まてりある通 信 - 三菱マテリアル

株主の皆さまへ
連結事業概況
〈特集1〉
四輪駆動型経営の実現に向けて
〈特集2〉
セメント事業カンパニー
まてりある通 信
平成19年4月1日から平成20年3月31日まで
証券コード:5711
目次
B r e a k - t h r o u g h 10 0 0
Break-through 1000
1
株主の皆さまへ
2
連結事業概況
3
セ メ ン ト
銅 事 業
事 業
〈特集1〉
四輪駆動型経営の実現に向けて 7
〈特集2〉
セメント事業カンパニー
9
会社情報
13
株式情報
14
四輪駆動型経営
(4コア事業)
加 工 事 業
電 子 材 料
事 業
4コア事業の成長戦略推進による進化と変革
当社グループは、中期経営計画(2007-2009年度)
「Break-through(ブレイク
スルー)1000 ∼1000億円企業を目指して∼」において、異なるビジネスモデル
を持つセメント、銅、加工および電子材料の 4コア事業を核とした「四輪駆動型
経営」を実践しております。
4コア事業の事業基盤をより強固なものとし、複合企業体である強みを活かしな
がらも成長機会を逃すことなく絶えず進化と変革を志向し、1,000億円超の連結
経常利益を安定的に計上できる会社を目指すこととしております。
本報告書に記載されている当社グループの現在の計画、戦略などのうち、歴史的事実でないものは、将来
の実績などに関する見通しであり、
リスクや不確定な要因を含んでおります。そのため、
実際の業績などは、
表紙の写真:三菱伸銅(株)若松製作所
1
様々な要因の影響を受け、これら見通しと大きく異なる可能性があります。
株主の皆さまへ
株主の皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚く御
礼申し上げます。
このような状況のもと、当社グループでは、外部事業環境
の変化があっても、1,000億円超の連結経常利益を計上で
ここに、
「まてりある通信 報告書」
(平成19年4月1日から平成
きる安定的な収益基盤の構築を目指して、平成19年4月か
20年3月31日まで)
をお届けいたします。今回より、株主の皆
らの3事業年度を対象期間とする中期経営計画「Break-
さまの当社事業内容に対する理解をより深めていただくため、
through(ブレイクスルー)1000 ∼1000億円企業を目
内容を一新しております。当社グループの4コア事業を核とし
指して∼」に基づき、四輪駆動型経営の実現を図るとともに、
た四輪駆動型経営の実現に向けた取り組みを7ページから
成長3分野(自動車、情報・エレクトロニクス、環境リサイクル)
8ページにご紹介しておりますとともに、特に、4コア事業の
への集中投資などの諸施策を積極的に実施してまいりました。
ひとつにスポットをあて、その詳細をご紹介することとしてい
この結果、当期の連結決算につきましては、売上高、営業利
ます。今回は、第1回目として「セメント事業」を9ページか
益、経常利益、当期純利益の全てにおいて過去最高となり、特
ら12ページにご紹介しておりますので、是非ご覧ください。
に連結経常利益については、6期連続の増益および4期連続
の最高益更新を達成いたしました。
当期(平成20年3月期)の当社グループを取り巻く事業環
今後の事業環境につきましては、自動車関連やシリコン関
境につきましては、セメント需要の減少や原材料・燃料価格
連分野で好調を持続することが見込まれるものの、銅の買鉱
の上昇などによる収益悪化要因がありましたが、銅をはじめ
条件悪化、原材料・燃料価格の高止まり、円高の進行など、先
とする主要金属価格が高水準を維持したことに加えて、
自動車、
行き不透明な状況にあります。こうした中、当社グループとし
情報・エレクトロニクスおよびシリコン関連分野が引き続き
ましては、中期経営計画に掲げた諸施策を着実に実施するこ
好調であるなど、総じて順調に推移しました。
とで、経営基盤をさらに強化してまいります。世界規模の総
合素材メーカーであることの強みを余すことなく発揮し、株
主の皆さまのご期待にお応えすることができる最強の複合事
業集団を目指してまいります。
株主の皆さまには、倍旧のご支援、ご協力を賜りますよう
お願い申し上げます。
平成20年6月
取締役社長
2
連結事業概況
平成20年3月期連結決算ポイント
セメント需要減少、原材料・燃料価格上昇など懸念材料が増したものの、金属価格が高水準で
(平成19年4月1日から平成20年3月31日まで)
