授業からフィールドへ -アジア文化演習の事例から

アジア文化演習の事例から
正 信 公 章(文学部アジア文化学科)
Ⅰ 授業の特色と実施概要
04 年度,担当者が対象に選定した授業科目は「アジア文化中級演習1 C ・2 C」と「アジア文
化上級演習1 F ・2 F」である。以下に,それぞれの授業の特色と実施内容を要約して示す。
「アジア文化中級演習1 C ・2 C」
現代に生きているインドの伝統文化について考えることをテーマとするこの演習の最大の眼目
は,受講生にテーマにかかわる様々な企画を班単位で立案させ,その過程で必要な基礎知識と資
料収集法を学習させ,それぞれの企画を成功に導いて達成感を味わわせることにある。04 年度
の例でいえば,その企画内容は,紙芝居の制作と上演,ビデオ映画学習,チャイの試作・試飲,
南アジア(インド,ネパール)出身の人たちによるお話,等,多岐にわたる。以下に,年度実施
企画一覧を示す。
04 年度春学期
5月 21 日
① ダンネバードゥ班
ネパールのお話をきく
5月 28 日
② カリーセブン班
ゲストを招いてのインド料理紹介
6月 11 日
③ モテモテ怪力皇子班
インド神話の紙芝居
6月 25 日
④ くまり班
ネパールの生き神様(DVD 学習)
7月 02 日
⑤ プラス5点班
「ジーンズ」(ビデオ映画学習)
7月 09 日 同上 同上
04 年度秋学期
10 月 22 日
⑥ ひとりがんばる班
インド・中国・日本に伝わる末子成功譚につ
いて(研究発表)
11 月 12 日
⑦ いんどぅー班
現代インド情報(インド領事館訪問報告)
りょう き
りょう き
12 月 10 日
⑧ 椋 妃班
タトゥー,ヘナタトゥー(椋 妃さん訪問報告)
12 月 17 日
⑨ サティー6班
インドの女性問題(発表)
1月 14 日
⑩ クマリ班
ネパールのお話をきく
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[Ⅲ]教育実践報告
ネパール人留学生たちとの交流
1月 21 日
⑪ インド武術班
インド武術カラリパヤットと中国武術の比較
(発表と武技実演)
「アジア文化上級演習1 F ・2 F」
土曜開講という利点をいかしてしばしば学外へ出ていくことを特徴とするこの演習の最大の眼
目は,受講生にふだんの教室内では実現できないようなユニークな企画を様々立案させ,積極的
に学外へ出て広く日本に根づくもしくは見られるインド文化の諸要素を身近に体感させることに
ある。04 年度の例でいえば,その企画内容は,インド関係あるいは関連各種展覧行事参加,野
外民族博物館見学,講演会参加,ティーチ・イン参加,寺社拝観,インド伝統芸能鑑賞,食文化
体験,ヨーガ体験,インド伝統遊技体験,等,多岐にわたる。以下に,年度実施企画一覧を示す。
04 年度春学期
企画1
5月 08 日
午後
企画2
5月 22 日
終日
咲くやこの花館「世界の熱帯フルーツ」展見学(大阪市)
「リトルワールド」日帰りバスツアー(犬山市)
重松クラスとの合同企画
企画3
6月 12 日
午後
民博「多みんぞくニホンー在日外国人のくらしー」展見学
(吹田市)武田ゼミが合流
企画 4
6 月 19 日
午後
民博講演「『家族』からみた現代インド」をききにいく
(吹田市)
企画 5
7 月 10 日
夕
薬師寺・唐招提寺にいく(奈良市)
04 年度秋学期
企画6
10 月 16 日 午前
午後
企画7
10 月 23 日 午後
民博「アラビアンナイト大博覧会」見学と「アジアンフェア
ー」参加(吹田市)
ティーチ・イン「バングラデシュのストリートチルドレンと
日本の子ども」に参加(茨木市)
企画8
11 月 16 日
企画9
11 月 27 日 午後
紅葉をみに行こうよう(京都市)
企画 10
12 月 04 日
朝
ヨーガをしませんか(本学体育館)
企画 11
12 月 11 日
朝
みんなでカバディ(本学体育館)
企画 12
1月 08 日
午後
夜
カタカリをみる(伊丹市)
スブラマニヤンさんのお店にいきます(大阪市)
インド交換留学生参加
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アジア文化演習の事例から
Ⅱ 履修生による企画実施レポート
以下には,アジア文化上級演習1 F ・2 F の授業で,企画を実施するごとに履修生に課したレ
ポートの一端を例示することで体験学習の実際を示し,報告にかえる。
企画1「資料作成に関しては,載せた写真以外に「イチ押し」のコメントを載せることにしま
した。そのせいか,料理用バナナに興味を持って食べた人や,ハイビスカスを見に行った人も
いたみたいなので,結果的によい感触が得られました。ただし,下見の段階ではハンカチノキ
や野生のハイビスカスは咲いていたのですが,当日は枯れてしまっていたので,開花時期を確
認しておくべきであったと反省しました。」
(野村良太)
