「日中韓、北東アジア・オープンスカイ航空市場」 に向けての一考察

日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
《論 文》
「日中韓、北東アジア・オープンスカイ航空市場」
に向けての一考察
~グローバル・アライアンスをアクターとする視点~
や ま
じ
あきら
山路 顕
立命館大学 共通教育推進機構 教授
Current open sky trend initiated by US Open Sky strategy has spread all over the world to“EU Single Aviation Area”which
model will be introduced into ASEAN within 2015, to“Australia-New Zealand Integrated Aviation Market”
, and to 116 bilateral
open skies models with US. Regardless this trend, single exception is Japan-China-Korea, Northeast Asian area, while these 3
countries have intimate ties of fluid of people and trade. Although Japanese governmental initiatives for open sky under“Asia
Open Sky Initiative”, has almost fulfilled its bilateral objectives, it has not aimed at multilateral area-pen sky. Acknowledging
unpredictable political initiatives in this region, this study focuses on activating initiatives by Global Alliance introducing more
liberalized operations in this region, to area- open sky structured among 3 countries to be realized in foreseeable future.
キーワード:オープンスカイ、EU 単一航空市場、グローバル・アライアンス、
「アジア・オープンスカイ構想」
Keywords:Open Sky, EU Single Aviation Area, Global Alliance,“Asia Open Sky Initiative”
1.はじめに/研究の背景
賃や路線参入、輸送力(便数)や輸送方
一航空市場が形成され(1997年)、豪州、
訪日、海外渡航共に99.1%が航空利用
法(運輸権の形態)などの経済面や制度・
ニュージーランド間の統合航空市場
である(法務省出入国管理統計2014)。
権益面に於いても二国間協定の下で厳格
(2003年)
、アセアンでは2015年末までに
2014年度の訪日外客の約40%が韓国、中
に縛られている。
EU 型の単一航空市場を導入する予定に
国であり(観光白書2015年)、日本人の渡
近年、この規制を撤廃するオープンス
なっている。一方、日中韓の北東アジア
航先の約30%が韓国、中国(日本政府観
カイの動きが活発化した。米国が進めた
では二国間でのオープンスカイ協定は進
光局2015年)で、台湾を加えると夫々、
二国間でのオープンスカイ(1995年)を
んだが、地域としてのオープンスカイ市
約60%、約40%となる。経済効果では、
契機に、EU では域内の完全自由化、単
場については取り組みがない。オープン
訪日外客による2014年度の消費額2兆
287億円(観光白書2015年)の約38%(台
図-1.世界のオープンスカイの潮流
湾を加えると約55%)が韓国及び中国か
らの訪日客による。観光立国を成長戦略
に位置付ける日本にとって、韓国、中国
との人的交流の重要性は論を俟たない
が、これを支えるのが航空であることは
看過出来ない。
人の移動に利便性の高いネットワーク
は不可欠であるが、国際民間航空は国の
厳しい管理と監視の下に置かれた規制の
最も厳しい産業の一つである。大戦時に
攻撃力の高い危険な武器として認識され
た航空に国家の管理と監視という枠組み
の下で、戦後世界の発展に不可欠な輸送
手段として大きな可能性を期したためで
ある。安全面についての規制は当然、運
(筆者作成)
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日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
スカイ市場の効果については、米国やEU
の長い国益の共有議論を重ね、その中に
のケースで検証されている(1)。世界的に
組み込まれる。オープンスカイの潮流考
航空自由化の動向を我が国の航空の自
オープンスカイ市場の形成が潮流となっ
察を踏まえて北東アジアにおける「共通
由化に向けて考察する研究では、アジア
て伝播しているにも拘わらず、日中韓、
航空市場」研究の一端を示すことも狙い
航空市場統合の必要性を指摘しつつ、欧
北東アジアはホワイトスポットとして空
である。
州やオセアニアのケースの様に前提とな
白である(図-1参照)。この地域には他
我が国においても後述(4-3)する成長