推移したことに加えて、自動車、情報・エレクトロニクスおよびシリコン関連分野が引き続き
売上高・損益
売上高
(億円)
営業利益
(億円)
(億円)
経常利益
1,200
1,600
900
13,500
900
1,200
600
9,000
600
800
300
4,500
300
400
0
0
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
0
0
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
当期純利益(純損失)
(億円)
18,000
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
-300
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
(単位:百万円)
平成16年3月期
平成17年3月期
平成18年3月期
平成19年3月期
平成20年3月期
1,659,286
948,237
984,776
1,143,699
1,452,108
営業利益
43,422
54,084
68,981
78,758
100,146
経常利益
36,124
50,505
80,759
107,188
135,984
当期純利益(△は純損失)
△5,323
16,374
58,802
71,382
74,268
売上高
バランスシート
総資産
(億円)
純資産
(億円)
(億円)
自己資本
6,000
4,800
32
15,000
4,500
3,600
24
10,000
3,000
2,400
16
5,000
1,500
1,200
8
0
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
0
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
0
自己資本比率
(%)
20,000
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
0
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
(単位:百万円)
平成16年3月期
平成17年3月期
平成18年3月期
平成19年3月期
平成20年3月期
総資産
1,435,114
1,420,824
1,609,445
1,773,899
1,856,276
純資産
183,885
196,901
303,560
481,970
520,289
自己資本
183,885
196,901
303,560
411,165
463,255
自己資本比率
3
12.8 %
13.9 %
18.9 %
23.2 %
25.0 %
好調であるなど、総じて順調に推移。安定収益体制確立のための複合事業経営の成果により、売上高、
営業利益、経常利益、当期純利益の全てにおいて過去最高の業績を達成。
キャッシュ・フロー
(億円)
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー
(億円)
(億円)
1,600
400
400
1,200
0
0
800
-400
-400
400
-800
-800
0
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
-1,200
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
-1,200
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
(単位:百万円)
平成16年3月期
平成17年3月期
平成18年3月期
平成19年3月期
平成20年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー
40,819
80,505
55,793
117,671
154,139
投資活動によるキャッシュ・フロー
△21,450
△31,206
899
△74,753
△110,943
財務活動によるキャッシュ・フロー
△19,749
△50,931
△51,241
△3,428
3,010
設備投資額、減価償却費推移
設備投資額
(億円)
(億円)
有利子負債、デット・エクイティレシオ
減価償却費推移
(億円)
有利子負債
(倍)
800
800
10,000
5.00
600
