経営革新承認企業訪問 No.15 株式会社 STUDIO- 蓮フィギュア原型・立体造形を追求何かを造る時は目の前の空間に立体のイメージがぼんやりと浮かぶ―。STUDIO- 蓮の加藤哲朗社長は、フィギュアの「原型師」。造形製作会社で有名な海洋堂（大阪府門真市）で造形作家として活躍したこともある。高校の頃あこがれた、巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチや明治期の日本の彫刻家を「とうていかなわないかもしれないが、造形の師としている」（加藤社長）という。大野城市の閑静な住宅街にある STUDIO- 蓮の工房を訪ねた。メーカー色を全面に加藤社長は三重県出身。京都の美術系専門学校にれ、建築や装飾の仕事に付いていた。通っていた 90 年頃、海洋堂の門をたたく。技術力 2003 年、趣味で製作を続けていた人形をサイトと粘りが認められて海洋堂に入社。「原型師としてに載せていたところ、最初に独立した頃の仲間の一の基礎技術はここにいた約２年間みっちりたたき込人と交流を再開。原型師として復帰することに。同まれた」（加藤社長）と振り返る。その後、仲間と時にフィギュア原型・立体造形工房「STUDIO- 蓮」独立したが、個性が強いクリエーター同士。意見のを創業した。08 年に法人化。現在では、OEM（相違いなどからやがてたもとを分かつ。その後、前の手先ブランド）製作だけでなく、メーカーとして企妻の縁で九州に来てからは、フィギュア業界から離画・製作や新技術の研究・開発にも取り組んでいる。試行錯誤で生んだ独自技術同社の「シリコン型を使った多色成形技術」はしながら精度を上げていった。色が混じり合わない 2014 年４月に経営革新計画の承認を取得した。こ材料の固定方法にノウハウがある」（同）。れはシリコン型を使ってフィギュアなどを一度に多色造形する独自技術。エポキシやウレタンなどの材料には透明の染料と不透明のトナーを融合させて練り込む。基本色が成型段階で再現され塗装で生じる塗膜の厚ぼったさがない。繊細でよりシャープな表現と量産が可能だ。以前から考えていた技法だと加藤社長は振り返る。材料の段階での着色は、発色や再現性に課題があった。塗装に勝つ―をテーマに試行錯誤を約３年繰り返した。「金型ではなく、柔らかいシリコン型を使うので、成形後の縮みや歪み、段差なども考慮 12 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2015.1 ３Ｄプリンター㊧と３Ｄスキャナーは合理的な原型製作を可能にした。例えばフィギュアの原型は、左右の片側のみを製作しスキャンして反対側も作る。縮尺も自在だ。企画・製作商品第１弾発売へそしてこの技術をフルに用いて同社の企画・製作商層が目立った。「フィギュアというコアな購買層にも変品「漫画置物」第１弾としてホラー・ファンタジー漫画化が来ているのかもしれない」（同）と話す。さらに市「悪魔（デイモス）の花嫁」のキャラクターを製作中だ。場は海外と分析する。商品をオンラインストアに買いに「STUDIO- 蓮の広告塔の役割を担っている」（同）と来ている購買客は、北米や欧州からの比率が高まって力を込める。来年発売に向けて、最後の仕上げに入っいるという。「特にイタリアやフランスでは、日本人なている。らではの色彩や自然なポージングなど繊細な表現が受今年秋に発売したルパン三世の劇場版アニメ「次元けている」（同）という。大介の墓標」の次元大介のフィギュアは、女性の購買人形展示会用に製作した球体間接人形漫画「悪魔（デイモス）の花嫁」のデイモスルパン三世の劇場版アニメ「次元大介の墓標」の次元大介漫画「クローズ」の河内鉄生海外市場に向けた販売展開加藤社長は「経営革新計画承認は、技術が評価されを目指す。アニメーションや映画、ＤＶＤ、ゲームソフた“お墨付き”を頂いたようなもの」と笑顔。フィギュトなどのキャラクターとのコラボレーションも行う計画ア業界はコアな市場だが、ひとつの商品がヒットするだ。「そのためにも更にクオリティーを高めて“ほしい、と、企業の売り上げは数億―10 数億円になることもあ買いたい！”といわれるような魅力ある製品を作っている。今後、メーカーとして、海外市場向けに販売拡大きたい」と力を込める。企業概要作品はひとつずつ欠点を克服しながらクオリティを高めていく―と加藤社長お問い合わせ企業名代表者所在地 T E L ＦＡＸ E メールＵＲＬ社員数事業内容株式会社　STUDIO- 蓮代表取締役　加藤　哲朗福岡県大野城市大城５の６の７０９２- ５０３- ６４０２０９２- ５０３- ６４０２ [email protected] http://homepage3.nifty.com/studio-ren/ ４人フィギュア原型、立体造形物の企画、製作、販売経営革新センター　TEL：092-622-5432 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2015.1 13