トルコ大使館 - Goldman Sachs

新成長国を訪ねて ~大使館訪問シリーズ~
第
9回
第9回
ご参考資料
2006.5
トルコ大使館
はじめに
大使館訪問シリーズでは、ポーランドやハンガリーを代表とする中・東欧諸国(全8カ国)の大使館を訪問してきました。今回は、ヨー
ロッパとアジア・中東地域をつなぐ重要な国である、トルコ共和国の駐日大使館を訪問しました。トルコの人口は約7,000万人と、中東
では随一、欧州ではドイツに次ぐ人口を誇る巨大国家です。また、人口に占める若者の比率が高いことや、イスラム教徒の割合が高
いことなどが特徴として挙げられます。トルコは、豊富な労働力を背景として、力強い経済成長を遂げており、第2のBRICsとして注目
を集めている、「ネクスト・イレブン*」の一つとしても紹介されました。2005年10月よりEU加盟のための交渉を開始し、イスラム教国家と
しては初めてとなることから、注目度の高い新成長国の一角です。
*ネクスト・イレブンとは、BRICsに次ぐ成長国グループとして、ゴールドマン・サックス・グループの投資調査部門によって2005年12月に発表された11カ国。
今回訪れたトルコ大使館は、東
京・渋谷区の原宿交差点から徒
歩5分程の場所にあります。近所
には賑やかなショッピング街があ
り、若者が集う活気溢れる地域で
す。新東京都庁舎やフジテレビ本
社ビルのデザインを手がけたこと
で有名な丹下健三氏が、大使館
の建物を設計しました。芸術的セ
ンス溢れる、印象的な建物でした。
トルコ共和国
今回訪れた駐日トルコ大使館
首都
: アンカラ
GNP
経済成長率
通貨
面積
人口
言語
国の花
:
:
:
:
:
:
:
2,995億米ドル(2004年)
9.9%(2004年)
トルコ・リラ
780,576平方キロ(日本の約2倍)
6,784万人 (2000年)
トルコ語
チューリップ
今回お話を伺ったのは、トルコ共和国大使館のオヌル・アタオール経済参事官です。アタオールさんは、日本
企業によるトルコ向けFDI(直接投資)に関する責任者であり、日本企業のトルコ進出に尽力されています。また、
日本の金融機関と協力して、投資家向けの啓蒙セミナーなども開催されているとのことでした。日本に正式に
参事官として来日される以前は、ジェトロ主催のプログラムで来日された経験もあり、日本に関する豊富な見識
をお持ちでした。大変な親日家で、日本での駐在を強く希望されたとのことです。
トルコ共和国の歴史
トルコ共和国は、1923年にトルコ民族の国民国家として新しく生ま
れた、アジアとヨーロッパの二つの地域にまたがる共和国です。
西側の国境はブルガリア、ギリシアと接し、東側をグルジア、イラン、
シリア等と接しています。トルコ共和国の前身は、かつて広大な領
域を支配したオスマン帝国でした。オスマン帝国は1299年にトルコ
系のオスマン家が建国したと言われており、長い歴史を誇る多民
族国家でありましたが、第一次世界大戦における敗北により解体さ
れました。しかし、戦勝国の占領を嫌ったトルコ人たちは、ケマル・
アタテュルク*の指揮のもと、現在のトルコ共和国として独立した国
家を築くことに成功しました。
*ケマル・アタテュルク(1881~1938)
<トルコ革命の指導者/初代トルコ共和国大統領>
アタオールさんに「もっとも有名なトルコ人はどなたですか?」
とお聞きしたところ、迷わずアタテュルクの名前が挙がりました。
トルコを独立国家へと導き、初代大統領を務め、国としての基
本路線を敷いた人物と言われております。後世にもアタテュル
クの功績は称えられており、イスタンブールには彼にちなんで
名づけられた空港「アタテュルク国際空港」があります。また、
トルコの通貨である新トルコリラは、全ての紙幣に彼の肖像が
刻印されています。
(出所:外務省)
オヌル・アタオールさん
トルコ経済の原動力
トルコ共和国は、人口約7,000万人の巨大国家であり、中東では随
一、欧州ではドイツ(約8,200万人)に次ぐ規模を誇ります。また、人
口動態にも大きな特徴があり、人口に占める若い世代の比率が約
65%と、日本などの先進国とは異なり高齢化社会とは無縁の国です。
中長期的に購買力を持つ消費者層の出現の可能性が高く、内需
が旺盛な国であることなどから、外国企業によるトルコ進出も積極
