37 ピ ア ノペ ダ ル の 踏 み 方 On Piano 安 田 By Nobuko Pedalling 信 子 Yasuda (人 文 科 学) ABSTRAC'「 In playing the piano, the effect produced by pedalling has often been slighted. For one thi血9, the directions written on music. For another, is very important, though it for the use of pedals are not clearly there are various kinds ofpedals, This thesis deals mainly with the right pedal of a grand piano。 In terms of the use of pedalling, and rhythm pedal. And there are three kinds-long to sustain the tone of or to control three different sorts of pedal can be used-full of a piano, pedal, half pedal, and quarter In terms of the timing of pedalling, there are two kinds-Takt Aplayer pedal, legato pedal, the volume pedal and Synkope pedal. pedal. of the piano must use just the right pedal. に つ い て も何 時 も一 番・ 下 ま で(23mm)と は じめ に 云 う様 な 単 純 な用 い 方 で な くて,色 々 な 踏 み 方 が あ る か ね て よ り,ピ ア ノの ペ ダ ルの 魅 力 に ひ か れ こ とが 認 め られ た 。 て い た私 は,楽 そ こ で具 体 的 に そ の解 明 を試 み る為 に研 究 し 譜 に 印 刷 され たペ ダ ル 記 載 法 と, 実 際 に 出 て 来 た音 との 関 係 に つ い て割 り切 れ な 始 め た もの を述 べ る こ とに す る。 い問 題 を感 じて い た 。 つ ま りペ ダ ル の重 要 性 に つ い て は,演 奏 家(音 楽 学 生 を も含 め て)に ペ ダルの数 よ る 関心 度 の差 が は な は だ し く,又 同 じ楽 曲 で の 時 代 に よ っ て 異 る が,現 在 の グ ラ ン ドピア ノ 各個 人 の 演 奏 を聴 き比 べ て も ピア ノペ ダル の 使 で は普 通 左 右 に 二 つ のペ ダル が 取 付 け られ て い 用 法 に よ り,か な りの 演 奏 効 果 の 相 違 が 認 め ら る 。 真 中 に も う一 つ あ るの もあ り,あ る特 定 の れ るの で あ る 。 音 を保 持 す る の に 用 い られ て い る。 故 に ピ ア ノ演 奏 に おけ るペ ダル の 効 果 につ い 四 つ 或 い は 五 つ の ペ ダ ル も過 去 に は あ っ たが, て は,演 奏 家 の 音 へ の 態 度 の 表 れ と して,非 常 ぜ い た くな骨 と う品 と して の装 飾 用 に は 役 立 つ に重 大 な 問 題 だ と考 え られ る。 が,使 そ の 様 な 中 で,ペ ダ ル効 果 につ い て考 え た 結 混 乱 を生 じ るの で,実 用 に は不 向 き と な り,現 果,従 来 通 りの 踏 む か 踏 まな いか,又 在 で は 取 付 け られ て い な い 。 踏み しろ 用 が 複 雑 で 間 違 っ て使 用 す る と,音 楽 的 38 滋大紀要 第 27 ペ ダル の 名 称 1977 号 2)pedalの 最 初 の 三 字 又 は頭 文 字P イ.