平成 25 年度 那珂市経営戦略会議からの提言

平成 25 年度
那珂市経営戦略会議からの提言
(その2)
平成 26 年 3 月
目
次
序・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第1章 地域資源の活用とコミュニケーション戦略 ・・・・・・・・・・・・・・2
1 基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2 プロジェクトのすすめ方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3 プロジェクト「いい那珂暮らしたんけん隊と地域学芸員」 ・・・・・・・・2
第2章 那珂市 暮らしのデザインミュージアム構想
・・・・・・・・・・・・・4
1 事業目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2 事業展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
3 事業イメージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
4 顧客ターゲットとマネジメント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
5 プロジェクトの将来像 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
6 プロジェクトの事業スキーム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
第3章 パブリックスクールとヒューマンライブラリー ・・・・・・・・・・・・6
1 基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
2 パブリックスクールの理念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
3 パブリックスクールの視点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
4 パブリックスクールの事業展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
5 本とふるさとの宝物を活用した学びを豊かにする“楽習”活動 ・・・・・・7
6 担い手はふるさとの人材 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
第4章 那珂市の地域資源を活かした経済戦略
・・・・・・・・・・・・・・9
~見つけた いい那珂暮らし~
1 いい那珂暮らし振興室(仮称)の設置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・9
2 地産地消の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
3 提案の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
第5章 マネジメント(地域経営)力の強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・11
1 市職員の行政能力向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
2 市民力の活用、結集 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
3 市民参加型の協働のまちづくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
平成 25 年度 検討過程
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
序
私たちは昨年度の経営戦略会議で検討したことを報告書にまとめ、昨年 3 月海野徹市長
に提言した。その骨子は、那珂市が直面している課題、未来のための経営戦略、経営戦略
の展開、の 3 項目であった。