的に行われています。また、労働力不足が顕著な欧州の人材供
給基地としても期待されています。豊富な労働力が、今後のトルコ
経済を牽引すると考えています。
トルコ:EU加盟国との人口比較
(万人)
10000
(出所:外務省)
8,250
8000
6,168
5,923
6000
6,784
5,788
4,269
3,830
4000
1,025
2000
1,009
0
ドイツ
フランス
英国
イタリア スペイン ポーランド
チェコ ハンガリー トルコ
本資料は証券取引法に基づく開示書類ではありません。本資料は新成長国に関する情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社が作成した資料であり、有価証券の取得の勧誘を目的とするものではありません。本ファンドの取得を希望される方は、「投資信託説明書(目論見書)」
をお渡ししますので、必ずその内容をご確認下さい。本資料に記載された市場の見通し等は、本レポート作成時点での弊社の見解であり、将来の動向や結果を保証するものではありません。また、将来予告無しに変更する場合もあります。本資料でご紹介する国は、必ずしも本ファンドが投資している国ではありま
せん。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社
EU加盟について
一口メモ:「EU加盟に向けて・トルコとウクライナ」
トルコ共和国は、イスラム教国家(人口の約99%はイスラム教徒)とし
ては初めてとなる、EU加盟に向けて前進しています。しかし、加盟
が実現するまでには最低でもあと10年はかかると考えられ、実際の
加盟は2015年以降になるのではないでしょうか。先ほどもお話した
通り、トルコは国内に豊富な人口そして天然資源を有しており、EU
加盟に時間がかかったとしても、力強い経済成長を実現できると
考えています。一方で、グローバリゼーション、そして近代化の波
に乗り遅れることだけは絶対に避ける必要があると強く感じており、
EUに加盟することで、そうした時代の流れを捉えることができると
考えています。また、EUにとってもトルコの豊富な人口と天然資源
は魅力的な要素ではないでしょうか。
トルコのEU加盟について:
トルコは1963年にEUとの連合協定を締結し、87年にEUへ加
盟申請、99年に一度は加盟候補国として認められたが、EU
の加盟基準を満たしていないことなどから、具体的な交渉開
始日程は未定のままであった。2004年12月のEU首脳会議で、
2005年10月からトルコのEU加盟交渉がようやく開始すること
が決まった。
今までの大使館レターでご紹介した国の中にも、EU加盟を目指している国がありま
したが、その中でもトルコ共和国とウクライナ(大使館レター第5回)の加盟は、大き
な影響を及ぼすと考えられます。なぜなら、2007年には、ルーマニア(大使館レター
第7回)、ブルガリア(大使館レター第3回)、クロアチア(大使館レター第4回)が新
加盟国となる見通しですが、各国の人口はそれぞれ約2,000万人、800万人、450万
人となっています。一方で、トルコの人口が7,000万人、ウクライナが5,000万人と
なっており、両国の加盟が実現すれば、EUに日本の人口に匹敵する約1億2,000万
人の人口が加わることとなり、豊富な労働力や巨大な消費市場を提供することにな
ります。更に、トルコ共和国はイスラム国家であり、また、ウクライナはロシアとのつな
がりが比較的強いことから、EUにとって経済面だけでなく、文化面からも強い影響
を及ぼすと考えられます。EUは、「宗教の壁」そして「歴史の壁」をも超越した、「超
経済共同体」となるのです。
EU加盟予定国
(出所:外務省、各国大使館)
クロアチア
ウクライナ
トルコ
ルーマニア
ブルガリア
人口
444万人
4,801万人
6,784万人
2,190万人
776万人
加盟予定
2007年
2010年
2015年
2007年
2007年
小泉首相がトルコを訪問
日本企業の進出状況
トルコは、中東随一の人口を有しており、内需も大変旺盛です。そ
うした中で、様々な日本企業が進出しています。日本企業が新成
長国に投資を行う中で、ポーランドやハンガリー等の中・東欧諸国
