傘下組織です(注1)。 1.はじめに TCGFが設けた5つの戦略的課題うちの一つ、 一昨年の秋、グローバルネットワークを持つ大 「セーフティ&ヘルス」を実現する組織として 手飲料メーカーの日本法人が同社サプライヤー約 GFSI(Global Food Safety Initiative:世界食品安 170社に対し、期限付きで認証要求を出したこと 全イニシアティブ)が創設されました。 から、 「食品安全システム認証 (FSSC 22000) 」が GFSIは「全世界の消費者に安全な商品を提供 一躍注目を浴びるようになりました。しかし、 し、消費者との信頼を築き、その信頼を揺るぎな FSSC 22000認 証 に 取 り か か ろ う と す る と、 いものとするために、食品安全マネジメントシス 「GFSI」 「PAS」といった聞き慣れない言葉が現 テムの継続的改善を行うこと」を使命としていま れるため、 「FSSC 22000は難しそうでよくわから す。GFSIはこの使命を達成するため、食品安全 ない」との思われる方も多いのではないでしょう マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 規 格( 以 下、「 規 格 」)を か。 GFSI自らが承認して、フードチェーンに属する 本稿ではFSSC 22000を理解するのに欠かせな 組織がこの第三者認証を相互に認め合うことを求 いキーワードにも触れながら、FSSC 22000の基 めています。そのため、①規格を評価する基準書 (GFSIガイダンス文書)を作成し、②このガイダ 礎情報をお伝えします。 ンス文書に従い規格を評価し、GFSI承認規格と 2.GFSI承認規格 する活動を行っています。またGFSI承認規格が 「 食 品 安 全 シ ス テ ム 認 証 (FSSC 22000) 」 は、 「GFSI承認規格」と言われますが、これは「GFSI という組織」が「承認した規格」を意味します。 普及することにより、製造・流通の多くが行うサ プライヤーへの二者監査が効率化され、監査コス トの削減も達成できると考えられています。 「GFSI」は、コカ・コーラ、ネスレ、クラフト、 GFSIガイダンス文書は、食品安全リスクを低 ウォルマート等のグローバルに活動を展開する製 減し、第三者認証のレベル向上を目指すために、 造・流通の著名企業が、非競合分野での共通課題 適宜見直しが行われており、最新版は2011年2月 を 相 互 に 克 服 す る た め に 設 け たTCGF (The 発行されたRev.6となっています。 Consumer Goods Forum:消費財フォーラム)の GFSI承認規格は一度承認されてもガイダンス 文書が改訂される都度、改めてその適切性が評価 されます。この仕組みの始まった当初GFSI承認 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ 78 BRC Global Standard Version 5 CANADA GAP FSSC 22000 Global Aquaculture Alliance Global G.A.P Global Red Meat Standard International Food Standard Version 5 Primus GFS SQF 表1 GFSI承 認 規 格( 2 0 1 2 年 2 月現在) 規格は約400ありましたが、2012年2月現在では FSSC 22000を含めて9種類に絞り込まれています (表1) 。 ISO 22000はこの9種類の中には含まれていま 注1:GFSIは2000年5月にTCGFの前身であるCIES (国際小売業委員会) が創設しました。その後2009年8月にCIES等を含めて発足したTCGF傘 下組織となりました。 ISO マネジメント せん。その理由はGFSIが、ISO 22000では一般衛 図1 ISO22000とFSSC22000の構成比較 生管理基準を組織に任せているために充分な内容 でない、と判断していることにあります。 3.FSSC 22000の構成 FSSC 22000はオランダに本拠地を置くFFSC (The Foundation for Food Safety Certification) が所有するGFSI承認規格です。FFSCではHPで FSSC22000を 構 成 す る 文 書 を 公 開 し て い ま す。 (http://www.FSSC 22000.com/en/page.php) FSSC 22000の要求事項PartⅠ「組織に対する 要 求 事 項 」 で は「ISO 22000はHACCP (Hazard Analysis and Critical Control Point)の考え方を 表2 フードチェ ーンカテゴ リの分類 カテゴリコード カテゴリ C 加工 1(腐敗しやすい動物性製品) D 加工 2(腐敗しやすい植物性製品) 取り入れて体系化されておりFSSC22000に取り E 入れるには最適なシステムである」 としています。 L 加工 3 (常温での長期保存品) (生化学)化学製品製造 (ただし技術的支援を除く) M 食品包装材料製造 一方、 「食品安全を行う上で前提となる一般衛生 管理基準<ISO 22000 7.2項で要求されているPRP (Prerequisite Program:前提条件プログラム)> については、組織自らが選択して行う活動として しか要求しておらず不充分である」 としています。 このため、FSSC 22000では、ISO 22000をベー スにしながらも、PRPとしてグローバルスタン ダードとして決めたフードチェーンカテゴリ毎の 個別技術仕様書(例えば製造向けのPAS220)を用 いるため、より具体的な高いレベルの食品安全シ (注2) ステムが推進できる仕組みとなっています 。 <ISO/TS22003:2007「付属書 A の分類」>による 表3 GFSIが 焦 点を当てる カテゴリの 計画 年次 対象 2011 ・飼料(F) ・容器包装(M) 2012 ・輸送・物流・サービス(J) ・食品機器製造(K) 2013 ・ケータリング(G) ・小売・卸(H) 5.おわりに JIA-QAセンターは、ガス機器等検査に関わる 経験を通して培った、公正かつ厳格な「安全と信 また、この認証を受けることで食品安全のPDCA 頼」のJIA文化に裏打ちされた『食の安全』を第 サイクルが実証できる仕組みとなっています。 一に考える認証機関として、皆様に最高の認証 ISO 22000とFSSC 22000との構成を比較しました サービスを提供できるよう取り組んでいます。ま (図1)。 4.FSSC 22000の今後 た、食品機械の安全性に対しJIA独自の製品認証、 NSFとの契約に基づく製品認証、及びJIA-QAセ ンターでのISO 22000及びFSSC 22000システム認 FSSC 22000の対象範囲は2011年10月改訂で5カ 証での経験をトリニティコラボとして生かし、現 テゴリとなりました ( 表2) 。 今 後 こ の 範 囲 は、 場主義に徹した審査ノウハウを備えております。 GFSIが焦点を当てるカテゴリの計画 (表3)を反映 国内大手製造・流通組織でもサプライヤーへ して、順次拡大することが予想されます。現在の GFSI承認規格導入の動きが本格化しています。 FSSC 22000認証組織数は世界で1036件 (日本で64 FSSC 22000認証取得を目指すことが決まりまし 件)に達しています。また、FFSC責任者である たら、まずはJIA-QAセンターにご相談下さい。 Fons氏 は「2014年 末 迄 に は5000 ~ 10000件 に 達 するであろう。 」と予測しています。 注2:FSSC22000では二つの追加要求事項があります。 (a)アウトソースを十分に把握すること (b)食品安全教育を徹底する こと 2012年5月号(Vol.13 No.5) 執筆者 一般財団法人日本ガス機器検査協会 QA事業部セクター認証部食品グループ グループマネジャー 小泉 滋 http://www.jia-page.or.jp/ 79
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