印 刷 の場 合 A 右 の ペ ダ ル 知.(ペ ダ ル を踏 む) 「強者 ペ ダル 」 と呼 ば れ 主 と して 増 量 を司 る ペ ダ ル で あ る。 次 の 様 に も呼 ば れ る。 撫 (ペ ダ ル を放 す) ラ ウ ドペ ダル 以 前 か らあ る古 い 記 号 で今 も用 い られ て い る ヴ ォ りユー ムペ ダ ル が 数mmも 紙 面 を取 り,踏 み あ げ の 瞬 間 を明 記 し ダ ンパ ー ペ ダ ル に くい 欠 点 が あ る。 ワ ン タ ッチ 遅 れ る と大 変 な 注 ペ ダ ル を放 す 時 は 記 号 。 (ペ ダ ル の踏 み あ げ は,直 接 ダ ンパ ー に作 用 音 響 的 混 乱 を生 じ る。 され るか ら上 記 の 様 に 呼 ば れ た 。) ロ.鉛 筆 で書 き込 む場 合 B 左 のペ ダ ル P.(踏 『弱 音 ペ ダ ル 』 と呼 ば れ 減 量 され る。 × (放 す) ソ フ トペ ダ ル B 記号 に よ る もの レ フ トペ ダ ル 1)ハ 変位ペ ダル 1860年 頃 に特 許 を受 け,公 式 に採 用 さ れ た が C 中 央 の ペ ダ ル 長 続 き しな か っ た。 む) 新 式 ① 旧式 ン ス ・シ ュ ミッ ト方 式 「保 音 ペ ダ ル 』 と呼 ば れ 或 る特 定 の音 を保 持 シ ョパ ン 《夜 想 曲 ロ長 調 》 譜 例1 す る の に 用 い られ る。 ミ ドル ペ ダル ソ ス テ ヌー トペ ダ ル(ト ー ン サ ステ ィニ ン グ) 1 亭 ペ ダルの記載法 晦 ダル 線r 宥 r'● r 一一 ㌧ r' 、 作 曲 家 の 中 に は 全 くペ ダ ル をつ け て い な い 人 と,部 分 的 につ け て い る 人 とが あ る。 作 曲家 自 低 音 部 譜 表 の 下 に,ペ ダ ル を踏 み 続 け た い長 身 に よ るペ ダ ル記 入(ベ ー トー ヴ ェ ン以 後)に さ の音 符 を記 し,あ げ た い 所 ま で水 平 線 を ひ っ は 原 則 と して従 うべ き で あ るが,暗 示 的 に しか ぱった記法 である。 記 され て い な いか ら役 に立 た な い こ と もあ る。 ペ ダ ル 記 入が な い こ とが,ペ ダ ル を踏 ま な い と 2)ベ 云 うことではない。 シ ョパ ン 《葬 送行 進 曲 》 譜例2 出 版 者 や 編 者 が 指 示 して い る場 合 もあ るが 同 一 作 品 で もエ デ ィ シ ョ ンに よ っ て記 載 場 所 が 異 る等 ま ち まち で あ る。 そ の 上 印 刷 が 間違 っ て い ン ジ ャ ミン ・ケ シ方 式 同 じ頃 に シ ョパ ンの 作 品 に取 入 れ ら れ た 。 2 る時 もあ り,演 奏 家 は 充分 注 意 して検 討 す べ き で,そ の儘 信 奉 す る の は 危 険 で あ る 。 そ の理 由 と して は,昔 は 楽 器 の発 達 が 完 成 さ ペ ダル 線 ) ド れて い なか ったの で,音 楽 家 達 はペ ダ ル の 利用 を 知 らず,又 その 効 果 に つ い て考 え て み な か っ た ペ ダル 線 が 低 音 部 譜 表 の下 に 引 か れ て い て そ 為 と思 わ れ る。 最 終 的 には 演 奏 家 の 判 断 に まか の 線 上 に 踏 むべ き音 符 の長 さ が 記 さ れ る。 され るの で あ るが,次 に種 々 の 記 載 法 に つ い て 述 べ る こ とにす る 。 右 の ペ ダル につ い て で あ る。 A 文 字 に よる もの 1)con pedal 3)コ 譜例3 コー リン ・テイラー 《ポー ト》 〃 (ペ ダ ル をつ け て) senza pedal(ペ ダ ル な しで) ー リン ・テ イ ラ ー 方 式 ペ ダ ル線 一 」一 'ピア ノペ ダ ル の 踏 み 方(安 田) 39 踏 み あ げ の 瞬 間 が 明 記 さ れ,簡 単 で 最:も分 か 指 を鍵 盤 か ら離 す や 否 や,ダ り易 い 利点 が あ り,現 在 広 く一 般 的 に 用 い ら れ て 響 か な くな る 。