600
7,500
3.75
400
400
5,000
2.50
200
200
2,500
1.25
0
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
0
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
0
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
0
デット・エクイティレシオ
16/3 17/3 18/3 19/3 20/3
(単位:百万円)
平成16年3月期
平成17年3月期
平成18年3月期
平成19年3月期
平成20年3月期
設備投資額
38,941
49,506
52,558
66,484
75,646
減価償却費推移
49,318
47,919
47,684
49,416
59,518
792,086
737,717
691,255
685,187
690,313
有利子負債
デット・エクイティレシオ
4.3 倍
3.7 倍
2.3 倍
1.7 倍
1.5 倍
4
連結事業概況
セグメント別概況
セメント
事業
●セメント ●骨材
売上高
●セメント二次製品
営業利益
20年3月期
1,867億円
●生コンクリート ●建材
20年3月期
139 億円
(億円)
(億円)
2,400
200
1,800
150
1,200
100
600
50
●平成20年3月期の概況
国内セメント事業は、建築基
準法改正の影響による需要
減、燃料費増で苦戦し、減益。
0
銅事業
17/3
18/3
19/3
20/3
●銅製錬
売上高
●銅加工製品
7,996億円
0
米国セメント事業は、サブプ
ライムローン 問 題 の 影 響に
よる需要減で減益。
17/3
18/3
営業利益
20年3月期
19/3
20/3
20年3月期
460 億円
(億円)
(億円)
●平成20年3月期の概況
銅地金は、銅価格が高水準を
維持したことやインドネシア・
10,000
600
7,500
450
5,000
300
好調に推移し、増益。銅加工
2,500
150
品も基板メッキ用銅ボール
カパー・スメルティング社の
0
●超硬工具 ●機能部品
加工事業
17/3
18/3
売上高
●高性能材料
19/3
20/3
0
が堅調に推移し、増益。
17/3
18/3
営業利益
20年3月期
1,708 億円
●ダイヤモンド工具
操業が順調であったことから
19/3
20/3
20年3月期
193 億円
(億円)
(億円)
2,000
240
1,500
180
1,000
120
500
60
0
0
●平成20年3月期の概況
超硬製品は、国内は、自動車
関連需要などが減少したもの
の、海外向け需要が、概ね堅
5
17/3
18/3
19/3
20/3
調に推移し、増益。高性能材
料は、原料価格高騰の影響に
より、減益。
17/3
18/3
19/3
20/3
電子材料
事業
売上高
●機能材料 ●電子デバイス製品
●多結晶シリコン ●化成品
営業利益
20年3月期
957億円
20年3月期
143億円
(億円)
(億円)
●平成20年3月期の概況
機 能 材 料は、半 導 体 関 連 製
品などが堅調で増益。電子
1,200
160
900
120
600
80
の減収により減益。多結晶シ
300
40
リコンは、300mmシリコン
デバイスは、車載関連製品が
0
アルミ
事業
17/3
18/3
19/3
20/3
●アルミ缶
売上高
●アルミ圧延・加工品
1,704 億円
0
好調であったが、海外子会社
ウェーハ向けが好調で増益。
17/3
18/3
営業利益
20年3月期
19/3
20/3
20年3月期
53億円
(億円)
アルミ缶は、コストダウン、
(億円)
2,000
80
1,500
60
1,000
40
500
20
●平成20年3月期の概況
販売数量増および販売価格
の改定効果が寄与し、増 益 。
0
その他
事業
●エネルギー ●貴金属製品
17/3
18/3
売上高
●環境リサイクル関連
19/3
20/3
0
アルミ圧延・加工品は販売数
量減で、減益。
17/3
営業利益
20年3月期
4,483億円
●不動産等
18/3
19/3
20年3月期
95億円
(億円)
120
3,600
90
2,400
60
1,200
30
17/3
18/3
19/3
20/3
0
17/3
18/3
19/3
●平成20年3月期の概況
エネルギー関連は、増収増益。
(億円)
4,800
