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ヨットアン5の
フ ァ イ ブ
y a c h t _ A n n e 5
つぶやき航海記 2
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大トライアングル編
小笠原〜南大東島・沖縄〜三重
駒井俊之
2
3
4
五ヶ所湾
古仁屋
父島
宜野湾
南大東島
トライアングル航海日程【2011 年 4 月〜 8 月】
4/23 18:00 五ヶ所湾(三重県)
24 25 26 27 06:00 父島(東京都)
28 29 06:00 父島
30 5/ 1 2 3 09:00 南大東島(沖縄県)
4 18:00 南大東島
5 6 06:00 宜野湾(沖縄県)
6/27 座間味(沖縄県)
28 渡名喜(沖縄県)
29 宜野湾
7/28 29 座間味
30 31 座間味
8/ 1 2 3 4 台風下の宜野湾市
5 6 7 8 9 06:00 宜野湾
10 11 09:00 座間味
12 15:00 古仁屋港(鹿児島県)
13 14 13:00 古仁屋港
15 16
17 18 00:00 紀伊勝浦(和歌山県)
19 五ヶ所湾
5
目次
1 はじめに 7
2 シングルハンドで小笠原へ 12
3 小笠原諸島の父島探索 57
4 西へ1000㎞の南大東島へ 72
5 一泊して南大東島観光 112
6 沖縄宜野湾へ未明のアプローチ 130
7 台風対策と慶良間諸島クルーズ 147
8 孫や子供と座間味を満喫 158
9 帆走派のパートナーと座間味・古仁屋クルージング 172
⓾ ダブルハンドで太平洋を一直線 191
⓫あとがき 218
航海記用語リスト 220
6
1はじめに
昨2010年、日本周航をした。65歳を超え、ヨットで旅をするなら今だと思っ
た。春に、三重県を出て太平洋を北上し、津軽海峡を抜けて小樽。その後、日
本海を南下して、能登半島、長崎を経由して沖縄。しばらく沖縄に船を置いた
後、その年の夏に三重県へ帰った。
良きパートナーに恵まれ、楽しく有意義な旅だった。沖縄へ向かう深夜、強風
警報の中、徳之島と沖永良部島の間を抜けてくる強風と大波を受けて大揺れ爆
走している時、これは愛艇ヨットアン5の卒業試験と思った。
日本周航から帰った後、ヨット仲間が言った。「駒井さん、大トライアングル
だよ、次は!」。三重を出て、南東へ一直線に小笠原、そして西に向かって南
大東島・沖縄、最後に北東に向かって三重に戻る、それぞれ1000~1200㎞の
大三角コース。
このトライアングル航海を、今度は愛艇アン5ではなく私自身の卒業試験と思
い挑戦を決めた。だからシングル、一人旅とした。
出発を4月23日と決め準備をしていたら、3月11日に東日本大震災が起き
た。長男家族が心配して、「太平洋には震災で流れ出た巨大な漂流物もあると
いう。一人で行くのは心配だから来年にしたらどうか?来年になればパートナ
ーも見つかると思う」と言ってきた。
相談したマネージャー(私の家内、仕事のパートナー、会社のマネージャーで
あり、私のマネージャー)の意見は、「去年出かけなかったら、日本周航はで
きなかった(昨年寄港した大洗は大被害を受け、八戸も津波でたくさんの漁船
が流されたと聞く)。だからチャンスを逃さないほうが良い。来年には志摩の
ハーバーが津波に襲われ、アン5もなくなっているかも知れない」。
7
だから、長男家族に、手紙を書いた。
レミちゃんとパパ、そしてママとスズ、ハナちゃんへ
--------------------------------------小笠原行き、心配をしてくれてありがとう。
みんながあまり心配してくれるので、少し困っています。
迷っているのではありません。
震災による漂流物は、家屋や漁船が島のようになって海に漂っている写真を私
たちも見ました。
海上保安庁第二管区がそれらの位置を発表しています。その発表によるとすべ
て北緯37度以北で、今回の私の航海水域の北緯34度以南とは遠く離れている
ものです。
海上には、震災に関係なく漂流物があり、クジラもいるかもしれませんが、で
きるだけ見張りをするようにしたいと思っています。
どうやって見張りをするの?一人でしょう!寝ないの?と思うでしょうね。
出航して2時間も走ると、本船航路を横切ります。ここは、少し緊張するとこ
ろですが、その先、小笠原までに行きかう船は1、2隻と思われます。
どうやって休むか?ですが、夜は起きていて、昼間、うたた寝しながら走ると
良いと人に聞きました。
『太平洋一人ぼっち』を書いた堀江さんは、休む時は船を止めて、キャビンで
寝てしまうそうです。
寝不足は注意力や判断力が落ちるので、私の場合も、休む時は船を止めて、十
分に寝ようと思っています。そうすれば、漂流物に衝突する危険もありません
からね。
他の船が来たらどうするの?て、聞かれそうですね。
8
アン5には他の船が接近したときの警報がいくつか付いています。一定の範囲
に入ったら警報を鳴らす機能が2系統、相互の進路とスピードを計算して警報
を出すもの1系統。この警報はすごく大きな音がするようにしてあります。で
も、これらは機械ですから、故障することもあるでしょうし、私がぐっすり寝
てしまうこともあるでしょう。
こういったときのために、相手の船にこちらの存在を知らせるためのレーダー
反射器2個と、船名や状況を相手の船に無線で知らせるAIS(自動船舶識別装
置)があります。
危険な状態になった場合どうするの?
危険な状態とは、キールやラダーが脱落してしまう。大型船に当て逃げされる
(大型船は、衝突の衝撃がないので、行ってしまうケースがある)などによっ
て航行不能になるとか、横転してしまうケースです。
海上保安庁には、日本小型船舶検査機構を通じて、ヨットアン5が、4月23
日から5月22日までの間に、小笠原経由で沖縄へ行く届がすでに出してあり
ます(だからと言って必ず出航しなければならないものではありません)。
又、出発したら、航海計画をJASREPという機関にメール又は無線で通報しま
す。JASREPというのは、船舶が相互援助するための仕組みで、遭難があった
時に近くの船が救助に向かうためのシステムです。
陸地との通信方法はあるの?と聞かれそうですね。
アマチュア無線があります。と言ってもこれは確実な通信手段ではありませ
ん。そこで、今回は衛星電話イリジウムを搭載しました。
でも、何しろ人工衛星-アメリカ本土(たぶん)-国際通話で日本、となるの
で通話料が6秒60円弱といささか高いこと、もともと電話は苦手なので緊急
以外は使えないと思っています。ただ、2400ボーと低速なのですが、メール
は使えそうです。
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アン5には、遭難や緊急用にイーパブと救命いかだが積んであります。
イーパブは人工衛星経由で船名と位置をSOS通報するものです。スイッチを入
れるか、又は水につかると50秒後に発信が始まり、24時間送信し続けます。
救命いかだは、海に投げ込むと屋根つきのゴムボートになるものです。このゴ
ムボートにはナイフや航空機に見つけてもらうための鏡、サバイバルツールや
5人分の水、食料などが積み込まれています。
今度の震災で亡くなった人や被災した人の事を思うと私たちも本当に心が痛み
ます。
国や企業の対応の悪さをマネージャーとともに毎日嘆き悲しんでいます。「リ
ーダー不在」が原因と思っています。去年、レミちゃんが書いた臨海学級の日
課表の「リーダーになります」をキャビンで見ては、是非そうなってほしいと
思っていて、「リーダーって何?」を今真剣に考えています。「物事を知って
いる。知らないことも知る方策をもっている。そして速やかに適切に決断がで
きる人」まずは、こんな定義をしてみました。
被災した人への支援として、ヨット仲間を通じて、宮城県女川町の避難所に、
PCとワイファイルーターを、まずは1年間使える状態で送りました。避難所
にいる役場の人にも「使いたい」と言っていただけたそうです。
陸の上では、整理や整頓が苦手な私ですが、ヨットでは、海の男「スマート
で、目先が効いて、几帳面」を心がけています。又、学生時代から「大胆、緻
密」も好きな言葉です。
安全の保障は、勿論ありませんが、できうる限りの装備や訓練を重ねてきまし
た。それに頼りすぎることへの危険もありますが、アン5は日本有数の電脳ヨ
ットになっているのも確かです。
昨日、航海計画を作るために海図を見ました。小笠原も沖縄も入った大きな広
10
い海域を示す海図です。緯度経度の表記が秒単位ではなく、「東京湾至ルソン
海峡」は分単位でした。
又、出航する三重県と小笠原では、磁針方位が3度も違うことも改めて確認し
ました。
出航前から新しい発見がいろいろあります。こうした発見が未知への挑戦を楽
しくしてくれます。
小笠原から南大東島まで630海里、6Knotで走ると105時間、3ℓ/h消費すると
すれば、燃料は305ℓ必要。予備タンクを合わせて480ℓ。大丈夫。
エンジンが壊れたら・・・、「帆で走る!」マネージャーが横から答えてくれ
ました。
マネージャーの考えは、「決めたからには、行くんでしょう。体力、気力の
充実している今!夢にかけた、考え得る限りの準備を整えた貴方を信じるほ
かないと思っています。来年は津波でヨットがなくなっているかも知れない
し・・・!」でした。
でも、成増(東京都板橋区)のみんなが心配をしてくれたことがきっかけで、
こうして、休息の取り方や日程の考えを再確認することができました。
今回の航海は、落水以外はそれほどの危険は無いと思っています。気象コンサ
ルタントの航路気象予報を見て、出発日も調整します。昨年はヨットアン5の
卒業試験。今年は駒井船長の卒業試験として頑張りますので、心配をかけて申
し訳ないのですが応援をよろしくお願いします。
2011年春
駒井俊之
11
2シングルハンドで
小笠原へ
<出航を前に>
2011年4月22日金曜日。仕事を終えて、午後7時過ぎに会社を出る。クルー
の佐原君が車でハーバーまで送ってくれる。佐原君が名古屋へ戻る時刻が10
時を回ってしまっている。彼が自宅へ帰るのは、0時過ぎになることであろ
う。「ありがとう」、「お気を付けて!」と言葉を交わす。サービスエリア
で、佐原君と軽食を食べて来たので、そのまま休む。外は雨。
4月23日早朝、出航予定
だったが、この日、低気圧
が接近していた。馬場さん
の航路気象予報によると、
この低気圧をやり過ごして
明日24日の朝出航するの
と、今日午後の低気圧通過
直後の出航を比べると、そ
の後数日の荒れ具合にはそ
れほど差はないが、出航を明日にした場合、3日目28日が向かい風となる予
報となっているため、今日の午後出航も想定する。写真は、今日の午後出航し
て6Knotの機帆走した場合の航路予想図。
青線は風速、青破線は予想最大風速。出航時12m、最大18mの風、今夜半ま
で10m、最大15m。その後60時間は、10m最大14mの予想。
赤線は波の高さ、破線は最大波高。出航時は7m、その先2日半は5mの波高
予報。
青矢印は風向、ヨットに対する風の向きとセールが出る方向。ほとんどの航程
が追い風。
緑は潮流の強さと向き。最大2Knotほどの斜め連れ潮(押される方向)。
欄外上部の青い線は艇速、7Knotほどの快速予想。
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この予報に続く長期(7日間)予報では、60時間後、3日目(27日夕刻)か
らは風6m。4日目以降は、又NNWの風が吹き上がる予報。
数日の単独航海。どうやって睡眠をとることになるのか?未体験ゾーン。「横
になって目をつむっているだけでも休養になる」の経験則を実践するイメージ
が、この数日前から頭に定まってきている。
休養十分で最初の夜を迎えよう。そのためには、23日の午後、低気圧の通過
で気圧が少しでも上向いたら出よう。震災の津波で五ヶ所湾内の養殖いかだに
も大きな被害が出た。破損したいかだの浮遊物があるので、「遅くなったとし
ても暗くなる前に五ヶ所湾を出よう」。と方針を決定する。
荒れ模様で雨が降りしきるが、ハーバーの動きは無く静か。準備はすでに終わ
っているのでキャビンでまったりモード。
じっとしていることが苦手もあって、ごそごそ。今回の航路用海図は「東京湾
至ルソン海峡」という、広範囲海図。五ヶ所湾を出てから、小笠原諸島父島へ
の航路や二見港へ向けての変針ポイントをGPSにセットしようと改めて海図を
よく見ると、勘違い発見。緯度メモリ12等分を10等分と見間違いしていた。
太平洋には黒潮が流れている。ネットで最新情報を見て、海図に記入。
五ヶ所湾を出ると、数日間、目標はただ一点。唯一の目標、小笠原諸島、父島
の二見港へ向かう変針点の緯度経度を調べて、GPSプロッターに入力しようと
してスイッチをONにするが電源が入らない!?
配線のカバーをしている板を外して点検。先週、バース(ベットルーム)で休
んでいる間も耳元で警報が鳴ったり、ポータブルGPSを見ることができるよう
に配線工事を行ったとき、配線にストレスがかかってGPSプロッターの電源が
抜けてしまったものとわかり、さっそく修理・・・、完了。
お昼になって、そういえばエンジンベルトが緩いことを思い出し、ベルトのテ
ンション調整。会心の出来。使った道具。右から、テンションをかけるため
13
にテコにする木の棒、レンチを力いっ
ぱい回すためのステンパイプ、12mm、
13mm、14mmのレンチ、14mmはボル
トナットがあるため、2個使いとなる。
ツイッターで写真の添付・・・、失敗。
外は、嵐。
久しぶりにツイット再開。五ヶ所湾を出
て2時間後にはドコモが切れるであろう
から、その後はどうなるのだろうか?
会社の畠山君が安否確認システムを考えて用意してくれた。最初アマチュア無
線でツイットアップを計画して免許の取得や設備、アンテナの用意をしてくれ
たが、送受信が確実にできないため、急遽イリジウムによるメール送信でグー
グルアースの地図上に現在地を示す方式を作り上げてくれた。
アマチュア無線の不調は7MHz帯のアンテナがうまく立たなかったのと、時
にオートパイロットに悪さをすることがあったから。アマチュア無線方式は今
後も、継続して検討はするものの今回特急でネットサーバーを立ち上げてくれ
たもの。この機動力に感謝。
マネージャーをはじめとする何人かが、航海中、ネットでこのグーグル航跡画
面を見て安心してくれるであろう。
スマートフォンのアプリソフトMyStatsで睡眠・休養管理をする積り。「貴方
の夢を実現するために、あなた自身の時間を管理しましょう」という無料ソフ
ト。3日前、2011年4月20日に世界に向けてリリースした当社製アイフォン
アプリ。
14
昨年暮れにプロジェクトを立ち上げ、3日前に世界同時リリース。「ネオレッ
クスは、ここまで完璧な完成度の高いソフトを作る会社!」と言われるよう
に、機能や操作性、デザインを工夫し、しかもこの短期間で完成させた。慣れ
ないアップストアーへの申請や認証をアメリカのアップル社と直接コンタクト
をして、スピーディーにこなした交渉力も、圧倒的な技術力と共に、私、ネオ
レックスの代表は脱帽。
ネオレックスは素晴らしい技術集団。今の私の使命はこの航海を安全に完遂さ
せること。社員のみんなも応援してくれると思う。その上、私にとってこの
MyStatsは早速役立つグッドタイミングリリース。
MyStatsのリリースは昨年から4月20日と決まっていた。この日はプロジェク
トの主宰者、研司副社長の誕生日。こういったスケジュールの決め方も楽し
い。
「横になっているだけで休養、睡眠の代わりなる」この理論の実践には時間の
記録が必須。出来たての自社製ソフトMyStatsは私の一人旅に十分役立つであ
ろうし、自分の時間を管理して夢を実現させようと思う日本だけでなく、世界
中の人に使ってもらえるようになると思う。
4月23日15時、ま
だ気圧が上がってこ
ない。風雨は時々嵐
のように大きな音を
立てている。ポンツ
ーンに10mもあると
思われる流木が流れ
着いて、アン5のお
尻にもかかってい
る。1時間おきに気
圧計の目盛を読む
が、まだ下がり続け
ている。1時間の休養。
15
<嵐の中を出航>
17時、一旦上がりかけた気圧がまた下がった。17時30分に離岸しないと明る
いうちに五ヶ所湾を抜けることができない。ブロー(突風)の合間を縫って離
岸。流木を片づけに来たハーバーマスターの岡さんが叫ぶ。「駒井さーん、無
理、無理、明日、明日…、」大声で叫ぶ。
確かに、後進するが舵が効かない。見る見るうちに風下へ吹き寄せられてい
く。何とか後進の回転を上げて、広い水面へ船を持っていく。水面には海藻が
たくさん吹き寄せられている。ここでペラに絡まったら大変。強めの前進をか
けて、身を乗り出して海面の海藻を必死でよける。
これまで、こんな海況で出航したことは
無いが、先のことを考えると、今しかな
いとの思いで、出航。岡さんの叫びに、
大声で答えるが、岡さんには聞こえなか
ったと思う。写真の時刻は23日17時31
分。
大嵐、大風・大雨・大波の五ヶ所湾を緊張して出た。湾口では波は正面から。
時々大波でピッチングしバウ(船首)が下を向くと、時に巨大な4mほどの波
が目の前に壁の様に立ちはだかる。逆に、波に船首が乗ってしまった後は、バ
ーンというとてつもなく大きな音がする。船首にある荷物は空中遊泳している
ことと思う。
2011年4月23日18時17
分、五ヶ所湾口。うねりと
波は正面から。セールは出
ていないが、時々マストに
当たる風だけで船が傾く。
五ヶ所湾を出て間もなく、
16
オートパイロットが暴走して船が一周する。原因不明で少し不安を感じる。た
だ、こういった異常な挙動はキャビンの中にいても分かるので大海原では衝突
などの心配はない。
出航から2時間半、20時ごろ、本船航路に差し掛かる。左舷から来る貨物船
に「ヨットアン5は、貴艇の船尾を通過する」と、VHFで呼びかける。優先航
路権はアン5にあるが、こちらは一定の速度で針路を守ることができないの
で、相手が避航するのは困難と見て、航路を譲った。
船内にある無線機で呼びかけたあとコックピットに上がると、呼び掛けた船が
分からなくなった。闇夜の中、何隻かの本船がいるのと、アン5の進む方向が
波で振られているため位置関係を見失ってしまったのだ。
あわててキャビンに入り、チャートテーブルにあるパソコンのAIS画面で位置
関係を再度確認して、相手本船を見つけ、その船尾に向かう。この操作をして
いる間に名古屋保安から呼び出しがあったが、取り込み中で応答できなかっ
た。
何隻か交わした後、前方に本船が居なくなった。本船航路を抜けた。夜になっ
て大雨は止んだ。遅い日暮れだったが、かすかに西が明るかったので明日は天
気になるのであろうと思った。
24日0時前。落ち着いたところで、JASREPのセーリングプランを発信。
JASREPは船舶の相互支援システム。遭難等があった時、届け出た船に救援を
要請するなどの仕組み。24時間ポジションレポートがないと所在不明船とな
り救助が始まるルール。
JASREPへのレポートのコメント欄に、「24時間以内の通報ができないことが
あることを承知願いたい」と書いておいたが、名古屋保安からそれはできない
とVHFで連絡があり、24時間以内の通報をすることを約束する。
後方、斜めから波が来るので、揺れは尋常ではない。操船はオートパイロット
に任せて、バースで21時から2時間半ほど横になっていた。時々、レーダー
やGPSを見ていた。
17
24日0時ごろ、ログ(位置情報など)の記録とそのデータを畠山君への発信
をするつもりで、起きだしてキャビンの外を見ると前方にたくさんの灯火が見
える。エッツ、大型漁船団??本船??小笠原まで本船とはもう会わないだろ
うと思っていたので、びっくり。
海図をよく見ると、これまで本船航路と思っていたのは大王岬と潮岬を通る航
路で、首都圏と九州・沖縄方面を結ぶ別の本船航路が沖にあることが分かっ
た。
船名Awajiが、右やや前方10マイルからアン5に向かっている。航路権は相手
にあるが当方避けようがない。8マイル先で呼びかけてみるが返事がない。
6マイルに接近したので再度呼びかけるが応答がない。日本語が通じないらし
い。仕方がないので、名古屋保安を呼び出し。事情を話して相手船への注意喚
起を依頼する。
パナマ船籍のタンカーで、日本語が通じないので応答がなかったものと思われ
る。名古屋保安が、英語で前方に小さなヨットがいる。注意して航行するよう
に依頼してくれるのを、VHFで聞いた。
続く後ろにもう一隻、Nikkei Tiger。同様の衝突コース。日本船名と思いVHF
で呼びかけると英語で応答がある。「ジャパニーズプリーズ」というと「ノー
ジャパニーズ」との応答。「OK、バイバイ」と言って一旦終わり、再び名古
屋保安に依頼。よく見ると、この航路はほとんどが外国船。
2011/04/24 0000J
位置 34.48N/137.00E
進路 156度
速度 7.0Knot
風 NNWの風、風力5(風速10m+)
波高 3-4m
天気 b、1005hPa、13℃
異常なし、追い風、大波
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写真は本船航路横断中のGPSプロッター
画面、本船に囲まれるアン5。24日0
時37分。AISのないヨットでは、レーダ
ーで1隻、レーダーなしの目視では、1
隻も見えないと思う。
午前4時。青空が広がり、正面に半月が上がってきた。風が落ちて、しぶきは
飛ばなくなって来たが、依然、波は高く船は大きく揺れている。
24日午前5時40分。左前方、空が白ずんできた。ニアミス警報が鳴る。アン
5には、3系統の接近、衝突警報がある。その一つはレーダー。前方扇形の範
囲がセットしてあり、その中に船が入ると警報が鳴る。
接近警報の二つ目はShip Plotter。一定の範囲に船が入ると警報が鳴る。三つ
目はOpen CPN。双方の船の針路と速度を計算して設定時刻以内に、2マイル
以内に接近する可能性があるとき警報が鳴る。
今、鳴っている警報は三つ目のOpen CPN。左前方から接近中。今、レーダー
の警報も鳴りだした。寝入っていても気が付くように増設ベルで大きくした音
が耳をつんざくような音でうるさい。
<初めての外国船への無線呼びかけ>
船名YmInstruction。Libelia船籍の外国船。名古屋保安からは離れてしまって
依頼はできないと思い、直接呼びかけることにした。
「ハロー YmInstraction、ジス・イズアン5。」2度目の呼び出しで応答あ
り。「06チャンネルプリーズ。ジャパニーズOK?」勿論ダメ。仕方がないか
ら英語を話すぞ!と、ゆっくり、単語を並べる調子で、いかにもネーティブで
はないように話す。
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「貴艇前方の、スモールセーリングベッセル、アン5を確認しているか?」と
聞く。しばらくして、「確認している」と言うので、「プリーズ・テイク・ケ
ア」と注意を願う。「わかった」と言われて、「サンキュー、サンキュー」と
答え、「バイバイ」と言って、16チャンネルへ戻る。
私の無線電話の資格は甲種無線電話。外国船との通話ができない。しかし緊急
の場合はたぶん許されると思う。ただし、生半可な通信をするとかえって危険
になるので、今回のような単純で明確な会話に限ると思う。外国船との通信は
正にこれが初体験。
実は、深夜、名古屋保安が「ヨットに注意」の依頼をしてくれている会話を聞
いていたので、そのマネをした。
グッドモーニングとかサンキュー・ユア・コーポレーションなどは、初心者
の、そして、仕方なく英語を使っている私には言えなかった。
左からSoshangana接近。3マイル前で大きく50度変針して、アン5が避航す
るという意思表示をする。
昨日から、何故か、権利ありの場合は回避動作、権利のない場合は相手に避け
てもらっている。やっていることが逆のようだが、相手にストレスを与えない
ためにはこうなる。レジャー船は仕事船にストレスを感じさせないことも、大
事と思ってやっている。もちろん、緊急時は別。
AISを見ると、この先15マイルにも、本船が3隻見える。考えたら、小笠原ま
ではまだ遠く、日本本土の近海といえるので当然のことといえる。
4月24日、航海最初の
朝。太平洋上の日の出。午
前5時17分。
20
24日6時前、黒潮真っ只
中、ナウ。抜けるまでにお
およそ60マイル、10時間
要する。現在、20度上流
に向けて、針路を確保して
いる。写真は潮流予想図と
海図上の予想位置。
風速7m、晴れて、穏やかな天候。ただし波は、2~3m。追い風北北西で、
船首が振れ、マストヘッドも揺れるので、せめてジブだけでも出したいが、半
分はつぶれると思う。我慢。予報では、24日、この後、西に振るとのことな
ので、お昼前から、セールアップできる見込み。
2011/04/24 0600J
位置 33.16N/137.29E
進路 156度
速度 6.0Knot
風 NNWの風、風力3-4(風速7m)
波高 3m
天気 b、1010hPa、12℃
異常なし、穏やかだが、揺れ大
11時。風が西へ回った。メイン、ジブ3Pで展開。速度7Knotオーバーに。周
りは海と空だけ。
デッキに付けたUSBカメラ
の映像が、このPCの画面
の一部に表示されている。
チャートテーブルでPCに
向かっている時も、外部の
様子を見ることができる。
21
ただし、間もなくしぶきをかぶりそう。沿海航海では考えられない。揺れによ
るしぶき。
タンクに穴、燃料漏れ発見
燃料の補助タンクにピンホール発見!! 休息をしようとバースに入ると、な
んとなく石油のにおいがする。エンジンルームを開けてみるが、異常はない。
バース後方のハッチを開けるとにおいが入ってくる。
補助タンクだ!! そういえば、今朝、ラットの前だけがぬれていた。おかし
いと思ったが、あれが燃料だったのだ!あわててコックピットに飛び出してよ
く見ると、今回新たに作った補助タンクの上部、角付近にピンホールがあり、
船が揺れるたびに燃料が漏れ出している。
爪楊枝を詰めて穴をふさごう! あわてて台所から爪楊枝を持ってきて入れて
みると、すぐ横にもピンホールが出来てつながってしまい漏れる量が増えてし
まった。火災?頭をよぎり、消火栓の位置を頭に置く。
燃料を移そう! 穴にタオルを当てるが漏れを止める効果はない。今朝、これ
までの燃料消費を40~60ℓと試算していたので、使った分だけ、補助タンク
を空けてポリ容器経由で問題のタンクの油面を下げようとしたが、ヒールと揺
れでうまくいかない。
落ち着いて考えよう。ゴム
板があるが固定のしようが
ない。太めのタッピングビ
スをねじ込んだらどうだ。
そうだ、水道用のシールテ
ープがある。シールテープ
をビスに巻いて揉み込めば
止まるはず。・・・見事成
功。
22
今、床やタオルを乾かしている。漏れは10ℓ以下だと思う。ただ、今回作っ
た補助タンクから、この揺れる中で汲みだしができるのか?新たな心配発生。
2011/04/24 1800J
位置 32.07N/138.15E
進路 153度
速度 7.6Knot
風 Wの風、風力4-5(風速
10m-)
波高 2-3m
天気 b、1005hPa、18℃
夜間用に今から縮帆します。
18時のログを畠山君に送ろうとするが、衛星電話のイリジウムがつながらな
い。何度やっても、接続に失敗したとか、エラーが出たなどと画面に出て止ま
ってしまう。根気よく送信するしかない。
日が沈んだ。セールをジブ
もメインも思い切り小さく
した。セールがあれば船は
安定する。それでも、
6.5Knot出ている。風が強
く、波しぶきがコックピッ
トまで飛んでくる。
それにしてもオートパイロットはすご
い。どんな波でも風でも確実に舵を取
る。それも休まず正確に。おかげで、今
も、操船のことは何の心配もなくオーパ
に任せ、キャビンにいることができる。
23
デッキに出る時思わず声をかけたくなる。「どうでっか?」いつも相棒にいう
言葉。オートパイロットにいつの間にか声をかけている。オーパ君はそれに答
えず黙々と舵を取り続ける。
19時40分、前方10マイルに本船が見えた。もう少し近づいてから回避を検
討しようと思っていたら、VHFで、呼ばれた。パナマ船籍の貨物船 CAPE
CAMELLIA 。06チャンネルに移って、「ジャパニーズ・プリーズ」と言って
も、かまわず英語で話しかけて来る。
「アイ・ウオント・ツー・キープ・ジス・コース OK? 」というが、何かを話
してくる。私には理解できない。「ソーリー・アイ・キャン・ノット・アンダ
スタンド・イングリッシュ・ウェル」と言って、このままの針路で行くから避
けてくれというが、相手は、OKとは言わない。
よく聞くと、「エンジンが止まっているので、避けてくれ」と言っていた。
「アイ・アンダーストゥッド・ユア・エンジン・ストッピング。ソー・アイ
ウィル・ゴー・ケアフル OK ?」、「サンキュー、サンキュー」と言われて通
信を終わる。
今、6マイルまで接近中。相手は止まっているが、こちらは波と風で船首が振
れ回っているから、AISを見る限りでは、この段階では、どちらに変針して避
けるか決め難い。
貨物船 CAPE CAMELLIA を9㎞ 離れて横を通過中。周りは真っ暗。鼻先をつま
まれてもわからないとは、このこと。
デッキに出てみると、左11時方向、注意してこのままいけば良い感じ。外国
船との通信は何しろ理解するまで絶対に OKと言わないことが鉄則と思う。
2011/04/25 0000J
位置 31.32N/138.35E
進路 153度
速度 6.0Knot
風 Wの風、風力4(風速8m)
24
波高 2-3m
天気 b、1009hPa、16℃
しぶきでデッキやコックピットはウェット
4月25日0時、ナウ。外は真っ暗闇。天気は晴れ。波は2-3m。西の風、風
力4(風速8m)。横風を受け、波を除けば最高のクルージングコンディショ
ンであるが、波しぶきを浴びてデッキはもちろんコクピットも水浸し。
とてもコックピットへ出る気になれず、ワッチはコンパニオンウェイから時々
顔を出すだけ。上野動物園のミーヤキャット状態。
五ヶ所湾口を23日の18時に出たから、25日午前0時でちょうど30時間航海
したことになる。ここまでの航海距離は204マイル。すると、平均時速は
6.8Knot。MyStatsによると、睡眠に代わる休養時間は10時間を超えていて、
休養も順調。
ヨット仲間でセーリング派の橋本さんには許されない暴挙? 確かにシングル
ハンドとしては飛ばしすぎ。原因は、嵐スタートとそのあと風に恵まれている
こと。それと休養管理。だから、暴挙と言われたとしても、他の方法が私には
思い浮かばない。
エンジンとオートパイロット君が大活躍をしている。沿岸部と違って、長時間
にわたって同じ方位の風が吹くので、深夜も(セールはリーフしているが)オ
ートパイロット任せでいける。アン5はマストリーフ。どれだけでもリーフ
(縮帆)できる。今は5Pリーフといった感じ。
深夜1時過ぎ、ミーヤキャットスタイルでワッチ。左前方にぼんやり赤っぽい
灯火がある。双眼鏡でよく見ると月の出のようだ。
右前方、30マイル(2倍して0.9をかけて、54㎞先)に香港籍の貨物船
FRONTIERISLANDが左に向かっている。ミートするとしても予想では25マイル
先、4時間後。注視する。
安否確認の現在地表示を最初アマチュア無線のデータ通信で計画したが、どう
25
にも飛びが悪く、アマチュア無線は今回は実験として実施することにして、急
遽、出発の日に畠山君がグーグルマップを使った表示システムを作ってくれ
た。
畠山君へのLOGデータは衛星電話のメール機能を使っている。LOGデータを受
け取った畠山君がマップとともに私に代わってツイットしてくれているはず
だ。
私自身のツイットは拓央君に教えてもらったモバツイを使っている。衛星電話
のメール機能で、直接モバツイへ送信している。メールは2400ボーと遅く、
伝搬状況かプロトコールの問題かしばしばつながらない。又、文の途中にスペ
ースや改行が入り見にくくなっているのではないかと心配だが、小笠原へ着く
まで、これらのツイットを私が見ることはできない。
午前2時。レーダーの接近警報が鳴った。前方、1.5㎞から6㎞の扇形の範囲
に船が入ったことを知らせている。波が高い時だろうか、時々誤警報が鳴る。
一回で鳴りやむので誤報と分かるが、バースの耳元に付けた増設ベルの音が大
きく閉口する。
ワッチのためにミーヤキャットをする。ずぼらして部屋着のままの服装で体を
外に出した瞬間、しぶきをかけられた。せめて、帽子とカッパだけはひっかけ
て頭を出すべきだった。
4月25日午前5時、明るくなったのでコックピットに出てセールを広げる。
メイン、ジブ、共に2Pとする。相変わらず波が高いが、風は7から8m。ア
ビーム(横風)順風。艇速6から7.5Knotに上がる。
メインの引き出しにいつも汗をかいてしまう。「汗をかき、体を冷やして風邪
をひく」私の体質。いまから着替えをして、朝食。そして髭剃り、歯磨き、洗
顔と続く。
シングルハンドの航海に、睡眠・休養がうまく取れている。眠くなる前にバー
ス(ベッド)で休む。出航からの2日間、睡眠、うたた寝、休養(横になって
目をつぶっている)合わせて16時間。我社のライフログソフト「MyStats」で
26
管理している。
重装備をしてコックピットに上がった。風が強くなり、バウ(船首)が大きく
振るのとヒール(傾き)も、少しオーバーヒール気味なので、3Pまでリーフ
(縮帆)した。艇速、瞬間9Knot超えを楽しんでいたが、1Knot落ちた。揺
れは格段に少なくなった気がする。
太平洋2回目の日の出。
2011/04/25 0600J
位置 31.01N/138.54E
進路 154度
速度 7.6Knot
風 Wの風、風力4(風速8m)
波高 2-3m
天気 bc、1009hPa、18℃
小笠原まで後、297マイル 朝食後の果物をコンパニオ
ンウェイに腰かけて食べ
る。
27
去年の日本周航と同様、セ
ーリングカヌーを2ハイ積
んできた。沖縄で遊ぶた
め。これらの固縛を点検す
る。緩みはない。救命U字
浮器のプラスチィックケー
スが波でずれてしまったの
で応急措置。シングルなの
で使わないのだが、ライフ
ラインの内側にロープで固定した。その他には異常は見られない。
月曜日9時前。週末が終わり、間もなく会社が始まる。代表取締役が連休をか
けて2週間以上のお休みを取る。先週、新製品MyStatsを発表したところでも
ある。「そんな代表で良いのか?」と言われそう。常識にとらわれないのが我
が社のDNA。4月に入社した新人3人を含めて社員のみんなが、将来、年寄
のこうした生き様を参考にしてくれる時があると思う。
25日午前9時。コックピットに薄日が差し、比較的暖かい。緯度31度付近だ
から、種子島あたりまで南下したことになる。暖かなはず。
セールのトリミングと点検が
終わったので、キャビンに入
りカッパやライフジャケット
を脱いだ。改めて、キャンビ
ンのハッチからセールを見
る。メインのフットは締めた
ほうがいいなあ・・・・。ジ
ブも、チョイ引いておきたい
なあ・・・と思うが、時々8
Knotを大きく超えているか
ら、しばらくこのままとす
る。
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休息を取ろうとバースに入る。横になって、ふと床を見ると、床の隅に水滴。
天井を見るが水漏れはない。床下に水?!ヨットではいろいろなところから浸
水する。プロペラシャフトのスターンチューブや外部との貫通穴など。
侵入した海水が最も低いキャビンの中央に集められ、底にある排水収集ボック
スから、自動のビルジポンプかまたは緊急用手動ポンプで外部に排水する仕掛
けとなっている。ビルジポンプのスイッチがONされていなかったので床下は
水でいっぱい?!
