第3章 排他的経済水域における外国船舶取締り――ドイツの国内法制

第3章
排他的経済水域における外国船舶取締り――ドイツの国内法制
西村
弓
1.はじめに
不審船事案を契機に、沿岸国として排他的経済水域 (以下、EEZ) における外国船舶について、
どのような根拠に基づいていかなる措置をとることができるかを検討する必要性が高まっている。
学説の中には、安全保障への脅威となる事態に直面した場合には、沿岸国は EEZ において外国船
舶に対して武器使用を含む措置をとりうるとするものもある。例えば、単に国内法令違反 (a
merely regulatory offence) を犯したにとどまる船舶に対して危害射撃を加えることは許容され
ないが、一定の重大な (serious) ケースでは例外的にこれが許容されるとして、大量麻薬密輸や
国内反乱団体への武器輸送の例を挙げる所説は、その一例である(注1)。何が重大なケースにあた
るかのメルクマールの1つとして、国家安全保障への脅威が挙げられていることからもわかるよ
うに(注2)、こうした説は EEZ 法制のなかで沿岸国に認められた権限と結びつけることなく一定
の実力行使を認めるのだが、そうした措置が正当化される根拠については明らかではない。
EEZ における沿岸国の実力行使が何を根拠にどこまで認められるかを検討するにあたっては、
整理の前提として、主要国がこれらの点についていかなる理解をし、どのような対応をしている
かを調査することが有益である。本稿では、先進国の中ではいち早く国連海洋法条約 (以下、海
洋法条約) を批准したドイツを取り上げる。
ドイツは、1994 年に海洋法条約を批准、EEZ を設定したが、条約批准に合わせて大規模・包括
的な立法作業を行うには至っていない。翌 95 年には、海洋法条約実施法 (Gesetz zur Ausführung
des Seerechtsübereinkommens der Vereinten Nationen vom 10. Dezember 1982 sowie des
Übereinkommens
vom
28.
Juli
1994
zur
Durchführung
des
Teils
XI
des
Seerechtsübereinkommens)(注3)を制定しているが、この法律は関連国内法の改正と必要な新規
立法からなる全 15 条の比較的短いものである。その他については、例えば非生物資源開発につい
ては大陸棚法制のもとで、生物資源についても漁業水域 (1977 年以降は EC 漁業水域) 法制のも
とで既に対応済みであり、海洋法条約の主要規定は既に国内法化されているという認識に基づい
て、必要な限りで既存国内法の改正で対応しているからである。
EEZ において沿岸国がいかなる根拠で外国船舶に対して執行措置をとり得るかという本稿の観
点から、以下、第2節では、ドイツにおける海上での執行活動を主として担っている連邦国境警
備隊の組織・権限・任務について概観する。国境警備隊は法令で授権された警備隊に固有の任務
のほかに、他の官庁の執行官吏として機能することもあるため、続く第3節では、EEZ への適用
を予定する国内法令にはいかなるものがあるかを検討する。執行にあたって武器の使用がどの範
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囲で許容されているかについては、第4節で扱う。
2.連邦国境警備隊
ドイツにおいては、国境警備はラントではなく連邦の専属事務とされている。そのための組織
法 で あ り 作 用 法 で あ る の が 、 1972 年 に 制 定 さ れ た 連 邦 国 境 警 備 法 (Gesetz über den
Bundesgrenzschutz) (以下、国境警備法)(注4)であり、連邦国境警備隊の任務、権限、組織につ
いての規定をおいている。
国境警備隊は連邦の警察であり、内務省のもとに設置され、内務大臣の指揮監督に服する
(国境警備法 42 条)。各地方には国境警備監督局と国境警備管理局がおかれ (43 条)、前者の
も と に 配 置 さ れ る 部 隊 組 織 に は 、 海 上 部 隊 (Bundesgrenzschutz-See) や 対 テ ロ 対 策 部 隊
(Grenzschutzgruppe 9) 等が含まれる。
国境警備隊は、連邦に対する軍事的攻撃を防止する目的で、場合によっては第1章に規定する
通常の任務を離れ、国家防衛のために編成されることが予定されている (64 条第2項)。しかし、
こうした再編成に際しても警察としての性格は変わらない。警備隊があくまでも警察権限を行使
する機関として位置づけられることは、警備隊内での再編成にとどまらず、
「武力行使の開始に伴
って、連邦国境警備隊の国境警備司令部、各部隊、国境警備学校は、連邦共和国の武装部隊の一
部となる」(64 条第1項) 場合であっても、警察としての性格づけをうたった前記の「第 42 条1
項第2文は維持される」(同) とされることからもうかがわれる。
もっとも、法文上の位置づけは別として、実際にこのような体制のもとで警察任務と軍事任務
が峻別されるか否かについては疑問が呈されている(注5)。国家非常事態に備えるため、また警察
任務遂行に際して武器による攻撃から自己を防衛するために、警備隊員には軍事訓練の実施が義
務づけられたり (52 条1項)、警備隊員数が志願者で満たせない場合には、兵役義務者を使用する
