研究室カタログ - 東北大学大学院医学系研究科・医学部

東北大学大学院医学系研究科
研究室カタログ
2016
Laboratory Index
■医科学専攻
■保健学専攻
■その他
■障害科学専攻 ■公衆衛生学専攻
Graduate School of Medicine
放射線生物学 ■
器官解剖学 ■
細胞組織学 ■
分子生物学 ■
生物化学 ■
医化学 ■
生体情報学 ■
細胞生理学 ■
生体システム生理学 ■
分子薬理学 ■
機能薬理学 ■
分子病理学 ■
病理形態学 ■
病理診断学 ■
微生物学 ■
免疫学 ■
腎・高血圧・内分泌学(腎・高血圧・内分泌科)
■
血液 ・ 免疫病学(血液 ・ 免疫科)
■
感染制御・検査診断学(総合感染症科、検査部)
■
放射線診断学(放射線診断科)
■
放射線腫瘍学(放射線治療科)
■
糖尿病代謝内科学(糖尿病代謝科)
■
消化器病態学(消化器内科)
■
循環器内科学(循環器内科)
■
総合感染症学 ■
呼吸器内科学(呼吸器内科)
■
小児病態学(小児科)
■
小児外科学(小児外科)
■
婦人科学(婦人科)
■
周産期医学(産科)
■
先進外科学(移植・再建・内視鏡外科)
■
腫瘍外科学(乳腺・内分泌外科)
■
■ ■ 整形外科学(整形外科)
生体調節外科学 ■
消化器外科学 ■
心臓血管外科学(心臓血管外科)
■
■ ■ 泌尿器科学(泌尿器科)
■ ■ 麻酔科学・周術期医学(麻酔科)
緩和医療学(緩和医療科)
■
救急医学(高度救命救急センター)
■
形成外科学(形成外科)
■
神経内科学(神経内科)
■
神経外科学(脳神経外科)
■
神経病態制御学(脳血管内治療科)
■
■ ■ 精神神経学(精神科)
皮膚科学(皮膚科)
■
■ ■ 眼科学(眼科)
■ ■ 耳鼻咽喉・頭頸部外科学(耳鼻咽喉・頭頸部外科)
■ ■ 運動学 ■ ■ 行動医学 ■ ■ 肢体不自由学(肢体不自由リハビリテーション科)
細井 義夫
1
大和田 祐二
2
出澤 真理
3
(兼)五十嵐 和彦
4
五十嵐 和彦
5
山本 雅之
6
(兼)虫明 元
7
(兼)虫明 元
8
虫明 元
9
(兼)谷内 一彦
10
谷内 一彦
11
堀井 明 195
(兼)笹野 公伸 195
笹野 公伸
12
押谷 仁
13
石井 直人
14
伊藤 貞嘉
15
張替 秀郎
16
賀来 満夫
17
高瀬 圭
18
神宮 啓一
19
片桐 秀樹
20
下瀬川 徹
21
下川 宏明
22
賀来 満夫
23
一ノ瀬 正和
24
呉 繁夫
25
仁尾 正記
26
八重樫 伸生
27
八重樫 伸生
28
(兼)大内 憲明
29
大内 憲明
30
井樋 栄二
31
海野 倫明
32
海野 倫明
33
齋木 佳克
34
荒井 陽一
35
山内 正憲
36
井上 彰
37
久志本 成樹
38
館 正弘
39
青木 正志
40
冨永 悌二
41
(兼)冨永 悌二
42
松岡 洋夫
43
相場 節也
44
中澤 徹
45
香取 幸夫
46
永富 良一
47
福土 審
48
出江 紳一
49
Laboratory Index
i
Laboratory Index
■ ■ てんかん学(てんかん科)
■ ■ 内部障害学(内部障害リハビリテーション科)
■ ■ 高次機能障害学(高次脳機能障害科)
■ 音楽音響医学 ■ ■ 融合医工学 看護アセスメント学 ■
看護教育・管理学 ■
老年・在宅看護学 ■
地域ケアシステム看護学 ■
地域保健学 ■
公衆衛生看護学 ■
成人看護学 ■
がん看護学 ■
緩和ケア看護学 ■
小児看護学 ■
精神看護学 ■
周産期看護学 ■
ウイメンズヘルス看護学 ■
医用物理学 ■
画像情報学 ■
医用画像工学 ■
画像診断学 ■
画像解析学 ■
放射線検査学 ■
放射線治療学 ■
分子機能解析学 ■
感染分子病態解析学 ■
内分泌応用医科学 ■
病理検査学 ■
臨床生理検査学 ■
分子血液学 ■
分子内分泌学 ■
■ ■ 公衆衛生学 ■ ■ 医学統計学 ■ ■ 医学情報学(メディカル IT センター)
■ ■ 遺伝医療学(遺伝科)
■ ■ 医療管理学 ■ ■ 環境保健医学 ■ ■ 法医学 ■ ■ 医療倫理学 細胞増殖制御 ■
発生発達神経科学 ■
分子病態治療学 ■
細胞治療 ■
代謝疾患学 ■
遺伝子医療開発 ■
移植再生医学 ■
神経化学 ■
病態神経学 ■
新医学領域創生分野(酸素コア)
■
新医学領域創生分野(脳コア)
■
地域イノベーション ■
ii
Laboratory Index
■医科学専攻
■保健学専攻
■その他
■障害科学専攻 ■公衆衛生学専攻
中里 信和
50
上月 正博
51
森 悦朗
52
市江 雅芳
53
木村 芳孝
54
丸山 良子
55
朝倉 京子
56
尾崎 章子
57
(兼)大森 純子
58
(兼)宮下 光令
59
大森 純子
60
今谷 晃
61
佐藤 冨美子
62
宮下 光令
63
塩飽 仁
64
齋藤 秀光
65
佐藤 喜根子
66
吉沢 豊子
67
権田 幸祐
68
町田 好男
69
本間 経康
70
石橋 忠司
71
齋藤 春夫
72
(兼)千田 浩一
73
武田 賢
74
林 慎一
75
川上 和義
76
高橋 和広
77
鈴木 貴
78
進藤 千代彦
79
清水 律子
80
菅原 明 195
辻 一郎
81
山口 拓洋
82
(兼)辻 一郎
83
青木 洋子
84
藤森 研司
85
赤池 孝章
86
舟山 真人
87
浅井 篤
88
中山 啓子
89
大隅 典子
90
宮田 敏男
91
阿部 俊明
92
片桐 秀樹 195
松原 光伸
93
後藤 昌史
94
堂浦 克美
95
北本 哲之
96
鈴木 教郎 196
松井 広
97
加藤 幸成
98
Laboratory Index
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■医科学専攻
■保健学専攻
■その他
■障害科学専攻 ■公衆衛生学専攻
99
医用動物学 三好 一郎
医学教育推進センター 加賀谷 豊 100
ラジオアイソトープセンター 山本 雅之 196
情報遺伝学 有馬 隆博 101
分子疫学 栗山 進一 102
発達環境医学 仲井 邦彦 103
小児環境医学 藤原 幾磨 104
オートプシー・イメージングセンター 石橋 忠司 105
地域保健支援センター 辻 一郎 196
総合地域医療研修センター 張替 秀郎 106
地域がん医療推進センター 森 隆弘 107
Tohoku University Hospital
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総合地域医療教育支援部 石井 正 108
心療内科 福土 審 109
医療薬学 眞野 成康 110
産業医学 黒澤 一 111
手術部 齋木 佳克 196
集中治療部 海野 倫明 197
病理部 笹野 公伸 112
輸血・細胞治療部 張替 秀郎 197
Institute of Development, Aging and Cancer
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遺伝子発現制御 本橋 ほづみ 113
遺伝子導入研究 高井 俊行 114
生体防御学 小笠原 康悦 115
基礎加齢研究 堀内 久徳 116
代謝制御 山本 徳男 117
心臓病電子医学 山家 智之 118
病態臓器構築研究 未定 197
腫瘍循環研究 佐藤 靖史 119
分子腫瘍学研究 田中 耕三 120
腫瘍生物学 千葉 奈津子 121
臨床腫瘍学(腫瘍内科)
石岡 千加史 122
呼吸器外科学 岡田 克典 123
神経機能情報研究 小椋 利彦 124
脳機能開発研究 杉浦 元亮 125
機能画像医学研究(加齢核医学科)
瀧 靖之 126
老年医学(老年科)
荒井 啓行 127
医用細胞資源センター 松居 靖久 128
スマート・エイジング国際共同研究センター 川島 隆太 129
Graduate School of Biomedical Engineering
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聴覚・言語障害学 川瀬 哲明 130
分子病態外科学 福島 浩平 131
病態液性制御学 阿部 高明 132
医用イメージング研究 西條 芳文 133
International Research Institute of Disaster Science
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災害医療国際協力学 災害感染症学 災害放射線医学 江川 新一 134
未定 135
千田 浩一 136
Laboratory Index
iii
Laboratory Index
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災害精神医学 ■医科学専攻
■保健学専攻
■その他
■障害科学専攻 ■公衆衛生学専攻
富田 博秋 137
災害産婦人科学 伊藤 潔 138
災害公衆衛生学 栗山 進一 139
災害医療情報学 中山 雅晴 140
Other Cooperative Departments in Tohoku University
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サイクロトロン核医学 田代 学 141
臨床薬学 佐藤 博 142
神経細胞制御学 八尾 寛 143
神経内分泌学 井樋 慶一 144
病態生理情報学 木内 喜孝 145
精神保健学 伊藤 千裕 146
がん化学療法薬学 富岡 佳久 147
生活習慣病治療薬学 平澤 典保 148
リハビリテーション心理学 上埜 高志 149
Tohoku Medical Megabank Organization
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統合遠隔腎臓学 清元 秀泰 150
母児医科学 菅原 準一 151
脳画像解析医学 瀧 靖之 197
地域口腔健康科学 坪井 明人 152
個別化予防・疫学 寳澤 篤 153
バイオバンク生命科学 峯岸 直子 154
バイオマーカー探索 布施 昇男 155
分子ネットワーク解析 ゲノム多型機能解析 バイオメディカル情報解析 ゲノム遺伝統計学 バイオクリニカル情報学 遺伝子診療支援・遺伝カウンセリング 遺伝疫学研究支援 安田 純 156
田邉 修 198
長﨑 正朗 157
田宮 元 158
未定 198
川目 裕 159
鈴木 洋一 160
Extramural Collaborative Departments
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iv
分子・神経イメージング(放射線医学総合研究所)
がん分子制御学(宮城県がんセンター)
須原 哲也 161
島 礼 162
がん病態学(宮城県がんセンター)
田中 伸幸 198
がん幹細胞学(宮城県がんセンター)
佐藤 賢一 163
婦人科腫瘍学(宮城県がんセンター)
山田 秀和 164
泌尿器科腫瘍学(宮城県がんセンター)
川村 貞文 165
呼吸器科腫瘍学(宮城県がんセンター)
前門戸 任 198
腫瘍病理学(宮城県がんセンター)
佐藤 郁郎 199
頭頸部腫瘍学(宮城県がんセンター)
松浦 一登 166
小児血液腫瘍学(宮城県立こども病院)
今泉 益栄 167
発達神経外科学(宮城県立こども病院)
白根 礼造 199
胎児医学(宮城県立こども病院)
小児包括リハビリテーション医学(宮城県立こども病院)
がん細胞イメージング(公益財団法人 がん研究会)
室月 淳 168
萩野谷 和裕
広田 亨 199
がん分子標的探索(公益財団法人 がん研究会)
野田 哲生 199
がん治療内科学(公益財団法人 がん研究会)
高橋 俊二 169
がん治療外科学(公益財団法人 がん研究会)
佐野 武 200
地域精神医療(宮城県立精神医療センター)
先進循環器内科学(国立循環器病研究センター)
Laboratory Index
未定 170
安田 聡 171
Laboratory Index
■医科学専攻
■保健学専攻
■その他
■障害科学専攻 ■公衆衛生学専攻
先進心臓血管外科学(国立循環器病研究センター)
小林 順二郎
■
先進循環器予防・疫学(国立循環器病研究センター)
宮本 恵宏
■
消化器地域医療医学講座(内科学)(いわき市立総合磐城共立病院)
吉田 寛
■
消化器地域医療医学講座(外科学)(いわき市立総合磐城共立病院)
小川 仁
■
消化器地域医療医学講座(予防医学)(いわき市立総合磐城共立病院)
未定
■
感染症疫学(国立感染症研究所)
大石 和徳
■
感染症病理学(国立感染症研究所)
長谷川
秀樹
■
臨床微生物学(国立感染症研究所)
大西 真
■
呼吸器病態解析学(宮城県立循環器・呼吸器病センター)
未定
■
感染症治療学(宮城県立循環器・呼吸器病センター)
平潟 洋一
■
先進医療品・医療機器開発レギュラトリーサイエンス(医薬品医療機器総合機構)
未定
■
宮城県北先制医療学講座(大崎市民病院)
並木 健二
■
次世代小児医療(国立成育医療研究センター)
梅澤 明弘、佐合 治彦、斎藤 博久
■
新興・再興感染症学(国立国際医療研究センター)
大曲 貴夫
■
武田 篤
■ ■ 高齢者認知・運動機能障害学(仙台西多賀病院)
172
173
174
175
200
176
177
200
200
178
201
179
180
181
Intramural Endowed Departments
■
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■
循環器先端医療開発学 下川 宏明 182
循環器 EBM 開発学 下川 宏明 183
多発性硬化症治療学 藤原 一男 201
先進感染症予防学 山谷 睦雄 184
先端画像・ナノ医科学 大内 憲明 185
視覚先端医療学 中澤 徹 186
大動脈疾患治療開発学 齋木 佳克 187
上肢運動器学 井樋 栄二 188
予防精神医学 松本 和紀 201
網膜疾患制御学 中澤 徹 189
統合腎不全医療 伊藤 貞嘉 190
漢方・統合医療学 眼科画像情報解析学 先進呼吸管理学 難治性高血圧・内分泌代謝疾患地域連携 抗感染症薬開発 認知機能発達(公文教育研究会)
高齢者薬物治療開発 渡辺 彰 191
川島 隆太 192
大類 孝 193
ニューロ・イメージング研究(住友電工)寄付研究部門 工藤 幸司 201
高齢者高次脳医学 目黒 謙一 194
Laboratory Index
v
キーワード索引
あ
遺族満足度 38
Ral 116
1 型コラーゲン 104
RNA-Seq 101
1- メチルアデノシン 132
RNA マイクロアレイ IgA 腎症 ICT 13
142
134、172
一般放射線診断 遺伝
遺伝疫学 160
ICTによる工程管理 154
遺伝カウンセラー育成 ICTによる服薬向上 127
遺伝カウンセリング IDH 98
ips 細胞 46
iPS 細胞・再生医療 IVR 41
19、74、136
遺伝・環境交互作用 遺伝子蛋白質解析 遺伝子解析 55
3、6、25、42、94、104、117、122、123、
100
170
遺伝子発現解析の理論 悪性腫瘍 182
遺伝子改変動物 126、131、146、183
悪性脳腫瘍 42
遺伝子改変マウス 圧縮センシング 70
128、144、162
アドヒアランス 194
アブレーションカテ 153
144、153、193
アウトカム評価 アブレーション 159
159、168
遺伝子 アウトリーチ アドボカシー 19
55
40、123
7、12、15、48、113、114、120、
遺伝子・環境相互作用 158
遺伝子組換え動物 99
23
遺伝子組換えマウス 81
179
遺伝子・ゲノム解析 85
59
アルツハイマー病 12、53、127、195
遺伝子研究 49
アルドステロン症 16
遺伝子診療 160
遺伝子操作 4、15、62、76、95、110、121、128、147、
アレルギー
アレルギー・炎症解析 114
アレルギー性疾患 160
遺伝子操作マウス 90
アレルギー性皮膚炎 148
遺伝子多型 62
アンケート調査 アンジオテンシン 108、138
16
い
イオンチャネル解析 9
医学
163、185
遺伝子多型と細胞形質 154
遺伝子治療 46、183
遺伝子導入 91
遺伝子導入マウス 7
遺伝子の機能解析 160
遺伝子ノックアウト 124
医学医療知識の共有 84
遺伝子ノックアウトマウス 医学研究支援システム 83
遺伝子の変異解析 160
医学研究方法論 83
遺伝子発現 124
医学情報管理学 83
遺伝子発現解析 17
医学統計学 83
遺伝子発現実験 160
2
胃癌 62
遺伝子発現制御 81
医工学 35
遺伝子不安定性 162
胃酸分泌 22
意思決定 65
異種分野情報の正規化 異常化 34
移植肺拒絶反応 位相差トラッキング法 遺伝的多型 167
121
193
遺伝統計学 158
96
異分野間での情報連携 191
81
イメージング 191
イメージサイトメトリ 移植
移植等の血液学的解析 遺伝性骨髄不全症候群 遺伝性腫瘍 異種
異種移植 遺伝性
123
医用モニタ 168
医療
115
69、125、149
72
キーワード索引
vii
医療安全管理 84
医療機器開発 23、42
医療情報 ICT 化 150
医療情報システム 84
168
115
NDB 86
エネルギー代謝解析 21
医療情報データベース 140
医療情報ネットワーク 84
医療人文学 89
医療政策 86
エピジェネティクス 医療体制 67
エビデンス 医療と交通網との関係 191
医療ニーズ 134
医療被曝・職業被曝 医療連携 74、136
107、189
Evaluation Study エピゲノム エピゲノム解析 エビデンスに基く医療 FETP MRI MRI:磁気共鳴画像 インシリコ創薬 92
MRSA インターネット調査 66
MR 高速撮像 インタビュー 58
MND/ALS う
ウイルス 14
ウイルス感染症 176
ウイルスベクター Wnt 46、144
117
ウエスタンブロット 1、96
ウェスタンブロット法 78
ウェラブルセンサー 48
うつ病 161
64
145
145
90、91、101、128
172
180
175
70、71、73
19
192
70
41
mTOR 1、116
MDCT 73
ELISA 78
エリスポット 24、135
LC
LC/MS 142
LC-MS/MS 88
LC/MS/MS 147
LYMQOL 68
遠隔
遠隔医療 150、189
186
遠隔看護 63
50
遠隔手術 171
運動負荷試験 52
遠隔病理診断 112
運動野 10
運動療法 52
運動
運動器健診 運動障害 HTS 81
166
AI 72
AAV ウィルス 14
ATM 炎症性腸疾患 炎症反応 遠心式補助人工心臓 1
エンパワメント 59
33
60、82、83、102、139、153、164、172
疫学解析 18
疫学研究 127
お
横隔膜
横隔膜筋収縮特性 80
横隔膜摘出筋 80
液体培養 177
オーダーメイド医療 エクササイズピル 124
オプトジェネティクス SNP アレイ エストロゲン エスノグラフィー 118
80
ABC トランスポーター SS-MIX2 40
エンドトキシン 45
エクソーム解析 145、173、174
183
ATP in vivo imaging 26、155
140
オミックス オミックス研究 145
97、143
151、155
137
155、156
音楽 54
76
音響 54
61
音声・嚥下障害 47
温度データロガ 88
オントロジー 84
X線
X 線 CT 71
X 線線量計 73
キーワード索引
150
194
炎症
栄養療法 疫学 遠隔モニタリング 嚥下反射時間測定 塩基配列・系統解析 え
viii
NIPT NK 細胞 か
がん がん医療の地域連携 60、69、82
回帰分析 178
解析前因子 154
がん看護 回腸嚢炎 131
がん幹細胞 163
がん幹細胞マーカー 166
がんゲノム異常 156
快適性 68
介入研究 63、82
開腹手術 174
解剖 解剖学的解析 潰瘍性大腸炎 カウンセリング 化学物質曝露 がん検診 138
がん骨転移 169
32
がん情報の開示 131
67
103
がん性疼痛 がん治療 60
98
19
がん特有の糖代謝 69
がんのエネルギー代謝 拡散テンソル技法 革新的医療機器開発 76
50
179
38
120、122
がん登録 核医学 (PET/SPECT) 105
38
がん特異的抗体 核医学 核内受容体 63
28
核
核磁気共鳴画像 107
162
33
がんの記述疫学 162
がんの分子生物学研究 107
がんの罹患動向 60
がんバイオマーカー 169
がん分子標的薬 122
確率微分方程式 55
がん免疫 107
葛西手術 27
がん免疫研究 107
過酸化物 11
がん薬物療法 122
画質 70
がん抑制遺伝子 121
下肢浮腫 68
確定的及び確率的影響 74、136
肝炎ウイルス 画像
画像解析 画像再構成 肝
126、182
70
画像処理 69
画像診断 195
22
肝細胞移植 149
肝細胞癌 112
肝・膵・腎臓移植 30
癌
画像プローブの開発 127
癌化学療法 165
画像誘導放射線治療 20、71、75
癌原遺伝子 85
家族 家族教室 65、66
癌進展 163
38
癌治療 178
可塑性 125
肩関節 32
活性
活性イオウ分子種 活性酸素 カテコールアミン 過敏性腸症候群 87
87
144
49
下部
下部消化管内視鏡 173
下部尿路症状 36
カプセル内視鏡 173
硝子体手術 187
癌微小環境 34
環境
環境応答 7
環境調査 103
看護
看護技術 56
看護教育史 67
看護師 66
幹細胞 幹細胞生物学 幹細胞の分化制御 観察研究 3、6、181
46
17
180
K+ チャネル開口薬 11
カリキュラム開発 100
患者家族への支援 38
カルシウム(Ca)
71
患者シミュレータ 100
Ca2+ イメージング Ca イメージング カルボニルストレス 143
71
92
患者
患者調査 感染 感染実験 63
56
77、96
加齢 95、117
感染実験モデル 18
ガレクチン 9 24、135
感染症 14
キーワード索引
ix
感染症疫学 共培養 13
感染症危機管理 175
18
胸部大動脈瘤 35
感染症重症化阻止 18
共鳴 54
感染症治療 18
局所脳回路 10
感染症発生動向 175
感染病理 176
感染免疫 77
冠動脈攣縮 虚血・再灌流性肺傷害 171
筋疾患 40
123
23
41
近赤外線分光計:NIRS 141
眼内サンプル網羅解析 187
近赤外分光法 (NIRS) 129
漢方 106
金属
漢方医学 漢方薬 感冒症候群 23
108
金属アレルギー 148
108
金属イオン濃度測定 148
181
き
Keap1-Nrf2 機械学習 く
Quality assurance 7
71、157
Quality of Care Quality of Life 64
64
50、64
気管支鏡検査 25
クオリティ・オブ・ライフ 63
危機管理 18
苦痛緩和のための鎮静 38
義肢装具 50
クラスターアプローチ 134
技術革新 63
クランプ解析 21
記述倫理手法 89
グリア細胞 97
希少遺伝性難病 85
気道上皮細胞培養 181
機能
グリア細胞分化 98
クローン病 131
164
クロマチン 機能温存療法 166
クロマトグラフィー 機能性消化管障害 109
気分障害 キャスマブ 89
137
98
ケアマネジメント 蛍光色素負荷 QOL 165
蛍光ナノイメージング 救急 106
蛍光ナノ粒子合成 67
191
吸収性プレート 40
急性
急性期侵襲病態 急性腎障害 急性脳スライス標本 教育 39
150
170
蛍光
147
救急搬送 5
147
け
キャピラリー電気泳動 救急蘇生 91
クレック 2 機能温存 規範的分析 80
31
182
計算
計算機支援診断 71
計算機実験 70
計算知能 71
計算論的神経科学 10
経頭蓋刺激 50
97
系統的レビュー 58
経皮感作 45
159
教育・学習 129
頚部内頚動脈狭窄症 43
教育・啓発 159
外科手術機器開発 30
教育プログラム 108
血圧 94
66
血液
教育プログラム開発 胸腔鏡下食道手術 30
血液細胞分取 17
凝固線溶異常 39
血液浄化療法 150
167
鏡視下手術 174
血液病理学的解析 強制オシレーション法 111
血液免疫病の臨床研究 協働の活動方法論 強度変調放射線治療 x
虚血再灌流障害 虚血性心臓病 冠動脈
冠動脈疾患 虚血
キーワード索引
59
20、75
結核 結核菌遺伝子解析 17
24、135
189
血管
血管新生 119
公衆衛生倫理 89
高周波数超音波 133
血管生物学 23
甲状腺癌 31
血管内治療 30
高精度 69
血管変性制御 30
血管リモデリング 182
血管老化 119
血球分化 血行再建術 7
30
血流
血流イメージング 血流センサー ゲノム 133
35
151、155
高精度生体分子可視化 182
高精度放射線治療 75
高性能シークエンサ 157
構造最適化 92
抗体
抗体医薬 147
抗体工学 98
好中球 NETs 116
行動
ゲノム医学 158
行動医学 49
ゲノムインプリント 101
行動倚形 103
ゲノム解析 ゲノムコホート ゲノムビッグデータ ゲノム編集 ゲノム薬理学 ゲノムワイド相関解析 ケミカルバイオロジー 嫌気培養 37、46、150、167
102、139、158
158
99
33
145
研究倫理 高齢者消化器癌 173
高齢者診療技法研究 127
高齢者肺炎 181
誤嚥
誤嚥性肺炎 194
152
誤嚥予防策 194
コーディネーター 100
89
呼吸 呼吸器ウィルス 呼吸器ウイルス感染 健康
健康科学 53
58、194
87、95
研究
研究医育成 行動神経学 高齢者 141
呼吸器感染症 健康観 61
呼吸機能検査 健康寿命 82
呼吸生理学 健康調査 139
幻肢・幻肢痛 50
検診 31
検体使用研究 76
顕微画像解析 9
134
37、56
181
181
25、177
25
111
国際保健
国際保健医療 134
国際保健規則 175
告知 65
心の健康 129
こ
五十肩(凍結肩)
186
個人識別 105
抗
骨
抗アレルギー薬 148
骨形成不全症 抗インフルエンザ薬 192
骨系統疾患 104
104、168
抗がん剤感受性 34
骨粗鬆症 32
抗菌ペプチド 45
骨盤内機能再建 36
骨密度 104
抗結核薬 177
抗線維化 132
子供 65
抗バイオフィルム活性 192
コペアレンティング 68
合意形成 59
公共性 59
口腔ケア 181
口腔保健 152
口腔メタゲノム 152
17
個別化治療 コホート 102、175
137、147、148、150
154、159
33
172
コホート研究 60、82、137
コホート調査 153
コルチコトロピン放出ホルモン 公衆衛生
公衆衛生学 個別化医療 個別化医療・予防 口腔
膠原病と免疫細胞異常 個別化
コレステロール 49
117
キーワード索引
xi
コンサルテーション コンピュータ断層撮影 89
88、105
さ
64
139、140
災害医学教育 災害医療 134
39、106、108、189
災害時の広域医療搬送 災害助産 シアリダーゼ 165
CE/MS 147
GEP-NET 112
GATA 7
191
GATA因子 67
CGH アレイ法 26
CT 19
81
災害ストレス 138
災害老年医療 127
CD271 166
40
CPAP 111
細菌バイオフィルム 再生
CBPR 再生医学 3、6
再生医療 35、179
再生医療と細胞移植 在宅 148
死因 105
30
ジーンターゲティング 58
J-START 188
ジェノタイピング 在宅血液透析 150
ジェンダー分析 15
再発癌 164
細胞
細胞移植 93、149
細胞遺伝学的解析 167
31、190
62
57
143
子癇前症 142
磁気共鳴画像 126
磁気共鳴画像 (MRI) 色素細胞 34
子宮内膜癌 細胞周期 90
シグナル
細胞生物学 2
触覚パターン 細胞外基質 細胞生物 61
CYP バリアント 在宅医療 サイトカインシグナル 125、129、193
4
138
119
シグナル解析 15
11、90、115、116
シグナル伝達 85
細胞治療 39
細胞動態解析 3、6
シグナル伝達分子 185
試験管内
細胞・動物モデル 41
試験管内血球分化 細胞内イオン濃度 97
試験管内蛋白増幅 96
細胞内カルシウム 80
試験管内分化誘導 114
試験管内分子進化 114
細胞内小器官膜標本 細胞培養 9
1、2、3、4、
17
死後
6、7、15、22、26、62、76、78、81、85、91、95、120、
死後画像 72
121、128、131、142、147、149、163、183、185
死後画像解析 73
細胞培養と遺伝子操作 93
細胞表面糖鎖 99
自己
自己抗体の同定と解析 17
自己免疫 15
細胞分化 128
細胞分離 163
脂質 細胞分離技術 149
視床下部 144
細胞分離酵素 149
支持療法 166
2
細胞分裂 120
時事倫理 89
細胞分裂制御 121
視神経脊髄炎 41
細胞を使った解析法 154
次世代
次世代型細胞移植療法 サテライト細胞 48
サルコペニア 48
次世代抗体医薬 産学連携 42
次世代シークエンサー 酸化ストレス 87
次世代シークエンス 酸化ストレス応答 産業医学 3 次元動作解析 xii
55
28、29
し
Survey 災害 参照系独立成分分析法 産婦人科 キーワード索引
113
次世代電子カルテ 111
次世代ワクチン 50
施設 149
176
5、22、41、85、90、155、156
33、115、169
84
176
58
自然歴 159
受容体細胞内動態 視聴覚統合音声処理 130
循環
循環器 疾患
疾患感受性遺伝子 疾患関連遺伝子 疾患登録 22、145
99
172
循環器疾患治療薬 172
169
33
上咽頭癌 85
消化管
実効線量と等価線量 実践的防災学 実地疫学 74、136
137
14
質的
質的研究 疾病 失明予防 質問紙調査 質量分析 質量分析装置 57、100
174
109
消化管内視鏡 22
衝撃波 179
小切開手術 171
93
情動 49
小動物
5
147
72
シナプス 143
脂肪酸結合蛋白質 消化管外科 消化管内圧検査 129
44
自閉症スペクトラム 49
27
児童思春期精神医学 自閉症 消化管運動測定 20
小腸移植 139
自動診断 シナプス伝達 11
循環腫瘍細胞・DNA 疾患としての肥満 119
82、140
循環器病 疾患モデルマウス解析 実験病理 11
97
小動物手術 小動物用 7T-MRI 33、34
125
小児
小児がん 小児血液腫瘍免疫疾患 小児血小板減少症 27、65、167
26
167
91、126
小児腎 26
65、102
小児神経疾患 26
2
小児心理支援 27
シミュレーション教育 100
小児内視鏡手術 社会性 125
小児内分泌 104
小児白血病 167
尺度開発 57
27
若年癌患者 164
小脳とシナプス機能 集学的治療 34
上皮間葉転換(EMT)
22
小標本高次元データ 158
周産期
周産期医学 29
周産期看護 67
周産期管理 174
重症
重症精神疾患 重症敗血症 170
39
156、158
集中治療 37
十二指腸空腸バイパス 33
修復医学 上部消化管
上部消化管低侵襲手術 上部消化管内視鏡 3、6
情報アーカイヴ 終末期ケア 65
終末期輸液 38
8
84
情報通信技術 症例登録と予後追跡 職業移動 出生コホート調査 103
女性漢方 31
自律神経
食道癌 食道癌臓器温存治療 ( 初代 ) 培養細胞 19
腫瘍免疫 45
9
症例
131
122
108
小胞体膜 134
腫瘍放射線診断 5
情報セキュリティ 術後病態 腫瘍
137
情報学と就学支援 受援力 腫瘍内科 173
情報科学 症例対象研究 終末期
腫瘍浸潤リンパ球 30
情報
集団
集団遺伝学 8
自律神経活動 60、178
85
57
20、112
30
28
188
56
自律神経と脳幹機能 自律性 8
57
キーワード索引
xiii
試料の凍結保存技術 154
腎移植 150
腎癌 165
新規
心臓手術 心臓自律神経 51
73
176
心臓大血管 MDCT 新規抗がん剤 169
心臓リハビリ 新規薬剤の効能評価 腎機能測定 真菌 187
188
37
77
神経
171
心臓大血管 MRI 新規アジュバント 腎機能 73
189
身体
身体・生理計測 身体図式 診断支援システム 心電図 QR コード化 129
50
72
140
神経温存手術 36
神経化学 12
神経画像 44
心拍変動 54
神経画像研究 53
心拍変動解析 56
神経可塑性と生後変化 神経心理学 8
53
心拍
心拍動下手術 腎不全 腎不全医療 171
188
188
神経制御 109
神経デコーディング 129
心理教育 66
神経伝達機能 141
心理検査 193
心理社会的介入 195
心理
神経内分泌 78
神経内分泌腫瘍 13
心理社会的支援 65
神経発達障害 44
心理性格検査 49
神経病理 神経ブロック 161
37、38
心療内科 109
人類学的計測 105
進路選考 100
神経分化 91
神経ペプチド 78
神経変性疾患 95
す
19
随意運動 10
46、93、183、187
膵島移植 34、149
神経射線診断 神経保護 神経保護治療 187
心血管内分泌 78
腎血行動態 16
人工
膵β細胞再生 118
人工呼吸器 37
21
睡眠
睡眠無呼吸症候群 睡眠ポリグラフ 人工括約筋 数値流体力学 スーパーコンピュータ 25、111
51
42、43
157
人工内耳 47、130
人工食道 118
スティグマ 66
人工心臓 118
ステロイド 13
人工臓器 39、118
人工聴覚器 震災 震災後健康状況 人材育成 心疾患 人獣共通感染症 スキルスラボ ステロイド依存性腫瘍 106、189
13
47
ステント 43、72
170
ストレス 49
153
ストレス関連疾患 109
189
ストレスホルモン 138
184
24、135
スポーツ
スポーツ科学 141
スポーツ障害 48
浸潤 79
浸潤転移 34
心身医学 49
心腎連関 16
せ
腎生検 16
生化学 新生児
xiv
心臓
3D 造形出力 生化学・分析化学実験 75
116、119、161
76
新生児外科 27
生化学解析 117
新生児疾患 26
生化学実験 121
キーワード索引
先天異常症 生活
生活習慣 生活習慣病 生活の質の向上 生細胞イメージング 48、60、153、193
87、145、152、178、180、189
59
2
正常
正常圧水頭症 53
正常多型性と変異 96
生殖
生殖医学 29
生殖細胞 128
生殖内分泌学 28
精神疾患の早期介入 44
精神疾患を有する人々 66
精神療法 137
44
脊髄
脊髄損傷 脊髄保護 前頭前野 159
26
10
専門
専門職意識 89
専門職化 57
前立腺
前立腺癌 165
前立腺がん検診 165
前立腺全摘術 165
線量
線量計算アルゴリズム 線量測定評価 精神
精神神経免疫相関 先天性代謝異常症 75
74、136
そ
臓器
臓器間ネットワーク 21
臓器障害・保護 52
32
臓器線維化 22
35
臓器病態生理 9
臓器病態モデル構築 9
精巣癌 165
生存曲線 178
生体
臓器保護 35
早期
生体イメージング 161
早期診断 69
生体機能イメージング 141
早期精神病 44
生体試料 154
生体試料の品質管理 154
生体モニタリング 39
生物
造血
造血細胞移植 167
造血不全 185
総合診療 108
40、56
生物情報学 90
創傷治癒 生物統計学 60
双胎間輸血症候群 生命情報学 生理 生理機能 157
生理学モデルと教育 咳閾値測定 赤血球 赤血球分化・鉄代謝 摂食障害 セルフケア 全ゲノム解析 創薬・臨床研究 92
78
創薬ターゲット分子 11
組織
123
8
194
5
17
109
63
155、157
染色体
染色体不安定性 120
120
先制医療 組織解剖学 組織化学的解析 組織学的解析 47
91
3、6
た
Terminal Care 第 1 相試験 体液量 体幹部定位放射線治療 染色体分配 全身性炎症反応症候群 168
12、46、81、95、183、185
29
生理学
生理学的計測 創薬 64
169
94
20、75
大規模
大規模疫学研究 23
39
大規模関連解析 157
178
大規模臨床研究 16
喘息
胎児 151
喘息モデル動物 160
胎児機能不全の解析 喘息モデルマウス 160
胎児鏡 168
胎児血圧 168
胎児 CT 168
胎児手術 168
先端医療技術 全置換型人工心臓 先天
28、29、106
118
55
キーワード索引
xv
胎児循環評価 胎児障害の予防と治療 胎児診断・管理 168
55
9
143
中心体制御 121
胎児心電図装置の開発 55
中枢ヒスタミン 146
胎児心電図の抽出理論 55
中立説 158
超音波 179、190
151
代謝
代謝制御 代謝の動的恒常性 代謝プロファイリング 113、124
21
162
超音波検査 超音波顕微鏡 超音波装置 190
133、186
37
大腸肛門病 174
調査 58
大動物実験 35
調査研究 57
大動脈疾患 184
腸内細菌 大動脈瘤破断予測 184
大動脈
大脳基底核 大脳皮質 胎盤 多細胞摘出心室筋 長鎖 DNA 解読 71
2
101
80
多重遺伝子解析 169
多層オミクス解析 157
多臓器連関 脱リン酸化反応 52
162
多点計測技術 10
多能性幹細胞 3、6、128
多発性硬化症 41
地理情報システム 治療 85
治療薬物モニタリング 鎮痛補助薬 追跡調査 TRI TSLP 産生細胞 94
たんぱく質
たんぱく質解析 117
タンパク質
タンパク質解析 120
タンパク質化学 90
タンパク質の折畳み 95
タンパク質の発現解析 タンパク質分解 4
90
DNAarray DNA損傷応答 DNAマイクロアレイ 186
DNAメチル化 101
DNAメチル化解析 122
T 細胞 T 細胞補助刺激 T 細胞レパートリー 115
86
低侵襲手術 171
低侵襲性治療 179
低侵襲治療 106、108、151、178
15
35
低侵襲
地域医療 115
DDS DPC/PDPS 58
45
121
1
138
地域 148
1
116
ち
84
DNA2 重鎖切断 タンパク発現解析 39
180
DNA-PK 蛋白質シトルリン化 DAMPs 38
て
DNA
タンパク解析 110
つ
48
27
79
98
92
胆道閉鎖症 191
治療法開発 探索的早期臨床試験 110
156
131、132
治療機器開発 多変量解析 胆汁酸 定量的 PCR 36
24、135
データ
地域医療施設 108
データ駆動型解析 157
地域医療連携 84、191
データ収集・管理 180
地域住民コホート 153
データ処理・統計解析 地域精神医療 170
データ分析 地域精神保健活動 170
データベース 地域への愛着 xvi
チャネル構造解析 チャネルロドプシン 61
データマネジメント チーム医療 189
適応放射線治療 知覚 125
デジタル画像 知能検査 103
キーワード索引
デジタル画像解析 14
86
86、126、134
83
20、75
72
112
tumor xenograft 34
テレカンファレンス 転移 134
79、182
電解質 てんかん 94
42、97
てんかん治療装置 118
電気
電気刺激 70、80
電気生理 10、94、143
電気生理学 8、97
電気生理学的手法 デング熱・出血熱 47
24、135
電顕 142
電子
電子カルテ 140
電子顕微鏡 2、40
電子顕微鏡観察 47
電子顕微鏡法 電子レセプトデータ トレーニング ドレス NK 細胞 な
Nursing 内視鏡下 咽喉頭手術 27
内臓知覚測定 49
内部障害 52
内分泌学 28
内分泌疾患 26
NASH 69
31
51
83、152、180
難聴 に
乳
乳がん 乳癌 尿細管微小灌流法 16
妊産婦教育 67
36、98
144
妊娠 68
妊娠期女性 68
妊娠高血圧症候群 認知 糖代謝解析 21
認知機能 10
認知行動課題 糖尿病 21、104
認知行動療法 142
認知症 169
認知心理検査 動物
認知障害 3、4、
6、22、29、32、40、42、49、52、56、62、77、79、91、
93、95、99、121、138、142、163、183、185、188
動物を用いた研究 26
動脈
妊孕性温存 171
動脈硬化 117
151
125
10、44
10
44、109
53、126、161、195
53
129
164
ね
ネットワーク ネットワーク再構成 動脈グラフト 151
妊娠期快適性尺度 頭頂葉 動物実験 31、76、112
47
48
動物転移モデル 79
70
137、161
糖尿病性腎症 97
142
neuromodulation 102
糖質コルチコイド 77
47、130
82
統合
動作解析 173
ナノメディスン 153
統合解析 166
内視鏡手術 二光子イメージング 頭頸部がん 64
内視鏡
ニコチン酸アミド 統計学 115
ナノメディシン 4
頭蓋内脳波 48
8
128
統計 110、132
86
と
糖鎖生物学 トランスポーター ナノ粒子 転写因子 Mitf 統合失調症 132
93
5、7、113、185
転写制御 統計解析 128
ナノシート 転写
転写因子 トランスクリプトーム tRNA 粘膜免疫 18
143
62、176
182
の
DOHaD 151
脳
トビケラウォッチ 103
脳機能解析 塗抹検鏡 177
脳機能回復 50
93
脳機能画像 73、109
動脈硬化性疾患 ドラックデリバリー 126、193
21
キーワード索引
xvii
脳機能マッピング 51
脳虚血 97
脳血管障害 脳血管内治療 脳磁図 脳磁図 (MEG) 42、53
43
51、130
125
脳腸相関 49、109
脳動脈瘤 43
脳トレ 脳画像解析 脳の加齢 129
49
129
波動医学 パフォーマンス試験 8、9
54
54
141
Palliative Care 64
パルスシーケンス 70
バロスタット 109
ひ
ピアレビュー PAI-1 100
92
脳の高周波振動 51
PA タグ 脳の電気刺激 51
p>>n 問題 158
脳の発生 91
PCR 177
脳波(頭皮脳波)
51
PTSD 137
ノックアウトマウス 80
B リンパ球 東日本大震災被災者 は
パーキンソン病 バーチャル顕微鏡 肺炎球菌ワクチン 肺癌 186
192
光音響効果 133
25
光操作技術 10
光トポグラフィー 54
177
23
肺高血圧症 123
肺損傷・修復 181
肺の再生 123
肺胞細胞分離・解析 181
非剛体画像登録 20
微細
微細エネルギー 54
微細加工技術 93
被災地の保健活動 ビジュアリゼーション 59
141
非侵襲
バイオ
バイオマーカー 97
133
123
バイオバンク 光遺伝学 光音響顕微鏡装置 肺結核 バイオ人工膵島 5、114
82、186
光音響イメージング 112
肺癌治療標的遺伝子 肺高血圧 98
光
41、53、71
肺
149
139、154
25、122、155、163、179
非侵襲性 179
非侵襲的イメージング 12
非侵襲的治療法 72
バイオマーカー開発 127
ヒストン修飾 101
バイオメカニクス 133
ビッグデータ 172
ビッグデータ解析 排尿
排尿障害 36
培養細胞 培養細胞実験 パイロシークエンス バクロフェン髄注療法 橋渡し研究 ビデオ脳波モニタ 79
ヒト化モデル 138
ヒトゲノム 145
ヒトゲノム構造 50
122、123、161
ヒト発生 ヒト免疫不全ウイルス vasohibin 119
泌尿器腫瘍 発がん 120
皮膚ケア 白血病 81、185
発症前診断と先制医療 発生工学 発達 発達・加齢 127
99、115
193
126
発達検査 103
発達障害 65、193
パッチクランプ キーワード索引
126
51
ヒト
培養
xviii
パッチクランプ法 波動 143、144
肥満 96
154、157
156
85
24、135
36
166
21、102、117
びまん性肺疾患 25
病因候補遺伝子 146
病原
病原性解明 病原体検出 標準化 標準化された診療情報 14
14
84、140
191
プロレニン受容体 78
病態解明 170
文化 61
病態動物モデル 161
分化
病態モデル医学 99
病態
標的探索 92
病理 病理解析 28、29、106
22、32、40、79、95、149、163、176、188
病理学・生化学的手法 病理学的検索 病理的検査 病理像の画像化 病理組織学 微量生理活性物質 41
123
96
127
分化制御 62
分化誘導 3、6
吻合部狭窄 分子 分子・細胞生物学 分子遺伝学 35
115
14
155、160
分子イメージング 12、141
分子疫学 14、139
131
分子機能イメージング 41
110
分子行動薬理学 12
非臨床試験 92
分子神経イメージング 161
品質マネジメント 83
分子生物 119
分子生物学 5、11、18、23、78、107、116、143、183、
ふ
FACS 解析 185
81
分子生物学全般 分子生物学的解析 ファントム
124
32、77
分子生物学的研究技術 26
74、136
分子生物学的手技 34
VWF マルチマー解析 116
分子生物学的手法 47、52、91
FISH 112
分子中毒学 ファントム実験 ファントムと画像評価 70
分子標的治療 夫婦
夫婦関係 夫婦教育プログラム 68
68
吹田スコア 172
腹腔鏡手術 36
副腎
分子標的薬耐性 分析疫学 87
76
169
162
へ
閉塞性肺疾患 25
副腎静脈採血 16
ペインクリニック 副腎皮質 13
PET 腹膜透析 188
ヘム 4
不顕性誤嚥 194
PEM 190
浮腫 94
婦人科
ヘリコバクター ヘルスプロモーション 37
12、73、127、161、195
62
59、61
婦人科癌 164
婦人科疾患 138
弁形成 171
28
弁膜症 171
婦人科腫瘍学 不整脈 23、80
弁
変形性関節症 復興 106
フットケア 189
ほ
物理的力刺激 124
法医
ブラインド音源分離 55
プラズマ殺菌法 192
フラックスアナライザ 132
プリオン 32
法医解剖 105
法医学 105
包括的リハ 52
95
膀胱癌 プリオン蛋白 96
放射線 プリオン病 96
放射線エネルギ・線質 74、136
44
放射線機器の安全管理 74、136
プレイセラピー フローサイトメトリー 7、15、24、37、113、114、115、
放射線照射 135
放射線診断 プログラム開発 プロテオーム プロバイオティクス 58、61
放射線診断学 165
1
1
19
105
87
放射線治療 20、165
192
放射線防護 74、136
キーワード索引
xix
放射能 74、136
103
88
メラニン 法病理学 88
メラノサイト 法放射線学 88
免疫
訪問看護 58
免疫学的解析 保健師 61
免疫寛容 15、114
15、77、114
保健師教育 4
45
56、77
59
免疫記憶 ポジトロン断層法 146
免疫機序 補助人工心臓 118
免疫蛍光染色 120
母体診断・管理 151
免疫蛍光法 144
補聴器 130
免疫制御 114
発作時脳波 51
免疫染色 ポドプラニン 98
免疫組織化学 哺乳類の進化 101
ホルモン ホルモン療法 79
76
ま
マイクロアレイ 25
142
2、13、47、62、78、79、112、144
免疫組織 メンタルヘルス メンタルヘルスケア 33
66、111
67、146
も
79
網膜 4、187
microdissection 45
網膜細胞機能評価 187
マイクロドーズ試験 92
網膜色素変性症 183
MyD88KO マウス マウス マウス解析 マウス疾患モデル 前向き大規模コホート 膜タンパク マクロファージ 80
5、144
116
55
152
94
5
網膜疾患 網膜硝子体手術器具 網羅的遺伝子発現解析 モストグラフ 93
187
46、122、138
111
モデル
モデル動物研究 モデルマウス作製 137
17
麻酔薬 37
モニタの精度管理 末梢動脈疾患 69
モノアミン 12
マネジメント 59
モノクローナル抗体 98
慢性
モバイルアセスメント 慢性腎臓病 150
慢性腎臓病(CKD)
142
慢性心不全 慢性閉塞性肺疾患 マンモグラフィ 23、180
181
31、72、190
み
ミクスト・メソッド ミトコンドリア ミトコンドリア病 ミトファジー 耳鳴 MUSE 細胞 モンテカルロ法 132
11、132
11
130
45
72
140
75
や
薬剤
薬剤徐放制御 93
薬剤スクリーニング 46
薬剤送達技術 61
め
薬剤耐性 薬剤耐性菌制御 薬剤評価 薬事規制学 薬動力学 理論 42
33、192
18
187
83
192
薬物
薬物血中濃度測定 194
薬物動態 110
64
薬物動態解析 69
メタアナリシス 172
薬物動態予測 148
メタゲノム 157
薬物副作用 141
152
薬物有害事象 194
薬物療法 104
Measurement メタゲノム解析 メタボローム メタボローム解析 メタボロミクス xx
メチル水銀 法中毒学 キーワード索引
87
113、162
110、147
薬理
薬理遺伝学 148
薬理学 11
薬効評価 69
ゆ
有限要素解析 誘導性遺伝子改変動物 ルミネックス れ
Laserdissection 32、184
21
レーザードップラ レセプター レビー小体型認知症 よ
陽電子断層法:PET 141
ろ
腰部脊柱管狭窄症 186
老化 予後要因 予防 予防精神医学 60
170
44
ライブイメージング ラジオ波焼灼術 卵巣癌 120、162
19
164
ランダム化比較試験 31、102
ランプ法 24、135
13
16
114
53
82
ロールプレイ演習 159
ロボット 134
ロボット手術 ロボット補助下手術 ら
24、135
36、171
30
わ
ワールブルグ効果 ワクチン ワクチン学 162
77
175
り
力学制御技術 124
リコンビナント蛋白 131
リスク
リスク評価 103
リスク分析 103
リスク要因 リハビリテーション 流体力学 療育 60
63、130、195
133
65
両耳聴 130
量的遺伝学 158
力刺激受容タンパク質 124
緑内障 46、183
緑膿菌 192
理論生成 / 概念分析 61
臨床
臨床遺伝学 29
臨床画像 19
臨床観察研究 臨床研究 146
12、52、108、170、184
臨床検体 131、188
臨床試験 92、122、180
臨床統計 178
臨床判断 57
臨床微生物学 18
臨床倫理 89
臨床分析化学 110
リンパ球 2
倫理審査 89
る
luciferase assay 45
キーワード索引
xxi
放射線は社会を救う
放射線生物学
医科学専攻
細井 義夫
修士課程 / 博士課程
教授
Radiation Biology
Yoshio Hosoi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.radbio.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-8132
[email protected]
この分野の研究テーマ
・DNA2 重鎖切断修復を利用した放射線増感と感受性予測
・低線量放射線による生物影響とその分子機構の解明
・mTOR が放射線感受性に及ぼす影響
研究キーワード:放射線、mTOR、DNA-PK、DNA2 重鎖切断、ATM
技術キーワード:放射線照射、細胞培養、ウエスタンブロット
1. 癌の放射線治療の基礎的研究
(1)DNA2 重鎖切断修復を利用した放射線増感と感受性予測
DNA2 重鎖切断修復酵素の一つである ATM は抗酸化能や
幹細胞維持に関与している可能性が示唆されています。本研
究室では、ATM が癌幹細胞や G0 期にある正常細胞の放射線
抵抗に関与しているという作業仮説に基づいて、その機序解
明のための研究を行っています。
(2)mTOR が放射線感受性に及ぼす影響
細胞が低酸素状態に置かれると放射線抵抗性になることが
よく知られています。生体内では一般に低酸素状態の細胞は
低栄養状態となっていると推定されます。当研究室では低栄
養状態が mTOR 活性に影響を及ぼし、放射線感受性に影響
Figure 1 動物照射用の 250 kV X 線照射装置
を与える事を明らかにしました。現在は mTOR 活性と DNA2
重鎖切断修復との関係に注目し研究を進めています。
2. 低線量放射線の生物影響
低線量(0.5 Gy 以下)の放射線を被ばくした場合には、放
射線適応応答や免疫活性化など高線量の放射線を被ばくした
場合と異なる現象が認められます。当研究室ではこれまでに、
低線量全身照射による免疫の活性化、癌転移抑制効果とそれ
らの現象の原因と考えるサイトカインの産生亢進、細胞増殖
因子受容体の活性化などを報告しました。現在は、非癌影響
で最も致死率の上昇に関与する心筋梗塞と脳梗塞について、
培養ヒト血管内皮細胞を用いて研究を進めています。
Figure 2 培養細胞照射用の 150 kV X 線照射装置
放射線生物学
1
脂肪酸による様々な生体応答の分子メカニズム解明
器官解剖学
医科学専攻
大和田 祐二
修士課程 / 博士課程
教授
Organ Anatomy
Yuji Owada
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.organ-anatomy.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL022-717-8039
[email protected]
この分野の研究テーマ
・脳の脂質恒常性と高次脳機能の関連
・大脳皮質形成の分子メカニズム
・腸上皮内リンパ球の機能解析
研究キーワード:脂肪酸結合蛋白質、脂質、大脳皮質、リンパ球、遺伝子ノックアウトマウス
技術キーワード:免疫組織化学、電子顕微鏡、細胞培養、生細胞イメージング、ジーンターゲティング
脂肪酸は生体にとって不可欠な栄養素であり、あらゆる生
命現象に関与します。脂肪酸の過剰摂取が肥満や糖尿病の原
因となり社会的な問題となっている一方で、脂肪酸の摂取不
足が疾患を引き起こすことも知られています。私たちの研究
室では、脂肪酸の働きに関わる分子機構を解明するために、
個体・細胞レベルでの解析を行っています。着目しているの
は、脂肪酸結合蛋白質(FABP)という分子です。FAB
Pは、アラキドン酸やドコサヘキサエン酸(DHA)などの
水に不溶な長鎖脂肪酸に結合し、可溶化することによって、
Figure 1 FABP による細胞内脂肪酸代謝制御
細胞内の様々な機能に関わると考えられています。FABP
は、分子ファミリーを形成し、器官や細胞種により多様な発
現を示しますが、私たちが興味をもっているのは、免疫系細
胞や脳におけるFABPの機能です。脂肪酸が関与する免疫
の調節や、記憶や情動活動などの脳機能に対するFABP分
子の関与機構を生体・細胞レベルで解明することによって、
ヒトの炎症性疾患や精神神経疾患にアプローチしたい、と考
えています。
Figure 2 FABP7 による膜脂質ラフトの制御
OB・OG の主な進路
大学・企業の研究者、医師、歯科医師、薬剤師、公務員、臨床検査技師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
2015年4月に新しくスタートした研究室です。様々な専門を持ったスタッフや学生が集まり、楽しく研究に打ち込んでいます。神経科学、栄養学、
形態学に興味がある方、気軽に連絡をください。
2
器官解剖学
腫瘍性の無い安全な多能性幹細胞 Muse 細胞を用いて
再生医療にパラダイムシフトをもたらそう!
細胞組織学
医科学専攻
出澤 真理
修士課程 / 博士課程
教授
Stem Cell Biology and Histology
Mari Dezawa
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.stemcells.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-8025
[email protected]
この分野の研究テーマ
・Muse 細胞を用いた多様な疾患モデル動物における再生治療
・Muse 細胞の生体内での機能と細胞動態の制御因子の開発
・Muse 細胞の発生と進化
研究キーワード:再生医学、多能性幹細胞、修復医学、分化誘導、幹細胞
技術キーワード:細胞培養、遺伝子解析、細胞動態解析、動物実験、組織学的解析
私たちは、成人ヒト間葉系組織に内在する新たなタイプ
の多能性幹細胞 Multilineage-differentiating Stress Enduring
(Muse) 細胞を発見しました。Muse 細胞はアクセスしやすい
骨髄、皮膚、脂肪などの間葉系組織や市販の間葉系の培養細
胞から得られ、1 細胞から体中の様々なタイプの細胞へ分化
可能であり、自己複製能も有します。そもそも体内に自然
に存在する細胞であることから腫瘍化の危険が極めて低く、
Muse 細胞が含まれている間葉系幹細胞は現在世界中で数多
くの臨床試験が展開されており安全性が担保されています。
さらに Muse 細胞は、分化誘導をせずにそのまま生体内に投
Figure 1 Muse 細胞の概要
与するだけで障害部位を認識し、そこに生着して組織に応じ
た細胞に自発的に分化をして組織を修復することができま
す。ES 細胞や iPS 細胞を再生医療に用いる場合には、目的
とする細胞に分化誘導し、さらに腫瘍化の危険を持つ未分化
な細胞の除去を必要とすることから、安全性と簡便性を兼ね
備えた Muse 細胞は再生医療への応用が現実的であると考え
られております。現在、私たちは Muse 細胞の生物学的な特
性を解明する基礎的研究とともに、多様な疾患をターゲット
とした再生医療への応用に向けて国内外で研究を展開してい
ます。
Figure 2 Muse 細胞は腫瘍性を示さない
OB・OG の主な進路
国立大学教員、海外ポスドク、国立大学博士研究員、国立大学病院臨床医、製薬会社社員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
出身学部や専門分野にとらわれず、いろんなメンバーが集まって楽しく活発な研究生活を目指しております。興味を持ったら遠慮なく問い合わせてく
ださい。
細胞組織学
3
色素細胞の機能発現と生体色素代謝の制御
分子生物学
(兼)五十嵐 和彦
医科学専攻
教授
Molecular Biology and Applied Physiology
Kazuhiko Igarashi
Professor, M.D. Ph.D.
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.mbap.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL022-717-8117
E-Mail
この分野の研究テーマ
・ヘム分解の制御
・色素細胞の分化制御
・ストレス応答
研究キーワード:ヘム、メラニン、網膜、転写因子 Mitf、色素細胞
技術キーワード:遺伝子操作、タンパク質の発現解析、細胞培養、動物実験
酸素と呼吸に対する思い入れが研究の特徴になっていま
す。本来、酸素は高い反応性を持つ毒ガスであり、酸素と共
存するため太古の生物はヘムとメラニンを創造しました。ヘ
ムは酸素の輸送と利用に関与し、すべての細胞の生存に必須
です。ヘムは酸化的に分解され、その最終分解産物であるビ
リルビンは強力な抗酸化作用を有します。一方、メラニン生
成は酸素を利用した防御反応であり、例えば、傷ついたリン
ゴの黒化反応がよく知られています。高等動物では、メラニ
Figure 1 脳における色素細胞の機能とは?
ン生成は色素細胞(メラノサイトと網膜色素上皮細胞)に特
異的な機能であり、婚姻色、保護色、季節による体色の変化
など、自然界における体色の重要性は明らかです。メラニ
ンは紫外線に対する防御分子でもあります。そこで、良好
な QOL の達成を目的に、多彩な機能を担う色素細胞(網膜、
内耳、皮膚、心臓などに分布)の分化制御機構、および低酸
素などのストレス時におけるヘム分解系の制御機構の解明に
取り組んでいます。
Figure 2 黒眼白毛のマウスは幸福か?
OB・OG の主な進路
教育機関、医療機関、企業の研究所
担当教員より進学志望者へのメッセージ
生命の神秘と植物の緑に感動する諸君を歓迎します。葉緑素はヘム関連分子です。色素細胞は五感を担い、良好な QOL に必須です。
4
分子生物学
〜遺伝情報発現空間の冒険〜遺伝子発現機構とエピゲノムに
関する研究から疾患の理解を進めることが目標です
生物化学
五十嵐 和彦
医科学専攻
教授
Biochemistry
Kazuhiko Igarashi
Professor, M.D. Ph.D.
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.biochem.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7596
[email protected]
この分野の研究テーマ
・転写因子とエピゲノムによる免疫細胞分化の調節機構と病態への関与
・補欠分子ヘムによる赤血球および免疫細胞の制御機構と病態への関与
・ヒストンメチル化を支える核内タンパク質ネットワークと病態への関与
研究キーワード:遺伝子発現、転写因子、クロマチン、エピゲノム、細胞分化、B リンパ球、マクロファージ、赤血球
技術キーワード:質量分析、次世代シークエンサー、情報科学、マウス、分子生物学
細胞分化の本質は遺伝子発現の変動にあり、その乱れはが
んをはじめとする様々な疾患を引き起こします。遺伝子発現
は、スイッチとして作用する転写因子により調節されます。
私たちは、モデルとして免疫系細胞(B 細胞、マクロファー
ジ)と赤血球を取りあげ、これら細胞の分化を、転写因子と
クロマチン構造によるゲノムのプログラミングとして理解す
ることを目指しています。転写因子 Bach2 が形成する遺伝
子制御ネットワークと、その抗体産生(抗体クラススイッチ
や体細胞突然変異)における役割を明らかにしました(Figure
1)。Bach2 と Bach1 が B リンパ球初期分化を促進すること
も発見しています。また、Bach2 が制御性 T 細胞(Treg)の
分化にも関わることを報告してきました。これらの知見に基
Figure 1 B 細胞分化と応答の遺伝子ネットワーク
づいて、がん細胞と免疫系細胞の相互作用に関する研究も進
めています。補欠分子ヘムが Bach1 と Bach2 のリガンドで
あることを発見し、ヘムが免疫系の制御分子として機能する
可能性についても研究を進めています(Figure 2)。
ク ロ マ チ ン 構 造 に つ い て は、 メ チ ル 基 供 与 体 で あ る
S-adenosylmethionine (SAM) の合成酵素が転写因子と複合
体を形成して標的遺伝子へ動員され、局所で SAM が合成さ
れることでヒストンのメチル化が促進されることを発見しま
した。このユニークな SAM 地産地消システムが、細胞分化
や免疫で担う役割を解明しようと挑戦を続けています。
Figure 2 ヘムの免疫系シグナルモデル
OB・OG の主な進路
留学(博士研究員)
、大学教員、企業(製薬、医療機器など)、公務員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
大学院生はそれぞれ独立した研究テーマを進めるとともに、共同研究にも参加することで、専門性と広い視野を身につけていきます。討論や発表の機
会も充実しています。
生物化学
5
環境ストレス応答、および造血発生の分子メカニズムの解明
医化学
山本 雅之
医科学専攻
教授
Medical Biochemistry
Masayuki Yamamoto
Professor, M.D. Ph.D.
