特 集「目標校シミュレーションテスト」 中学入試レポート vol. 3 男子校・女子校ならではの魅力と、 共学校の良さを考えてみよう 5年生の目標校シミュレーションテストは今回で3回目。大勢の仲間が集まって力 を競う、こうしたテストの雰囲気や形式に、ようやく慣れてきた受験生も多いと思 う。これから再来年2月の入試までに、保護者の皆さんは、学校見学をしながら、わ が子の受験校を考えていくことになる。そこでベストの受験校を選んでいくための ヒントを、今回は「男子校・女子校・共学校」という設置形態の違いと、それぞれの 特色や魅力の面から考えてみたい。 首都圏模試センター グローバル人材の育成に向け、着々と改革を進める海城。来 春2014年入試では帰国生入試の科目を変更する。 もともと私学のほとんどが、 男子校・女子校だった 親子で受験校を選んでいくときに意識すべき 最大のポイントは、 いうまでもなく「わが子にあっ た学校かどうか」という点である。では、 「わが 子にあった学校」とはどのようなものか。それに はいくつかの観点がある。 ひとつには、男子校・女子校・共学校という、 設置形態の違いがある。 ご存知のように、現代の学校教育における公 立小学校、公立中学校のあり方は、共学校の形 が標準となっている。公立高校もほとんど (一部、 東日本の県立高校を除き)が共学校として存在 している。 早くから大学進学でも高い実績をあげてきた 一方私学には、男子だけの学校(男子校) 、女 開成、麻布、武蔵、桜蔭、女子学院、フェリス女 子だけの学校(女子校) 、そして男女が一緒に学 学院、雙葉などが、いずれも男子校、女子校で ぶ(共学校)というバリエーションがあり、それ あるのは、そうした経緯によるといってもいい。 が中学受験生にとっての三つの選択肢となって つまり、これまでに高い成果をあげてきた私学 いる。 の「中高6年間一貫教育」のルーツは、男子校・ こうした設置形態の違いと、それぞれの特色 女子校にあるという見方もできるわけだ。 や魅力を知り、わが子に合った(保護者がわが しかし、戦後の新たな民主主義教育が導入さ 子に望む)タイプの学校を選ぶことも、志望校 れた際に、公立中学校はすべて共学となり、公 を選ぶうえでの大切なポイントだ。 立高校も(北関東から東北エリアの一部の県立 いまの中学受験生(小学生)の保護者の皆さ んは、ご自身が私立の男子校、女子校のご出身 の方を除けば、 「共学が当たり前」の時代と環境 のなかで育ってきた世代だろう。 しかし、もともと、明治〜大正時代に創立され た多くの私学は、男子だけの学校、女子だけの 校を除いて)ほとんどが共学校として再スタート した。 そして、男女共学が自然な形として世の中に浸 透していくなかで、私学にも共学校が生まれ、あ るいは男子校、女子校から共学化する私学も年々 増えてきた。 学校としてスタートした経緯がある。男女共学 とくに1970年代後半(昭和50年代なかば) (共修)が一般的になる前の時代、たとえば創立 以降に新設・再開された私立中学校の多くは、 から百年以上の歴史を持つ私学は、ほとんどが 共学校としてスタート、あるいは開校後に共学化 男子校、女子校という形態で、長い伝統を形作っ に踏み切り、現在に至っている。 てきた。古くは旧制の高等学校、高等女学校を 見ても、公私ともにすべて男子校、女子校だった。 ちなみに、1978(昭和53)年から2013(平 成25)年にかけての35年の間に、計115校の 特集 男子校・女子校ならではの魅力と、 共学校の良さを考えてみよう 私学が中学を新設・再開しているが、そのうち 70校は共学校である。そして同じ期間に男子校、 しにくいのも事実だろう。 しかし、中学生時代の男子と女子には、明らか 女子校から共学化した私学は55校もある。現在 な成長過程での違いがある。すでに小学生の保 では先の伝統校と競い合うほどの高い進学実績 護者も実感しているだろうが男子と女子の精神 をあげるようになった渋谷教育学園渋谷などの 的・身体的な成長のスピード(リズム)の違いが 共学校は、いずれもこの時期に誕生した、いわ ある。 ば “ニューウェーブ” の私学ということができる。 