る FTA の先行が指摘される(三輪・花
の地域に見られるオープンスカイ市場の
戦略の展開として「アジア・オープンス
岡 2004(6))
。中でも、羽生(2006(7))
「シ
必要性が無いのか、或いは阻害する事由
カイ構想」が実効に移され、二国間ベー
カゴ体制研究会 報告書」は、国際民間
があるのだろうか。
スのオープンスカイ協定が進められた。
航空の枠組みである「シカゴ・バミュー
領土問題、歴史認識の隔たり、安全保
アジアの成長や世界の経済活動を呼び込
ダ体制」(8)の詳細な考察の上に EU の自
障問題など政治の重要課題が山積する北
む拠点として日本を位置づけ、これをレ
由化政策等を検証し、
「日中韓による 東
東アジアでは他の地域の様な国主導の
バレッジに日本の更なる成長を目指すも
アジア航空共通市場」を提言する(9)体系
オープンスカイ市場の形成は当面、予測
のである。本研究では、オープンスカイ
だった研究として、日本のオープンスカ
が立たない。オープンスカイは企業にと
による航空をはじめとする産業の競争力
イ政策にも影響を与える嚆矢である。北
っても、市場創出によるネットワーク展
強化という Supply side のみならず、国
東 ア ジ ア 航 空 市 場 の 統 合 に 関 し て、
開という新たな戦略を可能にし、何より
民の移動ニーズや利便性のDemand Side
Anming Zhang(2006(10))は日中韓3か
も国民の移動する自由の保障であり国民
にも研究の視点を置いている。エアーラ
国の航空自由化による観光産業、国民経
の利益の実現である。様々な政治課題が
インのネットワーク戦略は既定の枠組み
済、消費者利益の点を掲げ、10~15年の
これを妨げているとすれば政治の責任と
の中で需要予測を立て、機材効率や競合
三段階統合プロセスを示している。3か
して認識されなければならない一方、遅
性を検証しながら策定するが、エアーラ
国間であることのメリットを指摘し、相
きに失する事態に待つばかりが方途とは
イン自身が枠組みそのものの変革に関わ
互間の第5の自由(以遠権)の付与、域
言えない。本稿では、北東アジアでは国
りながらネットワーク展開に繋げてゆく
内での外資(cross-investment)規制の
家主導とは別のアクター、即ちグローバ
経営戦略についての問題提起という側面
緩和を進め航空会社に課された実質的所
ル・アライアンスによりオープンスカイ
にも注目した。
有(substantial ownership)の枠を緩和
市場を促進するのが当面の方策ではない
かとの仮説を立て検証する。
(2000(5))の研究が注目される。
する提案は、四囲の情勢分析を踏まえた
3.先行研究のレビュー
具体的な提言という点で注目される。国
3-1 オープンスカイ航空市場について
際を運航する航空会社に二国間航空協定
2.研究の意義、目的と学問的視点
航空の規制緩和、オープンスカイに関
の下で課されている実質的所有と実効的
北東アジア・オープンスカイ航空市場
する研究は数多くなされてきた。戸崎
支配(effective control)について、高橋
という課題には、国際政治学や外交論、 (1995
)は米国の規制緩和を端緒とする
(2007(11))は「伝統的な二国間主義から脱
経営学や計量経済学の視点など広範囲の
規制緩和の世界的な動向について基本的
却 し、地 域 に 依 拠 し た 複 数 国 主 義
学問分野が関わるが、本稿では、航空産
な研究を纏めている。川端(2013
)は
(plurilateralismママ)あるいは多数国主
業論の視点や国際航空公法の視点からの
規制廃止後の米国航空産業の動向を、需
義によって、我が国航空企業と日本経済
理論研究を示す。
給をベー ス に ネ ッ ト ワ ー ク キ ャ リ ア、
全体の長期的な利益を極大化する方策を
EU の単一航空市場は1997年までの10
リージョナルキャリア、LCC(Low Cost
検討すべき段階に来ている」
と指摘する。
年をかけ到達したが、その淵源はローマ
Carrier)の展開状況を相関分析してい
至言である。
条約(1957年)に遡る。米国の「オープ
る。EUにおける航空自由化については、
ンスカイ」は、1944年の国際民間航空条
ツーリズムとの相関、新たなビジネスモ
約(シカゴ条約)起草での悲願を契機に
デルとしてのLCCの現況、完全自由化に
展開され、70年をかけ116カ国との間で二
到達した EU 単一航空市場の対外的交渉
グローバル・アライアンス(以下アラ
国 間 オ ー プ ン ス カ イ 協 定 を 締 結(US
形態(ホリゾンタル・アグリーメント)
イアンスと云う)が、現下の3大アライ
DOT 2015.5.12)するに至っている。オー
等を考察する佐竹(2011 )の研究など
アンス(12)に集約されたのは1990年代の後
プンスカイ市場の形成は航空のみの分野
がある。アジアにおける航空自由化につ
半である。国際民間航空が「シカゴ・バ
では終わらない。国際航空の戦略的な展
いては、計量経済学の視点から航空自由
ミューダ体制」という国籍や合併が厳格
開は大系的な国家戦略の下で、時々の外
化が交通量や運賃、運航の効率化とどの
に規制される枠組みの下では、グローバ
交情勢を視野に入れ、国家間の幅広く息
様に関連するのかを考察した村上
ル化による人や物、情報などの移動需要
(2)
(3)
(4)
-146-
3-2 グローバル・アライアンスについ
て
日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
