ロボットのエンターテイメント性を利用した 学習動機付け

ロボットのエンターテイメント性を利用した
学習動機付けについての考察
2007 年 1 月 31 日
阪南大学
経営情報学部
経営情報学科
5103029 宇治 孝太朗
5103118 突田 裕之
1
目次
1、はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p3
2、関連研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p4
3、ゼミ紹介での学習動機付けのためのロボット活用・・・・・・・・・p20
4、オープンキャンパスでのロボットの活用・・・・・・・・・・・・・p33
5、まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p38
6、参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p39
謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p40
2
1. はじめに
近年、世界の IT 科学技術は発展しさまざまな場面で利用されている。電化製品、携帯電
話、ゲーム機などである。これらは、生活を便利にするためのものであったり、エンター
テイメント性で発展したものである。しかし、実社会の技術が進歩しても現代の子供たち
の理科離れは深刻である。理系離れが起こる原因としては、理科に対する学生・生徒の興
味・関心が低くなってきている現状がある。(図1参照)また、学校などで行っている授業
における理解力が低下し、日常生活において重要と思われる基礎的な科学的知識を持たな
い人々が増えているためである。
現在の日本では科学技術の振興により、豊かな国民生活や社会経済の発達および産業競
争力の強化を実現する「科学技術創造立国」を目指している。そのためも、子供たちの理
科離れの現状は深刻な問題である。[1]
図1:理科離れの現状
そこで、現在の科学技術の進歩を体験することで、学習における動機付けを行える場
を提供する方法を考察する。そのひとつの具体的方法として、阪南大学のオープンキャン
パスで KHR-1 を使用した例を紹介する。そして、ゼミ紹介を通じて技術学習を体験しても
らう。KHR-1 はダンスをさせ視覚的観点から科学に興味を持ってもらえるようにする。その
ため、KHR-1 のダンスモーションを作成し、デモンストレーションを行う。具体例を通じて,
ロボットのエンターテイメント性を用いた学習の動機付けについて考察する.
第2章では関連研究としてロボットの歴史と、ロボットのエンターテイメントについて
述べる。第3章では KHR-1 の活用法・利用法を詳しく述べる。また、ロボッとのエンター
3
テイメント性を利用した学習の動機付け方法の提案を述べる。4章ではロボットのエンタ
ーテイメント性を利用した学習動機付けの場の提供として行ったゼミ紹介の詳細を述べる。
5章でまとめ・これからの課題を述べる。
2. 関連研究
2−1 ロボット歴史
ここではエンターテイメントロボットの歴史について触れる。エンターテイメントロボ
ットの定義として作業の結果だけではなく、作業の過程や動きによって何らかの感動を起
こさせ、多くの人々を楽しませることができるロボットとする。また、一概にエンターテ
イメントといっても多くの種類が存在する。よって人間社会への順応の条件の一つとして
人間により近い存在としてのヒューマノイド型ロボット、人間により直接的な娯楽を与え
ることを目的としたアニマル型ロボットに分類する。さらにヒューマノイド型ロボットは
二足歩行に至るまでの歴史と、より直接的にコミュニケーションを図るに至るまでの歴史
を取り上げる。また、エンターテイメントだけではなく学習としても深い関わりのあるロ
ボットコンテストの歴史も触れる。
二足歩行型ロボットの項目では、二足歩行の研究理由と、歩行に至るまでの歴史をとり
あげる。日本の研究者は人間と共に活動するロボット開発を最大の目標としているからで
ある。[2]コミュニケーション型ロボットの項目では、人間とロボットのコミュニケーシ
ョンツールとしての、音声認識と音声合成の歴史も併せて取り上げる。人間は会話による
コミュニケーションが大半を占めるため、人間とロボットの共存を図る上では欠かせない
ためである。アニマル型ロボットは上記ヒューマノイド型とは異なる観点から開発されて
いるため、別途分類して歴史を取り上げる。
2−2
知能ロボットの歴史
人間と対話するという機能の実現、またはそれを目指したロボットを知能認識ロボット
と言う。ロボットの研究開発には二つの方向性があり、一つは特定の作業だけを行うタス
ク指向ロボットの開発である。もう一つは人間の日常生活の中で人間と協調して動作する
コミュニケーション指向ロボットの開発である[3]。コミュニケーション指向ロボットは
人間のパートナーとして活動するために、人間と対話し、互いの存在を認識しあう機能が
求められる。よってコミュニケーションロボットは人間とコミュニケーションを図るとい
う機能を目的として開発される知能ロボットだと考えることができる。コミュニケーショ
ンロボットに人間の形をしたものが多いのも、人間との共存ということを踏まえているか
4
らである。なお、コミュニケーションロボットの歴史については別項にて詳細を述べる。
知能ロボット研究の起源はアメリカスタンフォード大学の研究所 SRI
(Stanford Research
Institute)の Artificial Intelligence Center(AIC)が 1966 年から開発を始めた Shakey
である。研究目的はセンサー情報を処理し、環境を理解し、音声を認識するロボットとい
う、人間でいう大脳の機能の実現である。Shakey は移動台車の上に衝突センサーとモータ
ーを制御するためのコンピュータを、その上にテレビカメラと距離計測装置を搭載してい
た。テレビカメラで撮影された映像情報は無線で外のコンピュータに送信、解析され、行
動の決定に使用された。よって現在も多くの研究機関で使用されている車輪移動型知能ロ
ボットの原型は Shakey だといえる。[4]
2−3
ヒューマンインタフェースとしての音声認識機能
人間とロボットがコミュニケーションを図る場合、ロボットによる音声認識と音声合成
の機能が重要視されてくる。理由は人間が意志や感情、情報を他者へ伝える手段として会
話という方法をしばしば用いるためである。
音声によるロボットへの入力、すなわち音声認識の歴史は 1952 年、ベル研究所の Davis
らによってゼロ交差点を用いた数字音声認識が試みられたのが始まりである[5](図2参
照)。1959 年には京都大学において、その機能を拡張した単音節認識装置が研究されている。
1970 年代に発生時間長の伸縮を動的計画法を用いて正規化する DP マッチング法が提案され
た。さらに日本では2段 DP マッチング法という連続数字を認識できる方式が提案され、実
用化への契機となった。1978 年にはこの方式を用いた連続単語認識装置が日本で実際に製
品化され、両手がふさがっている状況でのデータ入力に使用されている。
反対にロボットからの音声による出力、音声合成の研究は 1950 年代に始まっている。マ
サチューセッツ工科大学の Stevens,スウェーデン王立工科大学の Fant らにより青銅音響特
性を電気等価回路で再現した青銅アナログ型合成気が提案されたのが始まりである。1970
年代には電電公社電気通信研究所が線形予測分析(LPC)合成系を提案し、信号処理を大幅
に軽量化させることに成功した。1978 年にはこれを用いてテキサス・インスツルメンツが
ゲーム機で一定数のメッセージを音声出力させることに成功した。1983 年、アメリカ DEC
(Digital Equipment Corporation)はマサチューセッツ工科大学の Klatt が実現させた、
任意のテキストから音声を合成する技術をベースに DECTalk を製品化した。
現在の音声認識の技術レベルは、明瞭な発生で読み上げた文章であるならば正しく書き
おこしができるまでになり、カーナビなどある程度の騒音下でも認識は可能である。しか
し、対話においては発声者の意図を正確に読み取り、状況を判断するなどといったことは
まだできていない。また、音声合成のレベルは言葉の意味的つながりや文脈的つながりの
研究を進める必要はあるものの、ある程度のレベルに達している。アジア太平洋機械翻訳
5
協会技術動向調査委員会による現在の英日機械翻訳システムの性能は TOEIC700 点程度以下
の人にとっては役立つレベルに達している。将来的には WEB などの膨大な情報源から単な