併 しペ ダル を踏 ん で ダ ンパ ー てい る。 ンパ ー が あ て られ を も ちあ げ て,あ る音 を打 つ な らば,そ 4)ギ ー ゼ キ ン グ方 式 の音 は ダ ンパ ー を はず さ れ た 他 の 弦 の 共 鳴 に よ っ て拡 大 され,指 L _」 ↓ ↓ 譜例4 こ こか ら こ こ まで ベー トーヴェン 《月光 ソナタ三楽章》 を鍵 盤 か ら離 して も響 き続 け,弦 が 振 動 して い る 間 中 止 む こ とが ない 。 こ の 様 にペ ダ ル を踏 ん で 若 干 の音 を次 々 打 つ と,ま っ て 響 き,美 じ り合 しい効 果 をあ げ る。 又 反 対 に 不 快 な音 の もつ れ や 濁 り とな る こ と もあ る の で,使 用 に 際 して は 細 心 の 注 意 が 肝要 で あ る。 注 ダ ンパ ー(Dc;㎞pfbτ鰯)・Damper(英) 弦 の上 に 一 列 に取 りつ け られ た 木 片 で 柔 か な フ エ ル トで下 部 を捕 わ れ て い る。 通 常 は弦 に あ て ら れ て い るが,鍵 盤 が 指 で 押 され る と弦 か ら離 れ,そ の 間 は弦 が 自 由 に振 動 出 来 るが,指 が 鍵盤 か ら離れ る と 5)其 の他 も とへ も どっ て 弦 に か ぶ さ る 消 音 栓 で あ る。 最 高 音 か ら約19個 ∼22個 は 弦 の 振 動 L が 微 弱 な為 ダ ンパ ー な しで あ る 。 Lr 右 の ペ ダル L一 ペ ダル を踏 ま な い ピア ノの 音 は比 較 的 純 粋 で あ るが,ペ ダ ル を踏 む と種 々 の 現 象 を生 じて来 左のペ ダルの記載法 る 。 一 種 の 濁 りや 願 え 等 の 捻 り現 象 が,倍 音 の A)文 関 係 で もた ら され,音 字 に よ る もの の性 質 は 著 る し く変 化 し, una corda(左 の ペ ダ ル を 踏 む) フ レ ー ズ を飾 り,音 楽 的 な 輪 郭 に色 彩 と背 景 を tre corde(左 の ペ ダ ル を 放 す) u.C.(左 の ペ ダ ル を 踏 む) 加 え る。 又ペ ダル を踏 む こ とに よ っ て,ダ ンパ ー が あが るの で タ ッチ は 軽 くな り ,正 しい 指 使 い を 見つ け 出 す の に重 要 な役 割 を果 し,テ クニ t.c.(左 の ペ ダ ル を放 す) ッ ク を軽 減す るの で あ る 。 B)記 号 で示 す 場 合 上 記 の 頭 文 字 で示 す 。 中央のペ ダルの記載法 右の ペダルの使用上の分類 MY.(中 A ロ ン グペ ダ ル 央 の ペ ダ ル つ け て) ピ ア ノ の音 は 人 の 声 や フ ル ー ト ・ヴ ィオ リン ペ ダル の機 構 等 に 比 べ そ の儘 音 を長 く保 て な い。 打 鍵 の 瞬 間 右 の ペ ダ ル に つ い て は グ ラ ン ドピ ア ノ 及 び ア か ら減 量 され る宿 命 で あ る 。故 に 長 く音 を伸 ば ップ ラ イ トピ ア ノ共 に 原 理 は同 じで あ る 。 した い要 求 か らこ の ペ ダ ル が生 じた。 右 の ペ ダ ル が 踏 ま れ る と,梃 て こ 子 に よ っ て,ピ びびなビめ ア ノ の す べ て の 弦 に つ い て い る響 止 即 ち ダ ン パ ー が も ち あ げ られ ,足 をペ ダル か ら離 した 時 も と に も ど る 。 こ れ に 反 し て,あ 使 用 し な い で 打 つ と,打 る音 をペ ダ ル を たれた弦に属す るダ ン パ ー だ け が も ち あ げ られ る。 