ビルジポンプのスイッチを入れて、あわててキャビンの床下を点検する。大量
の水はないし、ビルジポンプが感知して自動作動する水位まで来ていない。
結局、バース床下でキャビンにビルジを集めるための溝が詰まっていた、とい
うより、もともと溝が浅かったのが原因と分かる。バースの床下の少量の水を
拭き取って、まずは終了。
シャワールームの洗面器の中に船底の排水口から海水が逆流してきて、貯まっ
たり排出したりしている。ヒールが強いので逆流してしまうらしい。シャワー
ルームは食料倉庫にしているので、段ボールで流しの下の扉が開かず、コック
を絞められない。しばらく、このまま。
トイレの給排水の出が悪くなった。一年ほど前から弁の交換をしなければ…と
思っていたので、いよいよ来たかと、交換作業を覚悟したが、よく確かめると
エアーが入ったものと分かる。思えば、この24時間、右舷側給排水口はほと
んど空中だった。逆のヒールになった時、エアー抜きをすることとする。
ヨットには無数と言うのは大げさだが10個以上の穴が開いている。船が万一
転覆したときには、その穴から空気が漏れて浸水をする。だからマニュアルに
は、常時はすべての給排水口のバルブを閉めるように書いてある。しかし、ト
イレ、洗面、流し、使うたびに一々バルブの開け閉めはできない。
今回の太平洋航海を前に、最悪横転することを考えた。船が横倒しになり、マ
ストが水平になって海面に触るには、20m以上の強風+波高10mクラスの波
がないと起きないと思うし、船内のすべての設備、テーブルや棚などの端には
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すべて数センチの滑り落ち防止板が付いているので、横転しても即座に荷物は
落ちないと思い特別な工夫はしなかった。
ましてや、転覆は南アメリカ、チリの南端ホーン岬を通過する南極海でもない
限り、又台風にでも突っ込まない限り、その可能性は無いと思い、さらに、
万一転覆してマストが海面の真下になっても、4トンからの重りが船艇に突き
出ていて、遅くとも数分後には正立(戻る)すると思われるから、バルブのこ
とはそれほど心配しなくてよいと考えた。
ツイットを書きながら一定時間ごとにミーヤキャットをしている。周りには何
も見えない。AIS画面には右14マイルと左前方16マイルに本船が出ているが、
目視では遠くて見えない。レーダーでもまだ出ていない。沿海航海と全く違う
世界。
2011/04/25 1200J
位置 30.21N/139.20E
進路 154度
速度 8.0Knot
風 W、風力4(風速8m)
波高 2-3m
給油作業中
お昼前、エンジンに異常を感じた。ほんの一瞬、息をして回転が落ちたような
気がした。あくびが出たので、休養を取ろうとしてバースで横になった時だっ
た。すぐにコックピットへ飛び出した。休養中もメガネと靴は付けている。燃
料だ!4時間後の15時に給油をする予定だったが、ヒールや船の揺れでタン
クの吐出口から空気が入ってしまったに違いない。
燃料パイプに空気が入るとエンジンに燃料を送れなくなる。この波の中で船を
止めてエアー抜作業!?頭をよぎる。少しのエアーなら勢いで飛ばせる。回転
を1200rpmに落として、そろりとエンジンを回し、大量の空気を吸わないよ
うにする。
これまでの経験で、メインタンクの残量が40ℓを切らないように給油をして
30
いた。右舷バース下のメインタンクに付けた自作のサイホン式油面計を読む。
20ℓ~100ℓの間を揺れている。ベッドの下に配備した平たいタンクという形
状もあって正確には残量が把握できないが、推定80ℓ。いずれにせよ空気を
吸っていることは間違いない。
急いでポリ容器3本の軽油を補助タンクに入れながら、同時にメインタンクに
落とした。初めてのポリタンク給油で位置が決まらなかったり、ホースから軽
油が漏れたり、終わった後に簡易ポンプの処理が悪かったり、苦労した。
昨日、補助タンクのバルブを開けてメインに落としたときは気が付かなかった
が、補助タンクの給油口から燃料があふれ出ている。給油口だけでなく、ロッ
カーの隅にも液体、確かめると軽油がたまっている。調べると、給油口のふた
のパッキンが全く合っていない。ゴムを適当に入れたのだろうか?変形をして
いる。
満タンで志摩を出てから、嵐で揺れている間中、給油口から漏れ出続けていた
ことになる。ただでさえ満タンに入れたので、当然、天井にある給油口にも燃
料がぶつかって、かなりの量が漏れたと思う。
補助タンクの給油口漏れの対策は後で考えることにして、燃料の補給をどうす
るかの検討が急務。早速、給油ノートを作って試算するが、どうもうまくまと
まらない。
まず、毎時何リッターエンジンが消費しているか?スピードや海況、風によっ
て異なる。出発の時は嵐の向かい風だから最悪の毎時5ℓ。通常は経験値で毎
時3ℓ。向かい風など悪条件で毎時4ℓ。ならせば3ℓ強で良いと思う。
しかし、消費量を少なめに見積もると、タンクの液面が早く下がることにな
り、エアーが入るのが早まる。給油ノートで5回試算して、ようやく納得の解
析結果で給油計画ができた。
消費量は毎時3ℓ。志摩からここまで41時間、だから消費は123ℓ。メインタ
ンク残量80ℓでエアーを吸った、この状態の時、18ℓ×3本を給油してさら
に2本給油してメインを満タンにし、補助タンクに10ℓほど残った。
31
この荒れる海上でエンジンがエアーを吸わないためにはメインタンクが残量
80ℓになったら給油をしなければならないとすると、この場合、満タンで航
行できる時間は16時間。少し余裕を見て毎時3.5ℓ消費で計算。すると14時間
で給油が必要となる。
以前、平水でガス欠をした後、給油をしたときに、竹ひごを入れて、20ℓ毎
に印を付け、以来この竹ひごを活用している。これによると串本、潮岬へ行っ
たとき最低40ℓは残さないとまずいと感じていたが、今回は80ℓ。タンクの
半分以上を残さなければならないこの現実は、検討改善する必要がある。
これらの検討結果によって、この後の給油タイミングは、26日4時(夜明け
前だから明るくなってすぐ)、26日18時、27日8時とした。
給油計画を作るに当たって軽率な間違いや単純な計算間違いを繰り返してしま
った。疲れがあるのと、やはり、相棒と話ができないのは誠につらいものと思
った。
補助タンクのキャップ漏れは補助タンクのコックを今回は開けたままとするこ
とにしたので、満タンになることはなく、今回の航海が終わってからの対処と
した。
5時間にわたる悪戦苦闘であったが、納得の結論となってまずは安心。ポリタ
ンクの搭載や、まだ利用を始めていない今回作った2個のタンク(その内の1
個が油漏れを起こした)を搭載しているが、実際に利用するのが、初めてで、
不安が残る。
ナイトを前にポーズ。
32
3日目のナイト。風が落ちて、波も穏やかになった。6mの風、波は2mと
いったところ。曇りのため、周りは暗闇。周囲50マイルの範囲に本船は居な
い。レーダーにも船影はない。揺れは無くならないが、これまででは一番揺れ
が少ない。
ふと、右手を見ると、あざが3か所。腰や背中、足にも痛いところがあるか
ら、打ち身をしたのであろう。キャビンの中では、しっかりつかまっていて
も、振り回されてしまうので、あざができるのは仕方がないが、けがをしない
ように気を付けなければならない。
<突然のエンジン停止>
エンジンが突然、停止した。ピーという大きな警報が鳴り、赤い警告ランプが
2個点灯した。チャージ不良と、オイル圧低下の警告灯だ。
日本本土から600㎞以上離れている。セーリングで帰ることになる?
アン5は他のヨットと違って主推進がエンジン、補助推進がセールと明言して
いるし、電脳ヨットとして、多くの電子機器を利用して安全運行をしている。
オートパイロットも電気が必要。これらの電源もエンジンについている発電機
が供給している。エンジンが止まるといささか面倒。ただのヨットになる。
ヤンマーのブランドとメンテに絶大な信頼をしているので、大丈夫と思いなが
らも地上のメカに電話連絡。幸い、風も落ちて、これまでではもっともおとな
しい海況だったのがラッキー。セールが出ているので、そのままオーパ(オー
トパイロット)で帆走を続ける。
衛星電話イリジウムで聞いたメカの話では、2つの警報は通常エンジンを止め
たときの状態。発電機が回っていないのでチャージ警報が出るし、オイルプレ
ッシャーが出ていないので警報が出る。オイルポンプは交換する部品は無く、
壊れないもの。とのこと。そうなれば、燃料が来ていない又は詰まったか、エ
アーが噛んだことしか考えられない。とのこと。この話を聞いて少し安堵。
オイルもれもなく、オイルの量もある。燃料も100ℓ以上あり、問題はない。
33
試しにエンジンをかけると、かかった!!
そういえば、今日午前11時ごろ、エンジンの回転が突然下がった。タンクに
推定87ℓの燃料があったにもかかわらず、船が大揺れに揺れたのでタンク内
の燃料も踊って、燃料供給パイプに空気が入ってしまったものと考えた。
その時は原因が分かったので、急遽、燃料を追加した。アン5のエンジンは、
少しの空気なら勢いで排出できると聞いていたので、エアー抜きをすることな
く、そのまま運転を続けた。
その時の空気が残っていたようだ。そういえば、この6時間の間に2回ほど瞬
間的なエンジン回転の低下があった。
朝の11時の時に吸ったエアーが残っていてエンジンを止めたが、再度スター
トしたときに抜けたものと結論した。ヨットはいろいろ起きる。今度は何が起
きるか?
2011/04/26 0000J
位置 29.11N/140.12E
進路 149度
速度 7.0Knot
風 W、風力3(風速6m)
波高 1-2m
小笠原まで170マイル
イリジウム経由のメールボックスに受信メールがあるというが受け取ることが
できない。多分、気象情報のデータの送信を受けたのであろう、そのまとまっ
たデータでタイムアウトになるなど、切断されてしまうので、それ以降のメー
ルを取り出すことができない。
9M(メガ)もの大容量データを何回も取りに行って失敗したので、通信費も
相当無駄に使ってしまったことであろう。小笠原でドコモにつながれば、そち
らで容易に取り出せる。せっかく多くのメールをいただいているのに・・・、
受信メールがあることが分かっていて受信できないのはストレス。
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衛星電話、イリジウムを今度初めて使った。衛星と通信する直径15センチほ
どのアンテナの置き場所が肝。金属の上が良いらしい。確かにアンテナのベー
スが磁石になっている。ヨットには鉄板はほとんど使われていないので、磁力
による固定はできない。たたんだドジャーの切れの隙間へ差し込んでいる。
イリジウムでメール接続する時の成功率は50%。q3uというメーラーソフトと
の相性が良くないように感じる。
音声は番号を間違えなければ意外とすんなりつながる。ただし、6秒54円、
10分で5,400円と高額。
しかし、今回、イリジウムがあって助かった。なんといってもエンジントラブ
ルで質問ができたこと。料金のことは言っておれない。それと、モバツイを使
ってツイットをアップできたのもよかった。
もしエンジンが止まった時はセーリングとなる。しかし、電気がないとオート
パイロットが使えないからラット(舵輪)に付きっ切りとなる。これ大変、シ
ングルでは特に大変。夜間の航海灯が使えなくなる。航海灯が意外と電気を食
う。それにレーダーやAIS、国際VHFも使えない。本船航路を横切るのも至難
の業となる。
エンジンが止まった場合の電気確保用にソーラーパネルを積んで来た。
120W。デッキに置いて太陽がサンサンと注げば5A程度は出るであろうが、
夜は勿論使えない。エンジンが止まればサバイバルモード。時間をかけて帰還
することになると思う。
本来、ヤンマーは丈夫・壊れるところがない。定期的な整備もしているし、排
気のエルボーの腐食も修理済み。本体も磨いてある!志摩を出てから、昨夜の
トラブルの時以外はずーと回っている。2100回転、比較的低速を巡航回転に
しているので、音も静か。燃費も良い。
だが、ヨットなのに四六時中エンジン音がするのはいただけない。勿論、風が
良ければ、その他、セーリングを楽しんだり、セーリングの研鑽をする場合は
エンジンを回さない。
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エンジンが主でセールが従という形はヨーロッパスタイルと聞いている。スケ
ジュールが読めるので都合が良い。風だけの航海は、デーセーリングや時間が
余るほどある人ならともかく、時間の制約がある場合はできない・・・、と私
は勝手に思い込んでいる。
4月26日午前3時。空は曇りで、外は真っ暗。波が落ち、穏やかなアビーム
(横風)。これなら早朝予定の給油作業もうまくいきそう。昨日の昼は、5時
間にわたって洋上での給油作業、そして給油方式や給油計画を作った。実際、
一時、どれだけの量をどのタンクから移送するのが良いのかわからなくなって
しまって、あわてた。
少し眠気がある。この後、バースに潜ってうたた寝をする。
うたた寝から目覚めてコックピットに出る。夜明けだ。雲間から出た太陽が昇
ってきた。日の出。おだやかな朝、ナウ。風、4m、うねり1m。メインを巻
いて、ジブをフルにする。すがすがしい朝。しばらくデッキでくつろぐ。おと
とい24日から吹き続けた西の風もそろそろ終わる。
太平洋、3回目の日の出。
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2011/04/26 0600J
位置 28.35N/140.41E
進路 152度
速度 6.7Knot
風 W風、風力2(風速
4m)
波高 1m
ジブフルのみで機帆走中
志摩では、低気圧が頭上を通過したころを見計らって出てきた。まだ大荒れだ
ったが、そのおかげで、その後に続いた高気圧圏内を航行できたと思う。
その後の変化を見るために気象Faxも受信できるように師匠の岩田さんに手ほ
どきを受けたが、周波数調整がうまくいかなかった。「白い線にピークを合わ
せる」が、できなかった。
気象は馬場さんの航路気象予報をそのまま活用している。正確な予報だったの
と、3日、7日の予報を区分けして取り、組み合わせるなど、利用の仕方もよ
かったと思って、自画自賛している。
燃料はメインタンクのサイホンゲージが90ℓを中心に揺れている。150ℓにし
てから19時間経過しているから3.16ℓ/h。妥当な数字。大揺れの海況なら早速
給油をしないとエアーが噛む危険性があるが、今は穏やかな海況だから、40
ℓまではエアーは大丈夫と思う。
志摩を出る時、簡単なメニューではあったが、おおむね20日分の食料を乗せ
た。今現在の消化率は2%程度。ビスケット類と果物4個程度の消化に留まっ
ている。
食べない理由は、初日吹かれて船酔い気味だったのと、その後も食事の準備が
面倒だった。ダブルハンドの時は3食必ず食べたが、シングルハンドではその
元気が出ない。
37
おだやかですがすがしい朝。給油で油臭くなる前に、元気を出して初めての調
理(と言ってもお湯を沸かす程度だが)に挑戦。何を食べようか決め難い。
朝食を終えた。玉ねぎをオリーブオイルで加熱し、具たくさん味噌汁をイメー
ジしたが、味噌汁の素がなく、味噌もなく断念。出発の前日、お昼の休憩に会
社を抜けて食材を確保した。メニューを書いたが、いい加減すぎて、実態に合
った食材が確保されていない。
だが、つかまっていても放り出され、あざだらけになる状況で、食事の準備は
無理ということもある。昨日の夕ご飯はフジッコ昆布をかけたキャベツを食べ
た。今日から普通に食事をするつもり。そうしないと賞味期限切れ食品が山と
なってしまう。
3日間、まともな食事をしていない。「飯よりヨット」で楽しんでしまってい
ることもある。胃がすっかり縮んでしまい、朝食は半分も食べられなかった。
健康(ダイエット)に良いと思う。
朝食後、スナップ。
38
<父島まで、あと100マイル>
アン5は父島の西10マイ
ルの二見港へ向かう変針点
を目標ポイントとしてい
る。その変針点まで約100
マイル。変針点から二見港
までは約10マイル。何回
か二見港への着岸時刻を計
算するが、いつも27日午
前2時となる。4時間の時
間調整が必要。
この地点から5Knotに速度を落とすか、変針点から超スローの2Knotで二見
港へ向かうか、などの時間調整方法が考えられる。
志摩から二見港まで5日の航海計画を策定していた。JASREPへも、28日15時
着予定と連絡してある。だが一方で、密かに3日半で行くことも考えていた。
レースではないので、そのことは人には話さなかったが、作戦成功する可能性
が出てきた。
来年にしたらどうか、2人でいけると思う、と拓央君から提案があった。夜は
船を止めて休むから大丈夫と説明したが、夜間スピードは落とすが、止めては
いない。約束違反。
どうして昼夜走っているかと言うと、「横になっているだけでも、睡眠と同じ
効果がある」を実践している。眠気を感じたら、いつでも飛び出せるようにメ
ガネを付けて靴を履いたまま、ベッドで休んでいる。
おおむね一時間単位の休養の積み重ねで、眠りこけることがなくてもやってい
ける。この時間管理はMyStats。23日から今現在まで、休養総時間24時間。良
いペースだと思う。
39
太平洋一人ぼっちを満喫、ナウ。強靭なアン5の船体と信頼のおけるヤンマ
ー、そして根強い持続力を発揮するオートパイロット、それに加えて、こうし
た私の行動に理解と協力をしてくれる人々に囲まれて、私は幸せ!
キャビン内で作業の切がつくと、コックピットの人に向かって「どうでっ
か?」と声をかける。私の習慣。今も声をかける。透明人間のオーパ君が、返
事もせず、もくもくとラットを回し続けている。3日も4日も、休まずぶっ通
しで舵を取り続ける人、すごいと思い、尊敬、畏敬の念を持つ。
突然、エンジンの回転が落ち、又上がった。2度、3度、繰り返す。今から急
いでチェックする。
燃料はある。5回ほど回転が下がったが、持ち直している。風が弱いので、船
を流してエア抜きをするか?又、回転が下がった。
エンジンを止めて、エア抜き着手。横で見ていたことはあるが、自分でやるの
は初めて。マニュアルを見て、エア抜きボルトとポンプレバーの位置を確認。
エア抜きボルトを緩め、ポンプを50回以上押しても燃料が噴き出さない。
ポンプ異常?それなら、エンジンは全く回らないはず。よく観察すると、緩め
たボルトがポンプレバーの動きに連動してかすかに動いている。ポンプはOK
と思われ一安心。
給油のゴム管に穴が空いて空気が混入している? それなら燃料漏れがあるは
ず・・・そのような様子はない。給油パイプの途中に流量センサーが入ってい
る。それらのパイプ締め付けバンドのすべてを増し締めする。パイプをよく観
察するが、ピンホールや刷れた傷口から空気混入の可能性は低い。
陸上支援のメカに、エアー抜きを徹底的にやらなければだめかもしれない、と
言われていた。パイプを外し、タンク側、ポンプ側の口を指で押さえておき、
エンジンをちょっと回すと良いというが、一人ではできない作業。
手が痛くなるほど給油ポンプを押して、エアー抜き穴から燃料がにじみ出たと
40
きに急いでボルトを締めて、運転を始めた。今、気になることがあって、再び
エンジンルームを開けた。
流量センサーを入れた関係で給油ホースが長くなって余った部分が上下してい
る。このホースの上部にエアーがたまっているのではないかと、さっきも位置
を変えたりしたのだが、運転中にもう一度動かし、勢いよくエンジンカバーを
締めたら、そのショックで回転が一瞬下がった。
エアーが残っているに違いない。しかし、これは致命的ではない。下手に一人
で、ホースのエアー抜きをするより、このまま運転するのが良いとして運転を
再開する。場合によっては、流量センサーは外した方が良いかもしれないと思
う。
今朝、夜が明けたら給油する計画だったが、給油をしてない。幸い、波がない
ので問題はないが、急いで給油を始める。サブタンクからのメインへの落とし
込みに時間がかかる。落ち着くまでに1時間以上かかるようだ。メインタンク
のエアー抜きが機能していないと思われる。今後の改善課題。
通常の2100rpmで機走をするが、スピードが上がらない感じがする。1Knot
遅い。昨日来、海藻がたくさん浮いている海面があり気になっていた。ペラが
深いからいいだろうぐらいに思っていたが、やられたか?
船を止めて水中カメラを入れる。案の定、海藻がペラに絡まって、一見、団子
のようになっている。
昨年、日本海でやったように梯子を下ろして長い(4mほど)柄のついたカマ
で外すか、又は潜るる。潜るためのウェットスーツやいつまでも潜っていられ
るためのコンプレッサー、減圧弁もある。
日本海で梯子を出したのはマリーナと岸壁。今日は波が少ないと言っても、こ
こ、太平洋の真ん中ではうねりがあって揺れるので、転落の恐れもある。
海に潜るのも、シャチもいると聞くから怖い。ここも、シングルハンドの弱
み。結局、1Knot遅いのは二見港への入港時間調整として、このまま行くこ
41
とにする。午前2時着見込みを、この遅れで午前6時に入港できるよう、後で
航海計画を立てる。
それにしてもいろいろある。ちょうど、西の風から南の風に変わるタイミング
で、風、波もなかった(うねりはある)。「ベリーハッピー」。これが大風大
波の中だったら、いやになっちゃうところ。
すっかり一日を過ごしたと思い時計を見ると、まだ午前。太平洋上には水と空
以外は何もないようだが、時間はあるようだ。
2011/04/26 1200J
位置 28.12N/141.03E
進路 148度
速度 5.6Knot
風 S、風力1(風速2m)
波高 1m
時間調整もあって、減速開始
<エンジン不調続く>
エンジンの調子がおかしい。しばしば回転が下がる。時には、咳のように止ま
りかけることがある。このままいくと、止まる。二見港内で止まると大事にな
る。だんだん心配になってきた。
要は、燃料がうまく供給されていない、又は燃料供給系統に空気が入ってい
る。空気って軽いから、上へ行く。燃料供給パイプを見ると、ホースが長いの
で一旦上へ行って、そのあとまた下にまげてある。たまるなら、
上へ行った部分。
もう一つ、燃料パイプに入れてあるものがある。これは流量センサー。GPSプ
ロッターのオプションで、燃料消費をリアルタイムで見ることができると聞い
て購入し、燃料ホースの間に挿入したもの。
センサーを取り付けた後、燃料表示を見ると24ℓ/時間、とんでもない値。よ
42
く調べたら、ディーゼルにはタンクへのリターンパイプがあって、多目に燃料
を送って余った分は返す構造だった。リターンにもセンサーを付けて、フィリ
ップフロップでパルスの引き算をする名案を考えたが、そのままとなってい
る。
つかえた空気は、高いところを下げたり振動を与えれば出てくるはず。早速、
エンジンをかけて供給ホースを曲げたり流量センサーをたたくとエンジンが咳
をする。これだ!!
まずは流量センサーを取り外す。燃料が噴き出てくるといけないので慎重にホ
ースを外し、ラジオペンチの先を素早く突っ込み、高いところへ置く。こうし
てパイプからホースへ直結になった。
次はエアー抜き。エアー抜きボルトをゆるめて、ポンプレバーを押す。少し泡
が出てくるが、ピューと燃料は出てこない。岡さんに衛星電話で聞くと、「ス
ターターを回して燃料を供給すると良い。」コックピットとエンジンルームの
話。一人でセル操作と水抜き操作はできない。
結局、ピューと吹き出すまではエアー抜きできなかったが、組み立てて始動す
る。問題なく快調に回る。昔、「このエンジンは少々エアーが噛んでも力ずく
で排気できる。」南さんが言っていたことを思い出す。
原因は流量センサー。燃料さえ回ればエンジンは回る。ディーゼルの大原則。
修理完了して本当に良かった。
2011/04/26 1800J
位置 27.47N/141.23E
進路 143度
速度 5.3Knot
風 Sの風、風力2(風速4m)
波高 1m
16時から18時の2時間、休養をした。いや、睡眠をした。時計を見て、夜明
け6時と思い込みびっくりした。熟睡防止の大音響目覚ましが手の届かないと
43
ころに置いてある。この目覚ましが鳴る前に目覚めたのは、やはり短時間休養
になじんでいるためと思われる。
起きてすぐに燃料補充をした。揺れによるエアー噛みを予防するため、1日2
回の給油とした。3~3.5ℓ/時の消費で半日、1回36~56ℓの補充となる。
大雑把な見立てだが、ピンホールタンクから30ℓサブ経由でメインに補充し
た。
燃料タンクは大きく分けて5種類ある。メインタンク、サブタンク、ポータブ
ルタンク(取り外しできる特注タンク)、椅子タンク(椅子を今回、タンクに
改造した)、ポリ容器7本。初めてのタンク充填で入れすぎとなり、トータル
500ℓ入ってしまった。
18ℓのポリタンクは、2割ぐらい余裕をもって18ℓとなるようなので、今後
はタンクへ8割の充填を目指さなければいけない。そうすれば、少し揺れた洋
上でも移し替えができる。500ℓの8割、400ℓが当初の計画要領であり、そ
の意味では計算通りになっていることが分かる。
南の向かい風。ぎりぎりいっぱいでメインセールが風をはらむ。日本沿海では
風がすぐに変わるから、こういった場合セールは上げないが、こちらでは安定
して吹くようだから、夜間になるがセールアップした。
<明日は、父島>
レーダーでは、アン5を中心に20㎞の雨雲の円ができている。雨じまいが必
要のようだ。今回の航海は出航と入港が雨になるのか?
午後8時。30マイル先にいて名古屋へ向かっている貨物船がだんだん近づい
ている。右前方8マイルにいる。レーダーにも出ているが、闇夜の目視では見
えない。雨雲が視界を遮っているか?アン5の右舷側をすれ違っていくことに
なる。
AISは便利。レーダーしかない場合は、船影を追っかけて、方向や針路、予想
航路を考えなければならない。レーダーもなければ常時目視ワッチとなる。今
44
現在、外は真っ暗で、水平線もわからない中ですれ違う、Flora Pioneerは、姿
を見ることなく右手8マイルにいることが分かる。
去年の日本周航の時と比べて、今回はAISが機能強化されている。昨年はAISで
周りの船の船名や動向を知るだけだったが、今回は自船の情報を周囲の船に発
信している。
今、闇夜をすれ違っているこちらの船を、相手のFlora Pioneerは、船名Yacht
Anne5や船のサイズ、針路、スピードなど画面で見て知っている。
船名登録がYacht Anne5となっている。国内船には、誠にわかりやすくて良い
のだろうが、外国船には、豪華客船と思われるかも知れない。
『Anne5』のつづりを見て、名古屋保安や伊勢湾マーチスなどは、アネ5と
か、アニー5と呼んでくる。赤毛のアン、アンシャーリーからきていると言っ
ても、一般にはアンとは読んでもらえない。Annだと分かりやすかったが、ア
ンの物語ではeが付くことが大事のようだった。
右舷8マイルで行き交う
Flora Pioneer。左のPC画
面はOpenCPNの海図。赤
丸が自艇アン5。左の緑の
矢印がFlora Pioneer。右の
水色のかたまりは父島。電
子海図は北を上に、PC右
のShip Plotterは進行方向
が上。26日19時41分。
エンジンの回転が下がった。2100rpmから1600rpmぐらいに落ちた。この状
態でアクセルを上げても回転は上がらない。エンジンルームを確認するが、先
ほどセンサーを外したので、誠にすっきりした以外は変化はない。
45
ホースをたたくが、エンジン自体が振動しているので変化はない。1分ぐらい
だろうか、回転が自然に戻った。いろいろ考えている間にもう一度同じことが
起こった。前回の咳のようなエンジン音は無い。単にアクセルが絞られただけ
の感じ。
どうも燃料ポンプが弱いのではないか?部品を中村さんに手配依頼して、小笠
原へ届けてもらうことが頭に浮かぶ。岡さんの意見は燃料ポンプは吐出量も多
く、心配ないとのこと。確かに以前自分で測定した時も24ℓ/h相当の排出量
があった。
岡さんは燃料タンクをできるだけ満タンにしておくように言う。140ℓのメイ
ンタンクで90ℓを切ったら補充するようにしていたが、さらにきめ細かく給
油することにして、20ℓすぐに給油した。
給油しながら考えた。サブタンクからメインに落とすとき、異常に時間かかる
と以前から思っていた。残り少なくなった時に揺れで少しずつ落ちていくのは
取り出し口に段差があるから仕方がないが、満タンの時も遅いと思っていた。
メインタンクは発電機と共用だった。発電機を撤去したとき、メインタンクの
エア抜きをふさいでしまったのではないか?もしそうだったら、どうなるであ
ろう。
今、また回転が落ちた。急いで補助タンクを見るが、空になっている。補助タ
ンクの空気抜きホースを口にくわえて空気を入れてみるが、変化はない。
中村さんから衛星電話が入る。どうですか?と。ベテラン2人がサポートをし
ていてくれている。
21時のログを送れなかったが、0時は送れると思う。深夜なので、畠山君に
悪い、申し訳ない。
22時。少し眠気があるので、休養することにする。休養から目が覚めるとエ
ンジンが止まっているか、又は知らないうちに回転が落ちてまた戻っているこ
とになるかもしれないが、こうしたときのために、セールだけは巻き取ってお
46
くことにしてコックピットに出る。
コックピットの作業中、風が強まってしぶきが飛んでくる。周りには先ほどす
れ違った船以外、50マイル圏内には船はいない。寝過ごし対策のためにエン
ジン回転を1600rpm、速度3Knotまで落とす。
今、23時半。休養のつもりが寝てしまった。だが、1時間で目を覚ます。22
時半に送ったモバツイが残っていたので送信をした。MyStatsで管理する休養
のレベルは3つ。睡眠、うたた寝、休養。いずれでも、合計1日8時間あれば
問題はないようだ。
今まで、自分は寝つきが悪い人間だと思っていたが、寝つきが悪くても横にな
っていれば睡眠と同じということが、MyStatで分かった。
速度復活。デッキはしぶきでぬれている。波が出てきて、時々バウがパンチン
グする。後、26マイル、5時間で変針点に到着する。志摩出航以来3日にわ
たって、ただただ、このポイントを目指してきた。
2011/04/27 0000J
位置 27.24N/141.43E
進路 145度
速度 5.5Knot
風 Sの風、風力2(風速4m)
波高 暗くて見えないが2m?
変針後は、東方向92度でおおむね10マイル。2時間進み、二見港に入る。改
めて港湾案内を見る。湾内に入って、二見岩にある赤灯台を24度に見て二見
港に進入する。灯台の手前、左側の岸壁が小笠原丸の桟橋らしい。
ヨットは奥の二見漁港の手前左岸壁がよさそうだが、これは港を見てからの判
断。この後の天気など全く分からない。二見港でネットにつながれば問題ない
が、大丈夫だろうか?大丈夫だろうね。
エンジンは快調に回っている。元気よく、エアーを吹っ飛ばして走れというこ
47
とかもしれない。これまでも気が付かなかったが、軽い回転低下を起こしてい
た??ヨットアン5に持病?
このヨットは、地中海で3組のカップルを乗せて一週間ほどクルージングする
船。だから、荒波を超えることは考えていない船かもしれない。頑丈なのはと
ても気に入っている。
タンクの中は燃料が踊りまくっているだろうな。揺れ止めの仕切り板はあるは
ずだが、地中海仕様?想像を絶する踊りをしていたら、岡さんの言うように空
気がエンジンに行ってしまうだろな?
モバツイを衛星経由で送ってツイッターにアップしている。LOG情報は南紀の
畠山君が受信、グーグルの地図上にMAP化してアップしてくれている。これ
らの画像を私はまだ見ていない。
昨年の日本周航の時と同じで、時間がずれたり前後したり入り繰ったりと見苦
しいツイッターになっていると思う。ヨット乗りは10人10色。こんなバカや
ってるヨットマンも居ることを知ってほしい気持ちがツイッターの発信となっ
ている。
「見渡すと何もない、海と空だけ、時間はたっぷり。読書三昧!」と思って何
冊かの本を持ち込んだが、とんでもない。大忙しを楽しむことになった。
私が出かけるに当たって、マネージャーが周囲に言って、自分に言い聞かせた
言葉、「いける時に行かないと来年はヨットがなくなっているかも知れないか
ら。」実際、今年(2011年)2回の地震で2mクラスの津波がハーバーを襲
った。満潮の時だったら、浮桟橋がパイルから抜けたと思う。そうなればハー
バーも船も壊滅・・・・。
マネージャーの言うことは本当。いつヨットがなくなってもおかしくない。ハ
ーバーのある五ヶ所湾は、昔、大津波の被害を受けたことがある。
使っているLEDのヘッドライトの電池を換えた。びっくりするほど明るくなっ
た。早く換えれば良かったと反省。
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衛星メールは時間がかかる。その間、コンパニオンウェイ涼みに上がった。目
の前のGPSプロッターを見ると、船が逆方向へ走っている。なんだなんだ?!
透明人間オーパ君が何かの拍子にオートを外して手動にしてしまったみたい。
たまに、こんなことがあるから注意が必要。
短時間だったと思うが、どうもぐるぐる回っていたらしい。今航海2回目。3
日間働きっぱなしだったから、ちょっと休憩をしたのかもしれない。オーパ
君、後6時間、頑張ってネ。
燃料補充から6時間が経過した。満タン140ℓに対して20ℓ消費したとして
120ℓ残っている。岡さんの満タンにした方が良いとの意見に従うと、すぐに
充填しなければならない。この暗闇、波としぶきの中で燃料補充はちょっと大
変。毎日4回の充填も大変。そこで1日2回にする方法・・・・。
この船の予備タンクは自動車でいう給油口と、その下の方にあるタンクをつな
ぐパイプの中間に接続されている。そうした位置にある予備タンクにある程度
の燃料を貯めておけば、その燃料がなくなるまでメインタンクはいつも満タ
ン。
リスクは、サイホンゲージのコックを開けてしまうことと接続パイプや空気抜
きホースからあふれ出てしまうこと。昨年、どこかで給油したとき、うっかり
給油口まで入れてしまったことがあった。漏れ出た燃料はなかったので良いと
思うが、注意が必要。
でも、この方式の問題点が1つ。いつもメインの140ℓを余分に(使わないも
のとして)持っていなければならなくなること。140ℓ満充填不要な方式もこ
れから考えてみたい。
2011年4月27日二見港向
け変針点まで、後4.5マイ
ル。藻付スクリュー+向か
い風で、5.5Knot。時間調
整でゆっくり行くとか、無
49
理をしないとか言いながら、通常速度2100rpmで走っている。回転はある程
度高い方がエアーを飛ばしやすいと思ったからでもある。
志摩から一直線に狙ってきたウェイポイントWT008まで、あと1マイル。
ここでエンジンの回転数が低下。岡さん理論で36ℓ補充したあとなの
に・・・。しばらくすれば、回転が上がるはず。
変針点を目前にスピードを下げたのでじれったい。変針後はセールで後押しが
できると思う。南の風、5mが吹いている。
<父島、二見港に向かって変針>
2011年4月27日、午前5時ちょうど、二見港へ向けて変針。五ヶ所湾を出て
から3日と11時間。エンジン回転は1600rpmまで落とす。
ゆっくり休養ができなくなった。これまで先の先まで海だったが、変針後、こ
の先には父島や母島がある。
曇り空にうっすらと水平線が見える。島影は見えないが、レーダーの24㎞レ
ンジで小笠原群島の影が見える。
エンジンの回転数が一瞬落ちた。メイン120ℓ。やはりタンクの中で燃料が踊
っているようだ。 ポリ容器からの燃料補充を行う。
ポリ容器からの給油はだいぶうまくなった。最初は早速キャップをなくすなど
混乱した。揺れる中、ポリタンクを固定しておかなければならない。これで3
回目。それぞれの口にタオルを丸く詰めて、その間に口を差し込む。初めはサ
イホン、最後はポンプ。
波が落ちてしまったので、タンクをフルにしておいて揺れてもエアーが入らな
いようにするテストにはならないと思ったが、新しい方式で別の問題が出る可
能性もあるので、予備タンクに給油をしてメインタンクに一切空気を入れない
方式とした。
50
燃料の補給をしていると、
うっすら島影が見えてき
た。午前5時半。前方に島
影が広がる。進入方位92
度はキープしているが、二
見港に入港するための灯台
に対してだから、ただ92
度をキープしていればよい
のではない。写真は26日
午前6時16分。
2011/04/27 0600J
位置 27.05N/142.07E
進路 98度
速度 6.2Knot
風 S、風力2(風速4
m)
白い光がもやの中で光る。父島、二見の灯台は“指向灯”。正しく向かうほん
の5度ぐらい範囲の中から見たときだけ白く光る。その細い帯の左から見ると
緑、右から見ると赤となっている。アン5は正にぴったりコースにいることが
わかる。
次の青灯標を探す。正面左に見えてき
た。次は、二見漁港の赤と灯台。光が弱
くてなかなか見つからない。明るくなっ
たので、二見の指向灯が消えてしまっ
た。漁港の赤灯も消えたのであろう。写
真は二見港最初の緑灯標。この右側を通
過。
51
揺れ防止機能付きの双眼鏡が電池切れ。大体、大切な場面でこうしたことが起
きる。急遽ごつい7倍の双眼鏡を久しぶりに取り出す。倍率は低いが明るい。
そして視野の中にコンパス指示が出る。進入にはピッタシ。
何とか赤灯台を見つけて、その灯台が24度になるまで待って変針。ネットが
つながっているはずで、APRSも飛ぶはずだが、準備不足で断念。バッファロ
ーの無線ルーターが暴走して、電池をいったん外さなければならない状態にな
っていた。
港湾案内に出ている理想のアプローチ。
赤灯台の手前左は小笠原丸の桟橋。奥に
入って、正面が広々とした岸壁。「避難
岸壁。許可なく係留禁止」と大きく書い
てある。引き返して入口左の船溜まりへ
入れようと準備を始める。
フェンダーやもやいロープを取り出していると、避難桟橋から「ピュー」とい
う鋭い口笛。バイクのライトがこちらを指している。「こちらに着けよ」とい
うサイン、と受け取って手を挙げる。サインに従って緊急避難桟橋に船を向け
る。
7時30分。係留完了。
2011年4月27日、午前7時
半、小笠原、父島、二見港
で係留完了。志摩半島から
3日半の航海。写真は翌日
朝のもの。
52
<二見港にて>
二見港へ係留完了後、まずはKAIZIN、山田さんへ電話をして到着を知らせ、
11時ごろ伺うとTEL。すると間もなく海上保安庁の若い職員さん来訪。後で聞
いたが、山田さんが海保へ連絡をしてくださったとのこと。
立ち入り検査。いわゆる「臨検」。保安庁の用語はきつい感じがするが、定型
訪問のようだ。それでも、いろいろ質問を受け、若い保安官のメモもかなりの
量になっていた。「港内ではトイレを使わない」これが最も大切な伝言のよう
だった。
若い職員の方には、ヨットにおけるAISなどの搭載効果など興味深く聞いてい
ただく。
外国船は、48時間以上前に入港の通告をする決まりであるが、それを守らな
いケースが多い、と聞いた。外国から来るヨットはたぶん事前通告なしで入る
であろう。彼らが港を汚染する可能性があるので、到着直後の「トイレは使わ
ない通告」のための立ち入り検査は必須となる。
本棚にあった本を見て、「本を書かれたのですか?」と聞かれた。去年書いた
「ヨットアン5のつぶやき航海記」。AISのことも書いてあるので差し上げよ
うとしたのだが、どうしてもと言われて代金を置いて行かれてしまった。
整理をしていると、今度は東京都の港湾関係の職員さん2名来訪。岸壁でアン
ケート?岸壁使用申請書?のような書類に記入し、少し雑談して、トイレの所
在地を説明していただき、帰られる。海上保安の人が連絡したのだろうか?
