようにしていきたいと考えています。
ていきたい
また、がんの個別化治療が進み、治療の幅が非常に広がってきています。それらにマギーがんケアセン
ターのスタッフが対応するためには、身
身につけなければならない知識
につけなければならない知識が
知識が際限なく
際限なく広
なく広がり、
がり、どう対
どう対最新の
最新の知
識を身につけるかも
につけるかも大
かも大きな課題
きな課題です。また、がんの患者さんの数は増え続ける傾向ですし、がん治療法が
課題
進歩することで、がんの
がんのサバイバー
サバイバーが
しかも長く生きられるようになっています。このことに対応
きられる
がんのサバイバーが増え、しかも長
していくことも重要です。こうした変化に対応できるよう、我
我々が行っているサービス
っているサービスを
サービスを常に見直し
見直して、
つねに進化
ねに進化が
進化が必要と考えています。
必要
がん相談のプロセス・質・研究~マギーズがんケアセンター
文責:村上紀美子 6