そ して その 弦 は , い いか えれ ば鍵 盤 を指 で 押 す だ け で は保 つ こ との 出来 な い音 を延 長 させ て 響 か せ る の に ょい ペ ダル で あ り,ベ ー トー ヴ ェ ン以 後 の 作 品 に お い て 重 要 な音 響 の 基礎 とな っ た 。 1)最:終 の 和 音 を延 長 し強調 した い 時,殆 ど常 識 的 に 用 い られ る。 ん 40 滋大 紀要 第 27 1977 号 楽曲 の終止 譜例5 唇 § 一 L_ 1肇 悪い例 隙 間が 広い お そ い テ ン ポ の も の は や さ し い が,は 一 や いテ ン ポ の も の は む つ か し い 。 完 全 な レ ガ ー トは ペ IL _」 ダ ル の 使 用 に よ りは じめ て可 能 とな る。 譜 例8 2)最 初 の和 音 を シ ョ ッキ ン グに 長 くひ びか ドビ ュ ッ シイ作 曲 ア ラベ ス ク1番 蓼 6 せ て 強 調 し た い 時, 一 楽 曲 の始 め ● . 譜 例6 界 n. 一 e. … 一]u一 一コシ ョパ ン ・ス ケル ツォ1番 C プ 〃;一 一 一 一 凶]u一 リズ ム ペ ダル ペ ダ ル を使 用 し た 音 は,倍 儲 … 「 . れ る の で,こ を 踏 み,弱 音の関係 で増量 さ の 原 理 を 応 用 し て,強 拍 でペ ダ ル 拍 で離 す と リズ ミカ ル に き こ え る。 B レ ガー トペ ダ ル こ れ が リズム ペ ダ ル で あ る。 リズ ム 自身 が 楽 曲 1)旋 の 特 性 に な っ て い る舞 曲 等 に よ い 。 律 的 なつ な ぎの ペ ダ ル 指 で結 ぶ こ との 出 来 な い,又 は 音 が 飛 ん で い 一 層 リ ズ ム が 強 調 さ れ る の で 古 典 派 舞 曲 で は, る為 に フ ィ ンガ ー レ ガー トが 出 来 に くい 音 や 和 メ ヌ エ ッ ト ・ガ ヴ ォ ッ ト ・ジ ー ク 等 に 適 し,浪 音 を結 び つ け る為 の 重 要 な用 法 で あ る。 漫 派 舞 曲 で は ワ ル ツ ・マ ヅ ル カ ・ポ ロ ネ ー ズ 等 シ ョパン作曲別れの曲 譜 例7 ]L山L」 最 初 の 音 を指 で押 して い る問 に ペ ダ ル を踏 み, 次 の 音 を指 で打 つ 瞬 間 に ペ ダル を あ げ,前 の 音 が 消 え て か ら新 た に す ば や く踏 む 。 2)和 に 向 いて い る 。 1)ワ ル ツ のペ ダ ル の 踏 み方 」 」 」 イ.] ロ・L __」 一拍 で踏み二拍 で放す。 譜 例9 シ ョパ ン作 曲 ワ ル ツ8番 一拍 で踏み三拍 であげ る き P ● イ.生一ゴ 凱一 声 的 なつ な ぎの ペ ダル 踏 み 方 は1)に 同 じ。 最 初 の 音 は 少 しの隙 間 も な く,次 の 音 に 移 る こ とが 出 来 る。 d d L__」L_ よ い例 。 イ.一 小節目 ロ .二 小節 目 2) ポ ロ ネー ズの ペ ダ ル の 踏 み 方 J J 」 イ イ.一 .ワ ル ツ ィに 同 じ ロ.L_」L」L一_」 隙間が狭 い ロ.ク レ ッシ ェ ン ドの 時 ピア ノペ ダ ル の 踏 み 方(安 譜 例10 シ ョパ ン作 曲軍 隊 ポ ロネー ズ ` 9 9 5 ` 5 腫 へ 41 A 全 ペ ダル(フ 量 マ ? サ `・ φ 幽 隷 ↑ 田) ルペ ダ ル) ペ ダ ル を底 ま で深 く踏 む 。 増 量 が 甚 だ しい の で和 声 の 変 化 し た時 は耐 え難 い 混 乱 を 起 す の で 踏 み 替 え るべ き で あ る。圧 力 的 表 現 に 適 す 。 f.又 はff.の 部 分 に踏 む 一 u 3)マ 」 .禽5.. 譜例14 ヅ ル カの ペ ダ ル の 踏 み 方 ア クセ ン トが 三 拍 に 来 るの が 原 則 で あ るが 一 シ ョパ ン作 曲練 習 曲 瀦 拍 に あ るの も,又 二 拍 に あ る の も多種 多 様 で あ る。 