ÿþ( c ) OKAYAMAPOLYPHONIE

OKAYAMA POLYPHONIE ENSEMBLE
第20回記念演奏会
J. S. バッハ
クリスマス・オラトリオ 全曲
岡山県早島町 ゆるびの舎 文化ホール
2004年12月26日(日)
開場 13:30 開演 14:00
J.S.バッハ 作曲
クリスマス・オラトリオ
BWV248
第Ⅰ部 《声をあげてよろこび、その日々を讃えよ》
降誕祭第1祝日用(12月25日)
第Ⅱ部 《その地方で羊飼いたちが》
降誕祭第2祝日用(殉教者ステファノの記念日、12月26日)
第Ⅲ部 《天の支配者よ、舌足らずの祈りを聞き入れよ》
降誕祭第3祝日用(使徒ヨハネ記念日、12月27日)
◇ ◇ ◇
休
憩
◇ ◇ ◇
第Ⅳ部 《感謝し、讃美してひざまづけ》
新年・割礼の祝日用(1月1日)
第Ⅴ部 《栄光あれと、神よ、汝に歌わん》
割礼後の日曜日用
第Ⅵ部 《主よ、高慢な敵がいきまくとき》
顕現節用(1月6日)
指 揮
坂本 尚史
独 唱
ソプラノ:岡﨑 順子
テノール:鏡 貴之
アルト:脇本 恵子
バス:小原 浄二
合唱・合奏
岡山ポリフォニーアンサンブル
ご あ い さ つ
岡山ポリフォニーアンサンブル
団長 有馬雄二郎
本日は年末のあわただしい時分にもかかわりませず、私ども岡山ポリフォニーアンサンブ
ルの第20回演奏会においでいただきまして、誠に有り難うございます。
-この岡山の地で、ルネサンス・バロック期の音楽を専門的に演奏活動していきたい-
そんな素朴な願いから、とある演奏会場で団員募集の粗末なチラシを配ることからわれわ
れの活動は始まりました。それから20年、われわれのコンセプトや活動は岡山のような地方
都市にあっては特異なものではありましたが、それでも同好の士が集い、その熱意と協力によ
って活動を続けることができました。どんな活動をする上でも大切なのは、人と人との出会い、
そして結びつきであるということを感じずにいられません。すばらしい仲間に出会うことができた
ことに対する喜びと、今日まで暖かくご支援をくださった皆様への感謝の気持ちでいっぱいで
す。
さて、本日演奏するクリスマスオラトリオは言うまでもなくクリスマス、つまり(キリスト教におけ
る)救い主であるイエスキリストの生誕を祝う週間および新しい年を迎える時期に合わせて、J.
S.バッハが作った6つのカンタータからなる曲集です。そのほとんどが他のカンタータからの
転用であるにもかかわらず、われわれの心に大きな感動を呼び起こすバロックの魅力がたっ
ぷりと詰まった名曲です。年末のひととき、ポリフォニックな合唱曲やコラールはもちろんのこ
と、アリアにおけるソリストと様々な小編成の楽器によるアンサンブルや、トランペット・ティンパ
ニの入ったうきうきとするような明るく華々しいこの曲を十分お楽しみください。
最後になりましたが、本演奏会を開催するに当たり、各方面より多大なご協力をいただき
ました。心より厚くお礼を申し上げまして、挨拶といたします。
プ ロ グ ラ ム ・ ノ ー ト
バッハ作曲
クリスマスオラトリオ BWV248
バッハ自身によって「オラトリオ」と題されたこの作品は、ルカによる福音書第2章とマタイに
よる福音書第2章によるキリストの降誕の物語と、嬰児イエスへの賛歌と真の王の誕生に対
するヘロデの不安とおののきを題材にしたもので、クリスマスから新年にかけての6祝日に歌
われる6曲の連作カンタータである。6つのカンタータは、自筆総譜でも別々の用紙に書か
れており、音楽的にも自立している。しかし、調性のまとまりや物語の連続性から見て、全6