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.dmbc.med.tohoku.ac.jp/official/index.html
連絡先
TEL022-717-8084
[email protected]
この分野の研究テーマ
・Keap1-Nrf2 制御系による環境応答の制御機構
・GATA 転写因子群の生理機能と時空間特異的遺伝子発現制御機構
・エリスロポエチン遺伝子の発現制御
研究キーワード:転写因子、環境応答、血球分化、Keap1-Nrf2、GATA
技術キーワード:遺伝子改変マウス、遺伝子導入マウス、細胞培養、フローサイトメトリー
活性酸素種や食物に含まれる親電子性物質などの酸化ス
トレスは、DNA やタンパク質、脂質などの生体高分子を酸
化することで傷害を与えるため、ガンや糖尿病などの生活習
慣病を引き起こす素因になると考えられています。このよう
な酸化ストレスに対し、細胞はすみやかに生体応答を発動す
ることで、その恒常性維持と適応に努めています。この生
体応答の制御機構において、重要な機能を担っているのが、
Keap1-Nrf2 システムです。私たちの研究室では、生化学・
分子生物学的な解析とマウス発生工学的手法による個体レベ
ルの解析、さらには構造生物学的なアプローチも取り入れて、
Figure 1 Keap1/Nrf2 の環境応答分子メカニズム
多角的に Keap1-Nrf2 システムによる分子レベルの制御機構
とその生理機能を解明し、世界をリードし続けています。
他にも、造血系および腎泌尿器系の発生と機能維持にお
いて重要な役割を担い、様々なヒト遺伝子疾患の原因となる
ことが知られている GATA 転写因子群の生理機能と、組織特
異的な発現様式を規定する制御領域の解明に取り組んでいま
す。さらに、ここから発展して、赤血球産生を制御する造血
ホルモンであるエリスロポエチン(Epo)遺伝子の発現制御、
特に腎臓における Epo 産生細胞の同定を、遺伝子導入、改
変マウスを用いて、世界に先駆け同定しています。
Figure 2 GATA 因子群の機能解析
OB・OG の主な進路
国公立大学教員、研究員、私立大学教員、国立研究所研究員、製薬企業研究員、食品企業研究員、病院医師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当研究室では、少人数のグループ制により、担当教員が丁寧に指導します。また、大小の研究ミーティングで研究成果を発表・聴講し、プレゼンのス
キルアップが図れます。
6
医化学
人類最大の謎は脳の仕組みである。生理学と情報科学から
脳を探り “ 個人と社会 ” をより深く理解しよう
生体情報学
医科学専攻
虫明 元
修士課程 / 博士課程
教授
Neurophysiology
Hajime Mushiake
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.neurophys.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8073
[email protected]
この分野の研究テーマ
・神経生理学、特に脳科学
・生体情報論、社会情報を含む
・基礎医学教育システム論
研究キーワード:小脳とシナプス機能、神経可塑性と生後変化、情報学と就学支援、自律神経と脳幹機能、生理学モデルと教育
技術キーワード:電気生理学、パッチクランプ法、電子顕微鏡法
生体の機能調節は神経性制御と液性制御に分けられますが、
をはじめ分泌能や活性物質感受性を持った様々な細胞系(培養
我々は神経性制御を中心に、神経細胞(ニューロン)やシナプ
株細胞や巨核球)を用いてこのような現象の分子的実態を解析
スの活動の分子的基盤(伝達物質やその受容体)及びそれらの
しています。
発生・成熟、維持の過程における可塑的変化を解析しています。
1)シナプス機能の分子的基盤
神経細胞は突起をのばして情報のやりとりをしている。情
2)小脳伝達物質の研究
小脳は運動を滑らかにかつ適応的に制御する。これらは大脳
からの指令と脳幹・脊髄からの感覚情報を利用し、プルキンエ
報を送る突起は軸策と呼ばれ、その終末から伝達物質を放出す
細胞上のシナプスの伝達効率を変化させながら実行している。
る。情報を受け取る突起は樹状突起と呼ばれ、伝達物質を感知
とくに長期間にわたるシナプス伝達効率の低下 (LTD) が小脳の
する受容体を持つ。軸策の終末と樹状突起は非常に近接し、シ
運動記憶の基盤として注目を集めている。我々はパッチ電極を
ナプス構造を形成する。脳の情報処理は、シナプス結合様式に
用い脳切片標本内の単一プルキンエ細胞からシナプス電流を記
より決定され、学習・記憶・本能行動などは、シナプスの構造的・
録し、これらの分子メカニズムを詳細に解析し多くの知見を得
機能的な変化に基盤を有す。私達は、海馬や小脳 のスライス
た。
Figure 1 グリシン性シナプスの誘発電流
Figure 2 グリシン性シナプスの存在図解
担当教員より進学志望者へのメッセージ
私たちは脳のマクロの機能を念頭にミクロの視点から分子メカニズムを探っています。疾患の解明や治療薬開発の基礎に興味と関心のある学生に期待
しています。
生体情報学
7
イオンチャネルの把握
細胞生理学
(兼)虫明 元
医科学専攻
教授
Cell Physiology
Hajime Mushiake
Professor, M.D. Ph.D.
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-717-8066
E-Mail
この分野の研究テーマ
・ リンパ球 K チャネルの生理的・病的意義
・TRP チャネルの構造機能連関
・小胞体膜におけるイオンチャネルの分子配向に関する研究
研究キーワード:イオンチャネル解析、小胞体膜、チャネル構造解析、臓器病態生理
技術キーワード:パッチクランプ法、顕微画像解析、臓器病態モデル構築、細胞内小器官膜標本
細胞膜イオンチャネルの機能を、電気生理学は高分解能で
解析する。Milisecond の速度・pico-ampere (10-12 ampere)
の振幅領域での計測技術(patch-clamp 法)は高速・繊細で
ある。研究のための基礎技術であり、同方法による分泌腺・
溶液分泌の研究(Calcium-activated potassium channels and
their role in secretion. Petersen, OH, and Maruyama, Y. Nature
307: 693-696, 1984)は、現在、分泌腺・核膜イオンチャネ
ルの研究に続いている。 研究はイオンチャネルが存在する
膜のすべて(細胞膜・核膜・ミトコンドリア内膜)を含み、
どのような細胞・膜系であろうと躊躇しない。シグナル伝達
機序、薬剤効果、分子生物学、細胞顕微操作、との境界は低
い。膵腺、唾液腺、涙腺、血小板、巨核球、リンパ球、肥満
細胞、副腎髄質・皮質細胞、微細血管周囲細胞、各種培養細
胞、を扱える。
Figure 1 パッチクランプ実験装置一式
OB・OG の主な進路
大学医学部 基礎医学 助教
担当教員より進学志望者へのメッセージ
医学ことにその生理学的側面を研究対象としている。電気生理学的技術の習得より開始する。各人に装置一式を任せるので自由に使用してほしい。各
志望者の創意を歓迎する。
8
細胞生理学
システム神経科学(細胞から認知機能への階層的で動的な理解)
生体システム生理学
医科学専攻
虫明 元
修士課程 / 博士課程
教授
Systems Neuroscience
Hajime Mushiake
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.neurophysiology.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8073
[email protected]
この分野の研究テーマ
・随意運動に関わる脳制御機構
・脳局所回路における処理機構
・脳操作計測技術の開発と応用
研究キーワード:前頭前野、頭頂葉、運動野、随意運動、認知機能、局所脳回路、光操作技術
技術キーワード:電気生理、多点計測技術、認知行動課題、計算論的神経科学、光操作技術
心の働き(認知、記 憶、行動、情動)を脳の細胞活動と
して調べることが可能となりました。当研究室では 心の働
きを脳ー身体ー環境を動的システムの相互関係としてとらえ
るシステム神経科学の立場から運動制御、問題解決、意思決
定などの機能を神経生理学の手法や最新の解析技術をもちい
て機能解明しています。例えば手の動きは、実は多数の脳領
域が協力しあって実現しています。しかし多数の領域がひと
つの手を動かす機能に関わっているのに、自分たちの行動が
バラバラになってしまわないのは不思議です。脳活動は不規
則にゆらいだり、一緒にある周期で同期したりするように見
えます。実はゆらいだり振動したりする現象は、脳の中のコ
ミュニケーションにとって大切であることがわかってきまし
Figure 1 問題解決行動と光操作多点計測技術
た。しかしそのメカニズムは不明な点が多く、臨床的な意義
も含めて解明が期待されています。さらには脳にある多数の
細胞からどのようにして心の働きが生まれるのか? 要素の
和でない新たな働きが生まれることを創発現象と呼びます。
心の働きはまさに脳の創発現象と捉えられます。その謎を解
明するのが究極の目標です。今や脳科学は遺伝子ー細胞ー
脳ー個体ー社会と広がり、生命科学のみならず、心理科学、
行動経済学、理論数理科学、情報科学、医工学などの立場か
らも脳研究をする異分野との連携が重要な時代になっており
ます。当研究室でも様々な分野との連携を重視しながら研究
を行っている。
Figure 2 脳回路の振動(ゆらぎ)の機能的意義
OB・OG の主な進路
東北大学の研究者、私立大学の研究者、大学病院医員、大学専門技術職員、医療機器メーカー、一般科学研究施設、海外大学脳科学系研究員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
脳科学はさまざまな分野と間で新しい研究分野が生まれチャレンジする熱意のある人材を求めています。詳細は研究室 HP をごらんいただくか、直接
研究室へお問い合わせ下さい。
生体システム生理学
9
薬物治療学の分子基盤および新規ターゲット分子の探索と
作用機序の解明をめざしています
分子薬理学
(兼)谷内 一彦
医科学専攻
教授
Molecular Pharmacology
Kazuhiko Yanai
Professor, M.D. Ph.D.
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.molpharm.med.tohoku.ac.jp/
fen_zi_yao_lihomupeji/HOME.html
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8064
[email protected]
この分野の研究テーマ
・G タンパク質共役型受容体(GPCR)結合タンパク質による細胞内シグナリングと受容体局在制御機構の解明
・ミトコンドリア品質管理機構と薬物誘発性心毒性機序
・一次繊毛の生理的役割とその機能制御機構
研究キーワード:ミトコンドリア病、細胞内シグナル伝達、創薬ターゲット分子、一次繊毛機能不全症
技術キーワード:分子生物学、細胞生物学、薬理学、オートファジー
カルシウム拮抗薬、カリウムチャネル開口薬の発祥の教
室です。最近では、細胞内微小領域における GPCR のシグナ
ル伝達制御機構の解明、一次繊毛を介した細胞増殖・分化機
構の解明、また遺伝子治療への応用を視野に入れたレンチウ
イルスの使用や、抗ウイルス薬の副作用発現メカニズムの解
明から心不全モデルの実験モデルの樹立にも力を注いでいま
す。各種薬物のミトコンドリアに対する毒科学的解析・評価
からミトコンドリア保護作用を持つ薬物の開発に取り組み、
ミトコンドリア病の治療に有効な薬物を、臨床系研究室との
Figure 1 GPCR および一次繊毛の機能制御機構
共同研究で開発中です。
大学院には医学部卒業生だけでなく、本学や他大学の薬学
部、健康栄養学科等からの卒業生はもちろんのこと、生物学
や薬理学に興味を持つ人材を、社会人を含め広く受け入れて
います。
Figure 2 心毒性薬のミトコンドリア品質管理への影響
OB・OG の主な進路
オタワ大学、三菱田辺、ヤクルト、バイエル薬品、三菱化学、秋田大学医学部医学科・学士入学 ( 麻酔医 )、弘前大学医学部医学科・学士入学、東北
大学病院他、臨床医多数、町田市民病院
担当教員より進学志望者へのメッセージ
新薬開発は未来につながります。薬理学や分子・細胞生物学に興味がある人を求めています。人類の健康とサイエンスを結びつける私たちの挑戦への
参加を。
10
分子薬理学
広義の薬理学として基礎から臨床に至る分子イメージングと
ヒスタミンの分子・神経薬理学を研究しています
機能薬理学
医科学専攻
谷内 一彦
修士課程 / 博士課程
教授
Pharmacology
Kazuhiko Yanai
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.miec.umin.jp/cgi-bin/gaiyo.cgi
連絡先
TEL022-717-8056
[email protected]
この分野の研究テーマ
・分子プローブのスクリーニング等の基礎開発から臨床応用に至る分子イメージング研究
・分子・神経薬理学的手法による ” 善玉 “ としてのヒスタミン系の新しい機能研究
・Positron Emission Tomography (PET) によるアルツハイマー病の超早期診断
研究キーワード:分子イメージング、アルツハイマー病、創薬、モノアミン、PET
技術キーワード:非侵襲的イメージング、分子行動薬理学、臨床研究、遺伝子改変マウス、神経化学
研究領域は分子、細胞、小動物、ヒトを研究対象に分子薬
理学、応用薬理学、精神神経薬理学などの広義の薬理学研究
を行っています。モノアミン、特にヒスタミン系を中心に最
新技術を用いて分子薬理学研究を行い、ヒスタミン関連遺伝
子ノックアウトマウスを用いた精神神経薬理学研究を行って
います。研究しているヒスタミン関連遺伝子ノックアウトマ
ウスは世界で最も多い研究室の一つです。
また基礎研究と臨床研究を橋渡しするために非侵襲的な分
子イメージングである PET(Positron Emission Tomography)
を中心に、分子イメージングの基礎開発と応用研究をおこ
なっています。分子イメージング(Molecular imaging)とは、
生物が生きた状態のままで外部から生体内の遺伝子やタンパ
Figure 1“善玉”としての神経性ヒスタミンの機能
ク質などの様々な分子の挙動を観察する技術のことを指しま
す。分子イメージングは、マイクロドーズ臨床試験として注
目されている医学、薬学、工学の新しい境界・複合領域です。
特にヒトのヒスタミン受容体イメージングや認知症に関連し
たアミロイドβ、タウ、αシヌクレインの分子イメージング
は独創的研究として高く評価されています。
実際の研究テーマ:1)ヒスタミン系の分子生物学。2)
PET を用いた神経精神薬理学的研究。3)アルツハイマー病
などを対象にした分子イメージング開発。4)ノックアウト
マウスによる薬理学研究。5)ミクログリアなどのグリア研究。
6)中枢ヒスタミン神経系の機能研究。
Figure 2 ポジトロン断層法による分子イメージング
OB・OG の主な進路
大学教員、留学、臨床医、製薬企業、食品関連企業、臨床検査会社、PET 検診センター、病院
担当教員より進学志望者へのメッセージ
研究は楽しくないと継続できないので、自分が好きで打ち込める研究テーマを早く見つけてください。
機能薬理学
11
ステロイド関連臓器・腫瘍の研究・病理診断の最先端
病理診断学
医科学専攻
笹野 公伸
修士課程 / 博士課程
教授
Anatomic Pathology
Hironobu Sasano
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://plaza.umin.ac.jp/~steroid/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8050
[email protected]
この分野の研究テーマ
・乳癌、肺癌 他の性ステロイドホルモン依存性腫瘍の intracrinology
・副腎皮質病変おけるステロイド制御機構の解明
・神経内分泌腫瘍の病理学的検討
研究キーワード:ステロイド、副腎皮質、ステロイド依存性腫瘍、神経内分泌腫瘍
技術キーワード:免疫組織化学、RNA マイクロアレイ、共培養、Laserdissection
当分野では、病理診断を行う病理専門医および病理学研究
に励む博士大学院生、修士大学院生が多数在籍している。研
究面では、病理組織検体、培養細胞を組み合わせるトランス
レーショナルリサーチを主体とし、臨床に近い基礎研究を精
力的に行っている。当研究室の Intracrinology に関する研究
から得られた結果は、乳癌患者の内分泌療法の奏功性を上昇
させ、新たな内分泌療法の開発の礎となり、大きな成果をあ
げている。さらにその他の癌腫についても性ステロイドとの
関連を明らかとしたことは癌研究分野に大きな影響を与え
た。以上より病理診断学分野はホルモンと癌の領域では、文
字通り世界を代表する研究室として位置付けられている。ま
た我々はヒト副腎においてのステロイド合成の局在性を初め
て報告した研究室でもあり、現在種々の副腎皮質疾患のステ
ロイド合成動態とその制御を総合的に研究しており、その成
果の一部は難治性高血圧の新たな治療法の開発につながって
いる。神経内分泌腫瘍の病理学的検討も実際の臨床症例と培
養細胞を用いた検討で進められている。これらの研究領域で
病理診断学分野は 1998 年の開設以来国内外との共同研究を
含め peer review の 500 以上の英文原著を発表している。
Figure 1 イントラクリノロジーとエンドクリノロジー。癌におけ
る組織内でのステロイド合成
Figure 2 副腎の三重染色:CYP11B1, CYP11B2, CYP17, 核染:
DAPI
OB・OG の主な進路
東北大学医学部 教員、東北大学病院 教員、国内製薬会社 研究者、有名化粧品会社 研究者、他大学 研究員・教員、留学(米・独)、宮城県内 市中病院 病理部、母国に帰国(留学生)
担当教員より進学志望者へのメッセージ
本分野は医学、歯学、薬学、理学、臨床検査と多様な人材が国内外から集まり、主にホルモンの研究を通して幅広い角度からヒト疾患の研究を進めて
います。
12
病理診断学
国境を越えた感染症研究を目指す
微生物学
医科学専攻
押谷 仁
修士課程 / 博士課程
教授
Virology
Hitoshi Oshitani
Professor, M.D. Ph.D. M.P.H.
分野ウェブページ
http://www.virology.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8211
[email protected]
この分野の研究テーマ
・呼吸器ウイルス感染の病態および病原性解析・ウイルスの分子疫学と進化過程
・呼吸器ウイルス・消化器ウイルスのモニタリング・海外の感染症のフィールドリサーチ
・感染症疫学と感染症流行時の公衆衛生対策
研究キーワード:ウイルス、感染症、実地疫学、分子疫学、病原性解明
技術キーワード:データ処理・統計解析、病原体検出、塩基配列・系統解析、分子・細胞生物学
我々の教室ではウイルスを中心とした感染症の研究を行っ
ています。我々が研究を進めて行く上で、以下のような基本
理念を常に心がけるようにしています。
1) 感染症のコントロールに役立つ研究:単に学術的に興
味から研究をするのではなく、基本方針として感染症対策の
現場で役に立つ研究を目指しています。
2) フィールドでの研究:感染症対策の現場で役に立つ研
究をするためには実験室に閉じこもっているだけでは不十分
です。このため国内外のフィールドに積極的に出かけていっ
て研究を行っています。
3) 広い視点からの研究を目指す:ウイルス学や細菌学な
Figure 1 実験室での風景
どの研究者の多くは狭い領域の研究のみを研究している場合
が多いですが、我々は狭い専門領域にこだわることなく広い
視点からの研究を行っています。
4) グローバルな視点からの研究:フィリピン・モンゴル・
ペルーなどの海外のフィールドでの研究を中心に行っていま
すし、WHO ( 世界保健機関 ) などの国際機関の活動にも参加
しています。ただフィールドを海外に限定しているわけでは
なく国内でも多くの研究を行っています。国境を意識するこ
となく感染症の問題があるところでフィールド研究をするこ
とを基本方針としています。
Figure 2 実地調査での風景
OB・OG の主な進路
東北大学病院、東北大学、厚生労働省、理化学研究所、日本赤十字社、仙台医療センター、海外研究機関
担当教員より進学志望者へのメッセージ
感染症に関わる研究であれば、かなり幅広い研究ニーズに応えられる体制にあります。ともに感染症のコントロールを目指して研究をする仲間を広く
求めています。
微生物学
13
自己免疫疾患・アレルギーの克服をめざして
免疫学
石井 直人
医科学専攻
教授
Microbiology and Immunology
Naoto Ishii
Professor, M.D. Ph.D.
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.immunol.med.tohoku.ac.jp//index.html
連絡先
TEL022-717-8096
[email protected]
この分野の研究テーマ
・免疫記憶
・粘膜免疫と T 細胞
・TNF 受容体型分子による免疫制御
研究キーワード:免疫記憶、自己免疫、免疫寛容、T 細胞補助刺激、サイトカインシグナル
技術キーワード:遺伝子改変マウス、フローサイトメトリー、細胞培養、シグナル解析、遺伝子操作
免疫系は、リンパ球を中心とした免疫細胞のネットワーク
により自己・非自己を識別し、その情報を記憶する極めて高
度な生命システムです。当研究室ではこれまでに、T 細胞の
発生・分化・増殖に必須なサイトカイン受容体(γ c 鎖)な
らびに T 細胞補助シグナル分子(gp34/OX40 リガンド)を
世界に先駆けて単離し、免疫系細胞の分化・増殖・活性化な
らびに記憶の制御機構を分子レベルで解明してきました。こ
れらの制御機構の異常はアレルギーをはじめ、自己免疫疾患
や動脈硬化などの慢性炎症性疾患、免疫不全症などさまざま
な免疫疾患を引き起こします。これらの疾患の原因を生体レ
ベルで解析するために、特に、免疫記憶の成立と維持の機構
Figure 1 T 細胞補助刺激分子 OX40 の働き
OB・OG の主な進路
大学教員、研究所研究員、製薬企業研究員、検査会社研究員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
免疫に興味がある方は誰でも大歓迎です。お気軽にご連絡ください。
14
免疫学
の解明と免疫寛容機構の解明に焦点を当てて研究し、疾患発
症の原因に迫ろうとしています。例えば、アレルギーが毎年
同じ時期に発症したり自己免疫疾患が再発し慢性炎症を繰り
返したりするのはヒトに免疫記憶があるからであり、いわば
免疫記憶はアレルギーや自己免疫疾患の病態の本質であると
言えます。したがって、免疫記憶の制御機構が解明できれば、
アレルギーや関節リウマチなどの自己免疫疾患を治療するこ
とが可能になります。ヒトの免疫疾患は難治性で重篤な疾患
が多く、今後の医学研究においても極めて重要な研究課題で
す。免疫学の基礎研究に加えて、その成果を臨床応用に橋渡
しできるように研究活動を展開しています。
Figure 2 IL-6 シグナルの新たな制御機構の発見
当該分野の基礎および臨床研究を通し、人類に貢献し、
社会を先導する人材を育成している
腎・高血圧・内分泌学
(腎・高血圧・内分泌科)
伊藤 貞嘉
教授
Nephrology Endocrinology and Vascular Medicine
Sadayoshi Ito
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.int2.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-7163
[email protected]
この分野の研究テーマ
・高血圧、糖尿病、腎炎による腎障害の発症機序の解明とその対策に関する研究
・尿毒素物質の産生、除去の制御による生体防御の研究
・内分泌疾患の成因と治療に関する研究
研究キーワード:大規模臨床研究、アンジオテンシン、腎血行動態、心腎連関、アルドステロン症
技術キーワード:尿細管微小灌流法、レーザードップラ、副腎静脈採血、腎生検
腎臓病、高血圧症、内分泌代謝疾患の病態の解明、診断、
治療に関して、基礎的・臨床的面から深く研究するとともに、
総合的な臨床力を持つ優れた医師・研究者の育成を目指して
いる。当分野の大きな特徴のひとつとして、
国際的ネットワー
クの充実があげられる。教授が米国に 10 年以上にわたって
滞在して築いた人脈により、海外留学の機会が豊富にあるこ
とはもとより、世界の権威が研究室を頻繁に訪れ、教室員や
学生の資質の向上に貢献している。
以下主な研究内容を示す。
1. 末期腎不全医療は高額であり、かつ、生活の制限も多く、
生活の質や社会経済の観点からも大きな問題である。慢性腎
臓病は末期腎不全のみならず心血管病のリスクにもなり、か
Figure 1 微量アルブミン尿と脳卒中の関連機序
つ、我が国の患者数も 1300 万人にも達し、健康福祉上の大
きな問題である。我々は腎生理学的手法、分子生物学的手法
や遺伝子工学的手法を用いて、詳細な腎障害機序や尿毒症物
質に関する基礎研究により、腎障害と心血管病の発症や進展
の機序を研究している。一方、豊富な症例や関連病院と連携
した臨床研究により、慢性腎臓病の病態、治療法の研究をし
ている。 2. 原発性アルドステロン症は高血圧患者の 10%
を占め、心血管疾患を起こしやすい危険な高血圧症であるが、
特徴に乏しいために見逃されやすい。本疾患のスクリーニン
グ、副腎静脈サンプリングによる局在診断など、この分野の
臨床研究で世界をリードしている。
Figure 2 微小灌流による糸球体血行動態の研究
OB・OG の主な進路
国立、公立、私立大学の医学部教授(東大、東北大学、福岡大学、近畿大学、福島県立医科大学など、1997 年以降 15 人以上)、公立・私立病院の院長、
部長、科長等、公的機関の医療行政の責任者(病院事業管理者等)、海外の研究機関のスタッフサイエンティスト(ヘンリーフォード病院、ノースキャ
ロライナ大学、米国 National Institute of Cancer 等)
担当教員より進学志望者へのメッセージ
多様性が大事である。研究と臨床を通して人間としての総合力を付けよう。優れた人との交流は人生を豊かにする。そのような場を提供する医局である。
腎・高血圧・内分泌学(腎・高血圧・内分泌科)
15
難治性血液疾患・免疫疾患の克服に向けて
血液 ・ 免疫病学
(血液 ・ 免疫科)
張替 秀郎
教授
Hematology and Rheumatology
Hideo Harigae
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.rh.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7165
[email protected]
この分野の研究テーマ
・血液・免疫疾患の病因の解明
・血液・免疫疾患の新規治療法の開発
研究キーワード:赤血球分化・鉄代謝、幹細胞の分化制御、自己抗体の同定と解析、膠原病と免疫細胞異常、血液免疫病の臨床研究
技術キーワード:試験管内血球分化、モデルマウス作製、血液細胞分取、遺伝子発現解析
私たちは難病である血液疾患・自己免疫疾患の病因の解明
や新しい治療の開発を目指して研究を行っています。具体的
なテーマは、赤血球分化の制御機構、移植免疫、白血病発症
の分子メカニズム、間葉系幹細胞と造血微小環境、自己抗体
の同定と産生メカニズム、自己免疫疾患における免疫細胞の
特性の解明など多岐にわたります。これらの基礎研究が私た
ちの研究の一つの柱とすると、もう一つの大きな柱は臨床研
究です。基礎研究から得られた知見を実際の治療に応用する
には、疾患の疫学や新しい薬や医療機器を使った臨床研究が
必須です。具体的には私たちは悪性リンパ腫の全県的な登録・
調査研究を進めています。また、多施設共同研究や医師主導
Figure 1 転写因子 GATA2 KO による造血不全モデル
治験を積極的に進め、新しい治療法の開発に取り組んでいま
す。これらの研究の柱を太くし、さらに伸ばすうえで基本に
しているのは、当たり前のことですが、ヒトの疾患を常に意
識することです。臨床で解けなかった病因、臨床で必要とし
た治療を自らの研究で明らかにし、形にすることが、研究を
進める上でとても重要であり正しい道筋だと思っています。
血液・免疫領域は分子標的薬や移植医療など最先端の治療が
つぎつぎと開発されている領域ですが、まだまだ治療法がな
く苦しんでいる患者さんがたくさんいます。私たちは少しで
も血液疾患・自己免疫疾患の患者さんの役に立てるよう研究
を進めていきます。
Figure 2 膠原病の難治性皮膚潰瘍に対する衝撃波療法
OB・OG の主な進路
病院、大学
担当教員より進学志望者へのメッセージ
血液疾患・自己免疫疾患はなぜ起こるのか、どうすれば治すことができるのか、今のそして将来の患者さんのために研究しています。
16
血液 ・ 免疫病学(血液 ・ 免疫科)
世界レベルの感染症学・感染制御学を目指して
感染制御・検査診断学
(総合感染症科、検査部)
賀来 満夫
教授
Infection Control and Laboratory Diagnostics
Mitsuo Kaku
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.tohoku-icnet.ac/
連絡先
TEL022-717-7373
[email protected]
この分野の研究テーマ
・感染症危機管理システム及びネットワークの構築
・薬剤耐性菌の耐性機序解析と制御
・感染症発症メカニズムの解析および重症化阻止
研究キーワード:感染症危機管理、薬剤耐性菌制御、感染症重症化阻止、感染症治療、ネットワーク
技術キーワード:分子生物学、感染実験モデル、疫学解析、危機管理、臨床微生物学
感染症は世界中の医療関連施設、地域社会全体の危機:ク
ライシスと認識されるようになってきており、今や感染症に
対する危機管理システム・ネットワークの構築が不可欠な状
況となっています。私たちの教室では、
感染症学、
感染制御学、
感染症疫学、臨床微生物学などの各領域においてさまざまな
基礎的・臨床的研究(薬剤耐性菌の疫学的解析と制御、感染
発症のメカニズム解析と重症化阻止、感染制御ネットワーク
構築、感染症治療・抗菌薬適正使用、感染症新規診断法の確
立)に取り組むとともに、学生教育や研究者の育成、感染症
Figure 1 感染制御・検査診断学分野の概要
の診断・治療・予防に関する総合的な対応能力を有する専門
的人材の育成をおこなっています。 また、東北大学病院
ならびに地域の医療関連施での感染症診療支援や感染管理な
どを実践するとともに、我が国のモデルとなっている宮城県・
東北地域における感染症危機管理地域ネットワークを統括し
ており、国立感染症研究所、国立国際医療研究センターとの
連携講座を設置し、世界に通用する感染症危機管理に関する
専門的人材育成プログラムの開発を実施しています。
Figure 2 感染制御インテリジェンスネットワーク概要
OB・OG の主な進路
国立大学医学部教員、公立大学医学部教員、私立大学医学部教員、公立病院臨床医、大学病院検査部職員、感染症関連研究所職員、大学病院看護部、
海外ポスドク、製薬メーカー社員、医療メーカー社員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
感染症学・感染制御学分野における我が国トップの教室として充実した教育研修、研究が行える体制となっています。興味のある方は是非、ホームペー
ジを御参照ください。
感染制御・検査診断学(検査部)
17
CT・MRI・核医学による高度臨床画像診断と IVR(インター
ベンショナルラディオロジー)による低侵襲治療開発
放射線診断学
(放射線診断科)
高瀬 圭
教授
Diagnostic Radiology
Kei Takase
Professor, M.D. Ph.D
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
http://www.radiol.med.tohoku.ac.jp/Diagnostic_
radiology/
連絡先
TEL022-717-7312
[email protected]
この分野の研究テーマ
・詳細な放射線診断と画像解析に基づく各臓器の臨床画像診断研究および病態解明
・CT・MRI・核医学による体内微細構造・脈管構造の画像診断・動態解析と臨床応用
・医工産学連携による新しい IVR 治療の開発研究と臨床応用
研究キーワード:神経放射線診断、一般放射線診断、臨床画像、ラジオ波焼灼術、腫瘍放射線診断
技術キーワード:CT、MRI:磁気共鳴画像、核医学、IVR、放射線診断
放射線診断学分野は臨床医学の教室であり、大学病院では
放射線診断医として臨床の画像診断とカテーテルなどの診断
技術を利用した低侵襲治療である IVR(インターベンショナ
ルラディオロジー)を行っています。症状や画像所見を総合
的に考え、病気の診断を行い、その進行程度や治療効果も判
断します。放射線診断専門医の教官 17 名、総勢 30 名を超
える研究室です。多くの患者さんの CT、MRI、血管撮影、一
般核医学検査(RI)、PET(ポジトロン CT)などの施行とそ
の診断を行っています。研究としては、脳神経・頭頸部・胸部・
骨軟部・腹部・泌尿器・婦人科・心大血管・救急・IVR・小児・
Figure 1 微細血管の画像解析 ( 脳血管、心大血管 )
核医学といった多岐にわたる分野のサブスペシャリティーに
おける臨床研究を主体とし、特徴として「詳細な画像解析に
基づく臨床研究」および「医工産学連携による新領域の開発」
を 2 つの柱として行っています。従来不可能とされていた病
変や構造の評価や診断を可能にすること、侵襲的方法でしか
できなかった診断や治療を、より低侵襲で可能にする研究を
行ってきました。こうした画像診断研究の成果は、疾患の治
療方針や手術方法の概念を変え、ガイドラインの内容にも大
きく影響し、疾患の治療成績を向上させてきました。
Figure 2 原発性アルドステロン症のラジオ波焼灼術
OB・OG の主な進路
国立大学医学系教員、私立大学医学系教員、公立病院医師、私立病院医師、海外大学医学系教員、開業医
担当教員より進学志望者へのメッセージ
放射線診断学を専門とする腕の良い、世の中に役立つ臨床医に育てます。高いレベルの臨床能力を基に、各臓器や IVR の専門分野を選んで臨床研究と
新しい医療の開発が出来ます。
18
放射線診断学(放射線診断科)
放射線治療による制癌と QOL 向上を目指して
放射線腫瘍学
(放射線治療科)
神宮 啓一
教授
Radiation Oncology
Keiichi Jingu
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.radiol.med.tohoku.ac.jp/chiryo/
連絡先
TEL022-717-7312
[email protected]
この分野の研究テーマ
・消化器がんの放射線治療確立
・機能画像による放射線治療効果予測
・再発癌に対する救済放射線治療確立
研究キーワード:放射線治療、食道癌、上咽頭癌、体幹部定位放射線治療、適応放射線治療
技術キーワード:強度変調放射線治療、画像誘導放射線治療、非剛体画像登録
当研究室では臨床を担う放射線治療医と医学物理士を育て
ることに重点を置き、放射線腫瘍学に関する様々な臨床研究
を実施しております。特に食道癌や上咽頭癌、前立腺癌に関
する放射線療法の確立を目指しており、当施設は世界に冠す
るような治療成績を論文等にて示し続けています。その他、
様々な多施設臨床試験を主導、参画しています。さらには医
学物理士と医師が共同で放射線治療の高精度化に取り組み、
放射線治療技術の向上と治療成績および QOL の向上に放射
線物理学の面からもトライしています。年々、体幹部定位放
射線治療や強度変調放射線治療などの実施率の向上を図って
います。
上記のような根治的放射線治療のみならず、手術後の再発 /
転移を来たした症例のサルベージ放射線治療の確立にも重点
を置き、その手法を開発研究しています。
また、放射線障害を起こさないように最大限の努力は続け
ていますが、残念ながら少ないながら放射線障害が発生する
場合があります。この放射線障害は一旦起こすと極めてやっ
かいな事象でありますが、これに対する研究および加療方
法、予防方法の研究も行っている大変貴重な施設となってい
ます。
Figure 1 Radiation dose-distribution of stereotactic radiotherapy
for primary lung cancer
Figure 2 Radiation dose-distribution of intensity modulated
radiotherapy for prostate cancer
OB・OG の主な進路
大学病院に医師・教員として勤務、地方がん診療拠点病院に医師として勤務、放射線医学総合研究所に医師・研究者として勤務、大学病院に医学物理士・
教員として勤務、地方がん診療拠点病院において医学物理士として勤務、医院経営
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当教室は若い臨床医や研究者の育成に力を入れています。研究室全体が若い世代で構成されているので、とても風通しのよい環境と思います。ぜひ一
度見学に来てください。
放射線腫瘍学(放射線治療科)
19
個体全身を診る・観る・試る 〜個体レベルでの代謝恒常性維
持機構の解明と糖尿病・肥満医療の実現
糖尿病代謝内科学
(糖尿病代謝科)
片桐 秀樹
教授
Metabolism and Diabetes
Hideki Katagiri
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
http://www.diabetes.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7611
[email protected]
この分野の研究テーマ
・臓器間ネットワークによるエネルギー代謝調節機構の解明と肥満治療開発
・臓器間ネットワークによる膵β細胞調節機構の解明と糖尿病治療開発
・糖尿病克服に向けた臨床研究
研究キーワード:臓器間ネットワーク、代謝の動的恒常性、膵β細胞再生、糖尿病、肥満
技術キーワード:糖代謝解析、エネルギー代謝解析、クランプ解析、脳機能解析、誘導性遺伝子改変動物
血糖値や体重は、全身各臓器の代謝状態の総和で決まりま
す。ですから、糖尿病や肥満などの代謝疾患を理解するため
には、各臓器の代謝がどのように連携し個体全身レベルで調
節制御されているかを考えないといけません。さらに、糖尿
病や肥満は、さまざまな臓器の疾患が発症の原因となること
も多く、また結果として多くの臓器に合併症を発症します。
そこで、このような代謝疾患をターゲットとする以上、臨床
においても(
「全身を診る」
)研究においても(
「全身を観る」)、
我々は全身各臓器の状況を把握し、そのメカニズムを解き明
かす必要があります。この「全身での代謝恒常性」のメカニ
ズムとして、求心性神経を含む神経ネットワークが大きな役
Figure 1 我々が見出した臓器間神経ネットワーク機構
割を果たしている現象を次々と見出し、「臓器間ネットワー
ク」の概念を提唱するに至りました(図 1)
。これらのオリ
ジナルの成果は、Science 誌や Cell Metabolism 誌などに多
く掲載され、世界から大きな注目を集めています。我々が発
見したこれらの体に備わったシステムを活用することで、エ
ネルギー代謝調節や膵β細胞の再生(図 2)
、老化の防止な
どを実現し、肥満や糖尿病の治療や健康長寿につなげること
を目指して、研究を進めています(「全身を試る」)。また、
糖尿病に関連するゲノム構造異常の発見など、臨床の場での
発想をもとにした様々な臨床研究も推進しています。
Figure 2 肝での ERK 活性化による膵β細胞の増殖誘導
OB・OG の主な進路
大学教員、海外留学(アメリカ、フランス)、基幹病院医師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
「多臓器生物の生きている仕組み解明」の興奮と「糖尿病・肥満の治療法開発」の臨場感を同時に味わい、最先端の biotechnology を駆使して自分の
可能性を追求してみませんか。
20
糖尿病代謝内科学(糖尿病代謝科)
消化管、肝臓、胆道、膵臓疾患克服へ
〜最先端の診療と研究への挑戦〜
消化器病態学(消化器内科)
医科学専攻
下瀬川 徹
博士課程
教授
Gastroenterology
Tooru Shimosegawa
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.gastroente.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL022-717-7171
[email protected]
この分野の研究テーマ
・消化器疾患の病態に関連した遺伝子異常の解明および臨床応用へ向けた橋渡し研究
・消化器癌の発癌進展機序の解明と新規診断治療法の開発
・消化器疾患の病因・病態に関する臨床研究および新規診療機器のイノベーション
研究キーワード:臓器線維化、疾患感受性遺伝子、上皮間葉転換(EMT)、胃酸分泌、肝炎ウイルス
技術キーワード:細胞培養、動物実験、次世代シークエンサー、消化管内視鏡、病理解析
消化器病態学分野では、上部消化管、下部消化管、肝臓、
胆膵と 4 つのグループに分かれてそれぞれの分野の疾患の病
態解明と治療について専門的な研究を行っています。上部消
化管グループでは、食道・胃における酸暴露および H. pylori
に対する免疫応答について動物モデルや細胞培養系を用いた
分子生物学的解析、胃酸分泌能による胃食道逆流症の臨床研
究、次世代型消化管内視鏡の開発などを主な研究テーマとし
ています。下部消化管グループでは、炎症性腸疾患の病因・
病態解明を目的とし、疾患感受性遺伝子の同定と機能解析お
よび、モデル動物や培養細胞を用いた基礎的な研究と臨床応
用へ向けた橋渡し研究を行っています。また、下部消化管腫
瘍の内視鏡診断・治療に関する研究も行っています。肝臓グ
ループでは、肝炎ウイルスの分子生物学的解析、原発性胆汁
性肝硬変(PBC)及び自己免疫性肝炎(AIH)の病因と治療
に関する研究、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病因と
病態解析に関する研究、肝硬変における血漿アミノ酸不均衡
が免疫機構に与える影響についての研究、肝癌の分子生物学
的・免疫学的解析などの研究を行っています。膵臓グループ
(胆膵分野)では、膵線維化の分子機構、特に膵星細胞に関
する細胞・分子生物学的研究、膵炎の病態や膵癌の発癌進展
に関する遺伝子変異、noncoding RNA の分子機構、胆膵疾
患の画像診断と内視鏡治療に関する臨床的研究を行っていま
す。
Figure 1 ゲノムを介した双方向型の橋渡し研究
Figure 2 遺伝子変異の蓄積による膵癌の悪性化
OB・OG の主な進路
大学教員、病院勤務医、開業医、研究機関職員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
各グループとも専門分野の研究、診断、治療を一貫して行っています。病態の深い理解に基づいた診療を学ぶとともに、新しい医療の創生・開発に関
わることができます。
消化器病態学(消化器内科)
21
循環器疾患の克服 ‒ 基礎研究から最先端医療開発まで-
循環器内科学(循環器内科)
医科学専攻
下川 宏明
修士課程 / 博士課程
教授
Cardiovascular Medicine
Hiroaki Shimokawa
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.cardio.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7153
[email protected]
この分野の研究テーマ
・冠動脈攣縮・動脈硬化の分子機構、血管内皮機能
・先端医療機器開発
・心血管病に関する大規模臨床研究
研究キーワード:冠動脈攣縮、虚血性心臓病、慢性心不全、肺高血圧、不整脈
技術キーワード:分子生物学、血管生物学、医療機器開発、アブレーション、大規模疫学研究
当科は、世界に真価の問える独創性のある研究を行うこ
とを基本として、基礎研究から臨床応用に至る幅広いトラ
ンスレーショナルリサーチの実践を目指しています。 基礎
研究では、血管平滑筋の収縮・弛緩を含む生体内の様々な
生理機能の調節を司る Rho-kinase 経路に関する研究を長年
行ってきています。この経路が、冠動脈攣縮・高血圧・肺高
血圧・虚血再灌流障害を含む様々な心血管病の病態に深く
関与し、新たな治療標的となることを示し、世界的な Rhokinase 阻害薬の開発につながりました。また、内皮由来弛緩
因子の一つである内皮由来過分極因子 (endothelium-derived
hyperpolarizing factor, EDHF) に関して、その本体が内皮か
ら生理的濃度で産生される過酸化水素 (H2O2) であることを
Figure 1 心血管病の治療標的としての Rho-kinase 経路
世界に先駆けて同定し、この分野の研究で世界をリードして
います。衝撃波を用いた先端医療機器の開発では、重症虚血
性心臓病患者への血管新生治療や不整脈治療システムの開発
を行っています。 臨床研究では、世界でも最大規模の 1 万
人の慢性心不全患者の前向き登録研究(CHART-2 研究)を
実施中です。更に、わが国の多施設共同研究として、当科も
中心メンバーとなり冠攣縮研究会や日本肺循環学会を設立
し、冠攣縮および肺高血圧症の病態解明を精力的に行ってい
ます。上記のように、基礎研究から世界規模の臨床研究まで
幅広く研究活動を行っており、常にその成果を臨床に結びつ
けることを目指しています。
Figure 2 内皮由来弛緩因子の産生と役割
OB・OG の主な進路
国公立病院医師、私立病院医師、国公私立大学教員、診療所、医療行政機関、製薬メーカー、医療機器メーカー
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当科では循環器病学の基礎研究から臨床研究まであらゆるレベルの研究が可能です。皆さんの生涯のライフワークが必ず見つかります。
22
循環器内科学(循環器内科)
世界レベルの感染症学・感染制御学を目指して
総合感染症学
医科学専攻
賀来 満夫
修士課程 / 博士課程
教授
Infectious Diseases
Mitsuo Kaku
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.tohoku-icnet.ac/
連絡先
TEL022-717-7373
[email protected]
この分野の研究テーマ
・感染症危機管理システム及びネットワークの構築
・薬剤耐性菌の耐性機序解析と制御
・感染症発症メカニズムの解析および重症化阻止
研究キーワード:感染症危機管理、薬剤耐性菌制御、感染症重症化阻止、感染症治療、ネットワーク
技術キーワード:分子生物学、感染実験モデル、疫学解析、危機管理、臨床微生物学
感染症は世界中の医療関連施設、地域社会全体の危機:ク
ライシスと認識されるようになってきており、今や感染症に
対する危機管理システム・ネットワークの構築が不可欠な状
況となっています。私たちの教室では、
感染症学、
感染制御学、
感染症疫学、臨床微生物学などの各領域においてさまざまな
基礎的・臨床的研究(薬剤耐性菌の疫学的解析と制御、感染
発症のメカニズム解析と重症化阻止、感染制御ネットワーク
構築、感染症治療・抗菌薬適正使用、感染症新規診断法の確
立)に取り組むとともに、学生教育や研究者の育成、感染症
Figure 1 感染制御・検査診断学分野の概要
の診断・治療・予防に関する総合的な対応能力を有する専門
的人材の育成をおこなっています。 また、東北大学病院
ならびに地域の医療関連施での感染症診療支援や感染管理な
どを実践するとともに、我が国のモデルとなっている宮城県・
東北地域における感染症危機管理地域ネットワークを統括し
ており、国立感染症研究所、国立国際医療研究センターとの
連携講座を設置し、世界に通用する感染症危機管理に関する
専門的人材育成プログラムの開発を実施しています。
Figure 2 感染制御インテリジェンスネットワーク概要
OB・OG の主な進路
国立大学医学部教員、公立大学医学部教員、私立大学医学部教員、公立病院臨床医、大学病院検査部職員、感染症関連研究所職員、大学病院看護部、
海外ポスドク、製薬メーカー社員、医療メーカー社員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
感染症学・感染制御学分野における我が国トップの教室として充実した教育研修、研究が行える体制となっています。興味のある方は是非、ホームペー
ジを御参照ください。
総合感染症学
23
呼吸器疾患の病態解明から新規治療法確立へ
呼吸器内科学(呼吸器内科)
医科学専攻
一ノ瀬 正和
修士課程 / 博士課程
教授
Respiratory Medicine
Masakazu Ichinose
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.rm.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL022-717-8539
[email protected]
この分野の研究テーマ
・閉塞性肺疾患の新治療法開発
・新規肺癌治療法の開発
・びまん性肺疾患の病態解明
研究キーワード:閉塞性肺疾患、肺癌、びまん性肺疾患、睡眠時無呼吸症候群、呼吸器感染症
技術キーワード:バイオマーカー、呼吸機能検査、気管支鏡検査、免疫機序、遺伝子解析
当科では換気力学や肺拡散能といった呼吸生理学、
免疫(ア
レルギー)学、腫瘍学、薬理学などの多彩な基礎的基盤に基
づく手法により気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)と
いった慢性疾患から、肺炎、肺癌といった幅広い呼吸器疾患
の病態を解明し、新規治療法の開発を目指しております。
Figure 1 COPD の病態機序-活性窒素種の関与-
OB・OG の主な進路
国公立病院臨床医、国公立大学教員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
呼吸器内科は COPD などの慢性疾患に加え、肺炎、肺癌等幅広い疾患を取り扱い、病態把握のため呼吸生理、免疫・アレルギー、腫瘍、感染、薬理学
等が広く学べる分野です。
24
呼吸器内科学(呼吸器内科)
小児疾患の病態解明を通じて生理を知る、そして臨床に還元
できる研究を!
小児病態学(小児科)
医科学専攻
呉 繁夫
博士課程
教授
Pediatrics
Shigeo Kure
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.ped.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL022-717-7287
[email protected]
この分野の研究テーマ
・小児血液腫瘍免疫疾患の病態解明
・小児神経疾患の病態解明
・先天性代謝異常症の研究
研究キーワード:小児血液腫瘍免疫疾患、小児神経疾患、先天性代謝異常症、小児腎内分泌疾患、新生児疾患
技術キーワード:エクソーム解析、CGH アレイ法、細胞培養、分子生物学的研究技術、動物を用いた研究
現在進めている研究の方向性は血液腫瘍免疫分野では、原
発性免疫不全症の病態解明と小児がんの癌化機構の解明で
す。原発性免疫不全症では遺伝子変異がなぜ免疫不全症を引
き起こすのかを解明しようとしています。Wiskott-Aldrich 症
候群や自然免疫系の異常でおこる免疫不全症について詳細な
病態解析を分子レベルで行っています ( 図 1)。これらの研究
は、疾患研究を通して、ヒトの免疫機構や、その破綻による
細胞癌化機構を解析する上で格好の情報を提供してくれる重
要なものです。もう一つの課題は小児白血病や小児がんの癌
化機構の解明です。乳児白血病がん遺伝子をヒト造血幹細胞
Figure 1 原発性免疫不全症の分子病態研究
に導入し、東北大で樹立された超免疫不全マウス (NOG マウ
ス ) に移植する研究を行っています。この研究では癌化機構
の解明にとどまらず、ヒトの白血病に対する治療法をマウス
体内で検討できるようになるものと期待しています。
小児神経疾患分野では、エクソーム解析やアレイ法を駆
使して、遺伝子レベルでの病因解明を進めています(図 2)。
臨床所見のみでは診断が困難な症例の確定診断として重要な
方法であり、新しい病因の発見にもつながる方法です。
先天性代謝異常症は東北大学小児科の伝統ある研究分野で
あり、これまで多くの業績を残しています。
Figure 2 小児疾患の網羅的遺伝子解析
OB・OG の主な進路
東北大学病院小児科、東北大学遺伝病学分野、東北大学免疫学分野、東北大学メディカルメガバンク機構、成育医療研究センター、宮城県立こども病院、
宮城県内病院小児科
担当教員より進学志望者へのメッセージ
小児病態学は遺伝子異常を基盤とする病因と病態解明を行い、成果を病気と闘う子供たちに還元できる分野です。興味のある方は是非小児科研究室に
見学にいらして下さい。
小児病態学(小児科)
25
手術が必要な病気をもつあかちゃんとこどもたちのために
小児外科学(小児外科)
医科学専攻
仁尾 正記
修士課程 / 博士課程
教授
Pediatric Surgery
Masaki Nio
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.ped-surg.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7237
[email protected]
この分野の研究テーマ
・胆道閉鎖症の病因・病態解明
・腸管機能リハビリテーションと小腸移植
・小児がんの病因解明・新規治療法開発
研究キーワード:胆道閉鎖症、小腸移植、小児がん、小児内視鏡手術、小児心理支援
技術キーワード:葛西手術、内視鏡手術、小腸移植、新生児外科、小児がん
東北大学小児外科教室の歴史は東北大学医学部第二外科
(当時)の桂重次教授の時代(1941-63)にまでさかのぼり、
このときわが国最初の小児外科診療研究グループ作られまし
た。その後を継いだ葛西森夫教授は、日本に小児外科学の創
生を導いた一人で、とくに胆道閉鎖症の外科治療(葛西手術)
の開発は世界に冠たる仕事として外科学の歴史に長く名をと
どめております。1983 年に小児外科診療科が誕生し、1990
年に講座昇格となりました。
小児外科学分野では心臓、脳、骨格筋をのぞく新生児、乳
児、小児の外科的疾患の臨床を行っています。
臨床研究では主に胆道閉鎖症、腸管機能不全、小児がん、
Figure 1 胆道閉鎖症の肝内胆管のアポトーシスの検討
小児内視鏡手術に関する研究を行っております。胆道閉鎖症
に対する手術(葛西手術、肝門部腸吻合術)は世界に先駆け
て当科で開発された治療法で、長期にわたる多数例の治療経
験を有し、優れた研究実績を誇っています。
基礎研究では気管軟骨再生を目指した再生医療に関する研
究とラットの小腸移植モデルを用いた小腸移植の拒絶反応の
制御に関する研究なども行っております。
さらに近年では、重症な小児外科疾患の患者と家族の精神
的サポートの必要性に着目し、他の専門分野の研究者と連携
して、こころと身体の両面からきめ細かなケアを提供できる
よう心理支援に関する研究も進めています。
Figure 2 小児内視鏡手術
OB・OG の主な進路
東北大学小児外科、八戸市立市民病院小児外科、岩手県立中央病院小児外科、宮城県立こども病院外科、仙台赤十字病院小児外科、仙台医療センター
小児外科、石巻赤十字病院小児外科、いわき市立総合磐城共立病院、山形大学第二外科、近畿大学奈良病院小児外科
担当教員より進学志望者へのメッセージ
日本専門医機構による「新しい専門医制度」に対応すべく、外科系各分野と連携した研修プログラムを用意し、専門医の育成に努めております。
26
小児外科学(小児外科)
世界に通用する婦人科医を育てる
婦人科学(婦人科)
医科学専攻
八重樫 伸生
修士課程 / 博士課程
教授
Gynecology
Nobuo Yaegashi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.ob-gy.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7252
[email protected]
この分野の研究テーマ
・婦人科腫瘍学
・生殖内分泌学
・女性健康医学
研究キーワード:産婦人科、婦人科腫瘍学、生殖内分泌学、女性漢方
技術キーワード:病理、解剖、内分泌学、先端医療技術
婦人科悪性腫瘍(子宮癌や卵巣癌)
、婦人科良性腫瘍(卵
巣嚢腫、
子宮筋腫など)
、
婦人科内分泌疾患(排卵障害、不妊症、
更年期障害)
、性感染症、性器の形成や位置の異常(腟閉鎖・
腟欠損・子宮奇形、子宮脱等)など幅広い疾患の診断や治療
を行っています。婦人科腫瘍に関しては年間に 200 例以上
の新規のがん症例を取り扱っています。低侵襲手術にも積極
的に取り組んでおり、センチネルリンパ節生検の婦人科悪性
腫瘍への適用、術中電気刺激を利用した神経温存手術による
排尿機能の温存、広汎性子宮頚部摘出術による妊孕能温存の
有効性を検討しています。内視鏡下の婦人科悪性腫瘍手術、
特にロボット支援手術による子官体癌の根治手術を開始し、
更なる低侵襲化を目指しています。また、再発癌などの難治
Figure 1 アンドロゲン受容体免疫染色
症例や希少症例に対しては積極的に臨床試験や医師主導治験
となるような新たな治療を検証する一方、緩和病棟を有する
大学病院としての特徴をいかすことにより患者様が最後まで
安心できるような緩和医療にも積極的に取り組んでいます。
生殖内分泌の領域では高度生殖補助技術 ( 体外受精、顕微授
精など ) に加え、不妊症例における鏡視下手術 ( 腹陛鏡下手
術、子宮鏡下手術 ) や、卵管鏡下卵管形成術などの高度医療
に取り組んでいます。思春期月経異常、性分化異常、性同一
性障害に対しては他科と連携しながら、子官奇形、造腟術な
ど一般病院では対応が難しい症例に対しての治療も行ってい
ます。
Figure 2 同 5 α-リダクターゼ
OB・OG の主な進路
国立大学教員、公立病院臨床医、海外ポスドク、大学院博士課程進学
担当教員より進学志望者へのメッセージ
婦人科腫瘍学、生殖内分泌学など幅広い領域の研究を行っています。学位を取得した後は希望に応じて海外に留学しています。さあ産婦人科を始めま
しょう。
婦人科学(婦人科)
27
世界で通用する周産期専門医を育てる
周産期医学(産科)
医科学専攻
八重樫 伸生
修士課程 / 博士課程
教授
Obstetrics
Nobuo Yaegashi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.ob-gy.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7251
[email protected]
この分野の研究テーマ
・胎児生理学
・胎盤の病理
・母体合併症
研究キーワード:産婦人科、周産期医学、生殖医学、臨床遺伝学
技術キーワード:生理、病理、先端医療技術、動物実験
産科では母体の基礎疾患合併の方が多く、各専門内科、精
神科、外科、IVR 科、救命救急センター、集中治療科、そし
て麻酔科の先生方や検査技師の方々と連携しながら、胎児異
常や救命疾患への対応をしています。年間約 1,000 件の分娩
(うち 400 件は帝王切開)に加え、緊急搬送症例が 200 件程
あります。
臨床応用を意識した基礎研究としては、胎盤形成異常のメ
カニズム解明および妊娠高血圧症候群の病態解析、産後大出
血の管理法等に関する研究、母体の糖・脂質代謝や内分泌環
Figure 1 メ
トホルミン投与による ELT-3 細胞での VEGF 蛋白の発
現の変化
境がどのように児に影響を与えるのかその機序を解明する研
究、妊娠中における母親の薬剤服用が子どもの精神運動発達
へ与える影響や、子どもの精神運動発達に影響を与える両親
の産後うつの実態と各種弊害の新規抽出などを研究テーマと
しています。また、妊娠ヒツジを用いた急性~慢性の子宮内
炎症モデルを作成し、最終的にはより戦略的な妊娠中の子宮
内炎症の適切な診断方法、動態解析、治療方法の開発をめざ
す研究なども行っています。
Figure 2 メトホルミン投与と低酸素状態における VEGF 発現の変化
OB・OG の主な進路
国立大学教員、公立病院臨床医、海外ポスドク、大学院博士課程進学
担当教員より進学志望者へのメッセージ
周産期医学、
臨床遺伝学など幅広い領域の研究を行っています。学位を取得した後は希望に応じて海外に留学しています。さあ産婦人科を始めましょう。
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周産期医学(産科)
・進取(柔軟な発想でよりよい手技・考え方を積極的に取り入れる)
・何でも診る
先進外科学
(移植・再建・内視鏡外科)
(兼)大内 憲明
教授
Advanced Surgical Science and Technology
Noriaki Ohuchi
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.surg2.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7214
[email protected]
この分野の研究テーマ
・食道疾患に対する低侵襲手術と周術期管理を包括した治療体系の構築・消化器外科栄養学
・臓器移植、肝細胞移植及び幹細胞移植、心停止ドナー移植、膵島分離と臓器再生
・腹部大動脈瘤の進展機序に関わる因子の解明、腹部大動脈瘤破裂の予測因子の解明
研究キーワード:消化器低侵襲手術、再生医療と細胞移植、血管変性制御、外科侵襲学と栄養学、外科手術機器開発
技術キーワード:胸腔鏡下食道切除術、肝・膵・腎臓移植、血管内治療・血行再建、経口内視鏡的筋層切開、ロボット補助下手術
当科では、1991 年に第 1 例目の生体肝移植を施行して以
来 2014 年 12 月までに 164 例の肝臓移植を行ってきました。
また、7 例の膵腎同時移植を含む多数の腎移植を施行してお
ります。これらの移植再建技術を応用し、血管合併切除再建
を必要とする肝胆膵外科手術も積極的に取り組んでいます。
関連研究として細胞移植や再生医療に積極的に取り組んでい
ます。
消化器外科分野は、1994 年に本邦初となる食道癌の胸腔
鏡下手術を行い、現在まで 650 例以上に施行してきました。
最近はロボット手術のほか、食道アカラシアに対する傷のつ
かない治療 POEM や腹腔鏡下肝切除手術など低侵襲外科治
療の臨床と研究を更に積極的に進めています。
血管外科分野では、治療の低侵襲化をめざし、血管内治療
Figure 1 ロボット補助下胸腔鏡食道癌手術
を推進してきました。近年、腹部大動脈瘤の血管内ステント
治療(EVAR)の需要が急増しており、手術件数も飛躍的に
伸びております。
今後の展望としては、
・食道癌・肝癌の集学的治療の研究と手術治療のさらなる
低侵襲化を行う。
・肝移植、膵島移植の研究を再生医療・幹細胞移植を中心
として推進する。
・血管疾患治療の低侵襲化(血管内治療の推進)をはかり、
衝撃波治療や新規薬物療法を創出する。
等を視野に入れ研究を進めてまいります。また医学教育へ
一層力を入れ、高度な専門性を持ちながら患者の全身を診療
できる外科医の養成をめざします。
Figure 2 肝臓移植手術
OB・OG の主な進路
国立大学教授、東北大学をはじめとする国公立・私立大学教官、東北大学病院外科スタッフ、関連基幹病院長および外科スタッフ、関連一般病院外科
スタッフ、開業医、基礎医学研究者
担当教員より進学志望者へのメッセージ
最先端の医学研究、高度な臨床能力、全人的教育ができる外科医を育成します。旧第2外科医局は自由な気風であり、本人のチャレンジ精神さえあれ
ば何でもできます。
先進外科学(移植・再建・内視鏡外科)
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ナノテクノロジーなど最新の技術を駆使したがん研究と
新たな乳癌検診の戦略を創生
腫瘍外科学
(乳腺・内分泌外科)
大内 憲明
教授
Surgical Oncology
Noriaki Ohuchi
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.surg2.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7214
[email protected]
この分野の研究テーマ
・分子生物・病理学的研究 : 乳腺、甲状腺疾患の病態を解明する基礎的研究
・ナノ医科学 : 産官学と連携しての蛍光ナノ粒子などを用いたナノメディシン研究
・がん戦略研究 : 乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験
研究キーワード:乳癌、マンモグラフィ、ナノメディスン、検診、甲状腺癌
技術キーワード:腫瘍浸潤リンパ球、蛍光ナノイメージング、ランダム化比較試験、J-START
本分野は、旧外科学第二講座で培った研究を発展させ、そ
の成果を社会に普及することを目的として、がん研究、教育
及び診療に取組んでいます。
〈対象疾患〉
乳腺、甲状腺疾患、他
〈研究内容〉
1)分子生物・病理学的研究 : 乳腺、甲状腺疾患の病態を
解明する基礎的研究 ・ナノ医科学 : 基礎と臨床を結ぶ橋渡し
研究として、産官学と連携したがんのナノメディシン研究を
推進。 2)がん検診の評価 : 乳がん死亡率低減を目的にマン
Figure 1 乳がん検診の大規模ランダム化比較試験
モグラフィ検診をわが国で初めて構築するとともに、新たな
研究開発として超音波を用いた大規模臨床試験を展開。 3)
がん戦略研究 : 国家的プロジェクトである第 3 次対がん総合
戦略研究事業「乳がん検診における超音波検査の有効性を検
証するための比較試験 (J-START)」を研究リーダーとして推
進。
私たちはがんの克服に向けて、研究者を育成、新規治療を
開発するとともに、世界へ情報を発信し、成果を社会に還元
します。
Figure 2 蛍光ナノ粒子での癌関連蛋白の高感度定量化
OB・OG の主な進路
国立大学教授、公立病院医師、国立大学教員、開業医、基礎医学教室
担当教員より進学志望者へのメッセージ
旧第二外科の自由な気風の中で患者さんのために役立つ研究を最先端の技術を用いて行い、臨床、研究、教育の全てができるグローバルな腫瘍外科医
兼研究者を育成します。
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腫瘍外科学(乳腺・内分泌外科)
運動器疾患の病態解明と新たな治療開発への挑戦
〜患者さんの生活の質の向上を目指して〜
整形外科学(整形外科)
井樋 栄二
教授
Orthopaedic Surgery
Eiji Itoi, M.D., Ph.D.
Professor
医科学専攻
障害科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.ortho.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL022-717-7245
[email protected]
この分野の研究テーマ
・肩関節疾患のバイオメカニクス研究と新たな臨床的評価法の開発
・四肢・関節の外傷および加齢変性における病態メカニズムの解明と新規治療法の開発
・脊椎変性疾患と脊髄損傷の病態解析と新しい治療・予防法の臨床応用
研究キーワード:肩関節、変形性関節症、脊髄損傷、骨粗鬆症
技術キーワード:解剖学的解析、有限要素解析、動物実験、病理解析、分子生物学的解析
(1)肩関節:新鮮遺体を用いたバイオメカニクス研究を
行っています。最新の磁気センサー、ひずみセンサー、万能
試験機などを用いて肩の安定化メカニズムの解明や腱板修復
術の初期固定評価などを行っています。
(2)股関節:東北大学金属研究所との共同研究で、低弾
性率の新しい金属材料を使った人工関節の開発を行っていま
す。動物実験で金属の安全性や有効性を確認し、実際に新し
い人工関節を作成して臨床試験を行っています。
(3)骨代謝・骨折治癒:東北大学加齢医学研究所との共同
研究で、炎症作用抑制、破骨細胞機能抑制の遺伝子改変マウ
スを用いた骨折治癒機構の解析を行っています。骨折治癒に
Figure 1 骨折部における幹細胞の分化の解析
おける炎症反応や破骨細胞の機能的役割を組織学的、放射線
画像、分子生物学的に検討しています。
(4)軟骨代謝:変形性関節症(OA)の発症や進展メカニ
ズムの解明を目指しております。軟骨の破壊に関わるタンパ
ク群の、DNA メチル化を介した発現調節を研究しています。
(5)脊椎疾患:脊髄損傷モデルを使用して、神経組織傷害
の分子メカニズムや細胞死などの新たな病態の解析を行って
います。循環器内科との共同研究で、高度先進医療である低
出力体外衝撃治療の臨床応用や、mTOR 阻害薬の脊髄損傷治
療への応用についての研究も進めています。
Figure 2 脊髄損傷の細胞死メカニズムの組織解析
OB・OG の主な進路
米国メイヨークリニック・バイオメカニクス研究所留学、英国サウサンプトン大学・骨関節研究所留学、米国マイアミ大学・マイアミプロジェクト脊
髄損傷研究所留学、米国コーネル大学留学、関連病院院長・副院長、大学教員、大学病院職員、臨床勤務医、開業医
担当教員より進学志望者へのメッセージ
国内外への留学経験者も多く、他大学や海外の留学生も受け入れ、多方面で共同研究も進めています。臨床に沿った様々な研究で、多くの実績をあげ
ています。
整形外科学(整形外科)
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Academic Surgeon を目指そう! ( その 1)
生体調節外科学
医科学専攻
海野 倫明
博士課程
教授
Gastrointestinal Surgery
Michiaki Unno
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.surg1.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7205
[email protected]
この分野の研究テーマ
・癌細胞における薬剤(多剤)耐性メカニズム
・大腸癌の新規予後規定因子に関する臨床病理学的検討
・減量手術による 2 型糖尿病・非アルコール性脂肪性肝疾患改善効果の機序解明
研究キーワード:薬剤耐性、ABC トランスポーター、個別化治療、がんのエネルギー代謝、疾患としての肥満
技術キーワード:次世代シークエンス、十二指腸空腸バイパス、ゲノム薬理学、免疫組織、小動物手術
私たちは消化器外科として胃・小腸・大腸・肝胆膵等の外
科治療に携わりながら、細胞・動物等を用いた基礎的学術研
究と実際の治療に反映させた臨床研究を軸に次世代の外科医
を育成する事を目指しています。
私たちの合い言葉は ”Academic Surgeon”。
脳外科医 Harvey Williams Cushing が外科医に提唱した 7
つの信念を大事にしています。
その外科医の持つべき信念とは、研究者であること・共に
Figure 1 5-FU の有害事象患者の遺伝子検討
研究すること・良き指導者であること・グループをまとめる
こと・良き執刀医であること・執刀医を助けること・理想的
な社会人であること。
私たちは癌・炎症性腸疾患・肥満等多彩な疾患に対し、低
侵襲の手術技術と最新の基礎的研究から得た膨大な知識を礎
に、世界に先駆けた治療を展開していく外科医・研究者を育
成します。
Figure 2 バイパス手術と腸管長の検討
OB・OG の主な進路
Academic Surgeon、世界の外科学をリードする大学教授、地域医療を守る中核的病院の管理者・院長、情熱的研究マインドを持つ外科医、次世代の
医師を鍛える勤務医、患者さんの心を癒す消化器科開業医、患者さんも育児も家庭も大切にする女性外科医、臨床研究でエビデンスを創出する外科医、
胃腸外科の未来を先取りする内視鏡外科医、各種専門医・指導医・評議員等
担当教員より進学志望者へのメッセージ
少しでも興味を持たれた方は是非教室の見学にお越しください。
ともに Academic Surgeon を目指しましょう!