るキーワードを超え、意味や概念までを利用した検索が可能になるなど、使用者にとって
有益な情報を整理して取り出すことが期待されている。
図2:音声認識と音声合成の歴史的推移
2−4
二足歩行型
2足歩行型ロボットの開発に力が注がれる理由の一つとして、
「社会のインフラがそのま
ま使える」というものがある[6]。人間が2本足で生活する以上、人間の生活圏は2本足
で歩くことを前提として成り立っている。例えば移動に関しての問題として、階段などの
段差である。多足歩行や車輪で動くロボットにとって、これは乗り越えが困難な障害物で
ある。二足歩行であるならばこのような問題は人間のように解決できる。ロボットが二足
歩行である限り、人間の移動範囲をカバーすることは容易なのである。これは人間とロボ
ットの共存を目的としている限り、避けられない問題である。これらの点に注目したこと
により、日本での二足歩行型ロボットの開発は始まったものと考えられる。
HONDA の ASIMO に代表されるような二足歩行型ロボットは、1970 年頃から研究が始まっ
た。元々は倒立振子技術の延長と考えられ、その方面から研究が進められた[7]。倒立振
子とは、要するに手のひらの上に棒を立てて倒れないようにする遊びの制御モデルである。
(図3参照)
6
図3:垂直伸子について
人間の足は4重倒立振子モデルとして考えることもできる。そのため2重倒立振子、3
重倒立振子モデルの研究を進めていけば、いずれは2足歩行の制御が可能になると考えら
れた。人間の足に見立てた4重倒立振子モデルを歩行となるように条件を与えて方程式を
解くと各関節の制御データが得られる。このデータを実際のロボットに入力すれば理論的
には歩行が可能となる。
当時はリアルタイムで歩行データを記録することができなかったので、あらかじめ歩行
パターンを入力しておいた。しかし、当時のモーターや構造材が貧弱で実際には理論どお
りに動かず、この方法は失敗に終わった。リアルタイムでロボットの状態を検知し、ある
高速条件の下にフィードバックする必要があった。
これらを経て、1973 年には早稲田大学が世界初の二足歩行ロボット WABOTO を開発し、1985
年の科学万博でも実演された[8]。さらに 1985 年頃には工業技術院の梶田秀司が新たな歩
行制御法を提唱した[7]。この方法は ZMP(ゼロ・モーメント・ポイント(Zero Moment Point)
と言い、ユーゴスラビア(現セルビア・モンテネグロ)の Mimir Vukobratovic の考えを応
用したものである[9]。重心位置が軸足の上にくるように運動方程式の解を求める方法で
あった。ZMP により歩行制御に一定の解決を得たため、現在の二足歩行型ロボットではこの
方法による歩行制御が主流になっている。しかし、このように歩行制御理論やアクチュエ
ータ、構造材が進歩した上でもなかなか歩行ロボットは実現しなかった。ロボットの歩行
を人間の歩行に近づけるためには上半身の作用が極めて重要であったからである。
当時のロボットは人間の腰から下を模倣したものがほとんどであり、上半身は省略され
ていた。腰から下だけのロボットが片足を持ち上げると質量の半分以上が移動することに
なり、重心位置が激しく変化する。このため安定領域が狭くなり制御が難しくなった。ま
た、遊脚を振り上げたときの反動も無視できなかった。遊脚を動かすと軸足と床との摩擦
が極端に少なくなる場合があり、軸足が滑りやすくなる。パターン歩行や ZMP は軸足が動
7
くことを想定しておらず、軸足がすべるとすぐに転倒してしまうのである。重たい足を動
かすには上半身の動作で常にバランスをとる必要があった。
歩行には静歩行と動歩行の2種類がある。単純に二足歩行を行わせるだけならば 1970 年
過ぎには静歩行方式で実現されていた[10]。静歩行とは左右どちらかの足の裏に重心が位
置し、常にバランスをとりながら歩行する方法である。足の裏がかなり大きく作られてお
り、歩行途中に停止してもバランスを崩さず立っていることが出来る。これはおもちゃや
ロボット工作キットによくみられる。わずかでもでこぼこがある場所では歩行が困難にな
るものがほとんどである。また、歩行制御によって階段の上り下りを可能にしてもこの方
法では歩行速度をあげることができない。対して動歩行は人間の歩行に近い。重心を足の
裏から外し、積極的にバランスを崩すことで体重移動を行う歩行方法である。崩れたバラ
ンスはもう一方の足を踏み出すことで取り戻される。よって静歩行のように歩行途中に動
作を止めることは出来ない。将来的に速い速度や環境の悪いでこぼこ道などを歩くために
は動歩行は欠かせない。動歩行の実現には状況を的確に収集、判断しこれに対応する制御
を行う技術が必要だった。
次のステップとして、ロボットの走行を実現するために衝撃緩和技術の開発も必要とさ
れた[7]。走行は歩行に比べて着地の衝撃が大きいからである。また、走行時に両足が地
面から離れるため、その間は無重量状態での姿勢制御と同等の技術が必要となる。より進
んだ活動を行うためには周囲の状況を理解し、適切に状況を予測し判断することが必要で
ある。カメラによる画像認識や音声認識も二足歩行ロボットには重要な技術となる。
本田技研工業 が 1986 年にこの研究に着手、1997 年にはヒューマノイドロボット「P3
(図4右図参照)」を発表した「11」。最初の実験機「E0」は一歩5秒程度で歩くゆっく
りとしたものであった。本田技研工業はこれ以降も改良型の「E1」を経て、「P1」「P
2(図4左図参照)」を製作した。P2の前身であるP1は制御システムを外側に持ち、ワ
イヤーで接続されたワイヤード方式であった。後続機であるP2は大きさがP1より多少
小さくなったものの、重量はP1よりも 35 キロ重い 210 キロであった。これは自立歩行を
させるために胴体部分にコンピュータやモータードライブ、バッテリーを内蔵したためで
ある。そして 1996 年に「P2」が発表された。全高 160 センチ、重量 130 キロで外観もよ
り人間に近くなっている。更に 2000 年には改良型「P3改」が発表、重量が 80 キロにま
で軽量化されている。
現在、歩行はもちろん、歩行を補佐する技術の研究が盛んに行われている。なお、本田
技研工業は上記のP2を経て 2000 年に ASIMO を発表した(図5左図参照)
。ソニーも 2002
年に二足歩行型ロボット SDR-4 を発表した(図5右図参照)
。続いて、2005 年3月からの愛・
地球博では二足歩行しながらトランペットを吹くパートナーロボットも展示されていた
(図5中央図参照)。2005 年 12 月には ASIMO 新型において時速6km、跳躍時間 0.08 秒の
走行を実現させている。
8
図4:本田技研工業二足歩行ロボット
図5:二足歩行ロボット
2−5
コミュニケーション型ロボット
コミュニケーションロボットとはその名の通り、人間とコミュニケーションをとること
を目的に開発されたロボットである。代表的なものでは SONY の AIBO(図6左図参照)など
が挙げられる。本来、ロボットにはその機能をもって人間の役に立つことが求められる。
これら娯楽を目的としたロボットは、もともと博物館やイベント会場などでの花形だった。
しかし、1960 年代以降、フィクションの世界でロボットが活躍する作品が増えるにつれ、
動作する実物のロボットを見たい、所有したいという人々の欲求が高まってきた。そして
次第に潜在的な需要は巨大な市場を築いていった。1980 年から 1990 年にかけてはロボット
と称したラジコンやマイコン制御を搭載した玩具が多数発売された。自動的に何かをやっ
てくれるわけではなく、しかも操作が難しいこれらの製品は飽きられるのが早かった。し
かし、新製品が出るたびに購買希望者は増えていった。
この時代の製品に代表されるものでは 1985 年7月 26 日に発売された、任天堂のファミ
9
リーコンピュータロボットがある[12](図6右図参照)。ファミリーコンピュータの名前が
示すとおり、もともとゲームを楽しむために開発されたものではある。しかし、デジタル
世界の中だけのゲームとは違い、物質としてロボットを操作することができた。対応ソフ
トが2本しか発売されなかったこともあり、ファミコンがブームに姿を消した。しかし、
単純ながらコマやブロックを操るといった動作が可能で、当時家庭用としては画期的なも
のだった。
1990 年以後、ロボットが急速に高度化、小型化し価格も抑えられるようになった。上記
のファミリーコンピュータロボットの非常に単純な動作に比べて、約十年後に発売された
このロボットの性能は高い。このことからも技術の急速な進歩が伺える。1997 年には後の