に、
航空会社単体では到底対応出来ない。
3大アライアンスの中で最も大きい規
示す二国間(バイ)の自由化の枠組みを
この制約下で活路を見出そうとしたの
模を有するStar Allianceの発起人の一人
「オープンスカイ」とし、EU 単一航空市
が、米国が進めたオープンスカイを梃に
である米国ユナイテッド航空の航空企業
場が示す複数国間(マルチ)の自由化の枠
合併の形を取らない航空会社間のマルチ
間提携担当部長のブルース・ハリスは
「ア
組みを「オープンスカイ航空市場」とし
提携というアライアンスである。米クリ
ライアンスの現状とこれから」
(1998
て、
「」の付けない通常用語のオープンス
ントン政権下で策定された「モデルオー
の中で、1996年にドイツのルフトハンザ
カイとそれぞれ区別して標記する。
プンスカイ協定」(後述4-1)が各国の二
航空とそれまでの二社間提携から複数提
「オープンスカイ」
が包含する自由化の
国間航空協定に組み込まれ世界に伝播し
携に向けて参加を呼びかけ、1997年に
主な内容は以下の6点に要約することが
た(13)ことが航空会社のマルチ提携を地球
Star Alliance を結成し、1999年に年間1
出来る。即ち、
①無制限の運輸権(21)
(第7
規模で加速させた。2014年時点で3大ア
億ドル程度のコスト削減の見通しを示
はオプションでカボタージュである第
ライアンスに加盟する63社が、市場の約
し、将来的には航空機の共同購入も視野
8、第9は含まない)
、②参入企業の無制
62%を超えるシェアーを占める
に入れたグローバル展開について言及す
限、③輸送力、便数の自由、④運賃の自
アライアンスが市場に登場、席巻し始
る。更に、合併や資本提携ではないアラ
由化(Double Disapproval(22))
、⑤チャー
めて未だ四半世紀に満たないこともあ
イアンスの個社の個性の強みによるシナ
ター便の自由、⑥コードシェアーの自由
り、アライアンスに関する研究は多くな
ジー効果も重要な戦略であるとする。
「企
である。日本は上記につき、第7の運輸
い。Tae H Oum, J H Park & Anming
業論からみた国際航空のアライアンス」
権を除き、運賃については航空法の規定
。
(14)
Zhang(2000 )では、アライアンスの
(15)
)
(18)
(塩見 2002 )では、将来のアライアン
(19)
(第105条、外国企業は第129条の2)に基
成立理由を分析し、その市場競争力、経
スの方向性に影響を与えるものとして、
づく認可申請を担保した上で、米国と
済効果を測定するモデル理論化について
オープンスカイの進展と反トラスト法の
2010年10月に「オープンスカイ」協定に
提示している。塩見(2011
)では、グ
弾力性を重要な要因として掲げている。
合意した。日本の航空協定の運賃条項で
ローバル・アライアンスの市場や産業に
以上、アライアンスの成立基盤として
は Double Approval の 規 定 を 設 け て お
与える影響を考察し、
「コードシェアリン
のオープンスカイと独禁法の視点を通し
り、航空法や独禁法との整合性が必要で
グを中心に取り結ばれたグローバル・ア
て、アライアンスがどの様に市場との関
あった為であろう。
ライアンスは、航空会社と利用者の双方
わりを持つのか、今後の研究課題が示さ
に、利得と便益をもたらすと考えられ
れている。オープンスカイがアライアン
4-2 EU 単一航空市場
る。
」とし、単独には利益の出ない運航も
スという新たなビジネスモデルを生み、
3段階を経て1997年に域内の完全自由
連携運航により「密度の経済性」による
アライアンスが EU や米国の推進する
化を達成したEU単一航空市場は、「北東
コストの低下と「需要培養の効果」が期
オープンスカイ航空圏を超え、国家間を
アジア・オープンスカイ航空市場」の考
待される一方、消費者には選択肢の拡大、
横断する地球規模のネットワークを展開
察におけるモデル市場としてのベンチ
乗り継ぎの利便性、運賃低下による便益
している。本稿では、北東アジアのオー
マークである。EU単一航空市場がEU加
がもたらされると指摘している。一方で、
プンスカイ航空市場形成のアクターとし
盟国(2015年時点で28カ国)間のマルチ
アライアンス環境の基盤となる IT シス
てアライアンスが重要な関わりを持つこ
の「オープンスカイ航空市場」である一
テムの共有は、企業情報の流出リスクの
とを仮説として検証する。
方、
「オープンスカイ」は二国間で締結さ
(16)
れる点で異なるが、
以下に示す点は「オー
回避の点から退出の自由を妨げるスイッ
チング・コストとなる点を指摘、併せて
4.本論、考察と検証
プンスカイ」との画期的、根本的な相違
独禁法の視点からの精査の課題に言及す
4-1 オープンスカイの定義
である。
る。アライアンスに関する独禁法の視点
オープンスカイという概念は、条約やそ
即ち、
「オープンスカイ」では実質的所
についてシカゴ・デポール大学法学部ブ
の他の法令で定められているわけではな
有(substantial ownership)と実効的支
ライアン・F・ハベル(1998
い。一般には、
「シカゴ・バミューダ体制」
配(effective control)を運輸権の交換前
カゴ・バミューダ体制」下の国籍規制は
が課している様々な規制を緩和すること
提とし、指定航空会社が当該国で設立さ
「航空会社がネットワークを構築するた
として述べられるが、その規制をどこまで