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生体調節外科学
Academic Surgeon を目指そう! ( その 2)
消化器外科学
医科学専攻
海野 倫明
修士課程 / 博士課程
教授
Hepato-Biliary Pancreatic Surgery
Michiaki Unno
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.surg1.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7205
[email protected]
この分野の研究テーマ
・消化器癌の浸潤・転移、薬剤感受性 - 癌微小環境の観点からの追求 ・膵胆道腫瘍に関する Translational research ( 橋渡し研究 )
・膵島移植と膵再生 - 糖尿病の細胞治療 研究キーワード:癌微小環境、浸潤・転移、集学的治療、抗がん剤感受性、膵島移植
技術キーワード:tumor xenograft、分子生物学的手技、細胞外基質、異種移植、小動物手術
私たちは消化器外科として肝臓・胆道・膵臓・胃・大腸等
の外科治療に携わりながら、細胞・動物等を用いた基礎的学
術研究と実際の治療に反映させた臨床研究を軸に次世代の外
科医を育成する事を目指しています。
私たちの合い言葉は ”Academic Surgeon”。
脳外科医 Harvey Williams Cushing が外科医に提唱した 7
つの信念を大事にしています。
その外科医の持つべき信念とは、研究者であること・共に
Figure 1 膵島 ( ランゲルハンス島 ) の移植
研究すること・良き指導者であること・グループをまとめる
こと・良き執刀医であること・執刀医を助けること・理想的
な社会人であること。
私たちは外科手術を軸として診断学・化学療法・放射線治
療・免疫療法・細胞治療等様々な治療を包括的に検討して、
最善の集学的治療を組み立てられる外科医・研究者を育成し
ます。
Figure 2 光るマウスを用いた癌移植と薬剤効果の研究
OB・OG の主な進路
Academic Surgeon、世界の外科学をリードする大学教授、地域医療を守る中核的病院の管理者・院長、情熱的研究マインドを持つ外科医、次世代の
医師を鍛える勤務医、患者さんの心を癒す消化器科開業医、患者さんも育児も家庭も大切にする女性外科医、臨床研究でエビデンスを創出する外科医、
肝胆膵の将来を切り開く高度技能専門医、各種専門医・指導医・評議員等
担当教員より進学志望者へのメッセージ
少しでも興味を持たれた方は是非教室の見学にお越しください。
ともに Academic Surgeon を目指しましょう!
消化器外科学
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心臓血管外科の最後の砦として困難な病態への挑戦
〜基礎研究に基づく新たなストラテジーの構築を目指して〜
心臓血管外科学
(心臓血管外科)
齋木 佳克
教授
Cardiovascular Surgery
Yoshikatsu Saiki
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.cts.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7222
[email protected]
この分野の研究テーマ
・胸部大動脈瘤の治療成績改善のための多角的研究
・血管吻合部狭窄予防のための DDS アプローチ
・臓器保護を目的とした分子機序の解明と医工学連携による各種センサーの開発
研究キーワード:胸部大動脈瘤、脊髄保護、吻合部狭窄、臓器保護
技術キーワード:血流センサー、DDS、大動物実験、医工学、再生医療
心臓血管外科学分野の特色は、マウスなどの小動物から犬・
ブタにいたる大動物を使用した in vivo 動物モデルでの基礎
研究の実践であり、主要研究テーマは以下の 3 つが挙げられ
る。
①胸部大動脈瘤の治療成績の改善を目指した多角的アプ
ローチとして、大動脈瘤発生の機序の解明とその制御法の開
発、大動脈瘤の低侵襲早期発見システムの開発、新規の脊髄
保護法の開発、急性大動脈解離における中膜再生法の開発、
生体吸収性素材による吻合部補強法の開発などに取り組んで
いる。
② 有 効 薬 剤 が 局 所 に 効 果 的 に 徐 放 さ れ る DDS(Drug
Figure 1 大動脈解離における中膜再生研究
Delivery System)を応用し、血管吻合部狭窄を引き起こしう
る内膜肥厚の制御に取り組んでいる。
③手術に伴う虚血再灌流障害の低減を目指し、心臓、腎臓、
脊髄をはじめとする主要臓器の保護法の改善に取り組んでい
る。臓器(組織)血流の直接的モニタリングを可能とすべく
医工学連携により小型血流センサーの開発に取り組むととも
に、虚血再灌流障害の標的分子について着目し、その制御を
可能とする分子機序の解明も目指している。
その他、心膜再生と心膜癒着防止、人工血管吻合部仮性瘤
予防などを目的に組織再生(再生医療)に関する研究も進め
ている。
Figure 2 ビーグル犬大動脈解離モデルでの検証
OB・OG の主な進路
基幹病院心臓血管外科医、海外留学(米国、カナダ)、国公立大学教官(教授)
担当教員より進学志望者へのメッセージ
心臓血管外科領域の The Last Frontier にチャレンジする若者を募集しています。
Research Mind をもった Academic Surgeon を目指しましょう。
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心臓血管外科学(心臓血管外科)
泌尿器腫瘍学、低侵襲治療法の開発、排尿障害の解明と
骨盤内機能再建に取り組む
泌尿器科学(泌尿器科)
荒井 陽一
教授
Urology
Yoichi Arai
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
障害科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.uro.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL022-717-7282
[email protected]
この分野の研究テーマ
・泌尿器科低侵襲治療法の開発
・泌尿器悪性腫瘍学
・排尿障害と骨盤機能再建
研究キーワード:泌尿器腫瘍、低侵襲治療、骨盤内機能再建、排尿障害、糖鎖生物学
技術キーワード:腹腔鏡手術、ロボット手術、糖鎖生物学、神経温存手術、下部尿路症状
前立腺癌をはじめ泌尿器腫瘍の増加が著しい。基礎研究
では従来から糖鎖生物学的手法を用いて泌尿器癌の発生・進
展のメカニズム解明と新たな治療ターゲットの探索を行って
いる。前立腺癌は東北大学病院の男性悪性腫瘍で最も患者数
が多く、その治療法の開発に特に力を入れている。ロボット
手術をはじめ最新の低侵襲治療法を導入し、アウトカム向上
のための研究を行っている。骨盤内の機能温存再建法に関し
ては基礎および臨床の両面から開発を行っている。腎癌に対
してもロボット手術を用いた低侵襲手術法の開発を行ってい
る。排尿障害では大規模な疫学研究を行うとともに、尿失禁
Figure 1 腎癌に対するロボット支援腎部分切除術
の発生メカニズムの解明と治療法の開発を行っている。
臨床研究では東北大学大学院医学系研究科・泌尿器科学分
野 EBM フォーラム研究体制を組織し、泌尿器悪性腫瘍を中
心に多施設共同研究を多数てがけ新たなエビデンス構築をめ
ざしている。2013 年には上部尿腫瘍術後の膀胱再発予防法
の研究成果が、J Clin Oncol に掲載され、欧州泌尿器科学会
の診療ガイドラインに採用された。東北地区または全国規模
の研究ネットワークを構築し、大規模な臨床研究も行ってい
る。
Figure 2 上部尿路腫瘍術後の膀胱内再発予防効果
OB・OG の主な進路
国立大学教員、公立病院医師、民間病院医師、保健所
担当教員より進学志望者へのメッセージ
高齢化社会を迎え、泌尿器科学のニーズが高まっています。魅力ある研究テーマで社会貢献ができます。
泌尿器科学(泌尿器科)
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最高レベルの臨床を基盤とした麻酔科学・集中治療医学・
疼痛治療学の研究
麻酔科学・周術期医学
(麻酔科)
山内 正憲
医科学専攻
障害科学専攻
修士課程 / 博士課程
教授
Anesthesiology and Perioperative Medicine
Masanori Yamauchi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.anes.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7321
[email protected]
この分野の研究テーマ
・麻酔薬の効果や合併症のオミクス解析による分子機序の解明
・急性呼吸促迫症候群患者での新規バイオマーカーの探索
・難治性疼痛に対する神経再生治療の技術開発
研究キーワード:麻薬感受性、麻酔メカニズム、術後悪心嘔吐、遺伝子多型、ARDS、敗血症、内皮由来微小粒子、
神経障害性疼痛、患者皮膚由来シュワン細胞
技術キーワード:次世代 DNA シークエンサ、オミクス解析、in vivo イメージング、慢性疼痛モデル、細胞移植
麻酔科の大学院では、麻酔医療やその関連分野 ( 集中治療
やペインクリニック ) における、臨床での疑問を研究テーマ
として選び、臨床研究や基礎研究を行っています。私達は研
究だけを毎日行うのではなく、教授から新入医局員まで全員
が、手術室での臨床麻酔を中心とした附属病院での診療を継
続して行っています。臨床の現場にいる医師であるからこそ、
基礎医学者では着想し難い、日々の麻酔診療に役立つエキサ
イティングな研究が可能となります。そしてこの得難い研究
経験は、麻酔科医として社会に貢献する上で、あなたの視野
を大きく広げることでしょう。
当科での研究は、これまでの多くの症例報告や医師主導の
自主臨床研究に加えて、近年、多くの基礎研究のプロジェク
Figure 1 麻酔科学の特色と当科が目指す研究の方向性
トが始動しました。代表的なものでは、麻酔科学領域では術
後悪心嘔吐の脳幹孤束核における分子遺伝学的機序の解明、
集中治療領域では ARDS における肺血管内皮由来微小粒子の
関連 ( 先進感染症予防医学寄附講座との共同研究 )、ペイン
クリニック領域ではラット神経障害性疼痛モデルでの線維芽
細胞由来シュワン様細胞の移植治療 ( 細胞組織学分野との共
同研究 ) が現在、精力的に行われています。いずれも今後の
臨床を改善する可能性のある魅力的な研究です。
当科は日本で 2 番目に開講した歴史と伝統を持つ教室で
す。豊富な経験で蓄積された最高レベルの臨床に基づく、世
界最先端の研究の実践が東北大麻酔科の Research Policy で
す。
Figure 2 われわれの研究室で実験する大学院生
OB・OG の主な進路
東北大における教員としての採用、あるいは仙台市内と宮城全域の急性期基幹病院での勤務。いずれも第一線の麻酔科医として活躍し、
臨床や教育に大きく貢献する人材となっています。
担当教員より進学志望者へのメッセージ
研究を通じて、医学者としてのトレーニングを積むことは、最高の麻酔医療を患者様に提供するために、絶対に必要だと私は信じています。
集え!若き麻酔科医!!
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麻酔科学・周術期医学(麻酔科)
臨床と研究が両立できる日本で数少ない環境で、緩和医療の
専門医資格のみならず学位も取得できます
緩和医療学(緩和医療科)
医科学専攻
井上 彰
博士課程
教授
Palliative Medicine
Akira Inoue
Professor, M.D., Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.kanwa.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7366
[email protected]
この分野の研究テーマ
・進行がん患者を対象とした抗がん剤その他の薬剤に関する前向きの介入研究および観察研究
・終末期がん患者における症状緩和や精神社会的苦痛に関する臨床研究
・大規模がん関連情報の解析や患者家族の調査研究
研究キーワード:早期からの緩和ケア、分子標的薬、精神社会的苦痛、悪液質
技術キーワード:前向き介入研究、観察研究、家族調査
2000 年 10 月に国立大学病院では全国初の緩和ケア病棟
が東北大学病院で稼働を始め、2008 年には当分野が開設さ
れました。がん対策基本法の成立以後、緩和医療のニーズは
高まるばかりであり、当分野には都道府県がん診療連携拠点
病院として多くの人材を育成する使命が課せられています。
2015 年に当分野の初代教授に着任した井上は、がん薬物療
法専門医としての背景をふまえ、
「適切ながん治療」と並行
した「早期からの緩和ケア」を実践し、緩和医療のさらなる
発展を目指した臨床研究にも積極的に取り組んでいます(図
1)。当分野は緩和領域における全国的な研究組織 J-Support
(図 2)の主要メンバーであるほか、独自の臨床研究も複数
実施しており、大学院生として学位を取得する際のテーマは
Figure 1 分子標的薬による末期肺がん患者の著効例
豊富です(それらの臨床研究は医員や研究生として行うこと
も可能です)。
一方、当分野には日本緩和医療学会認定の専門医(中島)
も在籍することから緩和ケア専門医への道も開けます。緩和
ケア病棟での豊富な臨床研修に加え、緩和ケアチームとして
各科と連携した緩和ケアの経験を積むことや、在宅緩和ケア
の先駆けである岡部医院や仙台ペインクリニックなど地域の
連携施設で学ぶことも可能です。
臨床と研究、それぞれを希望に応じたバランスで取り組む
ことが可能で、選択肢も豊富なのが当分野の特色であり、緩
和医療の領域では全国でも数少ない施設と自負しておりま
す。
Figure 2 日本がん支持療法研究グループの組織図
OB・OG の主な進路
宮城県立がんセンター、岡部医院、塩釜市立病院
担当教員より進学志望者へのメッセージ
患者さんに「苦痛なく穏やかな日々を提供する」緩和ケアは、全ての医療の基本であり学ぶ価値は大いにあると思います。多様性を尊重し、子育て中
の女性医師も歓迎します。
緩和医療学(緩和医療科)
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急性期侵襲病態を解明する:
basic science から大規模臨床研究まで
救急医学
(高度救命救急センター)
久志本 成樹
教授
Emergency and Critical Care Medicine
Shigeki Kushimoto
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.emergency-medicine.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7487
[email protected]
この分野の研究テーマ
・ダメージ関連分子パターンに注目した急性期侵襲病態の解明
・急性期侵襲病態の解明と治療法開発
・重症敗血症に対する治療
研究キーワード:全身性炎症反応症候群、DAMPs、凝固線溶異常、急性期侵襲病態、重症敗血症
技術キーワード:生体モニタリング、人工臓器、細胞治療、災害医療
救急・集中治療領域におけるミトコンドリアから災害医療
まで、basic science から大規模研究にいたるまでをテーマと
しています。
1)臨床研究
①ダメージ関連分子パターンに注目した急性期病態にお
ける生体応答制御:敗血症、外傷、心停止後症候群における
mtDNA、HMGB-1 などの alarmins と炎症、免疫、凝固に関
する臨床的検討を行い、新たな治療法へ展開します。
②急性期凝固異常の治療法確立とダメージ関連分子パ
ターンに注目した外傷急性期病態解明:理論的背景に基づく
damage control resuscitation 戦略を確立するために多施設
共同研究のリーダーとして推進しています。
2)トランスレーショナルリサーチ
敗血症における Muse 細胞に注目した間葉系幹細胞による
Figure 1 急性期病態における血漿ミトコンドリア DNA
治療:これまでの間葉系幹細胞による cell-based therapy は、
trophic effect に注目したものです。間葉系幹細胞は、胚葉
を超える多様な細胞への分化能を有し、傷害部位にホーミ
ングし、repair 細胞として機能します。しかし、全ての間葉
系幹細胞ではなく、その一部を構成する Muse 細胞のみに認
められる機能です。重症敗血症における Muse 細胞の役割に
注目し、1)傷害部位における repair 細胞としての機能、2)
trophic effect の 2 つの側面から、cell-based therapy の可能
性を探ります。
3) ビッグデータ解析
①ビッグデータ構築に基づく医療の質改善:外傷性脳損傷
の二次侵襲制御と質の保証、②災害拠点病院としての Business
Continuity Plan 構築を目指した研究を推進しています。
Figure 2 Muse 細胞に注目した敗血症治療戦略
OB・OG の主な進路
新しい分野ですが、国内大学教授、県内外の多くの救命救急センター長として、救急・集中治療領域のリーダーとして活躍しています。
担当教員より進学志望者へのメッセージ
これからの領域としての、救急・集中治療の主要テーマである敗血症、外傷、心停止後症候群などの急性期病態に対して、基礎研究から大規模多施設
研究を展開します。
38
救急医学(高度救命救急センター)
臓器特異性の無い当科だからこそできる、幅広い研究
形成外科学(形成外科)
医科学専攻
館 正弘
修士課程 / 博士課程
教授
Plastic and Reconstructive Surgery
Masahiro Tachi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.prs.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8010
[email protected]
この分野の研究テーマ
・創傷治癒過程と NKT 細胞に関する基礎研究
・顔面骨吸収性プレートに関する基礎的研究
・頭頚部がんの機能的再建法に関する多施設協同研究
研究キーワード:創傷治癒、炎症反応、細菌バイオフィルム、吸収性プレート、虚血再灌流障害
技術キーワード:動物実験、遺伝子改変動物、病理解析、電子顕微鏡
我々が取り組んでいるのは、創傷治癒における白血球の役
割です。いままで、白血球は創傷治癒には直接の影響は与え
ないと考えられてきており、白血球を除去した状況では創傷
治癒が促進される知見もあることから、不要なものであると
する意見もありました。また慢性創傷では炎症が持続するこ
とがその要因であることも定説となっています。 我々は急
性創傷では創面に高濃度の微生物を播種した場合、微生物の
存在により好中球が集積し、TNF- α産生が高まり、創傷治
癒を促進することを明らかにしてきました。このことから、
微生物の存在という環境下では白血球は創傷治癒に積極的に
関与することが分かってきました。創傷における白血球の挙
動に影響を与えている細胞に NKT 細胞があります。NKT 細
Figure 1 細菌を負荷すると、創傷治癒が促進される
胞のノックアウトマウスを使った研究によって、NKT 細胞の
存在が白血球を抑制し、創傷治癒を抑制することを見出しま
した。したがって、白血球は創傷初期と慢性皮膚潰瘍ではフェ
ノタイプが異なっている可能性が浮かび上がってきました。
加えて、IL17 や白血球に関連するケモカインに着目して研究
をおこなっている。
慢性虚血肢に対する遺伝子治療法の開発に関しては、医
工学研究科分子デリバリー分野の小玉哲也教授との共同研究
において、閉塞性動脈硬化症などの慢性虚血性疾患に対する
遺伝子発現および組織血流のイメージングの研究をしていま
す。
Figure 2 慢性創傷とバイオフィルムの関係
OB・OG の主な進路
国立大学教員、公立病院医師、国立大学検査部、医学系出版社
担当教員より進学志望者へのメッセージ
保健学科卒業の方が修士課程、博士課程に進学しています。基礎系の研究室と自由にタイアップできますので、広いバックグラウンドを持つ方々の応
募をお待ちしております。
形成外科学(形成外科)
39
難治性神経筋疾患の早期診断・新規治療法開発を目指した
トランスレーショナル研究:基礎研究から臨床応用へ
神経内科学(神経内科)
医科学専攻
青木 正志
修士課程 / 博士課程
教授
Neurology
Masashi Aoki
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.neurol.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7189
[email protected]
この分野の研究テーマ
・神経筋疾患の分子病態解析と新規治療法探索
・神経免疫疾患の病態解明研究
研究キーワード:MND/ALS、パーキンソン病、筋疾患、多発性硬化症、視神経脊髄炎
技術キーワード:次世代シークエンサー、iPS 細胞・再生医療 、病理学・生化学的手法、細胞・動物モデル、
分子機能イメージング
高齢化社会において、神経難病への懸念は近年増大の一途
を辿っています。当科では筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パー
キンソン病(PD)等の神経変性疾患、遠位型ミオパチー等
の筋疾患、多発性硬化症(MS)
・視神経脊髄炎(NMO)等
の神経免疫疾患を対象とした研究に取り組んでいます。
多くの神経変性疾患では、ある神経群の機能障害・脱落
が徐々に生じた結果、特定の神経経路の障害が誘発されま
す。これら疾患の治療法は今なお緩和 / 対症療法に留まって
おり、確立した進行抑制治療が存在しないのが現状です。一
方、家族性神経筋疾患の遺伝子発見により、その背景にある
生化学的異常が次第に解明されつつあります。これら疾患の
さらなる病態解明を目指し、当研究室では患者由来 iPS 細胞
Figure 1 神経内科での基礎実験技術
を含めた細胞・動物モデルを構築しています。さらに、次世
代シークエンサーを用いた新規疾患関連遺伝子の探索も進め
ています。基礎研究に加え疾患バイオマーカーや分子イメー
ジング等の臨床研究にも力を注いでいます。MS・NMO は中
枢神経におけるオリゴデンドロサイト・アストロサイト傷害
によって生じる神経免疫疾患です。長年 MS と NMO の異同
は賛否両論ありましたが、NMO 特異的抗体である AQP4 抗
体が発見されて以降、NMO は独立した疾患単位として認知
されました。MS・NMO の新規サロゲートマーカーおよび進
行抑制治療を見出すため、当施設では AQP4 抗体の病的意義、
NMO 診断マーカーに関する研究を続けています。
Figure 2 神経内科が目指すトランスレーショナル研究
OB・OG の主な進路
国公私立大学教員、国公私立病院医師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
大学院での研究を通じてリサーチマインドを育み、患者のためになる医療に挑戦し続ける不屈の精神を備えた医療人を育成出来る様、熱意を持って指
導させて頂きます。
40
神経内科学(神経内科)
Research-driven Neurosurgery:
未来のニーズに応える神経外科治療の開発
神経外科学(脳神経外科)
医科学専攻
冨永 悌二
修士課程 / 博士課程
教授
Neurosurgery
Teiji Tominaga
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.nsg.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7230
[email protected]
この分野の研究テーマ
・新しい脳神経外科手術デバイスの開発
・低侵襲脳神経外科治療法の開発
・中枢神経疾患の病態解明と治療応用
研究キーワード:悪性脳腫瘍、脳血管障害、てんかん、医療機器開発、産学連携
技術キーワード:薬剤送達技術、医療機器開発、数値流体力学、遺伝子解析、動物実験
脳神経外科の全ての専門領域について、多くの研究講座・
施設と共同で基礎および臨床研究を展開しています。
・悪性脳腫瘍や脊髄腫瘍に対しては、中枢神経系への有効
な薬剤送達技術である Convection-enhanced delivery (CED)
法を用いた新しい化学療法の研究開発を行い、臨床応用を始
めています。また、医工学研究科との共同研究で、その技術
の更なる改良を行っています。脳腫瘍の遺伝子解析をおこな
い、脳腫瘍の原因、病態解析を行っています。抗がん剤の効
果が高い特定の遺伝子異常を明らかにし、治療に応用してい
ます。
・学内外の複数の診療科・企業とともに新しい手術用治療
器(パルスウォータージェットメス)の開発をしています。
この技術によって、大事な神経や血管を温存して最大限の病
変摘出が可能になり、手術後の患者さんの生活の質の維持に
つながります。
・脳血管障害の分野では、Computational fluid dynamics
(CFD) と呼ばれる流体解析法を用いて脳動脈瘤の破裂・増大
の予測を試みています。基礎研究ではもやもや病疾患感受性
遺伝子を初めて同定し、遺伝子変異マウスをもちいた病態解
析を進めています。また、企業と共同で新しい脳梗塞治療薬
の開発も行っています。
・てんかんの分野では、光遺伝学 (optogenetics) を応用し
たけいれん・てんかん発作モデルを開発し、てんかんの病態
解明と治療応用を目指しています。
Figure 1 新しい手術用治療器の開発
担当教員より進学志望者へのメッセージ
見学など随時受け付けますので、お気軽にご相談ください。
神経外科学(脳神経外科)
41
医工学連携から病態の本質に迫る
神経病態制御学
(脳血管内治療科)
(兼)冨永 悌二
教授
Neuroendovascular Therapy
Teiji Tominaga
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.hosp.tohoku.ac.jp/departments/1403.html
連絡先
TEL022-717-7195
E-Mail
この分野の研究テーマ
・脳動脈瘤発生に関する研究
・数値流体力学を用いた脳動脈瘤の血流解析
・微小カテーテルレーザージェット血栓破砕装置開発
研究キーワード:脳血管内治療、脳動脈瘤、頚部内頚動脈狭窄症、ステント、数値流体力学
技術キーワード:数値流体力学、脳動脈瘤、ステント
脳血管障害全般、特に脳虚血と脳動脈瘤の病態生理の解
明、新しい治療デバイスの開発などを、21 世紀 COE プログ
ラムや先進医工学研究機構(TUBERO)などと連携しつつ進
めております。 脳動脈瘤の病態解明では三次元診断画像(三
次元脳血管撮影および MRA、CTA)などから実データーを
元にスーパーコンピューターによる血流動態の解析を行う手
法(数値流体力学解析)を確立し、世界に先駆けて脳動脈瘤
を terminal type と side-wall type に分類し、特徴の違いを報
告しました。また、破裂脳動脈瘤の破裂部位の同定に有用な
ことを確かめ、未破裂脳動脈瘤の破裂リスクの解析にもこの
手法を役立てつつあります。 超急性期の脳虚血の再開通療
法において、機械的塞栓破砕が有用なことを実験的に証明し、
パルスレーザーを用いた微小カテーテルレーザージェット血
栓破砕装置を開発しました。
Figure 1 脳動脈瘤の数値流体力学解析
担当教員より進学志望者へのメッセージ
治療機器開発から数値流体力学(コンピュータシミュレーション)まで、幅広く工学技術を取り入れた研究を行っております。興味がありましたらご
連絡ください。
42
神経病態制御学(脳血管内治療科)
こころの健康を守り、こころの病を防ぐ
精神神経学(精神科)
松岡 洋夫
教授
Psychiatry
Hiroo Matsuoka
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
障害科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.psytohoku.ac
連絡先
TEL022-717-7262
[email protected]
この分野の研究テーマ
・子どもと家族のこころのケアの研究
・精神疾患の早期介入と予防についての研究
研究キーワード:児童思春期精神医学、神経発達障害、精神疾患の早期介入、予防精神医学、早期精神病
技術キーワード:精神療法、プレイセラピー、神経画像、認知機能、認知行動療法
(1)児童思春期精神医学の対象は、発達の問題、家族関係
の中で生じてくる問題、学校や社会に絡む問題、児童虐待、
摂食障害、不安障害や精神病と幅広く存在します。私たちは
これら全てに対応しながら、さらに、小児外科疾患の子ども
と家族の精神医学的問題についての研究に取り組んできまし
た。東日本大震災後は、トラウマやレジリエンスについての
調査を宮城県精神医療センターのチームが行っており、私た
ちも協力しています。
(2)精神疾患への早期介入と予防的アプローチについて
の研究も行っています。特に、初回エピソード精神病(First
Episode Psychosis: FEP) と FEP に 移 行 す る リ ス ク の 高 い
Figure 1 ARMS の経過と精神病/統合失調症
ARMS(At-Risk Mental State)に対する臨床研究を包括的に
行っています。精神病の発症過程における生物学的および
心理学的メカニズムの解明と早期精神病への効果的な介入
方法の開発に関心を持っています。現在の主な研究テーマ
以下の通りです:1)ARMS と FEP の長期縦断追跡調査、2)
ARMS と FEP の神経画像を用いた脳構造についての研究、3)
ARMS への認知行動療法のわが国における実施可能性の研
究、4)統合失調症の認知リハビリテーションの認知機能と
脳構造に及ぼす影響についての研究、5)統合失調症の自我
障害についての機能 MRI 画像を用いた研究
Figure 2 脳トレにより局所灰白質容積の変化
OB・OG の主な進路
国立大学教員、公立病院医師、民間病院医師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
子どもやその家族に治療的に関わりながら、患者さんに還元できる研究を目指しています。
早期精神病の神経画像や認知行動療法を含めた最先端の臨床研究が可能です。
精神神経学(精神科)
43
皮膚の魅力を究める
皮膚科学(皮膚科)
医科学専攻
相場 節也
修士課程 / 博士課程
教授
Dermatology
Setsuya Aiba
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.derma.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7271
[email protected]
この分野の研究テーマ
・経皮的に吸収される化学物質に対する免疫応答である接触皮膚炎の病態解明
・化学物質の免疫毒性の high throughput screening 手法の開発
・多能性成体幹細胞である MUSE 細胞を用いたメラノサイト分化の解析
研究キーワード:経皮感作、MUSE 細胞、腫瘍免疫、メラノサイト、抗菌ペプチド
技術キーワード:luciferase assay、MUSE 細胞、DNA array、ATP in vivo imaging、microdissection
当教室では、生体の最外層を被う皮膚の特性を理解する
ことを基本テーマとして研究を進めている。接触皮膚炎関連
研究では、ハプテンが、表皮ケラチノサイトや樹状細胞のチ
オール基と反応することで mitogen activated protein kinase
の活性化、Pannexin-1 channel からの ATP 放出などを引き
起こし免疫系を賦活化することを明らかにした。一方、接触
皮膚炎病変部では、浸潤してくるリンパ球が放出するサイト
カインに刺激され表皮細胞がヒアルロン酸を合成し海綿状態
という特徴的な細胞間浮腫を形成することを報告した。メラ
ノサイトに関連しては、細胞組織学分野出澤真理教授との共
Figure 1 海綿状態形成機序
同研究で、皮膚脂肪細胞からメラノサイトの分化誘導に成功
し、メラノサイトの幹細胞の同定、メラノサイトの分化誘導
メカニズムを解析している。抗菌ペプチドに関しては、その
代表であるカテリシジンで刺激された表皮細胞が IL-36 γお
よび種々のケモカインを産生することを明らかにし、カテリ
シジンの感染防御、炎症性皮膚疾患発症における役割の一端
を明らかにした。皮膚腫瘍免疫に関しては、最近乳房外パ
ジェット病の腫瘍細胞が receptor activator of nuclear factor
kappa-B ligand (RANKL) を産生し免疫抑制環境を形成してい
ることを見いだした。
Figure 2 脂肪組織からのメラノサイト誘導
OB・OG の主な進路
東北大学病院、鳥取大学、食品医薬品安全研究関連研究所
担当教員より進学志望者へのメッセージ
皮膚科学を志す医師は勿論、皮膚の研究に興味を持つ理学部、農学部、薬学部、工学部卒業生も大歓迎です。
44
皮膚科学(皮膚科)
難治性眼疾患の病態解明と治療開発
~失明ゼロを目指して~
眼科学(眼科)
中澤 徹
教授
Ophthalmology
Toru Nakazawa
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
障害科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.oph.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-274-7294
[email protected]
この分野の研究テーマ
・早期診断・早期治療を目的とした緑内障病態メカニズムの解明と網膜神経保護薬の開発
・網膜変性疾患に対する有効な遺伝子治療を目的とした技術開発
・iPS 細胞を用いた疾患モデルの確立
研究キーワード:緑内障、神経保護、創薬、遺伝子治療、ips 細胞
技術キーワード:網羅的遺伝子発現解析、薬剤スクリーニング、ゲノム解析、ウイルスベクター、幹細胞生物学
急速な人口高齢化によって、1990 年には失明原因の第 2
位であった緑内障が、現在では我が国の失明原因第 1 位とな
り、緑内障による失明予防は活気ある高齢社会を目指すため
には重要なテーマです。
緑内障では眼圧下降が唯一エビデンスのある治療と認識さ
れていますが、十分な眼圧下降が得られた場合でも病状が進
行する症例が存在し、眼圧下降治療のみでは限界があります。
そのため緑内障病態を基礎研究にて追求し、眼圧下降以外の
方法で緑内障の進行を抑制する神経保護治療薬の開発が必要
です。私達は動物モデルを用いて網羅的遺伝子解析から分子
レベルで緑内障の病態解明を進めています。その成果を基に
ドラッグスクリーニングシステムによって臨床応用可能な神
Figure 1 視神経挫滅モデルを用いた神経保護薬の開発
経保護薬の探索を行っています。緑内障以外にも、種々の難
治性眼疾患の病態解明、治療法の開発も行っています。本研
究室は、薬学や工学、理学、農学、再生医学などの知見や技
術を融合することにより、網膜神経保護治療、遺伝子治療、
細胞治療、ドラッグデリバリーシステム開発、手術デバイス
開発などに取組み臨床で実践するトランスレショナルリサー
チを目標としています。
臨床研究では、緑内障病態の進行に関与すると考えられて
いる眼圧非依存因子である眼血流や酸化ストレス研究、ゲノ
ム研究、さらには病態進行の早期判別・基礎から探索した薬
剤の効果判定のために必要な鋭敏な緑内障進行評価法の開発
などを行っています。
Figure 2 網羅的解析による候補薬剤の探索
OB・OG の主な進路
大学教授・教員、東北メディカル・メガバンク機構教授、国内留学(理化学研究所・国立長寿医療センター・がん研究会がん研究所など)、海外留学(ハー
バード大学・米国国立衛生研究所・ミシガン大学・シンシナティ大学・ジョージア大学など)、理化学研究所、医局スタッフ、関連病院・クリニック
担当教員より進学志望者へのメッセージ
失明ゼロを目指して、臨床研究から問題点を探り、その解決に向け基礎研究に取り組んでいます。一緒に新しい治療法の開発に取り組みましょう。研
究に情熱のある方大歓迎!
眼科学(眼科)
45
聴覚機能の回復と音声・嚥下機能障害の克服を目指して
耳鼻咽喉・頭頸部外科学
(耳鼻咽喉・頭頸部外科)
香取 幸夫
教授
Otolaryngology-Head and Neck Surgery
Yukio Katori
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
障害科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.orl.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-7301
[email protected]
この分野の研究テーマ
・内耳および中枢の音受容機構に関する研究
・頭頸部がんに対する機能温存治療の研究
・重度嚥下障害に対する低侵襲な手術の研究
研究キーワード:難聴、人工聴覚器、頭頸部がん、音声・嚥下障害、組織解剖学
技術キーワード:人工内耳、分子生物学的手法、免疫組織化学、電気生理学的手法、電子顕微鏡観察
当分野では「聴覚」
・
「頭頸部がん」
・
「嚥下」を主要なテー
マに据え、頭頸部の広い領域において研究を進めています。
(1) 内耳および中枢の音受容機構に関する研究、(2) 人工内
耳に関する研究、(3) 中耳、上気道の感染・アレルギー性炎
症の研究、(4) 頭頸部がんの発症機序に関する研究、(5) 頭頸
部がんに対する機能温存治療の研究、(6) 真珠腫の治療法に
関する研究、(7) 難治性耳管開放症の研究、
(8)頭蓋底疾患
Figure 1 聴性脳幹インプラント用の多チャンネル電極
の治療に関する研究、(9) 嚥下に関与する咽頭、頸部の筋運
動に関する研究、(10) 重度嚥下障害に対する低侵襲な手術の
研究、(11) 声帯麻痺による音声障害の治療に関する研究、な
ど、幅広い研究を行っています。
これらの研究は、東北大学病院における耳鼻咽喉・頭頸部
外科の臨床活動と対応し、各領域における高いレベルの診療
を作り上げています。
Figure 2 音声に関わる喉頭輪状甲状関節の機能解剖
OB・OG の主な進路
医育機関の教官、基幹病院の指導医、診療所開設
担当教員より進学志望者へのメッセージ
私達は聴覚・発声・嚥下など患者さんの機能の回復に寄与する研究や、頭頸部がんの低侵襲治療に役立つ基礎的実験を進めています。随時、ご来訪・
ご質問をお願いします。
46
耳鼻咽喉・頭頸部外科学(耳鼻咽喉・頭頸部外科)
身体活動・運動・スポーツのサイエンス
運動学
永富 良一
教授
Medicine and Science in Sports and Exercise
Ryoichi Nagatomi
Professor, M.D. Ph.D.
障害科学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.sports.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8586
[email protected]
この分野の研究テーマ
・骨格筋適応のメカニズム(筋力トレーニング、高所トレーニング、不活動など)
・スポーツ障害、サルコペニア、メタボリックシンドロームなどに関わる危険因子の特定
・歩行・ランニング・スポーツ動作のバイオメカニズム
研究キーワード:サテライト細胞、スポーツ障害、サルコペニア、トレーニング、生活習慣
技術キーワード:遺伝子改変マウス、動作解析、多変量解析、ウェラブルセンサー
身体活動、運動、スポーツ、生活習慣、健康をキーワードに細胞
から集団まで研究テーマに応じた幅広い領域の知識や技術を駆使し
て、さまざまな問題解決をはかっています。テーマは 3 つの主要分
野に大別されます。 A. 分子細胞生物学分野
1)筋サテライト細胞に焦点を当てた骨格筋適応
2)低酸素下における骨格筋適応
3)骨格筋と消化管のクロストーク
4)骨格筋損傷後からの再生
B. 疫学分野
1)メタボリックシンドロームおよびサルコペニア(加齢性筋肉
減弱症)の危険因子(仙台卸商研究 )
2)子ども(10~14 才)のスポーツ障害の危険因子
3)高齢者を対象とした死亡やサルコペニアの危険因子(鶴ヶ谷
Figure 1 身体活動・運動・スポーツのサイエンス
プロジェクト)
C. 生理学・バイオメカニクス分野
1)歩行の効率
2)スポーツの技術習得
3)加齢に伴う歩行様式の変化とそれに寄与する生体力学的要因
などです。 本研究室では、一人一人が自分のテーマを持ち、様々
な研究方法を用いてその解決に挑戦しています。
大学院生の出身学部も、医学部、工学部、教育学部、理学部、農
学部、保健学部、文学部、教養学部、体育学部など多彩です。 大学
教員、専門学校教員、理学療法士、作業療法士、保健師、トレーナー、
栄養士や体育科教員など社会人学生も、また世界各国からの留学生
もいます。
われわれはきわめてヘテロな集団ですが、それぞれの得意なとこ
ろを生かして日夜、身近な問題の解決に努力をしています。
Figure 2 骨格筋適応の研究。分子レベルから人体・集団レベルまで
OB・OG の主な進路
大学(医学、体育スポーツ、理学療法等)、研究所、企業(食品、ヘルスケア等)、自治体、専門学校
担当教員より進学志望者へのメッセージ
スポーツや健康に関心のある方は是非仲間に加わって下さい。出身学部は問いません。大学院入学を希望される方は是非一度お話をしましょう。
運動学
47
疾病と行動・心理の関連を研究する ~ストレスの病態克服をめざして~
行動医学
福土 審
教授
Behavioral Medicine
Shin Fukudo
Professor, MD. Ph.D.
障害科学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/disability/61/index.html
連絡先
TEL022-717-8214
[email protected]
この分野の研究テーマ
・過敏性腸症候群における脳腸相関の病態解明
・脳腸ペプチドのストレス病態に果たす役割の解明
・心身症に対する新規治療法の開発
研究キーワード:行動医学、心身医学、ストレス、脳腸相関、コルチコトロピン放出ホルモン、過敏性腸症候群、情動
技術キーワード:脳画像解析、消化管運動測定、内臓知覚測定、遺伝子研究、心理性格検査、動物実験
ストレスの病態が脳科学によって解明され、その克服の方
法が開発されれば、社会的な意義も大きい。行動医学とは、
疾病と行動・心理の関連を研究する分野である。その主な対
象は、ストレスの影響を受けるあらゆる疾患が研究の対象に
なり得る。生体は行動により環境への適応を図る。この反応
の大きさはある範囲に調節されており、脳あるいは末梢臓器
において、そこから逸脱するとストレス関連疾患が発症して
来る。当教室の特徴は、心身相関の観点からストレスを追求
Figure 1 Nat Rev Gastroenterol Hepatol に出した脳腸相関の経路
することにある。この心身相関モデルの代表疾患が過敏性腸
症候群である。過敏性腸症候群患者では内臓刺激に対する異
所性の脳賦活化が内臓知覚過敏に関連すると考えられている。
教室では、脳画像と大脳誘発電位の両方でその変容を捉え
ることに成功した。さらに、ストレスに関連する心的外傷(ト
ラウマ)、母子分離、失感情症、炎症による感作などにもアプ
ローチし、その鍵物質の制御によるストレスの病態克服を目
指している。
Figure 2 IBS
‌ の脳の fMRI。問題解決に際して前頭前野が活性化し
にくい。
OB・OG の主な進路
大学教員、博士研究員、公務員、臨床医、薬剤師、保健師、看護師、臨床心理士、製薬企業、書籍出版社
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当教室は、脳と内臓の機能的関連から行動とストレス応答の謎を解き明かします。様々な科学的手法を駆使し、ストレスがどのように身体の変化をも
たらすか、一緒に研究しましょう。
48
行動医学
最高のリハビリテーション医療を実践することを通して、
自らと家族、そして地域の幸福を目指しています
肢体不自由学
(肢体不自由リハビリテーション科)
出江 紳一
教授
Physical Medicine and Rehabilitation
Shin-ichi Izumi
Professor, M.D. Ph.D.
障害科学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.reha.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7338
[email protected]
この分野の研究テーマ
・認知・神経科学的研究に基づいたリハビリテーションプログラムの開発
・脳の非侵襲的刺激による中枢神経障害の治療
・運動器障害の病態解明と治療に関する研究
研究キーワード:脳機能回復、身体図式、幻肢・幻肢痛、運動障害、Quality of Life
技術キーワード:経頭蓋刺激、拡散テンソル技法、3 次元動作解析、義肢装具、バクロフェン髄注療法
神経・筋・骨・関節疾患に起因する精神・身体機能、生活
活動、および社会参加上の障害を予防し、最小化するための
医学・工学の融合技術を研究し、その成果を社会に還元する
ことを目標に研究を行っています。具体的には非侵襲的脳刺
激技術による可塑的変化の誘導、動作解析技術と計算論的神
経科学を応用した運動の最適化、情報工学技術の応用による
地域リハビリテーションシステムの構築、さらにこれらの技
Figure 1 身体図式適正化を目指す認知神経科学的介入
術やシステムを用いた患者中心医療を実践するための心理社
会的介入技術の開発・応用を、東北大学病院、関連教育病院、
地方自治体、企業等との協力のもとに行っています。
当分野は医工学専攻、障害科学専攻に加えて医科学専攻に
またがり、医師だけでなく理学療法士、作業療法士、看護師、
義肢装具士などの医療専門職、さらには福祉や工学系出身者
などの大学院生が多数在籍しています。
Figure 2 拡散テンソル画像
OB・OG の主な進路
大学教員、大学病院・一般病院セラピスト、大学病院・一般病院リハビリテーション専門医、大学病院・一般病院看護師、ソーシャルワーカー、専門
学校教員、研究員
肢体不自由学(肢体不自由リハビリテーション科)
49
てんかんを知ることは脳と心を理解すること
てんかんの診療は人生を考え人生を変えること
てんかん学(てんかん科)
中里 信和
教授
Epileptology
Nobukazu Nakasato
Professor, M.D. Ph.D.
障害科学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.epilepsy.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL022-717-7343
[email protected]
この分野の研究テーマ
・てんかん発作の症候学と臨床神経生理学
・てんかんの基礎生理学:とくに睡眠と自律神経とのかかわり
・てんかんの心理社会学
研究キーワード:ビデオ脳波モニタ、発作時脳波、心臓自律神経、脳機能マッピング、脳の高周波振動
技術キーワード:脳波(頭皮脳波)、脳磁図、睡眠ポリグラフ、頭蓋内脳波、脳の電気刺激
★ 2010 年、日本の大学として初の大学病院てんかん科が
誕生しました。あらゆる診療科と連携しつつ、医師や看護師
のみならず、臨床検査技師、薬剤師、臨床心理士、言語療法士、
ソーシャルワーカなどの多職種チームが作られています。東
北地方はもとより全国各地の施設との診療ネットワークも構
築されました。医学研究の専門家はもちろん、理工学、教育・
心理学など、共同研究分野は広く多彩です。医療職や大学だ
けでなく、広く社会に対してのアウトリーチ活動も重要な活
動として位置づけられています。★てんかん発作時の自律神
Figure 1 パープルディ活動にむけたチーム写真
経症状、睡眠ステージと発作や脳波異常の関連、脳波と脳磁
図を統合した局在診断、脳の高周波振動の病態解明、特殊な
MRI 撮影法による新しい局在診断、思春期患者の心理学的問
題の分析、遠隔てんかん診療システムの構築など、研究テー
マも多岐にわたっています。★何よりも私たちが大切にして
いるのは、患者さんひとりひとりの発作症状の不思議さです。
患者さんがもつ医学的問題と社会的問題を日々の診療の中か
ら掘り出し、これを研究して解決策を見つけ、再び患者さん
の未来に返していくのが私たちの活動です。
Figure 2 側頭葉てんかんにおける頻拍上昇は右起始で早い
OB・OG の主な進路
他大学の小児神経科、総合病院てんかんセンター、海外の神経内科
担当教員より進学志望者へのメッセージ
てんかんを学ぶことは、脳と心を学ぶこと。てんかん診療は、患者の人生を変えることのできるとても楽しい仕事です。
50
てんかん学(てんかん科)
今、ここでしか学べないリハ医療がある!
リハと内科のハイブリッド “ 内部障害リハ ”
内部障害学
(内部障害リハビリテーション科)
上月 正博
教授
Internal Medicine and Rehabilitation Science
Masahiro Kohzuki
Professor, M.D. Ph.D.
障害科学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.naibu.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-7353
[email protected]
この分野の研究テーマ
・呼吸循環、代謝、腎、消化器などに対するリハの効果とその機序の解明
・脳死肺移植前後など移植手術に対するリハの実践とその効果の解析
・動物モデルを用いた運動の臓器保護効果とその機序の分子レベルでの解明
研究キーワード:内部障害、包括的リハ、運動療法、臓器障害・保護、多臓器連関
技術キーワード:臨床研究、運動負荷試験、動物実験、分子生物学的手法
近年、我が国では人口高齢化の加速や動脈硬化性疾患の増
加により内部障害者数は急増しており、リハは機能障害の克
服だけでなく、動脈硬化危険因子のコントロールや生命予後
の改善、QOL や不安・うつの改善なども目指す “ 攻めの医療 ”
に変容しつつあります。
当分野は、内部障害リハについての研究を行っている本邦
初かつ唯一の研究室です。心臓・呼吸・腎臓機能障害、脳代
謝障害などの予防やリハ、運動療法に関する研究に力を入れ
ています。また、従来はあまり積極的にリハが行われていな
かった疾患領域にも目を向け、新たなリハ領域の確立を目指
しています。電気刺激療法や音楽療法などの代替医療につい
ての臨床研究も行っています。さらに、疾患動物モデルを用
Figure 1 心肺運動負荷試験による運動耐容能の評価
いた基礎的研究にも積極的に取り組んでおり、分子生物学的
手法によるリハの効果や機序の解明を目指しています。
当分野は、一昨年 12 月に開設 20 周年を迎えました。こ
れまでの学位取得者は 123 名(博士号 52 名、修士号 71 名)
にのぼり、延べ 17 人の教授と 36 人の准教授を輩出できま
した。また、当分野に併設されている内部障害リハ科へはこ
の 7 年間に 16 名の医師が入局しています。この数は国立大
学のリハ科では最多であり、さらに、4 年連続でリハ科専門
医を輩出しました。今後さらに、内科的リスク管理のできる
リハの医師やコメディカル専門家、新しいリハ科学を追求す
る研究者や教育者を養成していきたいと思っています。
Figure 2 疾患動物モデルに対する長期的運動
OB・OG の主な進路
大学教員、博士研究員、臨床医、大学病院職員、公立・私立病院職員、独立行政法人職員、海外大学教員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当分野には、様々な職種のメンバーが在籍しており、国際色も豊かです。職種や国の壁は全くなく、互いに励まし、切磋琢磨しながら研究生活を送っ
ています。
内部障害学(内部障害リハビリテーション科)
51
行動神経学を専門にした診療と研究
高次機能障害学
(高次脳機能障害科)
森 悦朗
教授
Behavioral Neurology and Cognitive Neuroscience
Etsuro Mori
Professor, M.D. Ph.D.
障害科学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/disability/65/
連絡先
TEL022-717-7356
[email protected]
この分野の研究テーマ
・認知症性疾患の診断と治療
・大脳疾患の症候学、画像研究
・大脳損傷による高次脳機能障害
研究キーワード:行動神経学、神経心理学、神経画像研究、認知症、認知障害
技術キーワード:アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、正常圧水頭症、脳血管障害
高次機能障害学分野は東北大学大学院医学系研究科障害科
学専攻の一分野として本邦で最初に開設されました。臨床面
では東北大学病院高次脳機能障害科で診療を行っています。
神経疾患あるいは脳損傷による意識、情動、注意、記憶、言語、
遂行機能、行為、空間認知、知覚(視覚、聴覚、体性感覚な
ど)などさまざまな心理過程の障害を診療および研究の対象
としています。これらの症状を正確に把握し、その土台にあ
Figure 1 視床梗塞による健忘に関連した神経束
る大脳の働きを究め、障害治療を進めるのが当分野の目標で
す。神経疾患の行動神経学、臨床神経心理学、神経機能画像
法を用いた脳機能研究などが主な研究フィールドとしていま
す。神経内科学、神経心理学、神経画像を基盤として臨床研
究を進めるスタイルはわが国ではとてもユニークで、特にレ
ビー小体型認知症、パーキンソン病に伴う認知障害、特発性
正常圧水頭症。脳卒中の研究では世界をリードしています。
Figure 2 特発性正常圧水頭症の白質異常
OB・OG の主な進路
大学教員、研究機関研究員、病院医師、病院療法士
担当教員より進学志望者へのメッセージ
医学部出身者はもちろん、医療保健学、生物学、心理学、教育学など背景は問いません。本気で研究者、あるいは臨床研究のできる医療人を目指す方
を求めています。
52
高次機能障害学(高次脳機能障害科)
音楽、音響、波動、微細エネルギーをキーワードに、
未来の医学を探究しています!
音楽音響医学
市江 雅芳
教授
Music and Acoustical Medicine
Masayoshi Ichie
Professor, M.D. Ph.D.
障害科学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.music.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8010
[email protected]
この分野の研究テーマ
・音楽とウェルネスの融合
・医療の場における補完代替医療
・音楽、音響、波動による人体の共鳴現象
研究キーワード:音楽、音響、波動、微細エネルギー、共鳴
技術キーワード:光トポグラフィー、心拍変動、波動医学
当分野は、医学的音楽療法の確立、音楽とウェルネスの融
合を研究テーマに、2004 年より活動してきました。医学的
音楽療法については、2014 年に「医学的音楽療法」のテキ
ストを出版し、一区切りがつきました。音楽とウェルネスの
融合は、音楽活動による高齢者の健康増進を目指しており、
2014 年に設立された社団法人日本音楽健康協会と共同で、
高齢者を対象とした新しい音楽健康法を開発し、そのための
人材育成を行っています。
また、東北大学病院で医療としての音楽療法を行ってきた
経験から、日本の医療制度の下で音楽療法やアロマセラピー
などの補完代替医療を行うためのノウハウを蓄積してきまし
Figure 1「医学的音楽療法」の教科書
た。欧米では、緩和ケアなどの幅広い領域で補完代替医療が
活用されており、近い将来、日本でも統合医療の形で活用さ
れる時代が来ると予測されます。当分野ではこれまでの経験
から、未来の医療にむけて様々な提言を行っていきます。
音楽、音響、波動による人体の共鳴現象は、微細エネルギー
が関与していると考えられます。しかし、このエネルギーは、
未だ測定することができません。その研究には大きな困難が
伴います。しかし、既存の技術だけを頼っていては未来の医
学は生まれません。当研究室は、数年先ではなく数十年先を
見ている大手企業と産学連携共同研究を行うことで、未来の
医療を築こうとしています。
Figure 2 微細エネルギーの測定実験
OB・OG の主な進路
教員、公務員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
敷かれたレールの上を歩むのではなく、フロンティアとして自分の足で歩んでいくことは、勇気と覚悟が必要です。そういう氣概のある方を求めてい
ます。
音楽音響医学
53
分化、発生、発育を科学し、胎児、赤ちゃんを守る
次世代医療をつくる
融合医工学
木村 芳孝
障害科学専攻
医科学専攻
教授
Advanced Interdisciplinary Biomedical Engineering
Yoshitaka Kimura
Professor, M.D. Ph.D.
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.fetalecg.med.tohoku.ac.jp/kimuralab/
kimuralab_top_jn.htm
連絡先
TEL022-717-7575
[email protected]
この分野の研究テーマ
・胎児心電図の開発と胎児心拍変動解析の分布解析
・胎児の発生と病理
・転写因子の確率微分方程式
研究キーワード:胎児心電図の抽出理論、胎児心電図装置の開発、胎児機能不全の解析、胎児障害の予防と治療、
遺伝子発現解析の理論
技術キーワード:ブラインド音源分離、参照系独立成分分析法、マウス疾患モデル、遺伝子・蛋白質解析、確率微分方程式
自閉症、若年性糖尿病、喘息などの病気が小さな子どもた
ちに増えています。これらの病気は、
お腹の中の赤ちゃん(胎
児)の時の母体の悪い環境が関与していることが分かってき
ています。しかし、胎児の疾患は発生、発育という複雑な状
況の中で起きるものであり、大変難しく一番基本的な低酸素
への対応や低栄養などの変化など色々なことがまだ解明され
Figure 1 実際の胎児心電図の計測機械
ていません。また、同じタンパクでも発生時期や状態で働き
が大きく変わることが知られています。本研究室は低酸素、
栄養、感染などの母体の作る環境変化が発生や遺伝子発現、
心拍変動に与える影響を遺伝子レベルから細胞レベル、組織
レベル、個体レベル、臨床レベルまで研究しています。
Figure 2 モデルマウスを用いる実験系の概要
OB・OG の主な進路
東北大学病院、理化学研究所、University of the Philippines、日立、東芝、NTT コミュニケーションズ
担当教員より進学志望者へのメッセージ
本研究室では、命を守る医療の新規創造をモットーに、複雑系ネットワークである生命の解明のため、生物学的な観点とその数理を通し研究を進めて
います。見学大歓迎です。
54
融合医工学
生理学的手法、免疫学的手法により、看護技術を科学的に
検証する
看護アセスメント学
保健学専攻
丸山 良子
修士課程 / 博士課程
教授
Science of Nursing Practice
Ryoko Maruyama
Professor, R.N. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.snp.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7484
[email protected]
この分野の研究テーマ
・生理学的指標を用いた看護技術やケアの検証
・性ホルモンと自律神経活動の関連性
・免疫学的手法による皮膚創傷治癒過程に関する科学的実証
研究キーワード:呼吸、自律神経活動、看護技術、創傷治癒、感染
技術キーワード:心拍変動解析、動物実験、免疫学的解析
当分野では、看護の対象となる人々への適切な日常生活援
助を行うために必要なアセスメントの方法、さらに科学的根
拠に基づく看護援助技術の開発およびその検証に関する研究
を行っています。実は、日常的に行われている看護技術のエ
ビデンスは乏しく、経験的に行われているケアが少なくあり
ません。そのため、近年、世界的にも実験的手法を用いた看
護技術検証の必要性が唱えられています。
Figure 1 創傷治癒関連因子
私たちは現在、
「体位変換による自律神経の変化」、「出生
体重と循環動態・自律神経活動の関連」、「微生物負荷が創傷
にもたらす影響」「皮膚創傷治癒過程におけるナチュラルキ
ラー T 細胞の役割」等の多岐にわたるテーマに取り組んでい
ます。これらの研究により、新たな知見を明らかにし、人々
の健康維持に寄与できる医療・看護技術の開発を目指してい
ます。
Figure 2 微生物負荷が創傷にもたらす影響
OB・OG の主な進路
医療機関 ( 看護師 )、市町村 ( 保健師 )、養護教諭、研究・教育機関 ( 大学教員 )
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当分野では、科学的根拠に基づく看護技術の開発・検証に興味を持ち、新たな事象の解明に意欲的な方を求めています。学部学生から大学院生まで様々
な方の参加を歓迎します。
看護アセスメント学
55
看護職の専門職化への挑戦
看護教育・管理学
保健学専攻
朝倉 京子
修士課程 / 博士課程
教授
Nursing Education and Administration
Kyoko Asakura
Professor, R.N. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.nem.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-8674
[email protected]
この分野の研究テーマ
・看護職の専門職的自律性、自律的な臨床判断、反省的思考に関する研究
・看護職の職業移動に影響する心理社会的労働環境の解明
・看護現象のジェンダー分析に関する研究
研究キーワード:専門職化、自律性、職業移動、臨床判断
技術キーワード:尺度開発、調査研究、質的研究、ジェンダー分析
【看護職の専門職的自律性、自律的な臨床判断、反省的思
考に関する研究】
看護職が専門職であるためには、専門職としての成立要件
を満たすことが必要です。専門職の成立要件のなかでも、と
りわけ自律性の達成は困難です。本分野では、看護職がより
高い自律性を獲得し、質の高い専門的ケアを提供することを
目指して、自律性および予測要因の解明に取り組んでいます。
【看護職の職業移動に影響する心理社会的労働環境の解明】
看護職が能力を発揮し、質の高いケアを継続的に提供する
ためには、看護職が自身の労働環境に満足し、長期にわたっ
Figure 1 専門職的自律性の検証的因子分析
て働き続けられることが重要です。本分野では、看護職の職
業移動に影響する心理社会的労働環境の解明に取り組んでい
ます。
【看護現象のジェンダー分析に関する研究】
日本の看護職の 95% は女性です。近代以降、看護という
仕事が女性の職業として社会的に構築されてきた経緯もあり
ます。このような背景をふまえ、本分野では看護現象のジェ
ンダー分析に取り組み、看護職の社会的地位の向上を目指し
ます。
Figure 2 山形蔵王でのゼミ合宿風景
OB・OG の主な進路
大学教員、看護師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
研究室では、学生さんが自由闊達に議論できる環境を整えています。また、学生さんの疑問を研究論文として表現できるよう教員が支援しています。
56
看護教育・管理学
高齢になっても、病や障がいがあっても住み慣れた地域で
暮らしつづけられる社会をめざして
老年・在宅看護学
保健学専攻
尾崎 章子
修士課程 / 博士課程
教授
Gerontological and Home Healthcare Nursing
Akiko Ozaki
Professor, R.N. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-717-7480
[email protected]
この分野の研究テーマ
・訪問看護におけるキュアとケアの統合に関する研究
・エビデンスに基づいた高齢者の睡眠ケアのモデル構築
・定年退職後の高齢男性を対象とした地域活動への参加支援プログラムの開発
研究キーワード:高齢者、地域、在宅、施設、訪問看護
技術キーワード:プログラム開発、教育、調査、インタビュー
過去人類が経験したことのない超高齢・人口減少社会を迎
え、社会保障制度や医療制度の改革・再編が喫緊の課題となっ
ています。高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人
生の終幕まで続けることができることを目ざし、地域包括ケ
アシステムの構築が推進されています。このようななか、老
年・在宅看護学には大きな期待が寄せられています。
Figure 1 高齢者疑似体験の演習の様子です
老年・在宅看護学は、高齢になっても、病や障害を持ちな
がらも長年住み慣れた環境で人々が自分らしい生活を営むこ
とができるよう支える実践の科学です。人々が尊厳を保ち、
健やかに老いるための支援の方法や地域、在宅、施設などさ
まざまな療養の場における看護のあり方について研究してい
ます。
Figure 2 実習でのカンファレンス風景です
担当教員より進学志望者へのメッセージ
みなさんは日本が 2025 年問題、2040 年問題を迎える時に現役世代として日本社会の中心にいる方達です。みなさんの若い力が必要とされています。
ぜひ一緒に学びましょう。もちろん社会人の方も大歓迎です。
老年・在宅看護学
57
地域の健康・生活課題に対応できる新たな公共を創る協働の
地域保健活動方法論に関する研究・教育に取り組む
地域ケアシステム看護学
(兼)大森 純子
教授
Nursing Science of Community Health Care System
Junko Omori
Professor, Ph.D. R.N. P.H.N.
保健学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/72/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7930
こ の分野の研究テーマ
・地域保健活動における協働の活動方法論に関する研究
・被災地の保健師活動に関する研究
・被災地におけるコミュニティ・エンパワメントに関する研究
研究キーワード:生活の質の向上、公共性、協働の活動方法論、被災地の保健活動、保健師教育
技術キーワード:ヘルスプロモーション、アドボカシー、エンパワメント、合意形成、マネジメント
地域ケアシステム看護学分野では、地域の健康・生活課題
に対応できる新たな公共を創る協働の地域保健活動方法論に
関する研究・教育に取り組んでいます。具体的には、地域に
おける協働の活動方法論、地域保健活動における住民の主体
性、保健師のキャリア開発、地域におけるソーシャルサポー
トネットワーク、地域ケアシステムの構築などを主なテーマ
とし、地域の人々の生活の質の向上や地域のエンパワメント
をめざした地域ケアシステムの開発・構築のできる人材養成
に力を入れています。これらの活動とともに、東日本大震災
後は、被災地における保健師活動支援や住民・関係者と協働
Figure 1 地域保健活動と教育・研究との連動
したコミュニティ再生のための活動に取り組んでおり、地域
保健活動の現場と協働しながら研究成果を地域に還元し、よ
り質の高い地域保健活動の展開に貢献できるよう取り組んで
いるところです。
また、平成 26 年 4 月に開設した大学院保健師養成コース
の教育・研究にも携わっており、これは修士課程でおこなう
保健師教育の先駆的な取り組みでもあることから、今後その
成果を検証しながら、よりよい保健師教育を実践していきた
いと考えています。
Figure 2 住民との協働による地域再生のための話し合い
OB・OG の主な進路
県・政令市・市町村保健師、産業保健師、専門相談機関 相談員、国立大学教員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
保健活動の現場と協働しながら、研究成果を地域に還元し、より質の高い地域保健活動の展開に貢献できるよう取り組んでいるところです。
58
地域ケアシステム看護学
がん予防及びがんの予後向上を目的とした各種がんのリスク
要因・予後要因の解明
地域保健学
(兼)宮下 光令
保健学専攻
教授
Community Health
Mitsunori Miyashita
Professor, R.N. P.H.N. Ph.D.