γ イ. 」 ・.て 」 」] 三 拍 に踏 む 」 ハ . 」 」 ㌔ 疏 一 一 一 _ 一 一 拍 と三拍 ・踏む 二拍 に 踏 む 工 」 B 半 ペ ダ ル(ハ ー フ ペ ダル) 譜 例11 イ.の 例 シ ョパ ン作 曲 マ ヅル カ 〉 1 ペ ダ ル の 踏 み 代 を半 分 踏 む 。 和 声 が 変 化 す る 時 踏 み 替 え るべ き で あ る 。 乾 燥 した生 の音 を防 ぎ,薄 化 粧 す るの に ょ い 。 》 譜 例15 o 口 ] 語 例12 ロ .の シ ョパ ン 作 曲 ポ ロ ネ ー ズ 変 ホ 長 調 《㎞8豊o・o,飾 轟o嗣 ∂●o 脚脚' 艪 9 .:腱 . 例 一 P . ・ 〉 ・ ○ 》 。 》 ・ ] > 9> ス タ ッカ ー トの 部 分 に最 適 で あ る。 和 声 が 変 1」 L1 化 し た時 は,踏 み 替 え るべ きで あ る。 ] ハ C 浅 いペ ダ ル(か る いペ ダ ル) .の 例 か る く一 寸 踏 む 。 つ ま り,ペ ダ ル が か か って 譜 例13 〉 い るか い な い か分 か ら な い位 に す る。 音 質 を明 る くニ ュ ア ン ス をつ け るの に ょい 。 響 が微 量 の P勿4ご ・・8 2 皇 2 ・ ・ 熱 為 に,和 声 が 変 わ った り,音 階 を弾 い た りして も濁 ら な いか らペ ダル を踏 み 替 え る必 要 は な い L」 場 合 もあ る。 シ ョパ ンや ドビ ッ シ イ等 の 作 品 の L_」 デ リケー トな場 面 に よ い。 又最 弱 音 に適 す 場 合 もあ る。 譜 例16 増 量の度合 を踏 み代で区別 す る方 法 右 の ペ ダ ル を 底 ま で 踏 む と約23mm下 シ ュ ー ベ ル ト即 興 曲 `Allegro molto modemto) が る 。(楽 器 の 大 小 や メ ー カ ー で 多 少 異 な る 。)最 近 は こ れ よ り深 く な る 傾 向 に あ る 。 侮 り8伽 ◎・ 」一一繭細 網 」㌧__一 詠_■ 八一_一 へ__ 滋大 紀要 42' D 第 27 ク レ ッ シ ェ ン ド ・デ ミ ヌ エ ン ドペ ダ ル 1977 号 第一 の 音 の 打 鍵 の瞬 間 とペ ダル は 同 時 で あ る 指 先 だ け で の ク レ ッ シ ェ ン ドや デ ミ ヌ エ ン ド が,次 だ け で な く,ペ と一 緒 に 踏 まな い の で あ る。(打 鍵 し た 瞬 間 に ペ ダル を放 す) さ れ て,効 ダ ル で も補 足 す る と,一 層強調 果 的 で あ る。 1) ク レ ッ シ ェ ン ドの 場 合 イ.漸 次 深 く 踏 む(一 の 音 か ら切 分ペ ダ ル と な る 。 つ ま り拍 子 譜 例19 小 節 同 一 和 声 の 時) 裕 シ ョパ ン作 曲 ポ ロ ネ ー ズ1番 ・ ・肱'・ ・樽 ・ ・ γ …・・ 舜 ・ ・ シ ョパ ン作曲 バ ラー ド2番 語 例17 { # .がく く 一 し 旨 、 レ: % Ll一L_ユLJ 一三==; ■■唱== しく 饗 ㌧ノ L_4 . B 同 時 ペ ダ ル(Takttreten) ロ.数 小 節 に 及 ぶ 時 は,踏 み 替 え る毎 に漸 拍 子(タ ク ト)と 一 緒 に 踏 む 。 前 の 音 とだ ぶ らぬ 様 に,正 確 に 又器 用 に 拍 頭 で踏 む べ き で あ 次 深 く踏 む 。(踏 み 代 を 増 す) L一LjL」 る。 前 の 音 の 分 離 と,次 の 音 の 充 実 に 効 果 的 で あ る 。 リズム や ア クセ ン トペ ダ ル に適 し,盛 ん に利 用 して よ いペ ダ ル で あ る。 単 一 化 して使 用 譜 例18 シュー マ ン作曲 飛 翔 `Sohr 」 」 」 」 一L_」L」 ↓ 僅かの隙間がある P 一一 一8一L 2)デ __」 し_」 ミ ヌ エ ン ドの 場 合 イ.1)の ロ.