リスクにどう立ち向かうか -組織の危機管理入門

リスクにどう立ち向かうか
-組織の危機管理入門(担当)
京都大学防災研究所
教授 林 春男
准教授 牧 紀男
危機管理とは
危機管理の2大目標:
• 組織の社会的責任を果たす
• 組織への社会的信頼を守る
そのために着目するもの:
• 命、資産、業務
危機管理の方法:
危機に瀕すると,
普段やっていることしかできない
普段やっていることも満足にできない
普段やっていないことは絶対にできない
発生前の対策が重要
危機管理は「過程」である
危機を管理する水準を継続的に向上させる
リスク・マネジメント・アプローチの採用
リスク・マネジメント・アプローチ
リスクの同定
リスクの分析
リスク対策の決定
対策の実施
モニタリングと評価
情報提供・広報
体制作り
TQMの考え方の導入
Action
Plan
Check
Do
Action
リスクの同定
Planリスクの分析
リスク対策の決定
Do
リスク対策の実施
モニタリングと評価
情報提供・広報
体制作り
Check
リスクマネージメントシステム(JIS Q
2001)
3.1 リスクマネージメント方針
業務の流れ
組織の最高経営者の関与
3
9
. 組織の最高経営者によるレビュー
3.8 リスクマネージメン
トシステム維持のため
の仕組み
ACT
3.2 リスクマネージメン
トシステム構築及び維
持のための体制
PLAN
3.4 リスクマネージメントに関する計画策定
3.4.1 リスク分析
3.4.2 リスク評価
3.4.3 リスクマネージメントの目標設定
3.4.4 リスク対策の選択
3.4.5 リスクマネージメントプログラムの策定
DO
3.5 リスクマネージメントの実施
CHECK
3.5 リスクマネージメントパフォーマンス評価及びリ
スクマネージメントシステムの有効性評価
ACT
3.5 リスクマネージメントに関する是正・改善の実施
Stakeholders
が一緒になって
Action
の管理サイクルを
継続的にまわす
Plan
Check
Do
リスクとは?
R = P×C
リスク
科学的リスクの考え方
発生確率
影響度
ディザスター・マネージメントサイクル
事件前の対応
事件
事件後の対応
Crisis Management
危機対応
被害軽減
(Response)
(Preparedness)
被害抑止
復旧・復興
(Mitigation)
(Recovery)
Risk Management
災害リスクとつきあう4つの方法
検討対象
被害抑止
自然現象
社会現象
軽減
回避
目的
被害軽減
(risk reduction)
(risk avoidance)
建物の耐力向上
都市・地域計画
転嫁
受容
(risk transference)
(risk acceptance)
保険・共済制度
災害対応
リスクマネージメントの目的
• 組織の業務継続
– Business Continuity Management (BCM)
• そのための計画
– Business Continuity Plan (BCP)
危機に備えるための4つのス
テップ
Business Continuity Managementの4段階
研修・訓練
リスク評価
標準的
危機対応
システム
戦略計画
危機管理の4つのステップ
• リスクを分析する
– リスクを同定する
– リスクを評価する
• 戦略計画を立てる
– 回避・軽減 ・・・・ 被害抑止
– 転嫁・受容 ・・・・ 被害軽減
• 万が一の場合に備えた対応策を整備する
– 一元的な危機対応体制の整備:世界標準としてのICS
• 研修・訓練を通して実効性を高める
– 実体験と訓練での体験を等価と考える
Business Continuity Managementの4段階
研修・訓練
リスク評価
標準的
危機対応
システム
戦略計画
Business Continuity Managementの4段階
研修・訓練
リスク評価
標準的
危機対応
システム
戦略計画
1.人生はプロジェクト
• 人は目標達成のために努力する
• 組織も目標達成のために努力する
• プロジェクトとは
– 定常業務(Routine)
• 人によって実施さる
• 限られた資源によって制約される
• 計画され、実行され、コントロールされる
– 独自な製品やサービスを創造するために実施される有
期的な業務である。
– 有期的:明確な始まりと明確な終わりを持つ
– 独自:製品やサービスが他のすべての製品やサービスと
は異なっている
これはProject Managementの仕事の進め方と同じ
出発
Start
計画する
Plan
実行する
Execute
目標
制御する
Goal
Control
2.しかし、世の中は思い通りに行かない
•
•
•
•
Full Controlを持てない
Multi-Agent System
Uncertaintyが存在する
Ambiguityとどう違うか
3.Unexpected, Unwanted,
Undesirable, Aversive Consequences
が起きる危険性がある
• これをRiskと定義する
• Risk = Probability x Consequences
• Riskとは未来のことを指す概念
R = P×C
リスク
発生確率
影響度
4.Aversive Consequencesをavoidある
いはminimizeする方法を知る必要がある
• 成功の確率を高めることになる
• Riskへの対処法
– Risk Avoidance
– Risk Reduction
– Risk Transference
– Risk Acceptance