人間と社会 国際保健学

人間と社会
[講義] 第1学年 後期 選択 2単位
国際保健学
《担当者名》教授/半田 祐二朗
非常勤講師/山田 典子(1) 非常勤講師/萩原 明子(2) (1)青森県立保健大学講師 (2)国際協力機構、国際協力専門員(保健) 【概 要】
国際保健学を学ぶことは世界の共通課題として健康問題を開発途上国の保健医療事情に焦点を当てることによって明らかにし
ようとする集学的アプローチである。歯学部第1学年でその基礎的部分に触れることによって、学生諸君は国民の健康問題につ
いて単に疾病それも歯科医療者の専管領域である口腔疾患のみから考察する立場にはない。歯学部の学生は世界の健康問題を構
成する種々の社会問題を広く検討する視野を持った上で口腔疾患を取り扱う専門家として、自らの職業間を養うことを期待され
ている。
上記の視点に立って本講では、公共サービスとしての保健医療の成り立ちを国の貧富、東西を問わず共通の 保健システム
モデルを学ぶことを導入点として、開発途上国の開発課題としての母子保健、保健行政、そしてそれらに強い影響をもたらす、
貧困問題、地域保健の仕組み、さらには、人々の人権、平等性、安全な社会、それらを脅かす暴力(特に家庭内暴力など)など
について開発途上国、先進国双方の共通課題として学ぶ学習に際しては、取り扱う課題の国際性を鑑み、できるだけ英語メディ
アを用いることとする。
また、本講後半では、大学院における研究分野としての国際保健学、学生諸君の進路の一環としての国際保健医療協力分野、
特に国連職員などの国際公務員、政府開発援助にかかわる国際協力機構(JICA)など公的機関での就業などについても触れる。
【学習目標】
上位目標―本講終了後には、受講した学生諸君は世界共通の開発課題としての健康問題についての包括的理解を深めることが
できる。
直接目標―本講終了時には、受講した学生諸君は公共サービスとしての保健医療の仕組みについてその概要を理解し、その理
解を通じて、母子保健や保健行政の課題、人権や社会的平等と保健医療サービスの在り方を議論することができる。
【学習内容】
回
テーマ
授業内容および学習課題
担当者
1
国際保健学とは何か
序論としての、開発途上国の保健問題を貧困問題と
ともに概観する
半田 祐二朗
2
公共サービスとしての保健医療の
仕組み
3
途上国における母子保健
母子保健のサービスシステムの概要を知るとともに、 萩原 明子
開発途上国における母子の健康問題を理解する
4
リプロダクティブ・ヘルスとして
の母性保護とインドにおける家族
計画(1)
文献購読をベースとした課題の理解(1)
半田 祐二朗
5
リプロダクティブ・ヘルスとして
の母性保護とインドにおける家族
計画(2)
文献購読をベースとした課題の理解(2)
半田 祐二朗
6
リプロダクティブ・ヘルスとして
の母性保護とインドにおける家族
計画(3)
文献購読をベースとした課題の理解(3)
半田 祐二朗
7
リプロダクティブ・ヘルスとして
の母性保護とインドにおける家族
計画(4)
文献購読をベースとした課題の理解(4)
半田 祐二朗
保健システム
の概念を知る
半田 祐二朗
回
テーマ
授業内容および学習課題
担当者
8
リプロダクティブ・ヘルスとして
の母性保護とインドにおける家族
計画(5)
文献購読をベースとした課題の理解(5)
半田 祐二朗
9
リプロダクティブ・ヘルスとして
の母性保護とインドにおける家族
計画(6)
文献購読をベースとした課題の理解(6)
半田 祐二朗
10
HIV・AIDS対策と母子の健康
公共サービスとしての感染症対策をHIV・AIDS問題を
介して学ぶ
半田 祐二朗
11
保健医療サービスのネットワー
ク、地域における業務分担の仕
組み
Referral System、病診連携、医療資源の有効活用
などの階大の理解
半田祐二朗
12
保健医療サービスの質とは何か
質の高い保健医療サービスとは何かを理解する
池田 憲昭
13
人権と保健医療
家庭内暴力(DV)問題をの理解を介して、途上国先
進国を問わず発生する社会現象としての人権問題を
考える
山田 典子
14
国際協力と保健医療
キャリアパスとしての国際保健学、歯科医師として
の可能性を知る
半田 祐二朗
15
まとめ
全体のまとめとしての重要ポイントの復習。本講終
了後の継続学習、継続教育機会についても触れる
半田 祐二朗
【評価方法】
試験時間(80分間)内に完成提出してもらうレポート作成(テーマは講義にて学んだテーマの中から選択)をもって評価の対
象とする。使用言語は日本語もしくは英語。評価対象は、テーマの面白さ、レポートの構造、メッセージの明瞭さ、論理性、言
語の熟度など。
【備 考】
教科書 : 講義で取り上げるテーマごとに教員が資料を配布する。
参考書 : 国際保健医療協力ハンドブック(ISBN4-87539-062-9)、国立国際医療センター編著、国際開発ジャー
ナル社発行、価格2857円
その他 : パワーポイントによる写真、映像を提供する。また、母子保健の問題について、講義時間枠内で問題分析の演習を
行う。グループワークによって、開発途上国をテーマにした事例を用いて、目的志向型事業計画手法(Project
Cycle Management)を用いた分析演習に全員参加で取り組む。
【学習の準備】
日常生活の中で、学生諸君をとりまく社会に起こっている社会問題に注目して、報道などに興味を持って接するようにする。講
義では、貧困問題を開発途上国や先進国の共通の問題として取り上げる。現在日本で起こっている格差問題などの原因について
考察して、自分なりの見解を持って講義に臨んでください。