わかりやすい例をあげると、小学校高学年から 中学1〜2年の頃までは、男子と女子の精神年齢 いま再び見直したい、 男女別学(男子校・女子校)の意義 いがあるといわれる。その間に、男子は男子だ こうして「共学化」の波は、徐々に私学にも波 けで、女子は女子だけで学ぶことには、学習指 及してきた。最近はどちらかといえば、受験生 導の場面でも生活指導の場面でも大きな意味や や保護者の間でも「共学校人気」が高まりつつ 効果があることが、すでに教育の現場でも語ら ある印象を受ける。 れている。そうした実証データも海外の研究に しかし、先にあげたような長い伝統を持つ私学 の成長の度合いは、一般的には1歳〜1歳半の違 はあるという。 の男子校、女子校が、これまでに高い教育の成 とくに教科教育の場面では、男子の理解や良 果をあげ、 多くのファンを形成してきた背景には、 い反応を促す質問の投げかけ方(教授法)と、 やはり男子校、女子校ならではの魅力や、具体 女子に対するそれとは、やはり違いがある。たと 的なメリットがあることも理解しておく必要があ えば男子には、少し難しい問題をゲーム的に競う る。 ように投げかけると反応が良く、逆に女子には、 男子校、女子校の良さは、その学校を卒業し 事前に丁寧な説明をしたうえで、確実に達成感 た方がいちばんよく知っている。あるいは実際 を得られるような組み立てで、授業や問題の投 に、わが子を男子校、女子校に通わせた経験の げかけをしたほうが有効だという。そうした、そ ある保護者も同様だ。 れぞれの特質に合った授業や学習指導ができる 逆にいうと、そういう身近な経験がないと、男 子校、女子校での6年間の学校生活をイメージ のが、男子校、女子校の大きなメリットなのだ。 いまでも、難関大学への合格実績(合格者数) 校 舎 の 新 築 と キ ャ ン パ ス の リ ニュ ー ア ル も 終 え、また一段 と 豊かな 環 境 を 整 え た 学習院女子。 で、全国的に上位を占める学校には、私立の場 合は圧倒的に男子校、女子校が多いのは、そう した特質をふまえた指導や学習環境によるとこ ろが大きいのではないかと、多くの教育関係者 の間では理解されている。 一方、生活面の指導でも、すでに中1の段階 で精神的にも成熟しつつある女子に対するアプ ローチと、まだ小学生の雰囲気が抜けきらない 男子に対するアプローチとでは、当然ながら違っ 「目標校シミュレーションテスト」 3 中学入試レポート vol. 横 浜 市 戸 塚 区の 郊 外 に 広 大 な 敷 地 を 持つ共学校・公文国際学園。 た形のほうが効果的だという。 で過ごすことがプラスになる面も多いということ だ。 身近な例をあげれば、趣味やスポーツなど、 一つのことに熱中することが好きな男子には、女 子の視線を意識せずにいられる男子校のほうが、 そうした部活動などに打ち込みやすい雰囲気が ある。そのことを、ほとんどの男子校の先生方 は「男子校の良さ」として力説している。 また、とくに「キャリア教育」の場面などでは、 が顕著だという。それゆえ、ほとんどの女子校 男子校・女子校の特色と、 共学校の特色 では、中2くらいの早い段階から将来のキャリア もう少し、男子校、女子校の特色について具 この年齢の男子と女子とでは反応や吸収の違い (進路や職業選択)を考えさせるプログラムを設 体的に見ていこう。 けているが、男子校の場合には、もう少し先の たとえば、2010年7月に発行された『なぜ男 段階(高学年)まで待ってから体験させるケー 女別学は子どもを伸ばすのか』 (中井俊己著/学 スが多い。 研新書)という書籍のなかでは、さまざまな例 社会的な意識の芽生えや、現実の目標を定め や調査結果をあげて男女の能力や特質の違いに るのが早めな女子には、それに合ったタイミン ついて述べられているが、そのひとつに、一般的 グで示唆を与え、女子に比べてそうした意識の に男子は「空間認知力が高く」 、女子は「言語能 芽生えが遅い男子には中学生の間に、まず基礎 力が高い」 ということを述べている。この傾向は、 的な学習習慣をベースに学力の土台を固めさせ、 保護者の皆さんにも共感できることなのではな 社会性や目標意識が高まった段階で、一挙に各 いだろうか。 