客単価の増大

10
11
自社への貢献度に基づく
消費者の分類
ロイヤルティ・マーケティングの特徴と類似語
„
ノン・ユーザー
(non-user)
ユーザー
(user)
ロイヤル・ユーザー
(カスタマー,customer)
消費者の異質性に着目
„
„
„
顧客データの活用
„
„
ロイヤルティ・マーケティング
„
„
ユーザーのロイヤルティ向上やカスタマーのロイヤルティ維
持を目的としたマーケティング戦略
個別対応 (one-to-one) マーケティング
囲い込み (Retention) マーケティング
Database marketing
長期的な視点に立ち、顧客生涯価値
(customer lifetime value)を重視
„
„
関係性(Relationship)マーケティング
CRM (Customer Relationship Management)
13
本日の講義予定
ソリューション・セリング
(solution selling)
„ 効率的な消費者対応
(ECR: efficient consumer response)
„ カテゴリー・マネジメント
(category management)
小売経営論
„
マーケティング戦略4
客単価の増加
14
カテゴリー・マネジメント
„
米国での定義
„
流通業者やサプライヤーが商品カテゴリーを
戦略的事業単位として管理するプロセスであり、
消費者価値の提供に焦点をあてることによって事
業成果を向上させることを目的とする
„ カテゴリーのゴールや競争環境、消費者行動に基
づいて、価格、マーチャンダイジング、プロモーショ
ン、商品ミックスの決定を行うこと
これだけではよくわからない
„
15
米国でのカテゴリー・マネジメント
„ 80年代後半
„ Willard Bishop, Brian Harrisらが提唱する
„ 90年代半ば
„ ECRの中心に位置付けられ、食品業界を挙げての
定式化と普及活動が行われる
・カテゴリー・マネジメント・レポート
„
1995 by ECR ベスト・プラクティス委員会
カテゴリー・マネジメントの手引き
1996 by ノースウエスタン大学小売経営研究所
„ 現在
„ 普及・実践の時代
„
FMIの大会でもセミナー数激減(啓蒙の時代は終わった)
1
16
17
SMとDSのコスト構造比較
カテゴリー・マネジメントの背景
„ 従来の小売のビジネス形態
„ 「仕入れ中心の差益確保」技術を重視
„
他業態(DS、クラブストア、ドラッグ、スーパーセンター)の脅威
„
„
„
まともに価格競争をしたのでは、自滅してしまう
売れなければ差益がとれず、在庫コストもかさむ
新しいビジネス・モデル(仕事のやり方)の必要性
„
„
カテマネ:「売上と利益性」を両立させる技術と管理手法
ECR:コスト構造の変革
ウォルマート
Kマート
粗利益率
経費比率
営業利益率
25.5%
17.4%
8.1%
27.7%
22.6%
5.1%
スーパーマーケット
平均
24.5%
21.0%
3.5%
売上高/sqft
粗利益/sqft
営業経費/sqft
営業利益/sqft
$244
$61
$42
$19
$147
$40
$34
$6
$468
$115
$98
$7
1991年当時
18
19
売上と利益を両立させるための管理手
法
ECRとカテゴリー・マネジメント
効率的新製品導入
„ カテゴリーを(戦略的)事業単位として管理
„ カテゴリー単位で目標や評価基準を設定し、意思
決定を行う (単品では細かすぎ、部門では大きす
ぎる)