AIBO となる犬型ロボットが発表され、個人的がロボットを所有する考えが現実的なものと
して期待が高まった。1999 年6月1日には 5000 台もの数が、受付開始後 20 分にて完売し
た[13]。インターネット上でのみの発売、かつ別売りキットを合わせると 30 万円にもなる
ものであった。このことからも製品に寄せる期待の高さが伺える。この製品は自分で状況
を判断して動き回ったり、持ち主と一緒に遊んだり、声や音に反応する。このことからコ
ミュニケーション目的としての性能は備えている。
音や動きに反応するというものでは、オーディオアニマトロニクスがある。オーディ
オアニマトロニクスとはオーディオ、アニメーション、エレクトロニクスを組み合わせた
造語である[14]。このロボットはウォルト・ディズニーイマジニアリングによって開発さ
れ、世界中のディズニー・テーマパークで使用されている。
また、1998 年にはアメリカでファービー(図5)が発売された。日本でも 1999 年5月
29 日に発売され、5ヶ月間で 200 万個販売など、爆発的に流行した。AIBO よりも低価格で、
かつ子供でも親しみやすい外見をしたペットロボットである。人間というものは感情の生
き物であるが、ロボットにもその感情を感じ取り、適切な反応を返すことを求めた。その
結果、コミュニケーションロボットという分野が開拓され、今日に至っている。
図6:コミュニケーションロボット
10
2−6
アニマル型ロボット
その他、上記の分類に必ずしも当てはまるものではないが、エンターテイメント性を有し
ているロボットがある。 ウォルターの亀、ワンダーボーグ、メカニマル(図7参照)など
アニマトロニクスの概念に通ずるアニマル型ロボットである。
メカニマルというジャンルのロボットがある。メカニックとアニマルをあわせて作られた
言葉が示すとおり、機械ロボットで動物を模したものである。1950 年代にウォルターの亀
(マシナ・スペクラトリクス)と呼ばれるロボットが W・グレイ・ウォルターによって創
造された[15]。ロボットの行動や形状が、草むらを歩き回る亀にそっくりだった。日本では
電子亀と呼ばれた。このロボットの特徴はバッテリーと駆動するタイヤとモーターに加え、
アナログ的な電子頭脳を備えていることである。自身のバッテリー容量が低下してくると
周囲を調べ、ランプが目印の充電ステーションで自ら充電する機能はこの電子頭脳で判断
されていた。
このウォルターの亀をモデルとして、玩具メーカーのバンダイがワンダーボーグというロ
ボット商品を発売した。玩具メーカーが発売しているだけあり、ワンダーボーグはよりエ
ンターテイメント性を追求され、本体の改造が可能となっている。さらにパソコンで簡単
なプログラミングが可能であり、自分だけのオリジナルワンダーボーグを作り出す楽しみ
がある。そのオリジナル製を活かし、自身のワンダーボーグを他のそれと競わせる ROBO
−1のような大会も開催されている。
競技内容は自体はワンダーボーグによる相撲のよ
うなものである。
図7:ワンダーボーグ
メカニマルというだけあり、実際の動物同様様々な種類のメカニマルが存在する。2000
年9月には玩具メーカーのタカラがアクアロイドというメカニマルを発売した(図8上左
右図参照)[16]。上部のソーラーパネルと内蔵モーターによって、光エネルギーを動力に変
換して動く水中生物型のロボットである。2000 年3月の東京おもちゃショーで出展され、
多くの来場者から注目を浴びた。魚タイプと海月タイプの2種類があり、ともに本物のよ
11
うに予測不可能な動きをする。タカラは 1980 年代から「ミュージ缶」や「フラワーロック」
などでセンサーを使ったコミュニケーションロボットを開発してきた。そのノウハウをア
クアロイドに活かし、人とロボットのコミュニケーションをより豊かなものにしようとし
ている。福井県の科学館「アクアトム」では 2001 年6月から三菱重工業製のアニマトロニ
クス(図8下図参照)であるシーラカンスが公開されている[17]。
図8:アニマル型ロボット
1980 年代に最盛期を迎えたマイクロマウスというロボットもあり、こちらも自律型ロボ
ット開発に与えた影響は大きい。ロボットが「生物として」人間とコミュニケーションを
図る場合、ロボット自身が自らを律しなければならない。それがなければコミュニケーシ
ョンとして成り立たず、ただ人間がロボットで作業しているだけである。これが無ければ
存在意義そのものが否定される。これはメカニマルなど他のコミュニケーションロボット
にも当てはまることである。
2−7
コミュニケーションロボット
ここでは日本でも流行したことからファービー(図9参照)を例えにコミュニケーショ
ンロボットについて述べる。ファービーは人間とより直接的なコミュニケーションを図る
ことが可能なロボットである。アメリカの Tiger Electronics 社によって 1998 年に発売さ
れ、日本においてもトミーより 1999 年 5 月 29 日から発売が開始された[18]。本体に5種
類のセンサーが内蔵されており、触ることで様々な反応を示す。また、音声認識の機能を
搭載していることでユーザーとの会話によるコミュニケーションが可能である。ファービ
ーとコミュニケーションをとることで成長させるというコンセプトと可愛らしい見た目が
受け、幼児から高年齢者まで幅広い年齢層に支持された。発売開始から5ヶ月間で 200 万
12
台を売り上げる爆発的人気となった。1999 年の売り上げは世界で 4000 万台、日本でも 320
万台となったことからもその人気が伺える。2005 年にはいくつかの機能を追加、強化した
新型ファービーが発売されている。ファービーの登場とその流行の歴史からも、コミュニ
ケーションロボットは一般社会にとって比較的受け入れられやすいものであると言える。
図9:コミュニケーションロボット
2−8
ファービー
一般社会への二足歩行ロボットの普及
人々がエンターテイメント性を求めるロボットは数多く存在する。元々ロボットとい
えば非常に高価なものであった。所有出来るのはロボット関連機関か大企業の工場のみで
あった。二足歩行という条件を含めればそれは更に限定され、一般市場とは程遠いもので
あった。しかし現在は本格的な二足歩行型ロボットは安価で購入が可能である。技術進歩
や低コスト化など理由は様々であるが、最も大きな理由は一般社会の購買意欲の上昇であ
ろう。下記に記すのでここでは詳しく述べないが、ロボコンなどの影響によってロボット
がより多くの一般人へ認知された。これにより企業が市場へ参入する機会を見出したため
である。後述する KHR-1 の後続機、KHR-2(図 10 下左図参照)は近藤化学が発売した二足
歩行型ロボットでありながらメーカー販売価格が9万円を切る。
このような低価格化からロボット業界以外でも二足歩行型ロボットへの注目は高まって
きた。出版社の DEAGOSTINI
JAPAN(デアゴスティーニ ジャパン)は 2007 年1月9日から
週刊で ROBOZAK(ロボザック)を発行している「19」。ROBOZAK はロボットの歴史や現状を書
籍として購読者に紹介する内容になっている。これにはいくつかのロボットパーツが付属
しており、全て集めることで二足歩行型のロボット「RZ-1」(図 10 上図参照)を動作に至
るまで自作することができる。ロボットを分割して購入すると考えることができ、一般消
費者への普及が見込まれている。同社は知能ロボットを中心に取り扱うマイロボットも発
行している。RZ-1 と同じようにこちらには「ID-01」
(図 10 下右図参照)というロボットの
13
パーツが付属する。
図 10:低価格ロボット
2‐9
現在のロボットのエンターテイメントについて
この項目では国際的な大会・日本の大会で、エンターテイメント性のある大会の紹介を
行う。ロボットコンテストを達成することで得られる社会的メリットは決して大きなもの
ではない。たとえ達成したとしても政治や経済などへの直接的影響は大きなものではない
からである。しかし、その過程において生み出される新技術や考え方は、将来の研究への
礎となる。また、より高性能な作品を作るために研究を重ね、コンテストという明確な目
標に向けて取り組み努力することで、得られる学習経験は当人にとって多大なものとなる。
(1)ロボットコンテスト
ロボット競技とも呼ばれ、その名の通りロボットが決められた目的を達成するまでを競い
合うことを目的としたコンテストである。日本国内でも様々な種類のロボットコンテスト
が存在する。ここではよりエンターテイメント性があると思われるものを中心に、海外と
国内の二つに分けて取り上げる。
海外のロボットコンテストで有名なのがロボリンピックである[20]。アメリカ工学協会