自の希望する進路に向けてラストスパートをかけ また、この中井氏の著書のなかでは、2000年、 ることを前提に、ゆったりと進路や職業を考えさ 2003年、2006年のOECD(経済協力開発機 せている私学が多い。 構)による「PISA学習到達度調査」についても つまり、こうしたさまざまな面で、 「男子だけ」 「女子だけ」の環境だからできること、行いやす いことがあるということだ。 もっとも子ども(生徒)自身からすれば、各自 の性格やタイプによって、 「男子だけ」 、 「女子だ 触れられており、 そこでは「読解力」については、 OECD平均でも日本人得点でも女子のほうが高 く、 「数学的リテラシー」と「科学的リテラシー」 については、おおむね男子のほうが高い得点と なっていることが紹介されている。 け」の環境のほうが、伸び伸びと過ごせるとい そうすると、やはりこれらの(一般的な)能力 う子も多いだろう。とくに小学生時代に、大人び 差を踏まえて、それぞれの性差に合った授業の た女子や、子どもっぽい男子の存在をわずらわ やり方や学習指導のノウハウのもとで学んだほ しく感じていたような子どもにとっては、この中 うが、男子・女子ぞれぞれの力を伸ばしやすい 高6年間という一時期に限って、男女別々の環境 ということがいえるだろう。 特集 男子校・女子校ならではの魅力と、 共学校の良さを考えてみよう 2007年に校地移転、共学化を果 たした法政大学中高。2016年に は 同 じ 法 政 大 学 系 列 の 法 政 大 学 第二 中高が共学化する。 また、今年も6月9日(日)に芝中・高のキャ ンパスで「東京私立男子中学校フェア2013」 子校とは違った魅力やメリットがたくさんある。 たとえば、 ① 男女を問わず友達をたくさん作りたい、 ② 明るくおおらかな校風が好き、 ③ 共学が自然だと思っている、 ④ 兄弟・姉妹が同性だけ、 ⑤学 習でもクラブ活動でも男女で助け合いた い、 といったタイプの子どもならば、むしろ「共学 が開催されたが、昨年そのフェアで配布された 校向き」と考えることもできるだろう。これに対 ガイドブックには、このフェアに参加した各校 して、 の生徒と保護者10,000人を対象にした意識ア ① マイペースで過ごしたい、 ンケート調査結果が紹介されていた。そこでは、 ②礼 法など「女性らしさ」も身につけたい、 受験校を選ぶときに「男子校を優先した」と回 武道で「男らしさ」を磨きたい、 答している保護者に対して、 「その理由」を聞い ③ すこし引っ込み思案 た結果が掲載されていたが、その順位は以下の ④ 何かひとつのことに集中、熱中したい、 ようなものだった。 ⑤自 分の意見をしっかり主張したい、 ①男 子だけによる、のびのびと過ごせる環境 ……(保護者66.8%・生徒63.1%) 、 ②男 子だけによる、深い交友関係と人間関係 といったタイプの子どもならば、どちらかとい えば「男女別学校(男子校・女子校)向き」と いうことができるだろう。 ……(保護者54.8%・生徒42.8%) 、 ③男 子だけによる、学業に専念しやすい環境 ……(保護者39.0%・生徒24.0%) 、 ④男 子の中での競争や活動による能力の開発 ……(保護者28.4%・生徒20.8%) 、 ⑤男 子としての役割理解と人格形成 ……(保護者20.9%・生徒8.4%) 、 都心部には男子校・女子校が多く、 共学校は郊外部に多い いま、たとえば首都圏の私立中学校のなかに は、 男子校・女子校・共学校がどれくらいの割合 (学 校数)で存在するのかは、8ページのコラムで ご紹介した。 ⑥共 学校に比べて規律だった生活習慣 ご覧のように、295校ある私立中学校のなか ……(保護者13.7%・生徒5.7%) で、現 在 では共 学 校 の 数 が 最も多く、143校 これらは「男子校」を選択した保護者によるも (48%)に上っている。次いで女子校は105校 のなので、 「女子校」の場合には、多少上記の理 (36%)で、男子校は47校(16%)と、すでに 由とは異なってくることは当然だが、それらの選 択の意味するところは、ほぼ共通と考えてもい いだろう。 