れ運営されていること(国籍条項)を要
めに互いに協力せざるを得ない」アライ
緩和したものを指すのか、必ずしも定まっ
件とする(23)。一方、基本理念を「共同市
アンスが存在する理由だと指摘し、アラ
ていない。本稿では、
米国が1995年に策定
場の競争の妨害や制限、歪曲する行為は
イアンスがもたらす航空会社の利益と消
した、前文と17条の本文及び3つの付属書
共同市場と両立せず禁止する」ローマ条
費者便益の相関を独禁法の適用除外の視
からなる「モデルオープンスカイ協定
約(第6篇、第1章)に依拠する EU 単
(Model Open Skies Agreement) 」が
一航空市場では、国籍条項による差別を
)は、「シ
(17)
点で検証している。
(20)
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日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
認めない。このことから EU 単一航空市
響 を 与 え る こ と に な る。Horizontal
国をも巻き込んで展開するものである以
場では次の重要な帰結を導き出す。即ち、
Agreement の方法では既に45の国・地域
上、北東アジアにおいても夫々の国が例
①域内の航空会社は域内のどの資本や国
との間で既存航空協定の修正が進んでい
外なく EU の航空自由化の一方の当事者
民によって運営されていても、実行する
る(2010.9 EC)
。日本はEU28加盟国の
であり、対岸の出来事として一国主義に
運輸権に差別を認めず、国籍条項を要件
17か国との間で航空協定を締結している
閉じ籠ることは、オープンスカイの潮流
とする二国間航空協定は、その有効性が
が、EC 委員会が代表する方法には拠ら
の中では意味をなさなくなっていると言
域内に於いて否定され
廃止、②航空事
ず、夫々の国と次項に述べる日本型の
える。
業 の EU 共 通 免 許 を 導 入 し、「EU
オープンスカイを交渉する中で EU 側の
Community Carrier」の概念を創設、③
要請に対応している。坂本(2007(26))は、
4-3 日本が進めるオープンスカイ
域内資本の域内移動の自由を認め、④EU
日本が踏襲してきたバミューダ型航空協
世界のオープンスカイの潮流の中で、
の航空会社は域内のどの国に於いても国
定の意義を肯定しつつも、オープンスカ
日本のオープンスカイも四半世紀遅れな
内区間の運送を可能とするカボタージュ
イの潮流を見据えた早期の政策転換を指
がら取り組まれた。
第一次安倍内閣が「ア
摘する。
ジア・ゲートウエイ構想」を掲げ、規制
EU 単一航空市場の完全自由化と併せ
EU の航空自由化政策は、世界に先駆
改革会議が提言する「アジア・オープン
て重要な点は、対外航空政策(External
け域内の完全自由化に到達し、米国を始
スカイ構想」
(2007年5月7日)が実効に
Aviation Policy)である。EU加盟国同士
めとする域外諸国に対しても単一航空市
移されている。同構想では、①日本主導
の二国間航空協定は廃止されたが、域外
場への対応を迫る。戦後の民間航空の枠
のアジア版オープンスカイ政策の導入と
諸国との二国間航空協定は存続してお
組み作りで米側のオープンスカイに反対
自由化交渉の推進、②首都圏の空港容量
り、夫々の航空協定下で交換される権益
し保護主義(
「シカゴ・バミューダ体制」
)
の拡大と地方空港の自由化の加速、③外
などに不揃いが出ては EU 単一航空市場
を主張したヨーロッパが、EU 単一航空
国資源の活用を阻む措置の撤廃による航
の精神が没却される。従って、EU 加盟
市場に到達することで今度は米側に国籍
空会社の競争力確保などが骨子に盛り込
国と域外諸国との交渉に於いて合意され
条項とカボタージュの開放を迫る潮目を
まれている(27)。
同構想の実現に向けては、
る権益は全ての EU 諸国に差別なく適用
作っている。
「オープンスカイ航空市場」
オープンスカイの徹底推進と羽田、成田
される旨の制約を課す一方、域外諸国と
が、域内航空の活性化を図るのみならず
の強化などを戦略に掲げた国土交通省成
の航空交渉は EC 委員会が加盟国を代表
域外との競争力、交渉力を強めるレバレ
長戦略(2010年5月17日)
、オープンスカ
して行うことが出来るとする。EC 委員
ッジとなっているのである。EU の単一
イの枠組みの拡大、国際航空事業規制の
会が代表する場合には、新たに包括的
航空市場が域内に留まらず、域外の相手
緩和推進、羽田の24時間国際拠点空港化
(24)
(第8、第9)を開放するに至っている。
航空協定(Comprehensive Air Services
Agreement)を締結する方法と、国籍条
表-1.日米のオープンスカイ締結状況
項等 EU の政策に反する部分を改正する
協定(Horizontal Agreement)を締結す
る二つの方法を設けている。
包括的航空協定については、米国と
2005年11月に仮調印したが、国籍条項に
ついての米議会の承認を得られず、これ
に修正を加え EU-US 間のオープンスカ
イ協定合意に漕ぎ着け(2007年3月)、未
解決となっている国籍条項(航空会社の
実質的所有と実効的支配)とカボタージ
ュの継続協議を続けることとしている
(2013年12月)。EU-US間のオープンスカ
イは世界の航空旅客の約36%を占める大
西洋市場(25)におけるOpen Aviation Area