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/162/
index.html
連絡先
TEL022-717-7924
E-Mail
この分野の研究テーマ
・疫学研究による各種がんのリスク要因・予後要因の解明
・がんの罹患動向の観察及び統計モデルを用いた疾病分布規定要因の解明
・保健医療に関する諸問題を解決するための方法論の開発
研究キーワード:がん、リスク要因、予後要因、生活習慣、がんの罹患動向
技術キーワード:疫学、生物統計学、症例対照研究、コホート研究、がん登録
1981 年以来、悪性新生物は日本人の死因順位の第 1 位を
占め、がん医療の向上・がん予防対策の推進が急がれていま
す。私たちは、疫学研究の手法を用いて各種がんのリスク要
因・予後要因・がんの地域分布や年次推移を規定する要因を
解明し、微力ながらもがん医療・予防に貢献したいと考えて
います。現在、当分野では、日本人の主要がんである胃がん、
肺がん、乳がんのリスク要因の解明を目標としています。特
に、乳がんについては症例対照研究・コホート研究によって、
リスク要因の多くを既に解明・報告しており、今後は、ホル
Figure 1 統計モデルに基づく宮城県の世代別乳がん罹患リスク
モン値・遺伝子多型などのバイオマーカーと環境要因の交互
作用も探ってみたいと思っています。一方、がん医療の向上
に伴うがんの有病率増加が想定される現状では、がんの予後
要因の解明も重要な課題です。遺伝子診断や創薬など新たな
医療技術や治療法の開発が進んでいますが、がんの患者さん
にとっては「どのような生活習慣が生命予後の改善に繋がる
のか」は大きな関心事です。私たちは、リスク要因だけでなく、
患者コホート研究による予後要因の解明も目指しています。
Figure 2 世代別乳がん罹患リスクに寄与するリスク要因とその推移
OB・OG の主な進路
がんセンター医師、大学病院看護師、企業の健康管理室保健師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
疫学は科学的根拠に基づく医療・疾病予防活動を推進するための基本的な方法論です。大学院では疫学の基礎を修得することを目標に、焦らず地道に
学んで欲しいと思います。
地域保健学
59
住民と共創する健康増進:地域の未来のために住民と共に
地域の底力を育むヘルスプロモーション活動への挑戦
公衆衛生看護学
保健学専攻
大森 純子
修士課程 / 博士課程
教授
Public Health Nursing
Junko Omori
Professor, Ph.D. R.N. P.H.N.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/73/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8010
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・" 地域への愛着 " を育む健康増進プログラムの開発
・近隣住民間の交流促進プログラムの開発
・住民組織と専門職との協働モデルの開発
研究キーワード:文化、健康観、地域への愛着、ヘルスプロモーション、保健師
技術キーワード:CBPR、ミクスト・メソッド、エスノグラフィー、プログラム開発、理論生成/概念分析
公衆衛生は、地域住民と専門職が力を合わせて社会の共有
財産である健康と生命・生活・人生を衛(まもる)実践科学
です。この領域の看護職(保健師など)は、変化し続ける地
域社会の一員として、その地域におけるその時代の真の豊か
さや暮らしの質(QOL:Quality of Life)を問い続け、予防的
ケアを実践しながら、人々と共に健康文化を創造するヘルス
プロモーションの専門家です。私たちの分野では、健康とは、
専門職が提供できるものではなく、人々が日々の暮らしの営
みの中で醸成していく文化であるという考え方を大切にして
います。
主な研究テーマは、文化としての健康観と社会文化的集
団の健康増進です。地域には、様々な社会文化的集団(サブ
コミュニティ)が存在します。年代・境遇・疾患・障害等よ
り、そのサブコミュニティの人々にとっての健康観は、実に
多様です。どのような時にいきいきとできるか、活力や安寧
を感じるか、元気の源や秘訣と合わせて探求し、ケアや支
援の方法を開発しています。文化の多様性に謙虚であるこ
と、人々の暮らし方から学ぶことは、研究の原点であると考
えています。 米国の公衆衛生領域で主流となっている CBPR
(Community Based Participatory Research)という研究スタ
イルを用い、保健師など保健行政の関係職種や住民の方々と
一緒に、
「" 地域への愛着 " を育む健康増進プログラムの開発」
などに取り組み、個人変容と社会変容に参画しています。
Figure 1 地域への愛着に関する語らい(プログラム)
Figure 2 健康推進員による健康教室の実施
OB・OG の主な進路
行政保健師、教育・研究職
担当教員より進学志望者へのメッセージ
2014 年の新設時より、保健師、研究者、学生に開かれた分野でありたいと願い、公衆衛生看護学分野研究会を定期開催しています。随時、学びの仲
間を募っています。
60
公衆衛生看護学
消化管上皮細胞と免疫システムとのクロストーク :
分化制御と発癌
成人看護学
保健学専攻
今谷 晃
修士課程 / 博士課程
教授
Adult Health Nursing
Akira Imatani
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-717-8010
[email protected]
この分野の研究テーマ
・Helicobacter pylori 感染による胃癌発癌機構の分子生物学的解析
・慢性炎症・免疫による消化管粘膜上皮の分化制御の解明
・上部消化管疾患のなりやすさと遺伝子多型との関連性
研究キーワード:胃癌、ヘリコバクター、粘膜免疫、分化制御、遺伝子多型
技術キーワード:免疫組織化学、細胞培養、遺伝子操作、動物実験、ジェノタイピング
胃癌は、我が国においては診断・治療の確立とともに死亡
率は減少傾向にあるものの、罹患率は依然非常に高い疾患で
ある。そして、Helicobacter pylori (H.pylori ) 感染は胃癌発癌
因子の 1 つであるが、免疫応答の観点での発癌メカニズムは
不明な点も多い。H.pylori 感染胃粘膜では慢性的な活動性胃
炎が生じ、加齢とともに、胃固有の壁細胞や主細胞が減少・
消失する胃粘膜萎縮状態となり、さらに病理組織学的には腸
上皮化生という腸粘膜に置き換わっていく。この細胞分化変
更過程で胃癌が生じると提唱されている。H.pylori 感染によ
る慢性炎症や宿主の免疫応答が、胃粘膜上皮細胞の分化変更
と発癌誘導に関与していると思われるが、その分子生物学的
Figure 1 慢性炎症による胃粘膜分化変更と発癌
制御機構と異常については十分に解明されていない。そこで、
H.pylori 長期感染マウスや自然免疫関連分子の遺伝子改変マ
ウスを用いて、胃分化制御に関連する Sox2、Cdx2、Notch1
といった遺伝子を軸に、慢性炎症による分化制御と発癌に関
して、細胞内シグナルを含めた分子レベルでのメカニズムを
探求している。また、臨床的には H.pylori 感染した場合でも
胃粘膜萎縮程度や発癌頻度に関して個人差があることは確か
であるために、病気のなりやすさの指標として遺伝子多型を
検索・検討し、胃癌早期発見や発症予測の立場で、ヘルスケ
アへの寄与に努めている。
Figure 2 胃における分化制御転写因子の発現
成人看護学
61
がん患者の QOL を高めるケア開発に挑む - がん治療後の生活
の再構築を促進するケアと遠隔看護システムの開発 がん看護学
保健学専攻
佐藤 冨美子
修士課程 / 博士課程
教授
Oncology Nursing
Fumiko Sato
Professor, R.N. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.oncolnurs.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7926
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・乳がん術後上肢機能障害の予防改善に向けた介入研究
・がん患者のストレスと QOL に関する研究
・がん患者の遠隔看護システムに関する研究
研究キーワード:がん看護、クオリティ・オブ・ライフ、セルフケア、遠隔看護、リハビリテーション
技術キーワード:介入研究、患者調査、技術革新
がん患者のクオリティ・オブ・ライフを高めるケア開発を
目指し、多角的な研究に取り組んでいます。平成 19 年から
開始した乳がん体験者の上肢機能障害予防改善に向けた介入
プログラムの開発は、現在、術後 5 年までの長期介入効果と
その結果をふまえた包括的な長期リハビリケアプログラム構
築に向けて継続中です。患者が上肢機能を日常的にモニタリ
ングし、医療者と患者が話しあってリハビリや生活を調整し、
セルフケア実践を支持する術後 3 年までの介入は、
(Figure 1、
Figure 2)術後上肢機能障害を予防改善する効果が示唆され
ています。今後さらに長期的な効果を追求し、手術後の乳が
ん体験者が心身を調整し、早期に社会生活に適応できるため
の包括的なリハビリケアを構築し、普及させることを課題に
Figure 1 上肢症状累計数の比較
しています。
また、前立腺がんの手術を受けた患者を対象に、情報端
末を用いた遠隔看護システムの開発を平成 26 年度から開始
しています。退院後、患者は失禁の回数や尿取りパッドの使
用枚数、排尿時の痛みや症状の変化をタブレットで毎日入力
し、そのデータを遠隔地にいる医師や看護師がクラウド経由
でデータを確認し、リハビリの継続を管理、アドバイスを送
るなどの看護を行うものです。本システムは、在宅患者への
支援を補完する有効な手段になると考えられます。そのほか、
種々のがん患者を対象とした QOL 関連の調査・研究をもと
に、がん治療後の生活の再構築を促進するケアを探求したい
と考えています。
Figure 2 上肢障害評価表 (DASH) 得点の比較
OB・OG の主な進路
大学教員、がん看護専門看護師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
博士前期課程は専門看護師をめざす「CNS コース」と、研究によりがん看護を深く掘り下げる「研究コース」があります。臨床経験を活かし、キャリ
アアップを目指しませんか。
62
がん看護学
がん看護の臨床現場で必要とされる「緩和ケア」の専門研究
分野です
緩和ケア看護学
保健学専攻
宮下 光令
修士課程 / 博士課程
教授
Palliative Nursing
Mitsunori Miyashita
Professor, R.N. P.H.N. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.pn.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7924
[email protected]
この分野の研究テーマ
・緩和ケアの質評価
・がん患者・家族の QOL 評価
・終末期ケアの実態調査
研究キーワード:Palliative Care、Terminal Care、Nursing、Quality of Life、Quality of Care
技術キーワード:Survey、Measurement、Quality assurance、Evaluation Study
緩和ケア看護学の目的は、
「がん」などの疾病により身体的・
心理的・社会的・スピリチュアルな苦痛を抱える患者さまや
ご家族の QOL(Quality of Life:生活の質)を維持し向上さ
せることにより、患者さまやご家族が、苦痛なく安心して生
活することを支えるための看護を提供することにあります。
また、本分野の修士課程(博士前期課程)で学ぶことにより、
がん看護専門看護師の受験資格を取得することができます。
大学院生はそれぞれのテーマ、関心に沿って研究プロジェ
クトに参加することが可能です。現在はがん患者・家族の緩
和ケアに関するものが主体ですが、非がん患者に対する緩和
ケア・終末期ケアに関する研究にも取り組んでいます。
現在取り組んでいる研究プロジェクトは以下のとおりで
す。
(2015 年 1 月)
Figure 1 がん患者の治療の軌跡と緩和ケア
・がん患者・がんサバイバーの QOL に関する研究
・がん患者の家族の QOL に関する研究
・がん患者の痛みの評価に関する研究
・遺族調査によるがん終末期医療の質の評価、遺族の経験、 死別や悲嘆に関する研究
・レ セプトを用いた緩和医療・支持療法の質評価および
臨床課題の疫学調査方法の開発と測定
・化学療法を受けるがん患者の病状や治療目的の認識に関
する研究
・高齢者の痛みや QOL に関する研究
・高齢者の終末期医療の意思決定に関する研究
・がん・非がん患者の死亡場所に関する研究
Figure 2 現在取り組んでいる主な研究テーマ
OB・OG の主な進路
(大学院博士課程)看護教員、(大学院修士課程)大学院博士課程進学、がん看護専門看護師、病院看護師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
日本一の緩和ケア看護学の研究室にしたいという高い志を持ち、緩和ケアの研究・教育に専門的に取り組んでいます。大学院でがん看護専門看護師の
受験資格の取得も可能です。
緩和ケア看護学
63
子供の看護は「未来創世科学」:子供にかかわっていくこと
は未来を作る作業です、そんな看護を探求します
小児看護学
保健学専攻
塩飽 仁
修士課程 / 博士課程
教授
Child Health Nursing
Hitoshi Shiwaku
Professor, R.N. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.chn.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7921
[email protected]
この分野の研究テーマ
・子供と家族を心理・社会的に支える看護支援の開発
・神経症や発達障害の子供の療育支援と家族へのメンタルヘルスケア
・小児がんの子供と家族のトータルケア
研究キーワード:子供、家族、心理社会的支援、発達障害、小児がん
技術キーワード:告知、意思決定、療育、自閉症スペクトラム、終末期ケア
研究タイトル:子供の病気のイメージと「自分の病気につ
いて知ること」の意識
本研究は、子供の病気に対するイメージと、
「自分の病気
について知ること」の意識を明らかにすることを目的に、小
学校 4 年生から中学校 3 年生の子供と保護者計 1298 組を対
象として質問紙調査を行い、その結果を分析したところ、以
下のことが明らかとなった。
1.「病気」と聞いて、子供が思うかべた病気として最も多
いものは「がん」
(130 名、38.7%)で、次いでインフルエン
ザ(77 名、22.9%)
、風邪(34 名、10.1%)であった。
2. 小学生と中学生を比較すると、小学生は治りやすい病気
を思いうかべる比率が有意に多く、中学生は重い病気を思い
うかべる比率が有意に多かった。
3. 重い病気を思いうかべた群は、
「こわい」
「苦しい」「つ
らい」「痛い」「命にかかわる」というイメージの得点が、治
りやすい病気や慢性疾患を思いうかべた群と比較して有意に
高かった。
4. 自分が重い病気にかかったときは、82.2% の子供が病気
について「知りたい」と答える一方で、明確な理由をもって
「知りたくない」と答える子供が 14.1% 存在した。
5. 治りやすい病気を思いうかべた子供よりも、重い病気を
思いうかべた子供の方が、自分の病気について「知りたい」
意識は有意に高かった。
Figure 1 子供は自分の病気が重いほど知りたい
Figure 2 病気の告知意識は子供と保護者で異なる
OB・OG の主な進路
東北大学病院、宮城県立こども病院、神奈川県立こども医療センター、筑波大学大学院(進学)、養護教諭、小児看護専門看護師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
子供にかかわっていくことは未来を作る作業です-だから子供の看護は未来創世科学。
子供のこころは宇宙です-だから子供の看護は宇宙探検科学。
そんな看護を共にめざしましょう。
64
小児看護学
心の健康が必要とされる現代において「精神看護学」は
重要な学問です
精神看護学
保健学専攻
齋藤 秀光
修士課程 / 博士課程
教授
Psychiatric Nursing
Hidemitsu Saito
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/164/
index.html
連絡先
TEL022-717-7916
[email protected]
この分野の研究テーマ
・精神疾患の発症予防および再発予防の支援
・看護師や家族へのメンタルヘルス支援
・精神疾患を有する人々に対するスティグマ対策
研究キーワード:メンタルヘルス、看護師、精神疾患を有する人々、スティグマ、家族
技術キーワード:教育プログラム開発、インターネット調査、心理教育
統合失調症の早期発見・早期介入は、患者の生活の質を保
持するために重要であり、精神保健医療福祉分野における重
要な課題となっている。我々は、若者の親を対象に統合失調
症に関する知識向上を目的としたウェブベース教育プログラ
ムを開発した。本プログラムは 10 ユニットで構成されてい
る : 統合失調症の特徴と原因、症状、分類、経過、治療、予
後、予防、症状の悪化、病気のサイン、相談施設。ナレーショ
ンによる 12 枚のスライドで構成され、Web 上で 13 分間視
聴できる。プログラム視聴後、統合失調症に関する基礎知識、
統合失調症症状の判別、前駆症状の判別に関する正解率が向
上したことから (P<0.001)、これらに関する知識普及の効果
が示された (Figure 1)。
また、統合失調症に対する stigma 軽減を目的とした教
育プログラムを開発するための事前調査として、中学生・
高 校 生 の 子 を 持 つ 1,309 人 の 母 親 を 対 象 に 統 合 失 調 症 に
対 す る stigma 調 査 を 実 施 し た。 そ の 結 果、 DevaluationDiscrimination Measure(DDM) におけるスコアの平均値± SD
は 32.7 ± 4.4 は一般的傾向と同程度であることが示された。
母親の統合失調症に対する stigma は、
「統合失調症者との
接触体験」に関連があり、「接触体験の有る母親」の stigma
値が「無い母親」より有意に高いことが示された (p<0.001)
(Figure 2)。
Figure 1 プ
ログラム視聴による統合失調症基礎知識と症状判別正
解率の変化
Figure 2 DDM と対象者属性との関連
OB・OG の主な進路
大学病院、県職員、県立病院、精神科病院、企業産業保健師、大学教員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
精神看護学は、精神の健康が必要とされる現代において、重要な学問分野です。一緒に学び研究することで、社会に貢献していきましょう。
精神看護学
65
安心・快適なマタニティライフ支援で少子社会の克服に挑む
周産期看護学
保健学専攻
佐藤 喜根子
修士課程 / 博士課程
教授
Maternal Nursing
Kineko Sato
Professor, R.N. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/69/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7956
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・周産期女性のメンタルヘルスケアに関する研究
・東日本大震災が周産期女性に及ぼす影響に関する研究
・地方における看護・助産教育成立過程の研究
研究キーワード:周産期看護、メンタルヘルスケア 、医療体制 、看護教育史、災害助産
技術キーワード:カウンセリング、妊産婦教育、救急蘇生
周産期にある女性は、生理的・形態学的に大きな変化をき
たします。特にホルモン動態によって、身体的以外に精神的
な変化が現れる。日本人においては、産後うつ病の発症率は
10-15% であるということが一般的に知られており、妊娠期
のうつ病のハイリスク者も、ほぼ同様の数値である。このよ
うな周産期女性の状況に、2011 年 3 月 11 日に発生した東日
本大震災はさらに大きなダメッジを与えました。
我々は、震災当時に妊婦だった女性(886 名)の心身の健
康を、継続して調査しています。震災 10 か月後の EPDS( エ
ジンバラ産後うつ病自己評価表 ) 結果は、産後うつ病ハイリ
スク者は 21.5% と高い値を示しました。その後も、
震災 1 年・
Figure 1 東日本大震災前後
2 年・3 年と継続して GHQ28(精神健康尺度)で調査してい
ます。その結果、それぞれ “ 何らかの支援が必要とされる ”
というハイリスク者は、66.7%・55.3%・55.6% と日本の大
人のハイリスク者の平均である 14% と比較して、極めて高
い値を示した。このような心身の状態で子育てを行っている
のが現状でした。
その後、母をサポートする立場の父親の心身の状態も、母
親と同様の GHQ28 で調査しているが、母親と同様に震災後
1 年・2 年・3 年がそれぞれ 46.2%・48.2%・60% と高いあ
たいで継続していました。今後詳細な分析と対応が求められ
ます。
Figure 2 東日本大震災時妊婦だった夫婦の心身の状態
OB・OG の主な進路
大学病院、公立病院、民間病院、公立保健所、国際協力機構
担当教員より進学志望者へのメッセージ
少子社会になり、次世代の担い手をどのように育成をしていくかは、重要な課題である。多様性で楽しいマタニティライフを保障する育児環境を整え
ていくことが重要になる。
66
周産期看護学
すべての女性が耀くためのウィメンズヘルス研究に挑む
~次世代の育成に向けた新しい支援の開発~
ウイメンズヘルス看護学
保健学専攻
吉沢 豊子
修士課程 / 博士課程
教授
Women's Health Nursing
Toyoko Yoshizawa
Professor, R.N. C.N.M. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.womens.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7915
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・女性の下肢浮腫およびそれに伴う HR-QOL に関する研究
・コペアレンティング達成のための介入プログラムの開発(父親の育児能力研究)
・男女の妊孕姓に関する認識の研究
研究キーワード:下肢浮腫、コペアレンティング、夫婦関係、妊娠期女性、快適性、妊孕性
技術キーワード:LYMQOL、夫婦教育プログラム、妊娠期快適性尺度
ウィメンズヘルス看護学分野では、周産期にある女性と子
どもの健康のみならずあらゆるライフステージにある女性に
焦点をあて、研究を行ってきました。それは、産む仕組みを
持つことによる女性の身体的健康問題(初経、妊娠、閉経)
、
心理・社会的問題(ジェンダー、
セクシュアリティ)などです。
2013 年以降、女性と男性が共に輝きそして、次世代が健全
に育成されていくために、コペアレンティングの考え方を導
入し、生殖家族が仕事も子育てもともにできるような研究に
シフトしてきています。妊娠した夫婦がともに親力をつけて
Figure 1 コペアレンティングモデル
いくためのプログラムの開発、それに関連した基礎研究(男
性が親になること、父親の育児力)を開始しています。さら
に多様な研究トピックも扱っており、それらは、災害時にお
こる女性特有の問題、マイナートラブルとして軽視しがちな
下肢浮腫、妊娠中に安静を強いられ、QOL が低下する切迫
早産妊婦の健康、男性不妊、男女の妊孕姓についてです。こ
れらの研究から得られた看護の知見を世界に発信することに
も力を入れています。
Figure 2 アクティウオッチを用いた生活活動量の例
OB・OG の主な進路
助産師、看護師、公立・私立看護系大学教員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
分野の研究を一緒に取り組みながら、研究の面白さを体感してください。そして、看護学をバックボーンにした研究とはどのようなものか学んでいた
だきたいと思います。
ウイメンズヘルス看護学
67
がん、末梢動脈疾患、認知症の機序解明と診断法開発へ
向けた高精度イメージング技術の創出
医用物理学
保健学専攻
権田 幸祐
修士課程 / 博士課程
教授
Medical Physics
Kohsuke Gonda
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/159/
index.html
連絡先
TEL022-717-8010
[email protected]
この分野の研究テーマ
・ナノテクノロジーを応用した高感度・高精度イメージング法の開発
・ナノイメージングを用いたがんや末梢動脈疾患の医学・医療研究
・PET/SPECT 研究における人体内の薬物動態モデル及び放射線物理に関する研究
研究キーワード:ナノメディシン、核医学 (PET/SPECT)、末梢動脈疾患、イメージング、がん
技術キーワード:高精度、薬効評価、画像処理、早期診断、薬物動態解析
がんや動脈硬化症は日本人の主要な死因である。これら
の疾患の早期診断や治療を効果的に行うには、イメージング
技術は極めて重要である。我々はがんや動脈硬化症のメカニ
ズム解明や診断法開発を行うために、高感度かつ高精度な X
線 CT や蛍光のイメージング技術開発を、ナノメディシンを
用いて行ってきた ( ナノメディシン:ナノテクノロジーと医
学・医療を融合した研究分野 )。イメージングにおいて、定
量性は大切なポイントである。X 線 CT に関して、X 線の吸
収係数は造影剤の量に比例し、蛍光計測に関して、蛍光シグ
ナルは励起光の出力に比例する。したがって両イメージング
は高い定量性を保持するモダリティである。我々はこれまで
に両イメージング技術を駆使し、がんの転移過程では細胞膜
Figure 1 微小がん検出へ向けた高感度 X 線造影法開発
の流動性が約 100 倍変化すること (J. Biol. Chem., 2010) や、
末梢動脈疾患では血管内皮成長因子受容体のわずか 3 倍程度
の発現量の増加が血管新生に重要であることを解明してきた
(Blood, 2011)。さらに摘出したがん組織の蛍光イメージング
により、抗がん剤の薬効を高確度で診断する技術開発を進め
ている (Biochem. Biophys. Res. Commun., 2012)。これらの
疾患に加え、国内では認知症の増加も大きな社会問題となっ
ている。認知症の新たな診断薬を開発するために、放射性薬
剤の体内分布イメージング技術(PET/SPECT 検査)に着目し、
正しく現象を理解しながら新しい価値観を提供することを目
指している。
Figure 2 高精度な薬効評価へ向けた蛍光計測開発
OB・OG の主な進路
教員、診療放射線技師、博士研究員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当研究室の構成員は理工医など様々な背景を持ち、異分野融合的姿勢で新概念構築や新技術開発を目指しています。出身学部は問いません。志にあふ
れた方、お待ちしています。
68
医用物理学
医用画像の基本画質にこだわり基礎と臨床をつなぐ ~ MR 画像を中心に~
画像情報学
保健学専攻
町田 好男
修士課程 / 博士課程
教授
Medeical Imaging and Applied Radioloty
Yoshio Machida
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-717-7937
[email protected]
この分野の研究テーマ
・高速撮像法の基礎研究:圧縮センシング MR 高速撮像の画像化技術およびその画質評価
・MRI 基本画質の研究:NPS や MTF などの画質評価法の検討、非線形処理画像の画質評価
・電気刺激によるがん治療法の基礎研究
研究キーワード:MRI、画質、MR 高速撮像、圧縮センシング、neuromodulation
技術キーワード:画像再構成、パルスシーケンス、計算機実験、ファントム実験、電気刺激
画像情報学分野では、主に、磁気共鳴イメージング(MRI)
について、画像情報を引き出し活用する研究を行っています。
MRI は非侵襲的に生体構造や機能情報を得ることが可能な医
用画像診断装置で、データ収集の自由度が高いという特長が
あります。そのため現在もなお発展し続けている装置です。
我々は、MRI の持つ高いポテンシャルを実際の臨床で生かす
ためにも、基本画質の検討は継続して進めるべき重要な研究
テーマであると考えています。
我々は画質評価法そのものの基本的な研究を継続的に進め
Figure 1 NPS による MR 画像のノイズ特性の検討
ていますが、現在は、情報技術に基づいた新しい高速撮像法
である圧縮センシング MRI に関心を持ち、その画像の評価
に注力しています。今後はさらに非線形処理画像全般の評価
へ発展させる予定です。本分野では社会人院生も受け入れて
おり、拡散強調撮像法や非造影 MR アンジオグラフィなどの
研究も行っています。
また、電気刺激の血流に対する効果を利用したがん治療法
などの応用放射線医学領域の研究も行っています。
Figure 2 数値実験による CS 画像の解析
OB・OG の主な進路
国立大学病院技師、私立大学病院技師、公立病院技師、博士課程進学
担当教員より進学志望者へのメッセージ
放射線技術領域の基本となる画質にこだわり、
「一歩基礎に立ち返る」ことを大切に、基礎と臨床をつなぐ研究を進めています。進学院生、社会人院
生ともに歓迎します。
画像情報学
69
可視化技術と数理解析による神経情報処理機構と知能の
起源解明
医用画像工学
保健学専攻
本間 経康
修士課程 / 博士課程
教授
Radiological Imaging and Informatics
Noriyasu Homma
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.rii.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7914
[email protected]
この分野の研究テーマ
・大脳皮質―大脳基底核ループにおける神経回路の情報処理機構の解明
・計算知能技術による医用機器の高性能化
・X 線 CT の画質問題解明
研究キーワード:大脳基底核、パーキンソン病、カルシウム(Ca2+)、画像誘導放射線治療、計算機支援診断
技術キーワード:Ca2+ イメージング、MRI、X 線 CT、計算知能、機械学習
脳基底核線条体における遅いカルシウム振動に関する研究、
MRI を用いた in vivo 全脳神経活動イメージングなどの研究
を展開しています。
さらに、脳の情報処理機構の数理的解析結果を基に、専門
家のもつ高度に知的な能力をコンピュータで実現し、それを
医療機器に応用する研究も行っています。たとえば、画像診
断における専門医の読影論理や画像解剖学的知識を数理的に
実装することで、一般的な画像解析では実現できなかった高
性能な診断・治療支援システムや、これまでにない革新的な
X 線断層撮影システムなどを開発しています。また、企業と
の共同研究も積極的に進め、知財の技術移転等を通して研究
成果の社会還元を行っています。
ミクロレベルの神経細胞活動からマクロレベルの脳機能に
至るまで、実際の現象をより正確に可視化すること、そして
そこから医療・生命科学に有用な情報や機能を発掘・提供す
る研究を行っています。
たとえば、大脳皮質から入力を受け、出力を大脳皮質に
返す大脳基底核は、運動制御や、報酬予測、学習など様々な
高次機能と関連しています。また、パーキンソン病の発症に
直接関与している部位でもあります。しかしながら、その情
報処理機構や、パーキンソン病の発症メカニズムはほとんど
解明されていません。そこで私達は、パーキンソン病の発症
機序の解明も含めた、大脳皮質―基底核ループにおける情報
処理機構の解明を目指した研究を行っています。その中で大
6
HIP
CPu
Th
NAc
GP
T=0
1 mm
M-L = −1.91 mm
Ctx
CPu
Ctx
HIP
Th
NAc
A-P = +0.75 mm
A-P = −2.75 mm
Kikuta et al., Sci Rep 5: 12800, 2015
Figure 1 MRI で神経活動が変化した領域を可視化する
OB・OG の主な進路
大学病院診療放射線技師、その他の病院診療放射線技師、医療機器メーカ社員、国立大学教員、海外大学博士研究員、国立大学博士研究員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
学際的共同研究も盛んで、国際的研究環境もあります。脳の情報処理機構、イメージング技術、革新的医用機器開発に興味のある方、お気軽にご連絡・
ご訪問ください。
70
医用画像工学
医用画像を駆使してがんの早期発見や死因解明に挑戦
画像診断学
保健学専攻
石橋 忠司
修士課程 / 博士課程
教授
Clinical Imaging
Tadashi Ishibashi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-717-7481
[email protected]
この分野の研究テーマ
・デジタルマンモグラフィの診断支援システムの開発
・非侵襲的治療、特に血管狭窄用デバイス開発の開発
・死後の医用画像を用いた死因究明
研究キーワード:デジタル画像、診断支援システム、医用モニタ、非侵襲的治療法、AI
技術キーワード:マンモグラフィ、自動診断、モニタの精度管理、ステント、死後画像
1)デジタルマンモグラフィの特性を生かしたコンピュー
タ診断支援システムの開発および、医用画像モニタの精度管
理に関する研究を行っています。
2)低侵襲性治療法(インターベンショナルラジオロジー)
Figure 1 デジタルマンモグラフィの CAD 検出例
に必須な医療器材の開発(血管狭窄に用いる血管内薬剤溶出
ステントの開発)を行っています。
3)死後の画像(オートプシー・イメージング)から死因
特定に至る研究を行っています。
Figure 2 死後 CT 画像の例
OB・OG の主な進路
国立大学教員、独立行政法人技術系職員、大学病院職員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
社会人を含めて幅広く大学院生を受け入れています。
画像診断学
71
CT・MRI などの医用画像の撮影法や画像解析法に関する研究、
論文作成に悩んでいる学生の指導
画像解析学
保健学専攻
齋藤 春夫
修士課程 / 博士課程
教授
Diagnostic Image Analysis
Haruo Saito
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-717-7938
[email protected]
この分野の研究テーマ
・MDCT,MRI 画像による心臓大血管撮像法と、局所心筋運動解析法の研究
・死後画像診断(法医領域)
・ルビーシンチレーターを用いた放射線治療時・IVR 時の照射線量計測法の開発
研究キーワード:心臓大血管 MRI、死後画像解析、X 線線量計、心臓大血管 MDCT、脳機能画像
技術キーワード:MRI、MDCT、PET
臨床画像診断に用いられる画像診断技術、画像解析法を幅
広く研究しています。
1)死後画像解析:宮城県警、法医学分野、画像診断学分
野と協力して法医解剖前画像診断を行っています。
2)MDCT、MRI を用いた心臓大血管画像診断:撮像法、
画像解析、画像表示の最適化の研究や、血流を動態解析する
ことによる疾患原因の究明などを行っています。
3)脳機能画像の研究:PET や SPECT を使用し、特にアル
Figure 1 大学院生のポスター展示(マレーシア)
ツハイマー病やパーキンソン病、正常圧水頭症などの画像解
析、また、MRI を使用した灰白質ボリュームの解析、脳白質
のテンソル解析なども幅広く行っています。
4)PET、SPECT 装置の精度管理の研究:大学病院の核医
学検査室と連携し、装置の精度管理や特性評価などの研究を
行っています。
5) 放射線治療時・IVR 時の照射線量:ルビー・シンチレー
タを使用し、定量化を行う方法を研究しています。
Figure 2 心臓動態ファントームによる MDCT 撮影法研究
OB・OG の主な進路
国公立病院診療放射線技師、画像機器メーカー
担当教員より進学志望者へのメッセージ
CT、MRI などの医用画像の撮影法、画像解析法に関する研究を行っています。学会発表はしたものの、論文作成に悩んでいる社会人の指導もしていま
す。気楽においでください。
72
画像解析学
放射線の計測評価と被曝防護
放射線検査学
保健学専攻
千田 浩一
修士課程 / 博士課程
教授
Radiological Examination and Technology
Koichi Chida
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/77/index.
html
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8010
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・医用放射線防護と放射線安全管理
・放射線検査機器の QCQA および放射線画像と被曝線量の最適化
・災害放射線医学関連研究
研究キーワード:医療被曝・職業被曝、放射線防護、確定的及び確率的影響、放射線機器の安全管理、IVR
技術キーワード:線量測定評価、放射線エネルギ・線質、ファントムと画像評価、実効線量と等価線量、放射能
当分野は、放射線検査に伴う被曝の計測評価とその防護、
放射線検査機器の品質管理と最適化などに関する研究・教育・
社会貢献について主に取り組んでいます。
1.放射線診療(含む IVR)に伴う患者被曝の評価と防護。
2.放射線診療(含む IVR)時の医療スタッフの被曝評価
と防護。
3.小児医療被曝の評価とその防護。
4.新しい被曝線量測定評価方法の開発。
5.新しい QC ファントムおよび QC 手法の開発。
6.放射線画像と被曝線量の最適化。
7.放射線安全管理。
8.MR スペクトロスコピによる心筋エネルギ代謝の評価。
など 。
Figure 1 マルチセンサ型リアルタイム患者線量計
さらに当分野は、災害放射線医学に関する研究を行ってい
ます。主な研究内容は以下の通りです。
1.人体等の放射線影響評価および被曝測定と防護に関す
る医学的研究。
2.放射線や被曝に対する正しい理解の普及。
3.災害時等における画像診断システム開発。など。
(http://irides.tohoku.ac.jp/organization/medicine/03.html)
我々は、当該領域での診療放射線技術や医学物理に関する、
「教育」および問題解決能力を有する「研究者育成」を行い、
さらに科学的探求心を基に新しい技術を開発し、世界へ有用
な情報を発信しその成果を社会に還元します。
Figure 2 ガラス線量計システムによる患者被曝測定
OB・OG の主な進路
国公私立大学付属病院診療放射線技師、国公立および公的病院診療放射線技師、財団および民間病院診療放射線技師、公益法人施設等診療放射線技師、
医療および関連メーカ社員(開発研究)、国立大学教員など
担当教員より進学志望者へのメッセージ
1.社会人大学院生を歓迎します。
2.当然、社会人以外の方も大歓迎です。
3.学部学生で当分野に興味のある方や卒業研究などをご検討の方も遠慮なくご連絡下さい。
放射線検査学
73
適切な放射線治療を安全に提供するために私たちができる
ことを共に学び、発信していきましょう!
放射線治療学
保健学専攻
武田 賢
修士課程 / 博士課程
教授
Therapeutic Radiology
Ken Takeda
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8010
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・頭頸部癌に対する適応放射線治療の研究
・並列計算を用いた高速線量計算アルゴリズムの開発
・3D プリンターを用いた放射線治療補助固定具の自動造形
研究キーワード:高精度放射線治療、適応放射線治療、線量計算アルゴリズム
技術キーワード:画像誘導放射線治療、強度変調放射線治療、体幹部定位放射線治療、モンテカルロ法、3D 造形出力
本邦では、現在、国民の 2 人に 1 人が一生の内に癌と診
断され、総死亡の約 3 割を占めると云われており、その死亡
率は上昇を続けています。高齢癌患者の増加のため、今後の
癌治療では、身体への負担が少ない放射線治療の役割が更に
大きくなることが予想されます。
放射線治療は目覚ましい速度で発展しており、定位放射線
治療、強度変調放射線治療や画像誘導放射線治療などに代表
される高精度放射線治療では副作用の軽減と治療成績の向上
がみられ、また手術や化学療法との集学的治療の普及も放射
線治療の追い風となっています。
放射線治療学分野は、当学の放射線腫瘍学分野、並びに他
施設の医学物理士との共同研究を重視しています。当学では
Figure 1 放射線治療装置と線量分布、固定具自動作成
保健学専攻出身者と理工系学部出身者の医学物理士養成コー
スを併置している為、医工連携をはじめとする研究開発が行
える可能性があります。現在、高精度放射線治療の更なる
発展を目指した研究(精度を保ちつつ 1 回の照射時間を短
縮し、且つ副作用を減じた高線量照射を短期間で行う照射法
や、照射期間中の臓器や病変の形状変化に適合する適応放射
線治療の開発等)並びに、治療中の固定精度担保の為の補助
固定具自動作成に向けた研究を施行中です。また、それらの
基礎となる線量計算アルゴリズムの更なる高精度化が益々重
要となっており、独自に線量計算アルゴリズムを実装し、高
速かつ高精度な線量計算アルゴリズムの開発を目指して研究
を行っています。
Figure 2 肺定位照射における線量分布と等線量曲線
OB・OG の主な進路
民間病院
担当教員より進学志望者へのメッセージ
日本では放射線治療を担う人材がまだまだ不足しています。適切な放射線治療を安全に提供するために私たちができることを共に学び、国内外に成果
を発信していきましょう!
74
放射線治療学
乳癌克服のための検査法・新規治療法を目指して
~乳癌の診断と治療に役立つ基礎研究~
分子機能解析学
保健学専攻
林 慎一
修士課程 / 博士課程
教授
Molecular and Functional Dynamics
Shin-ichi Hayashi
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.mfd.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7913
[email protected]
この分野の研究テーマ
・ホルモン依存性腫瘍(特に乳癌)の発生・進展の分子機序解明
・ホルモン療法耐性機序の解明とその知見に基づく新規分子標的治療法開発研究
・乳癌の個別化のための新規バイオマーカーの探索と新規検査法開発
研究キーワード:乳癌、エストロゲン、ホルモン療法、分子標的治療、核内受容体
技術キーワード:細胞培養、遺伝子操作、生化学・分析化学実験、検体使用研究
当分野では、検査医科学の基礎となる領域、特に生化学、
分子生物学、臨床化学、分析化学等の教育・研究を行ってい
ます。研究では、臨床生化学検査の領域での超微量分析法の
開発や、新たな診断マーカーの探索、その動態解明を目指し
ています。また、近年の医療の急速な進歩に対応し、ゲノム
レベルの網羅的検査法やオーダーメード医療のための新規分
子診断法の研究開発を行っています。
研究対象としては、乳癌などのステロイドホルモン依存性
腫瘍の研究を行っています。乳癌は我が国で近年急速に増加
していますが、その発症のメカニズムは完全には解明されて
いません。しかし、女性ホルモンであるエストロゲンが深く
関わっていることは良く知られています。エストロゲンは体
Figure 1 乳癌のホルモン療法のメカニズムとその耐性
内の様々な臓器で、細胞の増殖、分化、恒常性維持を制御し
ている重要な情報伝達物質ですが、一方で乳癌の発生や増殖
を促す作用をしてしまっています。これらの癌細胞ではエス
トロゲン受容体がその病態と密接に関係し、実際、抗ホルモ
ン剤によってその機能をブロックする治療がホルモン療法と
呼ばれて広く施行され、効を奏しています。しかし、耐性を
獲得し再発する例も多く、臨床上の問題となっています。
私たちは乳癌の発生進展の分子メカニズムの解明、ホルモ
ン療法の効果予測、ホルモン療法耐性の機序の解明、乳癌幹
細胞の研究などを通して、乳癌患者さんや社会に貢献できる
成果を目指して研究を行っています。
Figure 2 乳癌細胞の ER 転写活性を GFP で視覚化
OB・OG の主な進路
製薬企業研究所研究員、製薬企業開発部門 MA、受託臨床試験実施機関 CRA、大学病院臨床研究推進センター職員、大学病院治験コーディネーター、
大学病院臨床検査技師、公立病院臨床検査技師、民間病院臨床検査技師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
小さな研究室ですが、教員スタッフ、大学院生ら一丸となって、一生懸命、かつ楽しく、をモットーに研究を進めています。
分子機能解析学
75
微生物感染から体を守る免疫の仕組みを解明し、
新規ワクチン、ステルス化ナノ粒子の開発へつなげる
感染分子病態解析学
保健学専攻
川上 和義
修士課程 / 博士課程
教授
Medical Microbiology, Mycology and Immunology
Kazuyoshi Kawakami
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.infect-immun.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7946
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・感染免疫応答機構の解明
・新規ワクチンの開発
・がん治療へ向けたステルス化ナノ粒子の開発
研究キーワード:感染免疫、免疫記憶、真菌、ワクチン、ナノ粒子
技術キーワード:感染実験、動物実験、免疫学的解析、分子生物学的解析
人類の進化は、まさに微生物との共存の歴史です。その結
果として、人の体には、微生物を排除するために、あるいは
共生するために、免疫系という精巧なしくみが備わっていま
す。免疫系は、ある場合には微生物の侵入を阻止し、ある場
合には共生を許し、またある場合には行き過ぎた反応によっ
てアレルギーや 自己免疫疾患など様々な疾患を引き起こし
ます。遺伝疾患を除けば、ほとんどの疾患は感染と何らかの
関係があると言っても過言ではありません。したがって、微
生物に対する免疫応答のしくみを紐解くことは、これら多く
の疾患の発病メカニズムの解明に役立ちます。近代免疫学の
黎明から半世紀が過ぎ、多くの免疫現象が分子レベルで理解
Figure 1 微生物感染と各種疾患との関係
されるようになってきました。そして今、研究の中心は、微
生物と宿主細胞との相互作用のしくみを解き明かすことに向
けられています。研究室では、真菌、細菌を中心とした病原
微生物に対する免疫応答機構を自然免疫、獲得免疫、免疫記
憶の観点から解明することを目指して研究を実施していま
す。さらに、得られた研究成果をもとに、ナノ粒子ワクチン
を含めた新規ワクチンの開発や、がん治療への応用を目指し
網内系に捕捉されずにがん組織への高送達性を実現するステ
ルス化ナノ粒子の開発を進めています。なお、ナノ粒子を用
いた研究は、工学(東北大学多元物質科学研究所)、農学(東
北大学大学院農学研究科)と異分野連携で実施しています。
Figure 2 クリプトコックス感染によるマクロファージ、樹状細胞
活性化への TLR9 に依存した細胞内シグナル伝達
OB・OG の主な進路
大学教員、病院検査部(室)、検査会社、製薬会社、地方自治体職員、日本赤十字社、大学研究室
担当教員より進学志望者へのメッセージ
感染宿主の免疫応答に重点をおいて、病原微生物を対象に、免疫学的、分子生物学的アプローチで研究を行ないます。興味のある人は気軽に研究室を
覗いてください。
76
感染分子病態解析学
生理活性ペプチドの研究を通して病態を知るーそして、
臨床検査学の展開研究へ
内分泌応用医科学
保健学専攻
高橋 和広
修士課程 / 博士課程
教授
Endocrinology and Applied Medical Science
Kazuhiro Takahashi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/81/index.
html
連絡先
TEL022-717-7482
[email protected]
この分野の研究テーマ
・神経ペプチドや心血管ペプチドの循環器・神経内分泌疾患における内分泌・代謝学研究
・プロレニン受容体の研究、特に癌、造血、睡眠時無呼吸症候群における機能解析
・臨床検査学への展開研究
研究キーワード:神経ペプチド、プロレニン受容体、生理機能、神経内分泌、心血管内分泌
技術キーワード:細胞培養、分子生物学、免疫組織化学、ウェスタンブロット法、ELISA
内分泌応用医科学分野では、神経ペプチドや心血管ペプチ
ドの内分泌・代謝学研究を通して、ホルモンによる生体の制
御機構の解析を行っております。
近年、生理活性ペプチドは、内分泌細胞や神経細胞から産
生・分泌されるのみならず、心筋細胞(心房性ナトリウム利
尿ペプチドや B 型ナトリウム利尿ペプチド)
、血管内皮細胞
(エンドセリン)、免疫担当細胞(ACTH やコルチコトロピン
放出ホルモン)や脂肪細胞(レプチンやレジスチン)からも
産生・分泌されることが明らかになってきました。本分野で
は、新規神経ペプチド/心血管ペプチドを対象に、脳神経系
(神経内分泌学)や循環器系の内分泌学研究(心血管内分泌学)
Figure 1 浸潤性乳癌におけるプロレニン受容体の発現
を行い、肥満症・高血圧・糖尿病・虚血性心疾患等の生活習
慣病、慢性腎不全や悪性腫瘍の新規検査法や治療法開発につ
ながる応用研究を目指しております。
ここ数年間は、主としてレニンの前駆体であるプロレニ
ンに対する受容体、プロレニン受容体を研究の対象としてき
ました。特に、腫瘍増殖におけるプロレニン受容体の生理機
能の解明、造血とプロレニン受容体の関係や、睡眠時無呼吸
症候群における可溶性プロレニン受容体の血中濃度の研究を
行ってきました。なお、睡眠時無呼吸症候群の研究は、岩手
医科大学睡眠医療学科(櫻井 滋教授)との共同研究です。
Figure 2 睡眠時無呼吸症候群とプロレニン受容体
OB・OG の主な進路
大学教員、病院職員、企業(製薬系、臨床検査系)
担当教員より進学志望者へのメッセージ
基礎から論文執筆まで確実にステップアップを! 受入大学院生の多くは、臨床検査技師ですが、医師その他の職種の方で、当分野で研究したい方も
遠慮なくご相談ください。
内分泌応用医科学
77
乳がんのホルモン作用に迫る〜内分泌療法の向上を目指して
病理検査学
保健学専攻
鈴木 貴
修士課程 / 博士課程
教授
Pathology and Histotechnology
Takashi Suzuki
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://tohoku-kensa.wix.com/home
連絡先
TEL022-717-7947
[email protected]
この分野の研究テーマ
・乳がんの浸潤、転移に関する解析
・乳がんの薬物治療抵抗性に関する解析
・子宮体がん、肺がん、大腸がん等種々のがんにおけるホルモン作用の研究
研究キーワード:乳がん、ホルモン、浸潤、転移、治療
技術キーワード:免疫組織化学、病理解析、マイクロアレイ、培養細胞、動物実験
日本人の死亡原因の第一位はがんであり、その治療の向上
はきわめて大切です。なかでも乳がんは日本人女性のがんの
中で患者数が最も多く、しかも増え続けています。乳がんの
発育進展には女性ホルモンが重要な役割を担っています。そ
のため女性ホルモンの作用を制御することで乳がんを治療す
ることが可能です。そこで当病理検査学分野では、乳がんに
おけるホルモン作用について研究しています。当分野では、
病気の原因や機序を明らかにする学問である “ 病理学 ” を研
Figure 1 乳癌組織におけるエストロゲン局所合成
究の基盤としています。我々は乳がん組織標本を病理学的に
詳細に解析し、乳がんにおけるホルモン作用の本質に迫りま
す。そして得られた知見を、細胞培養や動物モデル等様々な
研究手法を用いて多角的に検証します。このように病理学的
解析と分子生物学的解析を研究の両輪とすることで、オリジ
ナリティーにあふれた研究成果を生み出したいと考えていま
す。
Figure 2 新規エストロゲン依存性浸潤機序の解明
OB・OG の主な進路
大学教員、財団職員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
小さな研究室ですが、皆フレンドリーで、気軽に相談しあえる環境だと思います。我々とともに、楽しいホルモンとがんの世界をのぞいてみませんか?
78
病理検査学
横隔膜筋と心室筋における筋収縮特性の解明を目指して
臨床生理検査学
保健学専攻
進藤 千代彦
修士課程 / 博士課程
教授
Clinical Physiology
Chiyohiko Shindoh
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/83/
連絡先
TEL022-717-7948
[email protected]
この分野の研究テーマ
・MyD88 ノックアウトマウスを用いたエンドトキシンの横隔膜筋収縮への機序解明
・心筋の収縮特性と催不整脈との関係の解明
・気管支喘息モデルにおける横隔膜筋収縮への影響の検討
研究キーワード:横隔膜筋収縮特性、エンドトキシン、MyD88KO マウス、不整脈、細胞内カルシウム
技術キーワード:横隔膜摘出筋、電気刺激、ノックアウトマウス、多細胞摘出心室筋、蛍光色素負荷
後脱分極を介して不整脈の発生に関与しており(Fugure.2)、
その解明は病的心筋における突然死の発生機序にも繋がる重
要な研究テーマです。日本では、年間約 6 万人の心臓突然死
が発生しており、そのほとんどが不整脈死であると考えられ
ています。不整脈の発生に細胞内カルシウム動態の異常が関
与することは広く知られているものの、現時点では植え込み
型除細動器の植え込み術以外に突然死に対する有効な治療法
はありません。当分野では主にラットの心室筋を用いて、こ
のような致死的不整脈の発生機序の解明に迫ることを目的と
しています。
当分野では臨床生理学、特に検査学を教授すると共に、以
下のような横隔膜筋を用いた収縮特性の研究と心室筋を用い
たカルシウム動態の研究を行っています。
呼吸筋は肺を駆動するポンプとしての作用を担っており、
その収縮力低下は呼吸不全に密接に関わっており、その防御
の意味からも大切な研究テーマです。主に敗血症時の呼吸不
全を研究するため、エンドトキシン投与時の張力周波数曲線
の測定(Fugure.1)や MyD88KO マウスの横隔膜筋を摘出し
て、その収縮特性を検討することによって、機序解明を目指
しています。
また、心室筋における細胞内カルシウム動態の異常は遅延
Figure 1 張力周波数曲線の測定例
Figure 2 細胞内カルシウム変化による不整脈の誘発
OB・OG の主な進路
大学病院検査技師、公立病院検査技師、医療機器メーカー社員、製薬会社社員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
研究に興味があり、
循環・呼吸器分野の病態機序解明をめざしたいと考えている若い研究者は御一報下さい。現在、3 名の修士課程学生を指導しています。
臨床生理検査学
79
GATA 因子関連疾患の分子基盤解明に挑む
〜転写因子から探る生体の恒常性と疾患のメカニズム〜
分子血液学
保健学専攻
清水 律子
修士課程 / 博士課程
教授
Molecular Hematology
Ritsuko Shimizu
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.exphem.med.tohoku.ac.jp/toppage.
html
連絡先
TEL022-717-8080
[email protected]
この分野の研究テーマ
・血球分化における転写因子 GATA1 と GATA2 の機能解析
・GATA 因子の量的・質的変異が惹起する血液疾患の解析
・低分子化合物による GATA 因子の機能制御と治療薬開発に向けた創薬研究
研究キーワード:遺伝子発現制御、GATA 因子、白血病、創薬
技術キーワード:遺伝子組換えマウス、FACS 解析、移植等の血液学的解析、細胞培養、HTS
1988 年に、Harold Weintraub 教授らが線維芽細胞を筋細
胞へと分化させる転写因子 MyoD を発見した後、多くの研
究者が細胞の運命や分化に関わる転写因子の同定競争に参入
しました。その渦中に、GATA1 は赤血球分化に重要な転写
因子として同定され、その後の研究で、6 種のパラログから
構成される GATA 転写因子群(GATA1-6)が発見されました。
私 達 は、GATA 因 子 の 中 で も 血 球 分 化 と 関 わ り が 深 い
GATA1 と GATA2 に着目し、研究しています。GATA1 は赤血
球・巨核球分化で働き、そして GATA2 は造血前駆細胞や造
血幹細胞で働きます。近年、
GATA1 と GATA2 の遺伝子変異が、
白血病やその他の造血器疾患から見つかっていますが、これ
ら遺伝子変異と疾患発症の関連性は十分に検証されていませ
Figure 1 GATA 因子の機能破綻が関与する血液疾患
ん。そこで私達は、転写因子ネットワークに支えられた精緻
な遺伝子発現制御が恒常的造血に重要であること、その機能
破綻が造血器疾患発症に直結することに着目し、GATA 因子
の質的そして量的な機能破綻と疾患発症の分子基盤を探って
います。
また、近年、GATA 因子が、腎性貧血や慢性炎症性貧血の
新しい治療標的分子となり得るだけでなく、がん細胞の生存
に重要であることが分かってきました。私達は、GATA 因子
の機能を制御する低分子化合物を開発することで、新しい貧
血治療薬や制がん剤を創出できると考え、研究を進めていま
す。
Figure 2 GATA 因子を標的とした創薬研究
OB・OG の主な進路
国立大学教員、日本学術研究会特別研究員、臨床検査技師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
研究は「個性」と「プライド」
、進学に学部は不問です。白血病の成り立ちや血液疾患の基礎研究、そして創薬研究をやってみたい方は、是非一度研
究室見学にお越し下さい。
80
分子血液学
生活習慣病と老化の予防により、健康寿命の延伸に挑む ~疫学的エビデンスから保健医療政策の提言へ~
公衆衛生学
辻 一郎
教授
Epidemiology
Ichiro Tsuji
Professor, M.D. Ph.D.
公衆衛生学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.pbhealth.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8123
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・生活習慣病の危険因子を解明するための大規模コホート研究
・老化(要介護・認知症)の予防に向けたコホート研究と介入研究
・東日本大震災被災者に対する健康調査と健康支援
研究キーワード:健康寿命、がん、循環器、老化、東日本大震災被災者
技術キーワード:疫学、統計学、コホート研究、介入研究
私たちの主要な研究テーマは、がん・循環器疾患・老化(要
介護や認知症を含む)の危険因子を観察疫学の手法で解明し、
その予防に向けた対策の効果を介入疫学の手法で検証するこ
とです。
私たちの分野は、5 万人規模のコホート研究データを 2 つ
保有しており、詳細な生活習慣・健診データとその後の死亡
リスク・がん罹患リスク・医療費・介護保険認定リスク・認
知症発生リスクとの関連を 20 年以上にわたって追跡してい
ます。これ程の規模のコホートを単一の施設で有しているの
は、国内では国立研究がんセンターと当分野のみです。この
豊富な研究資源をフルに活用して、New England Journal や
JAMA などの雑誌に論文を発表し、その成果は世界的にも注
目されています。これらの疫学的エビデンスに基づいて、健
康寿命の延伸策を提言しています。
私たちは、地域保健支援センターと共同して、東日本大震
災被災者を対象とする健康調査を半年ごとに行っています。
これにより、被災者の心身の健康に影響を及ぼす要因を解明
するとともに、被災者支援のあり方を提言しています。また、
被災者に対する健康支援(健診、保健指導・健康教育、栄養
や身体運動などの教室開催など)も活発に行っています。
私たちは、疫学や公衆衛生の領域において次代を担う人材
(疫学研究者・行政関係者・予防マインドを持った臨床医や
保健医療職種など)の育成を重視しています。
Figure 1 日本食と要介護発生リスク(日本食パターンの度合いが
高い者ほど要介護状態になるリスクが低い)
Figure 2 被災者健康調査:仙台市若林区(2012 年)
OB・OG の主な進路
大学教員、行政職、臨床医、研究所研究員、大学病院職員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
21 世紀は「予防医学」の時代です。健康増進や疾病予防・介護予防に感心のある方は、是非お越し下さい。
公衆衛生学
81
臨床と統計の懸け橋に!
医学統計学
山口 拓洋
教授
Biostatistics
Takuhiro Yamaguchi
Professor, Ph.D.
公衆衛生学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.biostat.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7659
[email protected]
この分野の研究テーマ
・医学研究(臨床研究、疫学研究など)デザインの開発と評価
・医学データに対する統計解析手法の開発と評価
・データマネジメントを含めた医学情報マネジメントに関する研究
研究キーワード:医学統計学、医学情報管理学、医学研究方法論、薬剤疫学、薬事規制科学
技術キーワード:統計解析、臨床データマネジメント、医学研究支援システム、品質マネジメント
開発と評価、データマネジメントを含めた医学情報マネジメ
ントに関する研究、医学データベースの利用に関する研究で
す。
医学統計学(生物統計学、医療統計学などとも呼ばれます)
とは、基礎・臨床・疫学といった医学研究において、どうデー
タをとるか(調査計画・実験計画)
、
どう解析するか(統計解析)
の方法論を提供する応用学問です。日本では医学研究に関わ
る統計家の数が極端に少なく、本分野は医学統計学が学べる
数少ない教室の一つです。
当分野は東北大学病院臨床試験データセンターを兼担して
おり、実際の現場で生じる様々な問題について統計学・情報
管理学的な観点から関与し様々な共同研究を行っています。
また、大学院での講義や研究コンサルティングなどを通じて
学内外の研究者への教育に従事しています。
主な研究テーマは、医学研究(臨床研究、疫学研究など)
デザインの開発と評価、医学データに対する統計解析手法の
Figure 1 医学統計学分野院生室
Figure 2 東北大学病院臨床試験データセンター
OB・OG の主な進路
公的研究・教育機関、臨床研究支援組織、製薬企業、医薬品開発業務受託機関
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当分野に興味を持っていただき、ありがとうございます。現在あるいは未来の患者さんに、より早く有効かつ安全な治療法を届けるため、一緒に研究
をしませんか。
82
医学統計学
医療情報とオミックス情報の両方を扱うことのできる
π
(パイ)型人材を育成
医学情報学
(兼)辻 一郎
教授
Medical Informatics
Ichiro Tsuji
Professor, M.D.Ph.D
公衆衛生学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/sph/235/index.html
連絡先
TEL022-717-7501
[email protected]
この分野の研究テーマ
・医学情報学
研究キーワード:オントロジー、標準化、地域医療連携、TRI、医学医療知識の共有
技術キーワード:医療情報システム、次世代電子カルテ、医療情報ネットワーク、医療安全管理、情報セキュリティ
医学情報学分野では、東北大学大学院医学系研究科、東北
メディカル・メガバンク、みやぎ医療福祉ネットワーク協議
会、東北大学病院ならびに臨床研究推進センターなどの情報
基盤の統合連携構築を通じて、医学および医療における情報
学と情報基盤のあるべき姿を追求しています。
大学院では、これらの情報基盤を活用し、医療情報学とバ
イオインフォマティクスの両方を扱うことのできる人材の育
成を目標に掲げています。
Figure 1 東北医療情報ハイウェイ計画
担当教員より進学志望者へのメッセージ
新しい分野への参画をお待ちします。
医学情報学(メディカル IT センター)
83
遺伝性疾患の病態解明を通して生命現象の謎に挑む
遺伝医療学(遺伝科)
青木 洋子
教授
Medical Genetics
Yoko Aoki
Professor, M.D. Ph.D.
公衆衛生学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.medgen.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8139
[email protected]
この分野の研究テーマ
・細胞内シグナル伝達異常症の原因遺伝子検索とその病態解明
・高速シークエンサーを用いた遺伝性疾患の原因解明
・遺伝性疾患のモデルマウス作製と治療法開発
研究キーワード:シグナル伝達、ヒト発生、希少遺伝性難病、癌原遺伝子、症例登録と予後追跡
技術キーワード:遺伝子・ゲノム解析、次世代シークエンサー、疾患モデルマウス解析、治療法開発、細胞培養
当 教 室 で は 2005 年 に、HRAS の 生 殖 細 胞 系 列 の 変 異 が
先天奇形症候群であるコステロ症候群を引き起こすことを
世 界 で 初 め て 同 定 し ま し た (Aoki Y, et al. Nature Genetics,
2005)。 引 き 続 き 2006 年 に は KRAS 、BRAF が cardio-faciocutaneous (CFC) 症候群)の原因であることを報告しました
(Niihori T, et al. Nature Genetics, 2006)。これらの発見がブ
レークスルーとなり、RAS シグナル伝達経路上の複数の分子
にその原因遺伝子が同定され、RAS/MAPK シグナル伝達経路
異常症として新しい疾患概念が形成されました (Aoki Y, et al.
Hum Mutat, 2008)。本疾患の全国調査を行いその有病率を推
定し、症例登録と追跡調査を継続しています。現在は RAS/
Figure 1 RAS/MAPK 症候群
MAPK 症候群のモデルマウスを作製し、癌原遺伝子の変異が
ヒトの発生やその病態にどのように関与しているか、また
その治療法開発研究を行っています (Inoue SI, et al Hum Mol
Genet, 2014, Moriya M et al. Hum Mol Genet, 2015)。
もう一つの研究の柱は、次世代シークエンサーを用いた希少
遺伝性難病の遺伝子解析研究です。東北大学は 2009 年に厚労省
の次世代シークエンサー難病解析拠点に指定され、エクソーム
解析の解析パイプラインを構築しました。院内、あるいは他大
学と連携し、希少遺伝性難病のエクソーム解析を一手に引き受
け、新規原因遺伝子解明とその病態解明を行っています (Niihori
T et al. Am J Hum Genet, 2015, Izumi R et al. Neurol Genet, 2015)。
Figure 2 次世代シークエンサーを用いた新規原因遺伝子同定
OB・OG の主な進路
国立大学教員、大学病院医師、公立病院医師、米国留学(ポスドク)
担当教員より進学志望者へのメッセージ
小さな研究室ですが、世界の研究者と切磋琢磨しながら教科書の内容を書き換えるような研究を行うことを目指しています。研究が初めてでも指導者
が懇切丁寧に指導します。
84
遺伝医療学(遺伝科)
ビッグデータで医療の実態に迫る
医療管理学
藤森 研司
教授
Health Administration and Policy
Kenji Fujimori
Professor, M.D. Ph.D.
公衆衛生学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8127
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・DPC とレセプトデータを用いた医療の質、医療経済、医療政策に関する研究
・受療行動に基づく地域医療計画に関する研究
研究キーワード:医療政策、NDB、DPC/PDPS
技術キーワード:電子レセプトデータ、データベース、データ分析
医療管理学分野は、1952 年、全国に先駆けて開講された
病院管理学講座を前身としており、医療の社会面、経済側面、
政策面について先駆的研究を推進しています。
現在、藤森教授は、医療費の支払い制度の精緻化・合理化
を目指して「包括医療費支払い制度(DPC/PDPS)」の設計
と普及に取り組んでいます。日本の医療はたいへんすばらし
く、低コストで質の高い医療を提供しています。しかし、そ
れは医療者のオーバーワークの上に成り立っているところが
あるので、世界最高水準の医療を維持しつつ、問題点を改善
した医療の制度を目指し、制度の再構築をしたいと思ってい
Figure 1 NDB から見る外来化学療法の状況
ます。
地域医療計画では、各地域での医療提供体制と患者のニー
ズや受療動向を見極めて、日本の持てる有限のリソースを最
適に配分し、国民が納得できるような医療の提供体制を作る
にはどうすればよいのかを研究しています。
これから、データを通じて、東北を始め、日本全国の医療
提供体制と患者受療動向を明らかにし、限られた医療資源を
有効活用して最大効用を得るために、医療政策・医療計画に
貢献していきたいと思います。将来は、東北大学に医療、健
診、介護の Database Center を構築する計画です。
Figure 2 電子レセプトからみる脳梗塞の地域連携
OB・OG の主な進路
国立大学教員、私立大学教員、診療情報管理士
担当教員より進学志望者へのメッセージ
人生、進路や仕事などでいろいろと悩むことがありますが、悔いのないよう、壁に正面からぶち当たり、その壁を乗り越えて行って欲しいと思います。
「人生は一度きり」です。
医療管理学
85
活性酸素が司る生命現象・病態と分子中毒学
環境保健医学
赤池 孝章
教授
Environmental Health Sciences and Molecular Toxicology
Takaaki Akaike
Professor, M.D. Ph.D.