ことが認められている (48 条1項)。また、前述のように、国境警備隊の一部は対テロ対策部隊と
しての任務を負っている。これらの事情からも、国境警備隊は実質的には準軍隊としての性質を
帯びていると指摘されるのである。
国境警備法上、国境警備隊は、主たる任務である国境警備のほか、鉄道警察、航空保安、連邦
機関警護、要人警護、公海上の任務、警察支援、戦争・非常事態時の防衛等、種々の固有任務を負
っている。また、他の官庁所管の法令の執行を個別法によって委任されることも多い。以下、ま
ず固有任務のうち、本稿の観点から検討に値する国境警備及び公海上での任務についてみておく
ことにする。
(1) 国境警備
国境警備隊の主たる任務は、国境警備事務である。ドイツにおいて国境とは、ドイツが主
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権を有する領域のすべての境界線を意味する。したがって、領土及び領海の限界線が国境と
位置づけられることになる。
国境警備法第2条によると、国境警備 (Grenzschutz) とは、以下の3つの任務から成る。
第1に、国境の警察上の監視である(1項)。第2の任務は、国境を通過する交通の警察上の
規制であり、これは更に (a) 国境を通過する書類の審査、(b) 国境での捜索、(c) 域外に原
因を有する障害の除去及び危険防止、の3つから構成される (2項)。第3に、国境から 30km
幅の国境地帯における、国境の安全を害する障害の除去及び危険防止である (3項)。こうし
た任務に対応するかたちで、国境警備隊は、パスポート・コントロールを中心として出入国
管理を担当する組織と国境の監視・取締りを行う組織の2つから構成されている。両組織と
もに、国境外から連邦領域に対して生じる危険を防止し、国内における公共の安全と秩序を
維持することを目的として、警察上の任務を遂行することになる(注6)。
国境警備事務について注目すべきなのは、この任務が特定の国内法令の存在を前提として
その履行を励行する法執行というよりは、より抽象的・一般的に国境における秩序実現のた
めの権限行使を認める点にある。国内法令を遵守させることを第一の目的として、その違反
に対して訴追を行うことを前提に警察権限を行使するものではなく、領土・領海における安
全保障という観点から行政的に対処するものである。
こうした国境警備事務が遂行されるのは、しかしながら、上記のように国境及び国境から
30km 幅の国境地帯 (Grenzgebiet) においてである。国境地帯概念は、陸上国境及び海上国
境の双方について共通に使用されており、陸上国境を越えた他国の領域内での公権力の行使
が許容されないことに鑑みれば、国境線から連邦領域内側に向けての 30km 幅地帯を意味す
ると解するのが適当であろう。したがって、海上における国境警備事務は国境の内側である
領海内において実施されることになり、その任務の場所的範囲は EEZ には及ばない。このこ
との意味については、EEZ に関する関連規定との関係で後で再び考察する。
(2) 公海上での任務――国際法執行
国境警備法は、6条で、次のように公海上での任務について特別の規定をおいている。
軍隊、その他の官庁が有する権限とは関係なく、連邦国境警備隊は、公海上において連邦
共和国が国際法に基づき権限を有する措置をとることができる。ただし、連邦法により、他
の官庁に割当てられている措置または軍艦のみに留保されている措置は除く。
国境の外側の公海上でとり得る措置について定めるものであり、上記(a)の国境警備とは区
別される別個の任務である。船舶航行警察上の措置は、海上任務法(後述)によって、連邦交
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通・建設・住宅省所管の海路水路庁 (Wasser und Schiffahrtverwaltung) の任務と定められ
ているため、第2文によって警備隊の任務からは除外される。
この規定を根拠として国境警備隊がとり得るのは、公海上において連邦共和国が「国際法
に基づいて権限を有する措置」である。こうした6条の規定振りについては、次の点が注目
される。すなわち、6条は、特定のドイツ国内法令の実施と関連づけて規定されておらず、一
見、国際法によって権限が与えられていれば、この権限行使について定める別途の国内法がな
くとも国境警備隊が直接に国際法で認められた権限を行使しうる規定振りになっている(注7)。
換言すれば、国内法令上の具体的な授権規定がない場合であっても、国境警備隊が国際法の
執行として措置をとることが予定されているように思われるのである。また第3節でみるよ
うに、EEZ における外国船舶に対する規制が既存国内法のそれぞれの枠内に位置づけられる
場合であっても、そこでの規定振りは、権限官庁を指定したうえで概括的授権規定をおくに
とどまることも多く、柔軟な対応ができるようになっている。ドイツの国内法制にみられる
1つの大きな特徴である。
こうした規定振りがとられた理由としては2つの可能性が考えられる。第1に、海洋法条
約の一部の条文が、国内法による媒介なしにドイツ国内で適用可能と考えられた結果と捉え
るものである(注8)。例えば、海洋法条約 94 条 (旗国の義務)、217 条 (旗国による執行)、218
条 (寄港国による執行)、245-255 条 (海洋科学調査) 等が、条約批准によってドイツ国内に