0
20/3
貴金属事業は、増収減益。
20/3
6
特 集 1:四 輪 駆 動 型 経 営 の 実 現 に 向 け て
四輪駆動型経営
中計数値目標の見直し
中計初年度である平成19 年度においては、
中長期的な成長に向けて投資を加速させたことから、中計3ヶ年
4コア事業の中長期的な事業成長の布石として
の設備投融資計画総額は2,500億円から4,100億円に増加す
各事業の成長ドライバーの拡大、強化のための
設備投融資を決定いたしました。
セ メ ント 事 業
銅事業
ることになります。これにより、デット・エクイティレシオは当初
計画に対しては未達となりますが、設備投融資による効果が
利益水準を押し上げることから、中計最終年度である平成21
米国セメント事業強化のためのロバートソン・
レディ・ミックス社の連結子会社化
セメント事業は、
「 環太平洋地域のメジャープ
が 米 国 カリフォル ニア 州 の「ロバ ートソン・
レイヤー」を目指し、日本では収益改善と製造
レ ディ・ミックス 社 」
( 以 下 R R M 社 )持 分 の
コスト削減による収益基盤の強化、米国では
36.7%を追加取得し、持分を70%まで拡大
セメント製造・輸入販売から生コンクリート・
させました。これにより当事業は、RRM社の
骨材事業まで手がける強みを発揮し、特に川
高い収益力と、南カリフォルニア地域の将来性
下分野を拡大することを基本戦略としてきま
を背景とした磐石な川下分野を持ったことに
した。その一環として、約900億円を投じ当
なり、今後の米国セメントおよび生コンクリート
社連結子会社である米国三菱セメント開発社
事業のさらなる強化・拡大を見込んでいます。
伸銅2社の完全子会社化と三菱伸銅(株)の新発足
銅事業は、銅製錬から銅加工までの垂直統合
が合併し新・三菱伸銅(株)が誕生しました。こ
により付加価値を増大させ、安定収益の底上
の合併により新会社は伸銅品国内生産量の
げを図ってきました。銅製錬では、三菱連続
シェア17%、条製品国内生産量のシェア25%
製銅炉・反射炉の両方を持つ強みを活かした
という国内最大の伸銅メーカーとなりました。
リサイクル処理の強化により、世界トップレベ
当社グループの開発力、技術力、人材を融合
ルのコスト競争力を達成しました。銅加工で
させ、
「開発力、品質、収益力で世界トップク
は、三菱伸銅(株)と三宝伸銅工業(株)を当社
ラスの銅加工企業」を目指します。
の完全子会社とし、平成20年4月1日に両社
7
Break-through 1000
年度の連結経常利益目標を次の通り見直しいたしました。
平成19年3月公表目標
大型投資案件の実行により、財務体質改善は一時的にペースダ
見直し後目標
平成21年度目標
目標修正
1,000億円超
1,100億円超
ウンいたしますが、利益成長とあわせ、財務体質改善を重要な
連結経常利益
経営課題と位置づけ引き続き取り組んでまいります。
ROA(総資産経常利益率)
5%超
5%超
デット・エクイティレシオ※
1.4倍
1.5倍
※デット・エクイティレシオ:有利子負債÷自己資本
加工事業
超硬インサート事業基盤強化投資
加工事業は、
「 世界の自動車、航空機、情報産
を製造する当社連結子会社の日本新金属
(株)
業のバリューサプライヤーとなる」ことを志向
においては、同社秋田工場敷地内にタングス
しており、成長ドライバーである超硬工具事業
テン粉末工場を新設し、インサート生産能力
に総額約133億円を投じ、製造・販売体制を
増強に伴う原料供給増に対応します。販売体制
強化します。具体的には、インサートの主力製
では、平成21年度までに全世界で営業要員を
造拠点である筑波製作所敷地内に工場棟を
約30%増員(対平成18年度比)
し、平成21年
新設し、薄膜コーティング・インサートを中心に
度内に加工技術のシンクタンク的機能を併せ
生産能力を引き上げます。インサートの主原料
持つ「加工技術センター」を国内に設置します。
電子材料事業
多結晶シリコン1,000トン増産
電子材料事業は、多結晶シリコン、シリコン関
四日市 工 場 の 近 隣に約 9 0 , 0 0 0 m 2 の 建 設
連製品並びに柱状晶シリコンを事業の核とし
用地を購入し、第一段階の起業として1,000
て位置づけてきました。中でも多結晶シリコン
トン/年の生産能力増強となる設備増強工事
は、発展途上国などにおける半導体市場の拡
を平成22年1月の竣工予定で行います。将来
大や太陽電池向けなど一層の需要増が予想
的には、同敷地内でさらに3,000から4,000