公衆衛生学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.toxicosci.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-8164
[email protected]
この分野の研究テーマ
・一酸化窒素・活性酸素のケミカルバイオロジーと酸化ストレス制御機構
・新興感染症菌ヘリコバクター・シネディの病原性と感染疫学の解析
研究キーワード:活性酸素、酸化ストレス、活性イオウ分子種、生活習慣病、分子中毒学
技術キーワード:ケミカルバイオロジー、プロテオーム、メタボローム
生体内で過剰に産生される活性酸素は、酸化ストレスをも
たらし、感染・炎症、がん、国民病である動脈硬化症や糖尿
病などの生活習慣病、アルツハイマー病などの神経変性疾患
など様々な病態に関与しています。
近年、活性酸素は、単なる毒性因子ではなく、多彩な生命
現象を司る生理的なシグナル分子であることが分かってきま
した。活性酸素は、生体内のセンサー分子と連関するエフェ
クター蛋白質による複雑かつ精緻に制御されたシグナル経路
を経て、酸化ストレス応答、オートファジー誘導、細胞老化
や細胞死の制御など多様な生理機能を発揮します。活性酸素
シグナルの制御メカニズムの解明は、酸化ストレスが関与す
る各種疾患の病態解明に資する重要なテーマと考えられます。
Figure 1 酸化ストレスの活性イオウ分子種による制御
当分野では、活性酸素シグナルの制御機構を中心に、ケミ
カルバイオロジーやメタボローム・プロテオームなどの最先
端分析技法を駆使した解析により、環境因子としての感染症
や環境汚染物質による中毒学と生体の環境・酸化ストレス応
答の分子基盤の解明に取組んでいます。最近の研究成果とし
て、生体内の新しい酸化ストレス制御因子としての活性イオ
ウ分子種の発見や、新興感染症菌ヘリコバクター・シネディ
の動脈硬化促進作用の解明などが上げられます。
これらの研究成果を基盤にして、酸化ストレス応答におけ
る生体防御の視点から、様々な疾病の診断法の確立、予防・
治療法の開発を目指しています。
Figure 2 シネディ菌感染の動脈硬化促進作用
OB・OG の主な進路
大学教員、博士研究員、臨床医
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当分野では酸化ストレス・感染病態疫学に関する先端研究の中で、優れた人材育成に向けた大学院教育に取組んでいます。研究に意欲がある方は出身
学部を問わず歓迎します。
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環境保健医学
法医学は法律に関連する医学的問題を研究・応用する分野です
法医学
舟山 真人
教授
Forensic Medicine
Masato Funayama
Professor, M.D. Ph.D.
公衆衛生学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.forensic.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8010
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・温度データロガを利用した死亡時刻推定
・法医試料の迅速抽出・迅速分析
・CT 画像を利用した骨形態の研究
研究キーワード:法病理学、法中毒学、法放射線学
技術キーワード:温度データロガ、LC-MS/MS、コンピュータ断層撮影
・法病理学:特に興奮性譫妄の解析
温度データロガを用いた死亡時刻の推定
乳幼児急死と寝具環境
Figure 1 LC-MS/MS による有機リン系農薬の分析例
・法医中毒学:特に QuEChERS 法による迅速抽出法の開発
ならびに迅速分析法の開発
・法放射線学:特に死後 CT 画像と死因判断
CT 画像を用いた骨の形態特徴
Figure 2 日本 ( 世界? ) で唯一の 1 枚岩の大理石解剖台
担当教員より進学志望者へのメッセージ
漠然としたイメージで進路選択しないでください。
法医学
87
臨床倫理、研究倫理、公衆衛生倫理、医のプロフェッショナ
リズムの発展を目指した教育、研究、実践を行う
医療倫理学
浅井 篤
教授
Medical Ethics
Atsushi Asai
Professor, M.D. Ph.D. M.Bioeth.
公衆衛生学専攻
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/sph/240/index.html
連絡先
TEL022-717-8196
[email protected]
この分野の研究テーマ
・現代日本における倫理社会的問題に関する考察
・臨床倫理コンサルテーションの質向上に関する研究
・公衆衛生倫理と人権に関する研究
研究キーワード:臨床倫理、研究倫理、公衆衛生倫理、専門職意識、時事倫理
技術キーワード:規範的分析、記述倫理手法、倫理審査、コンサルテーション、医療人文学
医療倫理学分野では、終末期医療の倫理、自己決定とイ
ンフォームド・コンセント、研究倫理に関する関係者の認
識、医療倫理学教育の実態、問題点および理想、臨床倫理コ
ンサルテーション活動を中心にした日常診療での倫理ジレン
マ、医療における信頼、HIV 診療におけるプライバシー、
『こ
うのとりのゆりかご』(赤ちゃんポスト)
、プラシーボ臨床使
用、脳死臓器移植法改正などに関する時事倫理問題、映画作
品を対象にした医療人文学領域研究を様々な方法論を用いて
行ってきました。医療倫理教育にも力を入れてきました。今
後は臨床倫理、研究倫理、公衆衛生倫理、医のプロフェッショ
ナリズムに関する研究、医療人文学に関する研究、様々な現
場での倫理コンサルテーションに関する研究、そして時事倫
理問題に関する考察を続け、これからの日本の医療倫理学の
発展に貢献します。また医療専門職および医学研究者に対す
る医療倫理教育を続け、physician-ethicist、clinician-ethicist
を育成していきます。
OB・OG の主な進路
大学教員、医療専門職、倫理委員会委員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
医療倫理学の必要性に対する社会的認識は高まっていますが、実質的活動は未だ不十分で人材は不足しています。問題意識と意欲、そして使命感にあ
ふれた方の参加を求めます。
88
医療倫理学
生命とは何か。細胞増殖と分化の機構を、多段階レベル
−ゲノム・エピゲノム・タンパク質− で解き明かす
細胞増殖制御
医科学専攻
中山 啓子
修士課程 / 博士課程
教授
Cell Proliferation
Keiko Nakayama
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.devgen.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8227
[email protected]
この分野の研究テーマ
・分化過程・発がん過程におけるエピジェネティック変化の解析
・細胞増殖と発生に関わるタンパク質の安定性制御機構とその破綻による病態
研究キーワード:細胞周期、エピジェネティクス、タンパク質分解、生物情報学
技術キーワード:次世代シークエンサー、遺伝子操作マウス、細胞生物学、タンパク質化学
細胞周期とは、一つの細胞が二つの細胞へ分裂する過程
のことです。私達の多細胞生物は一つの受精卵から分裂(す
なわち細胞周期)を繰り返し、さまざまな機能を獲得した細
胞の集団から成り立っています。しかし、さまざまな機能を
発揮しているにも関わらず、すべての細胞がほぼ同じゲノ
ム DNA を持っています。この変わらないようにコントロー
ルしている仕組みと、正しく変わっていく仕組みを理解する
ことが、私達の正常な発生の仕組みの理解、その破綻と考え
られる悪性腫瘍や神経変成疾患の理解に繋がると考えていま
す。
細胞周期の間に様々な制御タンパク質が適切な時間だけ
機能を発揮します。私達は、タンパク質の発現制御(遺伝子
Figure 1 がん遺伝子 Ras の H3K27me3 への影響
の転写とタンパク質の分解)がどのように細胞周期や分化を
個体レベルで制御しているのか知るために、様々な遺伝子操
作マウスを作製・解析しています。また、同じゲノムを持っ
ている細胞が異なる機能を発揮しているのはエピゲノムが異
なるからであると考えられています。私達は、次世代シーク
エンサーを主体とした網羅的なデータ解析からエピゲノムが
何をきっかけにどのように変化するのか、そしてその変化に
よって遺伝子発現にどのように変化をもたらあすのかに注目
し解析を進めています。
生命科学研究は、次々と新しい方法論が開発され、新しい
事実が明らかとなっています。それらを的確に取り入れるこ
とによってさらに新しい世界を広げたいと考えています。
Figure 2 ES 細胞と骨髄細胞における Geminin の機能
OB・OG の主な進路
大学教員、製薬企業研究員、研究機器開発担当、食品メーカー開発担当、ソフトウェア開発
担当教員より進学志望者へのメッセージ
生命科学・医学は、私達ヒトを含めた生物を正確に理解しようという研究領域です。大学院では、各自が持つ疑問を、論理的に整理し解法を考えるトレー
ニングを行います。
細胞増殖制御
89
脳はどこから来たのか。脳とは何か。脳はどこへ行くのか。
脳の発生・発達・進化の分子機構解明に挑戦する
発生発達神経科学
医科学専攻
大隅 典子
修士課程 / 博士課程
教授
Developmental Neuroscience
Noriko Osumi
Professor, D.D.S. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.dev-neurobio.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8203
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・大脳皮質発生の分子細胞メカニズムの解明
・グリア細胞の分化と機能に対する脂質シグナルの影響
・次世代継承エピゲノムに着目した発達障害の発症機序解明
研究キーワード:脳の発生、グリア細胞分化、エピジェネティクス、神経分化、自閉症
技術キーワード:動物実験、ゲノム編集、細胞培養、エピジェネティクス、バイオインフォマティクス
「脳はどのようにしてつくられるのか?」
この問いに対し
て、私たちは分子レベルで明らかにしたいと考え、①神経発
生、②脂質脳科学、③次世代継承エピゲノムの観点から進め
ています(図1)
。
①に関しては、これまで神経幹細胞に発現する転写因制
御子 Pax6 の制御を受ける下流遺伝子として、神経幹細胞の
増殖を維持する脂肪酸結合タンパク質 Fabp7 や、神経細胞
への分化を担うプロニューラル遺伝子を制御する Dmrta1 を
同定しました。現在、神経幹細胞の持つ長い突起の基底膜側
先端部分への mRNA 輸送メカニズムについて、運び屋分子
として脆弱性 X 症候群の原因因子である FMRP や、運ばれ
る mRNA として我々自身が cis 配列を同定した細胞制御因子
Cyclin D2 の mRNA に着目しています。CRISPR/Cas9 などの
ゲノム編集や、哺乳類全胚培養法等の胚操作を駆使した実験
を展開しつつあります。
②については、脳に多量に存在するドコサヘキサエン酸
(DHA)やアラキドン酸(ARA)や、それらと結合する脂肪
酸結合タンパク質 Fabp が、神経幹細胞やグリア細胞の増殖
分化、酸化ストレス応答その他の機能に与える影響について
解析を進めています。本研究は加齢性難聴のメカニズムの理
解に繋がる可能性があります。
③としては、自閉症等の発達障害の発症メカニズムを明ら
かにすることを目的として、遺伝的リスク(例えば Pax6 の
変異)や交絡因子(例えば父の加齢)が次世代に与える影響
について、マウスを用いてエピゲノム的観点からの解析を展
開しています。
Figure 1 研究室の三大テーマ
Figure 2 大脳皮質神経幹細胞における Cyclin D2 mRNA 輸送モデ
ルとゲノム編集技術による検証
OB・OG の主な進路
本学教員、国立大学教員、私立大学教員、国立大学ポスドク、米国 NIH ポスドク、米国私立大学ポスドク、独国マックスプランク研究所ポスドク、理
化学研究所ポスドク、私立大学技術員、厚生労働省研究所技術補佐員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
研究は、純粋に基礎研究として面白いものも、真に将来、臨床に役立つ可能性のある、出口を見据えたものも、どちらも大切。まだ誰も到達していな
い山の頂上を目指そう!
90
発生発達神経科学
医薬品開発 〜創薬から医師主導治験までアカデミアで繋ぐ〜
分子病態治療学
医科学専攻
宮田 敏男
修士課程 / 博士課程
教授
Molecular Medicineand Therapys
Toshio Miyata
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://miyatalab.jimdo.com/
連絡先
TEL022-717-8157
[email protected]
この分野の研究テーマ
・カルボニルストレス阻害薬開発
・プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター阻害薬開発
・レギュラトリーサイエンス
研究キーワード:創薬・臨床研究、探索的早期臨床試験、マイクロドーズ試験、カルボニルストレス、PAI-1
技術キーワード:インシリコ創薬、構造最適化、標的探索、非臨床試験、臨床試験
製薬企業が取り組んでいる「創薬」の領域は限られていま
す。同じようなスタチン系高脂血症治療薬や降圧薬が数多く
の製薬企業から次々と販売されているにもかかわらず、オー
ファンや製薬企業が取り組まないが社会的に重要な疾患群
(例えば腎臓病)の創薬は思うように進んでいません。これ
ら領域で有用な薬剤の開発を進めていくことは、患者に少し
でも良い医療を還元したいと希望する臨床医の責務の 1 つと
も考えます。
私の研究室(附属創生応用医学研究センター 分子病態
治療学分野)では、
「大学からの創薬(治療薬の開発)
」を目
的として、医科学(生物学)
・構造生物学・薬学・化学・コ
ンピューター工学の異分野融合、学際領域研究で取り組んで
おります。また、ゲノム情報を応用して効率的に薬剤の投与
や開発に活かすファーマコゲノミクスや、規制当局との相互
理解と薬剤開発の円滑化を目指したレギュラトリーサイエン
スといった最新の手法を駆使し、創薬手法そのものに対する
開発及びその実践も行っています。当研究室では、基礎研究
のみならず、薬剤探索(Hit discovery)、構造最適化(Lead
optimization)、動物薬効評価(Validation in animals)、前臨
床試験、医師主導治験 ( フェーズⅠ、Ⅱ a) まで含めた広い
領域でのトランスレーショナルリサーチに取り組んでいただ
けます。
Figure 1 基礎から臨床まで統合したアカデミア発創薬
OB・OG の主な進路
(独)医薬品医療機器総合機構、ヘルスケアメーカー、医薬品開発受託機関、私立病院 臨床検査部
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当研究室では、製薬企業と同じようなレベルで、実践的に基礎研究から医師主導治験までを実施しています。「創薬」にご興味のある方は、当研究室
にお越しください。
分子病態治療学
91
ドラックデリバリーシステムと失明予防への取り組み
細胞治療
医科学専攻
阿部 俊明
修士課程 / 博士課程
教授
Clinical Cell Therapy
Toshiaki Abe
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.ctaar.med.tohoku.ac.jp/dcct/index.htm
連絡先
TEL022-717-8234
[email protected]
この分野の研究テーマ
・網膜疾患治療用のドラックデリバリーシステム(DDS)の確立
・細胞・薬剤送達展開型ナノシートの開発
・網膜新生血管刺激因子のスクリーニング
研究キーワード:ドラックデリバリー、ナノシート、網膜疾患、失明予防、神経保護
技術キーワード:微細加工技術、薬剤徐放制御、動物実験、細胞培養と遺伝子操作、細胞移植
我々は、薬剤や細胞を局所へ送達する技術開発を行ってき
ました。眼疾患の治療を目指して行われてきたものですが、
眼疾患以外にも広くさまざまな疾患を対象にできる技術開発
になります。網膜は一度障害されると再生は難しいため、変
性に陥る前に薬物投与などで治療が必要とされます。しかし
眼の最深部にある網膜に薬を届けることは容易ではありませ
ん。最近、眼内注射などで直接薬剤投与を眼内に行う方法が
報告され、網膜疾患を薬剤治療することが注目されていま
す。しかし、副作用の危険性もあるので、我々は眼内ではな
く眼外の強膜上にから薬剤を長期間徐放する経強膜ドラッグ
デリバリーシステムを開発してきました。眼内投与に比較し
て安全な方法で、眼疾患以外にも応用可能です。これらは東
Figure 1 経強膜ドラッグデリバリーシステム
北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻の西澤松彦
教授、梶弘和准教授、東北大学医学系研究科眼科学教室の中
澤徹教授との共同研究で行われてきました。
さらに、微細加工ナノシート作製とナノシート生体内局所
展開技術開発を行い、さまざまなスペースの形態に合わせて
自由な展開ができる、生体分解性あるいは非分解性のナノ厚
のシート作製を長年行ってきました。針のような狭い空間を
通過しても局所のスペースに応じた展開ができます。本来細
胞移植用シートとして開発してきましたが、薬剤などの搭載
が可能で、重ね合わせも自由にできれば、多剤徐放も可能で
す。
Figure 2 F ナノカーペット局所展開と細胞 DDS
OB・OG の主な進路
開業、自営業、公立病院勤務、個人病院勤務
担当教員より進学志望者へのメッセージ
基礎研究から臨床まで、さまざまな分野出身の先生が精力的に行っています。学歴・男女関係なく、いつでもどこでも全員体制で相談しながら取り組
みます。
92
細胞治療
じっくりよく考えながら研究しよう
遺伝子医療開発
医科学専攻
松原 光伸
修士課程 / 博士課程
准教授
Gene Therapy
Mitsunobu Matsubara
Associate Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-717-8231
[email protected]
この分野の研究テーマ
・血圧調節
・体液調節
・栄養調節
研究キーワード:血圧、電解質、体液量、膜タンパク、浮腫
技術キーワード:遺伝子解析、タンパク解析、電気生理
ヒトの生体機能を元素 ‐ 化合物 ‐ 細胞 ‐ 組織 ‐ 組織連
携のかかわりで捉え、生理機能や病態を解析する研究を行っ
ている。主要テーマである血圧調整は腎臓の一部での元素・
電解質移動に伴うシグナルが尿細管の細胞内で産生・放出さ
れる化合物(生理活性物質)のシグナルに変換され、周囲の
血管に 2 次的 3 次的変化を誘発し、これが血圧設定の重要な
因子になることを検討している。さらに尿細管の別の部位に
おける電解質移動が濾過された栄養素の再吸収、水の再吸収
に必須であり、この電解質移動の異常が生体の体液・栄養異
常に結びつくことを証明する検討をこれまで行い、現在も続
けている。
また、このような繋がり理論に臓器の進化の過程を加えて
検討していくことが医学的基礎を学ぶ効率的で有効な手段と
も考えられ、毎年、全学的な基礎教育において短時間に効率
的に生体機能を学ぶゼミを試みている。
遺伝子医療開発
93
膵島移植療法および膵島移植を雛型とした次世代細胞移植
療法の確立
移植再生医学
医科学専攻
後藤 昌史
修士課程 / 博士課程
教授
Transplantation and Regenerative Medicine
Masafumi Goto
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/ctaar/
265/index.html
連絡先
TEL022-717-7895
[email protected]
この分野の研究テーマ
・膵島分離および各種細胞分離用リコンビナントタイプの新規酵素の開発
・バイオ人工膵島用免疫隔離細胞デバイスの開発
・肝細胞移植の新規プロトコールの開発
研究キーワード:膵島移植、肝細胞移植、細胞分離酵素、バイオ人工膵島、次世代型細胞移植療法
技術キーワード:細胞培養、細胞分離技術、細胞移植、イメージング、病理解析
膵島移植は重症糖尿病に対する移植療法で、膵臓から分離・
回収した膵島を局所麻酔下で門脈から肝臓内に移植する低侵
襲な細胞移植療法です。しかし、分離用酵素等の問題により
膵島収量が不安定で、膵島の機能が低いこと、また移植膵島
の生着率が低いこと等が原因で、現時点では一人の患者の治
癒に複数のドナーが必要という課題を有しています。また、
移植後の拒絶反応を抑えるために服用する免疫抑制剤の副作
用の問題も有ります。そこで私達は、これらの問題を解決す
るために日々研究を行っています。膵島分離用酵素について
は、世界で初めてロット格差が無いリコンビナントタイプの
細胞分離酵素を開発し、各組織の状態に合わせて酵素組成を
調節することで、膵島の収量や機能が向上することを明らか
Figure 1 安全で高性能な新規細胞分離用酵素剤の開発
にしました。この新規細胞分離酵素は、現在、臨床試験の段
階に達しており、膵島以外にも肝細胞移植への応用等、他の
細胞移植療法への普及が期待されています。また移植前膵島
の機能測定方法や、移植後の血糖コントロールにより膵島移
植の効果を増大させるプロトコール等、既に臨床応用されて
いる研究成果もあります。現在は免疫抑制剤を使用しない膵
島移植を目指し、バイオ人工膵島用デバイスの開発にも取り
組んでいます。このように私達は膵島移植が重症糖尿病に対
する理想的治療法となるように、さらに膵島移植を雛型とし
た次世代の細胞移植療法を確立することを目標に研究を進め
ています。
Figure 2 膵島に対する高感度イメージングシステム
OB・OG の主な進路
臨床医、研究者も可能、ライフサイエンス系企業も可能
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当分野では、基礎研究の成果が臨床に応用される過程を実際に経験する機会が多いことが特長です。移植医療や再生医療の研究と臨床に興味のある方
の参加をお待ちしています。
94
先進細胞移植学
タンパク質の折畳み異常がおこす神経難病の克服に挑む ~プリオン現象の解明と治療予防法の開発~
神経化学
医科学専攻
堂浦 克美
修士課程 / 博士課程
教授
Neurochemistry
Katsumi Doh-ura
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.neurochemistry.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8233
[email protected]
この分野の研究テーマ
・折畳み異常タンパク質の代表であるプリオンがおこす病気の治療予防開発とその応用
・細胞や個体における折畳み異常タンパク質の病理学的特性と生物学的特性の解明
・加齢に伴い神経細胞変性や神経細胞死が生じるメカニズムの解明
研究キーワード:プリオン、タンパク質の折畳み、創薬、神経変性疾患、加齢
技術キーワード:細胞培養、遺伝子操作、ケミカルバイオロジー、動物実験、病理解析
進行性に脳がおかされる神経難病には、タンパク質が異常
に折畳まれて凝集物を形成し脳に蓄積する疾患群(プリオン
病、アルツハイマー病、パーキンソン病など)があります。
いずれも未だに病気の進行を阻止する根本的な治療予防法は
見つかっていません。また、タンパク質の異常凝集物が脳で
どのように制御され、どうして脳がおかされるのかといった
基本的なメカニズムも、十分には解明されていません。さら
に、病気の原因であるタンパク質の異常凝集物は、異常凝集
物を形成するという性質を他の細胞や個体に伝達する能力が
あり、タンパク質性の形質伝達因子と言えます。核酸を介さ
ない形質伝達はセントラルドグマの唯一の例外で、タンパク
質性の形質伝達因子の生物学的な存在意義も良くわかってい
Figure 1 折畳み異常タンパク質による神経疾患の病態
ません。
私達は、折畳み異常タンパク質の代表であるプリオンにつ
いて、プリオンがひきおこす病気の治療予防法の探索研究や
プリオンに対する生体防御機構の解明研究を行い、患者さん
へ治療候補薬の応用研究を行っています。また、タンパク質
性伝達因子に対して阻害活性を持つ化合物や生体因子の作用
機序を解析し、プリオンやタンパク質性伝達因子の形質伝達
及び形質発現のメカニズムを探っています。さらに、タンパ
ク質の折畳み異常による疾患群は加齢とともに生じることか
ら、加齢に伴い神経細胞変性や神経細胞死が生じるメカニズ
ムを分子レベルで探っています。
Figure 2 マウス脳に蓄積した折畳み異常タンパク質
OB・OG の主な進路
大学教員、公務員、博士研究員、臨床医、大学病院職員、治験コーディネーター、食品企業研究者
担当教員より進学志望者へのメッセージ
小さな研究室ですが、古典的な実験手法も最先端技術も、どちらも使いこなせるようになります。また、いつでもどこでも、些細なことでも、気軽に
相談できる環境があります。
神経化学
95
プリオン蛋白の異常化メカニズムの解明
病態神経学
医科学専攻
北本 哲之
修士課程 / 博士課程
教授
Neurological Science
Tetsuyuki Kitamoto
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.prion.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-8147
[email protected]
この分野の研究テーマ
・獲得性プリオン病の確定診断とその感染メカニズム
・プリオン蛋白の異常化促進、抑制に関する研究
・プリオン蛋白多型性に関する研究
研究キーワード:プリオン蛋白、正常多型性と変異、異常化、感染実験、プリオン病
技術キーワード:病理学的検査、ヒト化モデル、ウエスタンブロット、試験管内蛋白増幅、感染実験
1996 年英国の BSE(いわゆる狂牛病)由来の vCJD の出現
以来、本研究室は世界的には WHO(世界保健機構)の共同
研究センターとして vCJD の調査を、わが国では硬膜移植後
の医原性 CJD をはじめとするプリオン病のサーベイランス
の遺伝子診断、確定診断を受け持っている研究室である。
研究室の最近の成果としては、ヒトのプリオン病の感染性
を、マウスからヒト型プリオン蛋白に変更したノックインマ
ウスを使用して調べている。この感染実験の結果から、硬膜
移植後の医原性 CJD の感染源を突き止めることに成功した
(論文 2)。また、高感度の vCJD プリオンの検出法を開発し、
Figure 1 ヒト化プリオン蛋白モデル動物の感染実験
英国スコットランド血液バンクと共同で vCJD の血液を用い
た診断法を開発中である。さらに、プリオン蛋白の網羅的な
変異導入による異常化分子の検討によって、異常型プリオン
蛋白の分子モデルを完成させた(論文 5)。
研究室の今後の目標は、どのようにしてプリオン蛋白が異
常化するのかそのメカニズムを明らかにすることである。こ
の分子機構の解明によって、初めてプリオン病の治療・予防
戦略へと繋がる。
Figure 2 異常プリオン蛋白の分子構造モデル
OB・OG の主な進路
臨床医、大学等の研究医、製薬会社研究員、光学・食品会社研究員、医学部へ再入学
担当教員より進学志望者へのメッセージ
卒業生は、国内外の施設での研究従事者が多い。プリオン病の研究から初めて、将来自分の研究テーマを持ってアカデミックに活躍し続けるという意
欲を持ち続けてほしい。
96
病態神経学
光遺伝学で追究する脳科学の最先端
~脳細胞間の信号伝達を解析し、心の機能を探求する~
新医学領域創生分野(脳コア)
松井 広
准教授
Interdisciplinary Medical Science(Center for Neuroscience)
Ko Matsui
Associate Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.ims.med.tohoku.ac.jp/matsui/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8208
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・グリア細胞活動が神経機能を修飾する作用を解明する
・グリア細胞が伝達物質を放出する機構を解明する
・シナプス微細構造が決定する神経細胞間の信号伝達特性を解明する
研究キーワード:グリア細胞、シナプス伝達、細胞内イオン濃度、脳虚血、てんかん
技術キーワード:光遺伝学、オプトジェネティクス、電気生理学、急性脳スライス標本、二光子イメージング
私たちが追究するテーマは、
「心とは何か」という問いです。
デカルトはひとつの答えを提供しています。我思うゆえに我
有り。では、他者の心の存在を実感することは可能でしょう
か。他者の心は、わずかに、言葉や行動といった筋肉の動き
を通して、窺い知ることができるだけです。筋肉の動きを支
配しているのは神経ですから、神経の塊である脳にこそ心が
宿ると考えられて、脳科学は進んできました。ところが、脳
をよく見てみると、神経とは異なるグリア細胞という細胞が
あり、グリアのほうが、神経より数も多く容積も大きいこと
が分かってきました。最近の私たちの研究から、グリアは神
経の活動に細かく反応していることが分かりました。また、
細胞の活動を光で制御できる分子をグリアに発現させ、グリ
Figure 1 生きているマウスの脳内グリア細胞を光操作
アだけを光刺激すると、神経に情報が伝わることも示されま
した。そして、生きているマウスの頭部に光ファイバーを刺
しこんで、運動を調整する働きを持つ小脳のグリア細胞を光
刺激すると、瞳孔が開き眼球運動が変化する、などの効果が
表れました。つまり、グリアは、神経を通して筋肉の活動を
左右しているのです。この他、マウスに麻酔薬を投与すると、
神経の活動はほとんど影響を受けないのに、グリアの活動が
強力に抑制されるという報告もあります。麻酔によって、選
択的に失われるのは何か。意識です。心のもっとも重要な機
能のひとつである意識に、グリアは影響しているのかもしれ
ません。
Figure 2 グリア光操作による脳虚血性ダメージの抑制
OB・OG の主な進路
大学教員、ポスドク研究員、臨床医
担当教員より進学志望者へのメッセージ
少数精鋭で最先端脳科学、つまり誰もやったことのないテーマに挑戦しています。だから予備知識は要りません。必要なのは、論理的思考とほんの少
し器用であることです。
新医学領域創生分野(脳コア)
97
副作用のないがん特異的抗体の開発を目指して
地域イノベーション
医科学専攻
加藤 幸成
修士課程
教授
Regional Innovation
Yukinari Kato
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med-tohoku-antibody.com/index.htm
連絡先
TEL022-717-8207
[email protected]
この分野の研究テーマ
・革新的次世代型がん特異的抗体の開発とその臨床応用
・動物細胞発現系によるタンパク質生産と、抗体工学を用いた高難度抗体作製
・高精度腫瘍認識抗体を利用した治療機器開発
研究キーワード:ポドプラニン、クレック 2、PA タグ、IDH、キャスマブ
技術キーワード:がん特異的抗体、糖鎖生物学、治療機器開発、モノクローナル抗体、抗体工学
従来の抗体医薬開発では、がん細胞 / 正常細胞比が高い抗
原が標的とされています。よって、がん細胞に高発現してい
ても、正常組織にも発現していると、抗体医薬の開発は断念
されました。そこで本研究室では、がん細胞と正常細胞に同
一のアミノ酸配列の膜タンパク質が発現している場合、糖鎖
などの翻訳後修飾の違いを利用し、がん細胞のみに反応する
抗体医薬品を作製する CasMab(キャスマブ)法を開発しま
した。この手法により、開発が断念されていた標的に対して
も、新たに抗体医薬品を開発することができます。しかも、
新規の標的に対する抗体医薬の開発だけでなく、既存の抗体
Figure 1 様々ながん細胞に高発現するポドプラニン
医薬品を副作用のほとんどない抗体医薬品に置き換えること
が可能となりました。また、悪性脳腫瘍や悪性中皮腫のよう
な、全く治療法の開発されていない難治性のがんに対する抗
体医薬を開発することが可能となります。すでに我々は、ポ
ドプラニンに対する CasMab の開発に成功しており、ポドプ
ラニンがリンパ管や肺胞上皮細胞のような正常細胞にも高発
現しているにも関わらず、ポドプラニンが高発現するがんを
治療することができます。本研究室では、複数の標的に対し
て CasMab を開発していきます。
Figure 2 がん特異的抗体の開発
OB・OG の主な進路
製薬メーカー研究員、公立病院医師、国立大学研究員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
国家プロジェクトを中心に運営している研究室ですが、世界で唯一の抗体医薬品の開発を目指しています。基礎研究から臨床応用まで、幅広く研究を
行うことが可能です。
98
地域イノベーション
病態モデル動物の開発を通じて各種疾患のメカニズムを
解明し、予防・診断・治療法創出に貢献する
医用動物学
医科学専攻
三好 一郎
修士課程 / 博士課程
教授
Laboratory Animal Medicine
Ichiro Miyoshi
Professor, D.V.M. Ph.D. DJCLAM
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/medical/18/
index.html
連絡先
TEL
022-717-8174, 8175
[email protected]
この分野の研究テーマ
・Reverse/Forward Genetics による疾患関連遺伝子の同定・機能解析
・発生工学的手法を用いた遺伝子組換えモデル動物の開発
・細胞表面糖鎖機能の個体解析モデルの開発
研究キーワード:病態モデル医学、遺伝子組換え動物、疾患関連遺伝子、発生工学、細胞表面糖鎖
技術キーワード:遺伝子組換え動物、発生工学、ゲノム編集、動物実験
私達の研究室では、遺伝子組換え動物を作製・解析するこ
とによって遺伝子(産物)の機能を明らかにすると同時に、
研究や診断、治療に有用なモデル動物を開発している。雌性
生殖器に特異的に発癌するトランスジェニックマウスは、発
表から 10 年経過した現在でもしばしば国外から分与を求め
られる。また、スフィンゴ糖脂質 (GSLs) が発生初期だけで
なく個体の維持に不可欠であることを証明した遺伝子組換え
マウスは、血糖調節と GSLs 合成調節の関係を示唆し、脂肪
組織の慢性炎症と免疫機能のバランスの破綻の観点から新
Figure 1 動物実験施設の SPF 動物飼育室
たな血糖調節モデルとしての可能性を示しつつある。一方、
遺伝性白内障マウス、および Wilson 病モデル LEC ラット、
Menkes 病モデルマウス、腎不全自然発症マウス、甲状腺機
能低下症マウスなど自然発症ミュータントの疾患原因遺伝子
の同定およびその変異の解析、発症機構の解明、正常遺伝子
導入による回復あるいは変異遺伝子導入による再発症などの
研究を実施している。今後もこの方向性を維持し、さらに鳥
瞰する視点から新たな動物実験系およびオミクス解析などの
手法を開発研究したい。
Figure 2 mOGP-Tag トランスジェニックマウスの卵巣腫瘍
医用動物学
99
世界をリードする研究医から地域医療を担うリーダーまで
幅広いキャリア形成を育む医学教育を目指して
医学教育推進センター
加賀谷 豊
教授
Office of Medical Education
Yutaka Kagaya
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.meduc.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8508
[email protected]
この分野の研究テーマ
・医療シミュレーション・トレーニングを活用した効果的な学習プログラムの開発
・医学教育アウトカム評価法としてのカルテピアレビューシステムの確立
・卒前教育が医学科学生の進路選考に及ぼす影響の質的研究
研究キーワード:研究医育成、シミュレーション教育、アウトカム評価、進路選考
技術キーワード:カリキュラム開発、患者シミュレータ、ピアレビュー、質的研究
世界をリードする研究医、先進的医療機関における指導的
医師など本学を卒業する学生のキャリアは多岐に渡る。医学
教育推進センターは、学生と卒業生が広い視野と探究心を保
ち、主体的にキャリア形成を行えるよう先進的な教育プログ
ラムの開発を行う。
文科省 GP:世界で競い合う MD 研究者育成プログラム
我が国で顕著に減少している基礎医学における MD 研究
者を目指す医学生の育成を図る。医学科 3 年次の研究室配
属に引き続いて研究継続を支援する研究成果展開コースに加
え、1 年次から研究を始める学生をサポートする研究アプレ
ンティスコースを設置した。
新しいシミュレーション医学教育プログラムの開発
クリニカル・スキルスラボのシミュレータを活用し、救急
Figure 1 医学教育推進センターの使命
100
医学教育推進センター
あるいは心臓診察に関する先進的な学習プログラムを開発す
る。単なるシミュレータの利用に留まることなく、充分なア
ウトカムを得ることを目指す。
医学教育アウトカム評価法としてのカルテピアレビューシス
テムの確立
医学教育の長期アウトカム評価をカルテピアレビューに
よって行う試みであり、今までの研究から充分な信頼性が得
られている。今後は妥当性の評価を試みる。
卒前教育が医学科学生の進路選考に及ぼす影響の質的研究
臨床医学の特定の領域および基礎医学を志向する医学生の
減少は深刻な問題である。そこで卒前教育が医学科学生の卒
後の進路選考に及ぼす影響を質的研究により分析する。
Figure 2 世界で競い合う MD 研究者育成プログラム
ヒトから知るゲノムインプリンティング機構と進化
情報遺伝学
医科学専攻
有馬 隆博
修士課程 / 博士課程
教授
Informative Genetics
Takahiro Arima
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.ob-gy.med.tohoku.ac.jp/laboratory/t-arima.html
/ http://www.med.tohoku.ac.jp/org/egrc/169/index.html
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7844
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・ヒト胎盤発生・分化・がん化・進化の分子機構の解明と哺乳類の進化に関する研究
・ゲノムインプリンティング現象の分子機構の解明
・ヒト生殖補助医療(ART)とインプリンティング異常症の関連性についての研究
研究キーワード:ゲノムインプリンティング、エピジェネティクス、胎盤、哺乳類の進化
技術キーワード:DNA メチル化、ヒストン修飾、RNA-Seq
エピジェネティクスとは、DNA 塩基配列の変化を伴わず
に次世代へ受け継がれる遺伝情報を指す。DNA メチル化や
ヒストン修飾等がゲノムのエピジェネティックなマークであ
る。我々はエピジェネティクスが関わる生命現象の一つ、ゲ
ノムインプリンティングを研究対象としている。ゲノムイン
プリンティングは動物では有胎盤哺乳類でのみ見られる現象
で、配偶子形成過程において確立する卵子特異的・精子特異
的な DNA メチル化がその正体とされている。ゲノムインプ
リンティング異常は不妊、不育症、先天的な子どもの病気、
がんなど多くの疾患に関わっており、我々の研究は生殖補助
医療をはじめとする医学の発展に大きく貢献すると考えてい
る。
最近我々が特に注目しているのは胎盤である。ゲノムイ
ンプリンティングが有胎盤哺乳類にしか見られないことか
ら、この現象は胎盤の獲得と関連して進化してきたと考えら
れている。また胎盤におけるゲノムインプリンティングには
DNA メチル化が関与しないなど、この組織だけのユニーク
なエピジェネティック制御も見られる。したがって胎盤研究
はゲノムインプリンティングの進化の解明につながると期待
している。
Figure 1 ヒト卵子のメチル化(初期化)は、不完全である
OB・OG の主な進路
東京農業大学 特任准教授
担当教員より進学志望者へのメッセージ
我々は、共に研究に取り組みたい!という熱意ある学生をいつでも待っています。興味を持たれた方は遠慮なくご連絡ください。ただし研究は辛く険
しい道。進路選択は慎重に。
情報遺伝学
101
分子、個体、社会のすべてを考慮した全人的医療を、
分子疫学的手法を用いて実現。疫学を益学にする。
分子疫学
(環境遺伝医学総合研究センター)
栗山 進一
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
教授
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/egrc/170/index.html
Molecular Epidemiology
Shinichi Kuriyama
Professor, M.D. Ph.D
連絡先
TEL022-717-8104
[email protected]
この分野の研究テーマ
・生活習慣病、特に肥満とがんの分子疫学的研究
・神経疾患、特に自閉症スペクトラム障害の成因解明研究
・ゲノムコホートの在り方と精密医療の実現に関する研究
研究キーワード:分子疫学、肥満、がん、自閉症スペクトラム障害、ゲノムコホート
技術キーワード:家系付前向きコホート研究、出生三世代コホート研究、ピリドキシン関連疾患研究、バイオバンク、
リスク予測と病態解明
医学は一律のものから、個々人の体質等を考慮し、より個
人に最適化されたものとなってきています。これは精密医療
(precision medicine)
あるいは個別化予防・医療
(personalized
healthcare and medicine)と呼ばれ、現代医学の大きな柱を
形成しています。分子疫学では精密医療を実現すべく、ゲノ
ムコホート研究をわが国で数多く手がけています。
1.精密医療実現のためのゲノムコホート在り方研究:
患者コホート、住民コホート、出生コホートと発展してき
たコホート研究の最先端として、出生三世代コホートを開発
しています。これは遺伝要因、胎内からの環境要因と疾病と
の関連を捉え、疾病のリスク予測と先制医療を行なおうとす
るものです。この成果から、当該疾病に対する新たな治療法
東北メディカル・メガバンク
ゲノム医療の目指すもの
三世代コホート調査と「近未来の医療」
病気
これまでの医療
いつ病気になるか
予測できない
一律の医療
・アトピー性皮膚炎(5歳)・・・約15%
・気管支喘息(10歳)・・・・・・・約10%
・高血圧(50歳)・・・・・・・・・・・約50%
・糖尿病(60歳)・・・・・・・・・・・約20%
・がん(生涯)・・・・・・・・・・・・・約50%
イラスト製作 橋本さと子
治らない
人
治る人
の開発も視野に入れています。出生三世代コホートに加え、
環境省のエコチル調査、静岡県掛川市におけるゲノムコホー
ト研究(掛川スタディ)も行っています。
2.神経疾患、特に自閉症スペクトラム障害の成因解明研究:
特に出生三世代コホートを活用し、自閉症スペクトラム障
害の成因解明と新たな治療法の開発を行っています。特に、
一部の自閉症スペクトラム障害障害をもったお子さんでは、
ビタミンB 6 に反応する子どもがいることを突き止め、この
ビタミンB 6 反応性も、疾病原因の解明に活かしています。
3.生活習慣病、特に肥満とがんの分子疫学的研究:
ゲノムコホート研究によって、特に肥満とがんの原因解明
と治療法開発を行っています。
・アトピー性皮膚炎の慢性化・重症化・・・約10%
・気管支喘息の慢性化・重症化・・・・・・・・約5%
・高血圧の慢性化・重症化・・・・・・・・・・・・約30%
・糖尿病の慢性化・重症化・・・・・・・・・・・・約10%
・がんの慢性化・重症化・・・・・・・・・・・・・・約33%
コホート研究、バイオバンクはどのような役に立つのか
 病気の予測(健康予報)と先制医療:個別化予防
リスク予測式の構築・検証・介入等から個人に最適な予防・治療方法の確立
リスク予測式例:
喘息
この子は生涯健康でいてほしい。
いろいろなリスクはあるけれど・・・
食物
アレルギー
体質
※ゲノム情報は、候補遺伝子変異、SNP、全ゲノムなど
体質
近未来の医療
例えば
軽快
治癒
高血圧
・・・・1%
1%
アトピー性
皮膚炎
花粉症
ln((1-p)/p)=a1(環境)+a2(本人ゲノム情報)+a3(母ゲノム情報)+a4(父ゲノム情報)
+a5(兄姉ゲノム情報)+a6(祖父母ゲノム情報)+・・・
父母や祖父母の体質に合った
最適な予防法・治療法
この子の体質に合った
最適な予防法
高血圧慢性化
・・・・0%
この子の体質に合った
最適な治療法
 治療の最適化:個別化医療
 新たな治療法の開発
リスク予測式の構築・検証とともに、関連塩基配列部位から共同研究等による機能解析等
を経て責任塩基配列部位を同定し、新たな治療法を開発。環境要因を考慮しなければ、責
例えば
イラスト製作 橋本さと子
アトピー性皮膚炎
・・・・1%
軽快
治癒
アトピー性皮膚炎
慢性化・重症化
・・・・0%
任塩基配列部位の同定は困難
何が伝わったか
何が伝わらなかったか
「親子の遺伝」や「隔世遺伝」から
この子の体質をしっかりとらえる
病気になってしまったら…
Figure 1 三世代コホートと近未来の医療
1
Figure 2 ゲノム医療の目指すもの
OB・OG の主な進路
分子疫学研究者、企業研究者、臨床・実地医療関係者
担当教員より進学志望者へのメッセージ
本教室はわが国のゲノムコホートに最も多く関わっている教室のひとつです。本教室ではゲノムコホート運営の実務と成果創出の両者から、世の中に
貢献できることと思います。
102
分子疫学
化学物質曝露と子どもたちの発達との関わりを明らかにする
〜子どもたちがすくすく成長できる環境のために〜
発達環境医学
医科学専攻
仲井 邦彦
修士課程 / 博士課程
教授
Development and Environmental Medicine
Kunihiko Nakai
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.dem.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8950
[email protected]
この分野の研究テーマ
・胎児期の化学物質曝露と子どもの成長と発達に関する出生コホート調査による検証
・メチル水銀、鉛および難分解性有機汚染物質の曝露影響の疫学的な検証
・東日本大震災後の津波汚泥による環境汚染と放射性物質による水系汚染モニタリング
研究キーワード:行動倚形、化学物質曝露、メチル水銀、リスク評価、トビケラウォッチ
技術キーワード:出生コホート調査、リスク分析、知能検査、発達検査、環境調査
環境由来の化学物質であるメチル水銀、鉛や PCB などの
残留性有機汚染物質による胎児期・新生児期の曝露により、
子どもたちの発達の遅れなどが指摘されている。このため
我々は、東北地方で出生コホート調査を 2001 年に開始し、
子どもたちの成長を追跡している。また、環境省の「子ども
の健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)
」宮城ユニッ
トセンターに参画し、大規模コホート調査に協力している。
その中で、子どもたちの神経行動学的発達や注意欠陥多動性
障害などの問題行動に着目した調査を進めている。
化学物質のうち、メチル水銀や PCBs は、魚摂取を介して
人体に取り込まれる。しかし、魚は子どもの発達に必須と考
えられているオメガ 3 脂肪酸の重要な食材であり、魚摂取に
Figure 1 魚摂取のリスクとベネフィット
はリスク(化学物質曝露)とベネフィット(栄養摂取)の両
面性がある。化学物質の曝露を低減するには魚摂取を減らす
ことが有効であるが、それでは栄養素の不足を招くリスクの
トレードオフが発生する。リスクとベネフィットのバランス
が重要と考えられ、そのためのリスクコミュニケーションに
取り組んでいる。
我々は上記の調査を太平洋沿岸部で実施してきたが、その
調査地域は東日本大震災により多大な損害を受けた。このた
め被災地にて津波汚泥による環境汚染に加え、放射性物質に
よる水系汚染の環境調査を開始し、水生昆虫を用いた生物学
的モニタリング法を開発し縦断的調査を進めている。
Figure 2 臍帯血 PCB は 3 歳半男児の知能低下と関連
OB・OG の主な進路
大学教員(栄養系および教育系講座)、大学病院職員、財団法人研究職、地方自治体公務員(管理栄養士)
担当教員より進学志望者へのメッセージ
環境要因が起因した子どもの健康影響は、原因が特定されれば予防が可能となる。未来の子どもたちがすくすく育つ環境を作ることを目指している。
発達環境医学
103
子どもたちの健全な成長と発達を見守る!
〜エコチル調査と小児内分泌疾患の研究〜
小児環境医学
医科学専攻
藤原 幾磨
修士課程 / 博士課程
教授
Pediatric Endocrinology and Environmental Medicine
Ikuma Fujiwara
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.egrc.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-7577
[email protected]
この分野の研究テーマ
・骨形成不全症における遺伝子解析と新たな原因遺伝子の解明
・骨形成不全症患者の新たな治療法の確立
・小児内分泌疾患、糖尿病、骨系統疾患の臨床研究
研究キーワード:小児内分泌、骨系統疾患、糖尿病、骨形成不全症、1 型コラーゲン
技術キーワード:遺伝子解析、骨密度、薬物療法
2015 年に新たに環境遺伝医学総合研究センターに設置さ
れた分野です。エコチル調査の医学的検査を担当しています。
また小児内分泌疾患、糖尿病および骨系統疾患の臨床研究
と、遺伝子解析を主とした基礎研究を行っています。骨系統
疾患のうち骨形成不全症では、これまで薬物療法の有効性に
ついて報告しており、現在は新規治療薬の臨床試験が進行中
です。
骨形成不全症患者における遺伝子解析では、1 型コラーゲ
Figure 1 骨形成不全症の病態
ン遺伝子変異とビスフォスフォネート治療効果との関連につ
いて検討しています。その中で、骨密度の改善度においては、
遺伝子変異の種類により治療効果には差を認めないことを明
らかにしました。
患者のうち 1 型コラーゲン遺伝子に変異を認めないものが
20% 前後おり、現在全エクソームシークエンス法を用いて 1
型コラーゲン以外の原因遺伝子解明に努めています。
Figure 2 骨形成不全症でのパミドロネート治療効果
担当教員より進学志望者へのメッセージ
健全な成長と発達は、小児において大切なことです。小児内分泌学は成長・発達に重要であり、子どもたちに寄与することができる非常に興味深い学
問です。
104
小児環境医学
CT・MRI を使用した死亡時画像撮影・診断により、
詳細な死因究明のサポートと個人識別の正確率向上を目指す
オートプシー・イメージングセンター
石橋 忠司
教授
Autopsy Imaging Center
Tadashi Ishibashi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.ai.med.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL022-717-7481
[email protected]
この分野の研究テーマ
・異常死体の死後画像所見の分析
・死後画像を使用した現代人における人類学的個人識別方法の確立
研究キーワード:法医学、放射線診断学、死因、個人識別
技術キーワード:コンピュータ断層撮影、核磁気共鳴画像、法医解剖、人類学的計測
当センターでは、宮城県警察と法医学分野との連携によ
り、異状死体に対する死後 CT 画像が、法医解剖をどの程度
補完し、また解剖の代わりとなりえるのかという立場から、
2009 年 5 月から法医解剖前 CT 検査を開始し、2014 年 9 月
までに 1,000 件以上の事例について検査を行ない、死後画像
の撮影、およびその読影を行っています。X 線が発見された
19 世紀末、すでにその画像が法医学的に応用されていまし
たが、CT などは当然開発すらされていない時代でしたので、
内部に残存する弾丸や成傷器(凶器)断端などの異物を検出
することが主な目的でした。それから 100 年以上が経過し、
全世界でも、人口あたりの CT の設置台数が最大の我が国で
Figure 1 頭蓋骨骨折の 3D 画像
は、先進国の中でも低い解剖率を補完する目的もあり、CT
など使用した放射線診断による死因究明とその補助、いわゆ
る「オートプシー・イメージング」の概念が近年普及してき
ました。
我々はこれまでに、前述したような体内に遺存した成傷器
先端部はもちろんのこと、解剖前に肺結核のような感染症で
あることを知らせて注意を喚起することで死後画像の有用性
を報告し、低体温症(凍死)に特徴的な画像所見や、溺死体
の肺にみられるパターンの分析、または骨盤部の CT 画像を
用いた性別判定法などについても論文発表を行っています。
Figure 2 骨盤部の多発骨折
OB・OG の主な進路
医療機器メーカー社員、国立病院診療放射線技師、大学教員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
法医学・放射線診断学、共に興味ある方は、ご連絡下さい。
オートプシー・イメージングセンター
105
東日本大震災からの地域医療復興に向けて
総合地域医療研修センター
張替 秀郎
教授
Comprehensive Education Center for Community
Medicine
Hideo Harigae
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.ctc.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8010
[email protected]
この分野の研究テーマ
・被災地の医療人材の受け入れと高度医療人としての再教育
・新たな災害医療学の確立と地域・災害医療に携わる人材の養成
・医学部定員増に係る医学教育重点プログラムの実施
研究キーワード:地域医療、災害医療、復興
技術キーワード:スキルスラボ、先端医療技術、救急、漢方、病理
2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は、東北地方太
平洋沿岸部の医療機関にも大きな被害をもたらしました。震
災直後の 4 月初旬に宮城県医師会が行った調査によると、宮
城県内の公的病院 6 施設が壊滅的被害を受け、600 床近くが
宙に浮いた状態になりました。
特に被災した医療機関においては、仮設診療所での診療を
余儀なくされ、病床数も減少し、常勤医の離職が進行しまし
た。この深刻な事態に直面して、多くの病院・医療関係者・
自治体が各病院の再建・修復、医療系スタッフの雇用確保に
取り組まれました。
Figure 1 漢方研修会
OB・OG の主な進路
医師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
学内外の医療人を対象に各種講習会・研修会を行っています。
ホームページをご覧いただき、ぜひご参加ください。
大学院学生の募集は行っていません。
106
総合地域医療研修センター
被災地で、地域に密着して医療に従事されてきた有為な人
材の流失や過重労働、燃え尽きを防ぐためには、医療職を確
保するとともに、人材交流・循環を促し、医療レベルの向上
を図り、再教育された高度医療人を効率的に地域に還元する
必要があります。
東北大学では、「総合地域医療研修センター支援プロジェ
クト」を立ち上げ、循環型医療人の生涯教育並びに派遣シス
テムを構築することにより、被災地の医療人の流失を阻止し、
地域全体の医療レベル向上を図り、以て東北の地域医療復興
に貢献したいと考えています。
Figure 2 出張スキルラボ
がんの基礎研究から臨床試験まで、
医療ネットワークで地域がん医療を支える
地域がん医療推進センター
森 隆弘
教授
Tohoku Community Cancer Services Program
Takahiro Mori
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-717-7087
[email protected]
この分野の研究テーマ
・地域連携ネットワーク構築によるがん医療の社会的基盤の整備
・がんの分子生物学研究による新たなターゲット分子の同定
・がん免疫の基礎的臨床的研究による新たながん治療法の開発
研究キーワード:がん医療の地域連携、がんの分子生物学研究、がん免疫研究
技術キーワード:医療連携、分子生物学、がん免疫
専門医療人の人材交流、臨床試験や遺伝子診断などの最新
の診断技術の提供、患者会・がん相談・緩和医療のネットワー
クの体制を整備・推進する目的で地域がん医療推進センター
が設立されました。宮城県のがん医療の特徴・問題点を検討
していくと、高齢化社会、がん医療資源の都市部集中など、
まさに日本全体の縮図と言えるのでは無いでしょうか。この
Figure 1 食道癌での遺伝子異常
ように宮城県をモデルとして、地域がん医療の再生を図るこ
とで、日本全体のがん医療の問題を解決する方策を見いだす
ことが可能かもしれません。東北大学に地域がん医療推進セ
ンターを設置し、地域医療機関との間で人的・知的ネットワー
クを開発・形成することは、 このような点から意義のあるこ
ととが考え、活動を続けております。
Figure 2 臨床試験中に出現した肺癌の空洞化
地域がん医療推進センター
107
未来の地域医療の舞台を作りつつ、未来を担う地域医療人材
を育成
総合地域医療教育支援部
医科学専攻
石井 正
博士課程
教授
Education and Support for Community Medicine
Tadashi Ishii
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.hosp.tohoku.ac.jp/departments/3207.
html
連絡先
TEL022-717-7587
[email protected]
この分野の研究テーマ
・地域医療、災害医療、総合診療、漢方医学、その他臨床上の疑問に関する臨床研究
研究キーワード:地域医療、災害医療、総合診療、漢方医学、臨床研究
技術キーワード:漢方薬、情報通信技術、アンケート調査、地域医療施設、教育プログラム
東日本大震災後の被災地医療,地域医療,総合診療,漢方
などに関わる研究を進めています。
①東日本大震災の経験を踏まえて、大規模災害時に分散す
る多数の避難所の健康維持に必要な情報をスマートフォン等
のデジタルデバイスを用いて収集する、
『モバイル・アセス
メントシステム』を開発しています。
②東日本大震災の被災地である岩手県宮古市田老地区の震
災前後の疾病構造等について調査・研究を行っています。
③もともと医師不足である東日本大震災後の被災地におけ
る地域医療研修は、研修医への教育効果が極めて高いと考え、
「臨床研修制度における被災地での地域医療研修の実態調査」
を現在行っています。
④食道アカラシアと診断された症例の 10%に精神科通院
歴がある。地域医療機関と共同で、神経性食欲不振症 (AN)
患者のうち『地域に潜在する食道アカラシア症例抽出のため
の基礎的研究』を進めています。
⑤高齢者の急増している地域医療・医療過疎地では慢性腎
臓病(CKD)の管理は重要である。『CKD における経口アル
カリ性化剤による腎保護効果の検証』を腎高血圧内分泌科と
東北メディカルメガバンク機構と共同研究し腎保護薬を開発
中です。
⑥漢方は地域医療の現場で様々な疾患に利用されていま
すが、臨床的エビデンスの構築はいまだ不十分です。当部で
はこれまでに漢方に関する臨床研究を数多く報告してきまし
た。今後も『漢方医学の新しいエビデンスの構築』に協力し
ていきます。
Figure 1 スタッフの集合写真
担当教員より進学志望者へのメッセージ
東北地区の地域医療を支えてきた本学の伝統を生かし、地域と強く連携した実学的な臨床研究を行うことができます。加えて学位だけでなく、家庭医
療専門医の取得も可能です。
108
総合地域医療教育支援部
ストレス関連疾患の病態解明と新たな治療法開発に向けて、
心身両面にアプローチする最先端の研究を展開する
心療内科
医科学専攻
福土 審
博士課程
教授
Psychosomatic Medicine
Shin Fukudo
Professor, MD. Ph.D.
分野ウェブページ
http://square.umin.ac.jp/thkpsm/index.htm
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7326
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・脳腸相関の全体像を多面的手法によって明らかにし、消化器心身症の本質に迫る
・脳機能画像の手法を用いて摂食障害の発症と維持にかかわる神経機構を解明する
・ストレス関連疾患の心療内科的治療を改良、発展し、革新的な神経調節技術に挑戦する
研究キーワード:心療内科、ストレス関連疾患、機能性消化管障害、脳腸相関、摂食障害
技術キーワード:消化管内圧検査、バロスタット、脳機能画像、認知行動療法、神経制御
心身症と身体症状を伴う精神疾患はストレス関連疾患と総
称されます。東北大学病院心療内科はストレス関連疾患の実
証的な研究と診療に取り組んでおり、特に過敏性腸症候群や
機能性ディスペプシア等の機能性消化管障害と、神経性やせ
症を中心とした摂食障害の研究に力を入れています。
機能性消化管障害は脳と消化管の緊密な関係、すなわち
脳腸相関がストレスにより攪乱される疾患で、一般的な消化
管検査では検出できない機能異常があります。当科では内圧
検査による運動機能測定、バロスタットによる知覚機能測定
を実施しており、バイオマーカー、遺伝子多型解析、大脳誘
発電位、脳機能画像、疫学調査など多面的手法で病態解明
に取り組んでいます。代表的な業績としては Corticotropin-
Figure 1 過敏性腸症候群患者の小腸 ・ 大腸内圧波形
Releasing Hormone が大腸の運動・知覚機能に与える影響の
解明が挙げられます。
神経性やせ症はやせ願望・肥満恐怖からやせ細り、病識に
乏しく治療に抵抗する、治療困難な疾患です。脳機能異常の
存在は容易に推察できますが、その実態はまだまだ解明され
ていません。当科では PET によって患者の中枢ヒスタミン受
容体の異常、fMRI によって腹外側前頭前野の機能低下を報
告してきました。
こうして得られた知見をもとに薬物療法や、自律訓練、交
流分析、認知行動療法などの心理療法の改良、発展に取り組
み、さらに経頭蓋磁気刺激のような神経制御技術の研究も
行っています。
Figure 2 認知課題中の神経性やせ症患者の脳賦活不全
OB・OG の主な進路
大学教員、公立病院部長 • 科長、公立病院医師、私立病院医師、産業医、開業医
担当教員より進学志望者へのメッセージ
ストレス関連疾患こそ、21 世紀に激増し、専門家が必要になる上昇領域です。最先端の科学で心身相関の謎を解き明かし、人間的に充実した医業の
心療内科で楽しい臨床を。
心療内科
109
安全で質の高い薬物療法の提供およびエビデンスに基づいた
新たな治療法の確立を目指す
医療薬学
医科学専攻
眞野 成康
修士課程 / 博士課程
教授
Clinical Pharmaceutical Science
Nariyasu Mano
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.pharm.hosp.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7525
[email protected]
こ の分野の研究テーマ
・脂質代謝異常症患者体液中の異常胆汁酸の高感度分析法の構築
・臨床応用を目指した薬物及びその代謝物の血中濃度測定法の開発
・疾患時における薬物動態変動の解析と薬物療法の最適化に関する研究
研究キーワード:胆汁酸、治療薬物モニタリング、トランスポーター、微量生理活性物質
技術キーワード:臨床分析化学、メタボロミクス、薬物動態、遺伝子操作
コレステロールの代謝異常は、動脈硬化や心疾患、脳血管
障害の進展に深く関わっています。主代謝物である胆汁酸に
至る代謝経路に関与するいくつかの酵素に異常があると、特
異的な代謝中間体が蓄積します。また、肝胆道系疾患では、
血中の胆汁酸は異常高値を示すこと、およびそれらの胆汁酸
の大部分が、硫酸抱合型胆汁酸として尿中に排泄されること
が知られています。さらに、最近では胆汁酸と糖代謝や酸化
ストレスとの関連も指摘されています。そのため私たちは、
胆汁酸代謝物と各種疾患との関連を明らかにすることを目指
し、胆汁酸メタボロームの包括的変動解析システムの構築を
試みています。現在、LC/MS/MS を用いて肝胆道系疾患や脂
質代謝異常症などの患者の血液中や尿中の胆汁酸代謝物の組
Figure 1 コレステロール代謝と異常胆汁酸
成と濃度の特徴を調べており、疾病発症の機序解明や確定診
断法確立への応用を試みています。
また私たちは、TDM への臨床応用を目指し、HPLC や LC/
MS を駆使して薬物およびその代謝物の血中濃度測定法を開
発しています。代謝物を含む薬物の血中濃度は、患者の年齢、
性別、生活習慣、嗜好、基礎疾患や併用薬などの環境要因と
遺伝子多型のような先天的要因の結果として現れる最終表現
型を示しています。現在、抗がん薬、免疫抑制薬、抗生物質
等の代謝物を含めた分析法を構築し、臨床検体の測定を行う
とともに、各診療科と連携して薬物療法の適正化を目指した
研究を進めています。
Figure 2 臨床応用に向けた薬物血中濃度測定法の開発
OB・OG の主な進路
大学教員、公務員、製薬メーカー研究員、薬剤師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当研究室では、薬学研究科の関連する研究室および各診療科と連携しながら、基礎研究から臨床研究まで様々な研究を展開しています。ぜひ一緒にチャ
レンジしてみませんか。
110
医療薬学
わくわくする産業医学
産業医学
医科学専攻
黒澤 一
修士課程 / 博士課程
教授
Occupational Health
Hajime Kurosawa
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.doh.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-7874
[email protected]
この分野の研究テーマ
・Forced Oscillation による呼吸器疾患肺の評価
・睡眠時無呼吸のメカニズムとその評価
・化学物質過敏症の病態解明
研究キーワード:強制オシレーション法、睡眠時無呼吸症候群、産業医学、メンタルヘルス、呼吸生理学
技術キーワード:モストグラフ、CPAP、呼吸生理学
産業医学分野は 2010 年 4 月に誕生した新しい教室です。
ヘルスプロモーション、職場におけるメンタルヘルス、禁煙
対策や呼吸生理学などを幅広くカバーする教育、研究、診療
を行っています。
担当教員より進学志望者へのメッセージ
我々と研究をともにして学んでいただく大学院生について募集をしております。御興味のある方は是非ともお問い合わせください。
産業医学
111
診断病理・遠隔病理を軸とした臨床病理学的研究
病理部
笹野 公伸
医科学専攻
教授
Pathology
Hironobu Sasano
Professor, M.D.