おいて適用可能 (operable) になった規定の例として挙げられている(注9)。しかしながら、
海洋法条約をはじめ関連諸条約の規定のうち、要件や手続等の細則について具体化をはかる
国内法令を待たずに直接的に適用可能な規範がどれだけあるかについては疑問なしとしない。
更に、国境警備法6条について言えば、仮にこれを国際法の執行を直接警備隊に授権する規
定と解するにしても、その中身となるべきドイツが国際法上とりうる措置を列挙しておらず、
具体的に何をなしうるかの判断については、各時点での国際法規範をいかに解釈するかに委
ねている。こうした事情に鑑みて、むしろ、関連条約規定に複数の解釈の余地があり、そのい
ずれをとるべきかが直ちに確定できない場合には、国内法令では「国際法が認める限り」とい
う文言をおいて暫定的に慎重な受け止め方をせざるを得ないことが指摘されている(注 10)。そう
だとすれば、上記6条のような規定振りは、諸国の実行等を睨んで将来的に関連国際法解釈
を確定していくまでの間、沿岸国がとり得る措置の範囲についての決定を避け、連邦に行動
の余地を残すためのものと言えよう。
なお、継続追跡権の行使は、国際法上 EEZ に「適用される沿岸国の法令の違反がある場合」
に限定されるため (海洋法条約 111 条)、追跡権を根拠に追跡・拿捕等を行う場合には、いず
れにせよ上記6条に関わらず、何らかのドイツ国内法令違反の存在が必要となる。当該法令
違反について権限を有する官庁を援助する活動の一環として、警備隊が執行を担うことにな
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ろう。継続追跡の対象となる場合を含め、ドイツがいかなる措置を国内法として受けとめて
いるかについては、第3節で検討する。
3.EEZにおける外国人行為の規制に関連する法令
本節では、ドイツの国内法令上、領海外海域への適用を予定するものにはどのようなものがあ
るか、それらの規制は海洋法条約と整合的か、またどのような特徴を有するか、について検討す
る。
(1) 海洋法条約 56 条によって予定される規制
海洋法条約 56 条は、EEZ における沿岸国の権限として、天然資源の探査・開発・保存・
管理に関する主権的権利、人工島・施設・構築物、科学調査、海洋環境保護のための管轄権
を定めている。ドイツの国内法令上、外国船舶の行為規制はこれら条約上認められた権限の
範囲内にとどまっているだろうか。なお、この点の検討にあたっては、EEZ 法制と重なる限
りで大陸棚規制にも目配りしておくことにする。
(a) 漁業
ドイツ連邦の EEZ における漁業活動については、漁業法 (Seefischereigesetz)(注 11)及び、
これを受けた漁業法規命令 (Seefischereiverordnung)(注
12)が規律している。漁業法規命令
1条2項は、
「本法規命令第3、4、6条は、ドイツ国旗を掲揚する権利を与えられていない
船舶による漁獲についても、連邦の領海及び漁業水域において適用される」と規定する。リ
ファーされた第3条は、EU 漁業法令・漁業関連の国際条約・ドイツ漁業法及び関連法規命令
を遵守すること (2項)、権限を有する官吏からの要請に応じて、航海日誌等の書類を提出し、
漁獲物や漁具についての立入り検査を受入れること (3項)、の2つの義務を操業船舶に課し、
その検査を実施して遵守を確保する権限を所管漁業局に付与する規定である。4条は、寄港
時の義務について、6条は故意又は過失による法規命令違反に対する過料 (Bußgeld) につ
いて、それぞれ定めている。(ドイツ公法上、単なる秩序違反 (Ordnungswirdrigkeiten) は、
刑法犯とは区別され、過料による処罰対象にとどまる。)
EEZ における外国船舶の漁業活動については、連邦機関が監督を実施し、上記法規命令の
違反については責任の追及が予定されていることになる。海洋法条約 56 条に定める沿岸国の
権限対象と合致した規制と言えよう。
(b) 海洋調査
海洋法条約実施法 10 条は、EEZ における外国船による海洋調査が、海洋法条約 245-255
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条に従い連邦交通省の法規命令に基づいて行われるべきことを定め、この命令に反する秩序
違反について過料を予定している。ただし、上記の法規命令は未だ作成されておらず、現状
では既存法令によって許可が与えられ、調査条件が定められることになる(注 13)。
すなわち、連邦鉱業法 (Bundesberggesetzes)(注 14)によれば、明らかに鉱物資源の探査で
な い 調 査 活 動 に つ い て は 、 連 邦 交 通 省 の ド イ ツ 水 路 協 会 (Deutsche Hydrographische
Institute) の許可を得たうえで外国調査船による実施も認められる。調査申請は鉱業法 132
条2項に列挙された事由にあたる場合にのみ拒否され得るが、その他の場合には原則として
許可される。許可を受けない活動は秩序違反となり、過料が予定される (144 条)。
上記一連の規制の大枠は、海洋法条約の関連規定に合致している。ただし、調査申請に対
する拒否事由の中に、「ドイツの安全に対して危険を創出する場合 (die Sicherheit der
Bundesrepublik Deutschland gefährdet wird)」が含まれている点が注目される (132 条2項
