新年のご挨拶

2017 年
学⻑年頭挨拶
「困難な時代を迎えてー希望と夢」
岡
正朗
新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、穏や
かな新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。
新年のご挨拶に先⽴ち、⼭⼝⼤学の学祖、上⽥鳳陽先⽣のお墓にお参
りし、新しい年を迎えての決意を述べて参りました。
⼭⼝⼤学では、⼀昨年、2015 年の創基 200 周年を契機に、教育・研
究・地域貢献を 3 本の⽮として、2025 年に向けて「明⽇の⼭⼝⼤学
ビジョン 2015」を策定し、⼤きなグローバル化の波や多様性を⾒据
え、留学⽣を含む全ての⼤学⼈と地域の⼈々が、互いの歴史・⽂化・
⺠族・⾔語・宗教などの違いを超えて、共感・共鳴・共奏できる「ダ
イバーシティキャンパス」を⽬指すことを明確に打ち出し、多くの⼤
学改⾰や取り組みを実⾏してまいりました。これらの取り組みは、⾮
常に⾼い評価を受けており、これも教職員⼀体となった活動・協⼒の
賜物と深く感謝しております。
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このように努⼒していただいておりますが、教職員の皆様に⼤変重
要なご協⼒のお願いがあります。報道等でご存知とは思いますが、法
⼈化以降、国⽴⼤学における運営費交付⾦は毎年削減され、⼀⽅で、
⼈事院勧告による給与等の引き上げがなされ、全ての国⽴⼤学にお
いて財政悪化が深刻な状況になっています。⼭⼝⼤学においても同
様で、病院収⼊を除いた収⼊の約 75%を⼈件費で⽀出しており、物
件費の上昇もあることから本年度においても様々な削減を早急に⾏
わざるを得ません。基本給与に関しては⼈事院勧告を守る⽅針です
が、今後は、総⼈件費を含め、様々な経費の削減に計画的に取り組ま
ざるを得ない状況です。無駄な経費の削減には既に取り組んでおり
ますが、今後は部局⻑とも相談をし、具体的なご協⼒をお願いするこ
とになりますので、ご理解いただきますよう⼼よりお願いいたしま
す。
運営費交付⾦に関しましては、毎年の⼤学評価により⾦額が決定さ
れます。研究費不正使⽤、論⽂の盗⽤、フラッシュメモリーやコンピ
ューターウイルスによる情報漏洩などの不祥事は⼤きく影響します
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ので、全ての教職員において、このようなことがない様に取り組んで
いただくことを強くお願いいたします。
併せて、収⼊増の対策を考えなければなりません。科研費、受託研究
費、共同研究費、奨学寄付⾦の増額は⼤学運営にとって⼤きなプラス
となりますので、獲得への努⼒をお願いいたします。特に、企業から
の⼤学への研究投資を 2025 年までに 3 倍とする計画が打ち出され
ており、URAとともに対策を練っております。学⽣⽀援では、創基
200 周年に当たり「⼭⼝⼤学基⾦」を創設し、本年度から運営を開始
しました。給付型の奨学⾦の創設、経済的に困っている学⽣への⽀援、
留学⽣⽀援など「学⽣⽀援に特化した基⾦」の⽴ち上げたことはタイ
ムリーな事業であり、寄付に対する税⾦の軽減措置も新たに設けら
れましたので、教職員、卒業⽣、企業からの寄付の増加へのご協⼒を
お願いします。
以上のように、第 3 期中期⽬標期間が始まった 6 年間は、本当に正
念場であり、教職員全ての皆様のご協⼒なくしては乗り切れません
ので、どうぞよろしくお願いいたします。
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⼀⽅で、⼭⼝⼤学における⼤学改⾰の取り組みは、⽂部科学省のみな
らず地⽅⾃治体や企業からも⾼く評価されています。また、学⽣の活
躍、研究成果や産学官連携の成果、留学⽣の増加などのニュースも沢
⼭あり、明るい未来を⽰していると⾔えます。平成 27 年度から 28
年度にかけては、知財教育の全学化、国際総合科学部の新設、教育学
部の改組、経済学部ならびに⼈⽂学部・⼈⽂学研究科の改組、教職⼤
学院の設置、理系⼤学院では創成科学研究科の設置と医学系研究科
の再編、医学部附属病院の新病棟建設、共同獣医学部の国際認証など、
多くの⼤学改⾰や取り組みを実⾏してまいりました。これはまさに
教職員⼀体となった活動・協⼒の賜物であり、深く感謝し、誇りに思
っています。
また、財政が厳しい中でも、様々な⼯夫をして、教育研究へのモチベ
ーションを維持するよう努⼒していく所存でおります。教育⾯では、
来年度より英語教育の強化に取り組み、学⽣の留学⽀援、アントレプ
レナー教育の実施・拡充を⾏います。さらには⽂系⼤学院の再編や理
系学部再編についても議論し、⽅向性を明確にいたします。
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研究分野では研究拠点形成プロジェクトの新規募集並びに⽀援、海
外の重点連携⼤学との活動⽀援、⼭⼝学研究センターのプロジェク
ト⽀援などの重点⽀援を⾏い、最も要望が強い設備更新にも継続的
に取り組む⽅針です。
秋には、グローバル化のエンジンとして捉えている国際総合科学部
の第⼀期⽣が留学から帰ってきます。どの様に成⻑しているか本当
に楽しみです。⼭⼝学研究センターのプロジェクトでは、いよいよ鋳
銭司での発掘作業が始まります。複数の分野からなる中⾼温微⽣物
研究、共同獣医学部の欧州国際認証、医学部の再⽣医療、がん免疫療
法、知的財産の教育拠点など、わくわくするような教育研究の成果が
期待されます。これらの活動は⼭⼝⼤学の学⽣並びに教職員を勇気
づけると期待していますし、確信をしています。
⼭⼝⼤学の⼤きなミッションの⼀つに地域の活性化への貢献がある
ことはご存知と思います。県や市などの地⽅⾃治体や地元企業とよ
り深い連携を図り、地域に密着した⼈材育成や、産業振興、少⼦⾼齢
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化などの様々な問題解決に貢献していく必要があります。
そして、地元の⾃治体、企業、住⺠の皆様から「なくてはならない⼤
学」と⼤きな声を上げてもらえるように努⼒するとともに、地域との
連携を強化し、求められる⼤学としてさらに進化していくことが必
要です。中でも、地⽅創⽣に貢献するCOC+の取り組みは極めて重
要であり、この意義と重要性を是⾮ご理解いただきたいと思います。
⾣年は商売繁盛に繋がる年、物事が頂点まで極まった年と⾔われて
います。これにあやかり、⼭⼝⼤学においても、教育・研究・地域貢
献の分野で成果が上がることを期待しているところです。
冒頭述べましたように⼤変苦しい時代を迎えましたが、学⽣・職員・
教員が⽣き⽣きとして活動する、求められる⼤学へ発展するために、
皆様とともになお⼀層努⼒する所存ですので、ご協⼒のほど、何卒宜
しくお願い申し上げます。
最後になりましたが、新しい年が、学⽣・教職員の皆さん、⼭⼝⼤学、
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我が国⽇本、そして⼈類社会にとり良い年になりますよう⼼から祈
念して、年頭のご挨拶といたします。
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