(米側はOpen Sky Plusと称している)を
形成することになり、EU 発信のオープ
ンスカイが米国を巻き込み世界市場に影
(国土交通省、USDOS 2015資料より筆者作成)
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日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
に言及する「新成長戦略」閣議決定(2010
ンスカイを成立基盤とするアライアンス
本の航空会社は、韓国線は成田、羽田か
年6月18日)、及び観光立国戦略の中に
は、オープンスカイと不可分一体をなし
ら、中国線は名古屋を加えた3空港から
オープンスカイ、LCCを位置づけた「日
ているからである。本稿では、到達段階
の運航に留まり、地方空港からは運航し
本再生戦略」の閣議決定(2012年7月31
にある「アジア・オープンスカイ構想」
ていない。日中韓の旅客流動、運航便の
日)等が策定された。
から更に歩を進めるアクターとしてアラ
状況等を図-2に示した。
「アジア・オープンスカイ構想」の下
イアンスを考察する。
「アジア・オープンスカイ構想」下で、
発着枠が制約される首都圏の空港を除
で、表-1に示す通り2015年9月現在で、
日本が航空協定を結んでいる59の国・地
4-4 日中韓、北東アジアの航空の様相
き、地方空港を中心に韓国、中国の航空
域中、29の国と地域との間でオープンス
「アジア・オープンスカイ構想」の下
会社に依存するオープンスカイ化が進ん
カイを締結するに至っている。国土交通
で、空港容量が飽和している首都圏、大
だ。日本の航空会社が運航しない地方空
省が2014年12月時点で示した「27か国・
都市圏以外の地方空港における国際便が
港への外航の参入が競争脅威ではないと
地域と合意し、日本発着総旅客数におけ
活発化した。羽田、成田、大阪、名古屋、
しても、外航の経営事情や方針に地方の
る94%」(国土交通省 HP)をカバーする
福岡、札幌以外の国際便が就航する25の
国際便を委ねる危うさを含め日本のオー
ことから見ても同構想は所期の目的の到
地方空港では、中国、韓国便の占める割
プンスカイの姿として認識する中で、日
達段階にあることが窺える。
合は80%を超え、台湾便も含めるとほぼ
中韓のオープンスカイの骨格については
「航空行政の現状と展望について」(国
100%に近い
。2015年度の発着便(Fuji
今一度明確にすべきであろう。
「アジア・
土交通省 2015
)の「3.航空政策ビジ
Airways Guide)では、日本各地をカバー
オープンスカイ構想」の到達段階から更
ョン」では、
「わが国航空企業が、国際競
する羽田に次ぐ2番目の拠点空港は日本
なる国主導のオープンスカイの予定が当
争に対し後手に回っていると見られがち
の空港ではなく韓国の仁川空港(日本の
面立たないとすれば、現行枠の下でオー
な対応から一歩踏み込み、航空ニーズの
29空港をカバー)である。中国からは日
プンスカイの当事者でもある航空会社に
創造を積極的に進めることができるよ
本の25空港がネットワークされ、上海空
よる濃度の高い取組みが求められる。本
う、航空行政は市場環境や将来動向等を
港は伊丹、新千歳に次ぐ福岡空港と同位
稿では、この取組みのアクターとしてア
にらみながら、ボトルネック解消のため
の5番目の拠点空港である。韓国便、中
ライアンスを位置づけ、リージョナル戦
の環境整備」が示されている。2007年の
国便は一日に夫々100便、133便が運航さ
略の視点を考察する。地域オープンスカ
「ア ジ ア ・ オ ー プ ン ス カ イ 構 想」は、
れ、そのうち日本の航空会社による運航
イの推進がエアーライン個社の取り組み
EU-US 間 の Open Aviation Area(4-2)
は夫々9%、24.8%に過ぎず、残りは相
を超えることは論を俟たないからであ
発表後であり、同構想下でオープンスカ
手航空会社の運航便に便名を表示する
る。
イ協定が実行されたのは、2010年の米国
コードシェアー便対応である。更に、日
(28)
(30)
とのオープンスカイ協定(4-1)後であ
る。この時点で米国は既に、日本の航空
図-2.日中韓の航空の様相
協定締約国の39の国・地域との間で「オー
プンスカイ」を締結し終えている。日本
の航空企業の「後手に回る」対応がこれ
ら後追い的な政策とも関係するとすれ
ば、
「アジア・オープンスカイ構想」の次
なる戦略の早期策定と実施は緊要であ
る。
戦後、航空禁止令による7年の空白を、
「45・47体制」(29)を中心とする規制行政の
下で後れを取り戻してきた日本の航空産
業が、「シカゴ・バミューダ体制」の規制
に合わせて成長してきたとすればその体
質の改善も重要である。規制産業の一つ
である航空が、世界の潮流の中で伍して
競争出来る体質の改善にアライアンスは
有用なレバレッジの一つである。オープ
(観光白書、法務省統計、日本アセアンセンター資料、2015年3か国観光担当相共同声明より筆者作成)
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日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
5.結論
関わる(Multilateral Relations)
。第2は、
考に地域オープンスカイを視野に入れる
5-1 日中韓、北東アジア・オープンスカ
アライアンスメンバー間で基幹戦略を共
と、域内での国籍条項の緩和、カボター