3号 e)
。海洋調査申請の拒否事由として挙げられているのであって、危険を創出する活動が
実際に行われた場合に、これに対して何らかの執行措置をとることまでをも必ずしも意味す
るものではないが、海洋法条約が列挙する裁量的拒否事由 (海洋法条約 246 条5項) に当たら
ない規制は条約違反のおそれがあるにも関わらず(注 15)、あえて安全概念を1つの基準として
EEZ における外国活動を規制しようとするものだからである。
(c) 環境保護
ドイツが EEZ を設定する実益は海洋環境保護に関する沿岸国管轄権の行使にあったと指
摘されるように(注 16)、海洋環境保護に関しては多くの立法・既存法令の改正がなされている。
海洋環境関連国内法の違反には、犯罪として刑罰の対象となるものと、秩序違反として過料
によって処罰されるものがある。
まず、犯罪と性質づけられるものとして、海洋法条約実施法 11 条は、
「海洋保護に関する
国際条約がその訴追を認める限りにおいて、ドイツの EEZ 内で行なわれた刑法第 324,326,
330,330a の各条に定める環境に対する犯罪行為」についてドイツ刑法を適用するとして、
保護主義に基づき、刑法5条 (内国法益に対する国外での行為) の適用範囲を EEZ に拡大す
る(注 17)。
他方、海洋環境保護関連の規制には、個別の国際条約の実施法のかたちで存在するものも
ある。例えば、MARPOL 条約実施法 (Gesetz zu dem Internationalen Übereinkommen
von 1973 zur Verhütung der Meeresverschmutzung durch Schiffe und zu dem Protokoll
von 1978 zu diesem Übereinkommen) ( 注 18 ) や、海洋投棄条約実施法 (Gesetz zu den
Übereinkommen von 15. Februar 1972 und 29. Dezember 1972 zur Verhütung der
Meeresverschmutzung
durch
das
Einbringen
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von
Abfällen
durch
Schiffe
und
Luftfahrzeuge)(注
19)がそれである。ともに違反に対しては、それぞれの法律の所管官庁が
秩序違反として過料を賦課することが予定されているが、違反が重大な損害を招く場合には
刑事罰の対象ともなる。これら実施法の適用範囲は、それぞれ海洋法条約実施法6条、7条
によって改正され EEZ に拡大されている。海洋法条約 56 条1項(b)で定められた権限行使を
可能にし、MARPOL 条約実施法については船舶起因汚染の取締り権限を定めた海洋法条約
211 条を、海洋投棄条約実施法については EEZ への海洋投棄を取締る沿岸国の義務を定めた
210 条を受けるものである。
以上のように、刑法その他の法令によって立法管轄権を EEZ に拡大したうえで、その適用
確保についても連邦執行官吏による警察権限の行使が予定される。例えば、MARPOL 条
約実施法は、国境警備隊に、公海上での刑法典第 324, 326, 330 条及び 330 条 a 違反行為の捜
査に関し、刑事訴訟法及び秩序違反法の規定に基づく警察官吏としての権利義務を付与する
(4条)。海洋投棄条約実施法では、国境警備隊に対して、刑事訴訟法上の権利義務を行使し
て、ドイツの EEZ で環境刑法が対象とする犯罪行為を捜査し、事実の証拠隠滅を防止するた
めに、猶予を許さないあらゆる指示を行うことが義務づけられている(11 条)。海洋法条約 216
条、220 条では、関連規定違反について沿岸国による執行措置が認められており、条約が認め
る沿岸国管轄権の範囲内の取締りと言えよう。
なお、海洋法条約実施法 12 条は、
「海洋保護に関する国際条約の履行に適う限りにおいて、
ドイツの EEZ の外の北海またはバルト海において、行政法上の義務に反して船舶から物質を
排出して行われた、刑法第 324,326,330,330a の各条に定める環境に対する犯罪行為に、
ドイツ刑法を適用する」と規定する。EEZ 外の公海における環境保護であるが、上記の実施
法 11 条とは異なり、刑法5条の改正というかたちはとらず、したがって国内法益実現のため
の保護主義に根拠づけられてはいない。他方、普遍主義に基づく域外適用を定める刑法6条
のもとに位置づけられてもいない。個別条約の履行のかたちで特別に刑法の域外適用を定め
るものである。ドイツは、例えばポーランドやデンマークといった近隣の国々と、
「執行権限
の行使についての協力を促進するための」二国間協定の締結を模索しているという(注 20)。海
洋法条約あるいは慣習法上正当化しがたい規制やその実施を実行したいのであれば、関係国
と個別条約を締結したうえで合意に基づいて実施するという方式として参考になろう。
(2) 公海一般における規制
以上は、EEZ 法制のなかで考えられる沿岸国規制とその執行に関する国内法令である。ド
イツの法令は、おおむね海洋法に合致した範囲での権限行使を規定しているものであった。
他方、これとは別に、公海一般を対象とする規制が EEZ についても及ぶ場合も考え得る。船
舶の登録に関する規制、麻薬取引等の船舶を使用した種々の行為についての規制がそれにあ