が主催する、複数のロボットによる国際競技大会である。第一回大会は 2004 年3月 20 日、
21 日にサンフランシスコのフォートメイソン・センターで開催された。サッカーやトライ
アスロン、二足歩行ロボットによる短距離走やレスリングなど人間の行うオリンピック競
14
技を模したものが多い。またロボット競技ならではの競技として階段上りやマイクロマウ
ス、多足歩行ロボットチャレンジなどもあった。さらにはオリンピック競技に認定されて
いない相撲なども、ロボットを競わせるには適切だと考えられたため採用されている。第
一回大会での獲得メダル数は金 26、銀 23、銅 21 とアメリカが最も多く、日本は全てのメ
ダルを5つずつ獲得し、2番目に多かった。
IDC ロボットコンテストというものもあり、こちらは世界各国の大学生がロボットの性能
を競い合うというものである[21]。国際ロボットコンテストとしては異色の、大学別のチ
ームとしての参加ではない。各国の学生が混同したチームでロボットを製作する。ルール
は毎年異なるが、基本的に2つのチームに分かれて戦う形式をとっている。参加させるロ
ボットそのものも特徴的なルールを定められている。素材は運営側から与えられたものに
加え、一定金額までのカスタマイズを許可されており、素材の選択も重要なものとなって
いる。日本からは東京工業大学が参加しているが、年度によっては違う大学が参加するこ
とも考えられる。
アジア圏限定での国際大会もある。アジア太平洋放送連合が主催するABUロボットコ
ンテストがこれである[22]。1988 年に日本放送協会が主催する日本国内向けのロボットコ
ンテストが始まり、1991 年には NHK 大学ロボコンも開催されるようになった。1993 年に NHK
大学ロボコンにタイの大学が参加するようになったのがきっかけで参加国が少しずつ増加
した。なお、NHK 大学ロボコンについては後述する。一時はアメリカの大学が参加したこと
もあったが、次第にアジア太平洋圏の参加国が増えた。そのため2002年にABUロボ
ットコンテストとして、アジア太平洋放送連合が主催する大会に生まれ変わった。日本で
も地上波として放送されるので、一般認知度のある大会である。1チーム対1チームのト
ーナメント方式を採用し、目的をいかに早く達成するかを競う。2006 年現在までに6度開
催されている。2005 年当時には香港を含めた 19 の参加国の国内予選を勝ち抜いた1チーム
が参加資格を得る。なお、開催国だけは2チーム参加させることができる。第一回大会は
東京、第二回大会はタイのバンコクで開催された。第二回大会では決勝で開催国の2チー
ムが争うことになった。日本は第四回北京大会で優勝している。
上記したが、日本国内の大会では NHK 大学ロボコンが国際大会に通じている[23]。図 11
下右図は大会の様子である。2002 年からは上記した ABU ロボットコンテストの国内予選を
兼ねている。1991 年の第一回大会以降、1996 年を除き毎年一回開催されている。競技は手
動で操作可能な手動型とスタート時だけ手動操作可能な自立制御型の2種類のロボットに
分けて行われる。対戦自体は学部生3名と担当教官1名でエントリーされたチームで行わ
れる。しかし、ロボット製作に関わる人数はコレに当てはまらない。参加組織の形態が研
究室やサークル、数人の有志メンバーとバラバラでために数人から 30 人を超える大規模な
ものまで様々である。大会出場までの過程が一般的なロボットコンテストとは異なる。NHK
に提出する応募用紙には様々な項目があり、ロボットの機構や戦略、アイデアを記載する
必要がある。まずはこの応募用紙を元に書類選考が行われ、20 チーム前後がこれを通過す
15
る。同大学から複数チームが応募される場合があるが、2チーム以上が通過することは無
い。書類選考を通過して数ヶ月後、NHK によるビデオ審査が行われる。ロボットの製作状況
やテストランの模様などを撮影する。このビデオ審査をもって最終的な大会出場チームが
決定する。なお、この撮影は MHK のスタッフが各大学まで赴くため、他大学の情報はここ
ではわからない。2006 年大会は 51 大学から応募があり、書類選考で 25、最終的にビデオ
審査で 18 チームに絞られた。なお、上記の通りこの大会は ABU ロボットコンテストへの国
内予選を兼ねており、2006 年の日本代表として東京農工大学が選出された。
ロボットによる格闘用大会も存在し、全日本ロボット相撲大会や ROBO-ONE、ロボファイ
ト・ロボゴングなどがこれに当てはまる。また、ROBO-ONE とロボファイト・ロボゴングは
二足歩行ロボット限定である。
全日本ロボット相撲大会は富士通ソフト株式会社が主催している[24]。その名の通りロ
ボットに相撲を行わせる競技で、土俵から相手を押し出した者を勝者とする。第一回大会
は 1988 年。ロボットの構造、ルールが簡単なため、技術系のロボット競技会では世界最大
規模となっている。1998 年からは海外遠征も行われている。現在、ロボット相撲はロボリ
ンピックに組み込まれるまでに至った。
競技自体のルールは人間の相撲と同じく、
「ハッケヨイ、ノコッタ」の合図で開始される。
ロボットの規格は幅、奥行き共に 20cm以下、重量は3kg以下にしなくてはならない。
14 回大会から始まった 10kg級では幅、奥行き共に 30cm以下、重量 10kg以下にしな
くてはならない。なお、10kg級大会は参加人口が少なく 2008 年4回大会をもって終了す
る。操縦型と自立型が存在する。操縦型は遠隔操作が可能であるが、ロボットの操作の難
しさから自滅してしまうことも珍しくない。自立型は試合開始時にスイッチを入れた後は
遠隔操作で停止信号を送る以外、操作する手段は無い。勝敗が決しても停止信号でロボッ
トを止めなければ反則負けとなる。ロボットを止める際の事故を防止するためであり、第
十五大会からルールに加えられた。同様の理由から、ブレードと呼ばれる相手の下を取る
金属製のパーツも第十六回大会から禁止された。
大会は地区大会と全国大会で構成され、一般の部と高校生の部に分かれている。一般の
部は高校生を含め誰でも参加でき、複数の地方大会に出場することも可能である。これと
違い、高校生の部は開催地域の高校生のみが出場できる。そのため、高校生は一般の部と
合わせて出場することが多い。2005 年の第十六回全国大会では自立型で田村科学技術研究
所の TMR-H9(図11上図参照)が、手動型では三重県立四日市中央工業高校ロボット研究
所 OB の yorobo(図11下左図参照)が横綱になった[25]。
ROBO-ONE は二足歩行ロボットによる格闘競技を中心とした大会である。2004 年2月
4日に第一回大会が開催された[26]。大会名は人間の格闘大会K−1に由来している。原則
としてロボットの楽しさを伝えることが大会目的となっており、自律制御型や完全手動型
も受け入れるなど懐が広い。しかし、審査規定が自律動作となったため現在では完全手動
型では資格検査を通れなくなった。上記の通り、ロボットの楽しさを伝えることを目的と
16
しているので、競技の勝ち負けも大会の重要な要素ではあるが、格闘以外のデモンストレ
ーションでも優劣が競われている。競技もロボット同士の引っくり返しあいであり、決し
て壊しあいなどではない。
また、国内外の研究者を招くなどしており、与える影響は広範囲に渡る。企業や大学な
どの専門職、個人によるロボット開発が盛んに行われている現在、この大会が与えた影響
も少なくない。ロボットブームの中で第一回大会が開かれたことで注目を浴び、2足歩行
ロボットなど関連商品も多く発売された。現在の安価なロボットの普及にも一役買ってい
る。ロボットの普及も同大会の目的であるため、一般社会に持ち出しても誤動作を起こさ
ないロボットを求めている。技術の向上により、ルールも毎年変化している。ロボファイ
ト・ロボゴングはロボットフォースが主催、大阪を中心に開催されている。独自に発射体
ルールがある以外はおおむね ROBO-ONE と類似している。
図 11:ロボットコンテスト
ロボットによるサッカーが行なわれるロボカップ・サッカーというものも存在する[27]。
ロボカップ・サッカーは 1997 年にはじめて実施された競技で、現在ではロボカップの3つ
の大きな部門のなかでも代名詞のような存在である。ほかの2つの部門、レスキューとジ
ュニアよりもサッカーの知名度は全年齢層において高い。サッカー部門には4つのリーグ
が設けられている。その1つはコンピュータ上で行われるシミュレーション競技であるた
め、ロボットを必要としない。実際にロボットを必要とする三つのリーグは「小型リーグ」