されており、予てより検討してきました多結晶
トン/年の増産計画も検討しており、本起業
シリコンの増産起業を実施し、四日市工場の
投資金額約335億円には将来の増産に備えた
生産能力を増強します。本起業では、現在の
インフラ整備などの先行投資も含んでいます。
8
特 集 2:セ メ ン ト 事 業 カ ン パ ニ ー
地域ポートフォリオ運営により環太平洋地域の
メジャープレイヤーとなる
interview
取締役副社長
セメント事業カンパニープレジデント
Q セメント事業の事業方針について教えてください。
A 当社グループが事業を手がけるのは日本、米国、中国、東南アジ
清川 浩男
アといった「環太平洋地域」です。この地域には特性の異なる市場
きよかわ
ひ ろ お
が存在し、当社グループは、これらを「地域ポートフォリオ」という
視点で事業を展開しています。
成長市場である米国では、集中投資によりセメント供給量、販売網
を拡大し、米国内での生産に加えて中国拠点からセメントを米国に
供給します。中長期的に成長が期待できる中国では、沿海部に立地し
輸出に適した日本の九州工場からセメントの中間製品(クリンカー)
日本
産廃リサイクル事業強化による
製造コスト削減により収益確保
を輸出し、将来の市場を開拓します。日本は、製造コスト低減、廃棄
物処理などの技術サポートを海外事業に対して行い、米国は日本に
配当として資金を還元します。
太平洋を取り巻くこれらの拠点において効率的に経営資源を集
中させ、高収益体質を実現することを事業方針としています。
Q 原燃料価格の高騰影響は?
A セメント製造においては、燃料として主に石炭を使用していま
すが、新興国での需要拡大や海上運賃の高騰などにより価格が上
Q 日本での事業からおうかがいします。
昇しています。
A 製造拠点は、国内最大の生産規模とコストパフォーマンスを誇
これに対し、国内産石炭の使用や、代替燃料の使用により燃料費
る九州工場のほか、横瀬(埼玉)
、岩手、青森に工場を保有しており
低減に努めているほか、企業努力を上回るコスト上昇分は販売価格
ます。当社が製造したセメントは、宇部興産(株)との共同出資会社
への転嫁をユーザーにお願いしています。
である宇部三菱セメント(株)が販売しています。
Q 今後日本のセメント事業をどのように展開していきますか?
9
Q 国内市場の状況はいかがですか?
A 当社としては、今後事業の成長を牽引するのは廃棄物リサイク
A 平成20年3月期は、改正建築基準法影響による住宅着工件数
ル事業と豊富な国内資源を活かした石灰石事業の拡大であると
の減少、民需の減少などから国内需要は前年比約6%減となりまし
考えています。また、輸出に優位な沿海部に立地する国内最大の
た。今後改正建築基準法影響の収束や住宅投資を中心とした民需
セメント工場である九州工場を有している強みを活かし、設備投資
の伸長などが予想されますが、公共投資の削減による官需の減少が
やインフラ整備が活発なアジアや中東などの海外市場への輸出も
続き、中長期的には大きな需要の増減はないと見ています。
拡大しています。
カンパニープレジデント インタビュー
事業拠点
DATA:中国
山東省烟台(セメント製造、販売)
生産能力:140万t/年
セ メ ント
クリンカー
DATA:日本
三菱マテリアル(株)
(セメント製造)
工場:九州、横瀬、岩手、青森
生産能力:計約1,100万t/年
宇部三菱セメント(株)
(セメント販売)
DATA:米国
DATA:ベトナム
DATA:シンガポール
(セメント製造、販売)
当社出資比率:19.5%
生産能力:215万t/年
米国三菱セメント開発社
(生コン、骨材事業の持株会社)
(セメント混合製造、販売)
当社出資比率:6.3%
当社グループより年間40万t輸出
売上高
営業利益
(億円)
中国
米国
日本
(億円)
中国
米国
日本
400
3,200
2,400
1,600
米国三菱セメント社(セメント製造、販売)
セメント生産能力:165万t/年
自社ターミナルより輸入販売:140万t/年
1,494
1,650
1,998
2,350
1,867
275
300
200
121
156
183
139
100
800
0
0
17/3
18/3
19/3
20/3
21/3
(計画)
17/3
18/3
19/3
20/3
21/3
(計画)
10
特 集 2:セ メ ン ト 事 業 カ ン パ ニ ー
米国
成長市場で「垂直価値連鎖」の
強みを活かし収益拡大
Q 米国での事業展開は?