有し、市場での協働を実施するガバナン
ジュの開放、航空政策・対外政策の共有
前項で、「アジア・オープンスカイ構
スが導入され、統合されたITシステムに
など3か国による対応が必要だが、北東
想」が日本発着総旅客のほぼ全体をカ
より市場対応が即可能であることである
アジアの政治環境からは当面の実施予測
バーし、所期の達成段階にあることを指
(Governance and Practicability)
。第 3
は立たない。日中韓3か国をホーム市場
摘した。同構想の成果として、地方空港
は、EUで実施済みのメンバー間収入配分
とするアライアンス各社による協働が現
への外航による国際線の利便が進んだこ
などのジョイントベンチャー(J/V)の実
実的な方策である。日中韓では、中韓の
と、国際線ターミナルの供用開始(2010
績があることである(Expertise)
。この
段階的オープンスカイ協定
(2006年6月)
年)による羽田の国際発着枠の倍増(昼
地域的な J/V は本稿の北東アジアのケー
を含めると3か国の間で夫々二国間オー
間3万回から6万回、2014年)で首都圏
スに有用な前例である。抑々、地域オー
プンスカイが結ばれていることになる。
空港が強化されたこと
等が指摘できる
プンスカイ形成のアクターには、国(政
3か国という条件はバイの組み合わせか
が、同構想は「アジアの」、更には最も緊
治)
、民間(航空会社)以外の係わりは想
らマルチの態様が想定できる好条件でも
密な
「北東アジアのオープンスカイ構想」
定し難い。アライアンスによる濃度の高
あり本稿の考察の前提となる。
と云うのではない。即ち、EU やオセア
いオープンスカイ市場の醸成を具体的な
アライアンス傘下でのリージョナルな
ニア、アセアンに見られる地域のオープ
取り組み例で示すことで、単一航空市場
取り組みの一例として、日(成田、羽田)、
ンスカイを想定したものではなく、日本
(EU)の到達点との対比の中で本稿アラ
中(北京、上海)
、韓(仁川、金浦)での
の政策を二国間、特に国際便のシェアー
イアンスのアクターとしての適格性を検
ジ ョ イ ン ト ベ ン チ ャ ー(J/V)が あ る
が75.5%を占めるアジア(Fuji Airways
。
現下で実施済みの二国間コード
証する方途として、日本、エアーライン、 (図-3)
Guide 2015年度版より)に重きを置いて
EU の視点比較を表-2に示した。
イ航空市場のアクター
(31)
日中韓を全体としてコードシェアーをす
展開するという日本の「アジア・オープ
ンスカイ構想」なのである。
シェアーを域内以遠第5区間にも広げ、
5-2 アライアンスによる「日中韓、北東
ることで二国間の折り返し旅客に加え、
日中韓の航空の様相は相互に高い旅客
アジア・オープンスカイ航空市場」の
商用を中心とする三国間の循環旅客を取
流動を有する中、その運航について日本
一例
り込む。72時間のトランジットルールの
側が相手国企業に一方的に依存する片務
本項では、アライアンスによる北東ア
下で、別切り航空券の合算より安価で提
的な形態となっている。これは日本が推
ジア・オープンスカイ市場への対応策に
供できる日中韓の商用取り込み型の循環
進したオープンスカイの結果生じたもの
ついての一例を示す。EU のケースを参
ネットワークとなる。日中韓の旅客流動
だが、地域圏のオープンスカイ構想とし
て共有したわけでもない。国主導の三国
表-2.オープンスカイに向けた視点の比較
間のマルチ・オープンスカイが様々な政
治課題の下で当面予定が立たないとすれ
ば、現行の枠組みを戦略的に補完・充足
し、北東アジア・マルチオープンスカイ
を推進するアクターは、アライアンスの
リージョナル部会(仮称)である。EU
単一航空市場の形成には、国家間で10年
以上の取り組みを必要としたが、北東ア
ジアのケースではアライアンスという新
たなアクターが誕生しているのである。
北東アジア・マルチオープンスカイの
アクターとしてのアライアンスの適格性
は次の3つの点で検証される。第1に、
ア
ライアンスは各地域市場を母体とし地球
規模で展開するマルチ提携であることで
ある。アライアンスは、二国間というバ
イの枠組を超え、マルチの視点で市場に
(筆者作成)
-150-
日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
図-3.アライアンスによる日中韓オープンスカイに向けた一例
繋げる本稿とは異なり、国家間による北
東アジア共通航空市場の長期のロードマ
ップを示す研究として注目する。
6.おわりに
オープンスカイの世界潮流の中で、北
東アジア市場だけが White Spot(空白)
である。旅客の流動や、貿易に於いて相
互依存の高いこの地域に於いて、重要な
移動インフラである航空のオープンスカ
イが伝統的な二国間の関係に留まってい
ることになる。オープンスカイ航空市場
の形成は、その利益面だけでなく、
「空
白」となっている不利益面(危機観)に
ついても利用者である国民の視点に立ち
考えられなければならない。
(筆者作成)
日本が進めた「アジア・オープンスカ
が、インフラの
のネットワークで他社との接続
イ構想」は二国間をベースに所期の到達
整備で更なる需要喚起にもつながる。東
(Interlining)をしないことをコスト低減
段階にある。この一定の成果を評価する
京-韓国/北京/上海間では既に一日
の基盤としていることから、本項提案の
中で、世界の潮流に沿う更なる三国間の
夫々26便、9便、17便の頻度で運航され