続いて、しばらくすると当地小笠原ヨットクラブのSNさんが来られ、岸壁か
ら声をかけていただく。お仕事中とのことで、手短に情報交換と支援のお申し
出、夜のお誘いを受け、さらに車もお借りできることに・・・。
先だった訪問者の方にはコインランドリーは無いと聞いていたが、そのことを
言うとお知り合いのアパートのコイン洗濯機を使えるように話して置いていた
だけることに。これもありがたい。公園で洗濯するの?と思っていたので大感
53
激。
早速、SNさんにお世話いただいたコイン洗濯機のあるアパートへ行く。ちょ
うど住人と一緒になってしまったが、2台あってセーフ。洗濯の時間を使って
KAIZINさん訪問。ネットで見慣れたお顔の山田さんにお目にかかる。
昔、多田さんがオケラと言うヨットでシングル世界一周レースに出て優勝し
た。その時の日本の無線サポートをしたのがきっかけで、ず〜っとヨット向け
のサポートをアマチュア無線の同好家と共に続けておられるが、小笠原の山田
さんが、そのセンター、お世話役。
毎日欠かさず、日本時間12時20分から21.437MHzで、世界一周中や国内のヨ
ットに呼びかけていることで有名。
3年前から、一時は頓挫しながら何とかアン5から電波が出るようになり、今
回こそこのオケラネットに参加させていただけると思っていたが、太平洋に出
ても、声はすれども明確には聞き取れず。26日は最後のチャンスとして時間
に耳を澄ますが、なぜかアンテナのチューニングができないと機器に表示さ
れ、遂に通信断念。
ヨット界のマドンナ的存在の山田さんにいろいろお話を伺い、ヨット航海のた
めに役立とうとしていただくお気持ちをさらに深く知る。
山田さんのご主人が経営されているダイビングサービスのKAIZINの事務所兼
店内でお話を伺った。KAIZINさんは黄色で中型の船をお持で、私の孫たちが
憧れる、イルカと一緒に泳いだり、ホエールウォッチングサービスなども提供
しておられる。
yacht Anne5の午後の大イベントは海藻取り。昨日からスクリューに絡みつい
た海藻を外さなければならない。「一人で潜るのは心配」と話すと、SNさん
の仕事が終わる5時過ぎに来て、見守ってくれると言う。
午後、時々雨が降る中、海藻取りの検討と準備をする。
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4mほどの竹竿の先にカマを付けた「海藻取り」を積んでいる。去年、日本海
で数回使った。その竿のカマの手前に水中カメラを付けて海藻を外せないか、
仕掛けを作ってやってみた。うまくいくようだったので、ウェットスーツを下
半身だけ付けてスイミングラダーから水に入って見た。
スイミングラダーは、水泳をしたあと船に上がるために水中に延ばす梯子。ス
イミングラダーを降りて、下半身を入れて、体に縛り付けたロープに体重をか
け両手で4mの竿を操作するが、やはり船尾、後方からのアプローチでは取れ
ないことが分かった。
続いて、去年何回もやった横腹方式、船腹に梯子をたらす方式で挑戦。梯子を
垂らして海面まで下りてみるが、体の位置を調整するライフラインの長さを変
えるために、いちいちデッキに戻らなければならない。このため一人ではとて
もできないと思い、この方式も断念。
昨日太平洋の真ん中で海藻がスクリューに巻き付いたことが分かった時の状況
を思い出す。洋上でもできる安全な方式を考えると、準備の時間がどれだけか
かっても十分で完璧な準備をした上で、やはり潜るしかないのだろうとの結論
となった。
すでに下半身だけウェットスーツを着ている。雨も降っている。昨日来の航海
でいささか疲れた状態の老体。ここは岸壁係留中だが、外洋は波で揺れ続けて
いる。外洋を想定して、「もっとも消耗の少ない潜り方」を工夫することにし
た。
船の横とプロペラ付近の船腹に、2本のロープをしっかり回した。泳いでいく
のではなく、これにつかまってプロペラまで行くもの。泳いでの接近はここで
も、外洋でもありえないと思った。
体が浮かないように腰にウェート2個を付けた。
エンジンをかけコンプレッサーを回した。減圧弁を口にくわえると、圧が低く
吸い込む時にかなりの力がいる。疲労でいつもと感じが違うのだろうか。それ
にしても、これは危険だと思い、シュノーケルに切り替え。(落ち着いて後で
55
考えると、コンプレッサーの吐出圧の調整不良。圧が不足。2年ぶりで操作を
忘れている)
命綱を着けるか一瞬考えたが、ここではその綱が体に絡むなどの危険を避けて
無しとする。
ナイフにシートを付けて、その先を手首に巻いて止める。
スイミングラダーを再び出して水中へ。首筋に水が入ってひやりとする。ゆっ
くり船首方向へ移動し、スクリューへのガイドロープを伝って一気に潜る。ナ
イフをスクリューシャフトに沿って滑らせる。一部の海藻が離れそうになるの
で、手で引きちぎる。
2度目の潜水で、「取れた!」。思ったより素早くプロペラシャフトに行け
た。ガイドロープが効いたと思う。外洋で時間がかかる場合はコンプレッサー
を調整すればよい。以前、1時間近く、コンプレッサーの空気で船艇を磨いた
こともあった。(その時は上がった後、疲労で転倒し、中けがをした)
コンプレッサーを使うためにエンジンを回したので温水ができた。おかげで5
日ぶりのシャワーができた。ただし港内の海水汚染を防ぐために石鹸はほとん
ど使わなかった。
夕方6時半にSNさんにお迎えに来ていただき、食事へ。地元産のお刺身や海
亀の肉などをいただいた。海亀の肉は、ドテのような料理方法で特異な感じは
しなかった。SNさんとはヨットのことや津波のこと、そして、「共勝丸」の
ことなど、話が弾んだ。
食事後、船に帰って寝る。さすがにぐっすり寝たようだ。こうして父島の初日
が終わった。
56
3小笠原諸島の父島探索
<父島探索>
4月28日、父島、二見港、雨模様。今日前線が通過して、明日の午後から晴
れるという予報。SNさんに車を借りたので、午前中は観光、午後、明日の出
航に向かって休養のつもり。
今船を留めている避難桟橋には、「許可なく係留禁止」と大きく書いてある。
「避難用桟橋、通常時係留可。届け出を!」と書いておけば心温まる。
ドジャーの雨除けがうまく
いった。後ろからの雨風に
は全く効果がなく、雨が遠
慮会釈なくキャビンに降り
込んでいたが、ドジャーか
ら1mほどビニールシート
を垂らして、降り込みをほ
とんど防ぐことができた。
朝7時半、近くの公園へ用足しに行く。そのまま観光に行くつもりであった
が、忘れ物があって再び船にもどって再出発。車があるので、傘もカッパも積
んでとても重宝。ありがたい。
二見漁港周辺の集落とは別に、左手の山
を越えた向こう側に島の中心がある。そ
こへ行くには、山を抜ける歩道だけのト
ンネルがあるが、車道で回り道をしても
距離は知れている。二見漁港の外側に位
置するその繁華街に、小笠原丸(以下、
島の人の呼び方、「おが丸」)の桟橋が
ある。
57
父島は、「おが丸」がいつ来るかで町の動きが決まる。一昨日「おが丸」が出
航してしまったので、島のお店は1割しか開いてないとのこと。次に来るのは
4月30日。普通は一泊して出航だが、連休スケジュールで折り返すそうだ。
今度の「おが丸」の乗客は900人。町で出会った何人かの人がそのことを口に
した。町中の人が900人全員を知っているほど町全体が「おが丸」に依存して
いるようだ。
雨の降りしきる「おが丸」
の待合所、観光センターへ
行くが、朝早いからではな
く「おが丸」がいない日は
休業。
島内のいくつかの観光施設
では「小笠原丸や観光船が
入港している間だけ開館」
としている。
「おが丸」の桟橋に隣接し
て、湾口側に四角く囲まれ
た岸壁がある。一、二、青
新と名づけられた岸壁。す
べての面に係留禁止と書か
れている。小型艇には立派
な係留場所だが、どんな目
的で作られたのであろう
か?
「おが丸」に隣接して「母島丸」の桟橋がある。毎日一便、50㎞先の母島へ
行く定期船らしい。
58
「おが丸」の待合室の隣
に、「共勝丸」の貨物取扱
所と書いたコンテナがあっ
た。「おが丸」とは別に、
2昼夜かけて東京と父島を
結ぶ貨物船。「定員8人」
の乗客も乗せると聞いてい
て興味があった船。食事も
付いて、料金も安かったと
思う。
「共勝丸」について聞いていた話は「エンジンルームの近くでうるさかっ
た。」「ブリッジへ入れてもらって楽しかった。」など。私もできればいつか
乗ってみたいものだと思っていたが、今は特別な理由がなければ乗せなくなっ
たとSNさんに聞いた。
以前、八丈島の陰で、「共勝丸」が2日間荒天避難したら、乗客が「八丈島で
下ろせ!」と騒ぎ出して困ったことなどが、乗せなくなった理由だそうだ。乗
せてもらえる特別な理由とは、「荷物と一緒に乗って行きたい」とか、「おが
丸」の日程に合わないので困る、といった理由がある場合など。
「共勝丸」はこれまで東京への帰りは空便だったが、最近は産業廃棄物を積む
ようになったそうだ。現代は、廃棄物処理には専用の施設が必要な時代。建築
物や設備、廃材など、今後は建設時に廃棄を配慮しなければならない時代。生
活用品でも用済みの時の処分をみんなが考えなければならない時代になった。
「共勝丸」は石巻市の船で地元出身の乗組員が多く、3月11日の震災発生時
には家族や知人の安否を洋上で大いに心配したそうだ。この震災で「共勝丸」
の会社の社長さんが行方不明になっているとのこと。ご無事を祈りたい。
岸壁にある船着き場の前の道路を渡ると
反対側道沿いに、多くの民宿やダイバー
ショップ、お土産屋さんが並んでいる。
モダンな宿泊施設も多くあって、観光客
59
の受け入れ体制は万全のようだ。
表通りを少し行くと道路を挟んだ海側は
海水浴場。どんよりした天気で裏寂しい
感じだが、夏の「おが丸」到着時はにぎ
わうことと思う。
この通りの裏に飲食店街のような通りが
ある。昨晩はここにあるお店で飲んだ
が、地元の方の利用もあり9割が閉まっ
ているという感じはしなかった。
この後、父島観光に出発。車体が軽く軽快で、車と人の一体感を感じることが
できる軽自動車で快適ドライブ。厚い雲に囲まれ、時折雨も降る天気だった
が、後半には晴れ間も出る、という天気予報だった。
出発して最初の訪問先は小笠原村情報センター。誰もいない。インターネット
の設備があるなど町の情報センターだが、14時オープン。基本情報の習得は
失敗。簡単なチラシパンフレットをガイドとする。
情報センターの先にも道が続いている。狭いがあまりに立派なコンクリート道
路だったので、何かあると思って車を進めた。お墓とへんてこりんなアンテナ
があった。
林の中の隠れるような場所に、折りたた
み傘を開きかけて、それぞれの骨を折っ
たようなアンテナ。防衛省管轄で、立ち
入り禁止と書いたごく簡単な看板とトラ
ロープが張ってあった。コンクリート道
路の訳が分かった。ここの防衛関連施設
への道。何か秘密を見た感じで面白かっ
た。
60
アンテナの道を挟んだ反対
側の斜面にはお墓。ピクニ
ック気分のお墓詣りができ
そう。
いったん本道に戻って山を登ると、山の
木々が途切れて左手に海岸線とその先に
島が見える。父島と海峡を挟んで北に位
置する兄島。天気がすぐれないのが残
念。
3番目の探索先は大根山公
園。チラシガイドの地図に
は公園名が記載されている
が説明記事は無い。お墓が
併設されているので、ガイ
ドを差し控えたのだろう
か?入口に戦争当時の遺
品、鉄の塊がある。航空機
のエンジン、速射砲、高射
砲と思われる。
膨大なエネルギーを戦争につぎ込んだ日本。後先考えずに走る国民性。今も社
会保険や医療保険、公務員給与、港湾設備・・・、様々なものに先を考えずに
つぎ込んでいる。
61
砲台がある。後方に入り
口、前方に砲口。狭い中
で、兵隊さんがしゃにむに
働いたのだろう。二見湾が
一望に見える展望台がある
が、もやで真下の街並みし
か見えない。対岸の山も上
部は分厚い雲で覆われてい
る。
住民の方のお墓と、「小笠原村郷心者慰
霊碑」がある。良く磨かれ整備された
碑。個人のお墓のほとんどに、色鮮やか
で生き生きとした花が飾られている。そ
ういえば、先週はお彼岸だった。
父島4番目の探索先は宮野浜。大量の松
葉が落ち、道を隠すほど。タイヤがスリ
ップしてしまうのではないかと心配し、
徐行する。行きかう車は全くなし。観光
地への道で観光客は、島中で私一人?だ
から当然。朝が早いからということもあ
る。
木造のきれいな休憩所と案
内板。シュノーケリングに
最適とある。車に乗ろうと
して道端の洞窟を見つけ
た。1個は入口がコンクリ
ート製、他の2個は堀った
62
だけのもの、いずれも奥行がある。これも戦争の遺跡。沖縄のように、米軍の
上陸があったのだろうか?心が痛む。
<夜明け道路へ>
一旦二見港の町へ戻って、
島の東方向へ行く夜明け道
路に向かう。町を出る道沿
いに看板。「海軍墓地」。
手作りのような階段を上っ
て奥に進むと20本ぐらい
の墓標が周りを囲んで古び
た角棒様の碑がありそこに
は、「大東亜戦争海軍犠牲
者戦没将兵の碑」とあっ
た。
思わず帽子を取って碑にお参りをする。安らかに眠ってください。日本を導い
てやってください。後で思えば、両方は無理。いずれか、よろしく願います。
父島5番目の訪問地だった。
車に戻って、50mも走っただろうか。今
度は道路の左側に「咸臨丸墓地」の標
識。細い道を下っていくと右に折れた先
に、石積みで一段高くしたお墓。墓標が
いくつかある。以前、咸臨丸は渡米した
後、小笠原へ来たと本で読んでいたが、
その頃に亡くなった人たちのお墓。
星と羅針盤のみで江戸から小笠原へ。主として横帆で帆走性能も悪く、石炭火
力のか細いエンジンでの航海、操船が困難であろう重い船体、アンカリング。
それに比べて、アン5の電脳ぶりはどうだ。良い時代になったものだ。父島6
番目の訪問地。お参りをして次へ向かう。
昨日、SNさんに言われた。「駒井さん最短記録だよ。」小笠原への航海日数
63
のことかと思って聞いていたら、滞在日数のことだった。観光ツアー中に電話
をくれたTMさんも「駒井さん冒険家だねー。せっかくだからゆっくりしてら
っしゃいよ。」TMさんも、シングルで沖縄へ行かれたこともあるオーナーさ
ん。
天気が良い時は航海。天気が悪いから当地に留まっている。だから、私の場合
は悪天候下の観光。昨年の八戸、小樽、七尾、みんなそうだった。
車さえあれば、天気が悪くても、知らざるガイドに載っていない遺跡等の発見
もあって、大満足。
父島の山道を登る。途中の景色が良いと
ころはほとんど止まって写真を撮る。遠
くにアン5が見える。景色の中心と言い
たいが遠すぎるし、もやっている。写真
の左端が「おが丸」の着艇岸壁。
よく見ると、道路の落石防止のネット越
しに洞窟がある。道路を拡張したのだろ
うから、洞窟の奥の部分が露出してき
た?島にはたくさんの防空又は要塞洞窟
があるのであろう。
走った道路は「夜明け道路」、島の東の
方、夜明けの方へ伸びて一周するからそ
の名前が付いたのであろう。
64
道路沿いに、数千万年前に火山で父島が
できたことを知る溶岩の壁があった。車
を止めて説明に見入る。7番目の観光ス
ポット。
道路沿いに、根が何本も出た、以前ハワ
イで見たような木(蛸の木?)が続く。
南国を感じさせる。
霧が深く、見通しが悪い。道路沿いで次
に見つけたのは、最初の頃草むらの中で
見つけたアンテナの大型のもの。防衛施
設庁の看板もある。その前の碑には「時
空を超えて、南へ1000㎞、夜明けを迎
える島、夜明山」。8番目ポイント。
道沿い右側に、宇宙開発事
業団小笠原追跡所。種子島
から打ち上げたロケットの
追跡をするのだろう。それ
にしても閑散としていて、
人の動く気配はない。9番
目の探索ポイントとした。
65
<生態系保護地域>
「夜明け道路」を行くと左手に小道。看板が立っている。手書きのしっかりし
た看板「森林生態系保護地域」。種子除去装置もある。「服と、靴に付いた外
来種子を落としてから、入ってください。」と。
看板の上には空き缶があって、ガイド、
調査研究、観光・・などラベルが書いて
ある。「訪問者は該当訪問目的の缶に石
を1つ入れてください」とあったので観
光に1つ石を入れた。石の数を数えて集
計分析するのであろう。アイデアだ。そ
の奥には、簡易な真新しい橋が見えてい
て、散策すると気持ちが良いように思われた。これが10番目の探索ポイン
ト。
「あかっぽがいます」と立て看板。飛ば
ない鳥。固有種。野生の猫やヤギから守
るために、広大な範囲を網で囲ってい
る。岩場では、岩の凹凸に合わせて丹念
にきっちり網で進入をふさいでいる。豊
富な小笠原固有種が人の持ち込んだ天敵
によって絶滅されてしまう。
希少野生動物植物の保護管
理の看板があり、ここにも
手作りの種子除去装置、そ
の奥には資料や写真を掲示
した説明パネルもある。
(11番ポイント)
66
その先右手に中央山公園入口。展望台が
あるようだが、天気が悪いのと徒歩で行
かなければならないので、パス。
12番手は、東京都小笠原
亜熱帯農業センター。入口
横の私有地になぜかヨット
が置いてある。
かなり広大なセンターで、森の喫茶店が
あるというので行ってみるが、勿論、人
気は無い。ここも「おが丸」寄港時のみ
営業?何しろ、観光客には一人も出会っ
ていない。9時、まだ朝が早いせいとも
いえる。
展望台があると案内パネルにあり。センターで働く女性の方に場所を聞くが、
やはり徒歩で行くと聞き、車を先に進める。徒歩で行ってもさしたる時間はか
からないはずだが、午後は燃料補給などの出航準備をしなければという、予定
がある。
コペペ海岸へ行く途中に、
大きな大きなパラボラアン
テナ。国土地理院の父島
VLBI観測局。
67
続いて小笠原村父島火葬
場。日本一、風光明媚な場
所の火葬場と思う。火葬に
関係なく、下りて景色を見
ることお勧め。悲しみの火
葬中は遠慮した方が良い
が、めったに行き当らない
と思う。
コペペ海岸は砂がきれいな
海岸。駐車場、休憩所とト
イレも完備している。歩い
て、小港園地へも行ける。
パラボラからコペペまで
で、13、14、15番見どこ
ろポイント。
16番の洲崎の海岸はガイ
ドチラシの案内とイメージ
が合わなかった。場所を間
違えたか?
二見湾に面した扇浦へ出
た。父島の山間部を一周し
たことになる。扇浦はカヌ
ーなどの遊びのメッカ的雰
68
囲気。17番スポット。
二見港までの道路は二見湾が見えて風光明媚。途中の境浦では座礁した船の残
骸も見える。
<出航にそなえて、給油>
父島一周後、漁協のスタン
ドへ行く。お借りした車に
ガソリンを入れて、船への
給油を依頼する。ローリー
があるわけではないので、
漁協の給油岸壁に船を回し
て横付をした。横付をする
とき自慢のスプリング付け
をしたのだが、センターク
リートから後方へスプリン
グを出すべきなのに、前方へ出していた。これではコントロールできない。バ
ウ(船首)を岸壁でこすって傷をつけてしまったが、無事に係留はできた。
69
漁船の燃料タンクは5トン。硫黄島近海まで出かけていく。獲物はメカジキ。
10年前まではカツオやマグロを獲っていたが、今はメカジキが主体。メカジ
キ船は13隻、その他の漁船合わせて父島では全部で30隻ほど。母島には別の
漁協があって、そちらは15、6隻とのこと。
漁協の給油パイプは図太いし、しゃれたレバーは無く、給油口に頑固なコック
がついている。メーターもリットル単位でアバウト。
補助タンクに一杯入れておけば、
そ れ だけ 長 時 間 航 海 で き
る・・・。「しまった、キャップ
のパッキンがなかった!!」漁協
のお兄さんに聞くが、勿論、売っ
ているはずがない。他のタンクの
給油をしている間に、手持ちのウ
レタン板をはさみで切って、急い
でパッキンを作った。会心の作。
免税券を使って精算を終え、船を離岸させたところへ係りの青年が来て、呼び
戻される。仕入れ業者に「今度の仕入れが来月になるから来月有効な免税券で
なければダメ」と言われたとのこと、名古屋から送ると約束したが変な話。
大きな給油パイプ、勢いよく出すと燃料があふれてしまうと言って、極端に絞
ってちょろちょろ入れるので、2時間以上かかってしまった。
今回の航海のために椅子を
改造して作った椅子予備タ
ンク(後方)と、隙間には
め込む形で作ったはめ込み
予備タンク。
70
2つの今回増設した予備タ
ンクに加えて、いくつかの
ポリタンク。昨年の日本周
航の時に作った予備タンク
はこのポリタンクの下にあ
り、これらとは別に標準装
備のメインタンクがあり、
これらのタンクすべてを合
わせると、500ℓ弱の燃料
の搭載となる。
給油を終えて船を元の岸壁に戻し、急いで食料など買い物をして、そしてKN
さんの車を駐車場まで返しに行く。
71
4西へ 1000㎞の南大東島へ
<南大東島へ>
小笠原父島、二見港、ナウ。2011年4月29日、06:00離岸予定。
外は雨、今日は15時ぐらいまで雨が続く予報。そのあとは高気圧圏内。この
高気圧を逃すと次の高気圧は6日後となりそう。1週間の滞在は無理なので、
今日の出航を決めたもの。
馬場さん航路予報では、3日目、5月2日の一日中、南西、及び西南の向かい
風。風の強さは10Knot(5m)~2Knotまで徐々に落ちるようだ。この間、
機走となるか?
離岸35分前。急に朝食を取ることを思いつく。作ると言っても、お湯を沸か
して温めるだけ。今から5分後には食べることができる卵がゆ。
72
長くヨットをやっているが、朝、離岸前に食事をするのは久しぶり。食事はも
ちろん、ひげ剃りや洗顔も、走ってできることはすべて洋上でやりたい考え。
修理やメンテも同じ。アンカリングして工作をするのが好き。いつか文雄君
に、ハーバーの近くでアンカリングして作業をしようとしたら、「なんでここ
で?」風な反応をされたことがあったが、これは私の方針。
APRSを出している。ネットがつながる間、航跡が記録される。昨年の日本周
航の航跡も、日付を入力すると今でも見ることができる。
http://ja.aprs.fi/?call=yacht%20anne5&mt=roadmap&z=11&timeran
ge=86400
卵がゆはスプーンですくって飲み込むだけ。せっかくのブレックファーストも
あっという間に終わった。でも、おいしかった。
小笠原への初めての長期(私にとって)シングルハンド。いろいろあって楽し
かったが何しろ忙しかった。今度の南大東島への航海は大三角コースの最長距
離コース。最短たっぷり4日。一段、レベルアップしたアン5での、余裕の航
海となることを願っている。
では、雨具を着て、係留索を外し、離岸の準備をする。今、2011年4月29
日、午前5時45分。
出航前の記念写真。いざ、
南大東島へ。
出航前の点検で航路ソフトOpenCPNがCOMポートが見つからないと言ってい
る。洋上でチェックするとして、まずは放置。これだからパソコンは困る。
73
USBの抜き差しなどは一切やっていないのに!
JASREP/SP
A/ヨットアン5/240-41190//
B/290600J //
G/小笠原諸島父島二見港/27.05N/142.11E//
I/南大東魚港/25.52N/131.39E/041600J//
L/RL/60/26.50N/139.55E/300600J/小笠原西海上//
L/RL/60/26.35N/137.45E/010600J/小笠原西海上//
L/RL/60/26.20N/135.36E/020600J/小笠原西海上//
L/RL/60/26.05N/133.50E/030600J/小笠原西海上//
L/RL/60/25.41N/131.30E/040600J/南大東島沖//
M/当艇のイリジウム電話番号は、XXXXです。 //
2011年4月29日午前6
時、二見港離岸。停泊する
のは定期連絡船「母島
丸」。
小笠原、父島、二見港、お
邪魔しました。KNさん本
当にお世話になりありがと
うございました。丸2日間
の滞在でした。
74
午前9時、10マイル先の変針点に向かう。どんよりした天気だが、雨粒は落
ちていない。風は南東3m。
前方モニターのUSBカメラを設置した。キャビンのPC画面で前方が見られる。
頼ることはできないが、気休めとセールの確認になる。
しばらくして雨粒が落ちてきた。仕方がないので、ドジャーにビニールをかけ
た。西の空がほのかに明るい。天候回復が期待できる。7時ごろの話。
レーダーの接近警報が途切れ途切れ鳴る、ナウ。AISやOpenCPNには出ない。
AISを積んでいない船。目視で見ると漁船のよう。双眼鏡で見ようとしたが、
二見入港時に電池切れを起こしていた。他にあるもう一台のコンパス付の双眼
鏡は、海上では揺れのためほとんど役立たない。
双眼鏡に電池を入れる。止まって漁をしている様子。左舷側にも一パイ。右手
に仕掛けがある。大型の旗がついているがレーダーには反応しない。
衛星でメールが送れないことが分かった。安否情報が数日送れなくなると家族
や友人が心配することは明らか。何回発信しても、ホストがないとか良くわか
らないメッセージが出る。時間をかければ何とかなる?いろいろ触ると収拾が
つかなくなる?
意を決っして、ネットがつながる範囲まで戻ることとしてUターン。父島に近
づくとメール送信が可能になる。携帯で連絡をしようとすると携帯の充電切
れ。外に出ないと電波が弱いため、充電器のACコードを延長してコックピッ
トで通話。
気が付くとワイファイバッファローのスイッチが入っている。衛星経由になっ
ていない。スイッチを切って再度送信。畠山君との送受信成功。理由はわから
ないが回線復活。送受信テストをして、異常がないことを確かめて、再び目的
地へ船首を向ける。
パニクッた。戻れば時間に比例して燃料を消費する。もたつくと、再度二見港
75
で給油になる?早く決断しなければ、・・まずは衛星がなくても家族や関係者
に心配させないことが先決?でも5日も連絡がないと家族はどれほど心配する
だろう・・。いろいろ考えたが、今思えば、イリジウムで通話できるので問題
はなかったはず。
しかし、便利なパソコンはいつもこういった不安がある。完全な理解をすれば
よいか?でも、忘れたころにこういった対処をしなければならない私にはマス
ターすることは考えられない。
念のために、畠山君に連絡が途絶えた時のメッセージを託す。「心配しない
で・・・」と言う他は無い。
9時、父島への変針点を逆に通過した。南大東島付近のウェイポイントをGPS
プロッターに入力し20度ほど右へ変針。これから4~5日の一人旅。
スピードが出ない。向かい風4mほどで2100rpm、5.5Knot。6Knotは出ても
よい。昨日の海藻が頭に浮かぶ。エンジンやスクリューの異音や変な振動は無
い。
時に5Knotを切る。水中カメラを用意して、船を止める。ボートフックの先
に固定したカメラを水中に入れる。モニターの画像が時々切れる。電池ホルダ
ーの緩みが原因。修理。
スクリュー、ラダーに異常なし。再び船を走らせる。前方からの4mの風に抑
えられているというより、2mほどの波の影響だと思われる。
馬場さん航路予想のプリントを再度よく見る。7日間予報では細かくわからな
いが、今朝取った3日間予報では、今日の午前中は向かい風となっている。午
後からは北へ振るとのことなので、セールパワーが期待できそう。
比較的大型で白く、羽根の一部だけが黒い鳥(カツオドリ?)が、舳先に泊ま
って羽を休めている。船がピッチングするので細い足で体を支えているが、バ
ランスを取るのが大変そう。10分も止まっていただろうか?そのうち居なく
なった。
76
2011/04/29 1200J
位置 27.03N/141.43E
進路 265度
速度 5.2Knot
風 WNW、風力2(風
速4m)
天気 c、1005hPa、22℃
波高 1~2m
イリジウムでメールをうま
く送信できない。かなり時間がかかったのちに送れなかったという表示が出
る。アンテナの信号強度はほどほど強い。留ツイットがたまって仕方がないの
で、留ツイット大幅省略に方針決定。
真面目な機帆走に入った。ジブをフルにして、メインを1pリーフ。速度が1
Knot上がった。
チャートで確かめた。9時から12時までの3時間で18マイル。平均6Knotは
予想以上。GPSの速度表示が低いので心配をしていた。
アン5では5Knot台では物足りない。小笠原向けは8Knot、瞬間9Knotなどを
楽しんできた。強風好きなのかも知れない。南大東島への航海は始まったばか
り。
補助タンクのレベルを見た。大揺れでわかりにくいが半分程度はある。これが
空になると、メインにエアーが入り、大揺れするとメインタンクの底の燃料供
給パイプからエンジンに空気が送られてしまうという。
ライブのツイットもイリジウム経由のモバツイはなかなかあげてくれないので
いやになる。今度は上がるか??
29日13時20分。5m風。アン5としてはフルセール機帆走。6Knot。最高の
走りと言える。曇ってはいるが、寒くはない。短パンとシャツ一枚。コンパニ
77
オンウェイに立って前にあるパイプを持つと、ゆったりした前後や左右の揺れ
で、暴れるロデオに乗っているような感じ。気持ちが良い。
6Knotをコンスタントに超えている。やればできる。ツイッターのアップに
時間を費やしすぎる!反省。
14時35分、ウサギが飛び出した。たまに、しぶきがかかる。短パン・シャ
ツ一枚では寒い。ヒールは時に20度ぐらいになるが、最高の走りには違いな
い。6.6Knot。
補助タンクの残量を調べた。満タン70ℓだが、揺れる海上補給では30ℓが限
度、とすると、8時間おきに給油する必要がある。今回だけは、満タンスター
トだから明日の0時までOKとなるが、深夜の給油を避け、06時、14時、22時
(これも夜だが)とし、チェックシートを壁に張った。
1時間休養(うたた寝レベル)。MyStatsに記録。ヒール、15~20度で快走。
アン5らしい走りになってきた。今から昼食。
オリーブオイルで玉ネギを炒め、お湯600CCを加えて、沸騰したお湯でラーメ
ンを作った。ジンバル付のコンロがひっくり返りそうになっていた。出来てか
らが大変。どんぶりに移すのは危険。鍋のまま食べることに。
キャビンは熱いのでコンパニオンウェイの階段まで運ぶ。取っ手を持つ左手が
重い。目を離すとこぼれてしまう。鍋が熱くておつゆは飲めない。時間をかけ
て味わった。おいしかった。シングルハンド第二レグは調子が出そう。それに
しても又アン5の爆走が始まってしまった。
<太平洋を西へ、快調な航海>
16時半。時々、8Knotを超えている。8m、クローズドリーチ、波2m。な
んと生き生き走るのだろう。堅牢なハル(船体)とヤンマーそしてオーパ君のお
かげ。
北西の風は午後から変わらず吹いている。変わらず吹くところが太平洋の良い
78
ところ?馬場さん予報では、北西から、18時ごろまでに北、深夜に北西、明
日の朝、北と徐々に変わっていくとのことだが、今のところ変わり方が6時間
ほど遅れているのではないか?
