左足に詰まった希望と未来

優秀賞
明るい世の中を目指して
士別市立士別中学校3年
はたやま
畑山
ほ
の
穂乃
「どこの国とのハーフですか?」
小学二年生の時でした。習い事の帰り道、
自転車に乗った通りすがりの男性に言われた
言葉です。
私は生まれつき白皮症という症状をもって
います。白皮症とは、肌や毛の色素が欠乏す
る症状です。幼いときから一般の日本人より
肌が白く、髪は金髪でした。
当時、私はまだ小学校低学年だったため、
周りの人にそのような言葉を言われる度に、
「どうしていつも私だけ…」と嫌な思いをし
てきました。
同時に、よほど悔しかったのか、男性が通
り過ぎた瞬間に振り返って
「あの、私、日本人です。」
と小学校二年生ながら強気な口調で言った
のを今でも覚えています。
今はもうそんなことはなくなりましたが、
やはりハーフに間違われることにはまだ抵抗
があります。
しかし、この幼い頃の記憶をきっかけに、
私は人種について考えることが多くなりまし
た。
そして、この「人種」が世界中でたくさん
の問題を起こしてきたことも、目の当たりに
しました。
まず、アメリカの奴隷問題。昔、アメリカ
では黒人が奴隷として働かされ、ひどい扱い
を受けていました。当時のアメリカではさま
ざまな人種が暮らしていましたが、白人がえ
らいとされていたそうです。また、最近では
白人警察官が黒人を射殺するという事件もあ
りました。
現在のアメリカでも、人種差別が完全に無
くなったとは言い切れません。
肌の色に関係なく互いに助け合い、人とし
ての権利を尊重して生きていくべきだと私は
思います。
こういった問題は海外だけで起きているわ
けではありません。
近年日本では、中国からの観光客が増え、
そのマナーの悪さがニュースでも取りあげら
れます。
私自身、中国人=マナーが悪いと思ってし
まうことがありました。
しかしそれは、本当に正しいことなのでし
ょうか。中国人だからといって、全ての人の
マナーが悪いとは言えません。
私たちは、一つの人種というくくりで中国
の方々を見てしまうことで、一人一人の尊厳
を傷つけているように思います。
今もなお、たくさんの人種差別問題が身の
まわりで起きています。
ですが、それをそのままにしてはおけませ
ん。世界中の全ての人に、相手の人権を侵す
資格は絶対にありません。
世界中の貴族も、各国の政治家も、もちろ
ん私たち中学生も人間はみな、もっと人種と
いうものに理解を深め、差別をなくす努力を
していかなければならないと思います。
もし、日本での人種差別問題が今よりも深
刻だったとしたら…肌が白く金髪の私は、真
っ先に被害に遭っているでしょう。そう考え
ると、とても怖くなります。
アメリカで人種差別により、命を落とした
方のことを思うと、とても悲しくなります。
でも、私は今明るく人生を歩むことができ
ています。それは、私を支えてくれる人たち
がいるからです。
白皮症が原因でいじめられたこともないし、
白皮症のことを何も気にしないで仲よくして
くれる友達もたくさんいます。私を認めてく
れる周りの人へは感謝してもしきれません。
肌の色や髪の色が違ってもみんな同じ人間。
そこには等しく生きる権利があります。
多くの人に支えられて、私は今幸せに暮ら
しています。
人種に関係なく一人一人が互いに支え合い、
認めあえば、明るい世の中になるでしょう。
そんな人種差別のない世界を、私たちが率
先してつくっていきませんか。