博士課程
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-717-7440
[email protected]
この分野の研究テーマ
・遠隔病理組織診断
・臨床病理学的研究 ( 消化管、肝、内分泌腫瘍、前立腺癌など )
研究キーワード:遠隔病理診断、食道癌、GEP-NET、肝細胞癌、乳癌
技術キーワード:遠隔病理診断、バーチャル顕微鏡、免疫組織化学、デジタル画像解析、FISH
1.東北地方では病理診断に従事する病理専門医の不足が
深刻である。そこで東北大学病院病理部では、バーチャル顕
微鏡、遠隔テレビ会議システムを使用した遠隔病理診断と遠
隔診断システムの構築を行い、病理診断専門医が充足してい
ない地域への医療貢献を可能にする。
2.当病理部では、病理診断を行う病理専門医に加え、病
理学 / 内分泌代謝学研究に励む博士大学院生が多数在籍して
いる。複数の臨床科から大学院生が在籍しており、豊富な臨
床データをもとに臨床病理学的研究 を多く行っている。特
に、食道癌、神経内分泌腫瘍、前立腺癌、肝細胞癌、乳癌に
関する臨床に即した研究を精力的に行っている。また画
像解析ソフトを用いた形態学的、および免疫組織学的研究
にも力を入 れている。また
症例報告も多数行っている。
3.当教室は東北大学病院の病理部 ( 臨床科 ) であり、臨
床のニーズに応じた適切かつ迅
速な病理診断を行っている。また、病理専門医・細胞診指
導医などの専門資格の取得
を目的とし、病理医を志す研修医や若手医師を対象とした
教育行っている。
OB・OG の主な進路
川崎医科大学、大崎市民病院、仙台厚生病院、岩手医科大学
担当教員より進学志望者へのメッセージ
本分野では遠隔診断システムを利用して地域医療に貢献するとともに、豊富な臨床データを病理組織所見との対比を行うことで各種疾患の臨床病理学
的研究を進めています。
112
病理部
レドックス代謝・レドックス転写から加齢疾患へ
遺伝子発現制御
医科学専攻
本橋 ほづみ
修士課程 / 博士課程
教授
Gene Expression Regulation
Hozumi Motohashi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/ger/index.html
連絡先
TEL022-717-8550
[email protected]
この分野の研究テーマ
・がんの発生・進展におけるストレス応答機構の制御メカニズム
・造血細胞の老化におけるストレス応答機構の役割
・核内恒常性維持機構と遺伝子発現制御機構の機能的相互作用
研究キーワード:酸化ストレス応答、転写因子、代謝制御
技術キーワード:遺伝子改変マウス、メタボローム解析、フローサイトメトリー
高齢社会が到来した現在、がんや認知症などの加齢疾患の
克服は重要な課題です。加齢疾患の病態を理解するには、長
期にわたる外界からのストレスの大小という環境要因と、ス
トレスに対する防御機構の強弱という遺伝要因を考慮する必
要があります。私たちは、ストレスに対する生体防御を担う
遺伝子発現制御機構の解明を通して、加齢疾患の予防や治療
法の開発につながる新しい概念の創出を目指しています。
そのために私たちが最も注力しているのが、代表的な加齢
疾患である「がん」における転写因子 NRF2 の機能解析です。
NRF2 は酸化ストレス防御の鍵因子であり、私たちの健康を
維持する上で重要です。一方、私たちは、NRF2 ががん細胞
に治療抵抗性を賦与するとともに、がん細胞の代謝を改変す
ることで、その悪性化をもたらすことを見いだしました。そ
こで、現在は、がん細胞に特徴的な NRF2 機能メカニズムを
明らかにして、正常細胞の NRF2 機能には影響せず、がん細
胞の NRF2 機能のみを阻害するための分子標的を得たいと考
え、日々実験を行っています。
また、加齢の分子基盤の一つは、核内レドックスバランス
の攪乱がもたらすゲノム・エピゲノムの変化とそれに伴う遺
伝子発現の変化であると予想し、核内の恒常性維持機構の解
明という新しいフィールドの開拓を進めています。
Figure 1 NRF2 によるがんの悪性化と細胞増殖促進
OB・OG の主な進路
外科医、歯科医、JST CREST 博士研究員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
一心不乱に打ち込めるものを持っていますか?生命科学の世界に、自分のオリジナルな足跡を残してみませんか。
遺伝子発現制御
113
リンパ球と免疫レセプターの視点から自己と非自己の認識
機構および免疫記憶の維持機構を探るラボ
遺伝子導入研究
医科学専攻
高井 俊行
修士課程 / 博士課程
教授
Experimental Immunology
Toshiyuki Takai
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/expimmu/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8501
[email protected]
この分野の研究テーマ
・Fc レセプターなど B リンパ球の制御レセプターによる自己寛容と免疫記憶の維持機構
・SLE などの自己免疫疾患における自己寛容の破綻機構
・制御レセプターを利用したアレルギー・自己免疫疾患の治療法開発
研究キーワード:免疫制御、B リンパ球、免疫寛容、免疫記憶、レセプター
技術キーワード:遺伝子改変マウス、フローサイトメトリー、アレルギー・炎症解析、試験管内分化誘導、試験管内分子進化
私たちはアレルギー、自己免疫疾患などの原因となる免疫
の仕組みを分子細胞生物学的に研究しています。たとえば細
胞表面上のセンサーのひとつである制御受容体タンパク、Fc
γ RIIB や PirB(ヒトで LILRB と呼ばれる)の免疫制御機構
を解析しており、この分野で世界のトップを走っています。
PirB は MHC クラス I、つまり自己のマーカー分子を認識して
いることを解明しました。また B1 細胞による自己抗体産生
の制御にとりわけこの PirB が重要であることを解明しまし
た。さらに最近ではこれが神経の軸索の伸長を阻害するタン
パク因子群とも結合することが分かり、PirB/LILRB による制
御機構は単に免疫系にとどまらないことが示唆されました。
意外にも神経系の新規リガンドタンパク群、および LILRB の
Figure 1 図 1 Fc γ RIIB と SLAM 遺伝子群は隣接
未知のリガンドタンパクがヒト免疫系にも発現していること
が分かり、現在それらの同定を進めるとともに機能を調べて
います。また、制御受容体に対する結合活性を持つ、人工合
成したリガンドタンパクを In-Vitro Evolution 技術によって
開発し、その免疫系への影響を研究しようとしています。さ
らに、臨床系研究室との共同研究により、自己免疫疾患の免
疫細胞の特徴的な分化過程について、特に制御受容体を足
がかりに解析を進めています。私たちは今後も Fc γ RIIB や
PirB/LILRB などの制御受容体を介した免疫制御機構の全容を
解明し、この制御機構の利用による免疫病の克服に向けた研
究を展開して行きます。
Figure 2 図 2 Fc γ RIIB/SLAM129 の自己抗体産生
OB・OG の主な進路
大学等教育研究機関 研究職、製薬関連企業 研究・開発職、化学・食品関連企業 研究・開発職、医療関係企業 開発職、医師、薬剤師、臨床検査技師、
高等学校、短大等 講師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
独自のテーマに基づいて実験を独自に組み立て、その答えに一喜一憂する、苦しくも愉しい研究生活の中で、しっかり成長し次のステップに進むこと
のできる環境を提供します。
114
遺伝子導入研究
自己免疫疾患、がん、感染症などの疾患における NK 細胞と
T 細胞の機能の解明
生体防御学
医科学専攻
小笠原 康悦
修士課程 / 博士課程
教授
Immunobiology
Koetsu Ogasawara
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/imbio/
連絡先
TEL022-717-8579
[email protected]
この分野の研究テーマ
・自己免疫疾患やアレルギー
・がん、感染症に対する免疫監視機構
・ドレス NK 細胞
研究キーワード:NK 細胞、T 細胞、ドレス NK 細胞、T 細胞レパートリー
技術キーワード:イメージサイトメトリ、フローサイトメトリー、次世代シークエンス、発生工学、分子、細胞生物学
免疫系は、感染症や腫瘍などの疾患からの防御に役立って
いる。ナチュラルキラー(NK)細胞は、ウイルス感染細胞
および腫瘍の排除に重要な役割を果たしている。 NK 細胞の
機能は、活性化または抑制性受容体からのシグナルにより調
節される。我々の研究室では、NK 細胞および T 細胞上の活
Figure 1 NK 細胞のドレス現象による細胞死機構の発見
性化または抑制性受容体に焦点を当てて研究を進めてきた。
我々は、ウイルス感染、腫瘍免疫および自己免疫における
NK 細胞と T 細胞の標的細胞認識の基盤となる分子機構を追
究することを目指している。
Figure 2 金属アレルギーの原因となる T 細胞の発見
OB・OG の主な進路
国立大学教員、海外研究所研究員、国家公務員、製薬会社研究員、総合印刷会社研究員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
発見とは、
「誰も知らなかったことを世界で一番最初に知った。」ことを意味し、大いなる喜びと知的好奇心をくすぐります。我々と一緒に世界を相手
に勝負しましょう。
生体防御学
115
サイエンスを楽しみつつ、実力をつけよう!
基礎加齢研究
医科学専攻
堀内 久徳
修士課程 / 博士課程
教授
Molecular and Cellular Biology
Hisanori Horiuchi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/mcb/
連絡先
TEL022-717-8463
[email protected]
この分野の研究テーマ
・細胞内シグナリング研究(低分子量 G 蛋白質)
・自然免疫研究(好中球 NETs)
・血栓止血学研究(抗血小板療法、後天性フォンウィルブランド病)
研究キーワード:Ral、mTOR、好中球 NETs、蛋白質シトルリン化
技術キーワード:生化学、分子生物学、細胞生物学、マウス解析、VWF マルチマー解析
私たちの研究室は、公式には 2 名のスタッフと 1 名のベ
トナムからの国費留学生と私で構成されていますが、約 10
名ほどの学部学生が楽しく、真剣に研究に取り組んでいます。
夜の 9 時頃が一番活気があるかもしれません。基礎研究の内
容は細胞内情報伝達で、最近では低分子量 G 蛋白質 Ral のよ
く生成制御因子 RalGAP などを見つけて、その解析を行って
います。また、現在、細胞の栄養認知機構や、最近提唱され
ている新規の細胞死である好中球の NETs 放出メカニズムに
焦点を当てて研究しています。東北大学に着任してほぼ 6 年
ですが、いくつか今日にある知見を得ており、まとめていけ
Figure 1 寺子屋 /Ral の機能と制御機構
ればと考えています。現在我が国では 2 − 3 カ所しかできな
い、血栓止血に必須なフォンウィルブランド因子のある特殊
解析を、
「学生研究者」がすすんで構築してくれ、循環器疾
患に合併する後天性フォンウィルブランド病に関する研究を
全国的に展開できればと考えています。さて、研究室では「寺
子屋」と称し、医学部・生物系学部の学生対象に勉強会を開
催しています ( 詳しくはホームページをご覧ください。)「細
胞の分子生物学」の講義や、重要疾患の発症メカニズムや治
療法に関する「疾患のつかみ」などです。学生の皆さんの参
加を歓迎しています。
Figure 2 RalGAP
OB・OG の主な進路
国立大研究職(常勤)
、海外留学、一般病院勤務
担当教員より進学志望者へのメッセージ
興味を持ってくださる方は気軽に堀内までご連絡ください。近所の方はいつでも見学にどうぞ。自由で、楽しく、活気のある研究室です。
116
基礎加齢研究
代謝制御による加齢制御
代謝制御
医科学専攻
山本 徳男
修士課程 / 博士課程
教授
Metabolism
Tokuo Yamamoto
Professor, Ph.D
分野ウェブページ
http://www.idac.tohoku.ac.jp/ja/activities/
research/metabolism/index.html
連絡先
TEL022-717-8010
[email protected]
この分野の研究テーマ
・リポたんぱく質レセプターの分子機能
・脂肪酸活性化酵素の分子機
・Wnt による代謝制御
研究キーワード:コレステロール、動脈硬化、加齢、Wnt、肥満
技術キーワード:たんぱく質解析、遺伝子解析、生化学解析
カロリー制限が寿命を延ばすことは酵母から霊長類まで知
られている。カロリーの過剰摂取は肥満や高脂血症、耐糖能
低下などを含め、いわゆるメタボリックシンドロームの原因
となっている。本分野ではリポたんぱく質代謝を担うレセプ
ターや中鎖から長鎖脂肪酸や酢酸を活性化する酵素などの遺
伝子から機能解析、その異常や調節メカニズムの解明を行っ
てきました。これに加え、Wnt タンパ クによる糖や脂質の
調節に関する研究を展開しています。
OB・OG の主な進路
大学教員、企業研究員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
若さは才能。
代謝制御
117
頭先からお尻の先まで、
人工臓器があなたの身体を治します
心臓病電子医学
医科学専攻
山家 智之
修士課程 / 博士課程
教授
Medical Engineering and Cardiology
Tomoyuki Yambe
Professor, M.D., Ph.D.,
分野ウェブページ
http://mec1.idac.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8513
[email protected]
この分野の研究テーマ
・人工心臓、補助循環
・人工食道、人工括約筋
・てんかん制御、医工学
研究キーワード:全置換型人工心臓、植え込み式補助人工心臓、人工括約筋、人工食道、てんかん発作制御
技術キーワード:経皮エネルギー伝送、人工筋肉、ペルチェ素子
東北大学には、人工臓器研究、医工学研究の豊かな伝統が
あり、日本でただ一つの大学院医工学研究科が設置され、新
しい診断治療機器の開発が進んでいます。世界で最初の超音
波心臓断層法はこの研究室で発明されました。日本で最初の
体外設置型の補助人工心臓の長期生存は東北大学で成功しま
Figure 1 全置換型人工心臓
OB・OG の主な進路
各病院、医療機器メーカー
担当教員より進学志望者へのメッセージ
新しい医療機器の開発に興味がある方は是非遊びに来てください
118
心臓病電子医学
したが、この研究室で開発を進めたものです。最近ではロー
タリーポンプ型人工心臓の動物実験で世界最長レベルの生存
に成功し、日本でも製品化され、この程アメリカ市場にも進
出しました。
新しい医療は、東北大から生まれます
Figure 2 てんかん発作制御素子
血管からがんと老化を制御する
腫瘍循環研究
医科学専攻
佐藤 靖史
修士課程 / 博士課程
教授
Vascular Biology
Yasufumi Sato
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-717-8532
[email protected]
この分野の研究テーマ
・血管新生の制御
・血管老化の制御
研究キーワード:血管新生、血管老化、vasohibin
技術キーワード:分子生物、細胞生物、生化学、実験病理
本邦の死因の約 60 %は、病的血管新生を伴う癌と動脈硬
化を基盤とする心・脳の血管病で占められている。本研究分
野は、血管内皮細胞のバイオロジーに関する研究を基盤とし
て、癌などの病的血管新生と血管病の基盤を成す内皮障害の
双方を制御する、新たなストラテジー確立を目指す。具体的
Figure 1 VASH1 と VASH2 の染色体コード部位
には、血管新生の調節に関わる2つの Vasohibin ファミリー
分子、Vasohibin-1 (VASH1) と Vasohibin-2 (VASH2) を発見し、
それらの因子の病態との関連や治療応用の可能性についての
研究を展開している。
Figure 2 Vasohibin の遺伝子樹
OB・OG の主な進路
多くの卒業生は臨床に戻っているが、海外で PI として活躍している OB も居ます。
担当教員より進学志望者へのメッセージ
オリジナルな分子を手がかりにして人間の根源的な病態に挑む研究です。
腫瘍循環研究
119
染色体不安定性が生じるしくみとその発がん・
がんの進展への影響の解明 〜染色体の動きをとらえる〜
分子腫瘍学研究
医科学専攻
田中 耕三
修士課程 / 博士課程
教授
Molecular Oncology
Kozo Tanaka
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.idac.tohoku.ac.jp/dep/molonc
連絡先
TEL022-717-8491
[email protected]
この分野の研究テーマ
・がん細胞で見られる染色体不安定性の解明
・染色体不安定性によるがん化のメカニズムの解明
・細胞分裂期を標的としたがん治療の開発
研究キーワード:染色体不安定性、発がん、染色体分配、細胞分裂、がん治療
技術キーワード:ライブセルイメージング、細胞培養、免疫蛍光染色、タンパク質解析、遺伝子改変マウス
がんの本質は細胞の無秩序な増殖です。私たちの体も 1 個
の受精卵が 60 兆個に増殖 ( 分裂 ) してできますが、それぞ
れの細胞には 46 本の染色体が正しく受け継がれています。
一方がん細胞のほとんどでは染色体の数や構造の異常が見ら
れ、これは細胞分裂の際に染色体が正確に分配されないこと
(染色体不安定性)が原因で起こります。この染色体不安定
性は単なるがん化の結果ではなく、がんの発生や進展と密接
に関連しているのではないかと考えられますが、そのはっき
りしたしくみはわかっていません。私たちは染色体不安定性
がどのようにして起こるのかについて研究しています。染色
体が分配される様子はとてもダイナミックで、100 年以上に
わたって研究者を魅了してきました。私たちは先入観にとら
Figure 1 染色体が分配される過程
われず、顕微鏡で直接染色体の動きを観察し、そこからいろ
いろな仮説を立てて検証していくという姿勢を大切にしてい
ます。これまでに染色体分配に関係する分子 CAMP を発見
したり、核膜孔複合体の構成因子 Nup188 が染色体分配に関
係することを明らかにしたりしています。これらの研究にも
とづき、培養細胞やマウスを用いて染色体不安定性がどのよ
うにがんの発生と関係しているのかを明らかにすることを目
指しています。一方がんができるしくみを明らかにするだけ
でなく、染色体不安定性などのがん細胞の特徴をねらいうち
するような、新たながんの治療法の開発にも取り組んでいま
す。
Figure 2 CAMP 発現抑制細胞での染色体整列異常
OB・OG の主な進路
大学教員、製薬会社社員、試薬メーカー社員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
細胞が分裂する様子はとてもダイナミックです。百聞は一見に如かず、染色体が動く様子を直接見ていろいろな仮説を立てながら、一緒にがんの克服
を目指しましょう!
120
分子腫瘍学研究
細胞分裂制御や DNA 損傷応答の破綻がもたらすゲノムの
不安定性による発がんメカニズムの研究
腫瘍生物学
医科学専攻
千葉 奈津子
修士課程 / 博士課程
教授
Cancer Biology
Natsuko Chiba
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/cab/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8477
[email protected]
この分野の研究テーマ
・乳がん関連分子の細胞分裂の制御機構に関する研究
・がん抑制分子の DNA 損傷応答の制御機構に関する研究
研究キーワード:がん抑制遺伝子、細胞分裂制御、DNA 損傷応答、遺伝性腫瘍、中心体制御
技術キーワード:細胞培養、遺伝子操作、動物実験、生化学実験
がん遺伝子、がん抑制遺伝子の遺伝子変異の蓄積が、が
んを引き起こし、さらにはその悪性度を高めていくことが知
られています。私達はその遺伝子変異によって遺伝性乳が
ん・卵巣がん症候群を引き起こし、DNA 修復、細胞分裂制
御に関与する、BRCA1 の機能を解析しています。BRCA1 は、
2013 年に米国の有名女優が BRCA1 の遺伝子変異を持つため
に予防的乳房切除を受けたことを公表したことで、新聞やテ
レビでも大きく取り上げられました。中心体は、細胞の分裂
期に紡錘体極として機能し、染色体の均等な分配において重
要で、この機能の破綻は、染色体の欠失や過剰をもたらし、
遺伝子異常の原因になります。最近、私達は新規 BRCA1 結
Figure 1 BRCA1 の機能破綻による発がん
合分子 Obg‒like ATPase 1 (OLA1) を同定し、そのがん由来の
変異は中心体制御能に異常があることを明らかにしました。
また、私達はさまざまな DNA 損傷に対する BRCA1 の分子応
答を解析し、BRCA1 が DNA 修復因子をユビキチン化して制
御することを明らかにしました。私達はこれらに加えて、さ
まざまな腫瘍関連分子に着目した研究を展開しています。そ
れにより、発がんのメカニズムを解明するとともに、治療や
予防のための新たな標的分子や放射線や抗がん剤の感受性予
測因子を探索し、今後のがん治療において重要な個別化医療
の開発に貢献することをめざしています。
Figure 2 OLA1 は中心体や紡錘体極に局在する。
OB・OG の主な進路
製薬会社、医学系出版社
担当教員より進学志望者へのメッセージ
がん治療の臨床経験を生かして、細胞分裂制御や DNA 損傷応答の破綻がもたらすゲノムの不安定性による発がん機構を解明し、癌の治療法開発に貢
献する基礎研究を行います。
腫瘍生物学
121
新しいがん分子標的薬とバイオマーカーの開発の研究推進・
腫瘍内科医によるがん患者に優しいがん医療の提供
臨床腫瘍学(腫瘍内科)
医科学専攻
石岡 千加史
博士課程
教授
Clinical Oncology
Chikashi Ishioka
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.co.idac.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8543
[email protected]
この分野の研究テーマ
・新しいがん分子標的薬の開発
・新しいがん治療のバイオマーカーの開発
・がん薬物療法を含む包括的・集学的がん治療
研究キーワード:がん薬物療法、バイオマーカー、がん分子標的薬、腫瘍内科、がん治療
技術キーワード:網羅的遺伝子発現解析、遺伝子解析、DNA メチル化解析、臨床試験、橋渡し研究
臨床腫瘍学分野では、難治性癌の制御を目指したがんの薬
物療法開発や分子診断・分子治療の技術の開発を研究テーマ
に基礎的、臨床的研究に取り組んでいます。基礎的研究を臨
床の場に展開し(橋渡し研究)
、また臨床の場で明らかになっ
た問題点を基礎的に検討してゆく従来からの基本路線を継承
し、さらに、常に新しい研究手法を取り入れていく戦略を基
本としています。臨床腫瘍学分野は、東北大学病院において
は腫瘍内科として、様々な固形腫瘍の薬物療法の診療に携わ
Figure 1 PI3K と FK228 の結合 (Cancer Sci. 2012)
りながら(常時、20 名以上の入院患者や月 600 人以上の外
来患者の内科的治療を担当)、様々な臨床研究に取り組むと
ともに、将来的に社会的ニーズの高いメディカルオンコロジ
スト(腫瘍内科医)の育成を行っています。腫瘍内科学、特
に進行がんの薬物療法、集学的がん治療や緩和ケアに興味を
持ち、新しい診断法や治療法の開発に意欲雄のある若い人材
を歓迎いたします。
Figure 2 FK228 類縁体と PI3K 阻害(Cancer Sci. 2015)
OB・OG の主な進路
がん拠点病院腫瘍内科医師、大学腫瘍内科教授(臨床)、大学教授(基礎)、緩和ケア診療医、開業医、医薬品医療機器総合機構
担当教員より進学志望者へのメッセージ
腫瘍内科医を目指す若手医師の入局を期待しています。バイオマーカーや新規抗がん薬の開発、抗がん薬の至適投与法に関する研究など幅広く行って
います。
122
臨床腫瘍学(腫瘍内科)
基礎および臨床研究を通じて、肺癌の外科治療成績向上と
肺移植による呼吸不全患者の救命を推進します
呼吸器外科学
医科学専攻
岡田 克典
博士課程
教授
Thoracic Surgery
Yoshinori Okada
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/surg/index.html
連絡先
TEL022-717-8520
[email protected]
この分野の研究テーマ
・肺癌の研究
・肺移植の研究
・肺生理の研究
研究キーワード:肺癌治療標的遺伝子、虚血・再灌流性肺傷害、移植肺拒絶反応、肺高血圧症、肺の再生
技術キーワード:病理学的検索、生理学的計測、遺伝子解析、遺伝子改変動物、橋渡し研究
加齢医学研究所呼吸器外科学分野では、東北大学病院にお
いて呼吸器外科診療を行うとともに、肺癌、肺移植、肺生理
などに関わる基礎研究に取り組んでいます。肺癌は本邦にお
ける癌死因のトップであることからもわかる通り、罹患数の
非常に多い難治性癌の一つです。当科では、肺癌患者に対す
る外科療法に取り組むとともに、肺癌の治療標的遺伝子の研
究を通じて、肺癌患者の予後予測法、新規治療法の開発を目
指します。一方、肺移植は、終末期肺疾患に対する最終的な
治療法としてその有効性は確立していますが、臓器移植の中
Figure 1 研究成果の例
で最も難しいものの一つであり、虚血・再灌流性肺傷害、急
性・慢性拒絶反応など克服すべき課題が山積しています。当
科では、マウス、ラット、ブタなどの肺移植モデルを用いて、
これらの課題の解決に向けて様々な角度から取り組んでいま
す。また、移植免疫とは表裏の関係にある癌免疫の研究も開
始しました。このほか、肺移植適応疾患である肺高血圧症や
肺リンパ脈管筋腫症の病理学的研究、肺癌術後合併症である
誤嚥性肺炎の研究、さらに肺の再生の研究などを行っていま
す。
Figure 2 呼吸器外科研修プログラム例
OB・OG の主な進路
国立大学教授・教員、私立大学教授・教員、公立・私立病院院長、公立・私立病院呼吸器外科部長、スタッフ、大学・病院呼吸器外科以外の診療科(呼
吸器内科など)スタッフ、開業、大学・企業などの基礎研究者
担当教員より進学志望者へのメッセージ
基礎研究を通して未知の課題に挑み、新しい診断法、治療法の開発を目指すことで、広い視野と深い洞察力を兼ね備えた呼吸器外科医となることを目
指しましょう。
呼吸器外科学
123
物理的力刺激がどのように発生や恒常性維持に関与するかを
研究し、新たな治療基盤を開発しています
神経機能情報研究
医科学専攻
小椋 利彦
修士課程 / 博士課程
教授
Developmental Neurobiology
Toshihiko Ogura
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/devn/
連絡先
TEL022-717-8564
[email protected]
この分野の研究テーマ
・物理的刺激を生化学反応に変換するメカノトランスダクション機構の解明
・メカノトランスダクション機構を基礎としたエクササイズピルの開発
・形態形成の力学的再解釈と力刺激による代謝制御機構の解明
研究キーワード:物理的力刺激、遺伝子発現 、エクササイズピル、代謝制御 、力刺激受容タンパク質
技術キーワード:力学制御技術、遺伝子ノックアウト、分子生物学全般
生物が活動している間、身体の各組織には様々な物理的な
刺激が負荷されています。例えば筋肉や心臓には圧縮や伸展、
血管には血流によるせん断応力、骨には重力などが負荷され
ます。これらの物理的力刺激は、我々の器官や組織の恒常性
を維持するうえで非常に重要な役割を担っています。筋肉を
例に挙げると、運動不足で筋肉に負荷される物理的力刺激が
少なくなると筋量は減少し、反対にトレーニングなどによっ
て負荷される物理的力刺激が多くなると、筋量は増大し代謝
も改善されます。このような生命現象を惹起する物理的な刺
激のことを、我々はメカニカルストレスと定義し、物理的力
刺激に対する生体反応の分子機構の解明に挑んでいます。
メカニカルストレスがどのように生化学的/遺伝的反応
を起こすか、このメカノトランスダクション機構を解明する
ことによって、運動と同じ効果を引き起こす薬剤(Exercise
pill、Exercise mimetics)が可能となります。
我々は、この未踏の分野を探索し、複数の重要な因子を発
見して研究しています。
Figure 1 血流と心臓弁形成の密接な関係
OB・OG の主な進路
製薬会社、食品会社、教員、公務員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
工学研究者との共同研究を通して、力刺激を視点に新しい研究を展開しています。代謝、発生をこれまでにない新しい観点から考えたい方、是非おい
で下さい。
124
神経機能情報研究
脳と心の仕組みに画像で迫る ~人間の心の画像化とその
神経ダイナミクスを探る動物研究~
脳機能開発研究
医科学専攻
杉浦 元亮
修士課程 / 博士課程
教授
Functional Brain Imaging
Motoaki Sugiura
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.fbi.idac.tohoku.ac.jp/fbi/index.html
連絡先
TEL022-717-7988
[email protected]
この分野の研究テーマ
・脳可塑性を引き起こす神経ダイナミクスの探索
・人間の高次精神機能の神経基盤解明
・基礎脳科学研究成果の教育や福祉への応用
研究キーワード:イメージング、可塑性、知覚、認知、社会性
技術キーワード:磁気共鳴画像 (MRI)、脳磁図 (MEG)、小動物用 7T-MRI
ラットやマウスを使用した小動物イメージング研究、人間
の心の働きを画像化する脳機能イメージング研究、そしてそ
れらの研究成果を教育や福祉領域に応用することを目指した
社会技術研究まで、広範囲の研究を、医学、理学、生命科学、
工学、薬学、言語学、教育学、芸術学など、多彩な研究者が
精力的に展開しています。
小動物イメージング研究では、動物用 7T-MRI 装置を利用
したマクロレベルの脳画像解 析と、脳組織染色・遺伝子解
析を利用したマイクロレベルの解析を組み合わせて、運動・
認知介入後の脳可塑性メカニズムの解明に取り組んでいま
す。
Figure 1 運動介入後のラット脳局所灰白質体積変化
脳機能イメージング研究では、空間解像度に優れた fMRI
装置と時間分解能に優れた MEG 装置を用いて、知覚・記憶・
運動・言語・情動などの認知機能の神経基盤を解明し、身の
周りの複雑な物理的・社会的環境を生き抜く、人間の高次精
神機能の仕組みに迫ります。
社会技術研究では、これらの基礎脳科学研究の成果を応用
し、教育や福祉に脳科学の立場からメスを入れていきます。
高齢者の脳機能を改善、維持・向上させるためのシステムや、
子どもの脳機能の健全な発達を支援する教育システムの開発
を行っています。
Figure 2 fMRI 実験風景(A、B)と脳活動(C)
OB・OG の主な進路
国立大学教員、私立大学教員、国立大学研究員、県立大学研究員、私立大学研究員、理化学研究所研究員、国立精神・神経医療研究センター研究員、
大学病院医師、医療機器メーカー社員、教育関連企業社員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当研究室で行っている脳科学研究は、学際的・複合的研究領域です。どのようなバックグラウンドを持った方でも、それぞれの興味を対象として研究
活動を行うことができます。
脳機能開発研究
125
超高齢化社会に対し、健康な脳を築き、維持するには何が
重要かを明らかにする
機能画像医学研究
(加齢核医学科)
瀧 靖之
教授
Nuclear Medicine and Radiology
Yasuyuki Taki
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.nmr.idac.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8556
[email protected]
この分野の研究テーマ
・ヒト脳の発達、加齢に伴う形態、機能変化の解明
・遺伝要因と生活習慣が脳形態、脳機能、認知力に与える影響の解明
・認知症、自閉症等の脳疾患の早期診断と機序の解明
研究キーワード:脳、磁気共鳴画像、自閉症、認知症、発達・加齢
技術キーワード:画像解析、データベース、遺伝子解析、ビッグデータ解析
我々は、生活習慣等の環境要因と遺伝要因が脳形態や脳機
能、認知力にどのように影響するかを解明しています。具体
的には、子供たちの脳がどのように発達し、また食習慣、睡
眠習慣、親子関係等、どのような生活習慣が健やかな脳発達
を促進するか、そして遺伝要因と生活習慣がどのように脳発
達に影響するかを研究しています。更に、脳はどのように加
齢し、飲酒喫煙、睡眠等どのような生活習慣が脳加齢、認知
力低下を抑えるか、また種々の遺伝要因はどのように関わる
かを研究しています。これらを明らかにするために、幅広い
年齢層の多数の被験者から脳 MRI を収集し、生活習慣、認
知力、遺伝子のデータを組み合わせた世界でも有数の規模の
Figure 1 小児における年齢と脳血流との相関
脳画像データベースを作成し、このデータベースを用いて、
脳形態、脳血流、認知力と種々の要因との相関解析を行って
います。併せて、自閉症、認知症等の疾病、障害の方々のデー
タも収集して、これらの病因や早期診断、発症予防を目指し
た研究も行っています。更に、震災などによる心的外傷後ス
トレス障害(PTSD)や心身症による脳の形態変化、認知力
の変化、さらには PTSD 後の認知力低下の機序や早期診断に
関する研究も遂行しています。このように、ミクロ(遺伝子)
からマクロ(脳 MRI)のレベルのデータを有機的に統合する
ことで、生涯健康脳の維持に関する研究を遂行しています。
Figure 2 小児における年齢と灰白質量との相関
OB・OG の主な進路
各医療機関の勤務医、開業医、研究機関、大学教員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
脳研究は国際競争は激しいですが、実社会や患者さんへの還元という点で非常にやりがいがあります。当研究室では、個性や研究興味を最大限尊重し
てサポートします。
126
機能画像医学研究(加齢核医学科)
認知症克服のプロセスを考える
~発症前診断と根本治療戦略の構築~
老年医学(老年科)
医科学専攻
荒井 啓行
修士課程 / 博士課程
教授
Geriatrics and Gerontology
Hiroyuki Arai
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/geriat/
連絡先
TEL022-717-7182
[email protected]
この分野の研究テーマ
・認知症におけるアミロイド・タウ分子イメージング研究
・認知症における血液・脳脊髄液バイオマーカー開発
・仮設住宅に居住する東日本大震災被災高齢者の前向きコホート研究
研究キーワード:アルツハイマー病、病理像の画像化、発症前診断と先制医療、災害老年医療、高齢者診療技法研究
技術キーワード:PET、画像プローブの開発、バイオマーカー開発、疫学研究、ICT による服薬向上
1)分子イメージング研究 超高齢社会を迎えた日本では、
加齢を強いリスクファクターとした認知症やガンの有病率が
高まる。現在 450 万人とされる認知症患者数は 2025 年には
700 万人に達すると予想されている。アルツハイマー病をは
じめとする認知症では、臨床症状出現の 20 ~ 30 年前から
老人斑や神経原線維変化など様々な病理変化が脳内で潜行す
ると考えられている。この潜在的変化をバイオマーカーを用
いて早期に検出できれば、認知症の発症前診断と予防や先制
医療を可能にできると想定される。老年医学分野とニュー
ロ・イメージング寄付研究部門では 1995 年からアルツハイ
マー病脳に蓄積するアミロイドやタウを実臨床下で検出する
Figure 1 近未来のアルツハイマー病診断・治療の展望
バイオマーカーの開発を進め、世界有数の研究チームに成長
した。 特に、PET を用いての分子イメージングでは、[18F]
THK-5351 タウプローブの開発に成功し、[11C]PIB アミロイ
ドイメージングと併用することによってアミロイドとタウの
蓄積を同時に追跡することが可能となった。また、近未来に
おけるタウ凝集阻害薬や抗タウ抗体をもちいた先制医療にお
けるコンパニオン診断薬になることも期待されている。
2) 体 液 バ イ オ マ ー カ ー 開 発 研 究 血 漿 や CSF の
MicroRNA の発現パターンがアルツハイマー病において大き
く異なっていることが見出された。また、CSF のトランスフェ
リン糖鎖修飾が正常圧水頭症において特有な変化を示した。
Figure 2 脳アミロイド(右)とタウ(左)の画像比較
OB・OG の主な進路
大学教授、医療系研究所勤務、地域基幹病院勤務医、クリニック開院、ニューロイメージング寄付部門教員、米国医科大学准教授
担当教員より進学志望者へのメッセージ
今後、国家戦略として認知症研究の重要性は益々高まります。タウプローブである THK 化合物は、本学発特許を企業にライセンスアウトを可能にし
た貴重な産学連携成果です。
老年医学(老年科)
127
次世代個体を作り出す生殖細胞と、全ての細胞に分化できる
万能性細胞の謎に迫る
医用細胞資源センター
医科学専攻
松居 靖久
修士課程 / 博士課程
教授
Cell Resouse Center for Biomedical Research
Yasuhisa Matsui
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/crcbr/
連絡先
TEL022-717-8571
[email protected]
この分野の研究テーマ
・生殖細胞が分化過程で世代継承能を獲得する分子機構
・生殖細胞、多能性幹細胞、がん細胞の相違を制御するメカニズム
研究キーワード:生殖細胞、多能性幹細胞、細胞分化、エピジェネティクス、転写制御
技術キーワード:細胞培養、遺伝子改変マウス、遺伝子操作、トランスクリプトーム
生殖細胞は、生き物のからだを作っている全ての種類の細
胞に分化することができ、さらに複雑な形態形成を起こしな
がら体全体をつくりだす不思議な能力を持つ細胞ですが、私
たちは、この能力がどのようなメカニズムによって制御され
ているのかに興味を持って研究を進めています。生殖細胞が
分化する時には、核の中の遺伝子の働き方の制御に深く関
わっているエピジェネティックな状態が、体細胞では起こら
ないような変化をしていることが明らかになり、このような
変化が生殖細胞の不思議な性質と深く関わっていると考えら
れています。
哺乳動物では胎仔(胚)発生の初期段階で、まず分化万
Figure 1 多能性幹細胞、生殖細胞、がん細胞の関係
能性をもつ多能性幹細胞が形成され、そこから生殖細胞を含
む、さまざまな細胞が分化します。この細胞の分化は、普通
は後戻りすることはありませんが、胎仔に存在する始原生殖
細胞は、いくつかのサイトカインとともに培養するだけで、
その一部が短時間で多能性幹細胞へ戻ることが明らかになっ
ています。このことから生殖細胞と多能性幹細胞は容易に相
互変換できる関係にあると考えられます。また生殖細胞とが
ん細胞のみに共通して発現している多くの遺伝子が知られて
おり、これらの細胞にも何らかの接点があるように思えます。
この、生殖細胞、多能性幹細胞、がん細胞の、少し謎めいた
関係を遺伝子のレベルで解明する研究を行っています。
Figure 2 マウス初期胚で形成直後の始原生殖細胞
OB・OG の主な進路
国立大学教員、私立大学教員、米国博士研究員、製薬関連企業社員、社団法人職員、病院技術系職員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
研究は、まさにジェットコースター! 研究するって何、と言う問いかけにそれぞれの人が答えを見いだせるような研究室をめざしています。
128
医用細胞資源センター
脳と心の働きを読み取る・鍛える・導く
〜スマートエイジング社会の実現に向けて〜
スマート・エイジング
国際共同研究センター
川島 隆太
教授
Smart Ageing International Research Center
Ryuta Kawashima
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/sairc/j_index.html
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7988
[email protected]
この分野の研究テーマ
・生涯を通じての認知機能や精神的健康の向上を目指す生活介入研究
・個人や集団の心の状態を読み取り活用する応用脳科学研究
・児童・生徒の学習意欲促進を目指した教育心理学研究
研究キーワード:脳の加齢、脳トレ、心の健康、神経デコーディング、教育・学習
技術キーワード:磁気共鳴画像 (MRI)、近赤外分光法 (NIRS)、認知心理検査、質問紙調査、身体・生理計測
最新の脳機能イメージングと認知神経科学を核に、心理学、
社会学、哲学などの手法を融合しながら、健やかで心の豊か
な生活・加齢を実現するための方法について研究を行ってい
ます。
生活介入研究では、認知機能を維持・向上し、精神的健康
を向上するための手法の開発とその効果検証研究を行ってい
ます。これまでに、高齢者の運動トレーニングや音読・計算
を用いた認知トレーニングやゲームを用いた認知トレーニン
グの開発とその効果の検証を行ってきました。認知神経科学
の観点から、大脳の前頭前野(PFC)が司る作動記憶や実行
機能などの高次機能に注目し、それらの機能を向上させる方
法を提案しています。
Figure 1 運動トレーニングによる認知機能向上
心のデコーディング研究では、最新の脳機能イメージング
技術を駆使して、個人の注意・気分・意欲などの状態を脳活
動から読みとるための基礎研究と、その技術を生活の中で応
用する社会技術研究を展開しています。また、集団の脳活動
同時計測で社会的インタラクション時の ʻ 複数脳の相互作用・
共鳴 ʼ を明らかにし、コミュニケーションや共感を促進する
技術や環境のデザインに繋げる研究を行っています。
児童・生徒を対象とした心の発達研究では、学習意欲に影
響する要因を特定し、適切な介入プログラムやエビデンスに
基づいた教育政策を提案するために、仙台市教育局と連携し
て心理学・脳科学・社会学・教育学等の手法を活用した多角
的な研究を展開しています。
Figure 2 言語 / 非言語的集団相互作用時の脳活動同調
OB・OG の主な進路
国公立大学教員、私立大学教員、国立成育医療研究センター医師、ソフトウェア関連企業社員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当研究室で行っている脳科学研究は、学際的・複合的研究領域です。どのようなバックグラウンドを持った方でも、それぞれの興味を対象として研究
活動を行うことができます。
スマート・エイジング国際共同研究センター
129
聴覚再建医療と言葉の情報伝達改善に対する医工学的アプ
ローチ
聴覚・言語障害学
医科学専攻
川瀬 哲明
修士課程 / 博士課程
教授
Audiology
Tetsuaki Kawase
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.auditorylab.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-7303
[email protected]
この分野の研究テーマ
・難聴病態の解明と評価・診断法の開発に関する研究
・聴覚リハビリテーションに関する研究
・視覚 - 聴覚による Bimodal Speech Perception に関する研究
研究キーワード:難聴、リハビリテーション、視聴覚統合音声処理、両耳聴、耳鳴
技術キーワード:補聴器、人工内耳、脳磁図
聴覚は、ヒトの大切な五感のひとつで、ことば、環境音、
音楽など様々な音情報が、休むことなく耳を通して入ってき
ます。聴覚系は、振動としての音情報が電気的な情報に変換
され中枢に伝達されるシステムですが、障害の部位、原因に
より個々の難聴者の残存聴覚能は大きく異なります。難聴医
療では、病態診断やそれに基づく治療という視点に加え、残
存した難聴や難聴の後遺症としての耳鳴などの症状にたいし
ては、リハビリテーションの視点からの対応が重要になりま
す。当分野では、難聴者の聴覚 QOL(quality of life) の改善を
目的に、聴覚再建、聴覚補償医療に必要不可欠な、難聴病態
の解明、残存聴覚能の正確な評価、ならびにそれらに基づく
Figure 1 脳幹インプラントマッピングシステムの開発
機能補償・再建法の開発、効果的なリハビリテーション法の
確立などの研究を行っています。現在行っている研究内容は
以下の通りです。
①聴覚中枢メカニズム、特に両耳聴、変調音知覚、視聴覚
統合現象の脳内メカニズムの解明、②難聴病態の解明と難聴
病態の解明と治療法開発、特に Auditory Neuropathy など後
迷路性難聴の易マスキング性に関する研究、③補聴器・人工
内耳による聴覚補償に関する臨床的研究、④聴覚再建、聴覚
補償医療に必要不可欠な、効果的なリハビリテーション法の
確立に関する研究、⑤耳鳴に対する音響療法とその治療効果
の発現メカニズム解明に関する研究。
Figure 2 脳磁図を用いた聴性定常反応に関する研究
OB・OG の主な進路
臨床医師、大学教員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
難聴医療、リハビリテーションに関する研究を広く行っています。興味のある方は、お気軽にご相談ください。働きながら学べる社会人大学院生の方
も大歓迎です。
130
聴覚・言語障害学
「腸」は超すぐれもの。「腸」を知れば、あしたの IBD 診療も
変わります
分子病態外科学
医科学専攻
福島 浩平
修士課程 / 博士課程
教授
Surgical and Molecular Pathophysiology
Kouhei Fukushima
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.fukushimalab.med.tohoku.ac.jp/aboutus.html
連絡先
TEL022-717-8881
[email protected]
この分野の研究テーマ
・炎症性腸疾患の病因、病態の研究
・消化管大量切除後の病態の解明と治療法の開発
・腸内細菌の機能とその制御
研究キーワード:潰瘍性大腸炎、クローン病、回腸嚢炎、腸内細菌、術後病態
技術キーワード:遺伝子解析、細胞培養、リコンビナント蛋白、病理組織学、臨床検体
当研究室では、消化管疾患、とくに炎症性腸疾患を中心と
して病因、病態、疾患予防、治療にわたり幅広く研究を行っ
ています。さらに、外科手術にまつわる様々な問題を解決す
るため最新の技術を導入し解決を目指します。
基礎研究の成果がなかなか臨床の現場にフィードバックさ
れない現状にあって、臨床経験の中から適切なテーマを選択
し、電気生理学、免疫学、分子生物学、病理形態学、微生物
学などの実験手法を駆使して研究を続けています。
炎症性腸疾患の病態を、上皮細胞の発現遺伝子解析に基づ
き、生体防御タンパクの機能解析、遺伝子改変マウスの病態
解析、大腸全摘術後の術後病態の解析、回腸嚢炎における上
皮細胞の遺伝子発現と腸内細菌叢の解析、病態改善のための
ドラッグデリバリーシステムの開発などを行ってきました。
また、厚生労働省の難治性炎症性腸管障害調査研究班の一
員として臨床的諸問題の解決に、診断基準や治療指針作成な
どの面から取り組んでいます。
OB・OG の主な進路
食品メーカー(研究職)、薬品メーカー(研究職)、薬品メーカー(営業職)、公務員、胚培養師、医学部編入
担当教員より進学志望者へのメッセージ
修士希望・博士希望・文系出身などこだわりません。日常の臨床から問題点を抽出し、基礎からエビデンスを積み上げ再び臨床にフィードバックする
ことをめざしています。
分子病態外科学
131
腎不全治療法の探究とミトコンドリアメディスン
病態液性制御学
医科学専攻
阿部 高明
修士課程 / 博士課程
教授
Clinical Bilology and Hormonal Regulation
Takaaki Abe
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://plaza.umin.ac.jp/~takaabe/index.html
連絡先
TEL022-717-7163
[email protected]
この分野の研究テーマ
・ミトコンドリア・メディスン
・CKD と腸内細菌叢
・トランスポーター創薬
研究キーワード:トランスポーター、腸内細菌、tRNA、ミトコンドリア病、抗線維化
技術キーワード:トランスポーター、ミトコンドリア、フラックスアナライザ、tRNA、1- メチルアデノシン
ミトコンドリア病に対して有効な治療法はなく治療薬の開
発が急がれている。
当教室では腎不全患者の血中尿毒症物質からミトコンドリ
ア病患者の皮膚線維芽細胞の保護効果を検討したところ化合
物 MA-5 は生存率を有意に上昇させ、毒性を示すことなく細
胞内 ATP 濃度を上昇させ、ミトコンドリア病モデルマウス
の心臓と腎臓の呼吸を改善し長期生存させた。その作用機序
は既存の抗酸化作用とは異なりミトコンドリア結合蛋白質を
介した新規作用機序であり機能面から多剤とは競合しない。
本薬剤は AMED 橋渡し研究の支援により非臨床 POC の取得
をめざしている。
MA-5はミトコンドリア内の蛋白質ミトフィリンと
結合して作用する
また慢性腎臓病(CKD)患者は増えており現在 30 万人が
透析を受けており1兆 5000 億円の医療費がかかっていて医
療財政を圧迫している。しかし現在腎不全を治療する薬剤は
無い。腎不全時には種々の尿毒症物質が血中に蓄積し症状を
呈し死亡率が上昇するため、それら尿毒症物質の蓄積を阻止
する新たな薬剤の開発が必要である。当教室ではマウス腎不
全モデルに慢性便秘症治療薬ルビプロストンを投与すると腎
不全時の腸内環境を改善させ、体内の尿毒症物質の蓄積を抑
制し腎保護作用を有していることを明らかにした。従って腸
内細菌叢を変化させる薬物は CKD に対する新たな治療法で
あり透析導入延長をもたらす可能性を秘めている。
腸管は第三の尿毒素排泄経路である
Cytosol
OM
F
新しい尿毒素
排泄経路の可能性
F
MA-5
O
Mitofilin / MINOS
complex
COOH
N
H
IM
CJ
H+
H+
H+
H+
H+
H+
CJ: Crista junctions
OM: outer membrane
IM: inner membrane
CL:cardiolipin
ADP+ Pi
H+
H+
Crista
ATP
・特願2013-209539
発明者:阿部高明
発明の名称:腎機能障害の
予防又は改善剤
・PCT出願PCT/JP2014/5049
発明者:阿部高明
発明の名称:腎機能障害予防
又は改善剤
ADP+ Pi
H+
ATP
Suzuki T. THEM 2015
Suzuki T, JASN 2015
Figure 1 ミトコンドリア創薬
Figure 2 腸内細菌叢の改善は腎不全治療に結びつく
OB・OG の主な進路
聖路加国際病院、亀田総合病院、虎の門病院、Harard 大学医学部、Harvard 大学 iPS 研究所
担当教員より進学志望者へのメッセージ
治療法が確立されていない慢性腎臓病(CKD)やミトコンドリア病の治療法を開発して患者さんを救いましょう。
132
病態液性制御学
医学的に重要な生体情報を最先端の工学的技術を活用して
画像化する
医用イメージング研究
医科学専攻
西條 芳文
修士課程 / 博士課程
教授
Biomedical Imaging
Yoshifumi Saijo
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.ecei.tohoku.ac.jp/imaging/
連絡先
TEL022-717-8514
[email protected]
この分野の研究テーマ
・高周波数超音波による生体組織・細胞の画像化
・超音波、MRI および流体モデルによる心血管系血流評価
・光音響イメージングによる生体組織評価
研究キーワード:超音波顕微鏡、血流イメージング、光音響イメージング
技術キーワード:高周波数超音波、流体力学、光音響効果、バイオメカニクス
私たちの研究室では、超音波、CT(コンピュータ断層法)、
MRI(磁気共鳴画像)などの臨床データを基に、心臓や血管
などの三次元イメージングや自動組織診断、心血管系の血流
の流体力学的解析などを行っています。また、既存の診断モ
ダリティーの解析だけではなく、医学・生物学用超音波顕微
鏡や光音響顕微鏡などの新しいデバイスを開発し、動脈硬化、
心臓、腱、軟骨、骨、歯などの組織や生きた細胞のバイオメ
カニクス計測に応用しています。光音響効果はナノ秒パルス
レーザーの照射により局所的に熱膨張した組織が超音波を発
生する現象です。2014 年からは、従来の超音波ドプラ法で
Figure 1 不安定プラークの光学・超音波顕微鏡像
は検出できない細い血管の遅い血流を可視化するリアルタイ
ム高解像度光音響イメージングの開発に着手しています。
種々のモダリティーを応用した心血管系の血流解析は継続
して研究しており、カラードプラ心エコーデータに流体力学
の諸法則を適用して 2 次元血流を得るエコーダイナモグラ
フィーや非常に速いフレームレートで 2 方向から血流を観察
する手法で、2 次元血流ベクトルを得ることに成功していま
す。現在、流れの可視化方法が確立され、3 次元 CT データ
を基に作製した透明の頸動脈モデル内の流れの解析により、
これらの手法の検証を行っています。
Figure 2 指先の超音波・光音響イメージング
OB・OG の主な進路
大学病院医師、公立病院医師、大学病院臨床検査技師、医療機器メーカー研究者、電子機器メーカー研究者、光学機器メーカー研究者、自動車関連産
業技術者、電力会社社員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
医師、臨床検査技師、エンジニアがそれぞれの特色を生かして新しいイメージング技術を開発し、診断・診療に活かす研究を行っています。
医用イメージング研究
133
災害に強い保健医療供給体制を創る
災害医療国際協力学
医科学専攻
江川 新一
修士課程 / 博士課程
教授
International Cooperation for Disaster Medicine
Shinichi Egawa
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.irides-icdm.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-273-6286
[email protected]
この分野の研究テーマ
・災害保健医療の国際標準化
・病院の受援力
・災害時の保健医療ニーズ
研究キーワード:医療ニーズ、コーディネーター、災害医学教育、受援力、国際保健医療
技術キーワード:データベース、ICT、テレカンファレンス、ロボット、クラスターアプローチ
災害科学国際研究所は東日本大震災の教訓を踏まえ 2012
年に設立され実践的防災学をミッションとし、災害医学部門
をもつ世界的にもまれな研究所です。なかでも災害医療国際
協力学は全く新しい分野で、災害保健医療に関するすべての
ことが研究対象です。わが国の災害医療体制は 1995 年の阪
神淡路大震災を契機に大きく整備が進み、世界でも先進的で
す。しかし災害の種類も保健医療ニーズも常に変化している
ことに注目し、マルチハザードに対応できる医療体制をつく
る必要があります。当研究室では災害における保健医療ニー
Figure 1 災害保健医療コーディネータの標準化が必要
ズの解析と支援・受援力の向上、災害サイクルに合わせた国
際災害保健医療支援体制の確立を目指しています。
具体的には避難所のラピッドアセスメントの手法や保健医
療ニーズのデータベース作成、全都道府県に対する災害保健
医療コーディネーターの設置調査、東日本大震災の被災地や
東南海地震の被害予想地域の医療機関における受援力調査、
災害対応に関するロボットの活用、保健医療対応における G
空間情報の活用、国際保健医療支援の標準化に関する国際コ
ンセンサスの形成などを研究しています。
Figure 2 病院の受援力を高める備えが必要です
OB・OG の主な進路
まだ卒業生はいません、WHO、NGO、行政機関・保健所、災害拠点病院、災害関連研究施設、大学、などが考えられます。
担当教員より進学志望者へのメッセージ
医学系研究科(修士、博士)
、ヒューマンセキュリティーコース(修士)の大学院生として採用可能です。医療従事者のみならず、NGO や行政機関で
の経験者も大歓迎です。
134
災害医療国際協力学
新興・再興感染症に対するレジリエンスをもたらすメカニズ
ムの病態研究による診断・治療法の開発
災害感染症学
医科学専攻
未定
修士課程 / 博士課程
Disaster-related Infectious Disease
分野ウェブページ
http://www.irides-drid.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-8220
E-Mail
この分野の研究テーマ
・感染症におけるマトリセルラータンパク質の役割
・デング熱・出血熱の診断薬・治療薬の開発
・多剤耐性結核の研究
研究キーワード:ヒト免疫不全ウイルス、デング熱・出血熱、結核、ガレクチン 9、人獣共通感染症
技術キーワード:ルミネックス、フローサイトメトリー、エリスポット、定量的 PCR、ランプ法
大規模な災害の後に発生することが懸念される感染症につ
いて、その流行の発生・拡大・縮小のメカニズムをマクロ・
ミクロの両面から探求する。マクロの面からはどんな状況で
災害感染症が生じるかを分析し、その予防への提言をする。
ミクロの面からは感染症の早期診断と病態の解析を行い、現
在行っているバイオマーカーの研究を災害時に応用し、炎症
状態により重篤な患者の早期発見を試みる。さらに、100 種
のバイオマーカーを同時に測定できるルミネックス機器を導
入しており、これらの機器を駆使して様々な感染症の特性を
Figure 1 デング熱・出血熱患者の炎症プロファイル
明らかにする。診療では医学系研究科での HIV 感染症の診療
を継続して、昨年だけの感染者は 12 人、今までの総計は 60
名となっている。診断においては遺伝子診断の開発とともに、
最近ではガレクチン 9 がデング熱のよいマーカーになるこ
とを明らかにした。またマニラ・サンラザロ病院との国際共
同研究を行い結核や洪水で生ずるレプトスピローシスを不明
熱患者から容易に鑑別診断できる遺伝子診断法も開発してい
る。
Figure 2 様々な結核菌抗原に対する免疫応答の検出
OB・OG の主な進路
ハルビン医科大学、復旦大学、東北大学、東北薬科大学、エモリー大学、タフツ大学、ケープタウン大学
担当教員より進学志望者へのメッセージ
世界規模で起きるエイズ、マラリア、結核、デングに対応するため、感染症と免疫の分野の相互理解から「感染現象のパラダイムシフト」を掴み、レ
ジリエンスにつなげよう。
災害感染症学
135
放射線の計測評価と被曝防護
災害放射線医学
保健学専攻
千田 浩一
修士課程 / 博士課程
教授
Disaster Medical Radiology
Koichi Tcida
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/77/index.html
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-8010
[email protected]
この分野の研究テーマ
・医用放射線防護と放射線安全管理
・放射線検査機器の QCQA および放射線画像と被曝線量の最適化
・災害放射線医学関連研究
研究キーワード:医療被曝・職業被曝、放射線防護、確定的及び確率的影響、放射線機器の安全管理、IVR
技術キーワード:線量測定評価、放射線エネルギ・線質、ファントムと画像評価、実効線量と等価線量、放射能
当分野は、放射線検査に伴う被曝の計測評価とその防護、
放射線検査機器の品質管理と最適化などに関する研究・教育・
社会貢献について主に取り組んでいます。 1.放射線診療(含
む IVR)に伴う患者被曝の評価と防護。 2.放射線診療(含
む IVR)時の医療スタッフの被曝評価と防護。 3.小児医療
被曝の評価とその防護。 4.新しい被曝線量測定評価方法の
開発。 5.新しい QC ファントムおよび QC 手法の開発。 6.
放射線画像と被曝線量の最適化。 7.放射線安全管理。 8.
MRスペクトロスコピによる心筋エネルギ代謝の評価。など
Figure 1 マルチセンサ型リアルタイム患者線量計
。 さらに当分野は、災害放射線医学に関する研究を行っ
ています。主な研究内容は以下の通りです。 1.人体等の放
射線影響評価および被曝測定と防護に関する医学的研究。2.
放射線や被曝に対する正しい理解の普及。 3.災害時等にお
ける画像診断システム開発。など。 我々は、当該領域で
の診療放射線技術や医学物理に関する、「教育」および問題
解決能力を有する「研究者育成」を行い、さらに科学的探求
心を基に新しい技術を開発し、世界へ有用な情報を発信しそ
の成果を社会に還元します。
Figure 2 ガラス線量計システムによる患者被曝測定
OB・OG の主な進路
国公私立大学付属病院診療放射線技師、国公立および公的病院診療放射線技師、財団および民間病院診療放射線技師、公益法人施設等診療放射線技師、
医療および関連メーカ社員(開発研究)、国立大学教員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
1.社会人大学院生を歓迎します。 2.当然、社会人以外の方も大歓迎です。 3.学部学生で当分野に興味のある方や卒業研究をご検討の方も遠慮な
くご連絡下さい。
136
災害放射線医学
被災地のメンタルヘルス向上と次世代の精神医学を目指して
災害精神医学
医科学専攻
富田 博秋
修士課程 / 博士課程
教授
Disaster Psychiatry
Hiroaki Tomita
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.irides-dpsy.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-7897
[email protected]
この分野の研究テーマ
・災害精神医学
・被災地の地域医療・保健
・精神疾患の分子病態解明
研究キーワード:実践的防災学、PTSD、気分障害、統合失調症、精神神経免疫相関
技術キーワード:情報アーカイヴ、コホート研究、オミックス研究、個別化医療、モデル動物研究
災害精神医学分野は、東日本大震災の被災者を対象とする
健康調査や支援活動・普及啓発活動を通して、東日本大震災
が被災住民の心の健康や地域の精神医療保健体制に及ぼして
いる影響を把握し、その影響からの回復の支援や今後の災害
への備えに有益な情報の抽出を行っています。
また、被災地域の医療現場での課題となる気分障害や心的
外傷後ストレス障害を始めとする精神疾患の病態解明のため
Figure 1 心の健康への心理 - 社会 - 生物学的アプローチ
の臨床研究やモデル動物等を対象とする基礎研究を並行して
進め、各疾患のより有効な予防法、診断法、治療法の開発を
目指しています。更に、国内外の関連機関・学会と連携しな
がら、東日本大震災を始めとするこれまでの災害からの教訓
に基づいた災害発生前後のメンタルヘルス対応の体制整備、
災害精神医学教育の体制整備、災害精神医学領域の支援や調
査研究に関する国際連携の推進にも取り組んでいます。
Figure 2 心の健康面から災害に備えるための情報集積
OB・OG の主な進路
大学研究機関、企業研究室、企業一般就職
担当教員より進学志望者へのメッセージ
臨床精神医学、心理学、疫学、社会科学から分子レベルの基礎研究まで幅広いアプローチを行っており、その中から関心のあるテーマに取り組んで頂
ければと思います。
災害精神医学
137
災害ストレスと婦人科疾患について、疫学、臨床医学、
基礎生物学の観点から多角的に科学する
災害産婦人科学
医科学専攻
伊藤 潔
修士課程 / 博士課程
教授
Disaster Obstetrics and Gynecology
Kiyoshi Ito
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://dogtohoku.wix.com/gyne
連絡先
TEL022-273-6284
[email protected]
この分野の研究テーマ
・震災時ストレスとその後の生活環境変化が婦人科疾患に及ぼす影響の解析
・災害ストレスによる婦人科疾患発症予測マーカーの確立
・宮城がん検診受診率回復への方策と、災害後起こり得る女性疾患の検証
研究キーワード:婦人科疾患、災害ストレス、がん検診、子宮内膜癌、ストレスホルモン
技術キーワード:タンパク発現解析、網羅的遺伝子発現解析、培養細胞実験、動物実験、アンケート調査
災害産婦人科学分野では、災害が母子に及ぼす影響を多面
的に分析しその対応の国際的な基準を確立するとともに、災
害が婦人科特有の疾患に及ぼす影響の多面的かつ長期的な研
究を目的としています。これまでに、ストレスの女性生殖器
(特に子宮)への影響について病理学・分子生物学的手法お
よび実験動物を用いた解析を行ってきました。その成果とし
て、血液中のストレスホルモンが子宮において無害な形に代
謝されるのに対し、癌ではこの無害化する仕組みが破綻して
いる可能性を見いだしています。また、女性生殖器は女性ホ
ルモンであるエストロゲンやプロゲステロンによってその機
Figure 1 災害ストレスと婦人科疾患の解明
能が調節されています。女性ホルモンの作用に対してストレ
スホルモンが何らかの撹乱作用をもたらす事が想像されてい
ますが、そのメカニズムについては明らかではありません。
以上の課題について、疫学的に基礎生物学的に解明を進めて
います。当分野では、産婦人科学、病理学、内分泌学、分子
生物学、免疫学、実験動物学などの様々な分野のエキスパー
トたちとともに「ホルモンと癌勉強会」を開催し、災害スト
レスが女性の健康におよぼす影響を科学することで、被災地
域、さらには広く社会へ還元し得る研究スタイルを目指して
います。
Figure 2 コルチゾール受容体と S100P の発現
担当教員より進学志望者へのメッセージ
研究を通して今後の災害医学の進歩、被災地の復興・再生にどのように貢献することができるのか?みなさんと共に考えていきたいと思います。
138
災害産婦人科学
大規模災害後の中長期的健康復興
災害公衆衛生学
医科学専攻
栗山 進一
修士課程 / 博士課程
教授
Disaster Public Health
Shinichi Kuriyama
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/sph/241/index.html
http://irides.tohoku.ac.jp/organization/medicine/06.html
連絡先
TEL022-717-8104
[email protected]
この分野の研究テーマ
・災害で増加する疾患のモニタリング研究
・災害で増加する疾患の制御に関する疫学研究
・想定される大規模災害に対する健康被害の最小化に関する研究
研究キーワード:大規模災害、健康問題、公衆衛生学、介入研究、想定災害
技術キーワード:コホート研究、健康モニタリング、調査票、全国調査、健康介入
大規模災害後に病気の増加という禍根を残さないよう、大
規模災害後の中長期的健康状態のモニタリングと、その結果
に応じた介入研究を行っています。
1.東北メディカル・メガバンク計画:
東北メディカル・メガバンク機構と密接に連携し、地域子
ども長期健康調査、三世代コホート調査を通して被災地にお
ける健康調査に全力をあげています。地域子ども長期健康調
査では、仮設住宅に居住する子ども達の間でアトピー性皮膚
炎が増加していることが判明しました。
2.アトピー性皮膚炎等アレルギー疾患患児とその保護者の
受診判断を促すパンフレットの開発と有用性の研究:
アレルギー性疾患患児とその保護者が、受診すべき疾患の
症状を理解するためのパンフレットを開発し、活用していま
す。
保育園と保育園児の調査票
3.東日本大震災被災地の小児保健に関する調査研究:
被災地の子どもの発育状況を把握し、震災による子どもの
発育への影響を明らかにしています。保育所データ、乳幼児
健診データを用いて、経年的に子どもたちの成長を評価して
います。
4.仮設住宅におけるかび・ダニの発生状況とアレルギー症
状との関連研究:
石巻市を対象として、仮設住宅等のかび・ダニ発生状況
と、特に小児におけるアレルギー症状との関連を研究してい
ます。
5.想定される大規模災害の健康被害最小化研究:
東日本大震災で得られた教訓を活かし、次に想定される
大規模災害における健康被害を最小化する研究を行っていま
す。
掛川コホート研究
• 静岡県掛川市の住民
• 緑茶摂取状況の詳細
• 栄養摂取状況、各種アミノ
酸血中濃度、各種血液検査
値・身体測定値、出生時の
体重、血液型、生活習慣の
詳細、服薬状況
• 大規模災害に対する備え
http://www.kakegawastudy.jp/
約1500名を対象とした、掛川コホートを構築済み
1
Figure 1 震災が保育園児の成長に与える影響
Figure 2 掛川コホートスタディ
2
OB・OG の主な進路
公衆衛生学研究者、企業研究者、臨床・実地医療関係者
担当教員より進学志望者へのメッセージ
大規模災害後、中長期的に人々の健康状態が損なわれることが明らかとなってきました。本教室では東日本大震災後の健康復興、及び次に来る災害へ
の備えをしています。
災害公衆衛生学
139
『実践的』な災害医療情報学を目指す
災害医療情報学
医科学専攻
中山 雅晴
修士課程 / 博士課程
教授
Disaster Medical Informatics
Masaharu Nakayama
Professor, M.D. Ph.D
分野ウェブページ
http://www.irides-dmi.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7572
[email protected]
この分野の研究テーマ
・災害時の各フェーズにおいて必要な医療情報システムの構築
・標準ストレージ形式を用いた医療情報のバックアップ、復旧、データ活用
・病院情報システムの改善・電子カルテの開発
研究キーワード:医療情報データベース、標準化、循環器、電子カルテ、災害
技術キーワード:SS-MIX2、モバイルアセスメント、心電図 QR コード化、MMWIN、SEAMAT
1)災害時に役立つ医療情報システムの開発
災害時の各フェーズのおいて必要なシステムを構築しま
す。情報インフラの整備、トリアージ情報、診断支援ツール、
患者・スタッフの移動管理、ロジスティックス支援などを対
象とします。IT 化は手段であり目的ではないので、現状使用
されている紙媒体などとの融合や改善も重きをおきたいと考
えています。
2)医療情報のバックアップ、復旧、データ活用
標準ストレージ形式(SS-MIX)を用いた医療情報のバッ
クアップ事業、クラウド化に協力・貢献します。①東北大学
病院として国立大学病院診療情報バックアップ事業に参加し
災害時の診療体制を強化、②みやぎ医療福祉情報ネットワー
ク協議会に協力し県内診療情報のバックアップ体制を整備、
③医療情報データベース基盤整備事業の東北大学病院担当責
任者として全国規模のデータベース構築に協力、④日本循環
器学会及び IHE と協力し、SS-MIX を活用した JCS データ出
Figure 1 各災害サイクルへの対応
力標準フォーマットガイドライン(SEAMAT)の推進、など
があります。
3)通常業務の改善
電子カルテ等、通常業務の改善は、災害時に利用可能なデー
タを増す意味で重要です。大学病院および関連病院において、
使い勝手のいいシステムになるよう各メーカーと協力し開発
しています。
4)プロトコル・ガイドライン整備
医療情報分野では IT 化の急速な発展に伴い、対応もそれ
に応じて日々変化することが望まれます。様々な状況を想
定し、実践的な指針を策定する事が求められます。災害医
療活動において、通信ネットワークへの依存が増加してい
ることから、総務省による研究会ワーキンググループにお
いて、通信システムのニーズの分析や、標準モデル提言に
向け活動しています。
Figure 2 災害時活用の医療情報システム整備・構築
担当教員より進学志望者へのメッセージ
本教室は実践的な医療情報学を目指し、ビッグデータ解析に向けた、ツール開発、システム構築、データベース整備などに取り組みます。今後発展が
期待される分野を一緒にやりませんか。
140
災害医療情報学
医学、薬学、医工学、工学、物理学と連携した学際的なサイ
クロトロン医学研究に興味ある方、大歓迎!