引き続いて任に充てられた私たちは今年度、それらを実施に移していくための行動計画
を含め、さらに具体的な検討を進めてきた。その手法として、メンバー相互の討議だけで
なく、幅広い分野から専門知識を有する人からのヒアリングや先進事例の実地調査を行っ
た。
今回の提言はそれらを次の 5 つのテーマにまとめてある。
① 地域資源の活用とコミュニケーション戦略
② 那珂市 暮らしのデザインミュージアム構想
③ パブリックスクールとヒューマンライブラリー
④ 那珂市の地域資源を活かした経済戦略
⑤ マネジメント(地域経営)力の強化
最初の4つは、すべての市民を対象にし、那珂市内にあるさまざまな資源をいかに見つ
け、それをわたしたちの暮らしに活かし、豊かな暮らし方を身につけていくかという提案
である。そして最後のテーマは行政組織としての市役所が「市民の役に立つ所」になるた
めにはどうすればいいかについての提案である。
今後、市役所内部、議会、多くの組織などでこれらの提案を検討し、そのなかのいくつ
かでもが実現に向かって進むことを期待する。
今年度は、昨年度の提案をベースに検討してきたので、教育、福祉、環境などの分野ま
で踏み込めなかったことを付記する。
1
第1章 地域資源の活用とコミュニケーション戦略
1 基本的な考え方
地域資源を活用したコミュニケーション戦略を展開する。
a)那珂市のアイデンティティをつくりあげる。
b)那珂市の居心地の良さを再発見する。
c)生きるチカラに気づき、生きるチカラを結びあい、一人ひとりの生きるチカラを磨
きあげる。
d)一人ひとりの生活者が那珂市で何かがしたくなり、明日への希望が抱けるプロジェ
クトを展開する。
2 プロジェクトのすすめ方
①このプロジェクトがめざす方向を内外に訴えていくためのコミュニケーションデザイ
ンを構築し、市内に住む人たちに参画してもらう。
・例えば、
「いい那珂暮らし」などのアピール効果のあるキャッチコピーを発信する。
・市民がふるさとを知り、ふるさとの愛着を持ち、ふるさとの活動への参画を促すコミ
ュニケーション型のメディアを創出する。
②メディアミックス(※)と市民参画
・ホームページ、広報紙、観光などの情報をリンクさせ、人々を魅了し、誰もが参画し
やすいデザインで統一する。
③デジタルコミュニケーション(※)とリアルコミュニケーション(※)の組み合わせ
・人々の学びの成果をデジタル記録し、書籍などの型式で編集した上で、ホームページ
やメールマガジン型式などで広くあまねくより多くの人々に発信するとともに、それ
らの情報を直接人々に語りかけ、情報を共有する場をつくる。
④学びの評価と参画を促す仕組みをつくる。
※メディアミックス:新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、交通広告、折込み広告、ダイレクト・メール、屋外広告
など各種のメディアをサービスに最適なかたちで組み合わせること。また、様々な長所・短所を併せ持つ各
種のメディアを戦略的に組み合わせること。
※デジタルコミュニケーション:コンピューターやインターネットを利用して情報を収集・処理・分析を行い、
発信すること。
※リアルコミュニケーション:情報を直接的に人々に発信、伝達すること。
3 プロジェクト「いい那珂暮らしたんけん隊と地域学芸員」
(1)ふるさの宝物を探すプロジェクト
・みんなの知恵とチカラを持ちよる「たんけん隊」を組織し、宝物探しを実施する。
2
・
「たんけん隊」の「学びの成果」を発信し、共有する「ブックレット(小冊子、パンフ
レット)
」
(いい那珂暮らし風土記)を編纂し、刊行する。
・刊行したブックレットを、
「図書館」など「公共施設」に設置し、移動展などで活用し
ていく。
・
「ふるさと学芸員」による「ブックレット」を活用した学びを次々に展開していく。
・それらの成果を記録、活用する「ふるさとの宝物」によるデジタルミュージアムを設
置する。
(2)コミュニケーション戦略を支える人材と事業の組織化
①人材の育成と活用
・あらゆる生活者が、地域社会の学芸員にとして活躍できる場をつくる。
②「ふるさと学芸員」
・那珂市の宝物を活用し、人々の学びを育む地域リーダーを言う。
③ふるさとマイスター
・那珂市に生活する生活者、暮らしの達人を言う。
④助け合いと共有