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たる。
(a) 国旗掲揚に対する規制
旗 国 法 (Gesetz über das Flaggenrecht der Seeschiffe und die Flagenfürung der
Binnenschiffe)(注 21)は、ドイツに住所を有しドイツ籍を有する自然人・法人が所有する船舶
について、ドイツ国旗の掲揚を義務づけている。他方、ドイツに住所を有しないがドイツ籍
を有する自然人・法人が所有する船舶については、ドイツ国旗掲揚が許容される (1条)。ド
イツ国旗を掲揚する船舶は他国の国旗を掲げてはならず (6条1項)、これに違反した場合に
は6ヶ月以下の懲役または罰金が課される (15 条1項)。また、ドイツ国旗掲揚は旗国法によ
って許可された場合のみに限定されており (8条1項)、この規定に反した場合も同様に6ヶ
月以下の懲役または罰金が予定されている (15 条2項)。
したがって、ドイツ船舶が他国の国旗を掲揚すること、外国船が許可なくドイツ国旗を掲
揚することは禁止対象としているが、無国籍であることを理由として取締りを及ぼす体制に
はなっていない。
(b) 船舶航行警察
ドイツには、船舶航行警察業務に係る一般法が存在する。海上船舶航行水域における連邦
の 任 務 に 関 す る 法 (Gesetz über die Aufgaben des Bundes auf dem Gebiet der
Seeschiffahrt)(以下、海上任務法)(注 22)第1条は、次のように規定する。
連邦は以下の海上任務を行う。…
3.国際法が許可または要請する場合には、領海外において、
a) 航行警察 (Schiffahrtspolizei)
b) 危険防止、公の安全・秩序に対する障害の除去 (die Abwehr von Gefahren sowie die
Beseitigung von Störungen der öffentlichen Sicherheit oder Ordnung in sonstigen
Fällen)
c) 漁業監督
d) 条約上、ドイツ連邦が負う義務の履行または認められた権限の行使のために、
aa) a) 及び b) の場合には、秩序違反法 (Gesetz über Ordnungswirdrigkeiten)
bb) 刑事訴訟法
にしたがった、警察活動
e) その他の法令に基づく職務執行のための措置
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b 号に定められている危険防止、公の安全・秩序に対する障害の除去という任務は、領海
外において不審船のような事態に対応することを可能にしているようにも見える。ドイツの
警察行政法上、
「公の安全 (öffentlichen Sicherheit) への障害」という概念は、自然災害ある
いはとりわけ法令違反となる人為的な作為・不作為によって、国家の存立や制度、個人の生
命・身体・自由・名誉・財産が脅かされる場合を言い、
「公序 (öffentlichen Ordnung)」とい
う概念は、その遵守が共同生活を有利に進めるための前提となる規範の総称を指すからであ
る(注 23)。しかしながら、海上任務法においては、これら危険防止・障害除去が外国船舶につ
いてもなされうるのかについては規定しておらず、この点についてはむしろ否定的な見解が
示されている(注 24)。
この法律に定められる任務を遂行するのは、海路水路庁であるが、同庁は実際には執行部
隊を充分に有していないため、国境警備隊の実施に委ねられることが多い。例えば、上記1
条3項 a) 及び b) に定める措置については、連邦交通大臣に、内務、法務、財務の各大臣と
協議の上で権限官庁を指定するように指示しており (3条2項)、これを受けて制定された法
規命令(注 25)によって、連邦国境警備隊に執行措置が委任されている。また、d) bb)号に定
める刑事訴訟法適用の実施についても同様に、連邦交通大臣に権限官庁の指定が指示されて
、これを受けて航行に関する刑事訴訟任務を実施する連邦機関を指定するた
おり (4条3項)
めの法規命令 (Verordnung für bestimmte Aufgaben nach der Strafprozeßordnung auf
dem Gebiet der Seeschiffahrt)(注 26)(以下、機関指定命令)が制定されている。機関指定命
令第1条は、以下のように国境警備隊の任務を規定する(注 27)。
領海外においては国境警備隊が、ならびに領海内においては関税局が、刑事訴訟法に基
づく措置を以下について実施する。
1.ドイツを旗国とする船舶の行為
2.公海条約8、9条にいう政府船舶・軍艦を除く、1 項以外の船舶による以下に挙げる
行為
a) 海賊
b) 奴隷貿易
c) アルコール密輸条約に反するバルト海上の輸送
d) 1988 年麻薬条約に反する輸送
e) 連邦共和国の EEZ において、海洋法条約 220 条3項違反を犯した船舶については、
同条3,5,6項の適用が許容される。
3.2項に定める船舶につき、その他の国際条約に基づいて、旗国の権限ある機関から
要請を受けた場合の刑事事件に関する共助の実施
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ここでは、海上任務法とは異なり、外国船舶に対しても措置がとられることが明示的に予