と「中型リーグ」、そして SONY の AIBO を使用した「ソニー四脚ロボットリーグ」に分け
られている。ロボカップ・サッカーの他のロボット競技と最も異なる点として、ルールに
基づいたサッカーを行わせるためには複数台のロボットが必要な団体競技であるという点
が挙げられる。基本的なルールは実際のサッカーと同じであるため、チームプレイを行わ
なければ勝利することはできない。そのためには一台のロボット同士を競い合わせる以上
17
に、より周囲の状況を把握し適切な行動へと判断することが重要になる。また、動的に変
化する状況への対応能力も求められることになる。高度なロボットコンテストの一つだと
思われがちだが、そのエンターテイメント性にも意味がある。このロボカップは 2050 年、
ロボットによるサッカーチームがワールドカップ優勝メンバーと試合をし、かつ勝利する
ことを目標としている。何故、サッカーの世界チャンピオンに勝利することを目標として
いるのか。これは決して思い付きなどではなく、ランドマーク・プロジェクトという方法
に基づいて考えられている。目標自体は記念的意味しか持たず、達成による社会的インパ
クトも大きくはない。しかし、目標達成に至る過程の中で生み出された技術や知識が大き
な波状効果を持つという考えのプロジェクトである。ロボカップに限らず、全てのロボッ
ト競技はこのランドマーク・プロジェクトの要素を含んでいる。そしてこのランドマーク・
プロジェクトを成功させるためには、揃えるべき3つの条件がある。①目標に夢があるこ
と、②次世代産業の基盤となる技術が生み出されること、③すぐに第一歩が踏み出せるこ
との3つである。誰でもわかり、かつ夢のある目標にはインパクトがある。それによって
将来、研究の中心となる若い世代の人々をひきよせ興味を抱かせることが出来る。その結
果、この研究を継続的に成功させることが出来る。以上を踏まえた上で選ばれたのがロボ
ットによるサッカーであり、ロボットチームが世界チャンピオンに勝利するというエキサ
イティングな夢を目標に掲げているのである。目標の設定にはその最終形態のイメージも
重要なことである。この目標設定の場合、プロジェクトが成功か失敗か、どの程度まで進
んでいるかを明白に判断できるというのも選ばれた理由の一つである。
3. ゼミ紹介での学習動機付けのためのロボット活用
3−1
使用ロボットの詳細
オープンキャンパスでのロボットの活用法として、KONDO 科学より発売されている KHR-1
という2足歩行ロボットを使用する。(図 12 参照)この KHR-1 は高さ 340×180mm、重量/
約 1.2kg。関節数が 17 箇所(首1、片腕3×2、片腕3×2)。専用のニッカド電池を使用
し動作する。2足歩行ロボットでは低価格である。しかし、ロボットのスペックは、プロ
トタイプが第5回 Robo-One J クラスで優勝したことがあるほど高性能である。[28]
18
図 12:今回使用する KHR-1
3−2
ロボットの活用方法
この KHR-1 を使用しロボットにダンスモーション作成しダンスさせることにする。ロボ
ッ ト の ダ ン ス モ ー シ ョ ン は KHR-1 に 付 属 し て い る モ ー シ ョ ン 製 作 ソ フ ト ウ ェ ア
HeartToHeart を使用し作成する。ダンスモーションなどやダンスの実行は HeartToHeart を
使用すれば簡単に作成することができるためである。ダンスモーションは、HeartToHeart
の教示機能を使用し、簡単な動きを複数個作成する。教示機能とは、KHR-1 の各部(頭や腕
など)を実際に手で動かすことにより、ポジションのキャプチャーデータを HeartToHeart
が取り組むことができる機能である。この機能を使用することで、考えたモーションを自
ら考えたイメージに近い動きを再現できる。
このようにロボットを使用し、視覚的観点でどの程度ロボットの持つエンターテイメン
ト性を学習の時付けに活用できるかを実験し,検証する。そのためオープンキャンパス当
日には来場者には、複数個の設問を記載したアンケートに答えてもらい,高校生を対象と
した動機付けの有無を明らかにする。
3−3
KHR-1 の動作方法について
前項目で紹介したように、KHR-1 の動作方法は付属している HeartToHeart というソフト
ウェアを使用する。本項目では HeartToHeart の詳しい使用方法を紹介する。
19
(1)初期設定と用語説明について
HeartToHeart では、1 つ 1 つの動作を積み上げていくことで連続した動きを実現するよ
うに考えられている。この動きを作るために、ポジション、モーションそしてシナリオと
いう機能を使う。ポジションとは、ロボットの現在の形を表すデータのことである。ソフ
トウェア側では、ポジションを作成するために、ウインドウスライドバーを使用して、そ
れぞれのサーボ位置を設定するか、教示による設定で行う。モーションとは、連続したポ
ジションのデータの集まりである。ポジションから、次のポジションへの移り変わりは、
スピードで設定され、設定した数値により、その間が自動的に補完される。ロボットにさ
まざまな動作をさせる場合に、その都度モーションを指定して動作させることも出来るが、
連続した動きをさせる場合にはモーションを連続で動かした動作、シナリオを使用する。
KHR-1 を動かす前にホームポジションを設定しなければならない。初期状態の KHR-1 は重
心が後ろ側にあるため各部への負担、電池の消費率が高くなる。そのため HeartToHeart を
使用して重心を中心に設定し自立した状態にし、これらの負担を和らげるようにする。(図
13 参照)この設定後の状態をホームポジションという。始めにこれを設定しておく。
図 13:ホームポジション設定図
(2)ソフトウェアの使用方法と説明
ソフトウェアとハードウェアを繋ぐ媒体として RCB-1というコントロールボードを使用
する。このボードはサーボモータをロボットに使用した場合を想定して開発されており、
12個のサーボモータのコントロールが可能である。また、2枚のボードをリンクさせる
ことができ、最大で24個のサーボモータをコントロールできる。KONDO 科学社によって
RedVersion が持つさまざまな機能がフルサポートされており、従来の RC サーボの流用から
さらに先を行くロボットの製作が可能となっている。搭載されているソフトウェア
HeartToHeart Ver1.2 は RCB-1 用に開発されたロボット用モーション作成ソフトウェアであ
る。RCB-1が持つ機能をフルサポートし、さらにコントロールするサーボが RedVersion の
場合には、ティーチング機能を使用し、従来時間がかかっていたモーション作成がすばや
く行えるようになっている。ソフトウェアを使用するためにはパソコンにソフトウェアを
インストールする必要がある[29]。
20
図 14:HeartToHear 画面説明
HeartToHeart では RCB-1との通信に RS-232C を使用する(図 14 参照)。初期設定では通信
ポートの番号は OFF になっているために、番号を指定する必要がある。なお、この説明は
WindowsXP を例にしているため、OS のバージョンや設定によっては異なる場合があること
を明記しておく。RS―232C ポート番号の確認方法は、①デスクトップ上のマイコンピュ
ータを右クリックし、コンテキストメニューの一番下のプロパティを選択する。②プロパ
ティウインドウが表示されるので、ハードウェアのタブをクリックする。③ハードウェア
タブの内容が表示されるので、さらにデバイスマネージャをクリックする。④デバイスマ
ネージャが表示され、そのなかで「ポート(COM と LTP)
」の左側の+をクリックする。通
信ポートとして表示されるのがそのコンピュータで使用できる232C ポートである。なお、
この例の場合 COM1 と COM2の二つが使用可能である。また、232C-USB 変換アダプタを
使用している場合でもここに通信ポートとして表示されるので、ソフトウェア側ではその
番号を指定する。以下の図 15,16,17,18,19,20,21,22 を用いて手順を図解で説明する。
図 15:ポート設定画面
21
このソフトウェアはメインウインドウ、モーション編集ウインドウ、シナリオ編集ウイン
ドウ、グラフウインドウの大きく4つのウインドウから構成されている。
(3)メインウインドウ
メインウインドウの構成は以下の図 16 のようになっている。
図 16:メイン画面説明画面
図 17:ポート設定説明
図 18:ポート設置下部画面
22
上記の表にあるアイコンのうち、主に使用したアイコンは下記の5つである。
図 19:メイン画面ボタン説明