同 す る と音 が 豊 富 に き こ え る。 ra8c, 譜 例20 反対 で あ る。 シュー マ ン作 曲 ノ ヴ ェ レ ッ テ ン1番 上 ]一 一L ]]] 踏 み あ げの タイ ミン グ A 切 分 ペ ダ ル(Synkopertes L」L」L」L」 Pedal) 踏 み 替 えペ ダ ル の こ とで あ る 。 原 則 と して先 づ 音 を出 し てか らペ ダ ル を そ の 直 後 に 踏 む の で ペ ダ ル を離 す の と,手 を鍵 盤 か ら離 す の と 同 あ る。 充 分 な レ ガー トで 純 粋 な音 を安 全 に得 ら 時 に す べ きで あ り,出 来 るだ け シ ン プ ル な用 い れ て 前 の 音 と混 同 しな い。 詳 し くは,ピ 方が よい。 アノの 音 は 打 っ た瞬 間 は きた な い の だ が,一 秒 弱 で 弦 音 の 位 置 に よ り種 々異 るペ ダ ル の 振 動 は 規 則正 し く整 理 さ れ た 状 態 とな り,こ の 頃 者 を強 あ るの に ょ い時 機 で あ り,ペ ダ ル を A) 踏 む とき れ い に き こ え る 。 高 音 の 弦 は 細 く,短 い の で,打 」 」 1 」 L_一_1L」L」 高音 域 で のペ ダ ル っ た 瞬 間か ら 音 は消 えて しまう。特 に 最 高 音 か ら約19個 は ダ ン パ ー な しで あ るか ら絶対 に ペ ダ ル が 必 要 で あ る。 ピア ノペ ダ ル の踏 み 方(安 譜 例21 リス ト作 曲 森 の さ さや き 43 作 曲 の 音 型 とペ ダル との 関 係 A ヴ ィヴ ラー トペ ダル(V.P.) ●駒. レ 田) 垂88 塵 18 葛 盤8 手 と一 致 す る様 に 踏 まず,ペ ダ ル を 出来 るだ け す ばや く踏 み あ げ を繰 返 す 。 足 をペ ダ ル に ぴ aolto legato っ た りつ け て,足 の雑 音 を 出 さ ぬ様 に 注意 す べ 燭A 8 露 ■ 魯 ` 5 13 tau. 幽 亀 鳥 皇 ・ 1 8 き で あ る。 印 象 派 の微 妙 な描 写 の場 合 や 又 反対 に テ ン ポ の はや い両 手 の 音 響 に よ い 。 酬W肌P.の 記載法 B) 中音域の場合 譜 例25 中音 域 で は,和 声 的 に関 係 の な い音 をペ ダ ル で混 同せ ぬ 様 に,踏 み す ぎな い 注 意 が 必 要 とな ベー トーヴェン,協 奏曲第3番 ハ短調,第1楽 章 , . ■ `▲ゆ る。 ●on brio) ' ノ 譜 例22 月光 ソナ タニ楽 章 ゲ .., で 一 ww一 」∫」6 5 4 8 2 離舞舞 一 C) 低音 域でのペ ダル B ト リル ・ トレモ ロの ペ ダル 1)ト リル さ えづ りの 意 で 二度 の 急 速 な連 続 に ペ ダ ル を 踏 む と,隣 接 した 二者 は 一 層 輝 や か し く溶 け合 う。 長 く連 続 す る ト リル に は踏 み替 え るべ きで あ る。 バ ス の 弦 は 振布 が 大 で,長 く響 き続 け るか ら ダ ンパ ー が 弦 の 振動 を止 め る の に 間 に 合 わ な い 。 語 例26 ベ ー トー ヴ ェ ン 孚3 故 に バ ス が動 き出 す と,協 和 ・不 協 和 に 関 係 な o 1亀 月光 ソナ タ終 楽 章' pO60 fit. ⑤直 くペ ダ ル は使 用 すべ き で な い。 併 し絶 対 必 要 な 噸 時 は音 符 よ り早 目に ペ ダ ル を放 せ ば よ い 。 1)使 且3 13 2 4 用 しな い . 一 語 例23 ショパ ン 《バ ラー ド変 イ長調》 ♂ ㎜ar鱈w 2)ト 館 o レモ ロ ト リル よ り音 構 成 が 多 い の で,ヴ 齢 ィ ヴ ラー ト ペ ダ ル に し て 浅 く踏 む の が よ い 。 2)必 踏 む べ きで な い。 