定されている (2,3項)。
海賊及び奴隷貿易に従事する私船に対しては、これらの行為を行っていると疑うに足る十
分な根拠がある場合には、臨検が認められる (海洋法条約 110 条)。EEZ における船舶起因汚
染の規制が 220 条で認められているのも前述のとおりである。
しかしながら、1988 年の新国連麻薬条約に違反する輸送について、国境警備隊が何らかの
執行措置をとることは、条約では認められてはいない。麻薬条約は、17 条で麻薬取引に従事
している疑いがある船舶についての対応を定めているが、そこでは不正取引に従事している
疑いのある船舶を発見した場合、発見した船舶としては、旗国にその旨を通告し、適当な措
置実施についての許可を要請することができるにとどまる (3項)。そのうえで、この要請を
受けた旗国は、乗船、船内捜索、証拠が発見された場合の船舶・乗員・積荷に対する適当な
措置について、要請国に対して許可することができる (may authorize) という規定振りにな
っているからである (4項)。このように麻薬条約においては、必要な措置をとるためには旗
国の許可が必要となっているほか、そもそも不正取引を発見した国家がとりうる措置の例示
のなかには、拿捕や実行者の刑事訴追は挙げられていない。機関指定命令1条2項 d 号は、
条約に違反して不正取引を行っている外国船につき、刑事訴訟法に基づいて領海外で取締ま
ることを可能としているが、当該措置を可能とする個別の協定が締結されているのであろう。
4.EEZでの法執行における武器の使用
EEZ での武器使用に関連するのは、第1に、連邦執行官吏の公権力行使における直接強制に関
する法律 (Gesetz über den unmittelbaren Zwang bei Ausübung öffentlicher Gewalt durch
Vollugsbeamte des Bundes)(以下、直接強制法)(注 28)である。この法律は、警察、税関、鉄道
官といった実力行使を伴う執行任務にあたる連邦官吏に認められる強制措置権限について一般的
に規定したものである。国境警備隊の一部には警察官吏としての身分が与えられており(国境警備
法 47 条)、EEZ における法執行も直接強制法の規制を受けることになる。
直接強制法上、直接強制とは「身体または財産に対して行う物理的力、補助的手段、武器によ
る作用」を言う (2条)。連邦の執行官吏は、この法律の条件に従う限りで職務執行に際して直接
強制を行うことができる (1条)。複数の可能な直接強制措置がある場合には、個人及び一般公衆
をもっとも害しない措置の採用が義務づけられ、また、強制措置によって生じる損害は、措置が
達成を期待する結果に比べて明らかに均衡を失してはならない (4条)。直接強制が行使された結
果、負傷者が発生した場合には、必要かつ可能な限り援助が与えられねばならない (5条)。上官
その他権限を有する者が命令した場合、執行官吏は直接強制を実施する義務を負うが (7条1項)、
当該命令に従うことにより犯罪を犯すことになる場合にはこの限りではない。にも関わらず執行
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官吏が命令にしたがって違法な直接強制を行ったときには、当該措置が犯罪であることを認識し、
かつそれが周囲の状況から明らかな場合に限って、直接強制を実施した官吏に責任が発生する(同
2項)
。命令の違法性に関して疑義がある場合には、事情が許す限り、執行官吏は命令者に対して
その旨申し出なければならない (同3項)。
どのような手段でいかなる限度まで直接強制を実施してよいかについては、10 条1項で射撃用
武器の身体に対する使用を次のように限定している。すなわち、
「射撃用武器は、次に挙げる目的
に限り、人に対して使用することができる」としたうえで、以下の2つの場合を挙げるのである。
第1に、
「状況から判断して、(a) 重罪、又は (b) 射撃用武器・爆発物を使用又は携行して犯され
る軽罪のいずれかの犯罪がまさに行われようとするのを防止し、又はその続行を防止する」ため
の射撃である。第2に、
「(a) 現行犯であり、その犯罪が状況からみて、重罪又は軽罪 (射撃用武
器、爆発物を使用又は携行して犯されるものに限る) である場合、(b) 重罪の容疑が濃厚な場合、
(c) 軽罪の容疑が濃厚で、射撃用武器又は爆発物を使用するおそれにつき十分な証拠がある場合」
に「逃走を企て逮捕又は人物確認を免れようとする者を取り押さえる」ための身体射撃が認めら
れている。
ただし、これらの射撃用武器の使用に際しては、事前に警告 (警告射撃を含む) を行う必要があ
る (13 条)。また、使用は、他の措置では効果がないか、明らかに効果がないと認められる場合に
限定され、身体に対する使用は物に対する使用では任務遂行が達成されない場合に限って許容さ
れる (12 条1項)。
なお、国境警備における武器の使用については、
「…執行官吏は、国境事務においては、停止命
令、又は身体・乗り物・物品の検査命令を免れて逃走を企てる者に対しても、射撃用武器を使用す
ることができる。口頭による命令が理解されないと認めるときは、これに代えて、警告射撃を行
なうことができる」という特別規定が設けられている (11 条1項)。通常の武器使用が重罪または
武器使用を伴う軽罪の防止目的に限定されているのに対して、国境警備においては犯罪とは無関