に投資を行う場合とトルコへ投資する場合では、いくつかの違いが
考えられます。例えば、日本企業が東欧諸国へ進出する場合には、
各新成長国の国内マーケット自体への進出を目指すというよりは、
欧州への製造・輸出拠点としての役割を担うことを期待しているの
が一般的です。しかし、先ほどもお話した通り、トルコは豊富な人
口によって支えられた魅力的な市場を有しており、日本企業がトル
コに投資する際には、この国内市場への進出も視野に入れていま
す。また、日本の企業を個別にみると、トヨタ自動車は、14年程前
から既にトルコに進出しており、ニューモデルの自動車がトルコ国
内で生産されるなど、トヨタにとっても、トルコの工場は重要な生産
拠点となっています。
インタビューを終えて
今回のインタビューでは、トルコの
EU加盟に関して日本のメディアで
報じられている内容とは異なる見
解をご教示頂けたことが印象的で
した。
小泉首相は今年1月(9日~13日)、二国間の経済関係や中東和
平などについてトルコのエルドアン首相と意見交換を行うために、
日本の首相としては15年ぶりにトルコを訪問しました。小泉首相が
トルコの首都、アンカラに到着したのがイスラム教の安息日であっ
たにもかかわらず、空港では多数の報道陣が、
小泉首相を迎えました。トルコのメディアの注目
度も高く、小泉首相はトルコの親日ぶりを確認す
ることができたと喜んでおられました。また、小泉
首相の訪問に際しては、多くの日本企業の関係
者にもトルコを訪問していただき、ビジネスに関
しても貴重な意見交換を行うことができました。
「さくらんぼ」がつなぐトルコと山形県
(このお話は、今回トルコ料理に関する取材で訪問させて頂いたトルコ料理レストラン「ソフラ」で
お聞きした内容がもとになっています。)
日本で「さくらんぼ」の名産地と言えば、山形県です。この、「さくら
んぼ」発祥の地は、トルコのギレスン(GIRESUN)という場所です。
さくらんぼが縁となり、山形県寒河江市とギレスン市は、姉
妹都市の締結を行っています。トルコと日本をつなぐ大切
な友好関係の1つがさくらんぼだったのです。
アタオールさんと記念撮影
(このインタビューは2006年5月18日に取材したものです。)
トルコ大使館で仕入れたちょっと良い話
皆様、世界三大料理が何か御存知でしょうか?それは、「フランス料
理」、「中華料理」そしてなんと「トルコ料理」なのです。今回はその世界
三大料理である「トルコ料理」を堪能するために、東京・神楽坂にあるト
ルコ料理のレストラン、「ソフラ」に行って参りました。お店の方によると、
ピザやハンバーグの原型となるものが作られていたのはトルコであり、
肉詰め料理もトルコが発祥とのことでした。このように、私たちが食べて
いる料理の中にはトルコでその原型が作り出されたものもあり、これが
世界三大料理とも言われる理由なのかもしれません。
お店の支配人の島崎省吾さんは、1989年から3年半、トルコの大都市
イスタンブールの欧米系高級ホテルで働いたご経験もあり、トルコの食
文化はもちろんのこと、経済や政治情勢にも造詣の深い方でした。
また、こちらのお店では、トルコの伝統的な踊り「ベリーダンス」も楽しめ
ます。
佐藤さんと島崎支配人
メゼの盛り合わせ(前菜)
ケバブの盛り合わせ
シェフの皆様
トルコ風ピザ
トルコレストラン 「ソフラ」 : 03-5261-3880
http://r.gnavi.co.jp/g156800/
本資料は証券取引法に基づく開示書類ではありません。本資料は新成長国に関する情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社が作成した資料であり、有価証券の取得の勧誘を目的とするものではありません。本ファンドの取得を希望される方は、「投資信託説明書(目論見書)」
をお渡ししますので、必ずその内容をご確認下さい。本資料に記載された市場の見通し等は、本レポート作成時点での弊社の見解であり、将来の動向や結果を保証するものではありません。また、将来予告無しに変更する場合もあります。本資料でご紹介する国は、必ずしも本ファンドが投資している国ではありま
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