要 な箇 所 の み使 用 す る 譜 例27 ベ ー トー ヴェ ン協 奏 曲 譜 例24 ベ ー トー ヴェ ン 《ソナ タ作 品27》 8 曾 ■ , 曾 曾 9 , ■ 曾 . ▽ 「 . ● ● ∫ 〃 一 ノ 一 イ , 一 一 ' 〇 幽 一 〇 一 ● 一 一 口 Ll 必 要 な所 の み踏 む 。 イ.浅 い ペ ダル ロ.ヴ ィ ヴ ラ ー トペ ダ ル ど ち らで も可 滋大 紀要 44 第 27 号 1977 C 音 階 1)全 左 の ペ ダル 音階 楽 曲 の 速 度 や 強 弱 に も左 右 され るが,音 階 の ペ ダ ル は 警 戒 す べ きで あ る。 テ ン ポ の 速 い もの 右 の ペ ダル とは 無 関 係 で 別 種 の もの で あ る。 は 途 中 で 踏 み 替 え,お そ いテ ン ポ の もの は む つ 弦 が ハ ン マ ー の 頭 の 溝 に は 入 り込 む 様 に な っ て か しい の で 踏 ま な い の が安 全 で あ る。 い る が,左 の ペ ダ ル を 踏 む と,鍵 が 約2mm右 に ず れ る。 そ の 結 果 ハ ンマ ー の 柔 ら 譜 例28 ブ ラー ム ス 作 曲 ラプ ソデ ィ ' , レ ド 左 の ペ ダ ル を 踏 ま な い で ピ ア ノ を 弾 く時 は, 盤 とハ ンマ ー か な フ エ ル トの 部 分 が 弦 に 触 れ て,ソ を 生 じ る 。 鍵 盤 と ハ ン マ ー が,や / こ と に よ っ て,三 弦 の も の は 二 弦 に な り,二 の も の は 一 弦 に な り,一 Pレ フ トな響 ・右 に ず れ る 中 央 で な く,端 弦 弦 の もの は ハ ン マ ー の っ こ の 方 が 一 寸 叩 か れ て,減 量 上 昇 音 階 は 踏 み 放 しで差 支 えな い で あ ろ う。 さ れ る 。 三 弦 ・二 弦 の 個 所 は ハ ン マ ー で 叩 か れ 2)半 な い 弦 が 出 来 て,そ 音階 れ が 共 鳴 弦 の 働 き を し て音 半 音 階 の 方 が 全 音 階 よ りもペ ダ ル に対 す る感 色 を変 化 させ る の で あ る。 度 が 高 い と云 わ れ て い る。 む つ か しい の で そ の ピ ア ノ 線 の 弦 に つ い て は,ピ ア ノの 種 類 や 大 都 度 の判 断 が 必 要 で あ る。 き さ,又 々 で あ る が,こ は メ ー カ ー に よ り,色 こ で は ヤ マ ハ グ ラ ン ドピ ア ノ で 説 明 す る 。 譜 例29 一 ・二 弦 は 巻 線 と 呼 ば れ て 太 く,長 メ ン デ ル ス ゾ ー ン 《ロ ン ド ・カ プ リ チ オ ー ソ》 用 で あ る 。 そ の 次 高 音 か らの 三 弦 は響 きが 極 め 一 `思. 任意に D ぜひ必要 幽響_.一...__._,_..f n て 美 し い 。 最:近 は 一 ・二 弦 を 少 く,三 『 _ す る傾 向 に あ る 。 グ リ ッサ ン ド(Glissando) 強 弱 に 拘 らず 踏 み 続 け る べ き で あ る 。 ク レ ッ ヤ マ ハG2 G3 G5 C7 く,低 弦 を多 く F.C. 一弓 玄 10個 10個 13個 9イ固 8個 二弓 玄 18個 16個 13個 11{固 8個 三号 玄 60個 62個 62イ固 68イ匿1 72個 セ ン ドや デ ミ ヌ エ ン ドペ ダ ル を 併 用 す る と尚 一 左 の ペ ダ ル を 使 用 す る と,約5ホ 層華 麗で ある。 る 。 全 く新 し い 位 置 で 弦 を 打 つ の で,別 構 成 と な り,音 譜 例30 リスト作曲 狩 、 ♪ 一 1 の倍 音 色 も変 化 す る 。 踏 み 方 に規 則 は な い が 最 弱 音 の時 に 用 い る のが の で,ペ 》 〉 ン減 量 され 質 の み な ら ず,音 よ い 。