係の場合であっても治安目的での武器使用が認められていることになる。ただし、第2節でみた
ように、国境警備法における国境警備が国境及び国境線から 30km 以内の国境地帯での任務に限
定される以上、この特別規定は EEZ での武器使用には適用されない。EEZ での法執行において
は、通常の場合と同様、特定の法令違反に該当する重罪又は (武器使用を伴う) 軽罪に対してでな
ければ武器の使用が認められないことになる。
以上は、連邦官吏に認められる強制措置権限について一般的に規定したものだが、これとは別
に、国境警備法にも執行権限に関する規定がある。警備隊に対する一般的授権規定である第 10 条
は、「1.連邦国境警備隊は、本法1-6条で与えられた任務遂行のため、合理的な裁量
(pflichtgemässen Ermessen) にしたがって必要な措置をとることができる。とりわけ、本章に
定める措置が認められる。2.他の連邦法令に定められた権限遂行のため、国境警備隊は本法に
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基づく権限を行使する。…」と規定する。1項でリファーされた具体的権限としては、停止、召
喚、鑑識、留置、身体検査、物品検査、立入り検査、領置、差押え、没収が挙げられている (国
境警備法 17-31 条)
。ただし、ドイツでは一般的授権規定によって措置の根拠を与えることができ
るとされており、列挙される具体的権限は例示にとどまる。また、2項に規定するように、他の
行政官庁の職務執行を代行する際にも、同様の措置をとることが認められている。
警備隊による権限行使に際しては、個人及び公共に対する害がもっとも少ない措置の選択が義
務づけられ、また、意図した結果との比例性を超えるような損害を惹起してはならない (11 条)。
命令は十分に明確でなければならず、障害除去又は危険防止のために複数の措置が取りうる場合
にはそのうちの1つを選択することが求められる (12 条)。措置が違法であった場合、あるいは適
法な職務執行によって責任を有しない者に対して損失を生じた場合、連邦政府には損害賠償の義
務が生じる (34 条)。損害賠償請求をなす者は、通常裁判所への出訴が認められている (41 条)。
上官命令の抗弁については、上記の直接強制法7条が準用される (56 条5項)。
5.おわりに
ドイツの法制からは、不審船取締りについての2つの位置づけが考えられる。第1に、安全保
障を目的として実施されるものである。国境警備事務の遂行は特定の国内法令の実施という性格
を有するのではなく、領土・領海の安全及び秩序を維持するという観点から行政権限として必要
な措置をとることが認められている。国内法令によって外国船舶に何らかの規制を及ぼし、その
遵守確認のために停船命令を出したり、違反に対して訴追を行うことを前提にするものではなく、
安全保障という観点から行政的に対処するものである。別個の特定された国内法令違反に警備措
置を根拠づける必要がないため、とりわけ特定の違反行為として性格づけることが難しい不審船
のような事態にも正面から対処できることになる。形式的あるいは軽微な違反を根拠とする必要
もないため、比例性要件に鑑みても、捕捉の際の武器使用が著しく制限されることもなくなり、
船舶の調査・処分、乗員の取調べ等、不審船の活動を解明するための捕捉後の手続との整合性も確
保することができる(注 29)。実際、国境警備隊海上部隊の取締り項目としては、国境地帯での不審
船対策が挙げられている(注 30)。
しかし、こうした任務はあくまでも国境警備事務として位置づけられ、すなわち領海内での措
置に限られるのであって、領海外では正面から自国のセキュリティを理由とした法制は敷かれて
いない。海洋法条約加入時に、ドイツがなした「新制度である EEZ においては、沿岸国は、厳密
に定められた資源関連の権利・管轄権を認められるにとどまる。他のすべての国家は、公海航行
の自由、上空飛行の自由、その他の合法的な海洋利用の自由を従来通り享受する。これらの利用
は平和的に、すなわち国連憲章の原則に従って行使される。したがって、これらの権利行使は
沿岸国のセキュリティや沿岸国が国際法上有する権利義務に影響しない。排他的経済水域に対
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して一般的に主権・管轄権を行使できるという考え方は、一般国際法上も条約上も正当化され
ないのである」(注 31)という解釈宣言もこれに符合する。
それでは、EEZ における不審船取締りについてはどう考えられるだろうか。EEZ 法制の中で正
当化することが困難として、ドイツが接続水域のアナロジーなどで公海における安全保障措置を
正当化したり、あるいはそもそも海洋法の解釈適用という視点を離れて、一般国際法上、EEZ に
おける安全保障活動を正当化する可能性があるか否かについては不明である。仮に海洋法が安全
保障に関する問題を射程外としており、したがって沿岸国としては海洋法の解釈・適用を離れて、
一般国際法上自国のセキュリティへの脅威を排除すべく規制を及ぼし得る余地があるとすれば、
国境警備法6条でこれを受けたうえで、10 条に基づいて執行を行うことが法文上は論理的には可
能かもしれない。しかしながら、前述のように、6条の規定振りが意味するところは、国際法を