三国間循環ネットワークとは異なる市場
取り組みは、北東アジアの政治情勢と相
ているが、全体を J/V 枠の中で収入配分
が対象であり、Market Segmentation が
俟って、更に高まる見通しは当面立たな
の対象とすれば、時間発着枠の多頻度運
本質的に異なる。又、オープンスカイ下
い。斯かる環境の下で、国家間の取り組
航スケジュールも可能となり、全体利益
での低価格化などの需要喚起に加え、人
みに俟つことなく、現行の枠組みの下で
の向上を設計する便数、時間帯、空港接
の移動、貿易においても相互依存度の高
可能なオープンスカイの濃度を高め、三
続サポート、空港ラウンジなどがアライ
い三国間における位相の異なる移動イン
国間マルチ・オープンスカイに繋げる方
アンスで実行出来る。更には、二国間で
フラの整備は、
複合的な需要喚起を促し、
策として、アライアンスをアクターとす
分断された顧客動向などマーケティング
更なる消費者選択の多様性を生み出すネ
る取り組みについて検証し、その方途の
の協働、協同セールスによる営業力の強
ットワークとして重要になる。
一例について考察した。
化が可能である。対外的競争力では、メ
前掲 Anming Zhang(2006)では、北
EU 単一航空市場を一つのモデルに置
ンバー各社は循環ネットワークを長距離
東アジア航空市場の統合段階を3つのフ
く時、対外的な交渉主体を含む「北東ア
路線の集客基盤とする強みを共有するこ
ェーズに分ける。フェーズ1(3-5年)
ジア共通航空市場」
に適する形態を示し、
とが出来る。EU のケースでは、ルフト
では、第3、第4の制限を外し、整備、
同市場に向けたロードマップおよび旅客
ハンザ航空や、エアーフランス、英国航
ハンドリングの自由化、北東アジアのア
流動の見通しなどを示す課題は今後の取
空が EU 全体を夫々のホーム市場として
ライアンスの促進、観光ビザの自由化、
り組みに残されていると考える。
後背地及び接続旅客の獲得基盤とするこ
航空分野を FTA の俎上に挙げる提案を
とで域外他社に対する競争力を強めてい
す る。第 2 フ ェ ー ズ(7 -10 年)で は、
る。以上の構想には、日中韓アライアン
FTA協議を進め、外資規制を緩和し、市
ス3社のリージョナル戦略での構想合意
場統合に必要な域内第5の自由化を提
が必要である。又、本項 J/V には3国に
言。第3フェーズ(10-15年)で、マル
1998.4では、1978-1998間の運賃低下40
おける独禁法の適用除外も必要となるだ
チ・オープンスカイ協定の締結により北
%、便数増加64%、旅客増加2.5倍、事
ろうが、J/V が日米オープンスカイ協定
東 ア ジ ア の 共 通 航 空 市 場(common
故率低下36%を示す。EC報告書(1996)
下で認められた経緯などにも照らせば、
aviation market for NEA region)を目指
では、割引運賃利用率90~95%、第5
本事例の J/V は十分に可能であると考え
すとする。アライアンスによる取組みで
の実施2.1倍(1993-1996)
、提携件数2.9
る。
オープンスカイの実質的な濃度を高め、
倍(1990-1995)を示し、1997-2013間
近年、台頭する LCC は point-to-point
国家間のマルチ・オープンスカイ提携に
の旅客が3.5億から8.2億人に増加した
の約15%が商用である
(32)
-151-
脚注
US
(1)
Heritage
Foundation
Report
日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
としている(CEC2014)。
戸崎肇(1995)「航空の規制緩和」、勁
(2)
草書房
川端達史(2013)
「アメリカ航空産業の
(3)
現状と今後の展望」、航政研シリーズ
Limited, pp.11-17, pp.59-73
塩見英治(2011)
「国際航空市場におけ
(16)
るアライアンスの展開と評価」
、
『商経
学叢』、第57巻第3号、pp.135-139
ブライアン・F・ハベル(1998)
「航空
(17)
2013年度の旅客数による(航空統計便
(25)
覧 2014年度版)
。
坂本昭雄(2007)
「EUのホリゾンタル・
(26)
アグリーメント その背景と問題点」、
『航政研シリーズ』
、No.475、pp.5-6
特別号 2014.3
会社のアライアンス、独占禁止法及び
佐竹真一(2011)「EUにおける航空自
その適用除外について」
、
『ていくお
効率的運営整備 ~消費者利益の向上
ふ』、No84、pp.2-13
と航空会社の競争力強化に向けて~」
(4)
由化と LCC」
、大阪観光大学紀要、第
11号
村上英樹(2000)
「アジアにおける航空
(5)
自由化問題の一つの読み方」、『ていく
おふ』、No.91、Summer 2000、pp.8-16
三輪英生・花岡伸也(2004)「国際航空
(6)
輸送の自由化の動向と我が国の自由化
へ向けた考察」、『運輸政策研究』vol.7
No1 2004 Spring、pp.20-21
羽生次郎(2006)「シカゴ研究会 報告
(7)
ブルース・ハリス(1998)
「アライアン
(18)
スの現状とこれから」
、
『ていくおふ』
、
No84、pp.21-33
塩見英治(2002)
「企業論からみた国際
(19)
航空のアライアンス」
、
『航政研シリー
ズ』、No412、pp.7-8
Current Model Open Skies Agreement