数 小 節(又 〃'伽απ40 音 は そ れ 以 上)踏 み 続けて よい ダ ル ・チ ェ ン ジ し な い 。 譜 例31 ベ ー トー ヴ ェ ン作曲 月光 ソナ タ :》 〉 足 の位置 か ・と を床 の上 に のせ て,両 一 足 をペ ダル の 前 又 足 の あ げ 下 げ に雑 音 が 出 て,演 奏 の 妨 害 と な き :一 atenutoU 一昌 に 置 く。 足が ペ ダ ル と接 触 し て い るべ きで あ る。 1 24 sempre pp senza sordini .C4 る の は い け な い 。音 符価 値 を正 確 に再 現 す る為 に,足 の タ ッチ も意 識 して 練 習 す べ きで あ る。 (音 の イ メー ジ を頭 に描 き乍 ら) 左 のペ ダ ル を踏 ん だ上 で右 の ペ ダ ル も加 え て もよい。 ピ ア ノ ペ ダ ル の 踏 み 方(安 田) 45 注 堅 型 ピア ノの 中 央 の ペ ダ ル は ピ ア ニ シ モ 中央 の ペ ダル (保 音 ペ ダ ル) ペ ダ ル と呼 ば れ 左 の ペ ダ ル の繰 返 し で あ あ る特 定 の 音 を保 持 す る の に用 い られ る 。 こ り,保 持 者の意 味 は な い 。 騒 音 防 止 の 為, れ は パ リの モ ン ター ル と 名乗 る盲 人 が,発 大 層 減 量 され るの で,こ れ を 踏 ん で指 先 明し て1862年 頃 ロ ン ドンの 展 示 会 に 出 品 した も の を, だ け の訓 練 をす るの に適 して い る。 ス タ ン ウ ェイ 会社 が そ の 権 利 を 買 い 取 った の で む す び あ る。 日本 で は カワ イ ピア ノが 三 つ ペ ダ ル を取 入 れ た 。 最 近 ヤ マ ハ で も,ア メ リカ留 学 か らの 帰 国 ピア ニ ス ト達 の 要望 に 応 じて,三 つ ペ ダ ル ピア ノ演 奏 の 芸 術 的 完 成 の ため に は,ペ ダ ル を マ ス ター す る こ とが 何 よ り肝 要 で あ る。 そ れ を製 造 し始 め て い る。 に は ピア ノ原理 を知 り,理 論 を正 確 に 理 解 した 保 音 ペ ダ ル の仕 組 み は,こ 時 に 押 した鍵 盤 の 音 だ け ダ ンパ ー が 弦 か ら離 れ, 上 で,長 年 月の 足 の トレー ニ ン グが,指 の テ ク ニ ッ クの 訓 練 と同 様 に必 要 と思 わ れ る 。 そ の 教 そ の 後 に使 用 され る左 右 の ペ ダ ル に 関 係 な く, 育 は 初 歩 的 段 階 よ りは じめ るべ きで,大 これ を踏 み 続 け て い る間 中,そ の音 又 は 和 音 だ 理 論 的 説 明 の上 で,子 供 に は 実 技 上 の 指 導 の 中 け が延 長 され る様 に 製 造 さ れ た もの で あ る。 こ か ら示 す べ きで あ る。 実 際 に は例 外 の 方 が 規 則 れ は持 続 音 を弾 くの に は よ いが,こ よ り多 い の で 大 ピア ニ ス ト間 に も統 一 見 解 が な い 。 故 に最 終 的 に は 演 奏 者 自身 の 判 断 に まか さ 踏 む 瞬 間 に は,左 で,あ れ を 踏 む と,そ の の ペ ダル を 右のペ ダルは使用出来ないの ま り使 用 され な い。 又 そ の 踏 み し ろは 底 れ て い る 。 耳 が 先 生 で あ る。 まで で,中 間 位 置 は い け な い の で あ る 。 参 考 文 献 譜 例32 アル ガ ー ノ ン ・H・ リン ド著 北 野 健 次訳 シ ューマ ン作 曲 子 供 の情 景3番 の _盤_ ピア ノ ・ペ ダル の 芸術 音 楽 の 友社 笈 田光吉 著 ピア ノペ ダ ルの 使 い方 音 楽 之 友社 K.U. シュナ ーベ ル 著 青 木 和子 訳 ペ ダル の 現代 技 法 音 楽 之 友社 プ M.P. 人には
© Copyright 2024 Paperzz