小笠原への航海でアン5はシェークダウンをした。悪いところや弱いところが
はっきりして対処ができた。だから、2回目のこの航海はその点、問題はな
い。
船内にあるパソコン画面
に、波がデッキを洗ってい
る様子が映っている。
そろそろセールを小さくし
なければならない。メイン
セールは縮帆(リーフ)し
てもセールのカーブは悪く
ならないが、ジブセイルは極端に悪くなる。クロスや今のようなクローズドリ
ーチでは特に困る。しかし、ハルにこれ以上の負荷をかけるのは得策ではない
ので、リーフする。今、17時。
コックピットに出てみたが、少しオーバーヒールではあるが、美しくダイナミ
ックに走っている。このままでいいよ、特別な負荷はかかっていないよ、とア
ン5が言っている。だから、もう少しこのままいくことにした。艇速は7.8~
8Knot。
しばらく様子を見る。ラットが常に風下へ行くように舵を切っている。ウェザ
ーヘルムを抑えている。船が風上へ行こうとするので、舵がそれを抑えてい
る。パワーのロスが起きている。まずはジブを巻く。ジブを巻くと斜め下に引
くジブシートリーダの位置も変えなければならない。
ジブを巻き取ったり、ジブシートリーダーの位置を変えるのは、大変な力が要
ったが、今は電動ウィンチを使って指先でできる。初め外国製のウィンチを使
79
ったが、失敗したり壊したりして、最後は国産のギアドモータを使って設計、
中村さんに作ってもらった。今回の航海でもアン5の必需品。
2011/04/29 1800J
位置 26.58N/140.59E
進路 265度
速度 7.2Knot
風 NW、風力4(風速8m)
天気 b、1008hPa、20℃
波高 2m
快走中
昨日、一人で観光ツアーをしていたら、志摩のヨット仲間TMさんから電話が
あった「いつの間にかいなくなったので、橋本さんに聞いたら、もう小笠原に
いるって聞いた。駒井さんって冒険家だねー」。一瞬ふとそんなことを思い出
した。冒険家?そう、ベンチャー、大胆緻密なヨットマン。賛美として聞かせ
ていただいた。
たまにレーダーの接近警報が鳴る。見渡してもそれらしきものは無いので、波
の関係と思うが要注意。小笠原漁港の漁船はメカジキの延縄が主だった。15
本ぐらいの延縄を流す。その延縄に突っ込むわけにはいかない。
小笠原の延縄漁船は硫黄島の方まで出かけると漁協の職員さんに聞いた。硫黄
島は南方向で、私がいる西ではない。それと、延縄の竿の先にリフレクターを
付けると聞いた。方角は違うが、そのリフレクターの反応がレーダーに出てい
るのではないかと思い、少し注意。
正面、夕日。西に向かって
いる。
時々パンチングで、バウ
が、ダンという大きな音を
80
出して波をたたく。ジブをリーフしたので、ウェザーヘルムが少なくなった。
これで舵による抵抗が落ちたはず。間もなく6時のログタイム。うまく送信で
きることを願う。
日没1時間前。夜間準備。クローズドリーチであるのでジャイブの可能性はな
いが、オーパ君が暴走したときのために、「盛ジャイブプリペンダー」をセッ
ト。
19時半。星が出ているが、もやっているのであろう、数が少ない。少し右へ
風がシフトしたので、セールトリム変更。相変わらず、7.5Knot 。
コックピットに顔を出す。真っ暗。星も消えた。燃料の確認をする作業がある
が、22時実施と決めたのでまだ時間がある。まるで「共勝丸」の客室の感。
アン5の場合もバースではエンジンの音が結構うるさい。その上、揺れもアン
5の方が勝ると思う。
29日21時。補助タンクの給油をした。まだ残量があったのと、給油中の吹き
出しを警戒して、ポリカン1.5本分、推定、26ℓを補充。昨日、給油中に急き
ょ作ったキャップ用パッキンは縮んだか、又は溶けて肝心な周囲がなくなって
いた。船内でゴム材を探したところ、1、2、4㎜のゴム板発見。
ゴム板の発見は朗報だが、同時に部材置き場で雨漏り発見。明日、船の揺れが
少なかったら、雨漏り修理を行う。パッキン作成も、明日の6時給油前に実施
とする。
速度は、8.2Knot、ナウ。4月29日20時10分。風が強くなったのではなくだん
だん横風になってきたのでスピードが上がっている。このまま吹けば3日で着
くと思うが、そうはいかない。ただ、大幅な燃料節約にはなっていると思う。
食事をとった。食パンにチーズと焼き豚を載せ、マスタードを塗った。パンは
名古屋調達なので賞味期限は勿論切れていただが、パンのにおいがしている。
父島の生協にはハムは無かった。パンも無いようだったし、野菜も品薄の感じ
がした。都会の品ぞろえはやりすぎと思っているので、ちょうどいい品ぞろえ
81
と思った。嵐で「おが丸」が欠航しても、住民の人は騒ぐことなく待つのであ
ろう。もちろん、買い占めなど起こらない。それが古来、普通というものと思
った。
玉ねぎを切ってはさみホットプレートで焼くと完璧だが、今日は省略。結構、
おいしかった。
食後の果物を忘れていて、今食べている。小笠原で調達したりんご。これもお
いしい。
8.3Knot快調。その内、落とし穴があって、又一騒ぎすることになるのであろ
うが、今のところ、問題はない。小笠原へのハードな航海が問題点をすべて出
してくれたわけだ。大音響で目覚ましベルが鳴っている。眠りこけた場合にそ
なえた処置。でも、眠気は無い。
右前方20マイルに貨物船。アン5は20マイル以上離れた後方を通過する見込
み。行先はOFF CHILE F.G 。国内港もそうだが、略記号でわかりにくい。記号
表を今度、用意しよう。
休養明け、22時半。眠くなる前に1時間単位で休養する。この習性が身につ
いてきた。3時間に1回1時間休養すれば、1日持つ。通常の生活からの切り
替えも容易だった。
右前方20マイルにいた貨物船は、私が休養で休んだ後、遠くをすでにすれ違
って右後方17時方向、14マイルにいる。普通、おおむね小型船で10Knot、貨
物船で15Knot、フェリーなどで20Knot。AISでは30マイル範囲で検知できるか
ら、当方8Knotで進んで正面からミートしても、発見から1時間の余裕があ
る。
2011/04/30 0000J
位置 26.51N/140.07E
進路 263度
速度 7.8Knot
風 NNW、風力2-3(風速5m)
82
天気 b、1011hPa、20℃
波高 1-2m
30日午前1時30分、昨日の午後から数えて、5回目の休養終了。休養といっ
ても、仮眠といえる。起きたときに、ふといつから休んだんだっけと思うこと
がある。MyStatsの説明に「大雑把でもよい」とあり、元気付けられる。
風が落ちてメインの艤装がガタンガタンと音がする。アビームの風、4m。マ
ストトップの風見は波によって大きく回転する時もある。メインを巻き取り、
ジブを1Pまで展開。艇速はそれでも、7.3Knot。エンジンだけで6~7Knot
出ているはず。
二見港を出てから、午前中の低速はなんだったのだろか?カメラを入れたと
き、ペラの展開が少ないように感じた。それだ!!アン5のスクリュー羽根は
角度が自動的に3種類に変化する。前進、後進そして帆走。エンジンを使わ
ず帆走をする時は、スクリューの羽根が水平になって水の抵抗をなくす形とな
る。
海藻は取れたが、半日以上海藻を付けたまま走ったので、ペラの可動部に海藻
が詰まったのではないか? 離着岸で後進もできたので、作動しなくなったの
ではなく、完全に開かなくなったのだと思う。一度、開き具合を確認しておく
必要がある。
30日午前2時。頭上の星がきれいになってきた。天の川もはっきり見える。
北斗七星と北極星も目立ち、すぐわかる。北極星の角度が低いのと右舷側に見
えるのが、印象的。去年、津軽海峡を走った時は右舷前方、高い位置に見え
た。
4月30日午前3時20分。頭上だけに星、周りはかすんでいるが、後方から赤
みを帯びた三日月が上がってきた。GPSプロッターによると月相20%。
午前4時40分。日の出前、後方、東の空が赤くなっている。そのすぐ上には
三日月。風は完全に後方に回った。斜め後ろから吹いているが、艇速7Knot
弱でジブが風をはらんでいる。7Knotは秒速3.5mだから、少なくとも5~6
83
mは吹いていると思う。
真後ろから日が昇った。暖
かい日差し。30日午前5
時40分。
真追手に近いので、ジブははらんだりつぶれたりしている。羽を広げると1m
ほどの茶色い鳥が船の周りを飛んでいる。1時間ほど前、日の出の写真を撮っ
た時から離れない。
2011/04/30 0600J
位置 26.46N/139.20E
進路 267度
速度 6.6 Knot
風 E 風力3(風速6m)
天気 b、1015hPa、21℃
波高 1-2m
4月30日、午前7時。6時にLOGを畠山君に送った。3時間毎の位置をグー
グルマップ上にアップしてくれている。ツイットはこの船から発信している
が、成功率や所要時間を考えると、書くピッチの1/50のペースでアップとな
り、とてもやっておれない。
84
ログの後、給油の前にサブ
タンクのパッキンを作っ
た。前回のような給油中の
どさくさ工作ではなく、コ
ンパスを使ってじっくり作
った。会心の作。
ただ気になったのは、ゴムのラベルに、天然素材、対油性ではないとあった。
石油で濡らしてみて、ぬるぬるするようなことはなかったので装備した。
追い風で、フルジブセール、メインなし
で走っている。北海道のKMさんに聞い
た走り方。ジブをはらますために10度
ほど右に、プロパーコースを外してい
る。速度7Knot、満足できる艇速。こ
れから朝食。
朝食はパンに焼き豚、とろけるチーズ、
玉ねぎを挟んで焼いて食べた。2枚は多
かった。薬は痛風予防薬。
85
小刻みで休息を取る。9時15分から30分休んだ。
9時50分、ジャイブ。スターボード(右開き)からポートタック(左が空い
ていて右にセールが出ている帆の状態)に変えた。ジブだけの入れ替え。
日差しが強くなった。温度も30度を超えた。今から洗顔をして日焼け止めを
塗る。
<久しぶりのメール>
マリンテックの中村さんへメール。30日午前10時
エンジン不調の件、お世話になり、ありがとうございました。結局、メインタ
ンク内が大揺れでエアーが入ったものと判断しました。今は予備タンクのコッ
クを開放して、予備タンクにいつも燃料がある状態にしています。今、南大東
島へ向かっていますが、それほど大揺れもないこともあり、安定して回ってい
ます。衛星回線不調で報告が遅れました。すみません。では、今後ともよろし
くお願いいたします。
久しぶりにメールチェック。小笠原でたまっていたメールを受信したので、送
受信も可能になった。メールの返信をした。
Miyakoさん
メールありがとう。
小笠原は雨の中でしたが、くまなく探査しました。
海亀もいただきました。
南大東島向け2日目です。前回の航海で悪いところは直したので、このコ
ースはいささか暇です。
孫 たちに何が見えたか聞かれたのですが、海と空ばかりで何も見えませ
ん。でも、アモスの気分で楽しんでいると伝えてください。
NM様
今頃、クルージング中ですか?こちら、南大東島向け、2日目に入りまし
た。好天気、追い風8m、7.5Knotといったところです。
嵐で問題点が出て、直しましたので、今回の航海はヒマしています。TM
86
さんにも電話をもらいました。よろしく、お伝えください。
OKさん
メインタンクを満タンにして走っています。いろいろありがとうございま
した。南大東島向け、2日目。順調です。橋本さんに言付けたつもりでし
たが、衛星メール不調で報告遅れてすみません。引き続き、よろしくお願
いを致します。(アドレス不明で送信できず)
FO殿
ヨットのない連休、どうしていますか、お仕事ありですか?こちら、第2
レグ2日目です。問題点は直したので、大きな課題もなく、ヒマしていま
す。今、追い風、ジブだけで7Knotオーバーです。どうしてアン5はこ
う走るのかと思ってしまいます。沖縄の出航は8月6日になりそうです。
どうですか?では、又。
SH様
頑張ってます。強い船体、頼りになるヤンマー、不屈のオーパ、で万全で
す。安心していてください。
2011/04/30 1200J
位置 26.42N/138.34E
進路 258度
速度 7.3Knot
風 E 風力4(風速8m)
天気 b、1007hPa、30℃
波高 1-2m
4月30日12時のデーラインは170マイル、7Knot。1200rpmからエンジン回
転を2100〜1800rpmに変更した。理由は南大東島入港が深夜になってしまう
ことと、燃料を節約して一気に沖縄を目指す可能性を残すため。
4月30日17時。アン5のナビゲーション場所は2か所。これまでのお気に入
りはコンパニオンウェイの最上段に腰かける位置。スライドハッチの上で海図
87
を広げることもできたし、日本周航では夜間ワッチの間、PCを置くこともで
きた。
もう一つはキャビン内にあるチャートテーブル。今は、AISなどの航海専用PC
と衛星メールなどに使うPCの2台がテーブルを占拠している。
AISの警報はアクティブスピーカーで、又レーダーの接近警報は増設ベルで、
共に大音響が鳴るようになっている。
航行中、衝突防止以外にいつも気にしていなければならないのは、船の方位や
スピードの変化。これらを知るにはコンパニオンウェイのGPSプロッターを見
るしかない。
チャートテーブルからGPSプロッターは、比較的見やすい場所にあるのでまだ
良いが、休養を取るバースではその様子を知ることができない。
そこでポータブルGPSをバースとついでにチャートテーブルへ置くようにし
て、どこでも針路の変化やスピード、チェックポイントまでの距離等を見るこ
とができようにすることを考えた。
早速工事をした。これまで所定の位置でしか使えなかったポータブルGPSを3
か所どこでも電源をつなぐことができようにした。
壁板を外したり、ちょっと手間取ったが、うまくいった。これからポータブル
GPSの設定をする。
AIS関係のPCソフトはShipPlotterとOpenCPNを使っている。OpenCPNの自船
マークが、赤色船形から二重丸に代わっている。この状態従来の接近警報が出
るのか心配になって、師匠の岩田さんに衛星電話をかけた。
ポートのセットや再立ち上げ、アンインストール・インストール、いろいろ相
談しながら指示に従って操作したが、結局ダメだった。
PCの不具合は本当に困るが、こうした経験がPCとの付き合い方を上手にす
88
る。
2011/04/30 1800J
位置 26.31N/137.49E
進路 263度
速度 6.2Knot
風 E 風力3(風速6m)
天気 c、1007hPa、21℃
波高 1-2m
19時半。星が出ているが、もやっているのであろう、数が少ない。少し右へ
風がシフトしたので、セールトリム変更。相変わらず7.5Knot。めったにメー
ル送信ができないので、限定ツイットになってしまった。残念。
30日、午後8時半。9時のLOGのために起きだしてきたが、ちょっと早い。
左舷前方、8マイルにアメリカの貨物船が停泊している。荒れているわけでな
く、明らかにアン5が後方4マイル離して通過するため、コンタクトを取る必
要はない。
一日中追い風だったが、ジャイブプリペンダーの取り付け位置をブームの後方
に変えた。角度的には良くなったはずだが、ジブシートリーダーの位置によっ
てはジブシートと交差する。検討が必要。
夜間航海に入る前に、ブームバングロープのシャックルピンが飛んでブランブ
ランしているのが見つかった。さっそく交換したが、デッキの真ん中で、しか
もカヌーで囲まれて安全に思える場所だったが、緊張した。この船でコックピ
ットを出てデッキに行くことはめったにない。
VHFで、遠く鹿児島や神戸保安の声が聞こえる。外国語の会話も聞こえる。16
チャンネルそのままで偏波はしない。ルール違反。コーランのような音楽を流
す船もいる。東京マーチスの声が明瞭に聞こえる。
漂泊中の貨物船の後方を通過中。双眼鏡で見ると、明るい照明と共に赤灯が
5、6個見える。停泊を示しているのだろうか。
89
21時のログを取る。記録を畠山君宛て送信と、JASREPにもポジションレポー
トとして送る。JASREPには9時、21時に通報をしている。
衛星電話のメールソフトに悩まされてきた。必要最低限の利用にとどめて、何
とか利用している。畠山君を大いに煩わせた。今度はOpenCPNが不調。岩田
師匠の手をこれも大いに煩わせた。PCの対処は時間がかかる。これも必要最
小限の機能活用とする。
22時の給油が今終わった。1時間半遅れ。お昼12時から減速運転したから、
予想通り燃料の消費が少ない。エンジン音も静か。脇目も振らず、透明人間の
オーパ君(オートパイロット君)が舵を取っている。
小笠原では景色は今一つだったが、多分、普通は見落とすであろう史跡も含
め、車でいけるところはくまなく見て回った。ツイットがたまりすぎてアップ
できないのが残念。天気が良ければ出航!だから私の寄港地の観光はほとんど
が雨嵐の中。
キャビン内でGPSプロッターを見ることができる。5度ほど針路を右にした
い。オーパ君の操作パネルはラットの横。だから外へ出なければならない。こ
んな時便利なリモコンがあるが、突然誤動作をする。津軽海峡で突然一回転し
た時以来、使っていない。
ツイッター、そろりそろりとアップしているのだが又こけた。ツイッターに利
用した通信費、そしてエンジン、PCの相談に使った通話料金、いったいいく
らの請求が来るのだろうか、恐ろしい。
登山の緊急連絡用にアマチュア無線機を持参するようにしていることを聞い
た。それもいいが、手ごろな衛星電話を作れば防災無線や町内放送もいらなく
なる。それらのお金で通信衛星を上げれば、それを利用して日本限定サービス
の衛星電話網を構成できる。和製GPS「みちびき」の軌道が良い。
小笠原への航海はいろいろあって実に楽しかった。太平洋の真ん中でエンジン
が止まったり、海藻がスクリューに絡んでいることを知った時、来る時が来た
90
か、と真剣いろいろな思いをめぐらしたことなども、今ではすごく楽しかった
思い出となっている。
第2レグの航海は大荒れもなく問題はすべて対処してあるし、その上ツイット
できないというから、ヒマ。今日の午後からは爆走も止め、穏やかで人が変わ
ったようなアン5と私。これで私たちの性格が変わる?そんなことはない。
小笠原で知った話、いっぱいツイットしたかった。人口の1/3が公務員。「縦
割り行政を補う公務員代行会社を作って、国、都、村すべての業務を喜んでや
らせていただきます。」という事業を私が若い住人ならやってみたいと思った
ことや、おおむね1人乗りの漁船が13隻しかいないのに、大きな製氷施設や
漁協事務所。「頼まれた荷物が着いてもお知らせしません」と言う張り紙。誰
が、何をする役なの??全国でまかり通っているのだろうということ、などな
ど。
2011/05/01 0000J
位置 26.24N/137.14E
進路 268度
速度 5.0Knot
風 E 風力1(風速4m)
天気 c、1008hPa、20℃
波高 1m
海図にコンパスを当てて何回も距離計算をする。どう考えても、南大東島へ寄
ることなく沖縄への直行が合理的。燃料も十分持ちそう。決定は南大東島付
近。5月3日の深夜、南大東島付近とする。南大東島のスタンドが3日からの
3連休中お休みということもありうる。去年、奄美諸島でスタンドが営業して
いなかったので寄港地を変更したことがあった。天候のこともある。
沖縄直行の可能性を広げるには燃料消費量を落としてスピードを上げること。
コックピットに出てみると。右に灯火発見。レーダーには映らない。双眼鏡で
確かめるが、作業灯4個、赤は舷灯だろうか?赤灯なら、平行又は接近だが、
しばらく様子を見ると後方へ行く。走ってはいないらしい。
91
左後方からの追い風。ジブなら出せる。午前2時、ヨットマン魂が目覚め、真
っ暗闇の空にジブ2P展開。速度が0.5Knot上がり、船首が6度下に振った。
5時半に起きだして、南大東島給油寄港とパスして沖縄へ直行するというケー
スを慎重に検討する。おおむねいろいろな数字の検討ができたところで6時の
給油を始める。思ったようにほとんど減っていない。サブタンクは樹脂製なの
でタンクの壁が透けて見え、大まかな残量推定をする。30ℓ残。
昨夜11時ごろ48ℓ残と見ていたので、7時間で18ℓ。給油の必要なしとし
て、引き続き残量に注視する。
「5月3日12時、南大東島南を出発点」とした場合の航路気象予想の依頼を
馬場さんにメール発信。少しは強風でも良いから、省エネで走りたい。最後が
雨にたたかれることになるかもしれないが、良しとすることにする。この場合
の宜野湾到着は、5月5日の午後着の見込みとなる。
2011/05/01 0600J
位置 26.22N/136.35E
2011年5月1日午前6時半。爆走ではなく、快走。エンジン回転もいつもより
低く、ジブフル、メイン2Pの機帆走。「燃料消費は回転数に比例、スピード
の二乗、時間短縮の三乗に比例する」昨年の日本周航の時に聞いたライアンさ
んの言葉を思い出す。
コックピットに出る。時に7Knotオーバー。最高の走り。船体、セール、エ
ンジン、オーパ。ベストコラボレーション。この快感を捨てて、キャビンで食
92
事の時間を取るのが惜しく思える。ヨットアン5特有の「留ツイット」が、す
っかり「間引きツイット」になった。
簡単朝食。船が大きく傾く
ので、カップも(傾いても
水平になる)ジンバル付コ
ンロの上で注湯。
コックピットにイカ発見。
昨夜飛び込んだらしい。乾
いていなければ刺身で食べ
られた。
この快走は明日の未明まで、そこから一日は最高5m~0m、強くはないが向
かい風となる予報。
デッキに積んでいるセーリングカヌーの
ラダー取付用ピンドルが危険。ジャイブ
プリペンダーのシートが引っかかると重
大損傷につながる。気にしていたが、対
処方法を思い付き早速実施。これで安
心。雑索を斜めに張り、シートやロープ
が下に入り込まないようにした。
93
この航海で10カ所以上の改善を行っ
た。ライフリングの取り付けをライフラ
インの内側にした。この関係でコックピ
ットハッチの固定ロープを交換した。燃
料のポリ容器を入れたコックピットロッ
カーのカバーは、どんなに荒れていて
も、突然閉まったりしないように固縛ロ
ープを調整、強化した。
GPSプロッター画面を見ると、日本列島
の海岸沿いが赤い×マークに埋め尽くさ
れている。昨年の日本周航で使ったウェ
イポイント。今回は太平洋の真ん中にわ
ずかに3個。ナビゲーションとしては誠
にシンプル。針路265度、速度
6.9Knot、南大東島付近の目的ポイント
まで266マイル、となっている。後38時
間、1.5昼夜。5月1日、午前7時43
分。
日が射してきた。大きな高気圧の南の縁を走っているはず。だから東の風を長
時間受けることができる。この高気圧の西のはずれが沖縄。だから沖縄入りは
雨?
気象FAXを受信してみようと思うがうまくいかない。音は聞こえているが
「WHITEの線に合わせる」ができない。せっかくの師匠の指導も落ちこぼれ生
徒には身に付かない。
船の揺れが大きくなってきた。1日午前10時半。主として風がジブの揚力
を作って、船首を振り回している感じ。ジブを1Pから2Pにする。艇速は
5.8Knot、エンジンは1800rpm。
太平洋一人ぼっちの10日間。人生を振り返るきっかけになるかと密かに思っ
94
たが、忙しいやら揺れるやら、人生どころか昨日のことも振り返えれない。ヨ
ットで人生振り返りは止めた。志摩のTMさんに「駒井さんって、冒険家なん
だねー」と言われた。そう。これからも挑戦。
2011/05/01 1200J
位置 26.17N/135.55E
進路 262度
速度 5.8Knot
風 SW 風力4(風速8m)
天気 c、1000hPa、25℃
波高 1-2m
5月1日、15時20分 AISに3隻表示されている。左前方、Marshall Is の タン
カー Lug Taurus が接近コース。まだ、7マイルある。
レーダーには出ているが、まだ視認できない。もやがかかっているようだ。5
マイルに接近。当方に航路権がある。セールは出ているが機帆走なので、帆船
の権利はない。
3マイルに接近したら回避動作をするか又は呼び掛ける。
3マイルで姿が見えてきた。かなりの大型船。
「ルンタウラス・ルンタウラス・ジスイズ・アン5・アン5」と呼びかける。
しばらくして応答。06チャンネルを指定。
「ジス・イズ・アン5・スモールセーリングベッセル。アン5・イズ・ユア・
フロント・アー・ユー・チェッキング?」、「 イエス・チェッキング」と回
答がある。
「アイ・パス・ユア・スターン」、これを2回繰り返してから受信する。OK
なんやらなんやら・・。再び、「アイ・パス・ユア・スターン」を繰り返し、
OK?と聞く。「OK、OKサンキュー」というので伝わったと思い、「バイバ
イ」と言って、16チャンネルに戻る。
95
船内では3種類の警報が鳴り響いている。不調かと思ったOpenCPNも、この
機を使っていろいろ設定を触り、警報音が出るようになった。
巨大なLPGタンカーが2㎞
先を斜めに通り過ぎてい
く。AISは役立つものだ
が、外国船との通信は緊急
以外は使えない。
2011/05/01 1800J
位置 26.11N/135.16E
進路 262度
風 SW 風力2-3(風速5m)
天気 c、998hPa、24℃
波高 1-2m
セール M3P J3P クローズホールドリーチ 1800rpm 機帆
走艇速 5.0Knot
2011/05/02 0000J
位置 26.06N/14.45E
進路 262度
風 SW 風力2(風速4m)
天気 b、1001hPa、21℃
波高 1m
セール Non
2100rpm 機走
艇速 5.3Knot
96
5月2日午前4時20分。曇。雲間に赤みが漏れる日の出。太平洋としては穏
やかな波。向かい風3m。佐原君に昨日「丈夫な船体・信頼のヤンマー・不屈
のオーパ君だから心配しないで」とメールしたが、正に心配ご無用とばかりに
アン5は元気に快走している。
南大東島への変針点まで146マイル。6Knotで走るとすると、一日と8時間。
変針点から港まで20マイル、4時間。試算すると3日の夕方18時着岸とな
る。夕方予定は避けたい。島の南の港なら1時間ほど短縮できる。今後の検討
課題。ただし、当初計画は南大東島4日着だったので無理をすることはない。
<気象FAX受信>
5月2日午前5時前。南大東島行、3日目の夜が明ける。悪戦苦闘というほど
ではないが、努力の結果気象FAXの作動が始まった。USBカメラのマイクが入
力を奪っていた。海上悪天24時間予報が途中から受信できた。
気象FAXは何種類かをタイムスケジュールに従って送信している。地上解析天
気予報は5時40分など日に4回更新と再放送。その他、台風情報や海氷、気
象衛星写真などいろいろ。フィリピンで送信していると確か聞いたが、勿論日
本の気象庁が出している。
画面の天気図は“ビットマップでセーブ”と設定したので、後で取り出して見
ることができるはずだが、途中で”ファイルを閉じられない”などのメッセージ
が出ていたので期待できない。画面の写真を撮るなどの工夫が要る。
準備不足、訓練不足と言われそうだが、こうして天気図を見ることができるよ
うになっただけでも良しとして、必要に応じて、今回買い求めた馬場さん親子
の気象の本2冊を見るつもり。私にとっては準備万端?
気象FAXの次のプログラムは台風情報。画面は前と変わっていないし、FAX特
有の音声も聞こえてこない。台風情報なしで、しばしお休みのよう。FAX受
信、衛星メール通信、メモ書き・・・と、多重処理中。PCはマルチで動くと
聞いているが、FAX受信と衛星通信の同時処理は無理ではないだろうか。
97
5時40分。天気図の受信
が始まった。ツイット作業
を中断して受信に集中。一
部二重線になっているが実
用にはなりそう。受信中は
画面操作できない。記録が
取れない場合を想定して写
真を撮る。6時になった。
給油の時間。後でも良い
が、FAX受信中のこの間に
給油実施。
給油は使った分だけ補助タンクへ補充する方式が定着した。8時間ごとの補充
はこれまで、26、30、36、18、無、28、18、平均22.3ℓ。毎時2.8ℓ消費して
いる。信頼できる参考にしてよい数字と言える。
2011/05/02 0600J
位置 26.01N/134.06E
針路 266度
風 WSW 風力2(風速4m)
天気 c、1000hPa、22℃
波高 1m
セール Non
2100rpm 機走
艇速 6.0Knot
5月2日午前8時、デッキに出るとセールが使えそう。現在、機走で5Knot
以下。クローズドホールド。メイン2P、ジブ、フルセール。ジブはフルセー
ルにしないとアールが出ない。ジブシートトラベラーの位置も調整。メインに
はシバー(裏風が入ったばたつき)があるが、目をつむる。ジブを出すときに
ジブシートに念願のリーフマークを入れた。0.5Knot速度アップ。
メインのシバーを取るために、メインシートトラベラーを引く。八戸のナチュ
98
ラルジャイブでシートを切り、富山でシートを交換した。それ以来、初めての
使用。少し引くとシバーはほとんどなくなる。この他にシバーを取る方法はブ
ームジャッキを引く方法もある。小雨が降る天気で中は少し熱く、外はそのま
まの服装では寒い。
天気図をプリントした。鮮明ではないが、見る方の分析能力がないからいいバ
ランス?お世話になった高気圧は東へ去った。次の高気圧が来ている。が海上
48時間悪天予報を見ると、高気圧が来る前に前線を伴った低気圧が発生する
ようだ。
今吹いている風は北海道にある低気圧の影響。台湾からこの船の北をかすめて
帯状に霧が発生している。明日の朝までは風の向き、強さ、雨はわからない
が、大荒れはない模様。48時間後、沖縄にかかる前線は待てばなくなるもの
でもなさそう。大荒れしなければ、雨の中、宜野湾へ向かうことになるのか?
私の天気図解析は中学生レベル。「ヨットは足が遅いので、強風や嵐を完全に
避けて航海することはできない。日本近海、一週間程度の航海なら、嵐は避け
ることも出来が、悪天候すべてを避けることはできない・・・」、と思って日
ごろ、海が荒れても訓練と思って海に出ている。私の天気図依存度感。
<日本人航海士さんからのエール>
右後方19マイル、パナマ船籍の貨物船 Vega。DAVADO,PH向けでスピード
17Knot。接近中。航路権は相手。この後1時間、10時ごろ最接近となる見
込。レーダーは半径24㎞でぐるりと雨雲に囲まれていて、Vegaは見えない。
アン5は、相手の船名を知るだけでなく、こちらの船名と動向を相手に知らせ
ている。相手にとってもこちらの針路やスピードが分かり航路予想をしやすい
し、船名が分かるのでVHFで呼びかけができ、大いに役立っていると思う。
99
Vega、10マイルまで接
近。目視、レーダー共にま
だ見えない。AISではかな
りの接近コース。8マイル
まで接近して、VHFで呼び
かけ。
「貴艇の前の小さなヨッ
ト。見ているか?」の問い
に、「見ている、10度振
るつもり」などと言っているようだが、確証はない。「ソーリー・キャンノッ
トイングリッシュ・ウェル」「アイ・ホープ・トゥー・キープ・コース・アン
ド・スピード」を繰り返して「OK?」と渡す。「OK」と回答がある。
さらに接近したとき、Vegaから呼びだし。「スモール・ボート、今どこにい
るか?」、「シックスマイル・ユア・フロント」と回答する。どこの国の船か
と聞かれて、「ジャパン・ゴーイング・トゥー・ミナミダイトウジマ」という
と、日本語で「わかりました。AISで見ています。危険がある場合はこちらで
避けます」と。
心を込めて、「当方、機帆走中ですが、よろしくお願いをいたします」と言っ
て通信を終わる。5マイルに接近しているが、まだ姿が見えない。
再びVegaから呼び出し。「視認しました。何人で乗っておられるのですか?
どちらから来たのですか?」など聞かれる。「頑張っておられるのですね。で
は、お気をつけて行ってください」と、誠にフレンドリーなエールを送ってい
ただく。
10時05分。白いきれいなコンテナ船
が、アン5の2マイル後方を斜めに追い
抜いて行く。
100
今回の接近ケース。夜間休養中だったらどうなっていたのだろうと考えて、レ
ーダーの扇型接近警報エリアを全周エリアに変更した。
強風が吹いているわけではないが、太平
洋ではいつもうねりがあり揺れている。
今日は傾きは20度ぐらい?船内ではい
つもこうした姿勢で動いている。体は正
立して、船がヒールしている状態。
クロスホールドの機帆走は難しい。ヤン
マー君のお手伝いにセールを上げるのだ
が、かえってそれが抵抗になってしまう
ことがよくある。今も悩ましい場面。向
かい風、5.1Knotはセールがあっても、
なくても、同じような速度になると思う。ただ、セールが出ていると船の揺れ
は少ない。
11時45分、休養から起きてみると、スピードが3Knotを切っている。風が右
に振れ、ジブが反対に風をはらんでいる。セールを巻き取る。向かい風、5~
6m。試練の機走。
5月3日前の航路予報では、風は徐々に落ちるが、今日の21時までこの風が
続くとのことだった。そのあとは南。早く来い来い南風。
艇速が伸びない。いつもの感じより1Knot遅い。海藻は見かけなかったし、
今調べても、波もあり潜るわけにもいかないから、このまま機走。
間もなく12時に、LOGを取って畠山君に送る。それにしても畠山君には大変
なことを頼んでしまった。LOGの送信が遅れることもあるし、飛んでしまうこ
ともある。アップする側から見ると、その負担は大きい。申し訳ないが、おか
げで家族やたくさんの関係者がGoogleMapで見守っていてくれている。
2011/05/02 1200J
101
位置 25.59N/133.34E
針路 265度
風 W 風力2-3(風速5m)
天気 c、997hPa、28℃
波高 1m
セール None
2100rpm 機走
艇速 4.2Knot
右舷側一杯に遠く広がっていた霧の壁が遂に接近、霧の中に入っていく。ま
だ、数百メーターは見えると思うが、霧が濃くなっていくことだろう。AISで
は後方30マイルに貨物船がいるが、右方向へ抜けていく航路。霧はいいが、
向かい風が問題。
食事をして定時の給油をした。大雑把な計量だが、この8時間は時間4.2ℓと
出た。向かい風の影響で燃費が悪くなっている。
この間に、はるか50マイル先にいたパナマ船籍のLINDA HOPE が16マイルまで
接近している。和歌山へ4日午前7時に到着する予定が表示されている。
45分ほど休もうと思ったが、休めない。LINDA HOPEを8マイルまで待って
「このまま行くから、よろしく」、と頼むつもり。航路権がこちらにあること
もあり、頼みやすい。
9マイル前でLINDA HOPEに呼び掛け。当艇はコーストスピードを保持して進
むことを伝える。スターボ、右がどうと言っているが、繰り返しこちらからは
コースとスピードを保持することをアピール。相手も同じことを言ってくれ
たので、伝わったとして「サンキュー・リターン・トゥー16」と言って終わ
る。
左舷、はるか5マイルをLINDA HOPEが通過していく。コールしなくてもよか
った感じもするが、ヨットは船首が振るので、こちらも相手もわかりにくいと
思う。これからも遠慮せずに早めのコンタクトをしようと思う。
給油したあと、船を止めてスクリューをカメラで確認した。ペラを保持するシ
102
ャフトブラケットにごみが引っかかっていて、アスターン(後進)で外した。
推進力に悪影響があるほどのものではなかった。後進でペラが開くか心配だっ
たこともある。前進、後進、共に角度がついて、ブレードが開いているようだ
ったので安心した。
15時のログを取ってから、夜にそなえてしばらく休憩となる。
5月2日17時、霧が深い。視界100mあるだろうか?こんな中でレーダーなし
で走った船の話を聞いたことがある。エンジン音が近づいて来て、正に恐怖で
あったと聞いた。想像するだに怖い。アン5は巡航スピード、晴天も深夜も霧
もあまり関係ない。
コックピットに立つと、ミストというのか湿った空気が肌に当たって気持ちが
いい。太陽がぼんやり光っている。
外気温28度。キャビン内が熱い。横になると汗をかく。チャートテーブルの
頭上やメインテーブルの上のハッチを開けると外気が入って気持ちがいいのだ
が、しぶきが入ってPCやテーブルに広げた海図や書類が濡るので心配。
去年、沖縄の帰りにはバース後方から扇風機で風を送って寝たが、バース後方
のハッチは増設タンクが塞いでしまったので、今度の沖縄からの帰りまでに新
たな方法を考えなければならない。
アン5を中心に50マイル(90㎞)の範囲に3隻の本船がいる。右下40マイル
は昼過ぎに交わした、LINDA HOPE。左上(左前方)はKeyBoundary。長崎へ
向かっている。右斜め前方28マイルのタンカー LugPioneer が問題。ミートコ
ース。ミートはおおよそ2時間後、多分、前を行くのではないか。
小笠原や南大東島コースの航海をした人のブログを見ると、ほとんど本船と行
き会わなかったと書かれている。確かに、AISが無ければ気が付かないケース
がほとんど。それにしても、今回の航海ではAISが大活躍をしている。
だけど考えてみると、AISにこんなに依存できるのは太平洋の真ん中だけ。日
本海ではAIS不搭載船をときどき見かけたし、日本の沿海には漁船や遊漁船、
103
仕掛けがあり、レーダーと目視は欠かせない。
こうしてみると、沿海を走る国内周航と太平洋など近海、遠洋航海は、全く異
なる安全確保方式があることになる。
霧が晴れてきた。風も落ち、なめらかな海面に風紋が広がっている。うねりが
あるのでアン5の舳先は時々1mほどピッチングしているが、正におだやかな
海況。
2011/05/02 1800J
位置 25.52N/133.01E
針路 266度
風 W 風力0-1(風速1m)
天気 b、996hPa、24℃
波高 1m
18時のGPSプロッターによると、南大東島の変針点まで後83マイル。このまま
のスピードで行けば15時間後。
南大東島の南側に港があるが、新港を目指すため、変針点から45度右へ振
り、北大東島との間を抜けて島の北にある新港・東大東島漁港に入港する予
定。変針点から入港までの所要時間を20マイル、4時間程度見込んでいるの
で、着岸は5月3日お昼ごろになる見込。
南大東島には海に直接面した3か所の岸壁がある。外洋の波が直接当たるの
で、接岸しての荷揚げは大変だと思う。島民の悲願であった漁船が着岸できる
漁港として完成したのが、今回訪問したい南大東島漁港。石灰岩の断崖を彫り
込む形で作られており、白亜の城壁のように見える、と港湾案内にある。
長さ230mのタンカー Lug Pioneer が右前方4マイルでアン5の針路を横切ろ
うとしている。声をかけずに見守っている。明らかに前を行くであろうと思わ
れるが、目が離せない。早い段階で、「見てもらっているか?当艇は、貴艇の
後ろを通過する」と言っておけばよかった。反省。
104
レーダーやAISの衝突警報が大きな音で鳴りだして、いささかびっくりした。
霧は晴れてきたが、もやがあって、船影はまだ見えない。レーダーには出てい
る。
暗闇となっている。まだ見えない。6分後に現時点のアン5の位置の3マイル
先を右から左へ通過すると、AIS画面に表示されている。
一時方向に目視確認。黒い塊。巨大なタンカーがしずしずと進んでいる。双眼
鏡で見るとマスト灯や赤の舷灯が見える。相手もこちらのマストの先端にある
航海灯を見ているかもしれない。
夜10時の給油完了。28ℓ補充。メインタンクをいつも満タンにしておくため
に日に3回、補助タンクに20~30ℓの給油をしている。補助タンクに燃料が
ある間、メインタンクが満タンになる構造。このやり方はメインタンクの140
ℓがデッドストックになること。今後の課題。
夜光虫がきれい。アン5が船首で起こす波が夜光虫で真っ白に輝く。中に一
部、ピカピカ光っている。これまで見た中で、一番すごかったのは衣浦湾。ス
クリューの航跡がはるか遠くまで一直線で残ったのと、ボラだと思うが魚影が
そのまま光っていた。
でも、夜光虫も太平洋の沖では過養分によるものでなく、すっきりきれい。
2011年5月3日、0時。今日から3連休。私は11連休目。66才の特権として
許していただこう。「仕事は続ける、新しいことにも挑戦する、会社も休む」
が今の願望だが、若者の邪魔をするつもりはない。
2011/05/03 0000J
位置 25.48N/132.21E
針路 265度
風 W 風力2(風速4m)
天気 c、999hPa、22℃
波高 1m
105
デッキに顔を出す。曇りだと思っていたが晴れ。霧の中。マストトップの航海
灯のチンダル現象でそれとわかる。周囲は真っ暗で霧が分からなかった。チン
ダル現象は中学理科で知った。なぜかこの言葉を覚えてる。物事、若いときに
いっぱい頭に詰め込むべき。詰め込み不足の私はいつも苦労している。
1時間半前に見た左前方の Shinano Reefer が8マイルに接近中。パナマ船籍
だが船名が日本っぽい。コールすると日本語ではない。このままいくと伝え
る。やり取りをしたのち、「ポート・トゥー・ポート」と言われて、間違いの
ないことを確認。通信を終わる。
船ではポートは左、スターボーは右を表す。「ポート・トゥー・ポート」は、
お互い左舷を見て行きかいましょうとの意味。私の後ろを通過してくれること
を意味する。いつものように警報が船内に鳴り響いていてうるさい。
Shinano ReeferのShipPlotter 画面上で気になる点が一つ。航跡と航路予想線に
対して、船の向きが45度横を向いていること。詳細データを見ると、Heading
330、Course 15、となっている。AISの設定間違いか?
電脳ヨットアン5にAISは無くてはならない航海機器の一つ。でも「PCこけた
らどうするの?」と聞かれそう。アン5には相互に交代できるパソコンの2台
構成としてある。そしてその他に予備パソコンを1台持っていて、一応3重の
体制としている。
Shinano Reeferが4マイル後方を通過中。この広い太平洋で、2マイルや3マ
イルに接近する不思議。沿岸を走っていても、何故か船は寄って来て、常に衝
突の可能性を持つ。だから、ワッチが欠かせない。
5月3日午前1時30分。これから60分休憩。50マイル以内に船はいない。
風と波が強まってスピードが上がり、揺れが激しくなった。休養を15分早く
切り上げ、ワッチ。相変わらず霧が深そう。問題なさそうだから、さらに休息
に入る。目標が近づいたのでコースの調整回数が増え、そのたびにラット近く
のオーパの操作ボタンを押さなければならないので、面倒。
106
デッキ上は霧というより霧雨が降っている感じ。船上のあらゆるものに水滴。
5月3日、午前3時15分、ナウ。後、28マイル、4時間で変針点。しばし休養
に入る。
接近警報が時々鳴る。耳元で増設ブザーが大きなピー音を出すので休んでおれ
ない。特別眠いわけでもないし、今晩は停泊だから無理に休むことはない。波
を検知した場合と違って、結構、警報が断続的に続き止みそうもない。
丸いレーダーアンテナドームの中でマイクロ波アンテナが毎分24回転してい
る。何かを2回感知したらマークを出す。次に感知しなかったらマークを消
す、といったロジックであろう。ピー音は2.5秒間だけ鳴る。
コンパニオンウエィに座り込んで、しばしレーダ画面観察。左舷2.6㎞の位置
に時々、はっきり影が出る。漁船か、仕掛け。海図に浮標の表記は無い。
画面の変化を見るためレーダーのトレースモードをONにする。しかし、途切
れる影はうまくトレースできないらしい。
影は徐々に明確になってきた。方位があまり変わらず、距離が2㎞まで近づい
てきた。漁船がほぼ同じスピードで同じ方向に併走しているのだろうか?