・外の視点から、那珂市の価値に気づかせてくれる「ふるさとの宝物の目利き」ととも
にまちを探検し、宝物を探し、物語化していく。
・
「ふるさと学芸員」
「ふるさとマイスター」は、互いに助け合いながら、
“ふるさとの
宝物”を探し、交流を深め、宝物を探し、それらを磨いていく。
3
第2章 那珂市 暮らしのデザインミュージアム構想
1 事業目標
那珂市が持つ地域資源(=ふるさと力を学ぶ環境と人材)を活かし、人々が、ふるさと
の暮らしとデザインの学びの場を創出するためのプロジェクトを起動することで、交流人
口を増大させ、新たな富の創出をめざす。
2 事業展開
①那珂市の地域資源を活用し、
「ふるさと力」と「暮らしのデザイン」をテーマにした「ミ
ュージアム楽習都市」を目指す。
②プロジェクトを企画運営し、人々が楽習する拠点施設「暮らしのデザイン大学校(大
地のミュージアム)
」を創設し、那珂市民の「ふるさと力」
(愛着、交流、まちづくり
参画)を高めるための学びの場を提供する。
③ミュージアムは、学びの成果を社会に活かすことができる「ふるさと学芸員」を養成
し、活動の場を提供する。
④ミュージアムは、学びのプログラムから育まれる「ふるさと力」を糸口に、商品サー
ビス活動を開発する。
⑤開発した商品は、
「都市の富裕層」
(暮らしの貴族)と「子育て熱心なファミリー層」
にターゲットに、那珂の生活デザインを体験することができる「多彩で、奥行きのあ
る学習商品(プログラム)
」を提供する。
⑥以上の、事業を総合的に展開することで、交流人口を増大し、ブランド力を高め、新
たな雇用創出と那珂市への投資を促す。
3 事業イメージ
暮らしのデザインを学ぶエコミュージアム:五節句+1 、二十四節 七十二候: 一年の
暮らしを彩る知恵に出逢い、みんなが主役になれるようにする。
①五節句とお花見、二十四節、七十二候を軸に、家族を幸せにする“暮らしのカタチ”
を開発し、誰もが楽しく体験できるよう編集する。
②“我が家の学芸員”とのコミュニケーションにより、暮らしをデザインするヒントが
提供される。
③暮らしのデザインを学びに訪れた人々は、那珂市で学びの成果を持ち寄り、
“我が家の
学芸員”になり、ミュージアム活動に参加する。
4 顧客ターゲットとマネジメント
①不特定多数の集客ではなく、外からの顧客ターゲットは、a)首都圏の富裕層とb)
教育熱心なファミリー層に絞る。
4
②那珂市の地域資源を広く活用し、リピート誘導を促す学びのプログラムを展開する。
③最終的には、これらの顧客ターゲットには、第二の那珂市民になってもらう。
5 プロジェクトの将来像
①生活を基盤にした産業を創造するための工夫と方法
・
「ふるさとの宝物」を活用し、アートや暮らしを提案する「文化起業家」を育成する。
・外部からのまなざしによってこのプロジェクトに共感を求め、市民の参画を促す。
・たとえば、文化起業のデザイン大学院を設置する。
(茨城女子短大と那珂市と有志企業
の共同出資などを想定する)
・
「ふるさとの宝物」をミュージアムグッズとして商品化する。
②サテライトの設置
・ターゲットは、生活者と子育てファミリー層の居住地(世田谷、中央線沿線など)と
する。
・那珂市の取り組みを訴求するためのサテライトミュージアムを都心に設置する。
6 プロジェクトの事業スキーム
①いい那珂暮らしミュージアム」などの事業主体の設置
・事業主体「いい那珂暮らしミュージアム」は、行政、大学、企業、市民ファンドによ
り運営する。
(PFI方式、指定管理方式)
・那珂市や茨城県の外に目を向けた、暮らしの貴族や子育てファミリーを対象に、外部
からの参画を視野に入れた組織体を提示する。
5
第3章 パブリックスクールとヒューマンライブラリー
1 基本的な考え方
①みんなでつくる地域社会への転換
・医療、健康、介護、子育てなど地域社会が直面する生活課題を、地域社会が自らのチ
カラで解決することが求められている。
・そのためには、生活者一人ひとりが、生きるチカラを磨き、地域社会に参画する仕組
みをつくる。
・
「みんなでつくる地域社会」を生み出す必要がある。
②地域社会の主役である一人ひとりにまなざしをあてる。
・これまでの福祉は、病院、子育て、介護支援など施設や支援の仕組みづくりにエネル
ギーを注いできた。
