超音波による物体位置・速度の 高精度画像化技術 国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 教授 橋爪 宏達 1 従来技術とその問題点1 ・医療用超音波診断装置 カラードップラー法(Dモード 画像) 組織画像に加えて血流の存 在・方向を表示可能 しかし漠然と血流を表すだけで、 流速・流量について定量的デー タは示せなかった 2 従来技術とその問題点2 ・車両用後退センサー (駐車センサー) 画像表示できない 数メートルの探査範囲し かない 3 従来技術とその問題点3 ・ミリ波レーダー (距離は十分だが…) 画像と速度の同時表示 できない 4 ドップラーイメージング技術の改良 • パルス圧縮レーダー技術による長レンジ(長探索距 離)化 • ログステップマルチキャリア波による位置計測とドッ プラー速度計測の両立 • 速度計測精度の改善 • 速度計測範囲の改善 • 超音波に限らず、電磁波(ミリ波)など広範囲の波動 媒体への応用可能性 5 パルス圧縮技術とは ・無相関信号(広帯域ランダム 信号)のバースト波を送信する ・受信波形は、送信波形と相関 処理することで検波する ・相関波形の遅延時間位置に 鋭いピークを得る ・送信波に連続波を使用すること から、高エネルギーでレーダー 観測できる(SN比改善) 6 amplitude amplitude ログステップマルチキャリア波 frequency 等ステップマルチキャリア波 (OFDM) (キャリア周波数間隔は一定) frequency ログステップマルチキャリア波 (キャリア周波数は等比数列) time 7 ログステップマルチキャリア波の性質 pulse OFDM chirp Property 2. The envelop of the crosscorrelation profile follows the function shown below: 整列位相ログステップマルチ キャリア波 8 整列位相ログステップマルチキャリア波の問題点 Doppler shift ・ドップラーシフトにより、動く物体の 検出位置がずれて見えてしまう。 Log-swept chirp signal Time Log-step multicarrier signal 9 対称整列ログステップマルチキャリア波 ・整列位相波形を、 時間反転させたものと 連結し、線対称(もしく は点対称)として送信 ・波形前半と後半で逆 のドップラー位置特性 をもつ ・動く物体の位置検出 誤差をキャンセル 10 シミュレーションおよび実験による性能の確認 11 シミュレーションによる性能確認 従来手法(カラードップラー法)に よるドップラー速度検出 ログステップマルチキャリア波に よるドップラー速度検出 ・提案手法は従来手法の 20倍の速度検出精度をもつ。 12 ドップラー画像化の例 (Fast : 120rpm : 4.710m/s) CD Incoming 120rpm(4.710m/s) rho = 1.02810 LogRGB Incoming 120rpm(4.710m/s) rho = 1.02810 CD Outgoing 120rpm(4.710m/s) rho = 0.97266 LogRGB Outgoing 120rpm(4.710m/s) rho = 0.97266 13 ログステップマルチキャリア方式の耐ノイズ特性 14 新技術の特徴・従来技術との比較 • パルス圧縮レーダー技術による長レンジ(長探索距離)化 • ログステップマルチキャリア波による位置計測とドップラー 速度計測の両立 • 特に高い速度計測精度(従来方法の20倍) • 特に広い速度計測範囲(空中音響計測で100km/h等) • 超音波、電磁波(ミリ波)に適用可能 15 想定される用途・市場 • 医療用超音波診断装置 血流等の精密・定量測定、高深度の画像化 • 車両用後退センサー、衝突回避センサー 停止物体と動物体の識別、探索距離の延長 • 気象観測、海洋観測 16 実用化に向けた課題・今後の方向性 • 広帯域信号の扱いに適した超音波アクチュエーター (送信子・受信子)の開発 • 位置・速度同時画像化による新応用分野の開拓 17 企業への期待 • 広帯域音響アクチュエータの共同研究 • 高速信号処理技術の共同研究 • 新しい医療超音波応用の共同開発 • 新しい車両用レーダー・イメージング装置の共同開発 • 気象、海洋応用への展開 18 本技術に関する知的財産権 • • • • 出願番号 : 特願2013-146637 出願人 :大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 発明者 :橋爪宏達、前田泰成、杉本雅則 発明の名称:ドップラーイメージング信号送信装置、 ドップラーイメージング信号受信装置、 ドップラーイメージングシステム 19 関連する知的財産権(1) ・発明の名称: 時刻基準点情報伝送システムおよび受信機 発明者: 橋爪 宏達、杉本 雅則 登録番号 : 特許第4621924号 国際特許A0200111PCUS(米国) 国際特許A0200111PCGB(イギリス) 【超音波等による精密位置計測技術】 ・発明の名称: 速度・距離検出システム、速度・距離検出装置、 および距離・速度検出方法 発明者: 橋爪 宏達、杉本 雅則、佐藤 智彦 出願番号: 特願2011-550018 【超音波等による精密位置・速度同時計測技術 】 20 関連する知的財産権(2) ・発明の名称: ドップラーレーダーシステム、ドップラーレーダー 送信装置及び送信波最適化方法 発明者: 橋爪 宏達、杉本 雅則、伊藤 俊夫 出願番号: 特願2010-288791 【超音波等による動物体、停止物体の識別画像化】 ・発明の名称: 時分割型連続波レーダー方式と装置 発明者: 橋爪 宏達、杉本 雅則 出願番号: 特願2012-036383 【超音波レーダーの測定距離を 3m→10mに延長する技術】 21 本研究に関する産学連携等の実績 ・2009年-2011年 ホンダ・エンジニアリング(株) 共同研究 精密超音波計測技術の自動車製造ライン への応用等 22 お問い合わせ先 • 国立情報学研究所 総務部企画課 社会連携推進室 担当:片山・田村 ・ TEL 03-4212-2108、2124 ・ E-mail [email protected] 23
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