真空管アンプの利得(Gain)調整方法 R.1.0版 真空管アンプの利得(Gain)調整についてはあまり知られていないようですので 私の実験を含めてここにまとめてみました。 (真空管はヒータの灯火が綺麗な私の好きな6DJ8です。) (詳しく知りたい方は独自にお調べ下さい、エッ~無責任な。) 手作りアンプではまづは下記の項目を検討しましょう。 1)最初は回路構成で選択します。1段構成、2段構成、3段構成等 1)次に回路方式で選択します。直結、C結合、SRPP、シングル、PP、差動増幅等 1)自分の好みの真空管、大きさ、外観等を選択します。 自作の世界ですから上記のどれを優先するかは自由です。 中々思い通りにならないのが「物作りの常」ですがそんな時に参考にして下さい。 著作:JA1WBY ホームページ:http://ja1wby.art.coocan.jp/index.html 参考文献: 1)手づくりアンプのページ:http://home.h00.itscom.net/6bm8/ 2)実用真空管ハンドブック:誠文堂新光社 1)真空管アンプの増幅回路(基本形) A)アンプの「普通の基本回路」です。下図に代表的な回路図を示します。 B)通常はアンプの初段の入力(in)は0~1.0V位を想定しています。 C)アンプの初段の場合はカソード電圧を1.0V~2.0V位に設定して使用します。 D)利得は真空管のGm(u)とRK1,RP1の値できまります。 E)アンプの初段の場合はCG1、RG1を省略して使用することができます。 F)初段は勿論代表的な12AX7、12AT7,場合によっては12AU7等が使用できます。 (その他にも使用できる真空管は沢山あります。) 2)利得1(倍以下)の増幅回路 A)これは皆さんよくご存知の「カソード・フォローワ回路」があります。 下図に代表的な回路図を示します。 アンプの利得調整方法(de JA1WBY) P1/6 2006-08 r.1.0版 3)電流帰還の増幅回路 A)真空管アンプ回路でも結構見かける回路です。 基本形の回路図のカソードのコンデンサを外した回路です。 カソードのコンデンサを外すと数dbのゲイン低下になります。 利得が低下した分、歪みが改善されます。 では、同じ利得では?、音質的にはカソードのコンデンサを外すと悪化すると言われています。 下図に代表的な回路図を示します。 4)P-G帰還の増幅回路 a)これは真空管アンプ回路ではなかなか見かけない回路です。 b)これはプリアンプ回路では見かけますが?。 この回路を使用すると自由にGain調整をすることが出来ます。 GainはRB/RAできまります。(約RA=RBで1倍) 今回はこの回路を使用して特性を取りました。(6項を参照して下さい。) 下図に代表的な回路図を示します。 JA1WBY P2/6 5)NFBを使用したアンプのゲイン調整 7)項の回路ではVR01とRNF抵抗の比でゲイン調整が可能ですが この回路は本来のゲイン調整が目的ではないようです。 本来はDFの改善と音質の好みで決めるべきでしょう。(一応?を。) (勿論、NFB利用でトータルの利得調整をしている例も沢山あります。) A)代表的な回路図を示します。 この回路では電流帰還+NFBとなります。 (ゲインもかなり下がります。) 音質面ではB項(下図)より劣ります、が使用例も沢山あります。 B)代表的な回路図を示します。 a)この回路は左図、右図のどちらも同じ働きをします。 b)最近ではこちらの回路の使用例が多い。 c)RK2は小さい方が良い。(50オーム位) JA1WBY P3/6 6)P-G帰還を採用したアンプのゲイン測定例(参考) これであなたも「お好きなGainのアンプ」の製作が自由自在に出来ます。 下図は7)項の回路で取得した実験結果です。 (勿論製作は自己責任です。) Input=-20db Output=8Ω負荷 RA=30K RB=30K~350Kに変更した時のGainです。 JA1WBY P4/6 7)P-G帰還を採用したアンプの回路図(参考) 差動2段でゲイン不足を感じましたので初段アンプを追加しました。 今回は6SN7と6BX7を使用して同時に実験しました。 a)トータル利得は回路図の注2で調整します。 b)NF量はVR01とRNF1抵抗で調整します。(勿論 NF無しもOKです) (製作、改造等は自己責任です。) JA1WBY P5/6 項 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 8)P-G帰還のAMPの部品表(参考) 部品記号 品名/型格 個数 価格(円) その他 V1,V2,V4 真空管 6DJ8/6922 3 2850 V3,V5 真空管 V3=6SN7,V5=6BX7 2 4400 VR1 100KA 2連VR 1 1800 MTソケット(9pin)タイト 3 1230 USソケット(8pin)タイト 2 960 ケースYM-200 /Takachi 1 1100 T1 電源トランス PMC-100M 1 5355 T2,T3 出力トランス KA-8-54P/春日無線 2 6000 CH1 チョークコイル 4B01A 1 800 電源コード 黒 1 100 ヒユーズソケット 小型 1 80 電源スイッチ 小型 1 90 入力ジャック 赤、白 2 120 C01,C11 0.1uF 400V フイルムコンデンサー 2 200 C02,C12 0.33uF 400V フイルムコンデン 2 280 C03,C13 0.33uF 400V フイルムコンデン 2 280 C04,C14 220uF 16V 電解コンデンサー 2 40 C05,C15 22uF 350V 電解コンデンサー 2 380 C30 0.01uF400V フイルムコンデンサー 1 100 C31 0.01uF400V フイルムコンデンサー 1 100 C32 47uF 350V 電解コンデンサー 1 350 C33 47uF 350V 電解コンデンサー 1 350 C34 390uF 400V 電解コンデンサー 1 500 C35、C36 220uF 16V コンデンサー 2 40 R01,R11 240KΩ 1/2W 抵抗 2 30 R02,R12 68KΩ 1/2W 2 30 R03,R13 68KΩ 1/2W 2 30 R04,R14 330KΩ 1/2W 2 30 R05,R15 330KΩ 1/2W 2 30 R06,R16 1.5KΩ 1/2W 2 30 R07,R17 1.5KΩ 1/2W 2 30 R08,R18 10Ω 2W 2 80 R09,R19 10Ω 2W 2 80 R0a,R1a 欠番 0 R0b,R1b 33Ω 1/4W 2 20 R0c,R1c 1KΩ 1/2W 2 30 R0d,R1d 120KΩ 1/2W 2 30 R0e,R1e 20KΩ 1W 2 60 R0f,R1f 欠番 0 R30 200Ω 3W 1 50 R31 200KΩ 3W 1 50 R32 100Ω 3W 1 50 VR01,VR11 500Ω (B) 2 600 VR02,VR12 10KΩ (B) 2 600 IC30 79L05 1 100 IC01,IC11 LM317 2 200 CRD01 CRD 1mA x2 パラレル接続 2 200 CRD11 CRD 1mA x2 パラレル接続 2 200 その他 線材、つまみ、ラグ端子、ネジ、他 手持品 小計 30065 注)この部品表の値段は参考です。 この値段で販売されることを保障するものではありません。 敬称は省略。更新日 2006/08/20 ja1wby JA1WBY P6/6
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