外国なら海賊の心配をしなければならないケース。それにしてはスピードがこ
ちらと変わらない。もやの中、かすかに光が見える。2個の作業灯と船尾にオ
レンジの回転灯。平行して走っている。
ますます接近してきた。距離1.2㎞。方位は少し後方へずれている。双眼鏡で
作業灯や舷灯がはっきり見える。舷灯は緑。扇型の警報範囲で、近い方の距離
で範囲を外れ、警報が止まった。
漁労中の船は周りやレーダーを見ていない可能性が高い。突然方位をこちらに
向けたとしても、わずかだが先行しているので、即座に危険が発生する位置関
係ではない。
107
距離1㎞。作業灯ではなくマスト灯のようだ。中型の漁船。双眼鏡で見ている
うちに、舷灯が緑から赤に変わった。針路を変えた。Uターンしたようだ。距
離が離れていく。再び警報範囲に入りベルが鳴り続けることになる。
漁船にAISがついていれば一目で状況が分かるが、居場所を知られたくないの
で漁船のAIS搭載はないそうだ。搭載しない理由は本当なのだろうか?なるほ
どという、うまい使い方もあるはずだと思うのだが。
<南大東島入港への変針>
5月3日午前5時半。北大東島と南大東島の間を通過する方位へ変針。ジブ、
メイン、2Pで展開。アビーム7mの風で、7.6Knot、快走開始。
港へ向かう変針点まで、29マイル。当初計画より、手前で、変針した。
南大東島へ向かう、4回目の日
の出。
2011/05/03 0600J
位置 25.45N/131.40E
針路 260度
風 W 風力2(風速4m)
天気 bc、998hPa、22℃
波高 1m
セール M2P、J2P
2100rpm 機帆走
艇速 7.2Knot 午前7時40分、電話が通じた。まだ途切れがち。沖縄が梅雨に入ったと聞い
た。15日ごろと思っていたのに例年より早い梅雨入りと聞く。残念。シャワ
108
ーをして身ぎれいにした。お昼ごろに、南大東島漁港へ入る見込み。
電話が通じたということはネットもつながるはず。まだ安定はしていないがつ
ながる。衛星電話はしばらくお休み。それにしても、ツイッターと音声電話、
だいぶ通信費がかかったことであろう。
午前9時、右手前方に北大東島が見えてきた。左手にある南大東島はまだ見え
ない。左舷前方に小型の釣り船4ハイ。天気は晴れ、気持ちの良い風が吹いて
いる。
南大東島の観光案内をちらっとネットで見た。それより、航海計画!!宜野湾
へお昼着を狙うと、南大東島は夕方遅く出る必要がありそう。
5月4日に大きくは発達しないものの低気圧を伴った前線が通過する。5日は
南大東島もこの影響で午前中、雨。その後は安定、との馬場さんアドバイスが
メールで来ている。
南大東島がうっすらと見えてきた。南も北も平たい島のようだ。港へ向かう変
針点まで5マイル。50分後。
師匠の岩田さんから携帯へTEL。PCソフトのOpenCPN不調の件で洋上から問
い合わせをさせてもらったので、心配をしていただいていた様子。何とか活用
できていますと。ご心配いただいて、申し訳ない気持ち。
南大東島の右端に大きく岩
を削った場所が見える。港
らしい。変針点まで2.7マ
イル。タイマーを18分に
セット。
ドコモのワイファイがつな
がっているのでネットは快
適。キャビン内は熱い。
109
変針点まで大回りをしてから、187度でアプローチ。灯台も浮標もない。これ
からセールダウンして。変針、港へ進入となる。
APRSの発信を忘れていたので、ON。APRSのヨットアン5でも追跡できるは
ず。
南大東島漁港へ接近するころ、南風が強まった。強風、向かい風でスピード
が落ち、遠く感じた。去年の日本周遊では30枚以上の海図を新たに用意した
が、今回は東京湾からルソン海峡までの広い広い範囲の海図を一枚調達しただ
けだった。
大きな海図では、北大東島と南大東島の間は数ミリしかない。だから慎重にそ
の中間点を通過するように予定航路を引いたが、早めに推測航法に切り替える
べきだった。北と南大東島の間は十分に広く、危険を避けて両島の中点を航海
する必要はなかった模様。
南大東島漁港は切り取った石
灰岩の白さが目立つので位置
はすぐわかったが、入口の確
認と、入港時エンジンが止ま
った時の処置をいつも考える
この時が一番緊張する。
入港すると岸壁では数人が盛ん
に接岸場所を指図してくれる。
岸壁に船を寄せると、船に飛び
移って、舫いを取ってくれるな
ど、親切。
110
しかし、岸壁の下部が空洞になっていてフェンダーがはまり込んでしまいそ
う。そう意思表示すると、その中の一人が私の船に着けていい、と横抱を勧め
てくれる。ご厚意に甘えて船を移動する。
2011年5月3日10時半、南大東島北漁港へ着艇。
沖縄、糸満から来ている漁師さん。13トンのイカ釣り漁船に抱かせてもら
う。この方法は潮の満ち干の心配もなく、快適。「断りなく、船を横切ってい
いよ」と言っていただく。
111
5一泊して南大東島観光
<南大東島にて>
着艇後の後方付けもしないで横抱きさせていただいた漁船の船長AMさんと岸
壁で話し込む。
ソデイカを捕っている。400mおきに30本の仕掛けを下ろす。長さ450mの先
に懐中電灯をつけ、その下に大きな疑似餌を数個ぶら下げる。海中深くで光を
見て集まるソデイカが、反射して光る疑似餌にかかるという。
ソデイカを見せてもらった。
20Kg以上ある見事なイカ。身
も厚く機械で加工できるので、
全国の回転すしの8、9割のイ
カはこのソデイカとのこと。
一週間ほど漁に出て、毎日朝5時に仕掛けを入れ、仕掛けを上げ終わるのは
11時。船上でワタを出すなどの加工をし、翌日の仕掛けを作る過酷な漁。名
護に住むパートナーと2人の仕事。
「買い物に行くから、ついでに観光案内に行くか?」とお誘いを受け、即出
発。最初に、漁協へ行って漁業情報を入手。1枚100円でパソコンからカラー
プリントしてくれる。週間予報天気図と海水温度分布図。私の分もいただく。
「今、イカがとれる水温の地域は演習場なのでダメ」、とAM さん。隣接する
漁協の解体場へ連れていってもらう。糸満の漁師さんなのに作業場の人とは仲
良し。
112
湯底ムツの解体作業中。脂がのっておいしそうな魚。さっそく大きな身を切り
出してくれる。脂がのっておいしい。あとでAMさんが「しりから油が出る魚
だから、たくさんは食べられない。4切れくらいかな。」6切れは食べた。
良く聞くと、この魚の油は人間の体では吸収できないのでお尻から出てしま
う。知らない人はびっくりするとのこと。「これを使った商品、何かできそ
う。ダイエット食品など」。車中のAMさんとの話も尽きない。この島の人は
本土と沖縄出身者が半々、などなど。2つのスーパーを回ったのち、島全部の
港見物。
最初に亀池港見学。航海
中、島の南に防波堤に囲ま
れ、水深2m、と港湾案内
に書かれていた港があった
ので、入港を検討していた
が、実際にAMさんに連れ
て行ってもらい見学して驚
いた。この日は南の波で、
堤防に囲われた中も大荒
れ。もし間違って入港した
ら、出てこられないだけでなく船が破壊される様相だった。
新港の他に西・南・北に港があるようだが、連絡船はその日の風向きによっ
て、使う港が決まる。港と言っても外洋に面した岸壁だけ。今回アン5が入港
した新港、南大東島漁港だけが囲まれた港になっているが、ここも北風が入る
と大波が入り使えないこともあって、連絡船は使っていない。
荷揚げはその日の風下の港で岸壁に船を付け、出かけて行ったクレーン車が荷
物を陸揚げする。人間も柵に囲まれたゴンドラに乗って、吊り上げてもらう。
このゴンドラに乗るのを楽しみに来る観光客もあるいう。岸壁に船を当てない
ためのブイも沖に打ってある。連絡船は毎週木曜日。だから今回は接岸を見る
ことはできない。
113
それぞれの港の岸壁は膨大
な量の石を切り出して港に
してあり、その取り出した
大きな石灰層の岩は石垣と
して積んである。各港には
大量の正にコンクリートの
塊となった取り付け道路が
付いていた。写真は西港。
南大東島の名前は台風の進路情報でよく耳にする。実際、島を直撃する台風の
威力は想像を絶するもので、以前も、巨大な岩が取り付け道路を駆け上がった
とのこと。台風では島全体が震え、住んでる人はその動きを感じると言う。
最も設備の整った西港を見
て、次に新港にほぼ隣接す
る北港の岸壁を見た。いず
れも、高さが10mもあろう
かというしっかりしたコン
クリートの塊で岸壁ができ
ていた。
最後にアン5を入れた新港を高台から改めて見学した。港の奥に真新しいスリ
ップウェイもできているが、段差があり、できてからもあまり使われていない
という。小型船の上げ下ろしはここもクレーン。真新しいピカピカのクレーン
が軽々と高々と釣り船を上げていた。
114
新港が一望できる高台にあ
るパネルによると、海に面
した石灰岩でできた丘を掘
り下げ、内側に港を作り、
最後に入口を発破で爆破
し、海水を入れて作った、
と説明している。
誠に立派な港に見える。隣
の北大東島でも同様な港を
作っているとのこと。だ
が、この新港は北西の風の
時は、入口から波が入って
入港ができない。数隻の漁
船が入口の岩に激突して、
3隻が全損したことがある
という。
これを防ぐための入口の防
波堤の工事をやっている様
子だった。AKさんの話で
は1m当たり1億円の建設
費。でも、出来上がっても
台風に耐えるかどうか、
AMさんは懐疑的なようだ
った。写真左端のクレーン
が防波堤延長用のクレー
ン。
「ヨットは知らないが、北風が強い時は出ない方が良い」AMさんの助言。
115
この島では、風の向きによって使う港が変わることとクレーンによる荷揚げは
今後も変わらないようだ。
台風避難港は新港しかない。その時、新港内は2重、3重に漁船が抱き合うと
のこと。でも、風向きで入港できない場合は各港岸壁の沖にあるブイに5、6
隻数珠つなぎに係留する。先頭の船のロープは30㎜ではすぐ切れると言う。
台風避難のもう一つの方法は暴風中、風向きに合わせて、島陰に船を移動し続
ける。これが結構うまくいくという話だった。
新港に帰ると、解体場にいた夫婦が来て雑談。おじいさんが八丈島から渡って
来た、とその奥さんの話。AMさんによると、南大東島で有名な仲良し夫婦で
いつも一緒。ちょっと似ていて、親近感を覚える。
<民宿で一泊>
電話連絡をしたマネージャーの勧めで、AMさんにお世話いただいて民宿をと
る。午後4時ごろ、民宿へ入って、シャワーと洗濯。夕方AMさん、パートナ
ーのNさんの3人で、芸能人が島に来たとき食事をするというお店で、泡盛、
残波を飲む。
泡盛を飲みながらの話題も尽きない。那覇に住んで糸満に所属するAMさん
は、沖縄で無人島ツアーの船長経験があり、夏、お世話になれそうと聞いて、
即、夏の宜野湾での再会を約す。「無人島ツアー船が宜野湾停泊中のアン5の
横に来て、ゲストと分乗して一緒に無人島ツアーへ出発!」といったイメー
ジ。
休日で肝心の給油ができない。手持ちの燃料を融通してあげようとか、休日に
も関わらずローリーを回そうとか、AMさんコネクションと島民のみなさんの
親切な申し出を受ける。結局、明日9時、民宿へタンクローリーが来て、その
車に乗せてもらい、港に向かい給油することになった。
5月4日、朝。宿では若い女の子の元気な声が聞こえてくる。昨日の臨時便
116
(飛行機)で到着したお嫁さん候補。島の若者との集団お見合いでの来訪。そ
の女性たちの声。たくさんのカップルがまとまると良いな!
今朝、8時に部屋を出てロビーに行くとAMさんがテレビを見ていた。タンク
ローリーの迎えを断って、代わりに来てくれたもの。早く起きてしまうと私が
言っていたので、早く来て待っていてくれた。
やはり疲れでぐっすり寝てしまったようだ。AMさんに申し訳ない。宿の本館
4階が見晴らしの良い食堂。皇族がお泊りになった写真やご記帳もある。
AMさんにも食堂へ上がってもらい、私は朝食、AMさんはコーヒー。ビンラ
ディンが殺された。テレビではその証拠写真を公開するかどうかが世界中の話
題となっているとのことだった。立場の違う世界中の人がコメントを出せば話
題にはなるが、収拾がつかなくなるのが世の常かと思う。
AMさんと新港へ戻るとローリーが待っていてくれた。「タンクは空か又は満
杯が良い」、AMさんの何気ない言葉。水滴が付き燃料に水が混ざるから。知
識では知っていたが、そうだったなと実感し、給油を依頼する。宜野湾まで
と、その後の3か月間のことを思い、125ℓ給油。
5月4日はまたまた南大東島の観光。朝、給油をしてから、馬場さんの航路予
報を見る。ネットさえつながれば馬場さん情報がふんだんに入手でき、便利。
昨日まで、「今日のお昼12時に出航」と決めていたが、明日朝に変更。AMさ
んの漁船も明日の定期便で漁の資材を受け取ってからの出航になるので、横抱
きもまだ大丈夫のはず。
お世話になっているAMさんに、昨日の宴席で話題になった「ヨットアン5の
つぶやき航海記」を渡す。漁場への行き来などに本を読むことが好きとのこと
で大いに喜ばれる。
それとは別に、名古屋のおせんべいバンカクドウと名古屋のお酒、九平次(パ
リの三ツ星レストランご用達)を持参する。
おせんべいはもう一つ用意して、昨日会った船を上げるクレーンの人に渡して
117
くれるように依頼する。連休で給油できないかもしれないとの話が人づてに伝
わって、手持ちのクレーンの燃料を譲ると言っていただいた。そのお気持ちへ
のお礼。今朝も、その人から大丈夫だったか?と電話があった。本当に真から
の心使いに感激。
島の人は全員、日本人特有の控え目だが実際は思いやり一杯でフレンドリー。
唯一あるタクシーの社長兼?運転手さんだけがとてもいかつい顔をして運転し
ている。AMさんに聞くと怖くない大丈夫とのこと。ただし、夜は別の理由で
頼まないほうが良いとも言っていた。
年間数か月来る糸満のAMさんは、見ていると町中の人と親しげ。島で観光業
を経営する後輩の軽四を借りて、町中を気軽に動き回っていて、買い物も普通
のお店、何でもそろっているお店、品の良いおばあさんが店番するお店、いろ
いろ連れて行ってくれる。AMさんの買いものはタバコとビール。
最初、お昼12時の出航の予定だった。燃料補充が終わったので、いつでも出
航OKだった。給油後、ネットで馬場さんの気象情報を見たが、明日にしない
と、沖縄本島に近づいた半日が雨の予報になっていた。このため、出航延期を
決定して、AMさんに伝える。
<南大東島観光>
「解体ショーへ行こう。観光も行こう。」と言われ、即、出発。島は格別良い
天気。解体ショーは今島へ来ているお嫁さん候補の方々への特別イベント。
AMさんが私に是非見せたか
ったのは、石灰岩を掘って新
港を作ったわけだが、その時
切り出した岩で作った防風の
石垣。最初に行った場所は案
内板もなく誰も行きそうもな
い雰囲気だったが、海が広が
る見晴らしの良い高台。
118
その高台が岩を積み上げた
防風壁の上。休憩所の周り
の畑にはヒマワリが植えら
れている。なかなか風光明
媚で観光に値する場所。な
のに村が作った案内にはそ
の紹介がない。私がAMさ
んに提案する。「どこかで
板を買ってきてXX広場と
書いて、建てよう。10年
後に来ると、きっとその名の名所になっている!!」。
火山の溶岩できた海岸線の岩は鋭くとが
っている。東風を避けて海岸近くにアン
カリングする時があるそうだが、ロープ
は瞬く間に切れてしまうため、錨には金
属製のワイヤーを先端に使うか、垂らす
だけでひっかけるかすることが必要との
こと。
漁協の前を通る。戸建てのペン
ション村を漁協の前に建設中。
石灰岩で各ペンションの周りを
囲っている。これも助成金事
業。もうチョイ場所を考えてく
れても良いがなー、と独り言。
石灰岩は畑の護岸にも使われて
いる。その場合は、工事費の8
割が助成されるそうだ。
この島には、白い石灰岩の中にきれいな
赤や時に青色の筋が入った石がある。
又、たたくとキンキンと音がする硬い石
119
もある。
漁師の言い伝えで「島の女は持ち帰ってもいいが、石は持ち帰ってはいけな
い」というそうだ。沖縄の漁師が石を持ち帰ったため、いろいろ難儀があり、
飛行機で返しに来たこともあるという。AMさんの話。
サトウキビ工場があった。
昔は蒸気機関車でサトウキ
ビをこの工場へ運んだそう
だ。今もサトウキビ栽培は
行われているがこの工場は
使われていない。
スーパー2軒を回って、大東寿司を調
達。1件目のスーパーは売り切れだっ
た。大東寿司は、サワラを漬けにして、
お寿司にしたもの。漬けのお寿司は関西
にはないそうだ。
大東寿司を持って、村内一
望の展望台へ。展望台に上
って、ピクニック風お昼。
観光客は来そうにないが、
村が一望できることは確
か。
120
海軍棒プールへ行こうと
AMさん。二人はすっかり
観光モード。AMさんも海
軍棒には行ったことがない
とのこと。海辺の高台に、
少し小さめの25mプールが
岩を並べて作ってある。満
潮の時か高波の時、海水が
貯まるプール。子どもと遊
ぶには良いが、海軍の兵隊
さんには似合わない。
軽トラで移動中、AMさんが盛んに「新港で掘り出した石で作った防風壁は
100年後には遺産となっている」と言う。あまり熱心な主張だったので、もう
一度見に行きましょうということに・・・。
AMさんの防風壁への思いは強い。関心の強さは、何といっても防風壁の規
模。新港から西港まで、4㎞はあるだろうか?100年後には平成の偉業として
歴史に残るはずという、AM さんの言葉もうなずける。
防風壁の数ヵ所へ行ったが、やはり偉業と言える。掘った費用より、壁を積ん
だ費用の方が高かったのではないか?AMさんの考え。
「こんな遺跡もある。」と
連れて行ってくれたところ
は、昔、ウィンチで南大東
島へ船を上げた跡。案内パ
ネルなどは無い。急斜面に
木を横に埋め込んでその上
を滑らせて船を上げたよう
だ。
121
岩の形に合わせてカーブす
る位置にいくつかのウィン
チの固定跡、ウィンチの金
属部品が朽ち果て転がって
いる。
こんな急斜面で、よくも先
人は船を上げたものだと感
心する。南大東島は如何に
船と付き合ったかが歴史、
これも立派な観光資産。
<新名所、「新港グスク」>
私もだんだんわかってきて、真面目に名前を考えた。そして提案した。この島
の住人の半分は八丈島から、半分は沖縄からと聞いたこともあり、「新港グス
ク」。新港は石灰岩を掘り下げて作った漁港のこと。グスクは沖縄の言葉でお
城。沖縄本土にいくつかのグスク跡があり、石垣が積んである。
巨大な壁が完成したころは
真っ白だったそうで、海か
ら見た景観はすごい物だっ
たらしい。月日と共に、一
部は黒ずんできたとのこ
と、海から見るのも素晴ら
しい。ダイビングだけでな
く、「新港グスク」観光船
もいいのではないか。
名前が決まったので、どうやって皆さんに知ってもらうか?私たち2人で看板
を立てる手もあるが、ここは、正攻法で村の教育委員会かまたは観光課へ提案
をしたらどうか!?
122
週に一便の連絡船しかなく、毎日運航の飛行機は定員が少なく、住民優先で、
観光客は臨時便しか使えない実情では、この素晴らしい「新港グスク」を多く
の人に見ていただくのは難しいかもしれないが、是非検討実現してほしいもの
だと、盛り上がった。
「新港グスク」を見てからは解体ショーがある漁協へ。すでにたくさんの人が
事務所の横で食事をしている。AMさんの親しい人の話によると、マグロはす
でに手当て済みだったが、何隻かが今日の解体ショー用のマグロを取りに行
き、何本かを上げたそうだ。しかし、どうも解体ショーはもう終わったらし
い。
これも「新港グスク広場」でやればだいぶ盛り上がりが違うがなー、と独り
言。あんなにホスピタリティーの塊のような人たちの村なんだから、誰か観光
客の立場で考えて、おや?とか、いいねー!とか、感動した!、などの言葉を
発する企画をすれば良いのになー、とまた独り言。
解体作業場を覗く。すでに商品用のマグロの解体が進み、床にはカツオがたく
さん横たわっている。横では湯底ムツの解体中。作業する人は陽気で朗らか。
AMさんがカツオの身を一山、分けてもらっていた。
漁協を出て、次は、まだ行
ってない北港とバリバリ岩
へ行くことに。北港は新港
とほとんど並んでいる近い
場所になる。新港は小型船
舶の避難港として国が作
り、荷揚げなどはこれまで
の北、西、南(亀池地区)
で行われる。港に入って岸
壁に着けて・・という概念
は今のところ無い。
すべての港が沖のブイを使って船を岸壁に寄せ、岸壁と船の間を開けたまま、
陸側のクレーンで荷物を下ろす。人間もクレーン。岸壁に風・波が当たると荷
役はできない。だから北、西、南に同じような規模の岸壁を作り、その日の風
123
向きで使う港が決まり、その岸壁へクレーン車が出動する。
最後に訪問したのがバリバ
リ岩。岩が割れ、その細い
隙間を進んでいく。割れ目
に岩がはさまっている。最
深部は洞穴になっており、
日本軍の通信隊がいたと言
う。懐中電灯もなく、いさ
さか気味悪く、写真だけと
って退散。入口の案内板に
「この島は毎年7cmずれて
いる。その証拠が・・」の
説明の意味が分からなかった。
写真は船に帰る途中、北方から見た新港。右端に、抱かせてもらっているアン
5。課題はあるが、広大な太平洋で台風避難できる貴重な港。
124
14時半ごろ船に帰って、航路予報を見る。明日の朝と、今日の夕方出航の2
案。今日の18時出航の場合、雨に降られないとの予報。梅雨時の穴場発見と
ばかり、急遽、出航を決める。
AMさんとはアン5で夕食の約束をしていたので、航路気象図をもって説明と
謝罪をすると「天候優先だから」と理解してくれ、私は即、仮眠に入った。
夕方、18時前。AMさんとパートナーのNさんの見送りを受けて、南大東島新
港を出航。「夏、宜野湾で会いましょう」と、最後の言葉をかける。AMさん
は軽四に乗って港の先端まで来て、出航を見送ってくれ、最後に帽子を振って
お別れした。
AMさんにお世話いただき、誠に充実した一日半だった。海のこともたくさん
教わった。南大東島のことは、AMさん自身が大好きなのと、町民ではない視
点の意見には鋭い物があった。
125
6沖縄宜野湾へ未明の
アプローチ
<沖縄・宜野湾へ>
5月4日17時40分、南大東島新港離岸。沖縄、宜野湾へ向け出航。
2011/05/04 1800J
位置 25.52N/131.11E
針路 258度
風 SW 風力2(風速4m)
天気 c、997hPa、24℃
波高 1m
セール None
2100rpm 機走
艇速 6.8Knot
JASREP/SP
A/ヨットアン5/240-41190//
B/041800J //
G/南大東魚港/25.52N/131.39E//
I/宜野湾マリーナ/26.16N/127.43E/060800J//
L/RL/60/25.53N/130.08E/050600J/南大東島西海上//
L/RL/60/25.53N/129.02E/051400J/那覇東海上//
L/RL/60/25.53N/128.16E/052100J/那覇東海上//
L/RL/60/26.18N/129.00E/060300J/喜屋武埼沖//
南大東島新港を後に・・・。大きなクレ
ーンは1億円/mの建設費と言う堤防延
長工事用のクレーン。
出航後、船内で航路計画策定。沖縄の南
126
端、喜屋武埼をAMさんが言う「2マイルを離すのか、いやいや深夜だから3
マイル離そう」など悩んで航路を引き、予定通過時刻を計算していたら、米軍
の爆発物投棄場のど真ん中を通過することが分かり、最初からやり直し。
又、これまでの大雑把なルソン島までの海図から、沖縄本土の西にあるルカン
礁やチービシの無人島の間3マイルを通過するため、昨年使った細かい海図を
取り出し、その連携も少し面倒な作業だった。
このパソコンの横にメールなどに使う航
海専用のネットパソコンがあり、AISの
レーダーモード表示と、OpenCPNによ
る「衝突予想計算」、「警報ソフト」が
動いている。1時間以上前から、ネット
PCのAIS画面に当艇右前方の貨物船
ShinJui が表示されている。時刻は4日
の20時57分。
ちらちらとAIS画面を見ながら、時々外を見渡しながら、そして食事を済ま
せ、これから宜野湾周りの航路の確認をする。ShinJuiは15マイルに接近して
きたが、15Knotの速度もあり、4ないし5マイル先を行きそう。
最初、頭上に星も見えたが、今は見えなくなった。周囲は真っ暗。ヤンマー君
とオーパ君が今日も元気に働いてくれている。
Google Mapのプロットを3時間から6時間に変更したい旨、畠山君にお願い
した。日本と東南アジア、オーストラリアなどの航路らしく、50マイル以内
にいつも数隻表示されているなど、ちょっと目が離せなくなってきたなどの理
由。ここまで、過酷なお願いをこなしてくれたことに感謝。
左前方7マイルに Ocean Master 、韓国のTESAN行き貨物船。十分前を通ると
思うが、一応注視船とする。
間もなく5月5日の深夜0時。風は変わっていないようだが揺れが大きくなっ
127
た。それとねじれの揺れもある。
2011/05/05 0000J
位置 25.53N/130.28E
針路 277度
風 S 風力2(風速4m)
天気 c、999hPa、23℃
波高 12m
セール None
2100rpm 機走
艇速 6.2Knot
小笠原への大嵐の中では、10以上のあざができたと思う。とにかく、足やひ
ざ、腰、あらゆる部位をぶつけた。特に右の少し後ろの腰がひどかった。腕を
伸ばしたり振り向いたり、又いろいろな体の動きに痛みを感じた。シップも張
ったが、その内、いつの間にか強い痛みは消えた。
小笠原以降はそうした嵐の揺れは無いが、今のようなひねりの揺れは突然予期
しない揺れとなって体が放り投げられるから注意が必要。けがが一番心配。い
つも3点保持、両手両足の内必ず3点が、地に着いたりつかんだりしているこ
とを心掛けている。
畠山君にLOGを送った後、周囲50マイルにいる本船4隻にミートの可能性が
ないことを確認して、休養に入ったが、エンジン音が2度ほど息をした。念の
ために今から燃料の点検をする。補助タンクに燃料があれば、メインは満タン
だからエアーは入らないはず。
コックピットに出て作業をするための準備が面倒。キャビン内ではシャツ一枚
でも熱いぐらい。外へ出る時はライジャケを付けるので寒さはしのげる。しか
しデッキは水浸し。しぶきが飛んでいる。しぶきがかかると布団に入れなくな
るので、総着替えとなってしまう。仕方がないから合羽を着る。
防水ズボンも必要。腰を浮かしてぬれたデッキに触らないようにする・・など
考えるのは禁物。作業中は腰を落ち着けなければ、揺れ回っている船上では危
128
険もある。だから、いちいち重装備になる。
補助タンクに残量もあり大丈夫だが、この際18ℓ補充。次のチェックは5日
午前8時の予定。波が出て艇速が1Knot落ちている。アビームでセールが出
せる状況だが、計画艇速の6Knotは出ているし、早く着きすぎても困るの
で、このまま機走とする。
給油作業が板についてきた。最初は、給油の後キャビンがしばらく燃料くさか
ったが、今は洗剤で軽く手を洗うだけで、キャビン内もクリーン。
AISを確認して、しばし休養。
5月5日2時、起床。休養とは、仮眠。いつも、1時間弱。「眠気を感じた
ら、速やかに横になる」、「眠くなくても、まとまった時間があったら横にな
る」方式。すっかり定着しているが、この方式の弱点はトラブルなどがあって
時間が取れないことが起きると、その後寝過ごしやすくなること。
風が強まっている、8m。波が高まり揺れも一層大きくなった。波にたたかれ
ているが艇速は5.6Knot。ヤンマー君は十分なパワーを発揮している。アビー
ムなのでセールを出すと、8Knotクラスの爆走ができると思うが、急ぐとか
燃料を節約しなければならないとかの理由がなく、このまま行く。
南大東島ですっかりお世話になった漁師のAMさんの船は13トン。アン5より
一回り、二回り大きいが、仕掛けをした後などは船を流すそうだ。今のような
海況で船を流す(推進力を使わず、波にもまれたままにすること)と、揺れは
こんなものではないと思う。
漁船はヨットと違ってキールがないから、横波を受けると転覆するのではない
かと思うほど傾くと思う。船の中央部が少しへこんでいるが、波がその横を通
るときは波が船を横切って行くので、波にさらわれないように注意するとのこ
とだった。
揺れが強く、チャートテーブルに向かっていると椅子から滑り落ちそうにな
る。右足を伸ばして、ときどき壁に当ててそれを防ぐ。こういうときは横にな
129
るに限るのだが、横になる潮時を知らせるあくびがまだ、出ない。
レーダーの接近警報が時々鳴るようになった。うるさいのでバースのドアーを
閉めるようにしたが、いつもの波を感じる音と違う。レーダー画面を見ると雨
雲が右前方から近づいてくる。
コースが右へ5度ずれている。まだ先のことだが、このまま行くと爆発物廃棄
エリアに向かっていく。アン5はAISを搭載、現在位置や進行方向、スピード
などを発信しているので、保安庁に把握され、連絡が来るかもしれない。だか
ら、コースがずれるなら左へ振っていく必要がある。
雨雲による接近警報には困った。やかましいのと雨なのか障害物なのか区別が
つかないので、捨てておけない。午前3時20分、ナウ。強い雨雲は左舷方向
3㎞程度まで接近してきたが、小型。
午前4時、軽いにおいが気になる。焼けた匂いではない。私の体臭でもない。
エンジンルームを覗く。冷却水が切れそうなので補充をする。このエンジンは
2次冷却方式。海水で真水を冷やし、その真水でエンジンを冷却する。
外は雨。雨雲に依る接近警報が止まない。休養妨害。レーダーのゲインを抑え
る。
航路気象予報は「雨が降らない」と出ていたが、この梅雨時、やはり雨は避け
られない。
2011/05/05 0600J
位置 25.52N/129.51E
針路 268度
風 S 風力1(風速2m)
天気 r、998hPa、21℃
波高 1m
セール None
2100rpm 機走
艇速 5.2Knot
130
雨が止んだ、ナウ。右舷側は、八戸で見た「やませ」の小型版のような低い雲
の帯が広がっている。霧ではないかと思う。左舷側は明るく、青空も見える。
前方には遠く雨雲が広がっているが、どうも、雨は予報通り免れる兆しを感じ
て、期待をしている。
早朝、久しぶりにドジャーを広げた。いささか見苦しいが、ドジャーの上部に
透明なビニールシートがかけてあり、防水性は抜群。快適なコンパニオンウェ
イが確保されている。ただし、前方確認の時、上または横から首を伸ばさなけ
ればならないので、その分少し厄介。
風が弱く波も小さいのに、艇速5Knot少々。向かい風で波があっても6Knot
出る時もある。どうも理解しにくい点がある。海流があれば説明できるのだ
が。
雨がいささか強く降ってきた。レーダーによると、前方と右に雨域が広がって
いる。雨域を障害物と間違えて接近警報がひっきりなしに鳴るので、増設ブザ
ーを一時的に切る。
私は短パン、シャツ姿のまま、時々ドジャーの中から頭を出すだけ。ヤンマー
君とオーパ君が頑張ってくれている。あと30分で燃料確認時刻。その時はカ
ッパとライジャケを付けて、コックピットへ出なければならない。
爆発物投棄エリアを避けた変針点まで約80マイル、船足が落ちているので14
時間弱、午後10時ごろ通過予定。
8時。雨が一休み。この間に燃料の確認と給油。余裕の燃料量なので心配はな
いが、補助タンクへどれだけ入れれば適量かを決めるのが必要。給油後、私が
休む反対側のバースに入った時、室内に灯油の臭いがした。何か異常があるか
調べたが、どうも自分のかっぱを入口につるしたので、その臭いがしたらし
い。
今朝、雨による接近警報が続いて休むことができなかったので、11時まで細
切れで連続して休んだ。天気が回復したので、雨雲の心配はなくなった。朝か
131
ら、メイン3P、クローズドリーチ、8mの風で、6Knotをキープして快調に
走っている。
日差しが強い。デッキで風に当たると気持ちがいいが、日焼けしそう。トビウ
オが飛ぶ。1m以上の波なのに・・・。大型のトビウオは5秒ほども飛んで、
かなり遠くまで行ってしまう。昨年、奄美で見た海の色、インクの色。5日
11時40分、ナウ。
2011/05/05 1200J
位置 25.51N/129.14E
針路 276度
風 SW 風力4(風速8m)
天気 b、992hPa、30℃
波高 1-2m
セール メイン3p
2100rpm 機帆走
艇速 6.2Knot
オケラネットデビュー、ナウ。オケラネットはヨット向けアマチュア無線のサ
ポートチーム。昔からぜひ参加したいと思い準備をしてきたが、遂に本日デビ
ュー成功。アマチュア無線は50年ぶりドキドキ交信だった。
オケラネットのメンバー長谷さんと山田さんにやさしくお声がけをいただき、
お仲間に入れていただき、うれしかった。技術支援をいただいた師匠の岩田さ
んに感謝。
このところ気になっていた異臭の原因が分かった。一昨日、解体作業場で切り
出してもらった湯底ムツ。食べてはいけない町もあると聞いたが、下着やズボ
ンをまとめてビニール袋に入れ、自分はシャワーをした。これで、すっきり。
5月5日、午後3時。雨が降っている、ナウ。メインセールを出して、機帆走
中。ヤンマー君とオーパ君が雨にも負けず、たんたんと仕事をしてくれてい
る。室内はクリーンでドライ。少し熱いので、扇風機を引っ張り出して回して
いる。年代物で、真ん中にスーパーマンの顔がある。この顔も20年以上の付
132
き合い。
お昼を食べてないことを思い出したが、その時、眠気か退屈か理由はわからな
いがあくびが出た。夜にそなえて、休養タイムとする。
時々激しく雨が降っていたが、休養タイム空け。17時20分。
<沖縄へのアプローチ>
いよいよ、沖縄へのアプローチが始まる。この後、爆発物投棄エリアを避けて
少し南下したのち、沖縄へ向かう。
この危険?エリアを迂回してから、沖縄北端に変針するのは今夜21時ごろ。
変針後、35マイル、約6時間で沖縄南端、喜屋武埼。そこから、ルカン礁と
トコマサリ礁の間を抜けて、那覇空港の横を抜けて、宜野湾港への進入口を探
す。
ここまでは、50マイルの範囲にいる(多いときに3隻ほどの)本船を注意し
ていればよかったが、本船がもう少し混み合うと思うと、漁船の注意が必要と
なる。
早速、レーダの警報。2.5㎞先に漁船。AISではないので単なるレーダーの反射
影、丸点しか映らない。船体にJPとあるので遠洋漁船だろうか、しばらくこの
レーダーの影と実際の船の動きを見ていると、危険かどうかの判断ができる。
今回アン5の前を右から左へ斜めに横切っていく模様。横切る地点までは3㎞
以上ありそうなので危険は無い。
潮岬や御前崎へ近づくと、どこから集まったかと思うほど本船が密集する。沖
縄でもそうかと思っているが、この地点から沖縄本土まで45マイル。AISの感
知エリアと思われるが、見えている本船は2隻。それほど混まない様子。
沖縄保安から警報の通達が入る。「沖縄各地で濃霧が発生する。深いところは
視界0.3マイル。この警報は6日の15時まで」とのこと。
133
これまで、2日も4日も同じ方位で走ってきたが、今からはそうはいかない。
戦闘態勢に入る前に食事などを済ませるつもり。
正面、西の空。水平線付近
の狭い幅だが夕焼け。大雨
の心配はなさそう。
2011/05/05 1800J
位置 25.53N/128.34E
針路 274度
風 WSW 風力1(風速2m)
天気 c、996hPa、323℃
波高 1m
セール None
2100rpm 機走
艇速 6.5Knot
まだ携帯はつながらないだろうと、携帯を見ると電気切れ。充電をする。今、
インバータの100V出力にプラグが鈴なり。このPC電源、航海用PC電源、イリ
ジウム電源、LED電球、カメラ充電器、携帯充電器、PC警報拡声用アクティブ
スピーカー、その他に髭剃りやiPadとiPod充電器が待機している。
戦闘前であるが、暇。休養を取っていたが、揺れが大きくなって様子見。うね
りが出てきた。
沖縄本土、南端、喜屋武埼向け変針、ナウ。喜屋武埼まで35マイル、6時
間。明日6日午前3時ごろ、宜野湾到着見込。
134
21時、パナマ船籍 Quezon Bridge 左前方から接近中。19.7Knot、高速貨物
船。現在、9マイル離れている。
8マイルに接近したのでコール。170mの大型船に、「注意してほしい、よけ
て欲しい」と言うのは申し訳ないが、お願いをする。もし右又は左へ変針する
必要がある場合は、指示をするように依頼する。
Quezon Bridge は、前を行きそう。
だが、かなり接近しそう。思わず。「アイ・ドー・スピードダウン。」を繰り
返し伝える。英語の勉強必要。
Quezon Bridge が2マイル近く離れて前を行く。「何を騒いでいる?」と思わ
れたかもしれないが、ヨットのコース表示が振れるので、どこまで接近するか
予想が付きにくく、その上、相手船が高速だったので不安を感じた。でも、早
めの声掛けは有効と思う。
今、船内は警報音だらけ。すべての機器とソフトが反応をしている。もう通り
過ぎているので危険は無い。通信中に衝突警報がけたたましく鳴っていたの
で、相手さんもその雰囲気を感じ取ったかも知れない。
暗闇の中に沖縄の海岸の町の光が見える。その光の上の空が明るい。町の向こ
う側にある那覇市の光だと思う。
ネットがつながっているのでアップが快適。この先、宜野湾まで衛星電話の必
要はないと思われる。イリジウムさん、お疲れ様でした。
昔、高校の音楽で和音を聞き分ける友人を見て目を見張った。私は全く区別で
きなかった。英語のヒアリングも苦手。そういえば人が出す音、すなわちお話
を聞くのも苦手?勝手に聞いて言い手と異なる理解をしたり、突拍子もないこ
とと関連づけて聞いていることがある。
このことを思うと、今更英語なんぞのヒアリングで悩むのは無駄。周りの人に
135
は悪いがマイペース。ここまでも少ない件数だったが、外国船に何の問題もな
くコンタクトをとることができた。一応、あらゆるケースを考えて、シンプル
で確実な申し入れしかしない、などの工夫をしているが。
AISに12隻の表示があり、その半分が停泊中。こんなに少ない船なのにどうし
て寄ってくるのだよー、と言いたい。今のところ、次の接近船はない。
コースが8度ずれている。右へ修正。沖縄南端の変針点まで16マイル。
6.7Knotで走っているので、2時間と23分。ちょうど2時の変針見込みとな
る。
11時半方向に、5秒の閃光が見
える。喜屋武埼灯台。星空で見
通しもよいので、くっきりと見
える。2時半方向に5、6秒間
隔で閃光2回。海図を見ると
Fl(2)6S 5Mとある、阿部王留島の
灯台。5Mは5マイル先から見え
ることを意味する。40mなど、
灯台の高さを表記することもあ
る。
より安全な航海は、GPS、海図、実際の視認とそれらの組み合わせ。一番恐ろ
しいのは、思い違いや間違った思い込み。これを防ぐためには過労と睡眠不足
をしないこと。でも、いろいろあって、「言うは易し、行うは難し」。
レーダーの接近警報。2.5㎞先に影。これから船内の電気を消して、暗くして
注視。
1.5㎞まで接近したが、灯火などは一切見えない。0時のLOGタイムになった
が、緯度・経度だけをログブックにメモして後回し。500mまで接近して大き
くよける。
500mまで接近すると明かりが見えた。仕掛けの浮標。20度右に変針し真横
136
250mを通過。元のコースに戻す。
今度は正面3㎞にレーダー影。灯火を双眼鏡で確認すると小型の漁船。舷灯は
緑が見えるが動いている様子はない。1㎞まで接近して左へ20度回避。1㎞
横を通過して元のコースへ戻す。どうしてこうも真正面に出現するのだろう
か?