を 占 める住 宅 向けは人 口 増 加 な ど を 背 景に増 加に転じるほか、
需要の過半を占める公共事業向けは安定した公共投資を背景に
堅調に推移するという見通しから、来年後半からは回復に転じる
見込みです。
A 米国西海岸のカリフォルニア州南部、ネバダ州、アリゾナ州を中
心として事業を展開しています。セメント供給については、米国三
菱セメント社がカリフォルニア州に工場とセメント輸入ターミナル
Q 米国事業の強化を重点施策のひとつとして
掲げていますが、それはなぜですか?
を所有しています。セメントは、骨材や水などを混ぜて生コンクリー
A 米国セメント需要は、移民などによる人口増加に伴うインフラ
トとして使用されるのですが、米国三菱セメント開発社は、骨材事
整備を原動力に長期的に拡大していくと考えています。全米では
業や生コン事業への出資会社で、米国三菱セメント社の安定販売
2030年には対2005年比で約23%の人口増加が見込まれて
先確保のために川下事業を展開しております。
おり、今後も安定的な需要の伸びが期待できます。
当社グループの強みは、米国において、セメントの製造・輸入から
また、当社グループが事業を手掛ける西海岸地域では、地域内の
骨材・生コンクリートの製造販売まで、つまりセメント事業の川上から
製造能力が需要に満たない分を輸入で補完するという形で需給
川下までを手掛けることにより、自社セメントを完売可能な体制が
バランスが維持されるという構図となっています。需要の増加に比
整っていることです。当社グループはこうした垂直価値連鎖の構造
例して製造能力、輸入量が増加しない背景には、米国の厳しい環境
を強みとしています。
規制により、工場や輸入ターミナルの新設が困難であるとの事情
があり、今後この構造に大きな変化はないと見込んでいます。
Q 米国市場の状況はいかがですか?
こうした安定的な需要と輸入依存傾向から、米国は今後もメイン
A 全米セメント需要は、サブプライムローン問題の影響などにより
市場であると捉え、川上から川下まで事業を手掛ける当社グループ
住宅部門を中心に減少傾向にありますが、今後全米需要の4分の1
の「垂直価値連鎖」の強みを発揮してまいりたいと考えています。
Q 米国事業強化の具体策について教えてください。
A 事業基盤の強化策として、輸入ターミナルの能力増強による販
売地域拡大、川下分野である骨材資源の確保、生コンクリート事業の
拡大などが重要だと考えております。その一環として今般、生コン
クリート・骨材の製造販売会社であるロバートソン・レディ・ミックス
社(以下RRM社)の持分を追加取得し連結子会社としたわけです。
Q RRM社とはどのような会社ですか?
セメント輸入ターミナル
(カリフォルニア州ロングビーチ)
11
A 同社は、米国西海岸に一定の距離を置いてほぼ等間隔で工場
を配置し大規模展開していることに加え、衛星によるトラック追跡
カンパニープレジデント インタビュー
システムを駆使した高度な管理システムの確立により、複数の工場
から短時間で大量の生コンクリートを効率的に供給できる強みを
中国
東南
アジア
有しています。昨今住宅向けを中心に需要の減少が見られる中、一度
に大量のコンクリートを使用する公共工事需要への対応力に優位
性を発揮しています。
また、生コン製造の主要原料である骨材について自社鉱山を保
有しております。骨材は資源の枯渇を背景に価格が高騰しており、
自社鉱山を保有することが強いコスト競争力の一因となっています。
このような強みを持つRRM社は、人口増加の著しい南カリフォル
ニアでのセメント需要増加を背景に、
高い成長率を維持しています。
膨大なセメント市場で差別化した
高品質品の販売基盤強化
Q 中国でのセメント事業はどのような状況ですか?