以下の箇条書きにてメインウインドウの操作ボタンにて説明する。
・ ショットボタンは教示機能を使用するときに使用する。教示用の設定ウインドウを開く。
・ データ送信ボタンはメインウインドウで作成したポジションを RCB-1 に送信し、サーボ
の動きに反映させるために使用する。データ読み出しボタンを使用して RCB-1 の現在の
データを読み込む。なお、これによって読み込まれるものはポジションのデータのみで
あり、モーションやシナリオのデータは含まれない。
・ ホーム復帰ボタンによってあらかじめ RCB-1 に登録したホームポジションの位置にサー
ボの位置を修正することができる。一度押すとサーボがフリーの状態に移行し、もう一
度押すことで確認ダイアログを表示後、ホームポジションに移行する。
・ モーションデータを編集するために、ポジションデータの集まりであるモーションデー
タの編集ウインドウを開く。
(4)モーションデータ編集ウインドウ
モーションデータ編集ウインドウでは、メインウインドウで作成したポジションの集まり
をモーションとして改めて作成する。このウインドウで主に使用するアイコンは以下の6
つである。
図 20:モーションデータ編集ウインドウ
ボタン説明
以下の箇条書きにてモーションデータ編集ウインドウの使用ボタンについて説明する。
23
・ 書き込みボタンを使用することで、現在編集中のデータを RCB-1 の「データナンバー指
定」で設定した番号に書き込む。
・ 挿入ボタンは新規に作成したモーションを、既存のモーションデータに加えるときに使
用する。
・ データナンバー指定のプルダウンメニューで RCB-1 の対象のモーションデータ番号を指
定する。
・ データ再生ボタンは「データナンバー指定」で設定した RCB-1 のデータを再生する場合
に使用する。なお、表示中のデータを再生するわけではなく、RCB-1 に転送済みのデー
タが対象となる。
・ 読み込みを行う場合、RCB-1 のデータを読み込む場合に使用する。読み込むモーション
の
番号は「データナンバー指定」で設定する。
・ 編集ボタンはデータウインドウ内で選択しているデータをメインウインドウにコピー
する場合に使用する。なお、同じことはデータウインドウ内でデータをダブルクリック
しても行える。
なお、データウインドウ内のデータはスピードの設定以外はここで編集することが出来
ない。編集ボタンを押すか、データをダブルクリックしてメインウインドウを表示させて
編集する。編集後、上書きで戻す必要がある。モーションデータの編集表示ウインドウと
メインウインドウは、いつでも切り替えて編集することが可能である。
(5)シナリオデータの編集ウインドウ
シナリオデータの編集ウインドウは、作成したモーションを連続して使用するために使用
するウインドウである。
図 21:シナリオデータ編集画面
24
このウインドウで主に使用するボタンは以下の5つのボタンである。
図 22:シナリオデータ
ボタン説明
以下の箇条書きにてシナリオデータ編集ウインドウの使用ボタンについて説明する。
・ モーション一覧読み込みのボタンは、RCB-1 内メモリのモーションデータを読み込んで、
モーションデータ一覧に表示させる。
・ 書き込みボタンは、現在編集中のシナリオデータを「データナンバー指定」で設定した
番号に書き込むために使用する。
・ 読み込みボタンは、
「データナンバー指定」で指定した番号のシナリオデータを、RCB-1
から読み込むために使用する。
・ データ再生ボタンは「データナンバー指定」で設定した RCB-1 のデータを再生するとき
に使用する。
・ データナンバー指定のプルダウンメニューは、RCB-1 の作業対象のデータ番号を指定す
るときに使用する。シナリオは 50∼53 の4個が使用可能である。なお、シナリオデー
タ編集ウインドウを開いた状態ではメインウインドウやモーションウインドウは操作
できない。
(6)注意点
作成したデータの注意点として下記の点が挙げられる。メインウインドウの操作によっ
て作成した画面上のデータ(ポジション)は、単体での保存が出来ない。ポジションを保
存するためには、これを含んだモーションとして保存する必要がある。デスクトップの切
り替えに使用されるデータは、サーボコントロールの位置のみである。ラベルプロパティ
で設定したデータの中で、表示・非表示および表示色についてはシステムに保存されるの
で、この2項目については設定以降、常に同じ状態で表示される。ラベルプロパティで設
定したそれぞれのラベルの名前は、ソフトウェアの設定ファイル内に保存されている。し
かし、データをロボットに転送した場合、ラベル名の情報はロボット側では保存されない。
その後、ロボット側からデータを読み出したデータのラベル名は、読み出した際にソフト
ウェア側で設定されている名称が使用されることになる。
25
3−3
実際のオープンキャンパスでの企画内容
2006 年度、8 月 27 日・9 月 10 日の 2 日間オープンキャンパスでゼミ紹介のデモンストレ
ーションを行う為に企画を立てた。実施時間は 12 時 30 分から約1時間で大学内の教室の
一室で行う。
オープンキャンパスでは、他学部・他ゼミの先生や学生達が同時刻にいろいろな発表を
行っている。そのため大学内に来場する方の呼び込みとしてゼミ紹介用パンフレットも複
数枚作成した。(図 23 参照)
図 23:今回作成したオープンキャンパス用のチラシ 3 種
初めに、来場者の方々に楽しんで貰うために様々なことを考えた。まず、どの様な研究
を行っているかを知ってもらうため 4 回生が取り組んでいる研究を発表する。
KHR-1 によるダンスのデモンストレーション、GRID コンピューティング、オンラインゲ
ームの作成、i アプリ対応の RPG ゲームなどの発表を行う。発表だけでなく、ゲームを体験
してもらうためタイピングゲームも用意した。これらを5箇所、各ブースにわける。そし
て、それぞれのブースに担当者を1∼2人設置してデモンストレーションを行い、気軽に
質問を受け付けられる状態で行う。
しかし、私たち 2 人ではデモンストレーションを行うことが非常に難しいため、多くの
方々に手をお借りした。GRID コンピューティング、オンラインゲーム、アプリゲームなど
ロボット以外の説明は専門外である。そのため、私たち宇治・突田のほか同ゼミ生である
4回生、菅啓行・山本哲也・山本祐治・髙橋俊介、大学院生の麻山勇樹、3回生の大西真
之・芝池雄志・木原秀樹・矢野佑治・野口真司の計 12 人で行った。
また、来場者にはささやかなお礼としてお菓子の詰め合わせ、CD-RW を用意し渡すことに
した。オープンキャンパスのイベントのため、お礼の CD-RW にもラベルデザインも行った。
使用しやすいようシンプルなデザインに仕上げた。(右図 24 参照・左図は実際の写真)
26
図 24:ラベルデザインと実際のオープンキャンパスでの写真
3−4
オープンキャンパスでのゼミ発表の手順
ゼミ発表が 12 時 30 分から開始のため予め作成しておいたパンフレットの配布を 11 時ほ
どから開始する。パンフレットの配布は3回生の大西真之・芝池雄志・木原秀樹・矢野佑
治・野口真司の5名にお願いした。
ゼミ発表が始まるとまず初めに来場者には発表内容を把握してもらうため簡単な説明を
行う。これはプレゼンテーション方式で Microsoft Office PowerPoint 2003 を使い説明す
る。PowerPoint には各ブースの特徴を1ページにまとめてもらっている。このプレゼンテ
ーションでゼミ発表の全体の簡単な概要を説明するのである。プレゼンテーションの時間
は5分ほどである。その後、来場者にはアンケート用紙をくばり興味を持ったブースへ移
動してもらい、ブース担当者の説明に耳を傾けていただく。
ゼミ発表全体のプレゼンテーションには山本祐治、ロボットブースには突田・宇治の2
名、オンラインゲームのデモンストレーションには高橋、GRID コンピューティングの説明
には菅、アプリゲームの担当は山本哲也、タイピングゲームのブースには麻山とそれぞれ
担当についてもらう。
ロボットの活用方法は次項で詳しく述べる。よってこの項ではその他の内容を簡単に述
べる。
オンラインゲームのデモンストレーションでは、高橋の研究課題であるプログラムを提
供して頂き、そのプログラムを実行しプロジェクターで映し出した。そして、作成手順や
どのようなゲームであるか実際操作し説明を行った。(図 25 左図参照)
アプリゲームは教室内のパソコンにあらかじめデータを入れゲームを起動させた。そし
て、ゲームを動かしプログラム言語の説明などおこなった。実際キャラクターをキーボー
ドで動かしてもらい遊んでもらった。このゲームはキャラクターのデザインからシナリオ