もちろん、一方の「共学校」にも、男子校、女 希少的な存在となっている。 このほかにも、国立大学附属校と公立中高一 貫校を加えると、共学校の割合はさらに高くなる (国立大学附属校は、男子校の筑波大学附属駒場 「目標校シミュレーションテスト」 3 中学入試レポート vol. を除くとすべてが共学校。公立中高一貫校もす べてが共学校) 。 たとえば、都心部に位置する(例外的な)共 学校である渋谷教育学園渋谷や広尾学園などに、 都県別に見ると、私立中学校の数が最も多い この数年とても多くの人気が集中していること 東京都内には、 共学校(73校)と女子校(76校) は、その立地的な構造も理由のひとつになって がほぼ同じくらい存在し、男子校(33校)がそ いると考えられる。 の半数くらいある。やはり男子校が少ないとはい こうした構造を踏まえて、男子校、女子校、共 え、他の都道府県に比べると、多くの選択肢の 学校をどう選んでいくか、その選び方も今後の なかから選ぶことができる。 学校選びのなかでの、ひとつの大切なポイント しかし、千葉県を見てみると、もともと少数派 になるということだ。 だった市川や暁星国際などの元男子校が、10年 最後に付け加えるが、私立中高一貫校には、共 以上前に共学化したことによって、すでに男子校 学校と思われている学校のなかに、男子校と女 は1校も存在せず、女子校も3校のみとなってい 子校の特質や良さを生かしつつ、学校としては る。 一体感のある形態で、同じ学校のなかで、校舎 新しい私立中高一貫校が多い埼玉では、やは やキャンパス、クラスなどを「男女別々」にした り共学校が圧倒的に多く、男子校、女子校は少 「男女併学(別学)校」と呼ばれるユニークな私 数派だ。 学がある。 東京都に次いで私立中学校数の多い神奈川県 東京都では国学院大学久我山、神奈川県では でも、男子校、女子校、共学校の割合は、ほぼ 桐蔭学園と桐光学園がそれにあたる。これらの 東京都と同じくらいの比率になっている。ただし、 私学は、それぞれ「男子部」 「女子部」を持ち、 東京都でも神奈川県でも、山の手といわれる都 学習は男女別に、それ以外の場面(行事やクラ 心部や、横浜・川崎などの中心部には、どちらか ブ活動など)では、男女一緒に行うことで、多様 というと男子校、女子校が多く、共学校はむしろ な効果をあげている。この3校が例外なく、勉学 郊外エリアに多いということも知っておくといい の面でも、スポーツをはじめクラブ活動の面でも だろう。 「文武両道」の私学として、全国的に名を馳せて つまり、首都圏全域で見ても、都府県別に見て いる点に注目したい。なお、この2013年の春か も、交通の至便な都心部や県中心部のエリアに らは、東京のかえつ有明が、授業の効果を高め は、男子校、女子校という男女別学の私学が多く、 ることを狙いに、男女別クラス編成を導入して、 ということになる。 それならば、もし男子校、女子校を希望する 受験生ならば、できるだけ都心部に目を向けて 通学範囲を広げて考えることで、選択肢が格段 と多くなるわけだ。逆に共学校を希望する受験 生の場合には、郊外部に目を向けることで選択 肢が広がることになる。 男 子 校 としての無 骨さを 残しつつ、 スマートな 雰 囲 気 も 加 わった 攻 玉 社。大学進学実績も安定してきた。 逆に郊外エリアには、共学校が多く存在している 特集 男子校・女子校ならではの魅力と、 共学校の良さを考えてみよう 首都圏にある私立中学校の数と、 男子校・女子校・共学校の数 ~共学校は143校(48%) 、女子校は105校(36%) 、男子校は47校(16%)~ カトリック系の女子 校らしい真面目さ、堅 実さと、高い目標に向けてチャレンジするア グレッシブな面をあわせ持つ光塩女子学院。 現在、この首都圏(ここでは1都3 県とする)には、295校の私立中学校 がある。このうち男子校・女子校・共 学校の学校数と、全体に占める割合 は、下のグラフに示した通りだ。 これ以外にも、周辺部の茨城、栃 木エリアには、江戸川学園取手、茗 溪学園、常総学院、土浦日本大学中 等教育学校、清真学園、国学院栃木、 佐野日本大学中等教育学校などの私 立中高一貫校があるが、それらはいず れも共学校だ。 ●首都圏の私立中学校数 東京都 首都圏合計 男子校 33校 男子校 47校 共学校 共学校 73校 男子校 11校 共学校 25校 182校 59校 女子校 76校 295校 143校 神奈川県 女子校 105校 千葉県 女子校 23校 埼玉県 女子校 3校 男子校 3校 女子校 3校 25校 ※男子部・女子部併学の国学院大学久我山、自由学園、桐蔭学園、 桐光学園は共学1校としてカウント 男子校 女子校 共学校 22校 29校 共学校 23校 共学校 先述の「男女併学校」に近い形になったことも特 囲気の違いを知るためには、やはり各私学に足を 筆しておきたい。 。 運んでみることが大切だ。在校生がどのような表 情で過ごしているかを自分の目で見ることで、お それぞれの雰囲気を知るには、 まず一度、自分で足を運んでみる そして、こうした男子校・女子校・共学校の雰 子さんにも、きっと自分なりの好みや希望が出て くることと思う。 そして、そういう入学前のリサーチはしたうえ 「目標校シミュレーションテスト」 3 中学入試レポート vol. わが子にとってベストの 受験校選択をするポイントは? ~ 10月以降、盛んに行われる「説明会」や「学校行事」の機会に確かめよう~ 桐光学園は、私学のなかでも希少な存在である男女 併学(別学)校。 〝文武両道〟で成果を伸ばしている 点には注目すべきだ! わが子の受験校を選ぶにあたっては、何より家 庭の考え方、保護者の期待、本人の将来への希望、 本人の性格・タイプなどを最重視して、最も適し た私学を選んでほしいと思う。 学校説明会や見学の機会に、ぜひ保護者の希 望と考え合わせて確かめてほしいのが次のような 点。ここでは12のポイントを挙げてみた。 ①教 育理念や目標、そこで身につけられる力が、 お子さまが社会に巣立つ21世紀の新しい社会 に求められるものか? ②校 風(カラー)が本人の性格に合っているか? ③男 子校、共学校、女子校のタイプは、家庭の 希望と合っているか? ④宗 教色のある私学の場合、その背景(理念) に理解と賛同姿勢をもてるかどうか? ⑤進 学校か付属校か、あるいは半進学校(半付 属校)か? ⑥ 自由な学校か、規律正しい学校か? ⑦学 習指導のスタンスや体制は、家庭の希望に 合っているか? ⑧大 学進学状況は納得いくものかどうか? ま た、将来性についてはどうか? ⑨ク ラブや学校生活はのびのびできるか? ⑩わ が子が学校に楽しく通えて、友人関係や雰 囲気に溶け込めるかどうか? ⑪通 学には無理がないか? ⑫そ の学校が、危機管理の面も含めて「安心し て通わせられる」場所かどうか。 さらに、ここ数年の入試では、公立学校で進め られている “教育の自由化” 政策に対して、各私 学がどのような(オリジナルの)姿勢を打ち出し ているかが、保護者のニーズと照らし合わせたと きの大きな焦点となってくる。 中高6年間の学習指導のノウハウや成果で、私 学が公立中高をリードしていることは、すでに多 くの保護者に認められている。そのうえで、私学 ならではの教育のもとで、21世紀を担う子どもた ちが「より良く生きる」力を身につけるために、 どのような “プラスアルファ” を与えてくれるの かに期待がかかっている。 こうした点をトータルに見たときに、わが子の 受験校として納得できるかどうかが、親子の意思 決定の大きなポイントになってくるのだ。 で学校を選んだとしても、男子校や女子校に進学 思っていたが、みんな明るくてうるさいくらい元 した中学生に、入学前と入学後のイメージギャッ 気だった」といった意味の感想が多く聞かれる。 プを尋ねると、男子校では「もっと騒がしくて大 つまり、それだけおおらかで、先生や先輩に温 雑把かと思っていたが、意外と落ち着いていて、 かく見守ってもらえて、友人たちと和やかに過ご 優しい先輩や先生が多かった」といった感想が、 せる環境や風土が、多くの私立中高一貫校にはあ 女子校では「もっとお嬢様学校っぽい雰囲気かと るということだろう。
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