曲がまとまりを念頭に置いて作曲されたことは明らかである。
クリスマスオラトリオはバッハの教会音楽の中では後期に属するものである。この作品の後、
バッハは一連のオラトリオと題する作品を書くとともに、ロ短調ミサ曲、フーガの技法と続く、そ
れまでの音楽をまとめ直して集大成していく道に歩み出していくのである。なお、オラトリオはカ
ンタータと同様にプロテスタント教会の礼拝の一部として演奏されるものである。カンタータ
がその日の聖句や福音書のテーマに基づいて構成されるのに対して、オラトリオでは連続す
る物語の筋が福音史家(エヴァンゲリスト)によって語られ、物語の登場人物、自由詩による
アリア、コラールにより展開されていく。
クリスマスはキリストの降誕を祝う大きな祝祭である。キリスト教会ではクリスマス前の四週
間を待降節と呼び、クリスマスの準備期間として喜びの日を待ち望む。バッハ時代のライプ
ツィヒでは待降説第二日曜日から第四日曜日にはカンタータなどの大規模な音楽の演奏
が控えられていた。従って、カントルのバッハにとっては落ち着いて作曲に取り組む時間的な
ゆとりがあった。曲は 1734 年に作曲されたと考えられ、その年の 12 月 25 日から翌年の 1
月 6 日にかけてライプツィヒの聖ニコライ協会と聖トマス協会を往復する形で行われた。
バッハは、既存のカンタータやアリアの旋律に新しく作詞した歌詞を当てはめ、新しく作曲し
た聖書に基づくレチタティーヴォとコラールでつなぐことによりこの曲を完成した。このような作曲
手法は「パロディー」と呼ばれている。古くは、ルネサンス時代に既存のモテットや世俗曲の
旋律を用いて作曲されたパロディー・ミサ(たとえばOPEでも演奏したパレストリーナのミサ
「Lauda Sion」など多くの例がある)。バッハのパロディーのほとんどは諸侯の誕生日や即位を
祝う「世俗カンタータ」からの転用であり、一度しか演奏される機会のないこれらの作品を教
会音楽に転用することにより演奏の機会を高めたのではないかと推定されているが、諸説
がある。バッハがクリスマスオラトリオのために新たに作曲したことが確実な曲は、レチタティー
ヴォを除くと第二部のシンフォニア(第 10 曲)、同合唱(第 21 曲)、第三部の合唱(第 26
曲)およびアルトのアリア(第 31 曲)のみとなっている。また、第五部の冒頭合唱(第 43 曲)
も新作の可能性が残されている。
樋口隆一著『バッハカンタータ研究』によれば、バッハが原曲として使用した作品として、
次の六作品が推定されている。
I.
ザクセン皇太子フリードリヒの誕生日のためのカンタータ
≪心を砕き、見守ろう【岐路のヘラクレス】BWV213、1733 年 9 月 5 日上演≫の
第1(36)、3(19)、5(39)、7(41)、9(4)、11(29)曲
(括弧内はクリスマスオラトリオの曲番号、以下同じ)
II.
ザクセン選帝候妃兼ポーランド王妃マリア・ヨゼファの誕生日のためのカンタータ
≪太鼓よとどろけ、ラッパよ響け BWV214、1733 年 12 月 8 日上演≫の
第1(1)、5(15)、7(8)、9(24)曲
III.
失われた教会カンタータ≪BWV248a≫の7曲が第6部に転用された
第1(54)、2(56)、3(57)、4(61)、5(62)、7(64)曲
IV.
アウグスト三世(フリードリヒ・アウグスト二世)のポーランド王即位記念日のためのカンタータ
≪汝の幸を讃えよ、恵まれしザクセン BWV215、1734 年≫の第7(47)曲
V.
失われたマルコ受難曲≪BWV247≫の第114(45)曲
VI.