まで完全自作である。そのため、キャラクター・マップデザインのラフ絵(下書き)など
を資料として置いておいた。また、これらの資料は興味ある方のために持ち帰ってもらえ
るようにした。(図 25 右図参照)
27
これらの2つには、普段携帯電話や家庭用ゲーム機などで身近に遊んでいるゲームの作
成手順を知ってもらうことを目的とした。そして、ゲーム作成からコンピュータプログラ
ムに興味を持ってもらえればと思いデモンストレーションを行った。
GRID コンピューティングの内容は、2005 年,11 月 23 日に行われた関西テクノアイデアコ
ンテスト主催「関西テクノアイデアコンテスト 05」が行われ、同ゼミ生菅啓行・山本祐治
の研究内容である「並列化コンパイラを組み込んだダイナミックグリッド統合環境の構築」
が、アイデア賞を受賞した。そのときに行ったプレゼンテーション発表時の PowerPoint の
内容を説明した。(図 26 参照)
関西テクノアイデアコンテストとは:京都大学国際イノベーション機構ベンチャー・ビ
ジネス・ラボラトリーと財団法人近畿地方発明センターが毎秋 11 月に行っているコンテス
トである。身近な生活に役立つ技術から最先端技術までの幅広いアイデアを,高校生・大学
生などを対象に広く募り、審査により表彰するというもの。[30]
上記の3項目だけでは来場者は私たちの発表に耳を傾けるだけになってしまいエンター
テイメント的性が発揮できない。そのため、実際パソコンで遊んでもらえるようにタイピ
ングゲームのブースを用意した。単純なタイピングゲームであるが遊び感覚でパソコンの
練習ができるため喜んでもらえると思う。
図 25:オープンキャンパス発表内容
図 26:「関西テクノアイデアコンテスト 05」での写真
28
4. オープンキャンパスでのロボットの活用
4−1
ロボットを利用したエンターテイメント性の考察方法
第3章で提案したようにオープンキャンパスでのロボットの活用法として、
HeartToHeart を使用してダンスモーションを作成して実際にロボットにダンスをさせる。
ホームポジションを設定した KHR-1 を用意し、ダンスモーションの編集を行う。
ダンスモーションを 10 個考え HeartToHeart の教示機能を使用し作成する。ここで作成し
た数種類のモーションをシナリオの編集を行い1つ1つのモーションとして作成する。そ
の次に数種類のモーションを HeartToHeart に読み込ませる。読み込ませた複数のデータで
シナリオの編集をし、再生させることでダンスモーションが完成する。
完成したモーションはシナリオとしてデータを保存し、オープンキャンパス当日に
HeartToHeart を使用し KHR-1 にダンスさせる。ダンスモーションは 10 数個のモーションを
繋ぎ合わせることで完成した。この KHR-1 のダンスを今回のオープンキャンパスのメイン
イベントとしている。ダンス時間はおよそ1分 30 秒程度である。
そしてもう1つ来場者の方にもロボットを実際に触れてもらい動かしてもらえる様提案
する。そのためには来場者用に HeartToHeart を設定しなければならない。HeartToHeart を
使用すると各部の動作も簡単に行えると記載できるが初めて見た人には難しい。これは見
ただけではどのチャンネルラベルが KHR-1 のどの箇所に対応しているかがわからないため
である。そのため来場者にも簡単に動かしてもらえるように HeartToHeart 起動時の画面を
わかりやすく変更した。チャンネルラベルの動作部分に各連動部分の名称を記入し、各部
対になっているラベルの色を変更し見やすくしておく。また未対応なチャンネルラベルも
削除しておいた。(図 27 参照)この様に設定した HeartToHeart を起動させておくことで来
場者にも簡単に動作しやすくなる。
図 27:ラベル変更前の図と変更後の図
29
これらを設定した画面を表示させるため HeartToHeart を起動させる。チャンネルラベル
を表示させたパソコンに KHR-1 を 1 台接続し用意しておく。その後、私たちがロボットの
動作環境を設定しておき、チャンネルラベルの数値をドラッグすることで対応箇所が動く
のである。これらの設定を行うことで簡単にロボットを動作させる体験できるようになっ
ている。
この様に前項目で紹介したオンラインゲーム・アプリゲームの作成手順の紹介、グリッ
ドコンピューティングの発表、タイピングゲームの体験を含めた4種類と KHR-1 を使用し
たロボットの発表の5つの発表をオープンキャンパスで行った。
4−2
体験授業後のアンケート結果
オープンキャンパスに参加していただいた方々にはアンケートに答えていただいた。ア
ンケートの回答数は全部で 28 名分である。
アンケートでは「阪南大学経営情報学部を受験したいと思っていますか?」、「体験授業
を聞いた後、あなたの阪南大学経営情報学部に対する印象はかわりましたか?」、「体験授
業後の気持ちの変化はありましたか?」という3つの設問をした。この3つのアンケート
結果は図 28 図を参照。
体験授業前の「受験したいと思っていますか?」の設問に対して、
「まだわからない」
・
「受
験するつもりはない」と答えた方々は 28 名中 18 名いたのである。しかし、体験授業後で
は、「今まで以上に受験したくなった」と答えた方は9名。半数の方々の受験したい気持ち
が強くなったのである。また、「気持ちに変化はない。」と答えた方は6名。「受験する気持
ちが弱くなった」と答えた方はいなかった。残りの2名は未回答である。(図 28 参照)
図 28:オープンキャンパスでのアンケート結果
また、「この授業に参加しようと思ったのはなぜですか?」
、「体験授業の感想を教えてく
30
ださい。」の設問も同時に行った。
「参加しようとしたのはなぜですか?」の問いに、「テーマが面白そうだったから」と答
えた人が 20 人おり全体の 71%であった。これは普段見慣れない物であるロボットの効果が
大きいと考える。それはアンケート結果からうかがうことできる。
また、「体験授業の感想を教えてください。」と問いでは、「とても面白かった・まぁ面白
かった」と答えた人は27人いた。これは全体の 96%である。少なからず来場者のほとんど
が「面白い」と感じていることがうかがえる。
(図 29 参照)
図 29:オープンキャンパスでのアンケート結果2
体験授業の感想を自由に記述してもらう欄には次のような感想が述べられている。
図 30:体験授業の感想
これらのアンケート結果から、オープンキャンパスでのゼミ紹介で行った企画では来場
者の方に十分楽しんでもらえたことがわかる。また、来場者の中から「自分も大学生にな
ってロボット作成をしてみたい。」と、アンケートに記入してくれる人がいるなど、ロボッ
31
トにはエンターテイメント性があるであると証明できた。
4−6 ロボットを活用した考察の結果
オープンキャンパスで行った体験授業のアンケートの結果から半数以上の方から「今ま
で以上に受験したくなった。」との回答を得ることができた。また、アンケートの参加理由
の欄でも「テーマが面白そうだったから」と回答した人が 7 割ほどいた。そして、アンケ
ートの感想の欄からも「とても面白かった・まぁ面白かった」と答えた人が 96%でほぼ全
員の方が面白いと思ってくれることが結果として得ることができた。このようにエンター
テイメント性を利用した学習の動機付けの場を提供することがこれらの結果を導き出した。
そしてこれらのことを総合した結果、今回行ったオープンキャンパスでのロボットのエ
ンターテイメント性を利用した学習の動機付けが成功したということを証明することがで
きた。
5. まとめ
2章で述べたとおり、ランドマークプロジェクトとは誰でもわかりやすく夢のある研究
であり、研究過程から生まれた科学技術を世界へ還元することを目的としている。ランド
マークプロジェクトの一環としてのロボットコンテストは人々に夢を与えることを最大の
目的のひとつとしている。夢を与えることで次世代を担う若者を引き付けるのである。そ
のことにより若者のロボットへの研究意欲を高め、学習に関心を持たせ、結果的に理科離
れを防ぐこととなる。
また、実際オープンキャンパスで行った学習動機付けの場の提供時に行ったアンケート
の結果をみると、参加理由に「テーマが面白そうだったから」と答えた方が多くいた。そ
して、参加後の感想として「とても面白かった・まぁ面白かった」と答えた方がほとんど
であった。これらのことから、ロボットをダンスさせることで視覚的観点からエンターテ
イメント性をアピールすることができたことがわかる。そして、ロボットのエンターテイ