2度、3度、変針したが、明るい5秒の閃光が13時方向にあるからコースは間
違いない。GPSプロッターも次の目標ポイントへ正しく向かっていると表示さ
れている。次の変針点まで10マイル。
2011/05/06 0000J
位置 25.58N/127.50E
針路 292度
風 W 風力1(風速2m)
天気 b 998htp、24℃
艇速 6.7Knot
キャビンの中は熱く扇風機が回っているが、そのまま外に出ると寒い。いちい
ち上着をひっかけるのも面倒。服装も小笠原行の時は重装備で、休息の時も靴
とメガネを付けたまま休んでいたが今は半ズボン、シャツ姿。靴下もはかず、
裸足。南国へ来たことと、変化が緩やかで対処に余裕がある点が前と違う。
右少し下10マイルに、Tenryu Maru がいる。アン5と陸の間へ割り込んでくる
角度で進んでくる。喜屋武埼を回る当艇と同じコースと思える。今後、注視。
Tenryu Maru の目的地はJP KGU 明日6日、6時半到着となっている。那覇や
宜野湾付近かその先と思うが、KGU?どこだろう。
今から40分後に、アン5は右へ舵を切る。タイミング悪く、このTenryu Maru
の直前でかぶせるようにならないことを願う。
Tenryu Maru に向かって、VHFで呼びかけ「貴艇左前方の小型ヨットアン5で
す。確認いただいているでしょうか?」、「当艇は25分後、2.5マイル先で右
137
方向へ50度転舵する考えです。貴艇の動静を教えてください。」
「当艇は、10分後に、275度に針路変更
します。貴艇は本艇の後ろを行ってもら
えますか?」「わかりました、ヨットア
ン5は、貴艇の後ろを行きます」「で
は、さようなら」
2つのAISソフトから警報。「1.5分後
にミートする!」。AIS画面ではTenryu
Maruと現在平行して走っている状況
で、即座に危険があるようには見えない。計画通りあと0.5マイル行って、変
針する。正面の白い灯標が気になる。
変針完了。Tenryu Maruは、2マイル先で275度に向かっている。渡嘉敷、久
米島の方角。アン5のコースはそれより右。那覇港方面。
気になった灯標の閃光は、や
はりルカン礁。一旦、ルカン
礁方向に5マイル向かった
後、ルカン礁と本土側トコマ
サリ礁の中点で、次の目標に
向かう計画になっている。そ
の変針点まで4.15マイル。こ
のあと42分後、2時59分ご
ろ変針点に達する見込。タイ
マーをセット。
これから進むルカン礁と本土側トコマサリ礁の間は4.4マイル。その先、シー
ビシの無人島と本土側大瀬の幅は4.2マイル。それぞれの中点を結ぶ線を計画
航路としている。
138
最初の中間点に向かうコースがルカンに向かう感じになっている。少し落ち着
かない。あと30分。GPSの画面と緯度経度で確認している。こんなところでエ
ンジンが止まったりすると大変。ヤンマー君、オーパ君ガンバって!!。
2度、方位を修正。エンジン音が飛行機の着陸の時の音に聞こえる
まだ、変針までに20分ある。間違いや考え違いがないか、確認を繰り返す。
念のために、GPSプロッターに入力して緯度経度を海図上で確認する。間違い
はない。
あまりにルカン礁の白灯標が接近してくるので、予定の15分前で次のポイン
トへ変針。
今使っているGPSプロッターにはこの地区の詳しい地図データがない。ルカン
もなければ、この先の無人島も載っていない。だから余計心配になる。
変更したコースは那覇空港の左に沿って走る。変更した分だけ岸よりのコース
になった。ここで、岸からもっとも飛び出しているのはムーキという岩礁。シ
ョートカットコースが、その岩礁に1.6マイル(3㎞)まで接近する。出来る
だけ右へコースを外さないように行く。
着陸に向かう飛行機のエンジン音が、頭に浮かぶ。少し回転を抑え、微妙にコ
ントロールされたエンジン音。今のアン5の姿。ただし、エンジン回転は落と
していない。巡航速度の2100rpm。
次の変針点まで1時間以上ある。空が白ずんで来るころそのポイントに着く。
今、ルカン礁の白灯標の真横を通過している。灯標の光が強く、間近にあるよ
うに見える。しかし、レーダーに出ている点がその灯標なら十分先、7㎞先に
あることになる。光までの距離感はわかりにくい。
アン5は自分が今どこにいるかの情報をAIS電波で3秒ごとに出している。布
139
施田水道付近を航海すると必ず名古屋保安か又は伊勢湾マーチスから、定置網
がありますよとか浅瀬に向かっていますよ、などとVHFで声をかけてくれる。
沖縄でも見られているのだろうか?
今取っているコースも気味が悪い。この先の無人島群チービシの東の島、神山
島の灯台が正面右にはっきり見えている。その3マイル前で右に転針するのだ
が、先ほどと同じストレスを感じることになる。夜間航海の宿命。夜間航海は
灯台を見つけやすいメリットもあり、一長一短。
今、現在のアン5の動きを見ることができることを思い出した。
http://ja.aprs.fi/?call=yacht%20anne5&mt=roadmap&z=11&timeran
ge=86400
過去のデータを見ることもできる。ただし、AISのPCが岸近くでネットにつな
がる間だけ記録が取れるが、外洋に出ると記録できなくなってしまう。
午前3時を過ぎた。空港沿いに船があって接近警報が鳴る。釣り船か又は空港
の警戒船。昨年の夏、このあたりで、拓央君家族が東京へ帰る飛行機と名古屋
へ帰るヨットアン5をお互いに見送った場所。
あと10分でここを抜け、宜野湾マリーナへ向かう。宜野湾マリーナは大きな
広いリーフの奥にあるため、進入路が狭くわかりにくい。「最初の赤2号浮標
を探すこと」これがポイント。順調に行けば2時間後の6時過ぎに入港でき
る。
エンジンとオーパに信頼がおけるので、しばしシングルであることを忘れる。
今も一瞬忘れていた。あと4分で変針。
<夜明け待ち航海>
夜が明けてこない。進入口まで半分行ったところで暗い場合は、デッドスロー
で時間待ちとなる。明るくならなければブイは探せない。
思い出した!!名古屋と沖縄は経度が10度違う、そうすると名古屋より40分
ほど日の出が遅い。ならば日の出は6時ごろ。船を流して留めるわけにもいか
140
ないので、回転を1200rpmに落とした。そういえば、沖縄の夏は朝が遅くて
夜が長かった。
宜野湾マリーナを前に日の出待ちの時間調整中。
宜野湾までの夜明け待ち航海は2.5Knotという超スローだった。周辺には船も
なく、オーパで確実な目標に向かっているので、さすがにこのスピードでは衝
突の危険は少ない。たっぷりある余裕の時間、船内整理をし、衛星電話の解体
や梱包をするなどした。
<宜野湾マリーナ入港>
宜野湾入り口の2号赤ブイは容易に見つかった。赤の点滅があったから。去年
は昼間しか入出港しなかったことと、不慣れで赤ブイがなかなか見つからなか
った。しかも、昨年GPSプロッターに入港航路の変針点がWP(ウェイポイン
ト)としてマークしてあったので、さらにわかりやすい。
宜野湾マリーナ入口付近のブイが、昨年は流出や移動していて神経を使った
が、それらがなくなっており、かえってシンプルでわかりやすくなっていた。
私も一瞬間違えそうになったが、「お隣の牧港への進入案内に従って入り、途
中でマリーナへの案内ブイに従う」ことを知ることが、宜野湾マリーナへ進入
のポイントと思う。
雨雲が垂れ込めていたが、風もなく誠に穏やかな入港。これで2100rpm?と
思うぐらい、ヤンマー君、静かで快調、絶好調。
一時的な係留と思ってフェンダーも出さずにビジターバースへ近づく。人気は
無いと思っていたら、遠くから駆けつけてくれた人がいた。アン5はシングル
の着岸が原則なので、スプリング一本で船を留め、微速前進と舵で調整して船
を静止させ、それからゆっくり係留作業をする。
南大東島では漁師のAMさんに「変わった船だなー、係留索の準備なしで接岸
している」と思われたそうだが、あの時は数人の人にお手伝いしていただき、
141
中の一人は船に飛び移って係留索を準備してくれたぐらいだった。
遠くで見ていて走ってきてくれたのは中国系アメリカ人。今日の午後、石垣を
経由して台湾、その後香港へ向かうそうだ。いろいろ情報交換、といっても彼
は日本語ダメ。一人か?女性の友人は居ないのか?探さないのか?・・・、と
私に聞く。
事務所が空くまでに1時間以上あるので立ち話。最初は、私にガールフレンド
を紹介しようとしているのかと思うぐらいだったが、どうも“船にはガールフ
レンドが必須”を鉄則にしているようだ。
彼は、あとで事務所のフロントで会った時、地図を見て、これまでとこれから
の航跡を教えてくれたが、そのとき近くでネットを見ていた人が彼のガールフ
レンド。仕事をせずに世界中を回っているようだが、何で食べているか聞きた
いところであった。
彼は今日の午後出て、まずは隣の浦添港に向かうという。理由はマリーナの燃
料代が高いから浦添給油。超リッチマンではないようだ。リッチマンでもこの
価格差は敬遠したくなるのは確か。
柵の上を犬を連れて散歩中のヨットマン。「コインランドリー、この辺にあり
ましたっけ?」と聞いたのがきっかけで名刺交換。横浜のMUさん。大型エリ
アは満杯だと思う。「小型エリアに入るなら私の隣が良い、見に行こう」と言
って案内していただく。
かわいくて楽しそうなMUさんのタグボートがあり、その横が空いている。
「小型バースなら、ここ希望と事務所へ言います。そうなった場合はよろし
く」、と言って一旦別れる。
MUさんは、後で本人と話して分かったが、39フィートの居住用ヨットとタグ
風ボート、優勝実績豊富な大型レース艇などのオーナー。
船に帰るとSMさんが見に来ておられた。「昨年、日本一周で八戸を訪問した
とき、盛さんに会って、アン5の紹介を受けた。是非志摩を訪ねるようにと言
142
われた。それと石川さんのブログを見て、宜野湾に入ることは知っていた。」
とのこと。
SMさんはしきりに「すごいですね」と言われる。小笠原というと、是非とも
行きたいと思うが簡単にはいけないと思われるそうだ。「小笠原行は、一種の
ステータス的な評価もある」と言っていただき、リップサービスとしてもうれ
しい。
回航屋さん的航法で少し恥ずかしい面もある。ヨットマン10人に聞けば10人
が、行った先々でおいしい物をいただき、温泉に入り、ゆっくりするものだと
言う。ヨットマンに限らなくても、誰でも言う。
出航して12日半。小笠原と南大東島でおいしいものをいただいたし、温泉は
無かったが小笠原では、民宿のシャワーも浴びた。(12日間、ノーシャワー
だったわけではない。入港前には船内でシャワーをした。)
両島とも、知り合った方のお世話で観光もした。短い時間だったが観光客の何
倍かの中身だったと思う。どうも、こんなヨットの航海スタイルがあってもよ
いのではないかと、少しずつ思えてきている。
船を移動する前に、寝袋とヤッケをそれぞれ2枚、クリーニング店まで運ん
だ。「カードがあるか」と聞かれ、「カードは無いが、お願いしたことがあ
る」と言ったところ、レジを操作して、「駒井さんですよね」と言われた。
登録した電話番号052が、092になっていて、今修正をしたとのこと。帰り
道、考えた。一致しなかったら跳ねるのがコンピュータの世界。この番号の間
違いではないの?とレジが聞いたらしい。良くできたレジだ。
クリーニングの隣は24時間スーパー“ユニオン”。陸電が来ていないので冷蔵庫
が動かない。このため、つまみも氷も買えない。ユニオンで気になったこと。
定番の「ここはユニオン・・」のコマーシャルソングが流れていない!昨年、
孫たちとの沖縄滞在中、毎日通っていたのですっかり家族に定着した歌。これ
を楽しみに来るほどなのに、ひょっとして24時間営業をやめた?もしそうな
143
ら、私たちと孫にとっては衝撃的ニュース。しばらくして、CMソングが始ま
ったので一安心。
船を移動した後、AMさんに名刺を持って来ていただいた。AISをSMさんにお
見せした。昨年、アン5も函館でお世話になったKMさんがこの前宜野湾へ入
港したが、その船にも搭載してたとのこと。SMさんもぜひAISを搭載したいと
言われる。
先程訪問したMUさんの船にもアン5と同型のAISがあったが(未接続)、外洋
に出るすべてのヨットがAISと国際VHF無線の活用をするようになることを予
感した。
SMさんは地元のセーラー。困ったことがあったらいつでも電話を掛けるよう
に言っていただいた。
8時過ぎ、事務所に行って3か月の係留手続。ハンコがないからなど若干の議
論もあったがまずは完了。沖縄ヤンマーが市から委託された経営形態で一種独
特。お客様視点が大いに欠けているが、ヨットマンは柔軟性が高いので、それ
ならそれで各人生きる道を考えて、うまくやっている感じ。
小型艇のバースの先端にL字型に使えるバース(ポンツーン、船を止める場
所、浮桟橋)があると聞いて、係りの人と見に行く。横風で船の後部が桟橋に
押し付けられるが、マリーナの奥でしかも目の前は大きな水域。飛び込みやセ
ーリングカヌーに乗るにも最高の位置と思い、決定。
そこに仮係留しているボート2ハイをどけるようにオーナーに電話をしてくれ
るとのことで、空いたら連絡をもらうことに。
MUさんに状況の電話をするが留守録。その足でMUさんの船を訪問。どっし
りしたいい船。瀬戸内海でホテルが所有していたものとか。目利きのMUさん
を感じさせる。仕事を中断させ、その上お茶までいただいて話し込む。
船のメンテをしながらのヨット生活。望まれて、メンテした船を譲る。目利き
とお人柄で、正に、いい船との縁が続く。といった感じ。
144
待っていたら、「バースが空くのは明日になりますよ。」と、宜野湾流を聞
き、事務所に電話を入れるとともに、運んでしまっていいかを再度現場確認。
離れたポンツーンと事務所は往復1㎞もありそうで、ハーバー内の行き来は大
変。
MUさんやスタッフは自転車移動。スタッフに「借りる自転車は無いか」と聞
くと、「自分も警備で借りている、貸してくれるのではないか?」と言われ
た。あとで警備の人に聞くと、「そういった自転車はない」という。これも宜
野湾流。失望の連続なので、些細なことでお願いが通ると感激しうれしく思う
のも宜野湾流。
船を移動して係留作業を始めると、3人のスタッフがボートの移動に来る。平
日にオーナーが駆けつけるとは思えないが、もしそのままになっていたら、週
明けまでバースが空かなかったのかもしれない・・・、ということもないとは
思うが。
MUさんに風の向きや台風に配慮した係留方法の指南を受けて、作業開始。係
留索は30mから13mまでそれぞれ2又は4本。合計16本程度搭載している。
もっと長いのがあったはずと思ったが、以前取扱いが面倒なので必要ならつな
げば良いとしてカットしたことを思い出す。
最も強い風は北。その次は南と聞いて、北には係留索を4本重ねる。係留する
クリートの位置と船の長さ、ロープの組み合わせがうまくいかず難航した、途
中で話に来られたKKさんも手伝ってくれて、仮組み完了。
様子を見に来たMUさん自ら調整に取り掛かっていただく。なるほど仮の時は
なんとなく船がふらふらしていたが、調整後は見違えるほどきっちり収まっ
た。沖にアンカーを打っておく案もあったが、まずはこれで本締め作業に入
る。
KKさんが宜野湾へ来て聞いた台風対策は、① 対岸からロープを取る、② ジブ
セールはファーラーから外す、だったとのこと。アン5の場合は、対岸が遠す
ぎてロープは取れない。ジブセールは一旦出して巻直しをして、手の届く範囲
145
で開かないように縛って置いた。
最大の作業、係留が終わった。台風が来て損害が出ても保証しないとの誓約書
にもサインした。すべて自己責任。いささか疲れを覚える。
昨日の夜から寝ていない。食事も、朝、宜野湾到着後、クラッカーとリンゴを
食べたのみ。後は、明日、洗濯ものをまとめて発送するだけ。午後5時、まず
は寝ることにした。
昨年、急遽自作した、宜野湾用特製電源プラグが、このバースでは使えないこ
とを知り。専用アダプターを、MUさんにお借りした。おかげで、エアコンも
入り、ぐっすりと寝ることができた。
良く寝た。7日、午前4時、ナウ。ぐっすり、よく眠れた。11時間。南大東島
からの36時間。雨雲に反応するレーダーの断続的な接近警報に悩まされ、良
く仮眠できなかった。昨晩はいささか眠気と共の航海だった。
146
7台風対策と
慶良間諸島クルーズ
<宜野湾での台風対策>
宜野湾へヨットを置いて帰ってから、三重、志摩ヨットハーバーへの帰路に着
くまで3か月の期間があった。この間、台風対策、航行区域臨時変更検査とシ
ョートクルーズ、孫の臨海学級、家族旅行など、3回の沖縄・宜野湾訪問があ
った。
最初に船を置いて帰った5月8日の日曜日は、ゴールデンウィークが済んだ週
の日曜日。翌月曜日から会社に出勤。2週間ぶり、連休があった関係で6日間
の休暇だった。
昨年の同時期も船を3か月ほど宜野湾へ置いたが、この間はもちろん、その後
も台風の襲来は無く、地元の人もこの数年、大きな台風は沖縄に来ていないと
話していたので、あまり台風の心配はしていなかった。しかし、名古屋へ帰っ
て3日目、台風1号の沖縄接近がネットやテレビで報道され始めた。
宜野湾で船を留めた場所
は、櫛状になったポンツー
ンの内側ではなく、臨時係
留用の沖に面したポンツー
ンで、その沖側に右舷着け
してきた。一応、台風対策
として持っているすべての
ロープを使い、船首はロー
プを4重にするなどしたも
のの、左舷側から吹かれた
ら、船の右舷がポンツーンに当たり、損傷を受けると思われた。
5月10日(水曜日)、台風対策で再び宜野湾へ向かう。航空券はシルバー割
147
引が利用できるので助かる。あらかじめ現地の船具屋さんに電話で、14mmの
ロープ200mを船に届けておくように依頼。夕刻、宜野湾へ到着し、私と同じ
ころに福岡から宜野湾マリーナに入ったKKさんに手伝ってもらい、早速、台
風対策。
デッキに積んであるセーリ
ングカヌーを下して、ダン
ホースアンカーと120mを
2重使いにしたロープを積
んで漕ぎ出し、沖にアンカ
ーを打って、左舷スターン
(船尾)に結んだ。これ
で、強風が吹いてもポンツ
ーンに船が押し付けられな
いはずとなった。
5月11日お昼に、台風1号が通過した。小型の台風で勢力も弱く、アン5も
その他の宜野湾マリーナ係留艇にも、損傷はなかった。
翌12日からはマリーナ係留艇オーナーのみなさんとの情報交換。13日、台湾
から来たグループの歓迎会があるからとMUさんに誘われ参加。MUさんがお
世話したスペイン製の大型レース艇を、台湾の10人のグループが購入し、操
船を練習して台湾に回航するとのこと。
台湾のヨットマングループ
の歓迎会は大いに盛り上が
った。2次会、日本人だけ
の3次会、そして野菜たっ
ぷりの沖縄そばでしめくく
りとなった。
148
台湾グループのトレーニング見学
台湾グループトレーニングの先生は、アメリカズカップの日本挑戦艇の乗員だ
ったニッチャレメンバー。この豪華布陣での訓練航海への同乗をお願いして、
参加決定。
翌朝、まず艇を係留したままスピンの練習。しばし桟橋から見学をする。台湾
メンバーは何しろ熱心、盛んに写真を撮り、メモをする。でも、この化け物の
ようなレース艇をレンタルヨットでのクルージング経験のみのメンバーで本当
に乗りこなせるのだろうかと一抹の不安も禁じ得ない。
一通りの係留中の模擬練習
を終えて、出航。走る!
3m程度の風なのに、適度
なヒールで5~6Knot。
さすが世界的レース艇。
ニッチャレメンバーのかっ
こいい適切な指導で、スピ
ンもめきめき上達。最後の
レグでは台湾グループだけ
でジャイブも難なくこな
し、グループメンバーの熱
意と根性に脱帽。
夜、お向かいのSKオーナーとクルーの(そしてその後オーナーとなられた)
149
NTさん、そして福岡のKKさんとアン5で飲み会。翌朝、15日日曜日に名古屋
へ帰る。
<台風2号襲来>
その後、台風2号が1号と全く同じコースで沖縄を襲うことになった。米軍の
台風情報では、瞬間風速75m、2日後に宜野湾の左をかすめる予報だった。
今の係留場所では持たないことは明白だったが、仕事で対処に行くことはでき
ず、現地の伊藤さんに依頼をした。
伊藤さんは、アンカーを上げ、船をハーバー内側の小型艇用バースに移動し、
十分な固縛をし、「これで損傷が起きたら仕方ないですよ」と連絡をくれた。
台風通過後、無事だったとの連絡を受け安堵した。相当に吹いたと聞いた。前
回の台風対策で200mのロープを現地で調達したのが役立った。
<台風2号から1か月後>
6月25日土曜日早朝、台風5号が沖縄の西を通過中。その日は宜野湾へ向け
て出発予定の日。今回の宜野湾行は、この台風対策ではなく、三重県へ帰ると
き、太平洋を一直線で航海できるよう、臨時に近海免許に変更してもらう検査
があるため。ただし、今日、飛行機が飛ばない可能性もある。
馬場さん予報で、那覇は南の風20m、瞬間風速35m、とある。飛行機の巡航
速度は800㎞/h、時速200㎞で滑走路に着地するとして、風速に換算すると
55m。200トンからの重量があり、着地スピードの半分の瞬間風速でひっくり
返ることもなかろうと、空港に向かう。
ANAの一便は欠航。JALは飛ぶと言う。場合によっては、那覇ではなく鹿児島
か宮古島へ着陸することがあるとの案内。私の場合、最悪、月曜日の朝着けば
よいので、カウンターへ向かう。午前中の便は満席で、すでに20人ほどの空
席待ちがあると言う。これも良しとして空席待ちコーナーで待機。
一便の出発間近、カウンターで聞いてみると、私の前に一人いて、その人が乗
らなければ、私が搭乗できると言う。しばらくその人を呼びだすが現れず、急
150
遽搭乗券が発行され、何とか席料千円を追加してチケットを受け取り、搭乗口
へ急ぐ。
もう出発時刻。先に若い女の子が2人、走って搭乗口に向かっている。明らか
に遅刻組。そのあと私が搭乗したので、乗客の冷たい視線を一身に受ける。
「空席待ちだった!!女の子と一緒にするな!!」と叫びたいところだがそれ
もできず、いささか残念。
20人の空席待ちは何だったのだ?!でも(ANAではなく)JALを選んだこと、
迷わず空席待ちを選んだこと、好判断の結果に、ほのかな達成感。それにして
も台風のさなかに満席で沖縄へ向かう人々。台風情報は見ていないのか、それ
とも簡単に予定の変更はできないのか?
昔、台風で飛ぶ飛ばないと言っていて、鹿児島空港から離陸したことがあっ
た。離陸後、無重力を感じるほど揺れて機内騒然、悲鳴が聞こえたことが
あった。この経験から相当の揺れを想像していたが、さすが200トン(ぐら
い?)。着陸態勢に入ってしばらくの間の、普通の強めの揺れで終わってしま
った。
飛行機から見る那覇沖の海上の波は、南の風が本島の陰になっている関係で、
15mクラスの白波はあったが大きな波やうねりはほとんど見られない。着陸時
の飛行機に当たる風も、本島のブランケット(島影などで風が弱くなる現象)
になったのだろう、揺れも少なかった。
こんなことなら、ANAの一便も欠航しなくてもよかったのにと思ったが、機
材のローテーションがうまくいかなかったのかもしれない。
沖縄は時折強い風と雨。空港から濡れずに乗れるバスは26と99番経路。終点
のコンベンションセンターまで一人旅。他に乗客はいない。席で短パンに着替
え、合羽の準備をする。
マリーナの最寄バス停を降りると大雨。バスの中で荷物を背負って合羽を着て
みたがとても前が合わないので、仕方なく合羽を着てから前にリュックを抱
き、超小型折りたたみ傘で主にリュックをカバーして歩き始める。10分ほど
151
でマリーナ事務所。
マリーナ事務所はいつものように無関心ムード。数人のスタッフがいて、「コ
ンチワー」と声を掛けるが、横目でちらりとこちらを見るだけで、声をかける
人もいない。
先週、我が三重県のホームポート志摩ヨットハーバーでJ24を借りてクルート
レーニングをした。船が沖縄だったから、クルー訓練を小型レース艇で行っ
た。2日連続のため、ハーバーの宿泊施設に泊まったが、部屋の前でリネンの
おじさんに会った。
我がホームポートのリネンのおじさんに「いらっしゃいませ」と言われた。こ
の言葉、このハーバーへ来て15年初めて聞いた言葉ではないだろうか?「ハ
ーバーを使わせてあげている」。日本のほとんどのハーバーがこの姿勢。蒲郡
の名門ヨットハーバーラグーナの受付の女の子はどうだっただろうか?思い出
せない。
事務所にリュックを置いて、まずは船の確認に行く。台風5号で瞬間風速25m
ほどの天候だが問題はない様子。小型艇2ハイ分のバースの真ん中に留めて
あるので、引き寄せるのにいささか工夫がいる。全部で31本のロープ。当艇
は、細いロープをダブルで使うのが流儀なので本数が多くなる。一部、負荷の
かかりそうなところは4本使いになっている。
宜野湾のお仲間の話を聞くと、1か月前の台風2号は相当強かったようだ。地
元の80のおばあさんが、「こんな大きな台風は初めて」と言っているとか。
たくさんの船が30度以上ヒールして船体やトウレール(船の周りを囲う穴の
空いたアルミ材)を痛めていた。駐車場のワゴン車も横転したそうだ。
ポンツーンで30度以上ヒールするとフェンダーが当たらなくなり、トウレー
ルがポンツーン側の蒲鉾型のゴム材をしゃくってしまい、残ったボルトが当た
ってトウレールとハルを壊していた。
アン5も、ポンツーンに当たることはなかったが船内は45度以上傾いたであ
ろう状況。嵐の当日、マリーナの船に泊まっていた人は生きている心地がしな
152
かったと話しているそうだが、確かにそういった状況では、ゴリゴリ音が聞こ
えてもロープの増し締めなどはできるはずもなく、悲惨な思いで正に運を天に
任せていたのであろう。
機帆走を示す円錐標識がズタズタ。レーダー用ポールのステーのターンバック
ルが飛んでなくなっている。アンテナポールが抜けてしまった。などの被害が
あるが、アン5に大被害はない。ジブセールも取り外して船内に格納してもら
っていて万全の台風対策、伊藤さんに感謝。
台風5号の風が幾分収まった夕方7時ごろ、ヨット仲間のKKさんとラウンド
ワン1階の飲食店”ごまいちご”へ行く。予約一杯で8時半までの限定で飲み始
める、8時過ぎてもほとんど客がいないので延長できるだろうと見ていたら、
8時半には満員に。やはり日の入りが遅い関係で、沖縄の人は遅めの晩ごは
ん?
翌26日、朝からアン5をがんじがらめに固定した30本を超えるロープの整
理。13mから60mの長さの多数のロープを組み合わせて、ダブルか又は4本
合わせで使われている。台風襲来を前に艇を移動し固縛したので、大忙しだっ
た様子が分かる。
まだ台風5号の強風が結構吹いているので、船がポンツーンに当たることがな
いように慎重にロープをほぐし、シンプルな固定に切り替えていく。結局、一
日がかり。夕方、KKさんとNTさん、NTさんの友人の方に手伝ってもらい、ジ
ブセールをセットする。明日からの慶良間諸島の島めぐりへの準備が進む。
夜は、KKさん、MUさんとアン5キャビンで食事。
<慶良間諸島へ島めぐりクルーズ>
6月27日、台風も去り、曇り。KKさんと慶良間諸島、座間味へ向け出港。写
真は今朝、確認した海図。矢印が宜野湾マリーナ。左の島々を巡っているの
は、去年HGさんとクルージングしたコース。チービシの無人島の間を抜けて
いる。海図の下へ伸びる航路は、昨年夏、宜野湾から文雄君とダブルンハンド
で三重県志摩ヨットハーバーへ向かった航路。
153
今回のパートナーKKさん
はセーリング派。乗ってお
られる船も40フィートの
レース艇。福岡から沖縄、
この先、遠洋免許を取って
石垣や台湾へ向かうと聞く
が、レース艇をシングルで
走るベテランセーラー。写
真は宜野湾に停泊するKK
さんの船。
順調なセーリングで、15
時には座間味港着。KKさ
んが、知り合いのOSさん
に港外から電話。連絡船の
桟橋で迎えていただく。
17時に連絡船が入るので
一旦桟橋から離れ、連絡船
が出たら明日の朝までこの
桟橋を使ってよいとのお
話。
OSさんは、ヨットマンで地元の議員さん。毎年行われる座間味ヨットレース
やサバニ帆漕レースの立役者ではないかと思う。
5時過ぎ再びOSさんが来られて、島内観光案内に連れて行っていただく。見
晴らしの良い展望台4カ所を見る。雲が出て少し見通しが悪かったが、きれい
な海岸線、街並み、遠くに見える島々など景観を堪能した。
夜は、その昔今は亡きお父さんがヨット
マンだったというお店「シーサー」で、
漁協のIMさんも参加して飲み会。泡盛
飲み放題1000円! 「港の西に阿真ビー
チがあり、浮かんでいると、おなかの下
154
をウミガメが泳いでいく」、「時にそういうことがある?」、「必ず見ること
ができる。しかも、そこには、村営のコテージがある!」
この話を聞いて、今年の夏の家族イベントは座間味に決定。コテージでのバー
ベキューの材料調達をコテージ隣接の糸嶺商店さんに依頼することも即、決
定。再訪を約束して宴を終える。
港近くの一泊3000円の民宿で素泊まり。KKさんから船で寝ようと言われた
が、暑さに弱い汗かきの私の希望を聞いてもらって、民宿。
6月28日朝、座間味港、出航。そのまま南下して同じ座間味の阿嘉島へ船を
入れる。入港前に連絡船の出航があり、出船優先で港外で待機。
港の中を一周するが何もな
く、ぐるっと回ってそのま
ま出航。さらに南下し、慶
良間諸島を抜けてから、久
場島を時計回りで回って、
15マイル先、慶良間諸島
の北にある渡名喜島へ向か
う。
<渡嘉敷島へ>
3時間ほどで渡名喜島に接
近、写真は渡名喜島の西
側。立派なごみ焼却所が見
える。この後、昼過ぎに渡
名喜港へ着艇。
何もない、島の人は誰もい
155
ない。工事の人がぱらぱら。漁協のお昼休みを待って訪問、格好の係留場所で
ある「浮桟橋を一晩使ってよいか」と聞くが、「漁師が船を付けるからダメ」
と言われ、連絡船の桟橋のすぐ横を指定される。
ネットで見ると、島には民宿が3軒。今日の宿を頼むが、すべてお断り。どこ
も、工事の人で一杯と言う。工事の人に聞くと、「部屋は空いてるよ。」得体
の知れぬ客?、ヨットと言えばさらに得体が知れぬと思われる?そういえば、
港にヨットがいない。
港に、そして島にヨットが1パイでもあれば、島の人も見慣れた景色となり、
違和感もなくなり理解も進むと思う。そういえば、阿嘉島でもヨットでの近寄
りがたい雰囲気を感じたが、やはり港内にはヨットは浮かんでいなかった。
この港「水の色が違う」とKKさん。水はきれいだが砂で濁っている?
