19-2動物実験(6) 04.5.11 4:52 PM ページ 67 IVR学会学術夏季セミナーより ∼From the IVR Summer Seminar∼ 動物実験の基礎 2 A guide for experiment using Swine −2 テルモ株式会社 テルモメディカルプラネクス 高 橋 誠 Terumo cop. Terumo Medical Pranex Makoto Takahashi Introduction The IVR Summer Seminar‘03 was held in the objective of learning animal experiment operation and IVR techniques. In the four series, we will present the method of animal preparation, keep Swine, experiment technique, for doctors who begin animal experiment. In the second series of them, we will introduce the angiograms of Swine. Key words/ IVR, Animal, Angiogram はじめに IVR 学会学術夏季セミナーは, IVRの動物実験手技の 弓部からの分枝の様式は動物種により異なっている。 習得と IVR 技術を学ぶと題して 2003 年に開催した。そ ブタは大動脈弓部より頸部へは2本しか分枝はなく, 1 の後, 動物実験の基本的な事項についてまとめるという 本は腕頭動脈に分かれ, 他は左鎖骨下動脈に分かれる 大役を仰せつかり, これから動物実験を行う先生方を対 (F i g . 3)。次に示す F i g . 4 から解るように腕頭動脈は総 象として, 前号では動物実験の準備, 動物解剖(主にブ 頸動脈と右鎖骨下動脈に分かれ, 更に両頸動脈は左, 右 タ)をまとめた。今回は2回目としてブタの血管造影像 総頸動脈に分かれる。また, 心臓については4足動物で を紹介する。 あるブタは仰向けに固定した場合, 照射角度が同じでも 心臓が組織に固定されていなく, 移動しやすいため造影 ブタの血管系 実験で良く用いる血管系は, ①胸・頸部血管系, ②腹 した場合, その見え方が都度若干異なる場合もある。 動脈血管系のアプローチルートは, 頸動脈を用いる。 部血管系, ③腎・腰部血管系がある。これらを血管走行 幾分深い部分にあるが, 外科的血管露出, カットダウン 図と実際の造影像とを対比しながら提示していく。 法により確保すれば比較的使い易い血管である。経験 から, イントロデューサーのサイズは, 体重40 o で個 胸・頸部血管走行 ブタの頸部の血管概略図を示す(Fig.1)。参考に動物 体差はあるが, 8∼9 Frが挿入可能である。 次に腕の動脈の造影像を示す(Fig.5) 。 種による大動脈弓血管概略図の比較を提示した(Fig.2) 。 Fig.1 ブタ頸部の血管走行概略図 1) Fig.2 動物種による大動脈弓の比較 2) (175)67 19-2動物実験(6) 04.5.11 4:52 PM ページ 68 動物実験の基礎 2 Fig.3 ブタの弓部動脈のDSA像 カ テ ー テ ル : 5 Fr ピ ッ グ テ ー ル , 体 重 : 42 o (血管径 腕頭動脈:10 a 右鎖骨下動脈:9 a) Fig.4 ブタの腕頭動脈の造影像 カテ−テル : 7 Fr JR4ガイディングカテーテル 体重47 o (血管径 ①腕頭動脈:10a, ②右鎖骨下動脈:8a, ③両 頸動脈:7a, ④右総頸動脈:4.5a, ⑤左頸動脈:4.5a) 腋窩動脈は末梢に向かって一度, 胸方向から胸壁に沿 って背中方向に上がり, 分枝を出して上腕動脈となる。 腋窩動脈は太いが胸筋の下にあるため, 確保するには大 きく切開する必要がある。また, 上腕動脈も筋肉に埋没 して存在するが, 肘関節付近で表面付近にある。しか し, 細く, スパズムを起こし易い血管であり, かつ走行 も屈曲している。そのため, 腕血管からのアプローチは 侵襲も大きくなり易く, 術後の観察するような研究では 自立歩行が困難になるため, 使用しにくい。 静脈使用について ブタのような大動物では頸静脈が太く, 比較的表面に ある静脈採血手段に多く用いられている(Fig.1参考) 。 我々は実験の際に頸静脈をよく用いており, 右心系お よび大静脈へのアプローチとして大腿静脈と同様に用 Fig.5 ブタの右腕の造影像 カテーテル : 7 Fr. JR4ガイディングカテーテル 体重47 o (血管径 ①腋窩動脈:6a ②上腕動脈:4a ∼3 a) いている。 大腿静脈は大腿動脈に平走して, 太さも9 Fr以上のカ テも挿入可能である。 頸部付近は鎖骨下と外頸静脈があり, 外頸静脈はスワ ンガンツカテーテル等のアプローチルートとして使い 易く, 体重40 o のブタなら9 Frのイントロデューサー が容易に挿入可能である。ただし, 静脈弁があるためそ の部分の抵抗を予測して実施している。また, 鎖骨下静 脈も比較的浅い位置にあるが, 胸の筋肉が覆うように平 走しているため分かりずらいが, 静脈アプローチとして の利用は可能である(Fig.6)。 