ポストハーベスト・ロス削減のための多国

ポストハーベスト・ロス削減のための多国(南南)間システムの構築
~常温流通可能な「加圧加熱食品加工技術」の移転に関するニーズ調査~
①本事業の概要
• 外務省:平成25年度政府開発援助(ODA)海外経済協力事業(本邦技術活用等途上国支援推進事業)委託費による「ニーズ調査」事業。
• 本事業は、平成24年度から実施されている「ODAを活用した中小企業等の海外展開支援に係る委託事業」で、ODAによる途上国支援と中小企業の海外事
業展開とのマッチングを行うことで、途上国の開発課題の解決と、優れた製品・技術等を有する一方で海外での事業に関する知見やノウハウについて情報等
を必要としている我が国中小企業等の海外展開との両立を図り、経済協力を通じた二国間関係の強化や経済外交を一層推進することを目的とするもの。
• 本事業は、(1)ニーズ調査、(2)案件化調査、(3)途上国政府への普及事業、の3つに分かれる中の1stステップにあたる。
• ニーズ調査事業は、途上国の開発課題解決のために、本邦中小企業が有する製品・技術の有効活用と、その実現に向けた2ndステップ「ODA案件化」の検
討を念頭にして、必要な調査を行う。
• 本年度は「教育分野」「防災・災害対策分野」「食料・食品分野」の3分野での募集があり、「食料・食品分野」1件(=当機構)、「防災・災害対策分野」1件、以上
2件のみが採択となった。
• (株)道銀地域総合研究所と共同企業体での事業となる。
• 調査対象国はインドネシア、バングラデシュ、ヨルダン、モロッコ。(アジア大洋州・南西アジア・アフリカからそれぞれ1ヶ国以上選定することとなっている)。
②スケジュール
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4月30日
公募開始
6月21日
公募締切
7月30日
仮採択通知
8月下旬
契約交渉、調査計画書作成
9月上旬
契約締結、対処方針会議(外務省・JICAとの調査計画に対する検討会)、業務開始
9月下旬から12月上旬にかけて 海外調査×3回、アドバイザーを交えた検討会(国内)の開催等
1月15日
ドラフト・ファイナルレポート提出
3月1日
ファイナルレポート提出
ポストハーベスト・ロス削減のための多国(南南)間システムの構築
~常温流通可能な「加圧加熱食品加工技術」の移転に関するニーズ調査~
●インドネシア・バングラデシュ・モロッコ・ヨルダンの開発課題
 世界で約9億2,500万の人々が飢餓あるいは栄養不足に苦しむ一方で、開発
途上国で生産される食料の20%~50%は収穫時の損傷、貯蔵施設や物流イ
ンフラの不足による腐敗や食害等でロスとなっている。
 農地開発による収穫量の増加や物流インフラの整
備には極めて長い時間と大規模な資金・エネルギー
を要し、また紛争地域では開発した地域に定住出来
ないなどの社会的ロスも依然として内在する。
 アラブ諸国では若年者の失業率が高まり、社会不安
バングラデシュで牛乳を運ぶ手押し車
に繋がっている。
…コールドチェーンが整備されていない
●活用する北海道の製品・技術
北海道から移転する技術:加圧加熱食品加工技術(例:缶詰)
 缶詰に代表される常温長期保存技術はすで
に確立された技術で、大規模な投資を必要と
しない。
 北海道では常温長時間輸送に耐える食品加
工技術が発達した。日本初の工業的缶詰生
産は北海道である。北海道の開拓史は、まさ
に開発途上国の自立・発展のモデルとなる。
日本初の缶詰工場(明治10年設置)
「北海道開拓史石狩缶詰所」
●提案するODA事業、及び期待される効果
●提案事業
●直接的な効果
常温流通可能な
加圧加熱食品加工技術
の移転による
加工供給拠点化
対象国ごとに
期待される
効
果




飢餓対策につながる安定的な食料供給が
可能となる
→ ポストハーベスト・ロスの減少による食料供給量の増加
→ 流通可能エリアの拡大
→ 国内及び周辺国の栄養改善
●自立的かつ持続的発展への契機に
 対象国が食料品の輸入依存体質から脱却
 貧困層の飢餓拡大に歯止め
 食産業育成によって現地の若年者雇用を創出
インドネシア……豊富な農水産資源のロス解消による、国内2,100万人の栄養不足解消と東南アジア諸国に対する南南協力の拠点化。
バングラデシュ…豊富な農水産資源のロス解消による、国内2,500万人の栄養不足解消と近隣国への安価な食料の供給拠点化。
モロッコ…………豊富な農水産資源のロス解消による、サハラ以南のアフリカ(サブサハラ地域)に対する南南協力拠点化。
ヨルダン…………食品を契機とした加工貿易立国による社会不安の解消と、紛争が続く近隣国への安定した食料供給体制の構築。
●日本の中小企業のビジネス展開