暑さと雰囲気で島を散策する元気も出ず、島のメインストリートの奥のお店
で食料を調達。敷地を掘って沈めてある家が何軒かある。この島独特の台風
対策。漁協の製氷所にある自動販売機で氷10Kgを2回買う、全部で200円。夕
食、そして早々に就寝。
写真は、翌朝、日の出
前、離岸直後。3階建て
の製氷施設が見える。釣
り船の数にしては施設が
立派?どこの漁港にも製
氷所はある。必要なのだ
ろう。
6月29日18時過ぎ、宜野湾へ帰港。上りのセーリングとなり、タックを繰り
返したので時間がかかった。写真は、今回の慶良間諸島「島めぐり」の航跡。
夏休みの下調べクルージングとしては大きな成果を得たと思う。
156
6月30日は台風対策。宜
野湾マリーナでは、大型バ
ースが空いていないので小
型バースに係留。万全の係
留をして、名古屋へ帰る。
157
8孫や子供と座間味を満喫
<孫たちと座間味へ>
私たちの孫は6人。 一昨年は志摩で、昨年は宜野湾で、小学生の孫を対象に
臨海学級をした。志摩ではハーバー内の樹木調べやプランクトン観察、水泳や
ヨット操縦もあった。宜野湾ではリーダー研修を狙ったが、途中から幼児が参
加したので、短期間となってしまった。
これまでの2回は小学生2名。今年から下の子が2人とも小学生になった。1
年生になった子は、当然今年から臨海学級に参加できると思い、早くから期待
していたので、私たちも承諾した。だから、今年は6、3、1、1年の4人。
私とマネージャーは先に沖縄へ
行って準備。7月26日、東京
から小学生4人が那覇空港に到
着。
ピアノの発表会など高学年にな
ると行事も多く、日程が合わ
ず、去年まで臨海学級は一週間
だったが、今年は家族と合流す
る日までの中3日間だけ。
到着した夜は、ラウンドワ
ンのココイチで夕食を簡単
に済ませ、ヨットに行っ
て、早めの就寝。6年生の
レミちゃんだけは少しだけ
大人の時間を過ごす。
158
翌朝、那覇の泊港から高速船クイーン座間味に乗船。去年遊んだ無人島チービ
シを右に見た後、渡嘉敷島を左に見て、座間味港まで50分。夏のシーズンで
船内は満席。予約が無ければ乗れなかった。
座間味港へ到着後、タクシーでコテージへ向かい、着替えをして、すぐ前に広
がる阿真ビーチへ。ちょうど潮の引いた時間で遠浅。阿真ビーチは遠浅になる
ので子供向き、港の反対側の古座間味(ふるざまみ)は大人向きとのこと。
その夜は、糸嶺商店さんのお世話で鉄板焼きそばバーベキュー。糸嶺さんのお
子さん3人も合流して大にぎわい。前回ご一緒したOSさんと漁協に勤める糸
嶺さんのご主人の3人で飲む。子供たちは糸嶺さんの奥さんの蛇味線を聞いた
り習ったり。その夜は糸嶺さんの子供もコテージで泊まる。
翌朝早く、まだ他の子供が寝ている間に3年生の男の子ツッ君と私の二人で阿
真ビーチへ。潮が満ちていて立つことができない。シュノーケルをつけライジ
ャケを着て海に入る。少し沖へ泳いで行くと海底にウミガメ。海藻を食べてい
て、近づいても逃げない。
朝食は、「パーラとしちゃん」。一日中海で遊んで、夜は糸嶺商店でカレー。
子供たちが花火に興じている間も、大人は飲み会。阿真へ来たカヌーイストと
近くの民宿の客、そして糸嶺さんの4人で盛り上がる。私はもっぱら泡盛久米
仙のシークァーサ割りを飲む。
翌日、全員撤収して一旦宜野湾へ帰り、東京から来る拓央、研司夫婦と合流し
てから、再びヨットアン5で座間味へ来る予定だったが、台風接近予報を聞い
て急遽、予定変更。
台風9号の予報を見ると、どう考えてもお休み中に再び座間味に来ることは不
可能と判断。明日、那覇へ着いた後続部隊は、その足で座間味に向かうプラン
を考える。
しかし、正に今こそハイシーズンで島中満員。最初は高速船も民宿もコテージ
も取れない状況だったが、最悪、コテージの近くにテントを張って寝るなどマ
159
ネージャーの交渉と決断で宿を確保。キャンセルの隙間を縫って高速船の予約
も取れそうなので、東京メンバーに連絡。
お仕事最中の拓央君と研司君2人は夏季休暇に入る前日で、「今決めなければ
いけないの?」の反応に、「とにかく明日は座間味に向って!」と言って、連
絡。高速船や宿の確保をしながらの連絡で、一方的にならざるを得ない。
子供部隊も、1泊予定を急遽4泊に延長。子供たちは延泊に歓声! この時知
り合ったのは、お昼はコテージの管理、夜はお店を開くTMさん。親身になっ
てコテージの確保や変更、テントの手配をしていただく。
そして、この日は阿真のライフセーバー
のお兄さんにウミガメの話を聞いたり、
素早く走るカニを探したり、たたくと良
い音がするサンゴの石を一緒に探しても
らったり、一日、阿真の海を楽しむ。
<家族集合>
翌30日の午後、東京から
のメンバーも合流。大人6
人、子供6人、合計12
名、駒井家族、座間味に集
合。
160
<一家合流>
家族そろって早速、阿真の
海へ。潮が引いているとき
でウミガメ観察はできず、
遠浅の海で海水浴。座間味
で知り合ったヨット愛好家
ATさんが座間味において
あるカタマラン・ホビーキ
ャットとウォークボードを
お借りして阿真ビーチの海
上散歩を楽しむ。
夜は、糸嶺商店さん特別手
配のバーベキュー。糸嶺商
店さん夫妻の初めてのバー
ベキューサービスを心配し
て来訪したOSさんと、同
じく阿嘉の漁協に勤務する
仲間も合流して、大人たち
は大盛り上がり。子供たち
も肝試しや花火を楽しむ。
写真は、糸嶺商店、カツオの解体ショー。
翌朝、朝食前7時。阿真ビ
ーチの潮が満ちて、ウミガ
メの食事タイム。
161
時々息継ぎに海面に出るウミガメ。
ウミガメを真近にじっくり
観察した後の朝食は、「パ
ーラとしちゃん」。元気で
働き者のおばさんは陽気で
サービス満点。村中が7年
ぶりの大漁で沸き返る「ス
ク」も、昨日は酢漬け、今
日はフライで食べさせてく
れるとのこと。
食事の後は、みんなでそろ
って古座間味へお出かけ。
タクシーで15分。島に1
台しかないタクシーに電話
で予約すると、迎えに来て
くれる。いずれも近距離客
162
ばかりなので、数組待ちでも少し待てば来てくれる。ジャンボタクシーだから
12人も楽々乗れる。古座間味ではビーチのスタッフが記念撮影のシャッター
を押してくれる。
古座間味の海はきれいで魚
影多数。サンゴ礁には、数
えきれない種類と数の、大
小きれいな魚が群れてい
る。「まるで竜宮城のよ
う」マネージャーの感想。
お魚好きの駒井さんメンバーは、いつまでも海にいて戻ってこない。お昼を挟
んでサンゴ礁に膝が触るほど浅くなるなど、満ちた海も引いた海も、古座間味
の海を存分に楽しむ。
163
美しい海とお魚を満喫した
小学生3人は、バナナボー
トに挑戦。
「来年も、絶対座間味だよね、ここで潜ったら、もう他では泳げない
ね・・。」など、大興奮・大好評。
港に帰って、食事。迷わず、飲み放題の「シーサー」。迷わずというより、そ
こしか知らないし、ヨットつながりもあって今回、それ以外に選択肢無し。
最初ビールであと何人かが泡盛を飲みたいと思い、ご主人に話すと、「一人分
の飲み放題料金1000円で良い」と。最初のビールの量がたいていではなかっ
たので、OKが出たのかもしれない。
さあ、お開きにしようと思い、ジャンボタクシーに電話をすると。「もう晩酌
で飲んでるいるからダメ!」と言われて、愕然!!飲む前に「シーサー」のご
主人に確認して大丈夫と言われていたのに・・・。
結局、「シーサー」のご主人が車で送ってくれることに。「ドアーを閉めると
再び開かなくなるから、空いたままで走るが大丈夫!」と言われて、助手席の
1人を除いてワゴンの後部の荷物スペースに詰め込まれ、後部ドアーが空いた
ままで、ピストン輸送。
その後の訪問で、明るいときその車を見たら、いささか傷だらけの軽で、やは
り後ろのドアーは開けたままとなって駐車してあり、夜だったからあまり恐怖
は感じなかったが、昼ならいささかスリルを感じたことだろうと思った。
164
急遽予定を変更し座間味
へ来たので、コテージが
取れずコテージの庭にテ
ントを張った。臨機応変
で子供たちも喜び、費用
も安く大成功。ただし、
台風襲来予報で実際には
キャンセル続出のようだ
った。
座間味最後の日、高速船は満員で乗れず17時のフェリーを予約。夕方の出発
の時間まで阿真ビーチでウミガメとあそぶ。
<カタマラン・ホビーキャットでセーリング>
座間味で知り合ったATさ
んの船が阿真ビーチから古
座間味を越えて、安護の浦
まで行くというので、便乗
させていただく。カタマラ
ンはキールがないので、座
間味島と安室島の間の暗礁
も問題なく通過できる。
1時間弱で安護の浦に着き、上陸して浜をしばし探索。
お昼に帰って「パーラとしちゃん」で、沖縄そば。これがまたおいしい。昨日
お願いした、小麦粉を揚げたサーターアンダーギーもたっぷりいただき、たく
さんおやつに包んでもらった。
阿真ビーチのウミガメは人を恐れない。悠々と海藻をついばみ、数分ごとに水
165
面へ出て呼吸をする。ウミガメの上で見ているとすぐ目の前に浮かんでくるの
で、誰でもウミガメの甲羅に触ることができる。ひどい人は抱きつくこともあ
ると聞いた。
ライフセーブの人のことば。「若いウミガメはそれを嫌うし、親ガメもそうし
たことが続くとこの阿真ビーチに、来なくなってしまう。この浜へは休息と食
事に来るので、来なくなったウミガメは生きていけなくなる」 ツッ君と二人
でそうした話を聞いた。
ツッ君と納得して聞いたが、「どうして、注意看板を立てないの?」と聞く
と、「村役場には言っているのだが・・」。後で糸嶺さんに聞くと、「地元
の自治区で話し合っていますが・・」。「ツッくん、二人で看板を立てよ
う!!」。
名古屋へ帰って、幅1m20cmの注意看板を作って送った。浜の入口に古びた看
板の支柱があったので、そこへ取り付けができるようにビスもつけておいた。
「村が作った看板の残骸に取り付けるのはいかがなものか?」とか、「自分た
ち地元がデザインをして作りたい」などが聞こえてきている。
「村が作ろうが、自治区が作ろうが、看板を名古屋で作って送ります。デザイ
ンや合意に時間がかかるでしょうから、その間だけでも、先に送った看板を役
立ててください!」との趣旨の連絡をしたが、どうなったかわからない。善意
のお手伝いもいささか骨が折れる、というより、ツッ君にどう説明しようか悩
むところ。
写真は名古屋から送った注意看
板。阿真ビーチの入口に取り付
けていただいた。この後、現地
希望のイラスト入りの看板も送
った。写真は、後日、現地の高
松さんが送ってくれたもの。
166
きれいな海とウミガメとのふれあい。大感激を胸に帰りのフェリーに乗る。糸
嶺さんの子供たち全員とお母さんが見送ってくれる。岸壁を離れ港を出るま
で、手を振って見送ってくれた。いつまでも別れを惜しむ子供たちも、この素
晴らしい座間味の思い出を胸に刻んだことと思う。
2時間の航海、那覇の泊
港でフェリーを下船した
後は、手分けして、アン
5の確認、買い物、食事
の準備。夕方遅くから、
宜野湾で借りたウィーク
リーマンションでの食
事。国際通りで調達した
お刺身など豪華な献立。
こうして、残り5泊、4
日間のお休み後半が始まる。
167
<宜野湾で台風を過ごす>
翌2日の遊びの拠点は、マリーナに係留中のアン5。船から飛び込んだり、周
りを泳いだり、ポンツーンからでんぐり返し飛び込みをしたり、アン5に積ん
できたセーリングカヌーでレースをしたり、大騒ぎで楽しむ。ヨットからの飛
び込みは毎年の恒例で、高いところから子供たちの誰でもが飛び込む。
台風の接近で、夕方早くにマリーナ内の
船の台風対策が始まる。アン5も早じま
いして、台風用係留場所に移動。小型艇
のポンツーンの間に入れて、前と両サイ
ドをたくさんのロープで固定し、後部は
対岸からロープを取る。アン5の係留索
は14mmで他船より細い。扱いが楽だか
ら。強度が必要な場合は、2重、4重に
する慣わし。
夜、台風対策をした男性チーム3人はそ
のまま帰りに居酒屋で食事。3年生のツッ君もお酒の席に・・。女性部隊は別
のお店で食事。女性軍は通り道のビデオ屋さんで台風用のレンタルビデオを調
達。
8月3日は、レンタカーを借りて今回最
初で最後になるであろう観光。本島南部
の斎場御嶽とガンガーラの谷見学。ガン
ガーラ入り口のエイサーはロープで縛り
つけ、完全な台風対策モード。「さあ
ー、台風の元で、最も楽しんだ沖縄の観
光客になるぞ!」拓央君が宣言。
168
翌日4日は、朝から強
風。外に出たり、マンシ
ョンの屋上で、ひとしき
り台風風を楽しむ。マリ
ーナでは、風に向かって
幼児は立っておられな
い。
マネージャーはサプライズプレゼントを受けて、両奥さんとエステ。子供を連
れた男親は、強風吹きすさぶ街へ、買い物。まずは、昼食をとって、トイザら
スへ。今日から台風3日間の子供たちのお楽しみを確保。昨日準備したレンタ
ルDVDと合わせて、台風準備万端。
8月4日、夕食。風速20m、瞬間風速30m以上の台風通過中。
8月5日。馬場さん予報では、今日は
一日中風速30m瞬間風速50m。台風の
真っただ中、台風の動きが遅いので、
今日も昨日と同様の嵐。時々、5階建
てのウィクリーマンションが揺れる。
朝、ハーバーへアン5の様子を
見に行く。桟橋へはとても入れ
そうもない。駐車場に車をと
め、風下側の車の陰から船を見
る。ブローが吹くとマストが一
斉に傾く。アン5はひどいとき
で30度くらい、船によっては
もっと傾いている。傾いても、
アン5は桟橋に当たっている様
子はない。
169
マンションに帰って、午前
中は夏休みの工作。座間味
の海岸で拾ってきたサンゴ
で風鈴つくり。机に傷をつ
けないように段ボールを敷
き詰めた。駒井さん一家の
内職のよう。
お昼頃、ゆいレールもバスも止まっている中、近くのラウンドワンへ問い合わ
せ。電気が来ている間は営業すると聞いて、全員でお出かけ。駐車場から駐車
場なので、乗り降りに危険は無いはず、と予定の行動。
男性3人はボーリング。最下位
の罰ゲームは研司君。
子供たちとお母さんがそれぞれ
の部屋でカラオケ。男性軍3人
も子供と大人に分かれて合流、
カラオケを楽しむ。カラオケの
部屋からマリーナが一望でき
る。
夜、部屋に帰った頃が台風のピーク。部屋から見る表通りのすごさは半端でな
い。吹き付ける雨も強烈。
翌朝、8月6日の馬場さん予報は、午前9時23mの風、午後15時18m。今日
は、私を除いて全員沖縄を離れる日。もちろん、まだ飛行機は飛んでいない。
全員が夕刻の飛行機なので、ちょうど運行が再開する頃の出発、と楽天的。
この日の那覇空港は、配られたブルーシートで寝泊まりした人などで大混雑だ
ったと後で聞いた。東京への2便、名古屋への1便は、大幅遅れはあったもの
170
の何とか全便、その日のうちに飛び立つことができた。
沖縄に来て台風でホテルのプールにも入れなかったと空港で話す人もいたとの
ことだが、駒井さん一家は前半座間味、後半台風を存分に楽しんだ夏休みとな
った。
この後、8月8日に大トライアングル最後のレグを一緒に航海することになっ
た志摩のオーナー仲間橋本さんを迎えて、志摩へ9日出発の予定。
171
9帆走派のパートナーと
座間味・古仁屋クルージング
<再び、座間味クルーズ>
台風一過、ナウ。ではあるが、本州のようにカラッと来ない。曇りで、湿気が
多く、船内もべとべと。漏電でブレーカーが飛び、陸電気が来ないのも困った
もの。
猛烈な風に2昼夜さらされ
た。宜野湾マリーナ、ナ
ウ。船によっては40度も
ヒールしていた。アン5の
14mmロープ合計32本の
舫いは、かなり伸びている
が、艇の損傷はなかった。
(台風前の写真と比べると
分かりやすい)
台風対策、浮桟橋の場合はガリバー状態にする、ポンツーンから離す、痛んだ
ロープは使わない、ロープは張り気味、などを学習した。
浮桟橋ではなく相手が岸壁などの場合は、一艇身長以上のロープを使うのが望
ましいと思う。昨年、飯田港と渡嘉敷港で係留ロープを何本か切った経験か
ら・・・
8月8日、宜野湾マリーナ、ナウ。6時前なのに暗い。東京との経度の違いは
12度、したがって夜明けが50分ほど遅い。その代り日暮れが遅い。仕事が終
わってから海水浴をする人もいるようだし、明るいからといってうっかりして
いると思わぬ夜更かしになってしまう。
172
今日の予定は出航準備。台風で格納したジブの取り付けや、マストに巻き付い
たラ二ヤード外し、アマチュア無線(天気図受信を含む)とイリジウム、ネッ
トの動作確認。PC操作も一部忘れている。それに、買い出し。
台風通過中ジブファーラーにジブを巻いたままの船が数隻あったが、ジブファ
ーラーが開く船はなかった模様。ただし、ラ二ヤードなどでかなりしっかり開
かないように固縛してあった。
声をかけた船では、自作のソーラパネル架台が全損したそうだ。個別の船に
は、いろいろ被害があった模様。
お昼過ぎ、志摩ヨットハーバーのオーナー仲間橋本さん到着。近くのスーパ
ーで食料の買い足し。豆腐、おかか、トマト、卵、バナナ、じゃこ、大根、
納豆、練り物、味噌、キュウリ、パセリ、ネギ、パン、ビーフキムチ、缶詰
め・・・、これまでのアン5にはなかった食材が積み込まれる。
食事に向かう道を少し遠回りして、宜野湾マリーナに隣接するトロピカルビー
チへ。沖縄のビーチはすべてクラゲ対策の網で囲われていて、遊泳管理が厳し
く、台風でこの網を上げてあるので、今日も遊泳禁止。座間味のある慶良間諸
島はクラゲはいない。
向かったお店は「真」。臨海
学級準備の時、マネージャー
と来たお店。京都で修業した
イケメンのご主人と、明るく
感じの良い女将のお店。今日
の訪問のために、時期ではな
いのに、塩ラッキョウを用意
して待っていただき、てんぷ
らでいただく。お店の食材
も、こだわりの自家栽培。マ
ネージャー絶賛、お勧めのお店。
8月9日。宜野湾マリーナを離れる日。係留料などの精算は昨日済ませてあ
173
り、早朝の出航となる。
今朝の宜野湾マリーナ、午
前6時半。すっきりした晴
れ。昨夜は久しぶりにすが
すがしい風が吹いていた。
朝食を摂り、氷を調達して
出航。氷は、マリーナが閉
まっていても警備員さんが
販売してくれる。離岸は7
時20分。
今回のパートナーは伊勢市
在住の橋本さん。バリバリ
のクルージング派。橋本流
クルージングを会得する積
り。早速、クルージングス
ピン展開。アン5ではスピ
ンは10年ぶり。クォータ
リーの風を受けて快走。こ
れまでの私の流儀は、艇速
が6Knotを切った場合、
有無を言わず機帆走だった。
間もなく慶良間諸島。風5
mアビーム。クルージング
スピンで6.8Knot。ヒール
13度。最高の走り。もち
ろん、エンジン音なし。
174
安護の浦到着、ナウ。台風
避難用のブイが4本あり、
その1本に係留。南東の風
なので、写真の正面左は安
護、遠くは渡嘉敷、右の先
に見えるのは安室島。
座間味、安護の浦湾内の半
周以上はビーチ。広大なビ
ーチに若者数人。左手集落
は、護岸工事の関係者が数
人見えるが、静か。
安護の浦のブイに一時係留。ブイは500トンまでの船舶を台風時に係留できる
もの。誠にどっしりしていて、安心感絶大。
錨を使うアンカリングは、常に走錨の心配がある。だからこういったブイが使
えるのは貴重。私も橋本さんも、前から話には聞いていたが、見て体感するの
は今回が初めて。
次回の訪問のために係留方法などを確かめた後、隣接する古座間味のビーチに
アプローチ。この島自慢のビーチ。近くにアンカリングして海からこのビーチ
に泳いで上陸する考え。
アンカリング準備のため、電動ウィンチでジブセールを巻き取って、エンジン
をスタートさせたところセルモーターが回らない!!
175
電動ウィンチを使うときはエンジンを回さなければならないが、それを忘れ、
その上電動ウィンチを回しながらセルモーターをONしてしまった。
オルタネーターにしてみると、始動したとたんにすでに50アンペアーを超す
負荷がかかったわけで、異常な事態が発生したものと思う。中村メカに電話で
確認するが、レアケースで動作を想定できない。
一方で、もしかしたら、そんなことは無いと思いながら、スイッチの接触不良
を疑い、電源を切ってからスイッチを数回いれた後に始動をするとセルが回っ
た!!。レアケースによる一時的な異常と判断して、再びアンカリングの準備
に入る。
アンカーを落とすに当たって、念のためにウィンドラス(電動アンカー巻き上
げ機)のスイッチを入れるとDNはするが、UPはリレーがカチカチいうばかり
で作動しない。チェーンの重量を考えると100kgは超えるであろうアンカーを
人力で上げるのは不可能。
たくさんの人が泳ぐ古座間味のビーチを横目に、アンカリングをあきらめ古座
間味を離れる。エンジンやウィンドラスのトラブル中も、私は淡々と修理にい
そしみ、パートナーの橋本さんはセールで船を進める。なんと落ち着いた、ベ
テランチーム。
古座間味から座間味港へは30分ほど。座間味島と安室島の間は浅いので、遠
回りをしなければならない。私は、座間味港への入港はフェリーで一回、ヨッ
トで2回目。
座間味港、ナウ。向
こう岸は高速船クイ
ーン3。民宿の確保
に苦労。明日から、
お盆のピークとのこ
と。2泊確保。
176
座間味港はヨットにやさしい。午後5時以降、朝の10時まで高速船の浮桟橋
を使わせていただける。ただし、今回は、係留したヨットからアクアミューズ
(セーリングカヌー)を下ろしてビーチへ向かう計画なので、高速船桟橋の係
留はできない。
高速船クィーン3乗り場の向かい側のダイバー船用浮桟橋の奥が空くのを待っ
て、遠慮がちに係留。周りの人に状況を聞く。「この島は基本、ヨット歓迎で
す」なんと心地良い言葉、観光に従事する普通の人の言葉。
「座間味は基本、ヨット歓迎です」ヨットを始めて50年、初めて聞いた。こ
の言葉を全国のヨットマンに届けたい。
観光案内所へ宿の確保に向かう。お盆休みに入った関係で空きがなく、4軒目
に聞いてくれたお安い民宿を2泊確保。朝、早めに行動を開始するためと、船
内に十分な食料があるため朝食は無し、素泊まり。
翌朝、朝食の前にウィンドラス電気系統修理。結局、DN(ダウン)リレーの
出力をUP(アップ)モータに入力して、アップができるように暫定処置。ア
ンカーのダウンは手動でできるからこれでOKとする。
バウ沈で潮をかぶっている
らしく、ケースが赤さびに
なったリレー。ホームポー
トに帰ってから分解修理す
る。
2011/08/10 0000J
位置 26.13N/127.18E
座間味港停泊中
177
<セーリングカヌーでビーチめぐり>
座間味ではアクアミューズ
を1パイ下ろし、ビーチめ
ぐりをした。写真は古座間
味。座間味港から風上、の
ぼりとなったが、50分ほ
どで行けた。
古座間味でシュノーケリン
グをした後くつろぐ橋本さ
ん。ハワイや小笠原などで
スキューバーの経験も豊富
な橋本さんも、水のきれい
さと魚の種類・数の多さに
感動したとのこと。ハワイ
にはサンゴ礁が無いので、
こんなに魚はいないとのこ
と。
古座間味で潜った後、今度は港の反対側
のビーチ、阿真ビーチへアクアミューズ
セーリング。
阿真ビーチは、ウミガメが人の泳ぐすぐ
下で海藻を食べる。人を恐れないのです
ぐ近くまで寄ることができる。又、時々
空気を吸いに水面に出るので、簡単にウ
ミガメに触ってしまうことができる。な
ど、橋本さんに説明するが、残念ながら潮が引いていて体験してもらえなかっ
た。
178
<奄美諸島、古仁屋へ>
8月11日午前6時35分、座間味港、ナウ。7時の「スーパー105」開店を待っ
て、氷や卵を調達予定。船内で朝食後、10時ごろ出航予定。行先は与論島。
座間味では2泊したことになる。
8時50分離岸、8時55分
座間味港出航、ナウ。
左後方に渡嘉敷島、ナウ。
右後方に座間味、ナウ。
179
クルージングスピン展開。風力2、艇速4.2Knot。アン5のスピンによるクル
ージングは十数年ぶり。波の音だけで、静かにしずしずと帆走中。
15年ほど前、渡米した次男に頼んでスピンネーカーとクルージングスピンの
2枚を買ってもらった。一枚でも重いこの大きなスピン2枚を担いで、アメリ
カを歩いた苦労話を聞いたことを思い出す。
久しぶりにクルージングスピンを展開してみたら、USのセール番号が付い
ていた。クルージングスピンはこれまで1、2回ほどしか展開したことが
なかったので、今回改めてUSのセール番号を認識した。新品を発注したの
に・・・、おかしいが、今更、どうにもならない。
2011/08/11 1200J
位置 26.21N/127.27E
針路 40度
風 SSW風力2-3(風速5m)
波高 1m
セール メイン、クルージングスピン、クォーター
艇速 4.2Knot
スピンラン、快調
スピンを展開して5時間半が経過した。
座間味と伊江島の中間点を帆走中。10
度程度の針路の微調整はあったが、安定
して、誠に静かに快走している。キャビ
ンに居ても、心地よい水切音が聞こえ
る。
スピンランを6時間半にわたって楽しん
だ。志摩水域では味わえない醍醐味だっ
た。従来の機帆走ベースの航海スタイル
から、アン5はすっかり帆走派に変わっ
た??
180
与論島に向けて出航した。航海中、先輩諸氏のブログで泊地情報を調べたとこ
ろ、「入った船も多く、また壊した船の数も多い、有名な茶花港です」との記
述もあり、又、役場のIDさんに電話をして誘導を受けると良いとの話もあり、
危険と迷惑をお掛けするのも申し訳ないので与論島パスを決定。
<伊江島通過>
伊江島の西を行く予定が、
スピンランを楽しんだ関係
でコースが東に寄り、この
まま本部町との間を抜ける
ことに航路変更して、スピ
ンランから機帆走に切り替
え。あと50分で通り抜け
コースに入る。
左手前方に伊江島のグスク(とがった
山)。正面に水納島、その右前方が、美
ら海水族館。
2011/08/11 1800J
位置 26.41N/127.50E
針路 10度
風 W 風力1-2(風速3m)
波高 1m
セール メインのみ機帆走
左舷、懐かしの伊江島、通過中ナウ。ラ
イヤンさんも元気でお過ごしのことと思
う。
181
今晩食べた夕食。18時40
分撮影。ゴーヤの塩昆布あ
え、トマト+味付味噌、ら
っきょう、生姜、梅干し、
カレー、リンゴ。毎食、栄
養豊富でバランスが取れて
いる?
2011/08/12 0000J
位置 27.06N/128.12E
針路 40度
風 W 風力2-3(風速5m)
波高 1m
セール メイン、ジブ、フルセール、クォーター
艇速 6.1Knot
0-3時交代ワッチ体制
行き交う船無し。
8月12日午前1時15分。メイン、ジブ共にフル展開している。斜め後方から
弱い風を受けて、機帆走で5Knot強の艇速であったが、30分ほど前から急に
速度が上がり、時に7KnotものGPSプロッター表示が出る。船のスピードが出
過ぎて、セールがバタついている。
潮の影響。曇り空でうっすらと満月のような大きな月が見える。調べると月齢
88%。この地区の満潮が午前5時30分ごろ。突然のスピードアップはこの満
ち潮の影響。黒潮はもっと西のはずだから間違いないと思う。
セールダウン、ナウ。特製電動ウィンチがあるから、ジブのリーフはもちろ
ん、マストリーフのメインも容易にリーフできる。マストリーフのコツは、何
しろ固くリーフ(収容、巻き付け)すること。
182
マストリーフで固く巻き取るためには、強力なパワーの電動ウィンチが必須。
こうしておかないと引き出すときに大変な苦労をする。
アン5の電動ウィンチでは強力な巻き上げを指先で行う。指先でロープをつま
み、軽くテンションを掛けることが重要。少しでも異常な力を感じたらすぐに
指先の力を抜いて空転、スリップさせる。不要にテンションをかけると、ロー
プを切ってしまう。
艇速が6Knotまで落ちた。風見は右または後方。セールが使える。リーフし
たばかりのジブをためしに出してみるが、風ははらまない。再度、リーフ。潮
を意図的に利用するのは難しい。
左前方8マイルに本船2ハ
イ。共に交差コースではな
いが注視、ナウ。
前方の本船2隻、USAの
Trancepacific KNX向けと、
日本のURIZEN HAH向け。
両船、「一見ミートコース
のようだが、スピードが異
なるので、URIZENが前を
行く模様。当艇は今のとこ
ろ外れている。円は1マイルライン。
AIS画面と同じく、現時点
のレーダー画面。16㎞レ
ンジで、ラインは4㎞ご
と。右上の影は、沖永良部
島。
183
2隻の本船が左舷を並んで後方へ向かっているのが見える。並んで・・と言っ
ても4㎞、それぞれ3艇が離れている。
ことのついでに、現在のGPSプロッター
画面。沖永良部島の西約5マイル(5×
2×0.9=)9㎞を航行中。針路40度、
艇速度6.1Knot、次の変針点まで41.4マ
イ ル 。 変 針 点 到 達 予 想 時 刻 は
(41.4/6.1)6時間47分後、午前9時の
見込み。
この航海ではアイファイコネクターを使っている。拓央社長提供。これ便利。
カメラに差し込むメモリーに発信機能が付いていて、撮った写真が無線でPC
に取り込まれるから、ケーブルをつないだりメモリーの抜き差しの作業が要ら
ない。
今晩は久しぶりのナイト。いつもは、マストトップにある3色灯を航海灯とし
て使っている。暗くなってこの航海灯が点いていると思っていたが、実は点灯
していなかった。
この場合は、もう一系統ある船首船尾の航海灯を使うことになるのだが、この
船尾灯も点灯しなかった。すぐに船尾灯を分解。テスターと割りばし、サンド
ペーパーで修理完了。
今回のパートナー橋本さんも、スターター、ウィンドラス、三色灯、船尾
灯・・と、故障が続くので、いささか心配??船が古くなると不具合も出る
が、船が新しくてもトラブルは出るものと、ベテラン橋本さんはわかっておら
れると思う。
184
前方からフェリーNahaが、接近中。
一時間ほど前、後方から雨雲が接近
し・・。
雨に襲われた。左前方3㎞の影は、フェ
リーNaha。フェリー側からも雨雲に入
ったアン5の姿は、レーダーに出ていな
いかも知れない。ただし、AISではこう
いったことはなく、いつでも相手位置と
船名を確認できる。
2011/08/12 0600J
位置 27.36N/128.35E
針路 40度
風 W 風力1-2(風速3m)
波高 1m
古仁屋に向かって帆走中、徳之島に上が
る日の出がきれい。
185
徳之島に上がる日の出。
お昼頃、奄美本島とその南
に位置する加計呂麻島の間
にある大島水道に進入。海
図では狭い水道のように見
えたが、十分に広いように
見える。しかし、港湾案内
ではかなり微妙な航路を指
定しているので、海図に航路を記入し、GPSプロッターを併用して慎重に船を
進める。
<海図古仁屋>
<古仁屋入港>
午後3時半に古仁屋港に入港。座間味から30時間の航海。PCソフトのシップ
プロッターからAPRSへの送信が不調だったようで、ネットのAPRS表示は徳之
島の西、午前8時半の記録で中断していた。
今回のアン5航海記録表示は、http://t.co/M43heet。マップ上に12時間ごと
の位置を表示している。畠山君のアンダーザテーブルJOB。今回は半自動アッ
プ方式だが、「AISによる、ヨットどこいる?」システムの開発を検討してい
る。
186
古仁屋着艇ではKSさんのお世話になった。福岡のKKさんのご紹介。あらかじ
め電話を入れておいたので岸壁でお迎えをいただいた。
KKさんからは、鹿児島から南で台風時に係留できるのは宜野湾と古仁屋だけ
と聞いていた。地図からも、いかにも自然の良港だとわかるところなので来
てみたかった。加えて、KSさんが管理されるプライベートブイへの係留も是
非、体験させてほしかった。
KSさんの誘導で、「せとうち海の駅」の施設?係留エリアに入る。河口にあ
る入口に堆積があり、入港には注意が必要。ここでは、KSさんに事前に連絡
をして指示をしていただくことが必須のようだ。
古仁屋の泊地。奥にKSさ
んのJ24が2ハイある。左
前方に「せとうち海の
家」。右岸側に市街地が広
がる。スーパーやお風呂、
宿など何でもある感じ。
近くのビジネスホテルで簡
単な洗濯とシャワーをした
後、飲食店“松竹”で食
事。KSさんの熱い思いを
聞く。写真はKSさんに紹
介された地元の貝。名前は
忘れてしまったが、おいし
かった。明日13日は、食
料調達の後、KSさんのア
ンカリングスポット探索の
予定。
187
8月13日 昨日、電話で聞いたときは朝8時開店、と言われたAコープ。お盆
の日替わりスケジュールで、今日は9時開店との張り紙。先に行った橋本さん
は暗がりの中で平然と買い物。お店の人も不審に思わないのだろうか?それに
しても、普通に買い物ができて良かった。
買い物後、KSさんの車を借りて、朝の油井岳展望台へ。大島海峡と加計呂麻
島が一望に見える。写真は海峡の西側を望む。昨日進入してきた海域と、手前
には近畿大学のマグロの養殖いかだが見える。 http://t.co/79vIgbQ
油井岳展望所(正式名)か
ら古仁屋の街を見る。左方
向が南からの進入海域。徳
之島が見えるというが、今
日はかすんで見えない。
車をお返しして、KSさんとKSさん所有の小型ボートを引いて固定ブイがある
湾へ。
古仁屋にあるKSさん管理
の固定ブイ。停泊するのに
最高のロケーション、雰囲
気。大島海峡の入り組んだ
湾を北に入った阿鉄。4本
あり、2本が空いていた。
周りが山に囲まれ波は無く
穏やかで静か。海上保安庁
の避難用係留ブイ(写真
左)もあるから、台風避難
188
にも適しているのであろう。
橋本さんは、こうした振れ
回しの係留方法を推奨。ブ
イさえしっかりしていれ
ば、台風でもバウ(船首)
1本のロープで係留でき
る。宜野湾では32本ロー
プを使って台風をしのいだ
ので、その便利さは分か
る。その上、風が前からに
なり、船内に風が通って涼
しいのも良い。
確かに、固定ブイに係留して一夜を過ご
したが走錨の心配は全くなく、安心して
ぐっすり休めた。買い物などに超便利な
「せとうち海の駅」と共に素晴らしいア
ンカレッジを提供してくれる固定ブイ
は、古仁屋の絶品でお勧め。テンダーが
あれば、上陸して特性シャワールーム・
シャワレットハウスも利用させていただ
けるとのこと。
KSさんは複数のJ24も所有されている。若者がヨットに親しむ機会を提供した
いという願いとのこと。そのうちの1隻のアンカリングスポットに係留してい
たJ24で、大島海峡、加計呂麻島めぐりをさせていただいた。
J24は誠に良い。最近すっかり気に入っ
ている。世界的な規格艇、良く走る、キ
ャビンがあって荷物をドライに収容でき
る、泊まることもできる、沈しない。各
地にJ24のレンタルヨットを置いてほし
いものと思う。
189
写真は、J24で散策、訪問
した海軍の特攻艇「震洋」
の格納、発進基地用のトン
ネル。大島海峡を渡った加
計呂麻島にある。
夜はブイ係留でKSさんと食事し、一泊。明朝、海の駅へ移動の予定。
最高の「固定ブイによる泊地」を離れる、ナウ。2011年8月14日午前9時15
分。この後、古仁屋に戻って補充ののち、15時勝浦に向かって500マイル行く
予定。
海の駅に帰って、再びKSさんの訪問を受ける。無理かと思ったが、「LPガス
の充填ができないか」と聞くと、すぐに電話をしてくれて、ガス屋さんに連れ
て行ってもらう。事務所で少し待つうちに、充填完了。
昼食に出かける。たまたま入った、古仁
屋おすすめ食堂。
ここ古仁屋は、ふるさとの
加計呂麻島へ渡るリリーさ
んが寅次郎の甥と知り合う
港。渥美清さんの遺作とな
った“寅次郎紅の花“のロケ
地。
190
⓾ダブルハンドで太平洋を
一直線
<紀伊勝浦へ太平洋一直線>
今朝の航路気象予報。今日14日のお昼
に出航した後、潮岬まで5日間、南南西
と南西6~8mの風が吹き続ける。波は
2m、まれに5m超え。帆走主体で平均
4.9Knot。雨はなし。これ以上望みよう
がないほどの絶好の気象予想。
古仁屋出航一時間前。「せ
とうち海の駅」泊地、ナ
ウ。停泊エリアは、幅20m
長さ100m。
2011/08/14 1200J
位置 28.08N/129.20E
古仁屋港停泊中。
1500、紀伊勝浦向け、出
航予定
この泊地は、河口が入口で
堆積が激しく、水路の半分
以上は黄色い川の砂で埋ま
っている。海側ギリギリを
行かなければならない。大
潮なので、干潮から2時間
後を出航時刻とし、現在は
バッテリー充電中。
191
14時25分、古仁屋の泊地
離岸。入出港も厳しいが、
この泊地を見つけるのはも
っと難しそう。写真、橋の
左手前に入口がある。左コ
ーナーいっぱいに船を寄せ
なければ座礁する。
大島海峡を入った時と逆の南に出る。奄美大島本土最南端の皆津埼を交わし
て、奄美本土と喜界島の間を通るコースに向ける。追い風。風下一杯を狙い、
コースを喜界島寄りとして、島を右に見ての通過を目指す。
いつものアン5は目標にきっちり向けることができたが、今回の航海からは帆
走主体なので、風の状況によっては軽いジグザグコースも予想される。夕暮れ
を迎えているためクルージングスピンは上がっていないが、メイン、ジブ共に
フル展開。ノーエンジン。風力3-4mで、艇速5.6Knot、ナウ。
この先の奄美大島東に位置する喜界島を
通過するのが21時から22時ごろの見込
み。喜界島から次の目標地、那智勝浦フ
ィシャリーナまで450マイル。この間は
ネットがつながらなくなる。4日から6
日間?到着までの日数は風次第。
ネットがつながらない間も、畠山君作の
ポジショニングシステムで6時間ごとの
グーグルマップ上に位置表示をしてもらう予定。データ通信は衛星通信イリジ
ウム。ただしメールを使わず、このレグは音声レポートのつもり。
18時のポジションレポートを送った。当初、喜界島と奄美本島の間を通過す
る予定であったが、真追手風となり、無理な操船をするより、ラフしてクリア
192
ーなクォーターで帆走を楽しむことにして、喜界島の東を通過するコースに変
更した。
2011/08/14 1800J
位置 28.11N/129.39E
針路 85度
風 SSW 風力4
波高 1.5m
セール メインフル、ジブフル
艇速 7.1Knot
快調に帆走中。
JASREPに今回は参加していない。24時間以内に確実にレポートできないか
ら。だから、今回発信するポジションレポートは畠山君システム向け。
これまで、計画コースをエンジンを使って忠実に走っていたアン5が本来の
「ヨット」に変身した。風を見てコースを決める。太平洋を自由に走ることが
できるのだから、目的地方向に最適な帆走で走ることになる。今の場合は真追
手を避けて、目的ポイントに対して30度ほど風上にコースを取っている。
夕食を終わって、夜間航海
準備完了。日暮れの一方
で、正面、東から満月が昇
ってきた。
喜界島の灯台が見えてき
た。3秒に1回の閃光。左
手前方。間違いがない。こ
の喜界島を離れるまで、あ
と数時間ドコモがつなが
る。
喜界島の南4マイル通過中。GPSプロッターの水深を見ると7.3m。オヤ?艇
の水深メーターも7.3m。少なくとも100メーターはあるはず! 急いで海図を
193
見る。
周囲の深い海底から尖った山の先端が水深7.5mまで来ていて、正にその真上
を通過中であることが分かって一安心。海図にはウガミ礁7.3mとある。夕
方、コースをチェックしたとき浅いところがあると見ていたが、正にそのポイ
ントの真上を通過するとは!!水深はすぐに100mオーバーの表示に戻る。
セーリングは目的地へ一直線に向かえない場合もある。目的地が風上の場合と
真の風下の場合。今は後者。これらの場合はジグザグのコースとなる。こうな
ると、海図によるコースの決め方が変わる。だから、最終変針点「潮岬」を今
目標ウェイポイントに設定したが、そこへ真っ直ぐには向かえない。
8月15日、現在0時。奄美諸島を離れ、いよいよ太平洋に乗り出した。ネッ
トが全くつながらないので、留ツイットになる。
2011/08/15 0000J
位置 28.20N/130.14E
針路 75度
風 SSW 風力2-3(風速6m)
波高 1.5m
セール メインフル、ジブ3P
艇速 5.1Knot
天気 c
南南西7〜8mの風、追い風で誠に快調にセーリング。潮岬に向かって一直
線・・ではなく、目標方位48度に対して76度の方位に向かっている。追い
風、真追手になってしまうため、25度ほど右にコースを外している。太平洋
の真ん中に向かっている。
ナイトになったのでジブセールはリーフしているが、5~6Knotのスピード
が出ている。満月でデッキや海も明るいが星は見えにくい。うねりがあって、
船は大きく揺れる。縮帆したジブはおおむね風をはらんでいる。ベテランパー
トナーがいて、何の不安もないナイトセーリング。
194
8月15日午前2時。周りを見渡しても何もない。AISで見ると周り50マイル
(90㎞)に本船が7隻いる。すべて後方。32マイル後方のパナマ船籍で巨大
貨物船GRAND PIONEERがアン5を斜めに追い超していくコース。
当方5.7Knot、GRAND PIONEER 17.7Knotだから、3時間弱後、午前5時ごろ
に最接近することになる。
これまでのアン5は機帆走主体。いつもエンジンが回っていたので電気の心配
はなかったが、今回からは帆走主体。今も風だけで、正に帆走中。エンジンに
負けずとも劣らないスピードで進んでいる。
2011/08/15 0600J
位置 28.33N/130.53E
針路 79度
風 SW 風力4(風速7m)
波高 1.5m
セール メインフル、ジブ3P
艇速 6.1Knot
天気 c/b
帆走
ナイト一日目の夜明け。昨夜から風はわずかに西に振れたが、ほとんど変わっ
ていない。朝食後、コースについて検討。真追手を活用して、観音開きにした
らどうかと橋本さんの提案。アン5では観音開きの経験がなかったが、即座に
同意。
比較的スムーズに観音開きができる。トッピングリフト、フォアガイをスピン
ポールに取り付け、風が当たらないメインの裏でジブシートをスピンポール
の先へ通す。こうしておいてメインをジャイブさせる。8月15日午前8時10
分、橋本さんの指導よろしきを得て、観音開き完成。
195
コースを真追手にして安定
に走る。潮岬へのプロパー
コースのわずか5度違い。
追手で、ジブやクルージン
グスピンを出す限界角度は
真の風下に対して25度、
今日の観音開き方式は限界
角度5度程度。目的ポイン
トへ最短距離で到達できる
はず。
トビウオがコックピット後部に飛び込んでいた。干からびていたので船外へ捨
てたが、橋本さんは「どうせ日干しにするのだから・・」と残念がる。午後は
たくさんのトビウオが飛んでいた。至近距離から飛び出すのはヨットに驚いて
飛び出すのだろうが、沖ではマグロなどに追われて飛び出しているのだろう
か。
古仁屋のアンカリングエリアでマストに登った。橋本さんが電動ウィンチでサ
ポートしてくれたので力を必要とはしなかったが、アン5ではマストトップの
航海灯が点灯しなくなったので、初めての経験。これまでは、自称、高所恐怖
症として登ることはなかった。
水面から17m以上。登ってみると、それほど怖くなかった。マストトップはど
っしりしていて全く揺れは無く、改めて古仁屋のアンカレッジはいかに波がな
いかも認識した。
マストトップまで上がったが、ボースンチェアーが深く体が十分にマスト上に
出ないので、三色灯に手が届かない。一旦降りてチェアーを改善しようとする
が、チェアーの上に立って作業せざるを得ないであろうということになって、
作業は中止した。
マストトップの航海灯(三色灯)は1個の電球。本来の航海灯は船首右と左及
び船尾の3個の電球を使っているので三色灯の倍以上の電気が必要。航海灯の
電流増は困ったもの。4~6日分の食糧を買い込んでいるので冷蔵庫の運転は
196
必至。航海機器を含めて20A以上の電気を使うことになってしまう。
せっかく帆走だけで船を走らせているのに、電気を充電する目的でエンジンを
回さなければならなのはいささか残念。ソーラーや風力発電があれば、こうい
った問題の解決になる?橋本さんとしばし発電機談義。
ソーラーは、たまの週末クルージング以外の時間、いつも充電していることが
引っかかる。その間冷蔵庫を生かしておくことができるとの考えもあるが、私
は係留中は冷蔵庫をそれほど必要としない。大きなソーラパネルを積むことも
大がかり。
ソーラーの次は風力発電。使わない時は止めておくことができる。ただ、風切
音がうるさいとのことだ。残るは水力発電。以前から興味があって、曳航する
と回転する羽根と軽四輪のオルタネーターをアン5は積んでいる。
ヨーロッパの製品で風力と水力発電を兼ねた機器を以前ネットで見た。これが
決定版?時間節約のために自作をあきらめて、橋本さんも興味があるというこ
の装置を、今後詳しく調べてみることにする。
2011/08/15 1200J
位置 28.46N/131.27E
針路 55度
風 SW 風力4(風速8m)
波高 1.5m
セール メインフル、ジブフル 観音開き
艇速 6.5Knot
天気 b
帆走
レーダードームマストの根元が回っていることを発見した。警報スピーカーと
アマチュア無線のアンテナを搭載しており、昨年渡嘉敷港で低気圧に襲われた
際、岸壁に当たって横を向いたり、今年の台風2号でターンバックルが飛ぶな
どだいぶ痛んでいる。
197
船尾にスマートなブリッジを作り、これらの収容と新たな発電機器を搭載する
ことになる?
