「先輩マダムに聞く! デリー駐在温故知新」 2015 年度のデリーライフは、従来の日本人会会長インタビ ューや日本人会イベントの様子の他に皆様のインド生活に お役に立てる記事をさくら会広報部企画として掲載してい く予定です。その第 1 弾が「先輩マダムに聞く!!デリー駐 在温故知新」。 インド生活の中で頼れる存在である先輩マダムたち。今回 はインド在住通算 18 年(!)、3 度のデリー駐在経験を持 ち、現在もインドでご主人とビジネスを展開されている中 島美千子さんに「デリー駐在今昔」 「インド生活の心得」な どをお聞きしました。 毎晩大きなやかん 3 つを煮出し飲料水を作っていた 26 年前のデリー 中島さんは 1989 年、当時商社の会社員だったご主人のデ リー駐在のため渡印。5 年間をデリーで過ごし、1998〜 2001 年に 2 回目の駐在を、2006 年にはインドの自動車会社経営のため赴任したご主人とと もに 3 回目の赴任をし、その後、現在までインドで生活なさっています。 25 年以上前のインドは大変でした。携帯電話はもちろんなく、固定電話もつながりにくい 時がありました。停電は毎日数時間続き、ろうそくでの生活を強いられた事もあったといい ます。停電して暑さに耐えられなかった時は、しばしばホテルへ涼を求め避難していたとか …。ミネラルウォーターも当時なく、毎晩翌日の飲料用水を大きなやかん 3 つで煮出してい たそうです。 そんな中においても、中島さんはご 主人の仕事関係のお客様に、朝昼晩 と心を砕いた日本の家庭料理でお もてなしされていました。当時は日 本食レストランもなく、接待は自宅 で行うのが主流でした。今以上に日 本の食材が手に入らないにも関わ らず、連日のお客様。社内のご夫人 方の協力を得ながら、月に 300 名以 上のお客様をお迎えされていたと いうから驚きです。 「自分は主人とインドに戦いに来ている」という覚悟と学び 現在よりも不便な環境でご苦労も多かったことと思います。「日本に帰りたいと思ったこと はありませんでしたか?」という私たちの問いに対し、中島さんは「自分には主人とインド に戦いに来ているという覚悟があったから、そんなことは思ったことはありません」と笑顔 で答えてくださいました。 デング熱で入院し、その後の体調不 良で日本への帰国を余儀なくされ たこと、1991 年のラジーヴ・ラト ナ・ガンディー氏暗殺事件による戒 厳令で街中が閉鎖になった時のこ と。そんな大変な状況のお話を伺っ ても中島さんからマイナスの言葉 が出ることは一切ありません。 「困難な状況も、苦しい場面も、ど んなことも自分の学びにつながる」 そう考え、何事も決してあきらめな い。すべてを前向きにとらえ、自分のものにしていく。そんな確固とした信念が伝わってき ます。 中島さんはインド駐在の前にメキ シコ駐在も経験されており、その 時の先輩マダムから駐在員の妻と しての心得など多くの事を学ばれ ました。 「自分の周りには将来自分 もこんなふうになりたいと思える マダムがたくさんいらっしゃいま した。だから自分の経験も若い人 たちに伝えていけたら」という思 いから、会社の若い社員やその家 族を大切にしたいと自宅に招いて いたといいます。こういった思い やりのある計らいもご主人を支え ていたに違いありません。 ご主人を支えるためにも、自分自身が健やかでなければなりません。駐在生活をどのように 送るか?中島さんはいつも自分自身に目標を掲げ、それを達成するために努力を惜しみませ んでした。メキシコ駐在中はスペイン語を。その後のインド駐在では、ゴルフやブリッジ、 麻雀を(この3つは当時の駐在マダムに必須だったそうです)。ひとつテーマを決め、それ に打ち込み楽しむことも、ご自身を健やかに保つ秘訣だったのかもしれません。 インド人との関係。使用人とは一線を引く。友情は大切に インド駐在員の妻たちを悩ませるサーバントやドライバーとのつきあい方について、中島さ んは「一線を引くことが大切」といいます。彼らの自尊心を大切にし仕事をよくやってくれ ればきちんと評価する。けれども彼らは決して友達ではない。マダムと使用人という関係性 を崩さないことが彼らとうまくやっていくコツなのだそうです。 またインド人のお友達もたくさんいらっしゃる中島さん。インド人の友人が 250 人を集め たバースデイパーティを開いてくださったり、長年の友情が現在のビジネスの助けになった こともあったとか。インドでのご縁を大切にして来られた証です。 やっぱり聞きたい。ご主人との事 「喧嘩してもいい事なんてひとつもない」という理由からご主人との間で喧嘩も少ないとい う中島さん。どうしても直してほし いことがある時は朝の出勤の時や仕 事で疲れて帰宅した時ではなく、ご 主人の機嫌のいい時にさりげなく伝 えると効果があるのだとか。 「皆さんもインド生活は大変かもし れないけれどインド人と仕事をし、 かつ成果をださなくてはならないご 主人たちはもっと大変なのよ」中島 さんに優しく微笑みながらそう言わ れ、広報部一同思わず頭を垂れる場 面も。 中島さんが現在の駐在員の妻たちに伝えたいこと 「悪いことが起きるのはいいことの前触れ」「どんな経験も無駄にならない。必ずどこかで 活かされる」-。中島さんから出てくるのは、インドでの生活だけではなく座右の銘として 心に留めておきたくなるような言葉ばかり。そんな中島さんには今のインド駐在員の妻たち が少し歯がゆく映ることもあるのかもしれません。 「インドでの生活はチャレンジする機会。 日本を基準にいろいろなことをあきらめないで。色んな経験ができるチャンスを逃さず、イ ンドと日本の違いを楽しんでほしい」取材をさせていただきながら気が付いたらこちらが中 島さんから元気をもらっていました。 ◆取材後記◆ 最初は緊張気味だった取材班でしたが中島さんのお話に惹きこまれ、あっという間の 2 時間 半でした。毎日朝から晩までお忙しいにも関わらず、とても生き生きとしてらっしゃる中島 マダム。そんな中島マダムの若さと美しさの秘密は毎朝飲むジュースにあり!?ビーツ、ザ クロ、りんご、オレンジ、トマト、にんじん、スイカで作るジュースを欠かさないのだそう です!! ぜひ試してみてください!
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