„ それぞれのカテゴリーを一つの事業として、実績を
基に、戦略的に管理する
„ 損益管理もカテゴリー・レベルで行う
„ そのためにカテゴリーを俯瞰しカテゴリー間の資源
配分を決定する(位置付け・役割の決定)
効率的品揃え
カテゴリー・
マネジメント
効率的プロモーション
効率的商品補充
需要があってこその供給サイド(サプライチェーン)効率化
„
小売業のポートフォリオ・マネジメント
20
カテゴリー・ポートフォリオの例
21
ポートフォリオ=データに基づく粗利ミックス
売上金額
高
金のなる木
旗艦
高
チーズ
パン
粗
利
率
ホイル、袋、
ラップ
低
クッキー
旗
艦
金のなる木
維持/育成
高
氷
香辛料
紅茶
猫用トイレ
粗
利
率
米
クラッカー
クッキー
クラッカー
スパゲティ・ソース
化粧用ティッシュ
スープ
シリアル
ツナ
客
ピーナッツバター
料理用チョコレート
ショートニング
トイレットペーパー
集
化粧用ティッシュ
漂白剤
衣料用洗剤
低
維持/育成
パスタ
ヨーグルト
アイスクリーム
低
高
売上金額
攻撃下
低
集 客
攻撃下
機能回復
機能回復
出所: Abstracted retailer data, Center for Retail Management, Northwestern University
出所: The Center for Retail Management, Northwestern University
2
22
23
カテゴリー・マネジメントの本質
「戦略的に管理する」とは
„ カテゴリー・マネジメントの本質部分
„ カテゴリーを単位とした戦略的経営管理(利益指
向)
„ 売場視点のマーチャンダイジング革新(顧客指向)
„
„
„ カテゴリーの現在のポジションを把握し目標を設定
„ ポートフォリオはここで使う(商品部長、デパ長の仕事)
„
例)このカテゴリーの位置付け(役割)は利益確保で、
カテゴリー目標は粗利率を維持し、売上額5%増
„ 目標達成のための方針(戦略)を策定
消費者視点での売場再編集
マーチャンダイジング業務のBPR
„
例)購入頻度と利用世帯の増加
„ 戦略を実現するための施策(戦略)の開発
„ 取引先との連携は主にこの領域
„ 前提条件
„ データ、情報技術の活用
„ メーカー、卸との協力
„ あくまで本質部分を遂行するための手段
„
例)
・催事・テーマエンドを増やす
・利用機会(オケイジョン)による定番棚割
(日本の場合この部分だけでカテゴリー・マネジメントと称してしまうこと
が多い)
24
25
カテゴリーの特性を考慮する
売場視点のマーチャンダイジング管理
„ 市場特性
„ 売場視点のマーチャンダイジング管理
„
„
„
マーチャンダイジングとは、製品を「消費者にとって意味のあ
る集合」として店頭で提供すること
カテゴリー は 売場を構成する単位
„
„
„ 消費者の購買特性
„
„
„ 品揃え価値の向上
„
„
訴求点は価格だけではない
„
また訴求点はカテゴリーの特性により異なる
成長性
上位集中度
浸透率
„
„
„
主要購入世帯層、ヘビーユーザー度
ロイヤル・カスタマーにとっての重要度(FSPで得た顧客データを活用)
計画・非計画購買傾向
購買間隔
ブランド・コミットメント/バラエティ・シーキング傾向
プロモーション効果
„
„ これらを情報テクノロジーを用いて、より科学的に、戦
価格弾力性、エンド効果、チラシ効果、etc
略的に行う
26
27
カテゴリーの特性
消費者視点での売場編集
バラエティ・シーキング
いろいろなブランド
を使い比べる