不明の原曲が第 51 曲に転用された
なお、パロディーであるかどうかは既存の作品が残されているかどうかにかかわらず、自筆
総譜(幸いにクリスマスオラトリオでは初演時のオリジナルの手書き楽譜が残されている)の
筆跡(推敲の後があるかどうか)により推定できるのである。
第Ⅰ部(第1〜9曲)「声をあげてよろこび、その日々を讃えよ」
降誕節(クリスマス)第一祝日(12 月 25 日)用で午前中に聖ニコライ教会の礼拝で、午
後には聖トマス教会の礼拝で演奏された。歓喜に満ちた自由合唱曲に始まり、住民登録
のためのヨセフとマリアのベツレヘム帰郷、馬小屋でのイエスの誕生が語られる。第5曲で
受難のコラール旋律が聴かれる(この場合の歌詞は待降節のコラール)のは、神の子は誕
生の時から十字架上の死が定められていることを暗示しているかに思われる。
第Ⅱ部(第 10〜23 曲)「その地方で羊飼いたちが」
降誕節第二祝日(12 月 26 日)用で聖トマス教会で午前に、聖ニコライ教会で午後に演
奏された。シチリアーの風のシンフォニアに続いて、野宿しながら羊の番をしている羊飼いた
ちのもとへ天使が訪れ、救い主の誕生を告げる場面(ルカ2、8-11)を語る。全体に素朴で
朗らかな牧歌劇である。
第Ⅲ部(第 24〜35 曲)「天の支配者よ、舌足らずの祈りを聞き入れよ」
降誕節第三祝日(12 月 27 日)用で聖ニコライ教会の午前礼拝で初演された。神を賛美
する輝かしい自由合唱に続いて、羊飼いたちのベツレヘム訪問、幼子イエスとの出会い
(ルカ2,15-19)をめぐって展開される。調性、楽器編成ともに第一部に対応し、クリスマス
三が日の音楽としてオラトリオの前半を締めくくる。
第Ⅳ部(第 36〜42 曲)「感謝し、讃美してひざまづけ」
新年・割礼の祝日用で、1735 年の元日に聖トマス教会(午前)と聖ニコライ教会(午後)
で演奏された。唯一のフラット調をとり、独特な位置を占める曲である。誕生後八日経った
割礼の妃に、幼子はイエスと命名される。この名前は受胎告知の時に天使がマリアに伝え
た名で「神は救いなり」という意味が込められている。また、イエスはインマヌエルとも呼ばれる
が、これは「神は我々と共におられる」という意味である。イエスの名前をめぐる話が中心であ
り、終曲の新年用のコラールを除くと、新年を祝賀する要素はない。
第Ⅴ部(第 43〜53 曲)「栄光あれと、神よ、汝に歌わん」
新年後の最初の日曜日用で、1735 年1月2日に聖ニコライ教会の午前の礼拝で初演さ
れた。ちなみに、2005 年も当該日は1月2日である。神に栄光を捧げる冒頭合唱に続いて、
博士たちのエルサレム到着と、博士たちの告げる真の王の誕生に対するヘロデの不安とお
それ(マタイ2,1-6)がテーマである。博士たちが東方で見た星こそが救い主であり、イエスは
世の闇を照らす光であることを示している。
第Ⅵ部(第 54〜64 曲)「主よ、高慢な敵がいきまくとき」
1月6日の顕現日のために書かれ、聖トマス教会で午前に、聖ニコライ教会で午後に演
奏された。華麗な三拍子の冒頭合唱に続き、三博士が星に導かれてイエスのもとに至る場
面(マタイ2,7-12)が語られる。華麗な前奏に導かれる最後のコラールはクリスマス・コラー
ル≪お前たち、選ばれたキリスト者たちよ≫の第4節である。キリストの勝利を宣言するこのコ
ラールが受難コラールの旋律で歌われることは、キリストの誕生の意義が十字架上の死で
完結されることを示している。
<坂本尚史>
Member
指 揮 :
坂本
尚史
独 唱:
ソプラノ
アルト
テノール
バス
岡﨑
脇本
鏡
小原
順子
恵子
貴之
浄二
合 唱 :
ソプラノ
アルト
テノール
バス
合 奏 :
ヴァイオリン(1st)
ヴァイオリン(2nd)
ヴィオラ
チェロ
コントラバス
トランペット
ホルン
フルート
オーボエ
ファゴット
ティンパニ
オルガン
石川鮎子・板野陽子・岡村知由紀・柴山陽子・武田美樹
丹原由里・平松加七子・藤井友佳
板野浩子・岡本光世・行地知子・酒井理早
坂本新子・坂本真理子・左近恵美
霜山瑞穂・原田日眞子・横田久里子
有馬雄二郎・奥井伸二郎・小野正人・河合洋介
林 真一・村田知規
奥田良明・小橋示知久・坂本卓也・清水拓也
田辺真一・藤井隆志
榎本伸子・白石良子・千原敬子
角南洋子・定金陽子
宮本幸子・芦田知幸
宮本正
青木洋江
伊豆丸健・出射直子・三原一孝
濱田裕貫・松崎佳那子
葛谷光隆・清水昌美
武縄生子・都築常明・都築登史恵・横田友子
奥野倫世
野崎和雄
山本栄子
表紙デザイン:近間 文
岡山ポリフォニーアンサンブル
問合せ先 : 090-2005-7254 (団長:有馬)
URL http://park11.wakwak.com/~ope/
MAIL [email protected]