所有山林を伐採すると収入が見込めるか

所有山林を伐採すると収入が見込めるか
-研究紹介-
-伐採収入及び生産コスト予測システムの開発-
研究員 黒瀬 勝雄
katsuo_kurose @pref.okayama.lg.jp
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はじめに
平成14年度からスギ・ヒノキ人工林で伐採を
行った場合、収入が得られるかどうかについて
調査・研究してきました。伐採時に赤字になる
か黒字になるかをあらかじめ予測するためには
大きく分けて、伐採収入の予測(木がどのくら
いで売れるか)と生産コストの予測(どのくら
いの経費が必要か)の2つが必要です。現在ま
でにわかったことを基に予測システムを開発し
たので、その概略を紹介します。
帯状伐採及び皆伐を行った場合のコストを予測
します。
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システムの予測事例
下の図はシステムを使って予測した事例で
す。ヒノキ45年生の林分1haを5m幅伐採、5m
幅残存の50%伐採、その他の条件は、現場ま
での距離は15km、機械片道運搬、平均傾斜は
20度、既存作業道が100m/ha、新規作業道開
設100m/ha、材は8tトラックで市場まで25km
を運搬、森林組合実施等です。収益は約45万
円になりました。
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伐採収入の予測
伐採収入を予測する場合、材価によって大き
く変わることが考えられます。また、どのくら
いの材積が生産できるかも大きな要因です。
このシステムでは、材価は市場の状況を見なが
ら入力し、材積は収穫予想表を基に計算します。
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システムの改良
現在のシステムでは、高性能機械の作業能
率や生産材積等は限られた調査データに基づ
いて作成されています。今後、さらに現場の
データを集めることで予測精度を高めるとと
もに使いやすいものとなるよう改良していく
ことが必要だと考えています。
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生産コストの予測
木材を生産する場合のコストは、地形、林況、
作業内容、作業方法等によって大きく異なりま
す。このシステムでは高性能林業機械を使用し、
基 本 デー タ入 力
土地条件
所在場所
岡 山 県 勝 田 郡 勝 央 町 植 月 中 1001
空 白 の 場 合 、機 械 回 送 費 を計 上 しませ ん 。
15 km
樹 種 ご と に 林 況 欄 に 入 力 し て くだ さ い 。
1.00 ha
空 白 の 場 合 、 15度 未 満 で 計 算 し ま す 。
20 度
既 存 、 新 規 と も に 0 の 場 合 、計 算 で き ま せ ん 。
100 m
空 白 の 場 合 、 バックホウを 計 上 し ま せ ん 。
100 m
作業員状況
事務所~現場の距離
面積
平均傾斜
既存作業道等
新規開設作業道
土質
トラック土 場 ま で の 平 均 距 離
林況
100 m
機械稼働状況
空 白 は 普 通 、 1:土 質 が 硬 い 、2:土 質 が 軟 ら か い
空 白 の 場 合 、 フォワー ダを 計 上 し ま せ ん 。
ハ ゙ックホウ
チェー ンソー
ス イングヤ ーダ
プロセッサ
フォワーダ
胸 高 直 径 、樹 高 、 立 木 密 度 は 現 地 の 平 均 的 な 値 が わ か る 場 合 に 記 入 す る 。
標 準 地 デ ー タ が あ る 場 合 は 、標 準 地 シ ー ト に 記 入
ヒノキ 面 積
1.0000 ha
45 年 生
m
cm
本 / ha
林齢
樹高
胸高直径
立木密度
標 準 地 デー タ
スギ
ヒノキ
ha
年生
m
cm
本 / ha
}
人
時間
円/日
作業人員
日労働時間
基本賃金
償却 日稼働時間 年稼働日数
*事 業 体 の 標 準 的 な 使 用 状 況
を 記 入 し て くだ さ い 。
*空 欄 の 場 合 、高 性 能 林 業 機 械 は 県 平 均 値
(バックホウは 150、チェーンソーは 200日 に 設 定 )
(日 稼 働 時 間 が 空 欄 の 場 合 、6で 計 算 )
*償 却 欄 が 空 白 の 場 合 、機 械 の 償 却 は 満 額
1:償 却 半 額 、 2:償 却 な し
}
機械回送
* 空 白 の 場 合 、片 道 運 賃 で 計 算 します 。
往 復 の 場 合 は 1を 入 力 し て くだ さ い 。
市場までの距離 現場~市場
スギ
木 材 運 搬 トラック
*空 欄 の 場 合 、作 業 人 員 は 3、
*労 働 時 間 は 6,賃 金 は 12,500で 計 算 し ま す 。
4.6.8.10.12t
25 km
8 t車
* 空 白 の 場 合 、 トラック輸 送 費 を 計 上 し ま せ ん 。
* 空 白 の 場 合 、 4t車 で 計 算 し ま す 。
標 準 地 データ(直 径 階 級 ご と の 林 木 データ)が あ る 場 合 は 1と し 、
標 準 地 シ ー トに 記 入 。 使 用 し な い 場 合 は 空 白
標準地面積
ヒノキ
スギ
木材価格
作業方法
伐採幅
残存幅
5 m
5 m
作業内容
伐採率
50 %
列 状伐 採 と皆 伐の み 対応
皆 伐 の 場 合 は 残 存 幅 を 0と 入 力 し て くだ さ い 。
出荷者登録
円 / m 3 * 空 白 の 場 合 、 22,000で 計 算 し ま す 。
円 / m 3 * 空 白 の 場 合 、 10,000で 計 算 し ま す 。
ヒノキ
スギ
森 林 組 合 1
登 録 業 者 2
1
* 県森連に出荷する場合
* 空 白 の 場 合 、一 般 出 荷 者 として計 算 しま す 。
基 本 デー タ出 力
ヒノキ
生産材積
生産経費
労働生産性
75.40 m 3
883,688 円
生産材積
地位級
密度階級
75.40 m 3
3
3
3.55 m 3/人 ・日
輸送経費
現場~市場
159,000 円
必須入力
市場経費等
手 数 料 .は い 積 料
163,618 円
任意入力
販売収益
売 上 .消 費 税 等
1,658,800 円
スギ
生産コスト
11,720 円 / m 3
作業日数
8 日
図
生産材積
地位級
密度階級
m3
収益
452,494
円
伐採収入及び生産コスト予測システムの予測事例
岡山県林業試験場提供 TEL (0868)-38-3151 [email protected]
出 力