(20)
「アジア・オープンスカイ構想と空港の
(27)
規制改革会議(平成19年5月7日)
田村明比古(2015)
「航空行政の現状と
(28)
展望について」
、
国土交通省資料 平成
27年1月22日、pp.32-33
国内航空三者の事業分野を定めた、昭
(29)
和45年の閣議了解と昭和47年の大臣通
達
Text(US DOS 2012.1)
(30)
シカゴ条約第1条では5つの自由とし
(31)
(21)
Fuji Airways Guide 2015年度版より。
前掲田村では、
「2014年対前年上期比較
書」、㈶運輸政策研究機構
て、第1(領空通過)
、第2(Technical
で100万人の旅客増」
(pp.42-43)、乗り
現行の国際民間航空は、1944年に成立
Landing)
、第3、第4(相手国との輸
継ぎ旅客の動向では
「2014年度の北米、
した国際民間航空条約(シカゴ条約)
送)、第5(相手国から第三国への輸
欧州、アジア方面への日本発の乗継旅
と1946年に英領バミューダ島で締結さ
送)の運輸権を規定する。更に米国会
客は夫々1.8万人、1.3万人、1.6万人増
れた英米間の二国間航空協定の枠組み
計検査院(GAO)は、第6(相手国よ
加したのに対し、仁川での乗り継ぎ旅
の下で成立していることから、「シカ
り自国経由第三国へ輸送)
、第7(相手
客数が夫々0.9万人の微増、3.7万人の減
ゴ・バミューダ体制」と呼ばれる。
国より直接第三国へ輸送)
、第8、第9
少、2.4万人の減少と仁川乗継から羽
前掲、羽生(2006)、pp.55-56
として相手国内区間の輸送(カボター
田・成田乗継にシフト」していること
(8)
(9)
Anming Zhang(2006)
「近年の中国に
(10)
おける航空輸送の発展:北東アジア統
ジュ)を分類する。
航空協定の運賃条項の規定で、両国政
(22)
合 へ の 示 唆」
、
『航 政 研 シ リ ー ズ』、
府のどちらかが認可すれば有効な運賃
No.463、pp.9-13
として発効するという規定。日本は
高橋望(2007)
「航空企業の実質的所有
Double Approval 条項を採用している
と実効的支配の緩和」、『海運経済研
ので、両国政府が共に認可しなければ
(11)
究』、第41号、pp.78-79
Star Alliance(加盟27社)、one world
(12)
運賃は発効しない。
日本の航空法では、航空運送事業を経
(23)
(同17社)、Sky Team(同20社)を指
営する場合の許可申請(第101条)で外
す(各アライアンスの HP、2015.9)。
国人、外国法人に関する規定(第4条)
2015年5月時点で116カ国が採択。日本
を援用し、
1/3以上の外国資本を認めな
は99カ国目(2010年10月25日)の締約
い。米国では1/4以上の議決権のある株
国。(US DOS 2015.5.12より)
式の保有を外国人に認めない。
(13)
航空統計要覧2015年度版より旅キロ
(14)
1998年12月に EC 委員会が米国との
(24)
(有償旅客数にその飛行距離を掛けあ
オープンスカイ協定を締結した EU 加
わせて算出される単位-ベース)に基づ
盟国8か国(内、英国についてはバミ
き算出。
ューダ協定)を、同協定の国籍条項が
Tae H Oum, J h Park & Anming Zhang
EC 条約に違反するとして欧州裁判所
(2000)
, Globalization and Strategic
(ECJ)に提訴、ECJ は同訴えを認め、
Alliances: The Case of the Airline
8か国と米国との協定は無効だと判決
(15)
Industry, Emerald Group Publishing
(2002年11月5日)
。
-152-
を検証(p.44)している。
法務省出入国統計2014年度
(32)
参考文献
・浦田秀次郎『グローバリゼーションと
アジア地域統合』勁草書房、2012年
・蛯名保彦『日中韓「自由貿易協定」構
想』明石書店、2004年
・坂本昭雄『新しい国際航空法』有信堂、
1999年
・塩見英治『米国航空政策の研究』文眞
堂、2006年
・中谷和弘『日米航空紛争と国際法』勁
草書房、1996年
・中村徹『制度としての EU 共通航空政
策の展開』晃洋書房、2012年
・山路顕『航空産業入門』東洋経済新報
社、2008年
・Dempsey, P.S. and A.R. Goetz, Airline
Deregulation
and
Laissez-faire
日本国際観光学会論文集(第23号)March,2016
Mythology, Quorum Books, 1996
・O’Connell
F.
J.
and
Williams
G.
“Passengers’ perceptions of low cost
airlines and full service carriers”
,
Journal of Air Transport Management,
2005
・Tae Hoon Oum, Jong-Hun Park and
Anming
Zhang,
Globalization
and
Strategic Alliances : The Case of the
Airline
Industry,
Emerald
Group
Publishing Limited, 2000
【本論文は所定の査読制度による審査を経たものである。
】
-153-