・これからは一人ひとりの生活者にまなざしをあて、見直してみる。
・そのことによって会の主役である一人ひとりの生きるチカラを高める新しいアプロー
チが見えてくる。
③人への投資は知と学びから始まる。
・地域社会のすべての人に知と学びを育む仕組みとその活動を生み出す。
・一人ひとりの生きるチカラを高めることを目的にした「人へ投資する福祉のカタチ」
が見えてくる。
④すべての人に知と学びを注ぎ込み、みんなで人を育てる地域福祉をつくる。
・生きるチカラは知るコトからはじまり、学びをとおし、磨かれ、成長する。
・医療と健康、介護、子育て、助けあいなどの生活課題について、誰にでも知と学びを
等しく注ぎ込む仕組みと活動を産みだすために「パブリックスクール」を構想する。
・パブリックスクールを中心に、人づくりを展開しながら、みんなでつくる地域社会を
目指す。
2 パブリックスクールの理念
①すべての人に知と学びを注ぎ込み、みんなで人を育てる地域社会を目指す。
・どこにでも本と学びの道具があふれ、誰もが知と文化を等しく得られる場を創造す
ることで、子どもたちがあしたを夢見て、大人たちが暮らしを楽しみ、誰もが限りな
く成長でき、幸せがあふれる地域社会を目指す。
②パブリックスクールとは
・地域社会福祉活動拠点施設であり、地域社会の学びの場である。
・本とふるさとの宝物を教材に誰もが自由に生きるチカラを育む学びの場である。
③パブリックスクールの成果は人が希望を持ち、支えあい、みんなで幸せをつくる。
・明日をつくる学びが育まれ、磨かれ、結ばれる。
6
・一人ひとりの限りない成長が育まれる。
・人と人が結ばれ、地域社会が豊かになる。
・那珂市のブランドイメージが向上し、那珂市で暮らしたい人々が次々に出現する。
3 パブリックスクールの視点
・市役所の部や課、官と民など規制にとらわれない自由な発想で、地域資源を活用し、
みんなで子どもを育てる。
・みんなで地域社会を学ぶ。そのために、みんなで学びあう場と仕組みをつくる。
①地域資源の活用
・豊かな自然と水の恵み、大地を活かす知恵がたくさんある那珂市の地域資源を、あら
ゆる人々の明日への学びに活かす。
②地域社会での人の育成
・保育所、幼稚園、学校などに任せた教育から地域社会が知恵やチカラを持ち寄り、み
んなで人を育む教育を展開する。
③優しい遊びと学びの空間
・暮らしの視点にたって学びを育むことができる場を準備する。
・好奇心を刺激する小さなブックミュージアムを形成する。
4 パブリックスクールの事業展開
・既存の教育文化施設及び民間の集客施設などを活用する。
・既存施設に、
「図書」と「ふるさとの宝物」を縁結びした「新しい学びの場」をデザイ
ンする。
・人が集う知のカフェスタイルの空間で、誰もが自由にふるさと情報にアクセスし、学
びの活動に参加することができる。
・好奇心のおもねくままに、暮らしのまなざしから、本や人と出会いながら「生きるチ
カラ」を育むことができる。
・地域社会をテーマにした学びと交流を中心に、人と人を結ぶ地域社会の知の拠点とな
る。
5 本とふるさとの宝物を活用した学びを豊かにする“楽習”活動
・これまでの福祉施設、図書館や博物館、学校のイメージを変える。
・本とふるさとの宝物がリンクし、オシャレで、格好がよく、誰もが気軽に暮らしのチ
カラを学び、楽しむ。
・ふるさと司書・学芸員と若者が力をあわせ、人々に夢と感動を育む学びのプログラム
を提供する。
7
6 担い手はふるさとの人材
・パブリックスクールは、ふるさとの宝物と本を縁結びし、人々の興味関心をめざめさ
せ、誰もが楽しめる学びを働きかけることができる専門スキルを持ったボランティア
が担う。
・担い手は、退職教員、保育士、社会教育経験者などの教育経験者を想定する。行政は、
地域福祉や学びの支援ができるボランティアの人材養成に必要なスキルを習得し、
その資質を磨きあげる教育研修を提供する。
8
第4章 那珂市の地域資源を活かした経済戦略
~見つけた いい那珂暮らし~
1 いい那珂暮らし振興室(仮称)の設置
・
「那珂未来研究所」もしくは「那珂ふるさと研究所」と称する。
・研究所は振興室の職員と公募(推薦を含む)のメンバー、及びアドバイザー、大学関
係者などで構成する。
・振興室(研究所)の業務は昨年提案した「新しい視点からの経済産業の変革の5分野
で構成する。