 高技術・高品質・安全な日本食産業の現地移転による新たな市場への参加と獲得
 ライフスタイルの変化により需要が伸び悩む缶詰・練り製品業界の再活性化
●案件化にむけて
 技術移転にあたっては施設整備にとどまらず、現地の人材育成を伴う技術協力とするため「草の根技術協力ODA事業」を活用する。
 課題となる水・電力対策については、北九州グリーンアジア国際戦略特区と連携しつつ進める。
調査の仮説
~加圧加熱食品加工技術システムの移転 による、収穫後の 「損失連鎖」から「価値連鎖」への転換
●課題:収穫後損失の連鎖
不安定な収量
収穫作業時の損耗・損傷
規格のばらつき
❶貯蔵・物流時の損失
イ
ン
フ
ラ
不
足
(
水
・
電
力
・
交
通
)
●不安定な収量・・・収穫時期の集中と予冷庫・保管庫の不足による品質劣化や腐敗
●加工場・販売店への長時間輸送と保冷輸送手段の不備・・・品質劣化、中間ブローカーの介入に伴う供給の不安定化
❷加工時の損失
●加工不適原料の搬入・・・低品質(規格のばらつき、鮮度劣化)な原料の廃棄
●選別・前処理の不備・・・皮むき・カット工程での加工目的外部位の廃棄
●インフラ・機器メンテナンスの不備・・・水・電力の不足や故障による製造ラインの中断・不衛生化
❸流通時の損失
●加工産業の未整備・・・収穫物の大半が生鮮流通されることによる在庫品の腐敗・品質劣化
果実・野菜類のロス
低い生産性 → 再投資資金の不足
生産性低下の連鎖
食糧の不足
雇用の喪失
輸入依存
●課題解決の仮説:価値の連鎖へ転換
①缶詰等の移動式工場の導入
②1産地・1前処理施設の導入
③メーカー主導型契約栽培の導入
• 稼働率の低さ・物流インフラの不足を克服する、
「移動式加工施設」の整備(参考例:蓄養マグロの
冷凍加工船)
• 生産地に隣接した前処理施設の整備
• 人手をかけた丁寧な前処理と用途ごとの選別管
理による未利用部位の活用
• メーカーによる作付・収穫管理
• 輪作体系の技術移転
• 農業の機械化を推進。レンタル農機を活用し、安
価かつスピーディな導入を図る。
前処理・選別の徹底による加工時の損
失カット
計画的栽培・計画的収穫による貯蔵・物
流時の損失カット
産地密着型の加工施設整備による、物
流・流通時の損失カット
高い生産性 → 継続する再投資
さらなる生産性向上へ
食糧不足の改善
雇用の創出
輸入依存脱却
国内企業のビジネス展開/仮説の検証方法/調査項目
●ビジネス展開の見通し
①現地生産の機会拡大
• 日本国内で製造された缶詰は海外マーケットでは
競争力を持たず、国内マーケットの縮小とともに売
上を落としている。
• 缶詰は途上国での現地生産でも比較的簡易に高
品質を実現可能、また常温で長期保存可能→流
通インフラの多寡を問わず様々なマーケットに販
路を拡大することが出来る。
ねらい
②未利用資源の活用によるビジネス
拡大
• 産地への前処理工場の導入によって、これまで廃
棄されてきた部位の活用可能性が拡大する。
(例)魚皮コラーゲン、小豆ポリフェノールの抽出
• 既に北海道で行われている事例を低コストで実現
可能
• ハラール素材・・・近隣のUAE・サウジ等への輸出
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③加工機器・農業機械の販路形成
• 移動式工場、本格的工場の設置にあたって、日
本からの機器納入。
• 当初段階では缶などの消耗材納入。
• 機器調整、製品検査など人材育成もパッケージで
提供できる。
• 農機用アタッチメントの輸出(北海道の輪作体系
の賜物)
ODA案件化調査、途上国政府への普及事業への発展と継続
加工用機器・農業用機材・加工にあたっての副資材・調味料等の輸出
本邦中小企業の現地進出と新市場の開拓
イスラム圏への食料供給拠点の整備
●仮説の検証方法
STEP-1
STEP-2
STEP-3
• 現地JICA等の日本の支援機関、現地政府機関等
を訪問し、現地ニーズの汲み上げ・課題の掘り起
こし・具体的調査地域選定のための情報収集を行
う。
• 実際に調査対象地域に入り、現状把握を行う。
• ODA案件化に向けた提案の検証を行う。
●調査項目
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農漁村の現地ヒアリング実施(ポストハーベスト・ロス発生の現状、インフラ条件、物流環境)
ロスが多く発生している産物の中から加工原料候補のピックアップ
現地の加工施設及び技術の現状、加工機械の設置状況の把握
メーカー契約栽培に向けた農漁村の収穫サイクルの調査
副資材(缶、調味料等)の供給体制調査
食品基準や輸出入に関わる制度、政策や関連計画の調査
案件化を見据えたカウンターパート企業の発掘