PDFファイル

平成28年度事業計画
「基本的考え方」
我が国経済は、中国など新興国の経済減速の中、設備投資や個人消費に弱さが見られるも
のの緩やかな回復基調にあります。一方、有効求人倍率は、本年1月の実績で1.28倍と
バブル期以来の高水準であり、職業別では、自動車運転者有効求人倍率は2.26倍と2倍
を超える状況となり、足許の労働力不足感は高水準で推移している。また、世界的にも地球
温暖化対策の必要性が認識されCOP21において全ての国が参加する「パリ協定」が採択
された。
このような状況を受けて当連盟の「鉄道コンテナお試しキャンペーン」は、一昨年以降、
大幅に利用件数が増加しており、鉄道貨物輸送への関心の高まりを示しているものと考えら
れる。
また、交通政策審議会の答申においても今後の物流政策の基本的な方向性として物流生産
性革命の実現がうたわれる等、更なるモーダルシフトの推進が最も重要な施策のひとつとし
て位置付けられた。
このような中、我々通運業界としては、この追い風をモーダルシフトの一層の推進、更に
その定着に向けて取組みを強化していく必要があるが、その基本はあくまでもお客様に選ば
れる高品質な輸送サービスの提供することである。
そのために鉄道コンテナ輸送の持つ定時大量性等の強みを更に発揮すると同時に、輸送障
害や輸送中の荷物事故等の弱みを全力で克服し、お客様の信頼に答えることが必要不可欠で
ある。
以上の認識のもと、当連盟の平成28年度の事業計画においては、JR貨物と緊密に連携
し、長距離輸送を中心にトラックの運転者不足問題が顕在化するという物流環境の変化をモ
ーダルシフトの促進、更にはこれを定着させていく大きなチャンスとして捉え、以下の取組
を重点的に推進する。
「平成28年度事業計画の内容」
1.環境対策事業の推進
(1)新規の需要開拓に向けた鉄道コンテナお試し輸送キャンペーンの推進
(2)物流効率化に資する大型高規格コンテナ普及等につき、国庫補助制度の補完的措
置としてのグリーン物流推進支援事業の推進
(3)地球温暖化防止自主行動計画等への対応
2.政策推進事業の構築・展開
(1)トラック代行等の輸送障害時の代替輸送に係る課題解決をはじめ、鉄道コンテナ
輸送サービスの高度化に向けた総合的な取組み
(2)グリーン物流パートナーシップ会議等、国土交通省等の関係行政機関の施策に対
する積極的参加・協力
(3)総合物流施策大綱、交通政策基本法に基づく交通政策基本計画や交通政策審議会
の答申等を踏まえ、モーダルシフト促進に向けた実効性のある行財政措置への積極
的な提言等と併せて、自動車関係諸税をはじめ税制に関する政府与党への要望・要
請
(4)鉄道へのモーダルシフト推進に向けた全国大会の開催及び会員の意識高揚・連携
強化
(5)青函トンネルでの貨物列車と北海道新幹線との共用走行についての情報収集等の
実施
(6)鉄道貨物利用運送等の効率性の向上のための調査等の推進
3.安全対策事業
(1)JR貨物と連携協力した安全安定輸送の確保、危機管理体制等の確立、輸送品質
の向上、貨物事故防止対策等の推進
(2)地方連盟と連携した研修会等を活用した安全対策及び法令遵守の徹底
(3)荷物事故防止に向けた養生資材の普及促進
4.人材育成・人材確保事業の強化と啓発
(1)モーダルシフトの担い手となる人材育成を目的とする教育実習の実施
(2)鉄道貨物利用運送事業の理解の普及を目的とする大学への寄付講座の実施
5.広報情報事業の展開
(1)鉄道コンテナ輸送の認知度向上及び利用促進に向けた各種展示会への出展と同等
に、幅広い荷主及び国民各層を対象とした新たな広報・宣伝活動の展開
(2)ホームページの充実による情報発信の強化
(3)地方連盟が行う鉄道コンテナ利用キャンペーン等の推進
6.通運事業近代化基金運営事業の推進
(1)鉄道貨物利用運送事業の近代化・合理化のための事業用施設、荷役機械等の購入
及び運転資金に対する融資推薦及び利子補給の実施
(2)ポスト新長期規制適合車の購入資金等に対する融資推薦及び利子補給の実施
(3)景気対応緊急保証に係る信用保証協会保証料助成の実施
なお、平成28年度事業計画の実施にあたり、資金の借り入れ及び設備投資の予定はな
い。