A 当社グループは、山東省烟台市にセメント工場、同省青島市と
江蘇省連雲港市に輸入ターミナルを有しています。烟台工場の生産
の6∼7割が米国向けの輸出販売です。
現在世界で年間25億トンのセメントが製造されていますが、そ
の約半分が中国で消費されています。中国では、セメント需要の増
Q 今後の米国における事業計画は?
A RRM社持分増加により、セメント販売基盤の強化が図られ、セ
メント供給能力の拡大が必要となります。そのため、輸入ターミナ
ルを拡張することを計画しています。増加分は全量RRM社へ販売
し、米国内の既存のセメント工場では高採算品の生産へシフトして
加が続き、特に高品質品のニーズが高まっている中、品質の優位性
による差別化と大規模かつ重要プロジェクトの受注を積極的に行い、
中国内での三菱ブランドの浸透と販売基盤の強化に取り組むこと
としています。
いく計画です。
セ メ ント 豆 知 識
資源循環型社会の構築に貢献するセメント事業
セメント事業では、廃タイヤや火力発電所から
ほか、主原料である石灰石を熱分解する際の
排出される石炭灰、下水汚泥などの廃棄物や
化学反応で大量のCO2が発生することから、原
副産物をセメント原料やエネルギー源として
料起源の温暖化ガスの排出が避けられません。
リサイクルし、有効利用しています。1450℃
日本のセメントメーカーはこれまで、廃棄物利
という超高温のセメント製造工程で処理するこ
用によるエネルギー節減をはじめ様々な技術
とで、廃棄物に含まれる有機物質は分解・無害
の開発・導入を行い、世界トップレベルのエネ
化され、二次廃棄物を発生させずにセメント原
ルギー効率を実現しています。
当社グループは、
料や燃料に再資源化できるというセメント産
今後も省エネ・廃棄物活用に努め、地球環境と
業独自の特徴があります。一方、セメント製造工
経済の持続的な発展に寄与していきたいと考
程では、製造に大量のエネルギーを必要とする
えています。
12
会社情報
会社概要
商
号
設
立
本社所在地
代
表
者
従 業 員 数
資
本
金
総
資
産
主要取引銀行
連結子会社
主要な関係会社 (平成20年3月31日現在)
(平成20年3月31日現在)
三菱マテリアル株式会社
1950年(昭和25年)4月1日
〒100-8117 東京都千代田区大手町一丁目5番1号
取締役社長 井手 明彦
4,448名
119,457百万円
1,227,138百万円
株式会社三菱東京UFJ銀行
三菱UFJ信託銀行株式会社
91社
インドネシア・カパー・スメルティング社
宇部三菱セメント(株)※
MMC ハードメタルヨーロッパ社
MM ネザーランズ社
小名浜製錬(株)
(株)コベルコ マテリアル銅管※
(株)SUMCO※
三宝伸銅工業(株)
(株)ジェムコ
(株)ダイヤコンサルタント
立花金属工業(株)
役員
13
日本アエロジル(株)※
(平成20年6月27日現在)
取締役社長
井手 明彦
取締役副社長
清川 浩男
取締役副社長
本間 久義
常務取締役
田口 洋一
常務取締役
兼本 宏志
常務取締役
吉村 寛範
常務取締役
橋本 真幸
常務取締役
加藤 敏則
取締役相談役
西川 章
取
役
岡本 行夫
常勤監査役
内藤 晉明
常勤監査役
和田 孝夫
常勤監査役
嶋田 文夫
監
役
内海 暎郎
常務執行役員
三木 眞
常務執行役員
キムボール・マクラウド
常務執行役員
板羽 健
締
査
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執
執
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執
執
日本新金属(株)
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員
平山 正徳
内山 直樹
稲葉 善明
皆川 雅之
竹内 章
稲葉 好則
井藤 希
久保 正晴
藤塚 陽一
中原 宏
半沢 正利
広田 正幸
村井 俊一
浜地 昭男
清水 隆
小林 英夫
小林慎一郎
滝沢 俊夫
粕川 哲夫
江口 哲郎
矢野 信
高橋 務
山ノ辺敬介
増田 勝彦
(株)ピーエス三菱※
米国三菱セメント開発社
米国三菱セメント社
米国三菱ポリシリコン社
米国三菱マテリアル社
