オーストラリアでの三週間 農学部 獣医学科(’11 入学) お お ち 大智 こ う すけ 宏祐 この夏、私は長期休暇を利用して、オーストラリアで三週間ファームステイをしました。 日本ではあまり知られていませんが、向こうでは Wwoof(ウーフ)という活動が盛んです。 Wwoof とは、Wwoof に登録しているファームに自分で連絡を取り、そこへ行き、労働力を 提供する代わりに、ファーム側はホストファミリーとして、食事と寝る場所を提供します。 このように Wwoof を利用して、働く人たちのことを Wwoofer と呼び、世界には多くの Wwoofer がいます。オーストラリアは特に Wwoof が盛んな国なので、実際に私が行った時 も何人かの Wwoofer に会いました。 私が行った 80 エーカーのファームは、夫婦二人が営んでいるものでした。動物が多く飼 われていたので、仕事は動物に関するものがメインでした。毎朝6時半ごろに起床して、 7時から軽く朝食を済ませ、8時前から仕事が始まります。まず、朝のエサやりです。鶏、 あひる、牛、馬、羊、山羊、がちょうが飼われているので、全ての動物にエサをやるのも 一苦労です。その後の仕事は、日によって違いますが、例えば、馬や牛のために新しい放 牧場を作るため、放牧地に転がっている岩や石を拾い、柵を立てるといった仕事をした日 もあれば、その家では野菜や植物を育てていたので、新しい植物を植える準備や、草取り や水やりをした日もありました。ステイの初めの一週間は、旅行で不在の隣人のために、 そちらのファームを手伝いました。夕方になると、その仕事を切り上げて、朝と同様に動 物たちにエサをやって一日の仕事が終わります。初めの頃は、ホストファミリーが言って いることが分からないことが多く、また、自分の言いたいこともなかなか伝えられず、苦 労しました。日本にいた時、英語の授業中に、自分の発音などほとんど気にしていません でしたが、実際に向こうで話をすると、通じないことが多く大変困りました。さらに、日 常会話の英語と授業で習う英語の違いを感じました。難しい文法など必要なく、簡単な文 で会話は成り立ちます。私は英語の語彙力がないと日本にいる時から感じていたのですが、 実際に会話をする時、それが如実に現れ、困る場面が何度もありました。さらに、オース トラリア人同士の会話になると、会話のスピードが速すぎて、本当に驚きました。それで も向こうで出会った人は、親切な人ばかりで、私が話をすると、真剣に耳を傾け、たくさ ん質問をしてくれました。会話の最中に知らない言葉が出た時、「その単語って何?」「も う一回言って!」と言っても嫌な顔せず、丁寧に話をしてくれました。そのお蔭で、帰国 するころには、初めの頃に比べ、会話も弾むようになり、楽しく話をすることができるよ うになっていました。 毎日料理の手伝いをしていて、向こうの料理から学ぶこともありました。オーストラリ アは移民の国で歴史も浅く、約 200 年程度です。そのため、彼らの伝統料理といったもの はあまりなく、いろいろな食文化が混ざっています。晩ご飯はイギリス料理だったり、中 華料理だったり、メキシコ料理だった日もありました。昔はヨーロッパ系の移民が多かっ たのですが、最近ではアジア圏からの移民が多いため、それが食文化にも大きく影響して います。外から入ってくるものを拒絶するのではなく、快く受け入れる、これが、私の感 じたオーストラリアの雰囲気です。オーストラリアは、面積は広大ですが、人口は 2300 万 人と少なく、労働力が足りないため、多くの外国人を受け入れているそうです。そのため か、外からの人や物に対して、友好的で、実際、私が直接会った人たちも、親切な人ばか りでした。 オーストラリア滞在中には、日本の豊かさに気付くことも多々ありました。ステイ先の 個々の部屋には暖房器具はなく、休憩の時などは、暖炉のあるリビングでホストファミリ ーと一緒に過ごしていました。日本のように、24 時間空いているコンビニのようなものは 全くなく、日本の生活しか知らなかった私は、外国、特に田舎の生活は質素なのだと身を 持って知りました。最も驚いたことは、水です。私が滞在した8月は冬だったので、まだ ましでしたが、夏になると水不足がオーストラリアでは深刻になります。雨は降らず、周 りの草木は枯れてしまい、気温も 40 度以上になるため、生活するだけでも大変だそうです。 そのような、厳しい環境の中でもたくさんの動物が生息しています。カンガルー、コアラ は日本でも有名ですが、その他にもたくさんの野鳥をみました。野生のカンガルーは家の 周りにはどこにでもいるし、色鮮やかな野鳥たちは、仕事中に何度も見かけました。特に 驚いたのは敷地内を一人で散歩していた時、コアラに出会ったこと!向こうも私に気が付 くと、木に登って逃げていきましたが、なかなか会えない野生のコアラを見たときは感動 しました。 異文化を体験すると、その文化だけではなく、自分の文化がどのようなものかが見えて くるとよく耳にしますが、本当にそうなのだと今回のファームステイで学びました。日本 とオーストラリアのそれぞれの国の様々なことを考えさせられた三週間でした。 今回のファームステイをするにあたり、英語だけでなく、旅行のことなど普段の授業か ら大変お世話になっている和田先生、ステイ先を決める際や英会話について指導して下さ ったシャーリー先生、ステイ中大変親切にして下さったホストファミリー、本当にお世話 になりました。
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