メント性を利用した学習の動機付けにつながることが証明できた。
しかし、今回はロボットの動作は HeartToHeart を利用し、KHR-1 とパソコンを有線で繋
ぐことで動作させるものであった。これを別売りのキットを利用し無線化させることを第
一として、その後複数台の KHR-1 を一斉に動作させることが課題として残った。また、エ
ンターテイメント性を高めるためにも無線化することは重要である。その理由は複数台の
KHR-1 を同時に動かすことが可能になり視覚的にエンターテイメント性の向上に繋がる。
32
6.参考文献
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http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/daisuki/main10_a4.htm
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人工知能学会
編集
オーム社
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Takayuki KANDA
[4] 「知の科学」コミュニケーションロボット-人と関わるロボットを開発するための技
術-3P 石黒 浩・宮下敬宏・神田崇行 共著 人工知能学会 編集 オーム社 出版 2005
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[5] http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/stt012j/feature3.html
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[15]
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81
%AE%E4%BA%80
[16]
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%8
1%AE%E4%BA%80
[17]
http://images.google.co.jp/imgres?imgurl=http://www.museum.or.jp/IM/report/museu
m_report/messe2000/m02.jpg&imgrefurl=http://www.museum.or.jp/IM/report/museum_re
port/messe2000/messe.html&h=125&w=200&sz=14&hl=ja&start=1&tbnid=AcspWV-uvDPIDM:&
tbnh=65&tbnw=104&prev=/images%3Fq%3D%25E3%2582%25A2%25E3%2583%258B%25E3%2583%259
E%25E3%2583%2588%25E3%2583%25AD%25E3%2583%258B%25E3%2582%25AF%25E3%2582%25B9%25E
3%2580%2580%25E3%2582%25B7%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25A9%25E3%2582%25AB%25E3%258
3%25B3%25E3%2582%25B9%26svnum%3D10%26hl%3Dja%26lr%3D%26sa%3DN
[18] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%BC
[19] http://www.de-club.net/rbz/
[20]
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%AA%E3%83%B3%E3
%83%94%E3%83%83%E3%82%AF
[21]
http://ja.wikipedia.org/wiki/IDC%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B3%E3
34
%83%B3%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88
[22] http://ja.wikipedia.org/wiki/ABU%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%82%B3%E3%83%B3
[23]
http://ja.wikipedia.org/wiki/NHK%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%82%B3%E3
%83%B3
[24]
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83
%83%E3%83%88%E7%9B%B8%E6%92%B2%E5%A4%A7%E4%BC%9A
[25] http://www.fsi.co.jp/sumo/
[26] http://ja.wikipedia.org/wiki/ROBO-ONE
[27] 大人のための徹底!ロボット学-最新テクノロジーから、ロボカップまで- 23P 北野
宏明 著 PHP 出版
[28] http://www.kondo-robot.com/
[29] KHR-1 付属 CD-ROM PDF ファイルより
[30] http://www.vbl.kyoto-u.ac.jp/Contest/index.html
35
謝辞
2006 年 8 月 27 日・9月 10 日大学内で行われたオープンキャンパス時、オープンキャンパ
スの準備をお手伝・GRID コンピューティングのプレゼンテーションを行って頂いた本学経
営情報学部経営情報学科の花川ゼミ4回生菅啓行氏に感謝いたします。同オープンキャン
パス時、ゼミ紹介のプレゼンテーション・GRID コンピューティングのプレゼンテーション
を行って頂いた本学経営情報学部経営情報学科の花川ゼミ4回生山本祐治氏に感謝いたし
ます。オープンキャンパス時、オープンキャンパスのゼミ紹介の為、研究内容であるプロ
グラムを提供・資料を作成して頂いた本学経営情報学部経営情報学科の花川ゼミ4回生高
橋俊介氏に感謝いたします。オープンキャンパスの準備の為、ロボットの動作環境の設定・
当日の発表のサポートを行って頂いた本学経営情報学部経営情報学科の花川ゼミ4回生山
本哲也氏に感謝いたします。ロボットの動作についてご教授いただき、オープンキャンパ
ス時、アンケート用紙の配布・回収をしていただいた本学経営情報学部経営情報学科の花
川ゼミ大学院生である麻山勇樹氏に感謝いたします。研究においてすばらしいアドバイス
をしてくださった本学経営情報学部経営情報学科の花川ゼミ大学院生である池宮直氏に感
謝いたします。オープンキャンパス時、発表前の勧誘で作成したパンフレット配布を行っ
ていただいた本学経営情報学部経営情報学科の花川ゼミ3回生大西真之氏に感謝いたしま
す。オープンキャンパス時、発表前の勧誘で作成したパンフレット配布を行っていただい
た本学経営情報学部経営情報学科の花川ゼミ3回生芝池雄志氏に感謝いたします・オープ
ンキャンパス時、発表前の勧誘で作成したパンフレット配布を行っていただいた本学経営
情報学部経営情報学科の花川ゼミ3回生木原秀樹に感謝いたします。オープンキャンパス
時、発表前の勧誘で作成したパンフレット配布を行っていただいた本学経営情報学部経営
情報学科の花川ゼミ3回生矢野佑治氏に感謝いたします。第三者の視点でのアドバイスを
頂いた本学経営情報学部経営情報学科の尾花将輝さんに感謝いたします。オープンキャン
パス時、発表前の勧誘で作成したパンフレット配布を行っていただいた本学経営情報学部
経営情報学科の花川ゼミ3回生野口真司氏に感謝いたします。文章構成においてアドバイ
スを頂いた本学経営情報学部経営情報学科の今出勝規氏に感謝いたします。オープンキャ
ンパスの発表のため、プロジェクターなどの備品をお貸しいただいた教務課の皆様に感謝
いたします。オープンキャンパスの準備で使用するコピー機などの備品をお貸しいただい
た入試広報部の皆様に感謝いたします。夜遅くまで教室を使用し、その戸締りなどでご迷
惑をおかけした本学の警備員さんに感謝いたします。本論文作成時に応援していただいた
本学生協にお勤めするパートのおばさんに感謝いたします。多くのご指導とご迷惑をおか
けした花川典子先生に感謝いたします。
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