自然エネルギーの導入加速化による 地球温暖化対策のさらなる推進 ~ 「パリ協定」の着実な実現に向けた緊急提言 ~ 平成28年1月8日 自然エネルギー協議会 自然エネルギーの導入加速化による地球温暖化対策のさらなる推進 ~ 「パリ協定」の着実な実現に向けた緊急提言 ~ 平成27年12月12日、フランス・パリで開催された第 21 回国連気候変動枠組条約 締約国会議(COP21)において、京都議定書以来18年ぶりとなる、温室効果ガス削 減に関する新たな国際枠組み「パリ協定」が歴史的合意に至り、世界は今、自然エネ ルギーのさらなる導入拡大に向けて新たなステージへと踏み出した。 我が国が掲げる、温室効果ガスを2030年までに2013年比でマイナス26%とする 目標に対し、国においては、今春に「地球温暖化対策計画」を策定するほか、気候変 動対策と経済成長を両立させるべく、「エネルギー・環境イノベーション戦略」をとりまと め、水素や蓄電池などの革新的技術の開発を加速する方針を示したところであり、今 後はこれら目標実現に向け、地球温暖化対策の切り札となる自然エネルギーや水素 の導入加速化がますます重要となってくる。 また、平成27年9月にスタートした「再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小 委員会」において、今後の制度改革の方向性について議論が進められ、12月には、 平成28年度に向けた固定価格買取制度の見直し方針が報告書(案)としてとりまとめ られたところである。 報告書(案)では、これまで当協議会が求めてきた、設備認定後に長期間施工を開 始しない未稼働案件、いわゆる「空押さえ」への厳格な対応や、FIT電気の買取義務 者を送配電事業者に変更する際の地域新電力への配慮などが盛り込まれた。一方、 事業用太陽光発電については、諸外国で課題が生じている「入札方式」の導入方針 が示されるなど、地域の自然エネルギー事業者の混乱が懸念されることから、慎重な 検討が必要である。 我が国は今、自然エネルギー施策の方向性を左右する重要な局面を迎えており、 自然エネルギー協議会として、自然エネルギーの最大限導入と、国が進める制度の 適正な見直しをしっかりと後押しするべく、次のとおり提言するものである。 1 国において、現在策定を進めている「地球温暖化対策計画」については、住民や 事業者、自治体などの自然エネルギー導入推進の取組みを後押しし、国際社会で の責任を果たすべく、自然エネルギーの導入拡大に資する意欲的な計画となるよう 要望する。 2 気候変動対策と経済成長を実現するため、今春までにとりまとめる「エネルギー・ 環境イノベーション戦略」の策定にあたっては、自然エネルギー電力の新たな貯蔵・ 輸送手段として期待される水素の利活用技術の開発支援や、系統問題の解決と自 立分散型エネルギーシステムの普及に繋がる蓄電池の技術開発支援などにより、 自然エネルギーの最大限導入に資する革新的技術の開発が加速されるよう要望す る。 3 固定価格買取制度における事業用太陽光発電への「入札方式の導入」は、諸外 国で課題となっている大手の事業者による寡占や、エネルギーの地産地消を進め る地域の小規模な自然エネルギー発電事業が排除されるといった問題が懸念され ることから、導入に際しては、まずは入札方式の対象を大規模案件に限定し、効果 や影響を検証するとともに、地域の実情を踏まえた、自然エネルギーの健全な普及 拡大が進められる制度設計とするよう要望する。 4 系統接続問題の解決に向け、いまだ発電事業を開始しない未稼働案件への厳格 な対応を行うことで、新たな参入を促進するとともに、一方で系統増強工事や費用 負担協議が進まないといった、事業者の責めによらずに稼働に至らない案件や、地 方創生を推進する地産地消型の発電事業については、実態を踏まえた適切な対応 が早急に行われるよう要望する。 平成28年1月8日 自然エネルギー協議会 会長 徳島県知事 飯泉 嘉門
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