a)那珂市の幸せな暮らしのデザイン研究
b)田園文化都市の形成と地域産業の創造
c)マーケティングによる地域産業の変革
d)地産地消を進めていく体制の強化と遊休農地を解消するための取り組み
e)田園文化起業家の養成と田園文化の学校、ミュージアムの創設
・振興室(研究所)の中に産業(あるいは農業)振興係及び田園観光係を設置する。
(栗
原市や東海村の事例を参考にする)
2 地産地消の推進
これを実現するために「地産地消推進条例」を制定する。この条例のもとで以下の事
業に取り組む。
a)直売所(現在4ヶ所)の振興
直売所の販売額の目標設定、連携、生産技術のレベルアップなど
b)学校給食での地場産食材の活用
食材ごとの数値目標の設定、直売所との連携など(今治方式を参考にする。
)
c)生産、加工、販売など六次産業の展開
d)安心、安全、高品質の地場産品への認証制度
e)具体的な取り組み
(例)那珂市の特性を活かす事業
①玄ソバを市内の蕎麦屋に提供(地産地消。常陸太田に負けない産地にする。
)
②陸稲の栽培面積が日本一であることを活用
・ブランドにする取り組み。和菓子屋と提携する。
③甘藷の再発見
・白土松吉の事績の発掘と継承
④伝統作物の復活
・小豆、大豆など
⑤倭文織の復活再現(全国にない文化資産)
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・そのための NPO 法人の立ち上げと市の支援体制
上記a)~d)などの事業を連絡調整する組織として「地産地消推進協議会」
(仮称)
を設置する。
3 提案の背景
(1)那珂市の特質
・人口変動はそれほど激しくはない。出入りは馴染みの市町村からが多い。
・水戸市、ひたちなか市、東海村、日立市、常陸大宮市など近隣市町村との安定した連
携の中で市民の暮らしがある。
・当面は大きな発展、大きな衰弱はない。
・市域はおおむね平坦で広く、農業、農村が基本的な基盤となっている。
・農業は「強い産業的農業」ではなく、
「地元相手の暮らし農業」がメイン。逆にブラン
ド品がない。強みとしては大消費地が周辺にある。
総じて、安定しているが動きは緩慢。農政の変化で大きく動くことはない。
(2)市政の基礎領域としての農政
・農地は市域の生活の基本をなしている。市の自然は農地、山林と二つの河川が礎であ
る。
・農地を生活空間として位置づける。
・農家、市民のほぼ半分は農家とそこから出た世帯。もっとも安定した市民層が存在す
る。
・農家は農地や山林の主権者で、農地・林地保全の当事者である。
・農家は那珂市らしい暮らしの熟達者。世代・地域をつなぐ継承の主体である。
・農業は市民生活の基礎である食を作る。ふるさとの香りがする食は健康であり文化
であり経済である。
・那珂市の農業の基本は、大農経営、大都市を相手とする産業としての農業ではなく地
産地域消費である。
・農家の稼ぎはそこから生じる。周辺の市町村を魅力的な消費都市として位置づけ、那
珂市の存在感を高める。
・食育の基本も地産地消の農業が基礎となる。
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第5章 マネジメント(地域経営)力の強化
地域経営の要諦は、地域資源である人、物を活用して地域の付加価値をいかに増大させ
るかである。そのためには、地域経営のトップである首長のリーダーシップにより、市民
が雇っている市職員の能力いわゆる市役所の能力を最大限発揮させることと市民力の活用
が特に重要である。
1 市職員の行政能力向上
(1)人事管理
市長の掲げるビジョンを具体化する重要な機関は市役所をおいて他にはない。そこで
職員の能力向上・開発は市長の重要な業務の一つである。職員は市長の郷土那珂市を良
くしていくという強い意志を共有して、これをバックボーンとしてモチベーションを高
揚させる必要がある。そのためには、特に管理職職員の意欲の喚起と能力向上のための
方策が必要である。
①課長など管理監督者の養成及び登用
職員を県や姉妹都市などへの研修や人事交流を行い、視野が広く行動力のある職員を
養成するとともに、管理職昇任などにおいて候補者からレポート(テーマ例、那珂市
の活性化について考える。
)の提出を求め、昇任の判断材料とする。
②民間人の登用