サイクロトロン核医学
医科学専攻
田代 学
修士課程 / 博士課程
教授
Cyclotron Nuclear Medicine
Manabu Tashiro
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://kakuigaku.cyric.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-795-7802
[email protected]
この分野の研究テーマ
・ポジトロン断層法(PET)を用いた機能イメージング研究・分子イメージング研究
・近赤外線分光計(NIRS)や核磁気共鳴法(MRI) を用いたイメージング研究
・サイエンス・ビジュアリゼーションに関する研究・教育
研究キーワード:神経伝達機能、薬物副作用、スポーツ科学、健康科学、ビジュアリゼーション
技術キーワード:陽電子断層法:PET、近赤外線分光計:NIRS、分子イメージング、生体機能イメージング、パフォーマンス試験
「分子イメージング(Molecular imaging)
」とは、
「生きた
ままの状態で生体内の遺伝子やタンパク質などの分子の挙動
を体外から観察する技術」を指します。分子イメージングは、
医学、工学、医工学、薬学の新しい境界・複合領域です。方
法論としては、ポジトロン断層法(PET)
、核磁気共鳴画像
(MRI)、光学イメージング(近赤外線分光計:NIRS)などの
手法が用いられています。
当研究室は、サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター
(北青葉山キャンパス)内にあります。サイクロトロン医学
利用およびポジトロン断層法(PET)に関する学内共同利用
体制を運営しながら、PET を用いた臨床研究を主に推進して
います。PET は、分子イメージング研究の代表的モダリティ
Figure 1 ランニング時の全身エネルギー代謝マップ
の一つで、脳、心臓、がん、筋肉等のイメージング研究に広
く利用されています。具体的な研究テーマは、神経受容体伝
達機能の評価、臨床薬理学研究、認知症早期診断、健康科学
への応用研究(スポーツ科学、代替医療)など多岐にわたり
ます。また定量法や解析法の開発も進めています。
大学院医学系研究科の協力講座として分子イメージング教
育コースの現場として活動し、臨床研究および基礎研究を推
進しています。臨床 PET 研究を行う区画は臨床研究専用の診
療所(東北大学病院出張診療所)として運営されています。
さらに、サイエンス・ビジュアリゼーション(科学におけ
る視覚化技術)に関する研究もしております。
Figure 2 タウイメージング薬剤の共同臨床研究
OB・OG の主な進路
大学教員(教授、准教授ほか)、研究所研究員(室長)、専門学校教員(学院長)、クリニック職員(院長)、クリニック職員(技術職員)
担当教員より進学志望者へのメッセージ
修士号(医科学)および博士号(医学)が取得可能です。
「分子イメージング教育コース」が選択でき、我が国で分子イメージング教育を正式に受け
た証となります。
サイクロトロン核医学
141
医学と薬学の橋渡し
臨床薬学
医科学専攻
佐藤 博
博士課程
教授
Clinical Pharmacology and Therapeutics
Hiroshi Sato
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7164
[email protected]
この分野の研究テーマ
・腎炎・ネフローゼ症候群の病態解明とその治療
・子癇前症、IgA 腎症、糖尿病性腎症の病態解明とその治療
・慢性腎臓病(CKD)に関する疫学的研究
研究キーワード:子癇前症、IgA 腎症、糖尿病性腎症、ニコチン酸アミド、慢性腎臓病(CKD)
技術キーワード:電顕、免疫染色、動物実験、細胞培養、LC/MS
腎炎・ネフローゼ症候群、高血圧、子癇前症、IgA 腎症、
糖尿病性腎症、メタボリックシンドロームなどについて、そ
の病態解明と治療に関わる研究を行っている。
Figure 1 糖尿病性腎症の光顕 PAS 染色写真
また、東北大学病院腎・高血圧・内分泌科および血液浄化
療法部とタイアップして慢性腎臓病(CKD)に関わる臨床疫
学的研究を行っている。
Figure 2 IgA 腎症の蛍光抗体染色写真
OB・OG の主な進路
総合病院の薬剤部、市中薬局、製薬メーカー、官公庁、治験関連企業(SMO/CRO)
142
臨床薬学
光で脳を制御し、光を用いて計測する
神経細胞制御学
医科学専攻
八尾 寛
修士課程 / 博士課程
教授
Molecular and Cellular Neuroscience
Hiromu Yawo
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.lifesci.tohoku.ac.jp/research/
neurosciences/
連絡先
TEL022-217-6208
[email protected]
この分野の研究テーマ
・シナプス形成・再構築制御機構の解明
・オプトジェネティクスによる細胞機能光操作
・触覚パターンの脳内表現の解明
研究キーワード:オプトジェネティクス、チャネルロドプシン、シナプス、触覚パターン、ネットワーク再構成
技術キーワード:オプトジェネティクス、Ca2+ イメージング、分子生物学、電気生理、パッチクランプ
緑藻類の 1 種のクラミドモナスの光受容チャネル(チャ
ネルロドプシン)を神経細胞に発現させることにより、神経
細胞の活動を光で制御できる技術を世界に先駆けて開発しま
した(特願 2005-34529:2005 年 2 月 10 日出願)
。チャネ
ルロドプシンの構造-機能連関を研究し、膜発現、吸収波
長、チャネル特性などを制御している構造の解明に取り組ん
でいます (J Biol Chem 2009; Photochem Photobiol Sci, 2009;
PLoS ONE, 2010; Neurosci Res, 2012; PLoS ONE, 2015; Nature,
2015)。また、光を皮膚で触覚として受容できるトランスジェ
ニックラットを創出しました (PLoS ONE, 2009; 2012)。エレ
クトロポーレーション法を発展させ、さまざまな遺伝子産物
Figure 1 後根神経節の ChR2 発現ニューロン(緑)
の組合せを、ニワトリ胚のカリックスシナプス前終末に発現
させる手法を確立しました (PLoS ONE, 2013)。
私たちは、発達期や成体において、神経細胞のネットワー
クが「環境」や「経験」により変化するメカニズムを分子の
レベルで解明したいと考えています。また、光を皮膚で触覚
として受容できるトランスジェニックラットを用いて、触覚
パターンの脳内表現の解明に取り組んでいます。これら基礎
研究の成果を応用することで、光を使って脳と直接情報をや
り取りするブレイン・マシン・インターフェース (BMI) 技術
が生まれることでしょう。
Figure 2 発達期毛様体神経節のブレインボウ画像
OB・OG の主な進路
東北大学(助教)、群馬大学(助教)、東京医科歯科大学(助教)、自治医科大学(助教)、富山医薬大学(助教)、東北メディカル・メガバンク機構(ポ
スドク)
、理化学研究所(ポスドク)、ニューヨーク大学(ポスドク)、東北大学(ポスドク)、武田薬品(研究員)
担当教員より進学志望者へのメッセージ
研究は夢、理想、友情、賞賛、試練、挫折などのロマンに満ちた未知の世界の探検です。ワクワク、ドキドキ、ハラハラにチャレンジしませんか?
神経細胞制御学
143
脳内ストレス応答性回路による視床下部ホルモン調節中枢
調節メカニズムを解明する
神経内分泌学
医科学専攻
井樋 慶一
修士課程 / 博士課程
教授
Neuroendocrinology
Keiichi Itoi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.bio.is.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-795-4741
[email protected]
この分野の研究テーマ
・視床下部 CRF ニューロン調節神経路および液性因子の同定
・脳内ノルアドレナリン作動性神経系のストレス伝達における意義
・視床下部 CRF ニューロン蛍光可視化マウスの作成
研究キーワード:視床下部、糖質コルチコイド、カテコールアミン、マウス、遺伝子
技術キーワード:遺伝子改変マウス、免疫組織化学、免疫蛍光法、パッチクランプ、ウイルスベクター
井樋研究室では、生命維持と種の保存のために不可欠な脳
内領域の機能と形態を研究している。視床下部や脳幹部と呼
ばれるこれらの領域は、血圧、体温、体液電解質の維持、エ
ネルギー代謝調節、ストレスからの防御、生殖行為などに深
く関わっている。
我々の研究では、ラットやマウスを用いた動物実験をおこ
なうのが特徴の一つである。そのための実験ツールとして、
特定の神経細胞(ニューロン)を蛍光タンパク質で可視化し
た遺伝子改変動物の開発をおこなっている。それらの動物を
用い、当該ニューロンの走行やほかのニューロンとの結合の
Figure 1 蛍光標識されたマウス CRF ニューロン
仕方を明らかにし、あるいは、電気現象を計測することによ
り神経細胞の機能特性を明らかにしている。
最近我々は、視床下部の内分泌性ストレス調節において中
心的役割を果たすコルチコトロピン放出因子(CRF)遺伝子
に Venus 蛍光タンパク質を発現させたノックインマウスの
作成に成功した。その結果、これらの動物の視床下部におい
て CRF ニューロンから直接電気現象を記録することが可能
となった。現在、CRF ニューロンを調節する神経性入力や、
体液性調節因子の役割を検討中である。
Figure 2 青斑核ノルアドレナリン神経破壊マウス
OB・OG の主な進路
電気機器製造業、通信業、石油精製業、光学機器製造、大学教員、臨床医、弁護士、プロサッカー選手
担当教員より進学志望者へのメッセージ
医学部・医学系研究科と工学部・情報科学研究科にまたがって研究・教育を行っているので、異なる分野の学生が机を並べ楽しく学んでいます。
144
神経内分泌学
炎症性腸疾患を含めた生活習慣病の病因・病態を明らかにし、
新たなバイオマーカーと治療法の確立をめざす
病態生理情報学
医科学専攻
木内 喜孝
博士課程
教授
Informatics on Pathophysiology
Yoshitaka Kinouchi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.health.he.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-8010
[email protected]
この分野の研究テーマ
・炎症性腸疾患の病因・病態解析 ― 特にゲノム / エピゲノム解析を中心にー
・炎症性腸疾患の新たなバイオマーカーと治療法の確立
・生活習慣病の病態解析とその臨床応用
研究キーワード:炎症性腸疾患、疾患感受性遺伝子、オーダーメイド医療、生活習慣病、エピゲノム
技術キーワード:ゲノムワイド相関解析、エピゲノム解析、パイロシークエンス
生体の恒常性の維持には神経性、体液性、行動性調節機序
が重要な役割を果たしている。これらの調節系は外的、内的
負荷に対して秒単位の応答、から年単位の応答等の時系列で
応答し、代償されることにより健康な生命維持機能が保持さ
れている。ライフスタイルの異常によりこれらの応答機能に
破綻が起こると健康が障害され、生活習慣病等種々の疾病が
惹起される。本研究室では、炎症性腸疾患に関する研究、糖
尿病を含む生活習慣病に関する研究、動脈硬化に関する研究
Figure 1 クローン病リンパ球の DNA メチル化異常
を進めている。
炎症性腸疾患に関する研究では、その発生機序 ・ 病態解明
とその臨床応用を中心に行っている。特に、日本人炎症性腸
疾患の感受性遺伝子の同定、感受性遺伝子の機能解析、バイ
オマーカーの開発、さらに治療法開発を医学系研究科消化器
病態学分野と共同で行っている。また疾患感受性に影響を与
えるあるいは病態に寄与するエピゲノム変化について、臨床
検体を用いた解析を行っている。
Figure 2 脱メチル化剤でアポトーシス抵抗性消失
担当教員より進学志望者へのメッセージ
炎症性腸疾患病因病態解明、生活習慣病の病因病態解明を中心に研究を行っています。研究室の目指すところは、臨床に役に立つところまで研究・開
発を進めることです。
病態生理情報学
145
メンタルヘルスケアの実践
〜精神疾患の早期診断法と治療薬の開発〜
精神保健学
医科学専攻
伊藤 千裕
博士課程
教授
Mental Health Science
Chihiro Ito
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.health.he.tohoku.ac.jp
連絡先
TEL
E-Mail
022-795-7835
[email protected]
この分野の研究テーマ
・学校におけるメンタルヘルスケアの実践
・精神疾患における中枢ヒスタミン神経系の役割の解明
・精神疾患の病因候補遺伝子の探索
研究キーワード:メンタルヘルスケア、中枢ヒスタミン、病因候補遺伝子
技術キーワード:臨床観察研究、ポジトロン断層法、遺伝子解析
現代社会はストレス社会とも言われ、学生においてもメン
タルヘルスケアが重要視されている。学生時代は様々な精神
疾患の好発年齢に重なるため、学生生活を維持し、今後の社
会生活を円滑に営んでいくためにも、精神疾患の早期発見や
治療を行うことが大切である。本分野では、精神疾患の予防
Figure 1 メンタルヘルス相談新来者の診断内訳
や早期治療につながる診断法や治療薬を開発するため、睡眠
覚醒リズムに深く関与している中枢ヒスタミンをはじめ、原
因候補遺伝子マーカーなど、メンタルヘルスケアをより実践
的に役立ていく研究を行っている。
Figure 2 新規抗うつ薬のヒスタミン H1 受容体占拠率
OB・OG の主な進路
大学教員、病院医師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
実際に保健管理センターでのメンタルヘルス相談を行いながら、メンタルヘルス研究を習得することができます。
146
精神保健学
高度な先進的専門性をもとに質の高い個別化医療を推進する
薬物療法の専門家を養成する
がん化学療法薬学
医科学専攻
富岡 佳久
博士課程
教授
Oncology, Pharmacy Practice and Sciences
Yoshihisa Tomioka
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~gankagak/Gann_Top.html
連絡先
TEL
E-Mail
022-795-6851
[email protected]
この分野の研究テーマ
・メタボロミクスによる病態マーカーの発見と個別化医療への応用
・薬物有害反応の早期検出のための代謝モニタリング法の開発
・自然免疫を標的とした抗体薬の開発と免疫応答制御
研究キーワード:メタボロミクス、LC/MS/MS、CE/MS、個別化医療、抗体医薬
技術キーワード:質量分析装置、クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動、細胞培養、遺伝子操作
質の高い安全安心の医療、高度複雑化した先進医療に伴
う医師を始めとした医療従事者の資質向上と責任強化が求め
られる中で、本分野は、個別化医療を推進できる実践的知識
と研究能力を兼ね備えた人材を育成することを柱として平成
20 年 4 月に設置されました。メタボロミクス等のオミック
ス解析技術を基盤とした患者の代謝物情報(メタボローム)
の収集と分析を通じて、患者個々に最適な個別化薬物療法を
推進するための分析基盤の構築とその臨床応用を目指しま
す。また、抗体薬などのバイオ医薬品シーズの開発や各診療
科との連携を通じた創薬橋渡し研究によって、高度先進医療
を推進します。
Figure 1 個別化薬物療法の推進
OB・OG の主な進路
東北大学病院、仙台市立病院、石巻赤十字病院、新潟大学医学部附属病院、信州大学医学部附属病院、宮城県庁、株式会社ハイテック、株式会社アスクレッ
プ、田辺三菱製薬、東北メディカルメガバンク
担当教員より進学志望者へのメッセージ
自立して研究活動を行い、将来、高度先進医療への貢献を目指す、情熱をもった方をお待ちしています。
がん化学療法薬学
147
環境因子・金属によるアレルギー増悪化機構の解明、および
ファーマコゲノミクスによる個別化医療の推進
生活習慣病治療薬学
医科学専攻
平澤 典保
博士課程
教授
Pharmacotherapy
Noriyasu Hirasawa
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~seikatsu/
mysite1/index.html
連絡先
TEL022-795-5915
[email protected]
この分野の研究テーマ
・環境因子・金属によるアレルギー炎症の薬理生化学的解析
・抗アレルギー薬の開発研究
・ファーマコゲノミクス(PGx)解析による個別化薬物療法の推進
研究キーワード:アレルギー性皮膚炎、金属アレルギー、抗アレルギー薬、個別化医療、薬物動態予測
技術キーワード:TSLP 産生細胞、金属イオン濃度測定、薬理遺伝学、CYP バリアント
1. 環境中の様々な化学物質は免疫応答に影響を及ぼし、ア
レルギー性疾患の誘発、増悪化に関与している。また、金属
を含む装飾品や体内へ留置される医療器具により金属アレル
ギーの発症も増加している。これらのアレルギー誘発増大の
分子メカニズムの解明と予防法の確立を目指している。具体
的には (1) 生活環境中の化学物質によるヒスタミンや TSLP の
産生とアレルギー炎症増悪化機構、(2) 医用材料からの金属イ
オン溶出機構と金属イオンによる免疫修飾について、マウス
の病態モデルおよび培養細胞を用いた研究を行なっている。
Figure 1 環境・習慣によるアレルギー炎症誘発
2. 同じ薬を服用しても、患者ごとにその効き目や副作用の
出具合が異なる。その原因の 1 つとして薬物代謝酵素等の遺
伝子変異がある。このように薬の作用に影響を及ぼす遺伝子
変異を明らかにし、個別化医療に応用するファーマゲノミク
ス解析、およびベッドサイドでの遺伝子診断技術の開発に取
り組んでいる。また、約 400 種の CYP バリアント酵素ライブ
ラリーを構築して、様々な医薬品における代謝能の変化を解
析し、遺伝的な違いによる薬物動態変化の予測を行っている。
Figure 2 遺伝的背景を考慮した個別化医療の推進
OB・OG の主な進路
大学病院、薬局
担当教員より進学志望者へのメッセージ
創薬を目指した基礎研究、先端の個別化医療の推進、これらに伴うレギュラトリーサイエンスに興味のある意欲的な大学院生を歓迎します。
148
生活習慣病治療薬学
膵島移植療法および膵島移植を雛型とした次世代細胞移植
療法の確立
移植再生医学
医科学専攻
後藤 昌史
修士課程 / 博士課程
教授
Transplantation and Regenerative Medicine
Masafumi Goto
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.cell-transplantation.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7895
[email protected]
この分野の研究テーマ
・膵島分離および各種細胞分離用リコンビナントタイプの新規酵素の開発
・バイオ人工膵島用免疫隔離細胞デバイスの開発
・肝細胞移植の新規プロトコールの開発
研究キーワード:膵島移植、肝細胞移植、細胞分離酵素、バイオ人工膵島、次世代型細胞移植療法
技術キーワード:細胞培養、細胞分離技術、細胞移植、イメージング、病理解析
膵島移植は重症糖尿病に対する移植療法で、膵臓から分離・
回収した膵島を局所麻酔下で門脈から肝臓内に移植する低侵
襲な細胞移植療法です。しかし、分離用酵素等の問題により
膵島収量が不安定で、膵島の機能が低いこと、また移植膵島
の生着率が低いこと等が原因で、現時点では一人の患者の治
癒に複数のドナーが必要という課題を有しています。また、
移植後の拒絶反応を抑えるために服用する免疫抑制剤の副作
用の問題も有ります。そこで私達は、これらの問題を解決す
るために日々研究を行っています。膵島分離用酵素について
は、世界で初めてロット格差が無いリコンビナントタイプの
細胞分離酵素を開発し、各組織の状態に合わせて酵素組成を
調節することで、膵島の収量や機能が向上することを明らか
Figure 1 安全で高性能な新規細胞分離用酵素剤の開発
にしました。この新規細胞分離酵素は、現在、臨床試験の段
階に達しており、膵島以外にも肝細胞移植への応用等、他の
細胞移植療法への普及が期待されています。また移植前膵島
の機能測定方法や、移植後の血糖コントロールにより膵島移
植の効果を増大させるプロトコール等、既に臨床応用されて
いる研究成果もあります。現在は免疫抑制剤を使用しない膵
島移植を目指し、バイオ人工膵島用デバイスの開発にも取り
組んでいます。このように私達は膵島移植が重症糖尿病に対
する理想的治療法となるように、さらに膵島移植を雛型とし
た次世代の細胞移植療法を確立することを目標に研究を進め
ています。
Figure 2 膵島に対する高感度イメージングシステム
OB・OG の主な進路
臨床医、研究者も可能、ライフサイエンス系企業も可能
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当分野では、基礎研究の成果が臨床に応用される過程を実際に経験する機会が多いことが特長です。移植医療や再生医療の研究と臨床に興味のある方
の参加をお待ちしています。
先進細胞移植学
149
様々な原因でおこる腎障害に対して最も適した個別化医療を
立案し、QOL の高い統合医療を地域に提供します
統合遠隔腎臓学
医科学専攻
清元 秀泰
修士課程 / 博士課程
教授
分野ウェブページ
Integrated Nephrology and Telemedicine
Hideyasu Kiyomoto
Professor, M.D. Ph.D.
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/cooperate/197/
index.html
連絡先
TEL022-273-6289
[email protected]
この分野の研究テーマ
・腎疾患に対する統合的治療の実践と未来型個別化医療の構築
・医療情報の ICT 化促進と効果的な遠隔医療支援体制の確立
・NBM(Narrative-Based Medicine)に基づく最適な腎疾患対策
研究キーワード:慢性腎臓病、急性腎障害、個別化医療、腎移植、遠隔医療
技術キーワード:遠隔モニタリング、在宅血液透析、医療情報 ICT 化、ゲノム解析、血液浄化療法
腎は多くの分化した細胞が複雑な構造を形成する器官で、
血液の老廃物の浄化作用の他、循環・代謝・内分泌臓器とし
ても重要です。腎炎や生活習慣病(高血圧や糖尿病等)から
慢性腎臓病(CKD)になり、進行すると心血管障害の大きな
リスクとなります。また、
薬剤や手術などで急性腎障害(AKI)
が発症すれば、死に直結する重篤な病態となります。CKD
や AKI にはエビデンス(Evidence-Based Medicine: EBM)に
基づく適切な治療が必須で、個々の病態にあった最適な治療
を実践することが統合腎臓学の目標です。さらに早期発見と
早期治療により末期腎不全を未然に防ぐ、そのためにゲノム
解析によって明らかにされた個々の体質に基づくテーラー
メード医療(personalized medicine)の基礎を確立します。
加えて、日本では保険収載されているものの未だ十分に浸透
していない腎移植や在宅血液透析を推進し、たとえ腎不全が
あってもスポーツを楽しんだり健康な挙児を育くめるような
生活の質(Quality of Life: QOL)の高い腎代替療法を実現す
るための支援を行います。そして、交通インフラの復旧が不
十分な被災地でも、医療情報の ICT 化と遠隔医療支援技術を
駆使して、距離の遠さが医療水準の低さにつながらない医
療環境整備に努めます。また、エビデンス(EBM)に基づく
医療支援はもとより、患者さんのニーズに合った NarrativeBased Medicine(NBM)に基づく最適な統合腎疾患治療を
実践します。
被災地域に対する在宅支援・セルフモニタリング支援
セルフ・モニタリング評価と医療アドバイス
在宅医療
東北大学
専門医師
循環型医師支援
遠隔医療支援
電子データ共有
体質に応じた
疾病予防と治療
地域支援病院
地域支援病
コホート参加
地域医療支援
センター
偶発所見・医療受診勧奨
Figure 1 医療過疎地への遠隔医療支援
Figure 2 個別化医療に基づく包括的腎不全治療
OB・OG の主な進路
大学教員、海外特別研究員、診療情報管理部、GMRC、臨床工学技士、医療コンサルタント、病院チャプレン、政治家
担当教員より進学志望者へのメッセージ
少子高齢化社会では個別化予防と在宅医療が大きなキーワードです。創設して間もない分野ですが、人文・医工学・医学・薬学の融合から 21 世紀の
医療人を育成します。
150
統合遠隔腎臓学
環境・遺伝相互作用の観点から周産期個別化医療を目指して
母児医科学
医科学専攻
菅原 準一
修士課程 / 博士課程
教授
Feto-Maternal Medical Science
Junichi Sugawara
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.ob-gy.med.tohoku.ac.jp/laboratory/
j-sugawara.html
連絡先
TEL022-273-6283
[email protected]
この分野の研究テーマ
・妊娠高血圧症候群をはじめとした周産期疾患のゲノム解析
・周産期疾患の多層オミックス解析
・地域周産期医療を支えるシステム構築、産科プロバイダーの育成
研究キーワード:妊娠高血圧症候群、ゲノム、オミックス、産婦人科、地域医療
技術キーワード:ゲノム解析、GWAS、オミックス解析
東日本大震災からの復興事業を推進すると共に、生殖―周
産期医療を俯瞰し、妊娠高血圧症候群をはじめとした周産期
疾患の病因解明、早期診断、新規治療法の開発を行っていま
す。
1.大規模ゲノムコホート研究
ToMMo による地域住民コホート、三世代コホート調査を
基盤として、多くの周産期疾患の病態解明を目指して、多層
オミックス解析(ゲノムープロテオーム―メタボローム)を
進めております。家系情報付きのゲノム解析を行うことで、
明らかにされていないゲノムー環境相互作用を紐解いてゆき
ます。
2.妊婦の時系列でのオミクス、ゲノム情報と日々のライフ
ログとの統合情報解析
妊婦の健康状態の変化を、日々のライフログ(血圧、活動
量、体重、体温など)と合わせて連続的に情報集積すること
で、ライフログ、生活習慣およびゲノム・オミックス情報を
統合解析します。これらによって、妊娠合併症の発症リスク
を予測することを目指し、2015 年 9 月に本格調査を開始し
ました。(NTT ドコモと ToMMo の共同研究)
3. 周産期疾患の新規バイオマーカー探索による早期診断法
の開発
当研究室では、本学薬学研究科寺崎研究室とプロジェクト
チームを作り、独自のインシリコ技術によるプロテオーム解
析による、妊娠高血圧症候群の早期診断バイオマーカー探索
を行っております。これらによる、新しい診断アルゴリズム
の開発が期待されています。
担当教員より進学志望者へのメッセージ
産科領域の様々な未解決な課題に対して、新しいコホート研究やゲノム・オミックス解析手法を通じて、長期的な視野で母児を守る統合的な研究を共
に進めませんか
母児医科学
151
ゲノム歯科学が拓く未来の健康支援
地域口腔健康科学
医科学専攻
坪井 明人
修士課程 / 博士課程
教授
Community Oral Health Science
Akito Tsuboi
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.dent.tohoku.ac.jp/field/megabank/01/
index.html
連絡先
TEL022-274-5985
[email protected]
この分野の研究テーマ
・全身の健康維持と増進に影響を及ぼす口腔由来健康因子の解明
・大規模コホート研究から得られるゲノム歯科医療システムの構築
研究キーワード:口腔保健、前向き大規模コホート、口腔メタゲノム、生活習慣病
技術キーワード:嫌気培養、統計解析、メタゲノム解析
近年急進する少子高齢化や核家族化によって地域・家族の
つながりは希薄化し、同時に地域コミュニティ機能の脆弱化
も座視できないものとなっています。そのため、脆弱化した
地域コミュニティ機能の下でも持続可能な健康支援システム
の構築が喫緊の課題です。
全身の健康を維持する上で、口腔内環境を整えることの重
要性が広く認められてきており、例えば、齲蝕や歯周病など
の口腔内疾患と、感染性心内膜炎や糖尿病などの全身疾患と
の関係性に関する報告が多数認められます。しかし、その因
果関係が解明されているものはほとんどないのが現状です。
そこで当分野では、前向き大規模ゲノムコホート研究から得
られた情報に基づいて、口腔および全身の健康の維持・増進
Figure 1 口腔内細菌嫌気培養後のコロニー
に影響する口腔由来因子をゲノム情報の観点から明らかに
し、新たな健康支援システムの構築を目指しています。
東北メディカル・メガバンク機構にて推進されている前向
き大規模コホート研究においては、ヒトゲノム情報や生活習
慣、健康情報、医療情報が広く収集・分析されます。当分野
は、このコホート研究の歯科関連項目の情報収集に携わって
おり、一般的な口腔内の情報とともに、口腔内細菌のゲノム
情報も収集・解析する予定です。これらの情報を有機的に分
析することにより、口腔内環境と全身の健康状態との関連を
解明し、未来のゲノム情報を利用した(歯科)医療支援シス
テムの構築が可能となると考えています。
Figure 2 心血管障害と糖尿病を持つ重度歯周病患者
担当教員より進学志望者へのメッセージ
口腔内疾患と全身の健康の関係を、ゲノム情報から紐解いていくことを目標としています。興味のある方は、ご相談ください。
152
地域口腔健康科学
地域の方々の健康を守るために、体質と生活習慣・環境の
組み合わせと疾病リスクの関連を調査します
個別化予防・疫学
医科学専攻
寳澤 篤
修士課程 / 博士課程
教授
Personalized Prevention and Epidemiology
Atsushi Hozawa
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.pprevention.megabank.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL
E-Mail
022-274-5981
[email protected]
この分野の研究テーマ
・東北メディカル・メガバンク事業地域住民コホート調査
・震災が地域住民に与える健康影響の検討
・地域住民における生活習慣病に対する遺伝・環境交互作用の検討
研究キーワード:地域住民コホート、震災後健康状況、遺伝子、生活習慣、遺伝・環境交互作用
技術キーワード:コホート調査、疫学、統計
個別化予防・疫学分野は、主に東北メディカル・メガバン
ク事業が行う地域住民コホート事業を担当しています。地域
住民コホート調査では、震災後の地域の健康状況の把握に努
め、地域の保健・医療の向上を目的に調査を実施しています。
また、コホート研究としては遺伝・環境交互作用を含めた疾
患リスク評価を行うことで、種々の疾患の原因究明に貢献し
ていきたいと思っています。研究室の構成としては、これま
で循環器疾患の疫学調査に携わってきた寳澤が教授を務め、
講師の中谷は慢性疾患患者及びその配偶者・家族の健康影響
を研究しています。助教の中村は疫学・ゲノムデータに関す
る統計解析を研究、同じく助教の土屋は感染症・HIV の疫学
を専門としています。現在、大学院生も 1 名所属し、調査の
Figure 1 地域住民コホート調査 ( 特定健診相乗り型 )
現場での活動を見つつ、疫学データの解析を精力的に行って
います。
地域住民コホート調査では調査に参加された方々から得ら
れたアンケート調査等より食習慣を含めた詳細な生活習慣情
報を取得、さらに遺伝子情報の解析も進んでいます。また、
一部の対象者(2015 年 1 月段階で約 10,000 人)については
頸動脈エコー等の詳細な検査データもそろってきています。
地域住民の健康を守るための方策を一緒に考えたい方、病
気の原因について疫学的なアプローチを行い方、これまで生
活習慣だけでは解明しきれなかった病気の原因解明に興味が
ある方、ご連絡ください。
Figure 2 地域住民コホート調査(支援センター型調査・結果報告会)
担当教員より進学志望者へのメッセージ
地域住民の健康を守るための方策を一緒に考えたい方、これまで生活習慣だけでは解明しきれなかった病気の原因について疫学的なアプローチを行い
方、ご連絡ください。
個別化予防・疫学
153
バイオバンク生命科学分野は個別化医療・予防の推進に
向けてバイオバンク運営に関わる研究を行います
バイオバンク生命科学
医科学専攻
峯岸 直子
修士課程 / 博士課程
教授
Biobank Life Science
Naoko Minegishi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-272-3103
[email protected]
この分野の研究テーマ
・バイオバンク試料の品質向上に関わる研究
・バイオバンク管理技術の向上に関わる研究
・遺伝子多型に伴う細胞形質の変化に関わる研究
研究キーワード:バイオバンク、生体試料、解析前因子、ヒトゲノム、個別化医療・予防
技術キーワード:生体試料の品質管理、細胞を使った解析法、遺伝子多型と細胞形質、試料の凍結保存技術、情報通信技術によ
る工程管理
バイオバンク生命科学分野は東北メディカル・メガバンク
機構に属し、バイオバンクの構築と管理に関わる研究を行い
ます。バイオバンクには病院の試料を収集する病院型と、健
康な一般住民の試料を集める住民型があり、当機構のバイオ
バンクはメガバンク機構の住民健康調査(コホート研究)と
連動した住民型の大型バイオバンクです。当バイオバンクで
は、研究参加への同意が得られた提供者から収集された血漿、
血清、バフィーコート、ゲノム DNA 、尿、末梢血および臍
帯血由来の単核球などの生体試料を、匿名化された健康情報
と連結した形で保存しており、自動システムや情報通信技術
を駆使することにより、正確な試料の調整や保存の管理を実
Figure 1 バーコードと自動化による正確な試料調整
現しています。2015 年 12 月までに約 12 万人の提供者から
210 万本以上の生体試料をバイオバンクに保存し、最終的に
15 万人分の試料を保存する予定です。これらの試料や情報
は、学内外を問わず多くの研究者に利用され、ゲノム情報に
基づいた個別化医療・予防の推進に役立てられます。質の高
い研究には良い品質の試料や情報が必要です。そこで、私た
ちは、より良い品質の生体試料の提供するために、生体試料
とデータの管理の最適化などの研究を行っています。また、
保存された細胞などを用いて、各人の遺伝子多型と疾患リス
クの関連の検証を目指した新たな実験系の開発に取り組みま
す。
Figure 2 生体試料を長期保存する液体窒素保管庫
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当分野では、バイオバンク運営に関連した基礎医学研究を行っています。遺伝子と疾患の関係を解明するための最先端の研究を切り開く熱意のある方
を歓迎します。
154
バイオバンク生命科学
個別化医療、個別化予防に向けたゲノム、オミックス解析
バイオマーカー探索
医科学専攻
布施 昇男
修士課程 / 博士課程
教授
Biomarker Investigation
Nobuo Fuse
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-273-6210
[email protected]
この分野の研究テーマ
・緑内障、黄班変性を中心とした眼疾患のゲノム・オミックス解析
・疾患や薬剤感受性と関連する遺伝子の同定
・疾患や薬剤感受性と関連するバイオマーカーの探索
研究キーワード:ゲノム、オミックス、バイオマーカー、分子遺伝学
技術キーワード:次世代シークエンサー、全ゲノム解析、エクソーム解析、SNP アレイ
バイオマーカー探索分野では、大規模バイオバンクに集積
される血液などの生体試料から、疾患や薬剤感受性と関連す
る遺伝子の同定と、それらのバイオマーカーの探索を行いま
す。欧米人で得られたゲノム情報は、必ずしも日本人には適
応できません。ゲノムリファレンスパネルの作成を行い、健
康情報・診療情報を集約した網羅的な情報基盤と関連させて
SNP アレイの開発、疾病・薬剤感受性関連アレルの探索を行
います。近年、次世代シークエンサーの発達から遺伝子情報
の取得が飛躍的に容易になってきており、個人のゲノムを詳
細に決定し、ゲノムコホート研究において形質や疾患との相
関について明らかにしていきます。
また、メディカル・メガバンクは健常人コホートですの
で、合わせて疾病にかかっている方の臨床検体の解析を通じ
て、病気の原因遺伝子と言ったの本態に迫るとともに、バイ
オマーカーの探索を行います。実際のクリニカルシークエン
スも視野に入れております。私自身は実際の診療も行ってい
る MD であり、遺伝子情報・オミックス情報を組み合わせ、
疾患の予防や診断精度の向上、治療効果の向上を目指した個
別化医療の実現を目指します。
担当教員より進学志望者へのメッセージ
個別化医療、個別化予防に向け、ゲノム、オミックス解析した結果を実際の医療の現場に還元、応用することを目指す方、大歓迎です。
バイオマーカー探索
155
ゲノム解析の全てを網羅する
分子ネットワーク解析
医科学専攻
安田 純
修士課程 / 博士課程
教授
Molecular Network Analysis
Jun Yasuda
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-272-3102
[email protected]
この分野の研究テーマ
・日本人標準ゲノムパネルの構築
・疾病関連遺伝子変異の探索
・がんのゲノム解析
研究キーワード:ヒトゲノム構造、集団遺伝学、がんゲノム異常
技術キーワード:次世代シークエンサー、SNP アレイ、長鎖 DNA 解読
被災地復興のためにゲノム・オミックス情報に基づく個別
化予防、個別化医療を実現するために、ゲノムコホート検体
の解析から、被災地で悪化する疾病発症に関する分子間ネッ
トワークを解析します。我々はこれまでに数千人分の全ゲノ
ム配列を解読し、日本人全ゲノムリファレンスパネルを作成
しており、次のステップとして「ヒトゲノム構造変化による
疾病感受性変化の解明」と「細胞内分子間相互作用と疾病発
症機構の関連の解明」に焦点を当てて研究を推進します。被
Figure 1 多層オミックス解析による疾患研究
156
分子ネットワーク解析
災地域の住民の皆さんのゲノム配列を詳細に明らかにする過
程で予想される数百万もの一塩基多型のうち、いくつかは比
較的最近発生した病的意義のあるものが含まれています。こ
れらを統計や生命情報科学のみならず多層オミックス解析な
どを駆使して解析し、真に疾病にかかわると思われる変異を
推定することが目標となります。最終的にはゲノム配列から
疾病感受性を推定し、患者個々人に適切な医療を実現するた
めの情報を提供します。
Figure 2 次世代シーケンスプラットフォーム
ゲノム、オミクス、メタゲノム情報解析を通じた大規模
データ駆動型の医学研究を行っています
バイオメディカル情報解析
医科学専攻
長﨑 正朗
修士課程 / 博士課程
教授
Biomedical Information Analysis
Masao Nagasaki
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://nagasakilab.csml.org/ja/
連絡先
TEL022-273-6051
[email protected]
この分野の研究テーマ
・スーパーコンピュータを用いたヒトゲノム、オミクス、メタゲノムの大規模情報解析
・ゲノム、オミクス、メタゲノム情報と疾患や形質との関係性の情報解析
・高性能シークエンサや SNP アレイを用いたゲノム情報の情報処理技術・ソフトウェア開発
研究キーワード:生命情報学、データ駆動型解析、スーパーコンピュータ、高性能シークエンサ、ヒトゲノム
技術キーワード:全ゲノム解析、大規模関連解析、多層オミクス解析、メタゲノム、機械学習
十数年前、国際ヒトゲノムプロジェクトでは、各国の数百
人の研究者が数千億円以上かけ、ヒト一個体分のゲノム解読
が行われました。現在、ヒト 1 人の全ゲノム情報が数日で数
十万円で決められます。それに伴い、ゲノム情報、オミクス
情報(トランスクリプトーム、メタボローム、プロテオーム)、
バイオメディカル情報(医療情報、アンケート情報、生理学
検査情報)などの超ヘテロビックデータを統合解析する技術
が医学研究に求められています。当分野は、情報科学、バイ
オインフォマティクス、数理統計学、集団遺伝学、分子進化
学などを専門とするスタッフ陣が英知を結集し研究を推進し
ています。当分野では、最新鋭のスーパーコンピュータを駆
使し、高性能シークエンサによって取得された 100 兆塩基
Figure 1 個人ヒトゲノムの大規模解析と医療応用へ
の日本人の約 1000 人の情報解析を行い、日本人の全ゲノム
リファレンスパネルを公開(http://ijgvd.megabank.tohoku.
ac.jp/) しました。また、日本人に適した SNP アレイ(ジャ
ポニカアレイ)を設計し社会実装にも貢献しています。各学
生の興味に応じて医学研究に関わる大規模なデータ解析の研
究指導を行い、情報科学と医学の両面の立場からビッグデー
タを自在に解析できるデータサイエンティストの育成を目指
します。また、学生の方の興味に応じて簡単な生物実験につ
いては当研究室の設備を用いて指導を行い、より高度技術や
生体試料を用いた実験については、他の研究室と連携し指導
します。
Figure 2 データ駆動型研究によるビッグデータ解析
OB・OG の主な進路
製薬関連会社(研究所)、IT 関連企業、バイオインフォマティクス関連企業、大学研究者、医師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
医学研究において大規模な情報処理と知識発見を効率良く行うことが必須になりつつあります。ヒトゲノムやオミクス解析を通じ新たな知見を発見す
る喜びを一緒に得ましょう。
バイオメディカル情報解析
157
人類の未来と持続可能医療を切り開く:
ゲノム医学・個別化医療のための遺伝統計学
ゲノム遺伝統計学
医科学専攻
田宮 元
修士課程 / 博士課程
教授
Statistical Genomics and Genetics
Gen Tamiya
Professor, Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.genetix-h.com/~SGG
連絡先
TEL
E-Mail
022-274-6018
[email protected]
この分野の研究テーマ
・遺伝統計学を用いてゲノムビッグデータを分析し、ヒト疾患の病因を解明する
・同定された遺伝素因や環境要因を用いて個々人の発症リスク予測を可能にする
・人類の遺伝的特性を理解し、人類の未来の諸問題に関する人道的解決策を探る
研究キーワード:遺伝統計学、集団遺伝学、量的遺伝学、ゲノム医学、ゲノムコホート
技術キーワード:中立説、ゲノムビッグデータ、遺伝子・環境相互作用、小標本高次元データ、p>>n 問題
糖尿病や高血圧、精神疾患のようなヒトのありふれた複雑
な疾患は、その発症に複数の環境要因と遺伝素因が寄与する
と考えられている。これまで、疫学研究は環境要因を、ゲノ
ム研究は遺伝要因を同定してきた。しかし、それらの個別の
要因だけではヒト疾患の発症を十分に説明できない。用いた
研究デザイン、ゲノム情報や遺伝理論などが制限となってい
るとされている。現在、その解決に向けて、大規模前向きコ
ホート集団を次世代シークエンサーのような最先端のゲノム
解析技法で解読することで、遺伝子と環境、そしてその相互
作用を包括的に解明するという、いわゆる「ゲノムコホート
研究」が国家規模で実施されている。しかしながら、その実
現には、単なるデータ収集面での困難だけではなく、もっと
本質的な諸問題が存在する。ひとつは、ヒト疾患の遺伝的アー
キテクチャーについていまだ適切なモデルが存在しないこと
であり、もうひとつは、小標本高次元の特徴を持つゲノムビッ
グデータに適切に適用できる統計手法が未整備であること
だ。前者は「失われた遺伝率の問題」と呼ばれ、後者は「p>>n
問題」と呼ばれる。本研究分野では、この本質的な諸問題を、
古典的な集団遺伝学・量的遺伝学の理論にたつ最先端の遺伝
統計学を用いて解決することを目指している。このような研
究によって、未来の持続可能なゲノム医学・個別化医療への
道が開かれる。
Figure 1 ゲノム医学・個別化医療
OB・OG の主な進路
できたばかりの分野でまだ OB/OG がいません
担当教員より進学志望者へのメッセージ
実験からインフォマティクス、統計分析から遺伝理論まで、疾患病因同定に必要な知識と技術を幅広く学べます。参考:ゲノム医学のための遺伝統計
学 ( 田宮他、2015、共立出版 )
158
ゲノム遺伝統計学
エビデンスにもとずいた遺伝カウンセリング
遺伝子診療支援・遺伝カウンセリング
公衆衛生学専攻
川目 裕
修士課程
教授
Genomic Medicine Support and Genetic Counseling
Hiroshi Kawame
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.clin-gc.megabank.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-274-5998
[email protected]
この分野の研究テーマ
・先天異常症候群の自然歴と遺伝カウンセリングに関する研究
・ゲノム情報を用いた個別化医療・予防における遺伝カウンセリングに関する研究
・認定遺伝カウンセラーの育成と臨床遺伝医療の啓発に関する研究
研究キーワード:遺伝カウンセリング、先天異常症、自然歴、個別化医療・予防、教育・啓発
技術キーワード:遺伝カウンセラー育成、系統的レビュー、ロールプレイ演習
研究のひとつの柱は、先天異常症に関する遺伝カウンセリ
ングに関する研究です。先天異常症の診療にも網羅的なゲノ
ム解析が導入されていますが、一方で単一遺伝子疾患も多く
あります。先天異常症を有する子どもとその家族の診療と遺
伝カウンセリングに経験をもとに、先天異常症の遺伝医療の
特に心理社会的側面のエビデンス生成に貢献する研究をすす
めます。二番目の研究は、2013 年の北米からの “Incidental
findings”(現、secondary findings)の臨床における取り扱
いに関するガイドラインの発表は、すべての医療で網羅的ゲ
ノム情報が用いられる時代の本格的到来を示す最先端のガイ
ドラインでありました。これらのゲノム情報を用いた個別化
Figure 1 修士課程講義風景
医療・予防が本当に私たち生活者に有用となるよう、遺伝カ
ウンセリングをキーワードに研究を進めてゆきます。さら
に、” 遺伝医療 ” のリテラシーをための啓発、教育に関する
研究によって、社会における遺伝情報を利用する医療の基盤
形成に貢献します。
また当分野では、最新のゲノムの知識に加えて医療や社会
資源の知識も有し、豊かなコミュニケーション能力を備え、
クライエントに寄り添える遺伝カウンセラーを、公衆衛生学
専攻の教育コースとして育成し、遺伝医療、遺伝カウンセリ
ングに貢献します。
Figure 2 認定遺伝カウンセラー
OB・OG の主な進路
国立大学病院
担当教員より進学志望者へのメッセージ
認定遺伝カウンセラーを志す修士生を受け入れています。
新しい専門職です、
“path finder”としてのチャレンジ精神と情熱、そして、しなやかな心のある方を求めています。
遺伝子診療支援・遺伝カウンセリング
159
疾患予防と治療に遺伝情報を活用する時代を切り開く
遺伝疫学研究支援
医科学専攻
鈴木 洋一
修士課程 / 博士課程
教授
Genetic Epidemiology Research Support
Yoichi Suzuki
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.genepi.megabank.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-273-6411
[email protected]
この分野の研究テーマ
・遺伝子診療、遺伝医学の啓発、普及、教育
・アレルギー性疾患の遺伝疫学、分子病態学
・ビオチンの代謝、生理機能の研究
研究キーワード:遺伝疫学、遺伝子診療、喘息モデルマウス、アレルギー性疾患、分子遺伝学
技術キーワード:遺伝子の変異解析、遺伝子の機能解析、遺伝子発現実験、喘息モデル動物
以下の様なテーマで研究活動を行っています。
「人の遺伝学、臨床遺伝学、遺伝医療に関する教育、啓発、
普及活動」
臨床遺伝に関する教科書の作成。
遺伝医学講義のビデオ作成。
人類遺伝学を理解する為の映像作品。
臨床遺伝教育・啓発のためのドラマ作成。
一般向け、幼児向けの遺伝教育グッズの開発。
Figure 1 MMP12 の遺伝子多型と喘息
「アレルギー性疾患の分子疫学、遺伝疫学的病態解析」
喘息の発症に関わる遺伝子の個人差と病態における役割
について。
気道の免疫、炎症の分子生物学的解析。
喘息モデルマウスをつかった病態解析。
「ビオチン代謝異常症の遺伝子異常と病態解析、ビオチン
の生理機能」
「大規模遺伝子解析研究における遺伝情報回付に関する研究」
Figure 2 TBXA2R のハプロタイプと呼吸機能の関連
担当教員より進学志望者へのメッセージ
人類遺伝学、臨床遺伝学、アレルギー性疾患の遺伝子に興味がある方、連絡ををお待ちしております。
160
遺伝疫学研究支援
PET を中心とした多様な分子イメージング技術を駆使して
精神神経疾患の病態の解明に挑む
分子・神経イメージング
(放射線医学総合研究所)
須原 哲也
教授
Molecular Neuroimaging
Tetsuya Suhara
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.nirs.go.jp/seika/brain/
連絡先
TEL043-206-3194
[email protected]
この分野の研究テーマ
・脳機能および精神・神経疾患の病態と治療評価に関する臨床研究
・精神・神経疾患発症の分子メカニズムに関する基礎研究
・脳機能局在の分子メカニズムに関するトランスレーショナル研究
研究キーワード:分子神経イメージング、橋渡し研究、統合失調症、うつ病、認知症
技術キーワード:PET、生体イメージング、病態動物モデル、生化学、神経病理
うつ病、統合失調症やアルツハイマー病などの精神・神経
疾患は病気の原因が十分解明されておらず、その診断および
治療法を開発する上でメカニズムの解明は急務となっていま
す。脳の研究において、イメージングの手法は遺伝子解析と
並ぶ重要な研究手法として位置づけられており、特にポジト
ロン断層撮影(PET)は脳内の分子を直接可視化できること
から、薬物開発に重要な役割を果たすことが期待されていま
す。
Figure 1 デザイナー受容体・薬物系による行動制御
分子神経イメージングプログラムでは、PET を中心とした
多様なイメージング技術を駆使して脳の機能を解明すること
を目指しています。ヒトおよび病態モデルを含むサル、ネズ
ミの研究をシームレスに連結、基礎と臨床の双方向の橋渡し
をイメージング手法と生化学的、病理学的解析などを組み合
わせることにより、精神・神経疾患の意欲の低下、妄想、記
憶障害などの多様な症候の原因を明らかにし、診断および治
療法の開発に貢献することをミッションとします。
Figure 2 線条体の機能的結合と優越の錯覚の関係
OB・OG の主な進路
大学教員、公務員、臨床医、博士研究員、米国ポスドク、製薬企業研究員、イメージング関連企業研究員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
ネズミ、サル、ヒトの PET を中心とする in vivo イメージング、病態動物モデルの作出および生化学・病理学的解析などの技術を習得可能。何でも気
軽に相談できる環境も魅力。
分子・神経イメージング
161
癌特有な「糖代謝」や「リン酸化制御」を標的とする、
新たながん診断・治療を開発する
がん分子制御学
(宮城県がんセンター)
島礼
教授
Cancer Molecular Biology
Hiroshi Shima
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.miyagi-pho.jp/mcc/kenkyu/soshiki-renkei.html
連絡先
TEL022-381-1165
[email protected]
この分野の研究テーマ
・“ がんの増殖・幹細胞性に関わる代謝特性(ワールブルグ効果)” に関する研究
・プロテインホスファターゼを標的とした、がんの新規診断・治療法の開発
研究キーワード:がん特有の糖代謝、ワールブルグ効果、脱リン酸化反応、遺伝子不安定性
技術キーワード:遺伝子改変マウス、メタボローム解析、ライブイメージング、代謝プロファイリング
(1) がん特異な代謝:近年、がん細胞で起きている代謝異
常が、がんの発生や進展・転移・幹細胞性維持などに重要な
役割をもつことが明らかになり、新規治療標的として、注目
が集まっている。がん細胞では、細胞の主要な糖代謝経路の
うち、解糖系が、異常亢進している(ワールブルグ効果)
。
この代謝異常には、ある解糖系酵素の「正常型から、がん型
へ」というアイソザイム変換が深く関わると想定されている。
① 我々は上述酵素のアイソザイム変換が不可能となるマウ
スモデルを開発した。② また、上述アイソザイム変換をター
ゲットとした抗がん剤候補化合物を探索するための、新規ス
クリーニング系を開発した。今後、これら独自の系を活用し、
解糖系酵素のがん性アイソザイム変換を標的とした『ワール
ブルグ効果解消による、新規がん治療技術の構築』に挑戦し
たい。
(2) がん特有のリン酸化制御の異常:タンパク質のリン酸
化は、キナーゼ(リン酸化酵素)とホスファターゼ(脱リン
酸化酵素)のバランスで制御される。これまで、リン酸化の
研究はキナーゼを優位に進められてきており、抗がん剤開発
において先行してきた。一方、最近、各々のホスファターゼ
の制御機構、がんや感染症との関わりが次々と明らかにされ、
ホスファターゼをターゲットとした診断や分子標的薬の開発
が可能となってきた。我々は、その実現に取り組んでいる。
PP6 ホスファターゼ欠損皮膚は、化学発癌が起こりやすい
(発がん剤の一回投与のみで、早期に腫瘍が発生する)
正常マウス皮膚
発がん剤 (DMBA)
腫瘍プロモーター (TPA) 反復投与
16 週
PP6欠損マウス皮膚
5週
Figure 1
Hayashi ら、Oncogene2015
Figure 2
担当教員より進学志望者へのメッセージ
診療部門との緊密な連携のもと、がん医療に応用できる革新的な研究を推進しています。社会人も受け入れています。隣のがんセンター病院で勤務し
ながら学ぶことができます。
162
がん分子制御学
がんの悪性化機構を探求し、がんの根源からの撲滅を目指す
がん幹細胞学
(宮城県がんセンター)
佐藤 賢一
教授
Cancer Stem Cell Research
Kennichi Satoh
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/related/176/index.html
連絡先
TEL022-384-3151
[email protected]
この分野の研究テーマ
・各種がん幹細胞の性質の解明と、がん幹細胞を標的とした治療法の開発
・がんの浸潤・転移を促進する因子の解明とそれを標的とした治療法の開発
・各種がんのバイオマーカーの発見
研究キーワード:がん幹細胞、癌進展、バイオマーカー
技術キーワード:細胞分離、細胞培養、遺伝子操作、動物実験、病理解析
近年の研究から、がんの転移や抗がん剤耐性はがん幹細
胞といわれるがん細胞の中でもごくわずか(数 % 程度)の
細胞によってもたらされていることが示唆されています。ま
た、がん幹細胞として選別される細胞は上皮 - 間葉形質転換 :
EMT が誘導されている状態にあることが示されていることか
ら、がん幹細胞並びに EMT 化癌細胞は有望な癌治療の標的
と考えられます。がん細胞は酸素が充分に存在する環境下で
も解糖系によってエネルギーを得ることが Warbrug 効果と
して知られています。しかし、ごく最近の研究では、がん幹
細胞は通常のがん細胞と異なり、解糖系ではなく TCA 回路を
用いた代謝を好むことも示唆されています。当研究室では、
このがんの根源ともいえるがん幹細胞の性質が がんの悪性
Figure 1 がん幹細胞の特性
度を増強することに着目し、EMT 誘導分子や代謝関連分子と がんの悪性化との関連についての研究を行っています。
当センター Tissue bank には臨床各科の協力により、各種
のがん検体が 2,000 検体以上、研究に使用できる状態で保管
されております。基礎研究の結果を即座に臨床検体で確認す
ることができます。私たちは、各種がんとその正常部におけ
る様々な分子の発現差を解析し、臨床データと比較すること
によってがんの悪性化に関与する分子を同定することを試み
ています。
豊富な検体と臨床データを融合させることが可能であり、
様々なニーズに合わせた研究が行えることが当研究室の特徴
です。
Figure 2 HOTAIR の胃癌細胞悪性化への関与
OB・OG の主な進路
国立大学法人
担当教員より進学志望者へのメッセージ
仙台から少し離れたところにある小さな研究室です。静かな環境で研究に集中できます。
がん幹細胞学
163
臨床に直結した婦人科腫瘍の研究を
婦人科腫瘍学
(宮城県がんセンター)
山田 秀和
教授
Gynecologic Oncology
Hidekazu Yamada
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
http://www.ob-gy.med.tohoku.ac.jp/laboratory/
h-yamada.html
連絡先
TEL
E-Mail
022-384-3151
[email protected]
この分野の研究テーマ
・婦人科腫瘍手術に関する研究
・再発婦人科癌の治療に関する研究
・若年悪性腫瘍患者に対する妊孕性温存治療
研究キーワード:婦人科癌、卵巣癌、若年癌患者、再発癌
技術キーワード:疫学、機能温存、妊孕性温存
1. 手術に関する研究:現在最も積極的に取り組んでいる治
療であり、患者さんの機能温存、負担軽減を目指した手術を
確率したいと考えています。具体的には以下の点について取
り組みたいと進めている(今後進める)ところです。
1)広汎子宮全的における排尿機能の温存。
2)卵巣癌の初回手術における optimal surgery 率の向上。
3)再発卵巣癌の手術療法の確立。
4)子宮体癌症例に腹腔鏡手術の導入。
5)術後の合併症予防に関する研究(リンパ浮腫、血栓症
など)
2. 再発卵巣癌の治療に関する研究
1)化学療法:QOL を保ち、かつ効果的な再発卵巣癌に対
Figure 1 機能温存・合併症軽減の取り組み
担当教員より進学志望者へのメッセージ
婦人科腫瘍を志す、臨床を中心に学びたい方を歓迎します。
164
婦人科腫瘍学
する化学療法を確立する。
2)手術療法・放射線療法
本来局所療法である手術・放射線療法は再発卵巣がん
治療の主要な手段とはならない。しかしながら一定の
患者さんに対して極めて有用である可能性がある。再
発部位、再発個数、前治療の程度や種類など再発卵巣
癌の手術や放射線治療の適応を明らかにしたい。
3)悪性腫瘍患者における妊孕性温存(Figure 2)
若年悪性腫瘍患者に対すして、卵子凍結保存を含めた
妊孕性温存治療を検討する。
Figure 2 がん患者に用いられる妊孕性温存治療
基礎と臨床のバランスのとれた泌尿器科医の育成
泌尿器科腫瘍学
(宮城県がんセンター)
川村 貞文
教授
Urologic Oncology
Sadafumi Kawamura
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-384-3151
[email protected]
この分野の研究テーマ
・泌尿器科悪性腫瘍の診断と治療
・効率的な前立腺がん検診システムの開発
・がん患者における QOL 研究
研究キーワード:前立腺癌、腎癌、膀胱癌、精巣癌、前立腺がん検診
技術キーワード:前立腺全摘術、放射線治療、癌化学療法、シアリダーゼ、QOL
泌尿器科腫瘍学分野は宮城県立がんセンター研究所に設置
された連携講座で、尿路性器悪性腫瘍(前立腺癌、腎癌、膀
胱癌、精巣腫瘍、腎盂尿管癌、副腎腫瘍、陰茎癌)の臨床が
主な研究領域です。
豊富な症例を生かして、手術療法を中心に癌化学療法、放
射線療法などの他、QOL 調査などの診療、研究、教育に取
り組んでいます。
また早期から前立腺がん検診にも取り組むなど、予防医学
にも力を注いでいます。
当分野では東北大学大学院社会人入学制度を活用すること
で、宮城県立がんセンターにおいて常勤医あるいはレジデン
トとして臨床の研鑽を積みながら、同時に当センター研究所
で基礎研究を行って博士号を取得することが可能です。
このようにして当分野では基礎と臨床のバランスのとれた
泌尿器科医を育てることを目標にしています。
OB・OG の主な進路
臨床医
泌尿器科腫瘍学
165
臨床と基礎研究能力を身につけた善き頭頸部外科医の育成を
目指す
頭頸部腫瘍学
(宮城県がんセンター)
松浦 一登
教授
Head and Neck Oncology
Kazuto Matsuura
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/related/229/index.html
連絡先
TEL
E-Mail
022-384-3151
[email protected]
この分野の研究テーマ
・頭頸部がんに対する機能温存療法の開発
・頭頸部がんに対する化学放射線療法における支持療法の開発
・頭頸部がんにおけるがん幹細胞マーカーの探索と特異的治療法の開発
研究キーワード:機能温存療法、支持療法、がん幹細胞マーカー
技術キーワード:内視鏡下 咽喉頭手術、皮膚ケア、栄養療法、CD271
頭頸部領域には「咀嚼」
「嚥下」
「構語」など多くの機能が
あり、この領域に生じる「がん」に対しては手術、放射線、
抗癌剤を用いた集学的治療が行われています。頭頸部がん治
療では生存率の向上と治療後に高いレベルで機能が残ること
が重要ですが、実臨床において両立は難しい課題です。そこ
Figure 1 頭頸部癌治療における戦略・戦術
でわれわれは、頭頸部がんに対する①機能温存療法の開発②
化学放射線療法における支持療法の開発③がん幹細胞マー
カーの探索と特異的治療法の開発を研究テーマとして活動し
ています。
Figure 2 マウスでの腫瘍形成と CD271+ 細胞の分化能力
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当講座では宮城県立がんセンター職員として給与を得ながら、社会人大学院制度を用いて頭頸部がんに関する基礎研究を行い、臨床技術を身につける
ことができます。
166
頭頸部腫瘍学
患者から病気を学び、患者・家族に還す
小児血液腫瘍学
(宮城県立こども病院)
今泉 益栄
教授
Pediatric Hematology and Oncology
Masue Imaizumi
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/related/151/index.html
連絡先
TEL022-391-5111
[email protected]
この分野の研究テーマ
・小児白血病の臨床研究
・遺伝性骨髄不全症候群の病因・病態の解明
・小児血小板減少症の病態・疫学研究
研究キーワード:小児白血病、遺伝性骨髄不全症候群、小児血小板減少症、小児がん、造血細胞移植
技術キーワード:血液病理学的解析、細胞遺伝学的解析、ゲノム解析
小児血液腫瘍学分野は宮城県立こども病院と東北大学の連
携講座で、こども病院血液腫瘍科で診療する小児の白血病や
難治性血液疾患の病態解明並びに新規の診断・治療法の研究
を行います。小児の血液疾患・腫瘍疾患は先天的素因を背景
に発病するものが多く、特定の遺伝子異常が疾患の病因・病
態と深く関連しており、患者の臨床像や検体を用い臨床に直
結した研究が重要です。研究対象として、1)小児白血病の
発生に係る遺伝子異常、2)遺伝性の骨髄不全症や白血球異
Figure 1
常症、3)難治性の小児血小板減少性疾患、4)小児がんなど
です。
宮城県立こども病院血液腫瘍科は、年間 20 例以上の新規
血液腫瘍性疾患および難治性血液疾患の診療、並びに年間 5
以上の造血細胞移植を実施しています。東北大学大学院医学
系研究科と密接な研究共同体制をとりつつ、病理学的あるい
は分子生物学的手法により病気の病態の解明、診断あるいは
治療の開発に繋がる研究を行います。
Figure 2
担当教員より進学志望者へのメッセージ
小児の血液腫瘍分野は基礎研究の成果が直接に臨床応用につながる分野です。小児血液腫瘍分野のサブスペシャリティを目指す小児科医の方は是非連
絡ください。
小児血液腫瘍学
167
胎児診断、胎児治療を主とした周産期専門医を目指すと
同時に、社会人大学院生として学位取得を目標としよう
胎児医学
(宮城県立こども病院)
室月 淳
教授
Fetal Medicine
Jun Murotsuki
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://plaza.umin.ac.jp/~fskel/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?page=%BC%B
C%B7%EE%B8%A6%B5%E6%BC%BC%A5%C8%A5%C3%A5%D7
連絡先
TEL022-391-5111
[email protected]
この分野の研究テーマ
・胎児の循環動態の解析
・胎児治療法の開発と臨床的応用
・胎児骨系統疾患の病態生理と出生前診断
研究キーワード:胎児循環評価、胎児血圧、胎児手術、骨系統疾患、双胎間輸血症候群
技術キーワード:位相差トラッキング法、胎児鏡、胎児 CT、NIPT、遺伝カウンセリング
本講座の主な研究テーマは以下の三つです。 [1] 工学系
研究科金井研究室との共同研究で、位相差トラッキング法に
より経母体腹壁的に胎児血管壁の微小振動を高精度計測し、
血管径変化波形から血圧、心駆出能、末梢血管抵抗などの心
循環系機能の評価です。本法はある2点間の距離を数ミクロ
ンの精度でみる超音波計測法です。血管径変化波形の解析に
よる胎児血圧の推定を試みています。正常胎児のみならず、
胸腔内シャント術や胎児鏡下レーザー手術といったインタベ
ンションを行う胎児を研究対象とし、治療の前後にどのよう
な循環動態の変化をきたしているかの解析を行っています。
すなわち胎児生理からみた胎児治療の評価です。 [2]「胎
児治療法の開発と臨床応用」であり、双胎間輸血症候群に対
する胎児鏡下レーザー手術の医学的社会的認知をはかること
に加え、胎児疾患に対する内科的、外科的な新しい治療を確
立することです。現在、酵素補充療法や iPS 細胞を用いた治
療を構想しています。 [3] 胎児期に発症する骨系統疾患に
ついてです。現在、
「胎児骨系統疾患フォーラム」という全
国の産科医、小児科医、整形外科医、放射線科医、分子生物
学者などのネットワークを組織し、年に一度の研究会を主催
しています。全国の症例を登録し、その胎児診断や予後の推
定、周産期ケアの追及を行っています。将来的には診断と管
理のガイドラインを作成することが目標です。
OB・OG の主な進路
大学附属病院、地域中核周産期センター
担当教員より進学志望者へのメッセージ
胎児診断治療を中心とした実地臨床をしながら、当講座での 4 年間で専門性を高めステップアップしていく医師の新しいロールモデルの確立を目指し
ています。
168
胎児医学
腫瘍内科学の臨床に即した悪性腫瘍の新規治療、バイオマー
カーの開発
がん治療内科学
(公益財団法人 がん研究会)
高橋 俊二
教授
Oncotherapeutic Medicine
Shunji Takahashi
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
連絡先
TEL03-3520-0111
[email protected]
この分野の研究テーマ
・新規抗がん剤、がん分子標的治療薬の早期臨床開発
・がん分子標的治療薬に対する耐性分子機構の解明と新規治療薬の開発
・多重遺伝子解析、血中循環腫瘍細胞・DNA 等を用いた新たなバイオマーカーの開発
研究キーワード:新規抗がん剤、分子標的薬耐性、がんバイオマーカー、がん骨転移
技術キーワード:第 1 相試験、次世代シークエンス、多重遺伝子解析、循環腫瘍細胞・DNA、動物転移モデル
当分野は公益財団法人がん研究会有明病院腫瘍内科領域
(化学療法部)よりなり、種々の臓器分野(呼吸器、消化器、
血液腫瘍、乳腺、頭頸部、肉腫、第 1 相試験など)の腫瘍内
科医が属している。1)当院は新規抗がん剤・分子標的薬の
早期臨床開発のセンターの一つであり、多くの患者が第 1 相
試験に参加している。新規薬剤の臨床開発に参加しながら新
たな臨床試験の立ち上げ、バイオマーカーの開発をおこなう。
2)分子標的薬に耐性となった患者の臨床サンプルから遺伝
子変異の解析、耐性腫瘍モデル樹立により新たな耐性機序
の解明、耐性克服治療薬の開発を目指す。3)本邦随一の薬
物治療患者数を背景とし、multiplex PCR, NGS による target
sequencing、循環腫瘍細胞、循環腫瘍 DNA による新たなバ
イオマーカーの開発を行う。4)当院はこれまでに転移、特
に骨転移に関する臨床研究を多数行っており、これを背景と
してあらたな骨転移メカニズムの解明と骨転移抑制剤 (bone
modifying agent) の開発を目指す。
OB・OG の主な進路
各大学腫瘍内科講座、がん拠点病院腫瘍内科
担当教員より進学志望者へのメッセージ
がん研有明病院で腫瘍内科の臨床研修を受けながら、TR の基礎から指導するコースです。臨床をしながら研究も始めたいという意欲ある先生方の参
加を期待しています。
がん治療内科学
169
臨床に根ざした世界標準研究への挑戦
地域精神医療
(宮城県立精神医療センター)
未定
Community Psychiatry
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/related/188/
連絡先
TEL022-384-2236
[email protected]
この分野の研究テーマ
・高校生を中心とした若者に対して、普及啓発から早期治療までを行うプロジェクト
・初発精神病に対する心理社会的介入を中心とした治療モデルの検討
・多職種訪問活動による治療効果の検証
研究キーワード:地域精神医療、重症精神疾患、病態解明、臨床研究、予防
技術キーワード:アウトリーチ、ケアマネジメント、震災、地域精神保健活動
当講座では、宮城県立精神医療センターの臨床活動を基盤
として、臨床研究を行っている。現時点では、①高校生を中
心とした若者に対して、普及啓発から早期治療までを行うプ
ロジェクト、②初発精神病に対する心理社会的介入を中心と
170
地域精神医療
した治療モデルの検討、③多職種訪問活動による治療効果の
検証、④震災後の仮設住宅における精神保健状態の改善に関
わる介入の 4 つのテーマについて、臨床研究を進めており、
所属すれば臨床しながらの博士号取得が可能である。
豊富な症例数と研究所が隣接する国立循環器病研究センターで
脳心血管病の基礎・臨床・橋渡し研究を推進
先進循環器内科学
(国立循環器病研究センター)
安田 聡
教授
Innovative Cardiovascular Medicine
Satoshi Yasuda
Professor, MD
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/related/189/
連絡先
TEL
E-Mail
06-6833-5012
[email protected]
この分野の研究テーマ
・ハイリスクプラークを同定するバイオマーカー・イメージング技術に関する研究
・心血管病の機序解明と保護的治療法に関する研究
・心筋梗塞後左室リモデリングにおける炎症の関与に関する研究
・心不全における新規バイオマーカーの開発
研究キーワード:虚血性心疾患、動脈硬化、心不全
技術キーワード:バイオマーカー、イメージング、先制医療
国立循環器病研究センターの魅力は、1)豊富な症例数 2)多彩な専門スタッフ 3)最新の医療設備 4)隣接す
る病院・研究所・研究開発基盤センター 5)バイオバンク にあります。基礎研究、臨床研究、橋渡し研究など 研究の
Figure 1 バイオマーカー・生体イメージングによる先制医療
応用展開が可能です。特に最近では、バイオマーカーや生体
イメージングを用いて、臨床症状の出現や発病以前に適切な
時期と手法で治療的な介入を行い、疾患の発症を防止、遅ら
せる新しい予防医療(先制医療)の実現を目指しています。
Figure 2 橋渡し研究の展開:治療標的としての生理活性ペプチド
担当教員より進学志望者へのメッセージ
国立循環器病研究センターの魅力は、1) 豊富な症例数 2) 多彩な専門スタッフ 3) 最新の医療設備 にあります。また、病院・研究所・研究開発
基盤センター、さらにはバイオバンクが整備されており、基礎研究・臨床研究・橋渡し研究(Translation)など幅広い研究が可能な環境にあります。
是非 「こくじゅん」を体験してください。
先進循環器内科学分野
171
弁膜症・冠動脈疾患に対する最先端の低侵襲心臓外科治療を
推進する
先進心臓血管外科学
(国立循環器病研究センター)
小林 順二郎
教授
Innovative Cardiovascular Surgery
Junjiro Kobayashi
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://hospital.ncvc.go.jp/section/d001/index.html
連絡先
TEL06-6833-5012
[email protected]
この分野の研究テーマ
・僧帽弁閉鎖不全に対する低侵襲僧帽弁形成術
・動脈グラフトによる人工心肺を使用しない多枝冠動脈バイパス術
・手術支援ロボットを使用した心臓手術
研究キーワード:心臓手術、ロボット手術、低侵襲手術、弁膜症、冠動脈疾患
技術キーワード:遠隔手術、小切開手術、心拍動下手術、動脈グラフト、弁形成
独立行政法人国立循環器病研究センターは、国の医療政策
と一体となって国民の健康を守るため、1977 年に設立され
た循環器病を対象とする国立高度専門医療研究センター(ナ
ショナルセンター)です。循環器病に関する診断・治療、調査・
研究および専門医療従事者の研修・育成を担っています。当
センターは「病院」
「研究所」
「研究開発基盤センター」の3
部門からなり、これら3部門を一体として運営していること
が大きな特徴です。病院は、
「心臓血管部門」と「脳血管部門」
が併設され、連携して最先端の医療を提供している世界的に
も稀有な施設です。
Figure 1 daVinci 手術支援ロボットを用いた僧帽弁形成術
我々の部門では、先進的な治療の導入と新しい器機や治療
法をいち早く臨床応用しています。人工心肺を使用しない冠
動脈バイパス術は 2000 例を超えています。2011 年より弁膜
症クリニックをオープンし、僧帽弁閉鎖不全に対する弁形成
術を右肋間小切開手術で 80 例以上に、手術が不可能とされ
た大動脈弁狭窄症に経カテーテル植込み術(TAVI)を 60 例
以上に施行しています。さらに、人工心肺を使用しない冠動
脈バイパス術(OPCAB)と TAVI の同時手術も開始しています。
daVinci 手術支援ロボットを使用した心臓手術もすでに 50 例
を超えています。
Figure 2 経カテーテル大動脈弁植込み術
OB・OG の主な進路
ナショナルセンター医師、国立大学医師、市立大学医師、県立大学医師、私立大学医師、公立病院医師、私立病院医師
担当教員より進学志望者へのメッセージ
新しい器機や治療法をいち早く臨床導入しています。人工心肺を使用しない冠動脈バイパス術や肋間小切開手術さらには経カテーテル大動脈弁植込み
術も施行しています。
172
先進心臓血管外科学
予防医学や疫学研究により循環器病を制圧する
先進循環器予防・疫学
(国立循環器病研究センター)
宮本 恵宏
教授
Preventive Cardiology and Epidemiology
Yoshihiro Miyamoto
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
分野ウェブページ
http://www.ncvc.go.jp/rdic/divisions/f000/index.html
連絡先
TEL06-6833-5012
[email protected]
この分野の研究テーマ
・住民コホート研究
・循環器病疾患登録、疾患コホート研究
・ICT を活用したビッグデータを用いた研究
研究キーワード:疫学、循環器病、エビデンス、ビッグデータ、吹田スコア
技術キーワード:コホート、疾患登録、ICT、メタアナリシス
循環器病の対策を立てるにあたっては循環器病の実態を把
握することが肝要である。当研究室では、循環器に関する多
くの研究班、研究事業の研究事務局、データセンターまたは
主たる解析センターとして参画している。震災対策、住民コ
ホート研究、健診システムの検証、リスク指標の標準化、難
治性疾患、診療体制構築、バイオリソースに関するプロジェ
クトが進行している。
担当教員より進学志望者へのメッセージ
臨床から研究へ、そして臨床へ。
先進循環器予防・疫学
173
消化器病学の発展と地域医療の充実に貢献する
消化器地域医療医学講座(内科学)
(いわき市立総合磐城共立病院)
高橋 成一
教授
Gastrointestinal and Community Medicine
(Internal Medicine)
Seiichi Takahashi
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
連絡先
TEL0246-26-3151
[email protected]
この分野の研究テーマ
・炎症性腸疾患の病因病態の解明
・高齢者消化器癌化学療法の適正化
・NASH の長期経過と発癌
研究キーワード:炎症性腸疾患、高齢者消化器癌、NASH
技術キーワード:上部消化管内視鏡、下部消化管内視鏡、カプセル内視鏡
平成 23 年の厚生労働省死因順位別死亡数を見ますと、悪
性新生物は 36 万人であり、心疾患や脳血管疾患を合わせた
32 万人を超えております。特に食道、胃、大腸、肝臓、胆嚢、
膵臓といった消化器系癌は全悪性新生物による死亡の半数を
超え、対策が急務であります。また超高齢化社会の到来によ
り、多くの合併症を抱えたまま消化器系疾患の治療を開始せ
ざるを得ない状況ではありますが、加齢に伴う重要臓器の機
能低下により、治療に難渋する場合が少なくありません。ま
た近年、難病と言われる炎症性腸疾患患者数は 18 万人を超
174
消化器地域医療医学講座(内科学)
え、地域医療圏での診断・治療の推進が求められています。
以上のような消化器疾患の動向を踏まえ、本講座は、東北大
学大学院医学系研究科と密接に連携を図り、地域に根差した
医学研究、医学教育の推進と、消化器疾患臨床の先進的な展
開を目的として設立されました。特に(1)消化器疾患の多
施設共同前向き研究の推進、(2)炎症性腸疾患新規治療法の
開発、
(3)適正な超高齢者消化器疾患治療法の確立、
(4)前期・
後期臨床研修に係るカリキュラムの充実化に力を入れており
ます。
臨床外科の修練と研究の両立
消化器地域医療医学講座(外科学)
(いわき市立総合磐城共立病院)
吉田 寛
教授
Gastrointestinal and Community Medicine (Surgery)
Hiroshi Yoshida
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
連絡先
TEL0246-26-3151
E-Mail
この分野の研究テーマ
・消化器外科学
研究キーワード:大腸肛門病、消化器外科、炎症性腸疾患
技術キーワード:開腹手術、鏡視下手術、周術期管理
豊富な手術症例のある病院で外科の修練を行いつつ、興味
ある臨床研究を行います。東北大学大学院生として在籍し学
位取得も可能です。
消化器地域医療医学講座(外科学)
175
感染症疫学、グローバルな感染症対策を学ぼう
感染症疫学
(国立感染症研究所)
大石 和徳
教授
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
Infection and Epidemiology
Kazunori Oishi
Professor, M.D. Ph.D.