商品に対する関心
が低い
スナック
せんべい・あられ
レトルト・カレー
チョコレート
プリン・ゼリー
キャンディ
ビスケット・クラッカー
インスタント・スープ
低アルコール飲料
ワイン
コーヒードリンク
炭酸飲料
パン
使い比べにより
アイスクリーム
ドレッシング
ロイヤルティを形成
カップ麺
パスタ・ソース
ビール
インスタント・カレー(ルー)
ヨーグルト
シャンプー・リンス
メイクアップ化粧品
台所用洗剤
スピリッツ
ベビーフード
オリーブオイル
乾物類
フレッシュクリーム
みりん風調味料
焼酎
日本酒
住居用洗剤
健康食品
ケーキミックス
果汁飲料
醤油
本みりん
食酢
ごま油
サラダ油
バター
ソース
ケチャップ
粉類
紙おむつ
マヨネーズ
コーラ、たばこ
„ カテゴリーを定義すること=売場(アソートメントの単位)を定
義すること
„ お客様にとっての売場の価値を高める
„
焼き肉のたれ
ブランド・コミットメント
„
特定ブランドを
習慣的に購入
買いやすい
„
売場の括りが明確、お客様が理解できる
„
消費者視点でのサブカテゴリー分類(グルーピング)
おもしろい
„
売場の連続性がある → 買い物に連続性が生まれる
„
情報発信があり、発見がある(定番、プロモーション共)
3
28
29
売場の連続性(カテゴリーは売場構成単位)
使用シーン・用途
カテゴリー
セグメント
サブカテゴリー
A
C
B
売場
お客様にとっては「買い場」
類似性
補完性
„ 朝食
„ ジャム、シリアル、ドライフルーツ、パン、インスタン
トコーヒー、紅茶
„ たらこ、しらす、梅干し、佃煮、インスタントみそ汁
バスケット
„ 弁当
分析
„ 幼稚園、中高生、お父さん
„ ホームメイキング
„ フルーツ缶詰、グラニュー糖
„ 健康
„ ダイエット、栄養強化、滋養
D
使用シーン
用途
ストック場所
30
31
売場での情報発信
マーチャンダイジング業務のBPR
消費者の商品知識が増加しているのは錯覚
しかも売場はセルフ
„ カテゴリー・マネジメントの業務プロセス化
(カテゴリー・マネジメントの業務改革的側面)
„ 組織の変更
„ 商品情報(個々の銘柄の個性、こだわり)
„ ワイン、日本酒、ビール、米、味噌、etc
„ 生鮮:栄養、旬
„ 食べ方・使い方
„ 酒類:料理との相性
„ 生鮮:食べ方
„ 加工食品:利便性
„
バイヤーからカテゴリー・マネジャーへ
„
評価基準の変更
„
メーカー・卸との協力
„
情報システムの強化
„
„
„
„
„
売上高・粗利から在庫回転や営業利益へ
繰り返しが
可能
カテゴリー・パートナー
営業系(販売系)+財務系DB
トップ・マネジメントの関与(組織・投資)
手順化
効率化
ボード、カード、リーフレット、コーナー展開、関連陳列
32
メーカー、卸との協力
„ MD、SPの革新の為に小売に欠けているもの
„ 情報
„
„
„
„
„
„
„
比較POSデータ
カテゴリーのトレンドや成長性に関する情報
サブカテゴリーの括り方
消費者や購買行動に関する情報、調査データ
他業態、競合店の状況
他社での成功事例(失敗例も)
分析・戦術開発リソース
„
„
分析のための人的資源(バイヤーの時間的資源)
ハードウエア、ソフトウェア等のシステム・リソース
33
効果的なパートナーの活用
„ 小売側のやる気
„ 本気でお客様に支持される売場を作ろうとしているのか?
„ 目新しい提案だけを求めているのではないか?
„ パートナー選び
„ 客観性があり、売場、カテゴリー視点の発想ができるか?
„ 消費者情報が豊富か?
„ 分析力があるか?