細倉金属鉱業(株)
(株)マテリアルファイナンス
三菱アルミニウム(株)
三菱原子燃料(株)
三菱伸銅(株)
三菱電線工業(株)※
三菱マテリアルエネルギー(株)
三菱マテリアル建材(株)
三菱マテリアルシーエムアイ(株)
三菱マテリアルツールズ(株)
三菱マテリアルテクノ(株)
三菱マテリアル不動産(株)
三菱マテリアル プランゼー グローバル シンター ホールディング社※
ユニバーサル製缶(株)
菱光産業(株)
菱光石灰工業(株)
※は持分法適用関連会社
株 式 情 報 (平成20年3月31日現在)
株式の状況
発行可能株式総数
発行済株式総数
所有者別株式分布
2,683,162,000 株
政府および地方公共団体
自己名義株式
1,278,955,330 株
0.01%
0.06%
株主数
142,335 名
大株主
株主名
持株数(千株)持株比率(%)
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 58,091
個人・その他
金融機関
25.73%
29.82%
外国法人等
証券会社
2.08%
24.11%
4.54
その他法人
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 55,520
4.34
18.19%
株式会社三菱東京UFJ銀行
36,852
2.88
明治安田生命保険相互会社
29,279
2.29
ステートストリートバンクアンドトラストカンパニー505103 19,676
1.54
三菱重工業株式会社
1.47
18,774
三菱地所株式会社
17,397
1.36
日本生命保険相互会社
17,388
1.36
三菱UFJ信託銀行株式会社
15,923
1.25
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口4) 14,960
1.17
所有数別株式分布
1∼999株
1,000∼4,999株
0.73%
11.57%
5,000∼9,999株
4.42%
100,000株∼
10,000∼49,999株
75.12%
6.67%
50,000∼99,999株
1.49%
株価および出来高の推移(東京証券取引所)
三菱マテリアル
株価(円)
日経平均
株価(円)
1,000
20,000
800
10,000
600
0
400
三菱マテリアル
出来高(千株)
200
600,000
0
0
4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
2004
2005
2006
2007
2008
14
株主メモ
事
定
業
時
年
株
主
総
度
毎年4月1日から翌年3月31日まで
会
6月
同総会議決権行使株主確定日
3月31日
期末配当金支払株主確定日
3月31日
中間配当金支払株主確定日
9月30日
そ の 他 の 基 準 日
上記のほか必要ある場合は、取締役会の決議により
あらかじめ公告して設定
株 主 名 簿 管 理 人
三菱UFJ信託銀行株式会社
同 事 務 取 扱 場 所
東京都千代田区丸の内一丁目4番5号
三菱UFJ信託銀行株式会社 証券代行部
同
取
(
次
郵便物送付先
お問い合わせ先
所
三菱UFJ信託銀行株式会社 全国各支店
東京都江東区東砂七丁目10番11号(〒137-8081)
)
三菱UFJ信託銀行株式会社 証券代行部
フリーダイヤル:0120-232-711
単
元
株
式
数
1,000株
諸手続きメモ
●住所などの変更手続きについて
住所、届出印、配当金の振込先などを変更される場合は、三菱UFJ信託銀
行株式会社 証券代行部へご連絡ください。なお、保管振替制度をご利用さ
れている場合は、お取引証券会社を通じてお申し出ください。
●単元未満株式の買取および買増請求について
単元未満株式の買取および買増請求は、上記株主名簿管理人の事務取扱場
所または同取次所にて受付けています。なお、保管振替制度をご利用され
ている場合は、お取引証券会社を通じてお申し出ください。
お問い合わせ先:広報・IR室 Tel.03-5252-5206
http://www.mmc.co.jp/
本紙はFSC認証用紙、大豆油
インクを使用しています。