腹部血管走行 以下に動物種別に腹腔動脈の比較図を示す。 Fig.7 に示されるように動物種により腹腔動脈はかな 68(176) Fig.6 ブタ鎖骨下静脈から右心系への造影像 体重44 o シース : 7 Fr (鎖骨下から右心房付近まで描出される。 ) 19-2動物実験(6) 04.5.11 4:52 PM ページ 69 動物実験の基礎 2 り異なる。Fig.8 にブタの腹腔動脈の血管造影像を示し た。腹腔動脈は脾動脈と肝動脈の2枝に分かれる。脾動 脈は左胃動脈と胃憩室動脈を分け, 脾動脈は脾臓に枝を 分けた後, 脾臓の途中から左胃大網動脈となる。 ブタでは総肝動脈は胃十二指腸動脈を出し, 肝動脈か ら右胃動脈を出す, 別名前胃動脈という。 Fig.8, 9 に示したように, 腹部の血管走行は個体差に よりバリエーションに富んでおり脾臓の大きさおよび 胃の大きさで異なる位置に描出される。 Fig.10は肝動脈の造影像で, 胃十二指腸動脈を分枝し た後, 肝動脈は右肝動脈と右胃動脈(図では⑦の上に⑤ 中・⑥左肝動脈と重なっている), さらに中肝動脈と左 肝動脈に分かれる。ブタで特徴的なことは, 右胃動脈は Fig.7 動物種別の腹腔動脈の比較 2) Fig.8 ブタの腹腔動脈の血管造影像 カテーテル:5 Frコブラ, 体重:44 o (①左胃動脈, ②胃憩室動脈, ③脾動脈:3.7∼2.7a, ④左胃大網動脈: 2.8a, ⑤総肝動: 3.7a, ⑥胃十二 指腸動脈:3 a, ⑦肝動脈3.3 a, ① ②は計測不可) Fig.10 ブタの肝動脈の造影像 カテ−テル:5 Frコブラ, 体重:44 o (①総肝動脈:4.2a, ②胃十二指腸動脈:2.5a, ③肝 動脈: 2 . 3a , ④右肝動脈: 2 . 1a , ⑤中肝動脈: 2.1a, ⑥左肝動脈:2a, ⑦右胃動脈:2a) Fig.9 Fig.8とは別のブタ腹腔動脈の血管造影像 カテ−テル:4 Frシェファードフック, 体重: 42 o。Fig.8 と異なり脾臓は上方に位地し, ③脾 動脈は縦方向に④左胃大網動脈は端の横に認め られる。 (177)69 19-2動物実験(6) 04.5.11 4:52 PM ページ 70 動物実験の基礎 2 肝動脈から分枝する。 起枝部ですぐに回結腸動脈に分かれ, その後中結腸動脈 前腸間膜動脈の動物種による比較を示す。 に分かれる。図では回結腸動脈と本幹が重なり描出さ ブタの前腸間膜のDSA像を示す。 れる。円錐結腸も個体により向きが異なる場合もある。 Fig.11 に示すように腸も動物種によりかなり異なり, ブタは円錐結腸といわれる特徴がある。 ブタの DSA 像の一例を Fig.12 に示す。前腸間膜動脈 腎・腰部血管系 Fig.13 にブタの大動脈および腎動脈の DSA像を示す。 ブタの腎臓はソラマメ形状で, 左腎が前位にあるが両腎 とも移動しやすい。 F i g . 1 4 に示すようにある程度分かれてから腎臓内へ 入る。 Fig.15 で判るようにブタでは腹部大動脈から左右2対 の外腸骨動脈を出し, さらに下に走行して内腸骨動脈と して分かれ, 骨盤及び生殖器に分枝を出す。図では右大 Fig.11 動物種別の前腸間膜動脈の比較 3) Fig.12 ブタの前腸間脈動脈の血管DSA像 カテーテル:5 Frコブラ, 体重42 o (①前腸管膜動脈本幹 5.7a, ②回結腸動脈5 a, ③右 結腸動脈5a) 70(178) Fig.13 ブタの腎動脈のDSA像 カテーテル:4 Fr コブラ, 体重:42 o (右腎動脈:5 a, 左腎動脈:4.8a) Fig.14 ブタの右腎動脈像 カテーテル:5 Fr コブラ, 体重:44 o (右腎動脈4.7a, 分枝は3∼2 a) 19-2動物実験(6) 04.5.11 4:52 PM ページ 71 動物実験の基礎 2 腿動脈に8 Frのシースが挿入されているため, 右大腿動 脈は描出されていない。 我々は大腿動脈を動脈系へのアプローチとして使用 しており, カットダウン法であれば体重40 o で9 Fr程 度なら挿入可能である。また, 大腿動脈の分枝は体表か ら触診にて判る部分にある。しかし, 5∼6 Frが挿入で きる一方でスパズムを起こし易い。 以上, ブタの血管造影と血管走行について紹介した。 次回は, 非血管系および動物実験手技についてを予定す る。 Fig.15 ブタの腰部血管造影像 シース:8 Frコブラ5 Fr (①外腸骨動脈 5a, ②大腿動脈3.6a, ③内腸骨動脈 4.8a, ④カテーテル) 【文献】 1)Chiasson RB, Odlaug TO, Radke WJ : Laboratory Anatomy of the Fetal Pig. McGraw-Hill Companies. USA, 1997, p59. 2)家畜比較解剖学, 2動脈, 家畜比較解剖学, 見上晋一 学窓社, 東京, 2002, 274∼301. 3)「豚病学−生理・疾病・飼養−」柏崎 守編, 近代出 版, 第4版, 東京, 1999. 4)Swindle MM : Surgery, Anesthesia, & Experimental Techniques in Swine, Iowa State Press, 1988. (179)71
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