企画2「行ったこの日はちょうど「世界の麺祭り」の期間中で,各所でそれぞれの国や地域に
ちなんだ麺料理を食べることができた。中でもワニラーメン!誰もがこれに目がいったはずだ。
おそらくワニ自体にそんなに味がないのか臭味があるのだろうか,けっこう辛い味付けになっ
ていて,朝ごはんのおかずで出てきたら,間違いなくご飯が足りなくなってしまうだろう。」
(森 真樹)
「一応一通り回ることができて,まさに「一日世界旅行」という感じだった。インドの場所で
は普段滅多に着る機会のない民族衣装のサリーを着ることができて楽しかったし,実際に着て
みて本当に一枚の布から出来ていることを実感することができた。今まで自分のイメージだけ
で「この国はこんな感じ」という風に思っていたが,イメージと違うものがたくさんあったり
してとても勉強になったし,楽しかった。」
(立花佑里子)
企画3「日本には多くの在日外国人がいて,差別や偏見があることは知っていましたが,この
特別展を見て改めて,私は何も知らなかったのだなと感じました。つい数年前まで「外国人お
断り」という看板があったことも。しかし,すべて差別や偏見だけじゃない,ということを,
子どもたちの書いた作文や絵,図工作品を通じて初めて知ることができました。そこには子ど
もたちの楽しい交流が描かれていたし,日本に来て間もない子どもたちが何より上手な日本語
で文章を書いてくれていたことが私にはすごく印象に残っているし,嬉しかったです。」
(西村真理子)
企画5「予備知識をつけようと思い,前日に地元の図書館に行ってアラビアンナイトを読んだ
(長かったので数話だけ)。当日,館内では絵コンテ・モンキーパンチ(漫画家)による小映画
を観ることができたが,その観た映画がなんと前日に黙読したお話の1つだった。題名が本と
は違っていたけど恐らく「黒檀の馬」というストーリーに間違いないと思います。絵もきれい
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[Ⅲ]教育実践報告
で普通に TV に流してもいけそうな完成度だったので,残りの2作品も観たかった。その他,
紙芝居や衣装を体験できたりしてなかなか面白かった。その後,みんなで吹田のアジアンフェ
アに行き,そこでのビンゴ大会で運良く当ったので,韓国のお酒マッコリを貰おうとしたが売
り切れで仕方なく T シャツを貰いました。少し残念。」
(小見山知之)
企画7「今回は企画の発案者だったのですが,事前に何の準備もできませんでした。とりあえ
ずバングラデシュの概要と地図をコピーしたものを用意しました。内容的には,実際に行って
きた記憶も新しいので,とても興味深いものでした。最初にゲームをしながら自己紹介をしま
した。この遊びをすることで話題が膨らみ,隣にいた初対面の人とはすごく打ち解けやすかっ
たです。写真を使って,みんなで何が写されたものなのかを考えるディスカッションも面白か
ったです。写真で見る風景は個人的には懐かしいバングラデシュの風景でした。イスラムさん
のしゃべっている内容はききとれなかったのですが,毎日きいていたベンガル語も懐かしかっ
たです。」
(三木大典)
企画9「実は京都の紅葉を見るのも,清水寺の中へ入るのも初めてでした・・・感動!!の一
言です。舞台のあの高さから見る紅葉した山々は,すごく美しかった!!でもナナメになって
しまっているのには驚きました。いろんな場所でお線香あげて,おいのりして,楽しかったで
す。みんなで落ち葉をひろいながら歩いたのですが,一人一人とちゃんと話したことがなかっ
たことに気づきました。みんなの新たな一面も知れて,とても楽しい一日でした。」
(湯浅智恵子)
企画 10「今回初めてヨーガを体験しました。今までのイメージは,体が硬いとできないとか,
変なポーズをさせられるといったものでした。しかし硬くても十分基礎的なことができるし,
ポーズにも意味がそれぞれあって,新たな発見がたくさんありました。教えてもらった事は,
簡単に家でできそうなものばかりで,ヨーガがぐっと身近に感じられた気がしました。呼吸法
などは日常生活においても非常に役にたちそうです。」
(足立智行)
企画 11「私は正信ゼミの授業を借り,講師に学科の卒業生の方を呼んでカバディを実施しま
した。カバディというのは,攻撃手と守備手に分かれて相手を捕まえにいくという単純なゲー
ムなのですが,タックル有りとかで結構激しいスポーツなのです。男女混合でやりましたので,
私たちのルールは,タックル無しでポケットから紐を垂らしてそれを取ったらアウトという形
にしました。これで皆で楽しんでカバディが出来るようになり,最後には色々な戦術を取り入
れた高度なゲームになりました。皆さん熱くエキサイトしていましたので,カバディを実施し
てよかったと思います。また機会があればやってみたいです。」
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(浅井洋平)