専門的で即戦力のある民間人を活用した方が実効性のあがる業務については、期限付
任用や嘱託などで登用する。
(例)広報戦略プロモータなど
(2)組織管理
縦割りの行政組織の弊害を除去した柔軟性のある組織体制を構築するため次の取り組
みを行う。
①庁内の調整機能を担う政策調整部門の機能を強化する。
②市長の特命事項について機動的に取り組むため、市長(副市長)直轄で業務を行うプ
ロジェクトチームを立ち上げる。
③担任業務以外にも関心や目配りを持ち、行政のスキマを起こさないための職員の意識
改革を行う。
2 市民力の活用、結集
市長が掲げるビジョンを具体化するうえで市民力を活用した方が実効性のあがるもの
については市民も参画したプロジェクトチームを組織し、政策を練り上げることも必要
である。
また、事業推進についても市民がその一翼を担う方式をさらに導入していく必要があ
る。
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3 市民参加型の協働のまちづくり
市政は市民からの信頼なくしては立ち行かない、
「信なくば立たず」である。そこで、
例えばまちづくり委員会の地区単位に市民との市政懇談会を計画的に実施するなど、対
話と参画の行政を推進する必要がある。
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平成 25 年度 検討過程
【第1回】 平成 25 年 5 月 15 日(水)
議題: 1 平成 25 年度に向けた検討課題と整理」について
2 今後のスケジュール
【第 2 回】 平成 25 年 6 月 20 日(木)
議題:
「地域資源の発掘」における取り組みについて(第 1 回)
【第 3 回】 平成 25 年 7 月 26 日(金)
議題:
「地域資源の発掘」における取り組みについて(第 2 回)
アドバイザー:ブックコーディネーター 幅 允孝 氏(有限会社 BACH(バッハ)代表)
【第 4 回】 平成 25 年 8 月 29 日(木)
議題:
「地域資源の発掘」における取り組みについて(第 3 回)
【第 5 回】 平成 25 年 10 月 1 日(火)
議題:
「戦略的コミュニケーションデザイン」における取り組みについて(第 1 回)
アドバイザー:プロデューサー 國井 嘉元 氏(有限会社スコール 代表取締役)
【第 6 回】 平成 25 年 10 月 29 日(火)
議題:
「戦略的コミュニケーションデザイン」における取り組みについて(第 2 回)
アドバイザー:プロデューサー 國井 嘉元 氏(有限会社スコール 代表取締役)
【第 7 回】 平成 25 年 12 月 24 日(火)
議題:
「新しい視点からの経済産業の変革」における取り組みについて(第 1 回)
【第 8 回】 平成 26 年 1 月 27 日(火)
議題:
「新しい視点からの経済産業の変革」における取り組みについて(第 2 回)
アドバイザー:茨城大学名誉教授 総合農学研究所代表 中島 紀一 氏
【第 9 回】 平成 26 年 2 月 26 日(水)
議題: 1「新しい視点からの経済産業の変革」における取り組みについて(第 3 回)
2「マネジメント力の強化」における取り組みについて
【第 10 回】 平成 26 年 3 月 27 日(木)
議題: 1「経営戦略会議からの提言書」における具体的施策について
2 提言書提出
【視 察】 平成 25 年 10 月 31 日(木)~11 月 1 日(金)
視察先:宮城県栗原市
視察内容:「くりはら研究所」における各種事業の取り組みについて
~栗原田園観光都市創造事業~
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那珂市経営戦略会議名簿
(平成 25 年 4 月 1 日~平成 26 年 3 月 31 日)
氏 名
役 職 等
茨城大学地域総合研究所 非常勤講師
委 員 長
先﨑 千尋
副委員長
塚原 正彦
常磐大学コミュニティ振興学部 教授
委
員
寺門 義一
那珂市前副市長
委
員
木内 敏之
NPO 法人有機農業推進協会 顧問
木内酒造合資会社 取締役
(株)那嘉屋 取締役
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