„ パートナーへの情報提供
„ データ(POS、棚割り、購買データ)
„ 商品政策・方針
„ 合意した企画の実施徹底
„ 結果のフィードバックと継続性
4
34
35
メーカー・卸の対応
メーカー・小売の情報共有
„
カテゴリー・パートナーとの情報共有
組織をカテゴリー・マネジャー制に変更
„ 営業組織の統合
„
小売の本部にメーカーが常駐し、小売の情
報端末にアクセスできるケースもかなりある
„ 例) ウォルマートとP&G
„
„
„
„
かつては1チェーンに対し製品ラインごとに別の
営業チームが担当
„ 営業組織の統合により1人の営業マンが複数の
製品ラインを担当
„
数十人のスタッフを常駐
ウォルマートでの売上はP&Gの米国の全売上の
1割
チェーン本部の近くにオフィスを移転
„ 営業形態の変化
„
メーカーは共有した情報から「客観的な」
提案を求められている
36
37
営業形態の変化
„
セールス・コールの変化
„
„
„
„
„
„
情報優位の獲得
従来はプロモーションをいつ行うかを取り決めることが目的
バイヤーの仕事は最適仕入れ数量を決めるためにコン
ピューター・プログラムを回すことで、仕入れた商品をいかに
して売るかに関しては比重が低かった
カテゴリー・マネジメントでは情報提供を伴った、生産性の高
いセールス・コールが求められている
価格の変更のような日常業務はコンピューター化し(EDIに
含め)、セールス・コールはより分析的なものへと変化
チーム・アプローチ
フィールド作業の外注化(アウトソーシング)
„
情報優位の獲得とは
問題提起者としての買手
解決テーマに対する問題認知
既
既
知
知
情報優位の
獲得
未
行動重視型
営業
知
企画提案型
営業
新たな課題の提起
問題解決者としての売手
未
知
御用聞き型
営業
ワークショップ型
営業
38
カテゴリー・マネジメントは
„ 顧客指向の「売場再編集」
„ 仕入れから販売へのバイヤー業務の改革
„ より大きな背景として
„ 競争対応
„ 工業化社会の流通から情報化社会の流通
への転換に伴う、チェーン本部の役割の変
化
„
「量」と「価格価値」の提供から、情報をキーとした
個店の商圏対応とチェーンオペレーションの問題
「個別多様な価値」の提供への転換
39
最近の日本の小売業の動向
„ 業績管理手法の変更
„ 仕入れ分類から売場分類へ
„ 売場分類体系の変更
„ カテゴリーの括りの見直し
„ 既存の分類(メーカー、商品形態起点)からの脱却
„ 商品部と営業部(運営部)の連携
„ 棚割ソフトの導入(ソフトの価格低下も背景に)
„ メーカー・卸との取り組み事例の増加
„ 菱食&相鉄ローゼン
„ 味の素&平和堂
„ ジャスコ&○○
„ 西友カテゴリー・マネジメント
5
40
41
ただし、店舗での実行が最大の
鍵
変化の要因
„ 環境変化による危機感の増大
„
„ 本部計画がいかに優れていても
店舗での実施徹底なしに、成果は出ない
大店法の緩和・廃止に伴う店舗間競争の
激化
„
消費の長期的低迷と売上の減少
„
外資系小売業の参入
„ メーカー営業マンの悩み
„ 本部商談で企画が通っても、店舗での実施が徹底
されない
„ 最低限、基本は徹底する
„ 前出し、正面を向ける、店頭欠品をなくす
„ 本来のカテゴリー・マネジメントに対する
理解
„
より売場指向に
„
(売場=カテゴリー)
店(みせ)とは、商品をお客様に「見せる」こと
15,000アイテム全てが、お客様から見えること(ISM)
42
43
購買履歴・顧客属性の蓄積と活用
一般的な進め方
„
カテゴリーの定義
精度の高いマーチャンダイジング
„
カテゴリーの役割設定
計画の評価・
見直し
カテゴリーの現状分析
„
客観性(データに基づく)
„
効率性(数多くのカテゴリー)
再現性(1回だけではない)
„
改善状況評価のための指標の設定
カテゴリー計画
カテゴリー戦略の策定
カテゴリー戦術の作成
優良顧客の特定とアイテムの選定
広域集客に寄与するアイテム・カテゴリーの明確化
個々の商圏の世帯構成の把握とMD(品揃えの幅、サ
イズ、フレーバー、アイテム)の適合
プロモーションの効率化
„
ロス・リーダー・アイテム/カテゴリーの効果検証
„
カテゴリー購買間隔の把握とSPスケジュール設定
„
同時購買分析(ショッピング・バスケット)によるクロスMD開発
計画の実施
44
顧客データ活用例
合計金額
金額ランク 最大値
平均値 世帯数 構成比
1
1,355,099 732,309
24
1.3%
2
598,576 386,165
438 24.4%
3
288,899 214,157
724 40.3%
4
148,785
84,402
611 34.0%
6