積極的に利用して権限行使の拡大を図ろうとするものというよりは、国際法の解釈が未確定の分
野について行動の自由を留保しておくことにある。また、実際上の訓練や装備において近接して
いるという批判はあるにせよ、法制度上は軍と国境警備隊を区別している以上、EEZ における警
備隊による取締りは、明文で別途授権されない限りは法執行目的に限定されると解したほうが、
警察としての性格づけと適合的だろう。こうした構成のもとでなお規制を及ぼすためには、関係
国との間で条約を締結して取締り権限を相互に認めるなどの対応によって、条約の執行措置とし
て位置づけるなどの工夫が必要となろう。
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注
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1.R. Mclaughlin, “Coastal State Use of Force in the EEZ under the Law of the Sea
Convention 1982,” University of Tasmanian Law Review, vol.18, 1999, pp.16-17.
2.Ibid, p.18.
3.BGBl, 1995 I, s.778.
4.BGBl, 1972 I, s.1834.
5.Drews/ Wacke/ Vogel/ Martens, Gefahrenabwehr: Allgemeines Polizeirecht (Ordnungsrecht)
des Bundes und der Länder, 9 Auflage, 1986, ss.68-69.
6.Ibid, ss.67-68.
7.村上暦造「新海洋秩序と海上保安法制-海外調査報告(ドイツ国境警備と海洋法)」
『国連海洋
法条約に関する国内体制の調査研究事業報告書』(海上保安協会、1994 年)、17 頁。
8.森田章夫「国連海洋法条約とドイツ国内海洋法制」
『わが国が国連海洋法条約を締結する実益
及び国内法制度の整備』(日本国際問題研究所、1996 年)、57 頁。
9.R. Wolfrum, “Germany and the Law of the Sea,” T. Treves ed, The Law of the Sea: The
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European Union and its Member States, 1997, pp.215, 222.
10.A. Werbke, “Current Legal Developments: Germany,” International Journal of Marine and
Coastal Law, vol.11, 1996, p.83. 筆者は、当時のドイツ交通省担当官である。
11.BGBl, 1984 I, s.876.
12.BGBl, 1989 I, s.1485.
13.森田章夫「ドイツの国内法制」『排他的経済水域・大陸棚における海洋調査に関する各国国内
法制等対応振りに関する調査』(日本国際問題研究所、1999 年)、47 頁。
14.BGBl, 1980 I, s.1310.
15.当該拒否事由が海洋法条約の規定と整合的か否かについては、前掲森田報告書(注 13)、49 頁。
16.Werbke, op.cit. (n.10), p.82.
17.324 条は水域汚染、326 条は廃棄物処理、330 条は環境に対する重大な危険、330 条 a は毒物
放出に関する規定である。それぞれ海洋環境を害する該当行為を犯罪とし、懲役又は罰金刑を
定めている。
18.BGBl, 1982 II, s.2.
19.BGBl, 1977 II, s.165.
20.Werbke, op.cit. (n.10), p.84.
21.BGBl, 1994 I, s.3141.
22.BGBl, 1965 I, s.833. 解説については、E. Beckert und G. Breuer, Öffentliches Seerecht, 1991,
ss.296-299 参照。
23.Drews/ Wacke/ Vogel/ Martens, op.cit. (n.5), ss.232-233, 245-248.
24.Beckert und Breuer, op.cit. (n.22), s.297.
25.BGBl, 1982 I, s.733.
26.BGBl, 1994 I, s.442.
27.2項 e 号は、海上交通規則第2改正(BGBl, 1994 I, s.3744.)第2条1項による追加規定であ
る。
28.BGBl, 1961 I, s.165.
29.村上暦造「領海警備の法構造」
『海上保安大学校研究報告』(45 巻1号・1999 年)、64 頁。
30.「国際的海上保安業務の推進事業報告書-先進諸国海上保安体制調査ドイツ-」(海上保安協
会、1999 年)http://lib1.nippon-foundation.or.jp/1999/0884/contents/015.htm 参照。
31.http://www.un.org/Depts/los/convention_agreements/convention_declarations.htm
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