http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html
連絡先
TEL03-5285-1111
[email protected]
この分野の研究テーマ
・新興・再興感染症の感染症疫学
・食中毒と感染症疫学
・ワクチンで予防できる疾病と疫学
研究キーワード:感染症疫学、ワクチン学、公衆衛生学
技術キーワード:FETP、感染症発生動向、国際保健規則
国立感染症研究所は国際社会と連携してグローバル感染症
の監視とその制御を担う役割を期待されている。このため、
国内外で発生する公衆衛生上問題となる種々の感染症の実地
疫学調査および感染症対策の立案、サーベイランスデータ集
計と情報発信、ワクチンで予防できる疾病(VPD)のワクチ
ンによる制御とその効果のモニタリング、新興・再興感染症
等を対象に感染症疫学研究を進めている。国立感染症研究所
実 地 疫 学 専 門 家 養 成 コ ー ス (Field Epidemiology Training
Program: FETP) への参加者も本連携大学院への進学が可能で
ある。
最近の研究業績には、国内の麻疹・風疹流行の疫学研究、
国内デング熱のアウトブレイク、腸管出血性大腸菌感染症、
侵襲性肺炎球菌感染症、アメーバ赤痢、梅毒、重症熱性血小
板減少症候群 (SFTS)、E 型肝炎などの疫学的研究、肺炎球菌
ワクチンの免疫学と新規ワクチン開発などがある。
Figure 1 FETP のスタッフと研修生
OB・OG の主な進路
国立感染症研究所、地方情報センター、大学等
担当教員より進学志望者へのメッセージ
連携大学院進学者の皆さんには感染症疫学センター職員と一緒に学ぶことのできる有意義な機会を提供します。
176
感染症疫学
感染症の病態を解明し正しい予防法治療法を開発
感染症病理学
(国立感染症研究所)
長谷川 秀樹
教授
Infection and Pathology
Hideki Hasegawa
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
http://www0.nih.go.jp/niid/pathology/index.html
連絡先
TEL03-5285-1111
[email protected]
この分野の研究テーマ
・感染症の病理学的研究
・次世代感染症ワクチンの開発
研究キーワード:ウイルス感染症、次世代ワクチン、次世代抗体医薬、感染病理、粘膜免疫
技術キーワード:病理解析、新規アジュバント、次世代抗体医薬
・新興・再興感染症の病理学に関する研究として、 国内外
から集められた感染症の病理検体について、 病理学的、 微生
物学的、 免疫学的および分子生物学的に解析を行なってい
る。 近年あたらしく発見された疾患であるマダニ媒介性の
SFTS 症例等の新興感染症の病態解明を行っている。
・次世代感染症ワクチンとして経鼻インフルエンザワクチ
ンの開発に関する研究を行っている。経鼻ワクチンによって
誘導される粘膜上の抗体によって高い感染防御効果が期待で
きる。基礎研究から臨床研究前行っている。
・感染症の動物モデルを開発し病態の解明を行っている。
OB・OG の主な進路
大学教官、製薬企業、ワクチンメーカー、勤務医
担当教員より進学志望者へのメッセージ
感染症の病理、次世代ワクチンの開発に興味のある人は是非一緒に研究しましょう。
感染症病理学
177
宮城県で唯一の結核病床
感染症治療学
(宮城県立循環器・呼吸器病センター)
平潟 洋一
教授
Manegement of Infectious Diseases
Yoichi Hirakata
Professor, M.D. Ph.D.
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
連絡先
TEL022-717-8010
[email protected]
この分野の研究テーマ
・肺結核の診断と治療に関する研究
研究キーワード:肺結核、呼吸器感染症、抗結核薬
技術キーワード:塗抹検鏡、液体培養、PCR
宮城県立循環器・呼吸器病センターは県内で唯一の結核病
棟として呼吸器感染制御病棟を有している。肺結核を中心と
178
感染症治療学
した診断、治療についての研究、疫学研究などを行っている。
生活習慣病の予防や最先端の癌治療に取り組みませんか
宮城県北先制医療学講座
(大崎市民病院)
並木 健二
教授
Preemptive Medicine in the Community of the North
Miyagi
Kenji Namiki
Professor, M.D.
医科学専攻
博士課程
分野ウェブページ
連絡先
TEL0229-23-3311
[email protected]
この分野の研究テーマ
・安全で有効な癌治療に関する研究
・心血管病の二次予防に関する研究
研究キーワード:先制医療、地域医療、生活習慣病、癌治療
技術キーワード:臨床統計、生存曲線、回帰分析、症例対照研究
当講座は、大崎市民病院に設置された連携講座です。大崎
市民病院の客員教授と東北大学医学系研究科の専任教授が共
同で指導します。大学とは異なり common disease を多数
診療している市中病院であることを利用し、各疾患の一次予
防、
二次予防に関する臨床研究が可能です。2014 年の実績は、
救急車受け入れ 4200 台、総手術件数 4498 件、肺がん 192 例、
急性心筋梗塞 75 例、くも膜下出血 65 例、膀胱癌 120 例な
Figure 1 平成 26 年 7 月に移転開院した新病院
どです。仙台まで 40km(新幹線で 13 分)という地の利を
生かして、東北大学の施設を利用しての基礎研究を行うこと
もできます。分院を利用して在宅医療など地域医療に関する
研究もできます。客員教授のいない診療科についても、医学
研究科の専任教授の指導を当講座で受けることも可能です。
臨床医として手術手技などの修練を積みながら、医学研究も
行いたい方に適した講座です。
Figure 2 医局研究室
OB・OG の主な進路
東北大学の各医局、仙台市立病院、石巻赤十字病院、みやぎ県南中核病院、東北労災病院、仙台医療センター
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当院には、卒後 4 年までの研修医が 40 名以上在籍しています。同年代の医師が多い中で切磋琢磨し、励まし合いながら学んでいただけます。
宮城県北先制医療学講座
179
アレルギー・マーチの機序を解明し、アレルギー疾患発症
予防方法を確立する
次世代小児医療学
医科学専攻
斎藤 博久
修士課程 / 博士課程
教授
Advanced Pediatric Medicine
Hirohisa Saito
Professor, M.D.Ph.D
分野ウェブページ
http://www.ncchd.go.jp/scholar/research/section/
imal/index.html
連絡先
TEL03-5494-7027
[email protected]
この分野の研究テーマ
・アトピー性皮膚炎発症予防
・食物アレルギー発症予防
・アレルギー炎症疾患と自然免疫
研究キーワード:IL-33、アトピー性皮膚炎、アレルギー、IgE、マスト細胞
技術キーワード:マイクロアレイ、ランダム化比較試験、食物アレルゲンリンパ球刺激試験
国民の 3 割が罹患するアレルギー疾患の多くは乳児期に
発症し、成人期以降の寛解は期待できない。乳児期から始ま
るアレルギー・マーチ(アトピー性皮膚炎を発症した児が年
齢とともに喘息、花粉症などのアレルギー疾患の発症する様
を指す)の機序を解明し、アレルギー疾患発症予防方法を確
立することは次世代の医療にとって不可欠な課題である。国
立成育医療研究センターでは、新生児期からの保湿剤塗布に
よりアトピー性皮膚炎の発症が3割減少することをランダ
ム化比較試験により報告し(Horimukai K, et al. J Allergy Clin
Figure 1 アトピー性皮膚炎はアレルギー・マーチの引き金
Immunol 2014)ており、アレルギー疾患発症予防研究にお
いて世界をリードしている。上皮組織に由来し、マスト細胞
や自然リンパ球を刺激するサイトカインであるインターロイ
キン 33(IL-33)は、獲得免疫を介さずにアレルギー炎症様
の炎症を引き起こし、喘息病態に深く関与することを世界で
初めて報告し(Oboki K, et al. Proc Natl Acad Sci USA 2010)、
その後も IL-33 に関して国際的に注目される研究を発表して
いる(Morita H, et al. Immunity 2015 ほか)。
Figure 2 保湿剤はアトピー性皮膚炎発症予防に有効
OB・OG の主な進路
1.斎藤博久(日本アレルギー学会理事長、国立成育医療研究センター副研究部長)2.松本健治(国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー・
感染研究部)3.岡山吉道(日本大学医学部准教授)4.中江進(東京大学医科学研究所特任准教授)5.加藤厚(Northwestern 大学医学部助教授)6.
中島敏治(横浜薬科大学薬学部教授)
担当教員より進学志望者へのメッセージ
私たちの取り組んでいるアレルギー疾患の発症予防や自然免疫に関する研究は、最重要課題の分野として注目されています。業績発表や留学のチャン
スは大きいと思います。
180
次世代小児医療学分野
新興・再興感染症の疫学的検討、診療、対策立案実行から、
診断・治療・予防法の開発へと直接につなげていく
新興・再興感染症学講座
医科学専攻
大曲 貴夫
修士課程 / 博士課程
客員教授
Emerging and Reemerging Infectious Diseases
Norio Ohmagari
Professor, M.D., M.Sc., Ph.D.
分野ウェブページ
http://dcc-ncgm.jp/
連絡先
TEL03-3202-7181
[email protected]
この分野の研究テーマ
・新興再興感染症患者の臨床管理
・医療機関および公衆衛生部門の危機管理
・抗菌薬耐性菌・医療関連感染症
研究キーワード:新興再興感染症、危機管理、抗菌薬耐性菌、医療関連感染症
技術キーワード:ゲノム解析、遺伝した項目測定による微生物学的診断、医療疫学
感染症のフィールドは、個人の患者の健康の問題からグ
ローバルレベルへと大きく広がっています。対象は、個別の
疾患の診断治療のみならず、予防・公衆衛生的な対策まで多
岐にわたります。国立国際医療研究センター 国際感染症セ
ンター(DCC)では 1) 臨床感染症の clinical referral center
として機能する、2) 感染症領域の人材育成 / トレーニングへ
の注力、3) 情報の発信源となりネットワーキングに努める、4)
国内外の感染症の研究拠点となる、5) 実地疫学の実践の 5 つ
Figure 1 熱帯熱マラリア原虫のギムザ染色像
を活動の柱に据え、国内・国外の感染症に関す包括的・多面
的・先進的な取り組みを行っています。主な研究テーマとし
ては、新興再興感染症のゲノム手法を用いた診断、新興再興
感染症の治療・予防、医療機関および公衆衛生の Emerging
Preparedness、感染症の流行に関与する心理社会的因子およ
びリスクコミュニケーションの手法に関する研究、抗菌薬耐
性菌感染症、マラリア・デング熱・腸チフスなどの輸入感染
症の臨床疫学研究です。
Figure 2 新興感染症対応訓練の様子
新興・再興感染症学講座
181
心血管病に対する低侵襲性治療法をはじめとした
先端医療の開発
循環器先端医療開発学
下川 宏明
教授
Innovative Cardiovascular Medicine
Hiroaki Shimokawa
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/contribute/103/
index.html
連絡先
TEL022-717-7153
[email protected]
この分野の研究テーマ
・音波(衝撃波・超音波)を用いた非侵襲性治療法の開発
・新規バイオマーカーの開発
研究キーワード:革新的医療機器開発、低侵襲性治療、再生医療、衝撃波、超音波、バイオマーカー
技術キーワード:衝撃波、超音波、非侵襲性、アブレーションカテ、バイオマーカー
心臓病と脳卒中による死亡は日本人の死因の第 2・3 位を
占め、その総数は第 1 位のガンとほぼ同数です。また、心臓
病と脳卒中をあわせた循環器疾患の患者数はガン患者数をは
るかに凌駕します。生活習慣の欧米化と人口の急速な高齢化
に伴い、これら循環器疾患患者はますます増加することが予
想され、循環器疾患の診断・治療戦略は以前にも増して重要
になっています。 私達は、このような社会的背景をふまえ、
国民病ともいえる循環器疾患に対する先端的・革新的な開発
研究を行っています。
具体的には、医学研究者と工学研究者が協力して、音波(衝
撃波・超音波)を用いた非(低)侵襲性治療法の開発を進め
Figure 1 狭心症に対する衝撃波治療:装置と有効性
ています。私達が開発した低出力体外衝撃波治療法(血管新
生療法)は、狭心症治療として厚労省から先進医療に承認さ
れており、現在、適応疾患の拡大を目指して研究を進めてい
ます。また、狭心症や心臓以外の疾患に対する超音波を用い
た新しい再生医療の研究も行っており、現在、薬事承認を目
指して、狭心症患者を対象とした医師主導治験を実施中です。
さらに、致死性不整脈に対対する衝撃波カテーテルアブレー
ションシステムや新規バイオマーカーの開発も行っていま
す。これら革新的医療技術の開発に取り組むことにより、医
学の発展に貢献することを目指しています。
Figure 2 衝撃波アブレーションカテによる治療
OB・OG の主な進路
公立病院医師、国立大学教員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
医学研究者と工学研究者が知恵を出し合って、非侵襲的(患者さんの身体的負担が少ない)で有効な革新的医療機器を開発するプロジェクトに参加し
ませんか。
182
循環器先端医療開発学
循環器領域における我が国のエビデンスの創出を目指す
循環器 EBM 開発学
下川 宏明
教授
Evidence-based Cardiovascular Medicine
Hiroaki Shimokawa
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/contribute/105/
連絡先
TEL022-717-7153
[email protected]
この分野の研究テーマ
・我が国における慢性心不全症例における診療実態の解明
・生活習慣病など心不全ハイリスク症例における心不全新規発症様式及びその機序の解明
・エビデンスに基く治療を受けた心不全症例における有用な追加療法の開発
研究キーワード:観察研究、臨床試験、慢性心不全、生活習慣病、エビデンスに基く医療
技術キーワード:データ収集・管理、追跡調査、統計解析
近年の医療においては、
根拠に基づく医療 (Evidence-based
Medicine、以下 EBM) の実践が不可欠となっています。循環
器 EBM 開発学講座は、日本人における循環器領域の科学的
根拠を構築することを目的に、2007 年に開講しました。現
在は、我が国における慢性心不全診療実態の解明、心不全新
規発症機序の解明、心不全に対する新たな治療療法の開発を
主な研究テーマとして観察研究と介入研究を行っています。
例えば東北大学関連施設と共同で 2006 年に開始した第二次
東北慢性心不全登録 (CHART-2) 研究(NCT00418041) では、
我が国最大規模の登録症例数(N=10,219)を活かして近年
の虚血性心不全、そして左室駆出率の保たれた心不全の増加
Figure 1 CHART-2 研究の概要
や、EBM の浸透に伴う予後の改善など我が国の心不全診療
の実情を明らかにしてきました。また、心不全症例だけでは
なくその予備軍であるステージ B 症例をも登録する世界的に
も稀有なコホートとしての特徴を活かし、心不全の新規発症
様式とその機序を現在明らかにしつつあります。更に最近、
高血圧症を合併した慢性心不全患者におけるアンジオテン
シン II 受容体拮抗薬を用いた臨床介入試験、SUPPORT 試験
(NCT00417222) の成果を発表し、国内外から高い評価を得ま
した。この様に本講座では多数の大規模臨床試験を企画、実
行し、日本のエビデンスを検証し、発信し続けています。
Figure 2 我が国における心不全基礎疾患と予後の変遷
OB・OG の主な進路
私立大学病院・教授、臨床治験コーディネーター
担当教員より進学志望者へのメッセージ
本講座では、世界に通用するエビデンスを発信すべく、循環器内科と連携して積極的な研究活動を行っています。循環器疫学・医学統計に興味のある
方は是非ご連絡ください。
循環器 EBM 開発学
183
呼吸器ウイルス感染による閉塞性呼吸器疾患増悪抑制法・
高齢者肺炎予防法の探求および肺再生医療の開発
先進感染症予防学
山谷 睦雄
教授
Advanced Preventive Medicine for Infectious Disease
Mutsuo Yamaya
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/contribute/106
連絡先
TEL
E-Mail
022-717-7184
[email protected]
この分野の研究テーマ
・新型インフルエンザを含む感冒症候群の病態解明と予防法・治療法の研究開発
・感冒に随伴する慢性閉塞性肺疾患・高齢者気管支喘息増悪の予防法・治療法
・肺炎による損傷肺の組織修復・疾患肺細胞解析・薬物スクリーニング
研究キーワード:感冒症候群、呼吸器ウイルス感染、慢性閉塞性肺疾患、高齢者肺炎、肺損傷・修復
技術キーワード:気道上皮細胞培養、呼吸器ウィルス、口腔ケア、肺胞細胞分離・解析、幹細胞
肺炎を繰り返す特徴があるため、再発を防止する方策をとる
必要があります。本講座は感冒症候群を生じるウイルス感染
抑制薬、感冒症候群に随伴する慢性閉塞性肺疾患(肺気腫 +
慢性気管支炎)・気管支喘息増悪の抑制薬、高齢者肺炎予防
法の研究開発を行なっています。また、急性肺損傷や肺炎後
の組織修復、肺気腫に対する肺再生・細胞治療を目指し、肺
組織幹細胞および疾患肺細胞の研究を行っています。それと
ともに、肺疾患の血液病態マーカー・予後予測因子・肺組織
保存液の開発を行っています。
感冒症候群は若年者にとっては、日常生活の質を変化さ
せ、精神活動や運動機能を低下させるため、社会・経済活動
にあるいはライフステージにおいて活動に支障を来すことが
あります。高齢者において、感冒症候群は細菌性肺炎の併発
や慢性閉塞性肺疾患(肺気腫 + 慢性気管支炎)増悪・気管
支喘息増悪をもたらし、肺炎による死亡や呼吸不全の原因と
なります。また、日常生活動作 (ADL) や生活の質 (QOL) の低
下に関係します。感冒症候群は治療の対象になる感冒ウイル
スが多種であり、予防薬・治療薬の研究・開発が遅れていま
す。高齢者では、身体的変化や基礎疾患の合併により細菌性
Figure 1 気道上皮細胞のウィルスレセプター発現変化
Figure 2 肺細胞をターゲットとした COPD 病態解明
OB・OG の主な進路
大学教員、ポスドク(米国、カナダ、イギリス、スエーデン、ドイツ、etc.)
担当教員より進学志望者へのメッセージ
呼吸器ウイルス感染の病態と治療法、慢性閉塞性肺疾患の増悪マーカーの探索、肺幹細胞の応用、手術肺から分離した肺細胞解析など多彩な研究を行っ
ています。
184
先進感染症予防学
病態機序解明と診断法開発へ向けた超高精度イメージング
技術の創出
先端画像・ナノ医科学
大内 憲明
教授
Nano-Medical Science
Noriaki Ohuchi
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.nano.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7579
[email protected]
この分野の研究テーマ
・悪性腫瘍の増殖・転移機構の解明
・新規がん組織診断技術の開発
・動脈硬化性疾患における血管リモデリング機構の解明
研究キーワード:悪性腫瘍、転移、動脈硬化性疾患、血管リモデリング
技術キーワード:高精度生体分子可視化、画像解析 、蛍光ナノ粒子合成
生体イメージングで悪性腫瘍や動脈硬化関連タンパク質
の機能を詳細に解析する事は、疾患機序解明にとって重要
です。しかし、生体イメージングから得られるタンパク質
の挙動や分布の情報は心拍や呼吸の影響を受けるため、既
存技術では高精度に解析する事は困難でした。当研究室
ではこの問題を改善し、位置精度 9nm の高精度生体分子
イメージング装置を開発しました。これにより、悪性腫
瘍の転移過程では細胞膜の流動性が約 100 倍に変化する
こと (J. Biol Chem, 2010) や、動脈硬化の血管新生では
血管内皮成長因子受容体発現量のわずか 3 倍の分布勾配
が重要であることを解明しました (Blood, 2011)。さら
に、光学装置を手術で摘出したがん組織の病理診断に応用
し、抗がん剤の薬効を高確度で診断する技術開発を進めて
Figure 1 独自の高解像度イメージング装置の模式図
います (Biochem Biophys Res Commun 2012, Scientific
Reports 2015)。
悪性腫瘍の分子機構解明や診断技術開発については、平
成 25 年度 A3 フォーサイト事業「ナノバイオ材料を用い
た高分解能イメージングによるがん生物学の主要分子機序
の解明」の研究交流費が採択され、当研究室と韓国科学技
術院・中国科学院が協力関係を結び、国際セミナーの開催、
人材交流、共同研究を行い、国際的・学際的研究拠点の確
立や若手研究者の育成を推進しています。
また、
「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証す
るための比較試験(J-START)」は当研究室が主導した世
界初の乳房超音波検査に関する大規模無作為化比較試験で
あり、その成果が The Lancet に掲載されました(2015)。
Figure 2 医学・材料工学・光工学を融合したナノ研究
OB・OG の主な進路
大学教員、公務員、大学病院職員、博士研究員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当研究室の構成員は、医・理・工学など様々な背景を持ち、異分野融合から新知見を生み出す事を目指しています。出身学部は問いません。志にあふ
れた方、お待ちしています。
先端画像・ナノ医科学
185
難治性網膜神経細胞変性疾患に対する神経保護治療の開発と
その臨床応用の推進
視覚先端医療学
中澤 徹
教授
Advanced Ophthalmic Medicine
Toru Nakazawa
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.oph.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7294
[email protected]
この分野の研究テーマ
・臨床データ解析法の開発と遺伝解析による鋭敏な緑内障進行判定プラットフォームの開発
・緑内障に対する Brinzolamide の神経保護効果を検証する臨床試験
・神経保護薬の効果判定に有用な in vivo イメージング法の開発
・網膜疾患に対する遺伝子治療の開発
研究キーワード:緑内障、神経保護、創薬、遺伝子治療、網膜色素変性症
技術キーワード:遺伝子解析、分子生物学、動物実験、細胞培養、AAV ウィルス
難治性網膜神経変性疾患である緑内障、網膜色素変性症、
加齢性黄斑変性症などに対して、薬剤送達システム、遺伝子
治療や幹細胞医学などの先端技術に着目した治療の開発とそ
の臨床応用を目指す。
Figure 1 B
rainbow を用いた網膜神経節細胞の個別の dendritic arbor
の可視化
Figure 2 AAV2-CMV-EGFP を用いた網膜神経節細胞の single cell
resolution の in vivo imaging
担当教員より進学志望者へのメッセージ
緑内障を主要な疾患ターゲットとして、様々なアプローチを採用して、病態の解明・治療法の開発に取り組みます。遺伝子工学、分子生物学など幅広
い実験手技が身につきます。
186
視覚先端医療学
大動脈疾患、循環器系疾患に対する先進的な診断法および
治療法の臨床研究と開発
大動脈疾患治療開発学
齋木 佳克
教授
Research Division of Sciences for Aortic Disease
Yoshikatsu Saiki
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.cts.med.tohoku.ac.jp/chair.html
連絡先
TEL022-717-7222
[email protected]
この分野の研究テーマ
・大動脈疾患の臨床研究
・心疾患の臨床研究
・有限要素解析による大動脈瘤の破断予測
研究キーワード:臨床研究、大動脈疾患、心疾患、大動脈瘤破断予測
技術キーワード:臨床研究、大動脈疾患、心疾患、有限要素解析
大動脈疾患治療開発学寄附講座は、大動脈疾患をはじめと
した循環器系疾患に対する先進的な診断法および治療法を開
発することを目的に平成 22 年 4 月 1 日に開講しました。当
講座では CRC(治験コーディネーター)のサポートのもと、
様々な臨床研究をすすめております。人工血管置換術後の急
性期炎症反応や遠隔期拡大の評価、生体吸収性フェルトを用
いた新しい大動脈吻合部補強材の臨床応用、心臓大血管術後
におけるβ遮断薬の心房細動予防効果の検討、Stanford B 型
大動脈解離患者におけるスタチン内服効果の検討、大動脈弁
置換術後における長期スタチン内服療法の生体弁に対する効
果検討、胸部大動脈瘤手術後患者に対するオルメサルタン内
服群とオルメサルタン + エプレレノン内服群における残存自
己大動脈径変化の比較と検討、高血圧合併大動脈瘤における
テルミサルタンによる瘤化抑制効果の検討などの臨床研究が
進行中です。また、胸部大動脈瘤の破断予測システムの開発
も行っております。胸部大動脈瘤の CT 画像から有限要素モ
デルを構築し、相当応力分布を作成、破断予測を行うもので、
本法を用いて大動脈瘤のさまざまな解析を行っております。
Figure 1 胸部大動脈瘤破裂例の有限要素解析結果
担当教員より進学志望者へのメッセージ
心、大動脈疾患は治療法が飛躍的に進歩してきておりますが、本講座の臨床研究によって新たな知見が得られればと思っております。
大動脈疾患治療開発学
187
五十肩(凍結肩)の病態解明と新規治療法の開発
上肢運動器学
井樋 栄二
教授
Upper Extremity Musculoskeletal Medicine
Eiji Itoi
M.D. Ph.D. Professor
分野ウェブページ
http://www.upper-extremity.med.tohoku.ac.jp/index.html
連絡先
TEL022-717-7245
[email protected]
この分野の研究テーマ
・五十肩(凍結肩)の病態解明
・運動器の疫学調査
・東日本大震災の被災者の運動器障害調査
研究キーワード:五十肩(凍結肩)、東日本大震災被災者、運動器健診 、腰部脊柱管狭窄症
技術キーワード:超音波顕微鏡、光音響顕微鏡装置、DNA マイクロアレイ
本講座では、臨床から基礎研究まで幅広く活動しています。
本講座で主に行っている研究は、1. 運動器疾患の疫学調査、
2. 五十肩(凍結肩)の病態解明と新規治療法の開発です。
五十肩(凍結肩)は一般的になじみの深い病名ですが、実
はその原因は未だにわかっていません。特に関節の動きが悪
くなる原因として関節包の “ 線維化 ”、“ 炎症 ” が従来考えら
れてきました。しかしながら我々の最新の研究では、新たに
「軟骨化」も重要な病態であることが判明しました。また、
腰部脊柱管狭窄症の黄色靭帯においても、軟骨化が重要な病
態であることが判明しました。
Figure 1 東日本大震災被災者
Figure 2 キャダバートレーニング in Hawaii
OB・OG の主な進路
竹田綜合病院、船橋整形外科、JCHO 仙台病院、JR 仙台病院、松田病院、岩手県立中央病院
担当教員より進学志望者へのメッセージ
運動器障害は関節だけではありません。脳を含めた全身の関連で起こります。超高齢社会を迎えた日本で、今後さらに重要性を増す運動器の障害を一
緒に解明してみませんか?
188
上肢運動器学
網膜領域全ての難治性疾患に対して新しい網膜機能評価及び
薬剤評価システムの構築を進め先進医療を開発する
網膜疾患制御学
中澤 徹
分野ウェブページ
教授
Retinal Disease Control, Ophthalmology
Toru Nakazawa
Professor, M.D. Ph.D.
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/contribute/192/
index.html
連絡先
TEL022-717-7294
[email protected]
この分野の研究テーマ
・新しい網膜細胞機能評価システムの開発
・動物モデルを用いた神経保護治療と新規薬剤の網膜組織への侵襲評価
・臨床サンプルの網羅的解析と眼科手術成績を向上させる器具の開発
研究キーワード:網膜、硝子体手術、神経保護、網膜細胞機能評価、薬剤評価
技術キーワード:網膜細胞機能評価、神経保護治療、新規薬剤の効能評価、眼内サンプル網羅解析、網膜硝子体手術器具
本講座では、網膜領域すべての難治性疾患に対する新しい
網膜機能評価及び薬剤評価システムの構築を推進して先進医
療を開発することを目的とする。具体的には、①新しい網膜
細胞機能評価システムの開発、②動物モデルを用いた神経保
護治療と新規薬剤の網膜組織への侵襲評価、③臨床サンプル
の視機能と相関させた網羅解析、④網膜硝子体手術を含めた
眼科手術成績を向上させる器具の開発を中心に据える。視細
胞変性や網膜神経節細胞変性の初期段階からの検出診断法を
確立し、さらにその機序を細胞レベルで解明することにより、
臨床的にも視機能改善に多大に寄与できると考えられる。
Figure 1 網膜疾患制御学寄附講座対象の学問分野
担当教員より進学志望者へのメッセージ
網膜病態の機序解明や治療法開発のための研究教育を行い、臨床においても常に病態や治療を細胞レベルで考えることのできる次世代の医師や医学研
究を担う人材を育成したい。
網膜疾患制御学
189
腎不全患者のライフスタイルにあわせた医療を提供できる
医療システムを構築する
統合腎不全医療
伊藤 貞嘉
教授
Integrative Renal Replacement Therapy
Sadayoshi Ito
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.int2.med.tohoku.ac.jp/
連絡先
TEL022-717-7163
[email protected]
この分野の研究テーマ
・患者のライフスタイルにあわせた腎不全医療提供のためのシステム構築
・腹膜透析効率の維持・上昇のための新規治療戦略の開発
・腎機能の生理学的解析と腎保護効果機序の解明
研究キーワード:腎不全医療、腹膜透析、在宅医療、腎不全、腎機能
技術キーワード:動物実験、( 初代 ) 培養細胞、臨床検体、病理解析
末期腎不全に至った場合には血液透析・腹膜透析・腎移植
といった腎代替療法が必要となる。患者の希望やライフスタ
イルに添って療法選択が行われることが望ましい。現在日本
国内の腎代替療法では 95% 以上が施設血液透析療法が選択
されるが、この場合数年以内に残腎機能が消失することが示
されている。腹膜透析や在宅血液透析では比較的残腎機能が
保持され生命予後の改善が期待されるが、その機序は充分に
明らかではない。加えて腹膜透析療法には施行可能期間に限
りがある。また、日本では医療機関における医療は非常に優
れているが、患者自身によるセルフマネージメントについて
の概念が浸透していないため、腹膜透析医療などの導入の潜
在的な妨げとなっている。
本寄附講座では腎不全患者により良い腎不全医療を提供す
担当教員より進学志望者へのメッセージ
我々とともに、患者のためになる腎不全医療の提供を目指しましょう!
190
統合腎不全医療
るために、
1) 主に実験動物を用いることにより、腎機能の生理学的
解析と腎保護効果機序の解明を行うことにより腎不全患者の
腎障害進行抑制につながる知見を得ること、
2) 患者によるセルフマネージメント能力向上、ならびに
医師と患者に加えて医療関係者や地域医療支援者等を包括す
る医療システムの構築をすることにより腹膜透析医療を含む
在宅医療ネットワークを構築すること、
3) 腹膜透析機能悪化の抑制ならびに腹膜透析効率を上昇
させるための新規治療戦略の開発を行うことにより、腹膜透
析医療の時間制限を緩和させること、
を目標に活動を行っている。
薬剤耐性の獲得などによって進化し続ける各種病原体に
対峙する
抗感染症薬開発
渡辺 彰
教授
Research Division for Development of Anti-Infectve
Agents
Akira Watanabe
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.idac.tohoku.ac.jp/ja/activities/research/
Anti-Infe/index.html
連絡先
TEL022-717-8540
[email protected]
この分野の研究テーマ
・医学・薬学における先端的創薬と開発、育薬に関する研究の推進と人材の開発
・薬剤の特性に基づいた抗感染症薬の適正使用法の確立と臨床的研究の推進
・結核等慢性感染症の疫学対策と治療並びに予防の展望促進
研究キーワード:薬剤耐性、MRSA、緑膿菌、抗インフルエンザ薬、肺炎球菌ワクチン
技術キーワード:プロバイオティクス、薬動力学 理論、抗バイオフィルム活性、プラズマ殺菌法
抗感染症薬の開発は、膨大な基礎データと臨床試験成績
など多くの段階を経ることから、長期化するのが一般的で
す。当研究部門は、この内、前臨床試験よりは臨床試験の適
正な実施に主眼をおいており、特に短期間での臨床開発を実
現したいと考えておりますが、抗菌薬だけでなく抗インフル
エンザ薬、抗結核薬、抗真菌薬、さらには各種ワクチンの開
発を主体的に担うことを目的としています。1980 年代のエ
イズなどを初めとする新興感染症の出現、多剤耐性菌による
難治結核などの再興感染症の再増加がみられ 1990 年代には
Figure 1 コンタクトレンズ殺菌洗浄剤の殺緑膿菌効果
MRSA や多剤耐性肺炎球菌の蔓延、2000 年代に入るやエイ
ズによる死者の増加(年に 300 万人以上)、多剤耐性緑膿菌、
スーパー耐性結核菌の出現など薬剤耐性菌が社会的にも注目
されてきています。感染症や耐性菌は発生現場からの拡大を
抑えるだけでなく、発生そのものを抑えなければなりません。
現場で封じ込めるよりも現場そのものを作らないことを目的
とし、感染症治療薬や予防薬の開発、並びに抗感染症薬開発
を担う人材を育成することを目指しています。
Figure 2 新旧抗インフルエンザ薬による有症状率推移
OB・OG の主な進路
群馬大学、東北薬科大学、坂総合病院、新潟大学、コーネル大学(米国)、茨城キリスト教大学
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当部門は、現在のところ大学院進学希望者の受け入れを行っていない。
抗感染症薬開発
191
脳と心の発達とその発達障害の仕組みに脳画像で迫る
認知機能発達(公文教育研究会)
川島 隆太
教授
Developmental Cognitive Neuroscience
Ryuta Kawashima
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.fbi.idac.tohoku.ac.jp/dcn/index.html
連絡先
TEL022-717-7988
[email protected]
この分野の研究テーマ
・健常小児発達や自閉症、失読症などの発達障害と関連した脳メカニズムの解明
・そうした小児の高次認知機能と関連した脳メカニズムの解明
・そうした小児の高次認知機能や関連脳基盤に影響を与える生活習慣や遺伝的基盤の解明
研究キーワード:脳、発達、発達障害、生活習慣、遺伝子
技術キーワード:磁気共鳴画像 (MRI)、心理検査、遺伝的多型
最新の脳 MRI 検査と認知心理学的手法、遺伝的多型など
の手法を核に、健常小児の子供たちや自閉症や失読症などの
発達障害児を対象に研究を行っています。
健常小児の発達を対象にした研究では、脳の灰白質や、白
質、血流、脳の活動やそのの同期、などが発達にともなって
どう複雑に変化していくのかを明らかにしてきました。現在
は、自閉症児や、失読症児を対象に彼らのそれらの脳メカニ
ズムの発達がどのような特徴があるのかを研究しています。
また、それらの子供において知能や、高次社会認知機能、
発達障害と関連するような認知的特徴に対応する脳メカニズ
Figure 1 小児の生活習慣と脳発達と認知機能発達
ムがどのようなものであるかも研究しています。
また、現実社会において子どもを取り巻くさまざまな環境
因子と認知機能発達の関連をアンケートや認知機能テストに
よって調査を行い、横断的手法と縦断的手法を駆使し、前述
の脳科学データと統合して、子どもの心を豊かに育む生活習
慣、環境因子や家族関係の在り方も明らかにしています。
さらにさまざまな疾患や可塑性に関わる遺伝的多型がその
ような子供たちの脳や認知にどのような影響を与えるかにつ
いても研究しています。
Figure 2 発達障害研究の概念図 ( 上 )、課題例 ( 下 )、
OB・OG の主な進路
国立大学リサーチ・アドミニストレーター、県立大学研究員、国立研究所研究員
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当研究室で行っている脳科学研究は、学際的・複合的研究領域です。どのようなバックグラウンドを持った方でも、それぞれの興味を対象として研究
活動を行うことができます。
192
認知機能発達(公文教育研究会)
高齢者の薬物治療に焦点をあて、健康長寿に寄与する
薬物療法のエビデンスを構築する
高齢者薬物治療開発
大類 孝
教授
Geriatric Pharmacotherapy
Takashi Ohrui
Professor, M.D. Ph.D
分野ウェブページ
http://www.idac.tohoku.ac.jp/ja/activities/research/
geriatric_pharma/index.html
連絡先
TEL022-717-8480
[email protected]
この分野の研究テーマ
・高齢者の肺炎の病態解明と予防法の確立
・避難所肺炎(Shelter acquired pneumonia: SAP)の提唱
・高齢者の適切な薬物治療の確立
研究キーワード:高齢者、誤嚥性肺炎、誤嚥予防策、薬物有害事象、アドヒアランス
技術キーワード:嚥下反射時間測定、咳閾値測定、不顕性誤嚥、薬物血中濃度測定
(1)高齢者の肺炎の病態解明と予防法の確立:高齢者の
肺炎は誤嚥をもとにした「誤嚥性肺炎」が圧倒的に多く、特
に日常生活動作の低下した高齢者では、嚥下反射にかかわる
知覚神経に含まれる神経ペプチドのサブスタンス P が減少し
て不顕性誤嚥を頻回におこし、雑菌を含む唾液などの口腔・
咽頭内容物を肺に吸引して肺炎を起こす事を明らかにした。
その機序をもとに、不顕性誤嚥の予防策として ACE 阻害薬、
アマンタジン、シロスタゾール、半夏厚朴湯、モサプリドが
有効でそれらの使用で肺炎の罹患率が低下する事を明らかに
した。
Figure 1 誤嚥性肺炎の発症機序(推定)
(2) 特 殊 環 境 下 の 肺 炎 と し て 避 難 所 肺 炎(Shelter
acquired pneumonia: SAP)の提唱:この度の東日本大震災
において、被災地にある大学病院の 1 つとして避難所から搬
送された高齢肺炎患者の診療経験を基に避難所肺炎の概念を
提唱した。その定義は、
「大規模な自然災害時に、ライフラ
インが途絶した被災地の避難所での生活を余儀なくされた集
団避難民において、避難生活 3 日~数週間後に発症する肺炎。
圧倒的に脳血管障害もしくは脳変性疾患などを有する虚弱高
齢者に多い。低栄養、口腔内不衛生に関連しての誤嚥性肺炎
が多い」である(JAm Geriatr Soc 59, 1968-70, 2011)。
Figure 2 避難所肺炎患者の胸部 CT スキャン像
OB・OG の主な進路
該当なし
担当教員より進学志望者へのメッセージ
当研究部門は、高齢者における有効かつ適正な薬物療法の普及および健康長寿に寄与する薬物療法のエビデンスの構築を主要なミッションとしている。
高齢者薬物治療開発
193
脳科学に基づく地域における認知症対策
高齢者高次脳医学
目黒 謙一
教授
Geriatric Behavioral Neurology
Kenichi Meguro
Professor, M.D. Ph.D.
分野ウェブページ
http://www.cyric.tohoku.ac.jp/kenkyu/kouji.html
連絡先
TEL022-717-7359
[email protected]
この分野の研究テーマ
・神経疫学
・臨床脳科学
・包括的介入
研究キーワード:認知症、画像診断、心理社会的介入
技術キーワード:アルツハイマー病、PET、心理社会的介入、リハビリテーション
当講座の目標は、
「包括的(Bio-Psycho-Social)な視点 と
地域医療学を基礎にした認知症対象の神経科学の統合的発展
と、医療福祉水準の向上への寄与」である。要するに、生活
基盤(=「地」)に立脚し、神経基盤(=「天」
)との関連の
中で認知症高齢者の医療介護連携や包括システム(=「人」)
を検討することである。構成は常勤スタッフ(教授 1、講師
2、事務補佐 1、技術補佐 3)
、非常勤スタッフ(研究教授 2、
講師 6、技術補佐 1)、院生・研究生 11」の計 27 名で(平成
Figure 1 読売認知症ケア賞受賞
OB・OG の主な進路
心理学教授、病院幹部
担当教員より進学志望者へのメッセージ
学問をしましょう。
194
高齢者高次脳医学
28 年 1 月現在)、研究の柱は以下の通り。①神経疫学、②臨
床脳科学、③包括的介入、④包括システム、⑤脳科学に基づ
く災害弱者支援。主な研究フィールドは宮城県大崎市・栗原
市・登米市・涌谷町で、科学的根拠に基づく地域医療学と介
入疫学の確立を目指している。英文原著論文は 50 報で IF 総
計は 113.18(平成 25 年 3 月現在)である。現在まで、博士(医
学 1・障害科学 2)を含む 12 学位論文を作成した。
Figure 2 趣意書
分子病理学
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
堀井 明 教授
・発がんの分子機構の解析とその応用
・がん幹細胞の研究
・抗がん剤耐性機序の解析
・エピジェネティックスと疾病
(http://www.med.tohoku.ac.jp/org/medical/13/index.html)
病理形態学
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
(兼)笹野 公伸 教授
・自己免疫病の病態ならびに病因
・リンパ球異常増殖メカニズム
・アレルギー形質の遺伝子的制御メカニズム
分子内分泌学
保健学専攻
修士課程 / 博士課程
菅原 明 教授
・心血管病変におけるホルモン核内受容体の意義の解析
・動脈硬化性病変の病態解明と新規治療法の開発
・高血圧の病態解明と新規治療法・バイオマーカーの開発
・糖尿病性腎症の病態解明と新規治療法の開発
・クッシング病の病態解明と新規治療法の開発
・新たな翻訳後修飾の探索と解析
・軟骨細胞分化における DNA 水酸化酵素の解析
(http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/84/index.html)
代謝疾患学
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
片桐 秀樹 教授
・遺伝子治療・再生技術を用いた糖尿病の新規治療開発
(http://www.atmd.med.tohoku.ac.jp/)
195
新医学領域創生分野(酸素コア)
鈴木 教郎 准教授
本分野は、科学技術振興機構「テニュアトラック普及・定着事業」の一環として、2012 年 2 月に発足
しました。がんや炎症などの病態では、低酸素状態が慢性的、断続的に生じており、病態の進展に関
与していることが指摘されています。そこで私たちは、分子生物学の手法を用いて、学際的、横断的
研究を展開することにより、低酸素や酸化ストレスが細胞のエネルギー代謝系や遺伝子発現系に及ぼ
す影響を捉え、その分子メカニズムを明らかにする研究プロジェクトに取り組みます。
ラジオアイソトープセンター
医科学専攻
博士課程
山本 雅之 教授
・神経疫学:認知機能評価法の開発、認知症の有病率・発症率・介入法の検討
・臨床脳科学:認知症の神経心理学、精神症状の神経学的基礎
・包括的介入:認知症に対するリハビリテーション、失語症に対する音楽療法
・包括システム:介護保険の妥当性の検討、包括システムモデル
・脳科学に基づく災害弱者支援:災害弱者スクリーニングと対策
・国際比較:日本・台湾・ブラジルにおける認知症の比較、言語科学的比較
・東洋医学研究:高齢者疾患に対する漢方療法、鍼灸の効果の検討
地域保健支援センター
辻 一郎 教授
手術部
医科学専攻
博士課程
齋木 佳克 教授
・手術看護に関する研究
・手術部位感染に関する研究
・術中患者管理に関する研究
・手術室におけるリスクマネジメントに関する研究
・ME 機器に関する研究
196
集中治療部
医科学専攻
博士課程
海野 倫明 教授
・集中治療医学、人工呼吸中の病態生理
・多臓器不全の病態生理と治療
輸血・細胞治療部
医科学専攻
博士課程
張替 秀郎 教授
・免疫血液学
・輸血医学
・造血細胞移植学
・再生医学
病態臓器構築研究
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
未定
・ヒトがんの分子病理学的解析
・がんの放射線・薬剤耐性機構の解明と耐性の克服
・画像や形態の定量化と診断への応用
脳画像解析医学
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
瀧 靖之 教授
・脳 MRI 大規模データベースを用いた脳の発達、加齢研究
・生涯健康脳に関わる生活習慣に関する研究
197
ゲノム多型機能解析
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
田邉 修 教授
・疾患感受性や薬剤反応性と関連するゲノム多型・変異の同定とその病態生理学的意義の解明
・多層オミックス解析によるバイオマーカー探索と病態解析
・エピジェネティックな遺伝子発現制御の分子機構の解明
(http://www.megabank.tohoku.ac.jp/tommo/member/member05)
(http://www.med.tohoku.ac.jp/org/cooperate/204/index.html)
バイオクリニカル情報学
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
・医療介護福祉情報学の研究
・オミックス情報学の研究
・先端医療情報学の研究
がん病態学(宮城県がんセンター)
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
田中 伸幸 教授
がん幹細胞を標的とする新しい治療法の開発
・発がんモデルマウスを用いた発がん機構の解明
・がん幹細胞を維持する分子機構の解明
(http://www.med.tohoku.ac.jp/org/related/97/index.html)
(http://www.pref.miyagi.jp/mcc/htdocs/kenkyu/soshiki-renkei.html)
呼吸器科腫瘍学(宮城県がんセンター)
医科学専攻
博士課程
前門戸 任 教授
・肺がん細胞の遺伝子ステータスによる個別化治療の開発
・分子標的薬治療の耐性メカニズムとその克服治療法の開発
・抗癌剤効果予測因子の腫瘍内遺伝子変異、発現及び蛋白解析による解明
(http://www.miyagi-pho.jp/mcc/htdocs/shinryou/kokyuki.html)
198
腫瘍病理学(宮城県がんセンター)
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
佐藤 郁郎 教授
・がんの分子標的治療に対する各種遺伝子診断
・がん生物学における遺伝子学的・幾何学的・グラフ組み合わせ論的アプローチ
(http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/index.htm)
発達神経外科学(宮城県立こども病院)
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
白根 礼造 教授
・発達期の神経外科学
・発達期の中枢神経画像診断
・発達期脳の循環代謝
がん細胞イメージング(公益財団法人 がん研究会)
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
広田 亨 教授
・先端的イメージング解析技術を駆使して、がん細胞の染色体動態異常を掌握し、染色体の不安定性を
誘導する細胞機能の「病巣」を突き止める。
(http://www.jfcr.or.jp/tci/exppathol/index.html)
がん分子標的探索(公益財団法人 がん研究会)
医科学専攻
修士課程 / 博士課程
野田 哲生 教授
・先進的がんモデル動物を開発し、ゲノム・エピゲノム解析により得られる情報から、標的分子・シグ
ナルの同定を試みる。
(http://www.jfcr.or.jp/laboratory/department/cell_biology/index.html)
199
がん治療外科学(公益財団法人 がん研究会)
医科学専攻
博士課程
佐野 武 教授
・食道腺癌のゲノム亜型の解析とそれに基づいた治療方針の確立
・食道扁平上皮発癌母地としての genetic/epigenetic な変異の解析
・大腸癌再発を予測する血中バイオマーカーの探索
・網羅的プロテオーム解析による大腸癌肝転移に関与する因子の同定
(http://www.jfcr.or.jp/hospital/department/clinic/disease/gastro/feature.html)
消化器地域医療医学講座(予防医学)(いわき市立総合磐城共立病院)
医科学専攻
博士課程
未定
臨床微生物学(国立感染症研究所)
医科学専攻
博士課程
大西 真 教授
・ゲノム多様性に関する研究に基づいた新規解析ツールの開発
・病原因子の転写制御研究に基づいた新規ワクチン開発戦略に関する研究
・肺炎球菌の宿主内生存戦略解明に関する研究
・淋菌の分子進化と国際伝播に関する研究
呼吸器病態解析学(宮城県立循環器・呼吸器病センター)
医科学専攻
博士課程
未定
・重度慢性呼吸器疾患および肺癌末期状態の患者における地域病院の医療支援に関する研究
・禁煙と呼吸器疾患患者の生活の質および生命予後との関連性についての検討
・結核集団発生事例の分子疫学的研究
・東日本大震災後の結核の臨床的特徴および疫学調査
200
先進医療品・医療機器開発レギュラトリーサイエンス(医薬品医療機器総合機構)
医科学専攻
多発性硬化症治療学
藤原 一男 教授
・多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎(NMO)、その他関連疾患の臨床研究と病態解析
(http://www.ms.med.tohoku.ac.jp/index.html)
予防精神医学
松本 和紀 准教授
ニューロ・イメージング研究(住友電工)寄付研究部門
工藤 幸司 教授
201
東北大学大学院医学系研究科
〒980-8575 宮城県仙台市青葉区星陵町 2-1
TEL : 022-717-8010
FAX : 022-717-8021
E-mail: [email protected]
URL: http://www.med.tohoku.ac.jp