現在、16時10分。8時間もの間、観音開きで走っている。早いときは7Knot
を超える。志摩沖では観音開きは1時間と持たない。驚異の現象。この間ほと
んど風向きと風力が変わらない。「ナイトも観音開きで行く」ことに決定。
潮岬まで324マイル。遠く聞こえるラジオ放送によると、大きな高気圧で日本
全体が覆われているとのこと。
4日後の金曜日までは安定した風が期待できる。現在6.5Knot。6Knotで計算
すれば54時間後に潮岬に到達する。
気象ファックスが不調。信号音もあり、天気図が出るはずだが画面に出ない。
台風があるわけではないのだが、この後、風が振る方向を知るために欲しい。
いろいろ試してFAX画面が出るようになったが、部分的だったり、プリントで
きなかったり・・。勉強不足で、指導を受ける岩田師匠に申し訳ない。
アン5のメインセールは、リーチ部分が紫外線にやられズタズタになってしま
ったので、以前リカットをした。この影響でセール面積が小さくなり、しかも
十分に展開しない。だからアン5のメインセールはいつもマストトップからず
り下がっていて、年中リーフしている状態。
メインセールを作り直すとすると今のセールを破棄することになる。これはも
ったいない。宜野湾でKKさんから、使わなくなったセールをドジャーやビニ
ミトップに活用できる話を聞いた。これ、いい話。ドジャーやビニミの製作は
面倒で高価。これを工夫して、びっくり費用での完成を目指す積り。
充電をしようとエンジンを始動するが、スターターが回らない。何度か試し
て、動いた。この手の故障は、修理しようとすると現象が出ないなど難儀をす
るので、明日、現象が出た時、調査をする積り。
空気が昨日に比べて乾燥している。波高2mの追い風の中、シュラフ(寝袋)
やタオルを干している。橋本さんは船尾でシャワーを始めた模様。「気持ちが
いい、これで清潔になった」との声が聞こえる。自分も船尾でシャワー。本当
198
に気持ちが良い。
2011/08/15 1800J
位置 29.16N/132.04E
針路 55度
風 SW 風力4(風速8m)
波高 2m
セール メイン2P、ジブ3P 観音開き
艇速 6.8Knot
天気 b
帆走
潮岬まで309マイル
今日、朝から船は一隻も見ない。AISによると、50マイル(90㎞)以内に今も
3隻ほどいるが、目視できる距離ではない。
走っても走っても海と空以
外は何もない。我ら2人が
この海を独占。こう盛り上
がっていると、ここまで話
題になっていた、「男の隠
れ家を見つけよう」とのテ
ーマが、急に「後ろ向きで
暗い、スケールが小さ
い!」という結論になり、
これからは「太平洋を私た
ちのお庭にしよう!」に変更。
夕暮れ、いつもの豪華な夕食を食べて、夜間航海準備。ジブ、メインともリー
フ。観音開きのまま。もし夜間、風がシフトした場合、ジブを緩めてリーチと
する。昔、学生時代にスナイプでもやっていたのを思い出す。風が強まりコン
トロールができなくなったら、メインだけをジャイブさせ、ジブにスピンポー
ルを付けたまま走る、など作戦を立てて観音開きのままナイトセーリングとす
る。
199
スピン関係の作業をする場合はオールハンズとし、一人では作業しないなどを
打ち合わせ。秋ではないが、夕暮れはつるべ落とし。日没に代わって東に月齢
88%の月が上がる。
ワッチ交代のために23時50分、起床。暑く、寝苦しかった。アン5はこれま
でクーラー依存型だった。今回のクルージングで、橋本さんからハッチ依存体
質への変換命令が出た。本来、ヨットはすべてハッチが開けられなければなら
ない、そうすれば、停泊中どの方向の風でも船内を抜ける、とのこと。
本棚などに使っているハッチは、本などを急には引っ越しできないのでお許し
を受けたが、確かに、これまでハッチ活用はほとんど考えていなかったので、
アン5は誠に風通しが悪い。その上、ヨットは主として前部からの風を期待し
た構造であるのに対して、連日追い風で風の取り入れ口がない。
暑がりの私はおなかのすぐ
上(30㎝)に扇風機を置
き、頭から足へ首を振って
風を直接当てて寝ている。
狭い範囲に体を置かないと
風が来ないので、いささか
苦労の姿勢となる。
8月16日午前0時、ログを取る。メイン、ジブ、共に2Pほどリーフした観音
開きであるが、スピードは6.8Knot。エンジンには負けない、正に勝ちっぷり
の良い走り。実はアン5の帆走性能を今回あらためて知って、ほそく笑んでい
る。
2011/08/16 0000J
位置 29.40N/132.30E
針路 50度
200
風 SSW 風力3(風速6m)
波高 1.5m
セール メイン2P、ジブ2P 観音開き
艇速 6.6Knot
天気 b
帆走
真追手観音開きをナイトも含めて30時間以上、ひょっとしてこの先50時間展
開し続けることもできそうなこの状況は、アン5の性能と、安定して見守って
くれる太平洋高気圧のおかげ。
古仁屋を出て33時間。潮岬までの距離は309マイル。6Knot計算で約50時間。
潮岬を回った先の那智のフィッシャリーナ那智までさらに5時間ほどかかると
思うから、18日にはフィッシャリーナに到着予定。ゆっくり温泉に入り休養
を取ってから、19日お昼に志摩へ戻ることになる模様。
8月16日火曜日午前2時。マストトッ
プ付近の月。
2011/08/16 0600J
位置 30.04N/133.02E
針路 45度
風 SW 風力4(風速8m)
波高 2m
セール メイン2P、ジブフル
艇速 6.1Knot
天気 b
帆走
フィッシャリーナ那智に18日昼頃到着の見込み。
201
朝食の前、クルージングスピンを上げることにする。一旦上げたが風が強く、
ブローチンの危険性があり、常時トリムをしなければならない状況のため、即
ダウン。通常のジブを上げる。通常ジブのクォーターで時として7Knot出て
いるので、この状況でセール交換などの作業をしてもアン5の船の長さからし
てそれほどのスピードアップは見込めない。
アン5の教訓、「艇速7Knotを超える時は新たな手を打たない」、それと
「クルージングスピンは微風の時に通常艇速を得るもの」。
奄美諸島から離れて初めて久しぶりに本船を見る。16日午前9時。アン5
後方8マイル。バハマ船籍のLPガスタンカー。全長290m、大型。行先はJP
HIM。針路から見ると関西方面とは違うようだ。
11時を回った。風が強くなった。10mを超えている。ジブが風をはらむ限界
で走らせている。オートパイロットは、コースがずれたことを検知してから舵
を回す。だから、どうしても進行方法の振れが大きくなる。
セーリング派の橋本さんは、オートパイロットの操船が不満と言って、自分で
舵を取るという。熟練者は当て舵をする。船首が振れそうになったことを感じ
てあらかじめ逆方向に舵を切る、これが当て舵。今の機械ではそこまでできな
い。
なるほど、橋本さんはうまく当て舵をして方位をキープしている。艇速も
1.5Knotほど上がった。「あと35時間、よろしく!」と私。しかし、案の定10
分持たなかった。「やっぱりオートパイロット君に任せる!」と言って、自動
操舵にし、お昼寝に入ってしまった。
2011/08/16 1200J
位置 30.36N/133.20E
針路 40度
風 SW 風力5(風速10m)
波高 2.5m
セール メイン1P、ジブ3P
202
艇速 6.1Knot
天気 b
帆走
昼食は、玉ねぎと卵入り焼きそば、リンゴとオレンジ。夕食は、玉ねぎと肉の
炒めものと、豆腐、キムチ、梅干し、果物。クルージングも3日目にもなると
話題が少なくなり、食事が楽しみになるようだ。
それにしても、10mの追い
風、波、時に30度のヒー
ルの中で包丁を使い、油炒
めをし、コックピットで楽
しげに食事をする。こんな
2人は、潮気一杯と言え
る。この航海では三度の食
事を抜いたことがない。帰
ったら太っているのではな
いかとの声もあったが、運
動量からそんなことはないと思う。写真は16日の夕食。会話が減って、料理
が充実?
2011/08/16 1800J
位置 31.08N/133.48E
針路 45度
風 SW 風力5(風速10m)
波高 3m
セール メイン1P、ジブ3P
艇速 6.9Knot
天気 b
帆走
豪快で快調なセーリング。
203
3回目の夕日。明日も、同
じ風が吹くようだ。
夜間航海の準備をする。
「天気晴朗なれど波高し」
状態。ジブ、メイン共にリ
ーフ。時々スターンの一部
が水没するような追い波が
あり、先ほどは追い波が風
上側のデッキすれすれまで来て、デッキがしぶきで水浸しになるのではと思い
一瞬身をかがめた。
周りに本船が見えない夜は今日まで、明日の夜は潮岬通過で多くの本船の間を
すり抜けることになる。出来れば本船航路を大きく迂回して避けるつもり。
毎日、安定した強い南西の風のおかげでダイナミックで快調な帆走が続いてい
る。潮岬を通過した後も那智フィッシャリーナヘの到着時刻がどんどん前倒し
になってきている。セーリングオンリーなので風にもよるが、この調子だと
18日の夜明け前に着艇しそう。
8月17日午前0時、ワッチ交代。相変わらず南西の風強く、波が高い状態。
2011/08/17 0000J
位置 31.38N/134.14E
針路 43度
風 SW 風力5(風速10m)
波高 2m
セール メイン1P、ジブ3P
艇速 7.2Knot
天気 b/c
帆走
マストトップの風速計、RIALは25Knot(風速12.5m)をず〜と表示している、
204
と橋本さん。確かに、ジブは追っ手に近いのであまり効果を出しておらず、縮
帆したメインだけで時折7とか瞬間8Knot出るのは、やはり10mを超えた風
が吹いているからだろう。
追い風で良かった。これが上りだったら、3日間もスプレイ(しぶき)を浴び
る羽目に、べたべたで悲惨・・、橋本さんの言葉。
シッププロッターとは別のAISのPCソフトから警報が出始めた。30分以内に2
マイルに接近する船があるとの警報。警報が始まった時点では8マイル先であ
ったが、今0.8マイル(約1.5㎞)離れて左舷を通過中。
潮岬沖まであと125マイル。平均6.5Knotで走ると19時間。17日19時ごろの通
過。潮岬沖は、関東・中部方面から来る船と、九州方面、大阪へ入る船が入り
組んで、おびただしい船が行きかう場所。
昨年の同じこの時期、沖縄から帰るとき、紀伊半島をブランケットとする考え
で周参見方面へ接近したため、この混雑の中に入ってしまった。今回は右へ振
って潮岬を大きく周り、混雑を避けたいと思っている。
ただし、今のSEの風では、これ以上右へ針路をとることができない。風が変
わらなければ、夕方ジャイブすることになる。
昨年の航海は沿海免許。だから沿岸から20マイル以上離れることが許されな
かった。今年は臨時の近海免許で航海している。沿岸からの距離の制限はな
い。近海免許は小笠原へ行くのにも必須条件だった。
8月17日午前1時のアン5の位置。室
戸岬南95マイル(170㎞)。太平洋を突
っ切ってまっすぐに潮岬へ向かってい
る。画面の宮崎県沖や徳島県沖に×マー
クがついているが、これが沿岸20マイ
ルの限界点。昨年はこんなに岸よりを走
らなければならなかった。
205
再び、接近注意警報。1時15分。日本国籍のタンカーAI Rayyan 296m。マス
ト灯と緑の舷灯だけが見える。アン5の右舷、2マイルを通過中。行先港の記
号は、RL QATRA。8月30日9時到着予定とある。
バッテリー電圧が12Vを切ったのでエンジンを始動して充電しようとしたが、
スターターが回らない。あらかじめ回路図を調べておいたので、現象が出たら
詳しくチェックしようと思っていたが、深夜で相方も仮眠中だし、調べようが
ない。
お昼にスターターの回路図を見たが、正にシンプル。キースイッチでONした
信号電圧をスターターに送っているだけ。でも、スターターキーを回したと
き、スターターがカチッというリレー音がしない(リレーは入っていないかも
しれないが・・)。
スターターを回しても、接触不良で信号電圧が来ない?スイッチ不良?でも、
スイッチは昨年の日本周航の折、ハウステンボスで換えたばかり。
回路図で気になった部分があった。それはエンジンストップボタン。ディーゼ
ルエンジンは電気で点火しない。だから昔のディーゼルトラックのようにイグ
ニッションキーを切ってもエンジンは止まらない。だから、デコンプ用ソレノ
イドで圧力を抜く。
このストップボタンはB接点。常時はON。これが接触不良でOFFになっている
とどうなるのか?回路図では動作が分からない。これが原因の可能性もあると
目途を立てていた。
このまま放置すると航海計器やオートパイロットが動かなくなり大変なことに
なるので、原因を調べるよりまずは復旧をめざし、電源を切ってスターターを
何度かON、OFFをして、再始動・・・、ダメ。
今度はストップボタンを何度も押してから始動すると・・、エンジンが掛っ
た!!ストップボタンの接触不良が原因かもしれない。15年1600時間使った
エンジンだが、電気部品や配管を換えなければならない時期に来ているのだろ
206
うか。
再び、飛び込んだトビウオ
発見。小ぶりなのでリリー
ス。といっても煮干し状態
になってしまっていた。
2011/08/17 0600J
位置 32.06N/134.43E
針路 52度
風 SW 風力5(風速
11m)
波高 2m
セール メイン1P、ジブ
3P
艇速 6.1Knot
天気 b
帆走
朝食。コーヒーとココア
付。この前にヨーグルトの
配給あり。ヒールでしばし
ばマグカップが引っくりか
える。マグカップの底がす
ぼんでいるのがいけない、
と橋本さんの指摘。伏せて
おくと確かにひっくり返ら
207
ない。コーヒーとココアの液面の傾きで、ヒールで傾いていることが分かる。
朝食後、3度目の艤装談義。アン5としては、簡易でスマートなレーダーアー
チを付け、ソーラパネルを付ける。水力発電機を付ける。ビニミトップをステ
ンで作り変える(橋本先輩が取り替えるべきと言っている)。などやるか?メ
インセールの新調と使用済みセールの再利用は取り止め。
17日午前10時半。いい風
といささか強めのうねりの
中、快走。
現在も、帆走しているのに
エンジンが回っている。こ
れはバッテリーへの充電の
ため。発電機さえあれば、
エンジン音もなければ、燃
料も使わなくなるはず。
2011/08/17 1200J
位置 32.33N/135.15E
針路 52度
風 SW 風力5(風速11m)
波高 2.5m
セール メイン1P、ジブ3P
艇速 7.1Knot
天気 b/c
帆走
ヒール中の炊事は体を支えるのが大変。このため、シンクやIB(アイスボック
ス)、調理台の前にライフラインを取り付け、体を保持できるようにすべき、
と橋本さん。フランス製ヨットのデザインを踏みにじる感じもあって、取り付
けるかどうかは悩ましい。
208
<本船航路に接近中>
8月17日16時20分、潮岬まで31マイル。本船航路が近づいてきた。おおむ
ね、ひっきりなしに警報が出ている。30分以内に2マイルの範囲に入る、と
の注意喚起警報。
16時33分、接近警報が鳴
る(写真)。16時50分、
回避動作終了。
2011/08/17 1800J
位置 33.10N/135.47E
針路 32度
風 SW 風力3-4(風
速8m)
波高 2.5m
セール メイン2P、ジブ3P
艇速 6.9Knot
天気 b/c
帆走
フィッシャリーナ那智に18日早朝到着の予定
8月17日の夕日。キ
ャビン内で夕食の後片
付け中。このハッチ
は、大きくヒールする
と水に没して海中を見
ることができる。
209
潮岬から勝浦までの間は何
しろ本船数が多い。19時
44分現在の周囲の本船。
警報は鳴りやまない。いさ
さか、戦慄もの。このあと
4時間ほどの戦闘態勢。写
真は船内のチャートテーブ
ルにあるPCの画面。円の
中心がアン5。AISのレー
ダーモード画面で、画面上
がアン5の針路方向。船の形の前方にある船は、この後6分間の予想コースを
示している。
ここではオーパ君は頼まず、橋本さんがヘルム(舵)を取る。橋本さんはベ
テラン。これまでAISなしで航海をしている。私はAIS頼み。今回分かったこと
は、「AISの利用過多はまずい、目視最優先。AISは参考情報であるべき」と反
省。それと、今後は船内にあるAIS表示を舵を取るコックピットに置くべきと
の結論となる。
本船航路を抜けて思いっきり岸に寄っていてもまだ接近してくる船もある。陸
側にある黒潮の反流を期待しているのであろうか?
8月17日23時30分、フィッシャリーナ那智へ着艇。明るくなってからの入港
も考えたが、このフッシャリーナは幾度も夜間入出港したことがあるのと、
GPSプロッターに航跡が記録されているので、そのまま夜間入港とする。
210
桟橋に近づくと、深夜にも関わらずヨットジェニファーの石川さんの心温かい
お迎え。係留索を取っていただく。着艇後、「お疲れでしょう。まずはお休み
なさい」と言われ、陸電につないでクーラーを入れて、橋本さんと二人、早速
就寝。石川さんが撮影して、18日付のブログで紹介していただいた着艇直後
の写真。
2011/08/18 0000J
位置 33.38N/135.56E
フィッシャリーナ那智、停泊中。
勝浦フィッシャリーナ那智
停泊中のアン5。
<またまた石川さんのお世話になった後、
志摩ヨットハーバーへ>
翌朝、石川さんご夫妻のお
勧めの一つ、「ゆりの山温
泉」へ連れて行っていただ
く。
211
落ち着いた場所にあって、
お風呂は広く明るく豊富で
適温の湯。もちろん、石川
さんご夫妻のこだわり、
“源泉かけ流し”。
この後、石川さんご夫妻に
買い物に連れて行っていた
だき、お昼はそうめんをご
ちそうになる。鍋奉行は石
川さん。石川さんご夫妻に
は、これまでもここフィッ
シャリーナ那智で数回、珠
洲市の飯田港でも、そして
今回と何度もお世話になっ
ている。
食事の後、ご夫妻はキャン
ピングキャリアーを引い
て、遠く東北の震災支援に
出発された。昨年、石川さ
んのヨットジェニファーで
日本一周の折にお世話にな
った東北の方々との関係が
きっかけで始められた。キ
ャンピングキャリアー一杯
の支援物資の搬入や中古車
提供支援、その上、避難所の慰安活動支援(と言うより、主宰)などなど、何
ともアクティブさと心意気に頭が下がる。
212
午後、船内の水道が出なく
なる。加圧ポンプの音はす
れども水が出ない。さっそ
く取り外し分解。圧力をか
ける空気室の膜が破れ、タ
ンクに水が入ってしまって
いて修理不能。代替え部品
を手配。志摩に帰ってから
ポンプ交換とする。
夜は、勝浦の「桂城」で食事。マグロ料理。4回目であろうか、大将は私のこ
とを覚えている、又は毎回思い出してくれている様子。ヨットが印象に残るよ
うだ。船に帰って、寝る。
8月19日、5時20分、フィッシャリーナ那智離岸。
外洋に出るために大平石灯台を反時計、
推測航法で回る。天満湾の日の出。
2011/08/19 0600J
位置 33.38N/135.59E
針路 60度
風 SSW 風力1-2(風
速3m)
波高 0.5m
天候 b
志摩ヨットハーバーへの最
後のレグ。
213
後方、左の山頂に勝浦の「ホテル浦
島」。
スピンラン開始。風2~3m、真追手のため方位
を15度上に振る。うねりで時にスピンがつぶれる
が、橋本さん必死のトリムで4Kontを超える帆
走。対水スピードは6.4Knot。信じられないスピー
ド。沖にヨット。メインのみの機帆走から、いつ
のまにかジブが上がった。どこのヨットか皆目見
当はつかないが、お互い高めあう関係、ナウ。
出航から3時間。スピンセーリング快
調。風も上がって6Knot。本船航路の
内側、熊野灘を行く予定がスピンを上げ
る関係で15度ほど上っている。このた
め本船航路に入りつつある。潮岬のよう
に込み合うことはないので、このまま本
船航路に少し入る予定。
ジャイブ、ナウ。本船航路から離れる。うねりの波長が長く、近くに見える本
船が大きくピッチングしている。
風力が上がり、速度も対地5Knotを超
えている。スピンシートが引っかかる恐
れがあるので、岸壁に上るときに利用す
る梯子を艇のサイドから船尾に変更。帆
214
走重視艇へと改良が進む。アン5のスピンランで、ケンケンをセットする時刻
は少し遅くなったが、今日のディナー用の刺身獲得を目指す。
「船尾にイルカの群れ!ジャンプ中」の声。カメラを持ってデッキに飛び出し
たが、2頭のひれが左舷に見えただけで、写真には撮れなかった。5、6頭の
群れであったようだ。
2011/08/19 1200J
位置 33.58N/136.18E
針路 28度
風 SW 風力1-2(風速3m)
波高 0.5m
天候 b
風が落ち、スピンの限界、間もなくメインのみの機帆走になる見込み。
志摩ヨットハーバー着艇見込みは、本日午後5時半。
ケンケンヒット、ナウ。シイラ・・・。カツオ狙いのため、リリース。
215
間もなく帰港。小笠原、南大東島、宜野湾、座間味、古仁屋、いろいろな方に
お世話をいただき、感謝の念でいっぱい。
16時40分に志摩ヨットハ
ーバー、アン5の自艇バー
スに戻った。写真はバース
に向かい、五ヶ所湾内を機
走するアン5。スピンはバ
ウデッキに置き、いつでも
展開できる体制であった
が、全航程追い風であった
からできたこと。
216
オーナー仲間のTMさん
が、ハーバーを見下ろす素
敵な別荘で帰還のお祝いを
してくれた。TMさんは、
今回の小笠原・沖縄のグレ
ートトライアングルを提案
してくれた人。「トライア
ングル内を私たちのお庭に
しよう!」と、盛り上がっ
た。
217
⓫あとがき
一昨年、日本周航をした。この時、ツイッターで発信したつぶやきを「ヨット
アン5のつぶやき航海記」として電子本にまとめた。無料で提供した電子本は
800人以上の方にダウンロードしていただいた。今回の航海記録は前回の二番
煎じとも思えたが、周りの人に勧められて再度電子本とすることにした。
今回の航海で、人から冒険家と言われた。未知への挑戦と言う面では、人生や
仕事の上でもそうであったかもしれない。「将来独立する」と口に出したのは
中学卒業の時。それを聞いたガールフレンドから「駒ちゃん電気屋さんになる
の?」言われ、答えに困った。その頃ベンチャーなどと言う言葉も知らなかっ
たがただ漠然としたしかし、相当の決意と言うか思い込みがあったのは確かだ
った。
42歳で独立、独立後25年間、(妻であり専務の)マネージャーと共に言うに
言われぬ苦労があったが私たちが不幸と思ったことは一度もなかった。自分で
選んだ道だから当然。がしかし一方で、生活が楽と思ったことも一度もなかっ
た。
ようやく65歳を過ぎる頃、マネージャーのあくなき努力と社員や息子たちの
力によって、会社が新しいビジネスを展開し、普通の会社になり、私たちも人
並みの生活ができるようになった。
昔から愛読してきた「キャビン夜話」の著者田辺英蔵さんの随筆で「至福の十
年間」のフレーズを読んだ。この言葉を実践することにして、私の人生最高の
10年を65歳から始めることにした。
ヨットの楽しみ方は十人十色。そして至福の時、リタイア後の過ごし方も、十
人十色。だから、「ヨットのこんな楽しみ方があります」もお知らせする意味
があると思った。
人生最高の10年の後は、人生最高の余生を5年。その後は余生のおまけを5年
そして、このおまけの半分、ちょうどリニア新幹線が開通するころ、82.5歳で
人生を終える算段で、これからも頑張ろうと思う。
218
沖縄からのパートナー橋本さんに原稿を見てもらった。クルーザーヨットの安
全性やセーリングの楽しさ、座間味の素晴らしさやアクアミューズの楽しさな
どをもっと書いたら・・。観音開きは圧倒的に早い?など、いくつかの指摘を
受けた。橋本さんには「ツイッターなので修正しにくい・・」などと言い訳を
することにしたが次回は、「クルージングヨットへの招待」を橋本さんと共著
する他に、道は無いと思った。
今回の航海では、小笠原の父島や南大東島で大変なお世話になった。また宜野
マリーナでは多くのヨットマンに、そして座間味のみなさん、古仁屋でも、那
智勝浦でも・・・。こうした人の助けを借りて楽しく充実したクルージングが
できたことをありがたく心から感謝しています。
沖縄から、パートナーとして乗ってくれた橋本さんには、最高に楽しくクルー
ジングできただけでなく、帆走の醍醐味をあらためて気付かせてもらい、今後
の私のヨットライフに大きな影響を与えてくれたと感謝しています。
たまたま法事で会った従弟の嘉孝さんが文字校正をしてくれた(あとがきを除
く)。前回の航海に比べて誤字脱字は完璧になくなった。この才能、パワーに
敬服し感謝しています。
この大トライアングル航海にお力添えをしていただいたすべての方に、ここ
に、心から感謝申し上げる次第です。
2012年2月
ヨットアン5オーナー
駒井俊之
219
⓬用語集
用語
AIS
説明
自動船舶識別装置。大型の船に搭載を義務付けられた装置。数
秒ごとに、自船の名前と、現在の緯度経度や速度、針路方位な
どを電波で発信して周囲の船に知らせる仕組み。小型船舶も搭
載することができ、Anne5も搭載している。
画面に、自船の位置や周囲の地形を表示する装置。目的地や変
GPSプロッター
針点をセットしておくと、進むべき方位やそこまでの距離を表
示するなどの機能がある。
J24
世界的に普及している小型クルーザー型レース用ヨット。
あらかじめ航海計画を報告、24時間以内に現在位置などを海上
JASREP
保安庁に報告しておくことによって、非常時、船同士が相互に
助け合う仕組み。決められた時間内に現在地を報告しないと救
助が始まってしまうことがる。
Knot
220
ノット。船のスピードを表す単位。一時間に進むマイル数。時
速の㎞に直すには、2倍して0.9を乗ずる。
LOG(ログ)
一定時間ごとなどに記録する、自船位置や速度、海況などのデ
ータ。
OpenCPN
航海支援用パソコンソフト。電子海図上に、自船とAISで受信
した他船の関係を示すほか、航海計画の表示や接近警報などの
機能がある。
p(ポ)
風が強いときにセール(帆)を小さくする単位。3pで、セール
面積がおおむね1/2となる。
RIAL
真の風。マストトップに付いている風力計は、艇の速度が影響
して見かけの風速となる。風の向きや艇速を考慮した本当の風
速を真の風速と言う。
ShipPlotter
AIS活用パソコンソフト。レーダーモードで表示すると、レー
ダによる影ではなく、相手の船名や大きさ、速度、針路、目的
地などが分かる。AISを搭載していない船(自衛艦や500トン未
満の内航船、漁船)も多いので、レーダーなどと共に、ワッチ
の補助として使うことになる。
VHF
国際VHF。船とその関係者が使う無線通信。世界中の船と保安
庁やコーストガードなどが、連絡用に使っていて、誰もが16
チャンネルを聞いていて、いつでも呼び出して話すことができ
る。
アール
セールのカーブの深さ。上りで風が強いときは浅いアールにす
る。
アイスボックス
冷蔵庫。冷やすには、比較的大きな電力が必要なので、ヨット
では、その利用の是非を悩むもの。セーリング(帆走)中も回
しておくには、ソーラ発電などが必要となる。
アメリカのアップル社が提供する多機能電話機。画面を指で触
アイフォーン
(iPhone)
るだけで操作できるのは、革命的。その上、アイフォーン用の
何十万ものソフトがあり、便利で使いやすく、今後の携帯端末
や携帯電話機の主流になるのではないかと言われている。船上
での情報端末としたいものだと思っている。
アクアミューズ
セーリングカヌーの商品名。軽い船体(25kg)と心地よい帆走
性能で、ヨット遊びや練習用にぴったり。Anne5のクルージン
グには、デッキに2ハイ積んで走っていた。
アクティブスピーカー
アップストアー
(App Store)
アビーム
イヤホーンの信号をスピーカーで聞くことができる装置。安価
でいろいろな機種が発売されている。
アイフォーンのソフトや音楽を買うことができる、ネット上の
お店。iPhoneやiPadでは、指先で画面を操作するだけで簡単に
購入できる。
横から風を受けて帆走すること。アビームは、ヨットがもっと
も効率よく、早く走ることができる。
アプリ
アイフォーンやパソコンで使うことができるソフト。アプリケ
(アプリソフト)
ーションソフト。
アモス
アメリカの童話、Amos&Borisに出てくるネズミの名前。Anne5
オーナーが翻訳して、元本と共に孫たちに配ったりしている。
アンカー
錨(いかり)。30kgほどの重さだが、チェーンでつながってい
て、その総重量は200㎏を超える。Anne5では、いつでも出せ
るように船首に装備している他に、コックピットロッカーに予
備アンカーを積んでいる。
アンカリング
アンカーを下して船を留めること。アンカリング中は、風や潮
流でアンカーが流されていないか注意が必要。アンカーの効き
が悪く流されてしまうことを走錨と言う。
アンダーザテーブルJ
OB
通常の仕事の他に、(机の下でごそごそ)取り組む仕事。当社
ネオレックスでは、20%程度までは許される。
イグニッションキー
エンジンを回すためのキー。車との違いは、止める時に、スト
ップボタンを押してエンジンが完全に止まるまで待って、OFF
する。そうしないと電気系統が壊れる。
位置
123.45N 北緯123.45度を示す。Nは北緯、Eは東経。
イリジウム
国際的な衛星電話。このほかにインマルサットがある。国内の
正規サービスは機器、通話料ともに高い。安価な外国のサービ
スもあると聞く。
インバーター
船に積んでいるバッテリー(DC12V)から、家庭で使うAC100V
を作り出す装置。Anne5は600Wタイプを搭載しているが、
600Wをもし使うとすると、 バッテリーから50Aの過大な電流
を取り出すことになるから、電圧降下やケーブルの発熱などの
関係で、5分は使えないと思わなければならない。
221
重い重いアンカーを巻き上げる専用のウィンチ。大量の電流が
ウィンドラス
流れるので、必ずエンジンを回し、発電しながら使うようにで
きている。
GPSプロッターに設定する変針点などのポイント。カーソル
ウェイポイント(WP)
や、海図で調べた緯度経度を数値で入力するなどの方法で設定
する。WayPoint。
風上へ上ろう(向かおう)とする力。セールの推進力の中心と
ウェザーヘルム
ウェット
キールの抵抗力の位置のずれで発生する。この力を舵で修正す
るのは無駄な力でロスとなる。ジブとメインの推進作用点を後
方へ下げるとなくなる。(➡リーヘルム)
濡れている、湿っている状態。
セールをはらませたとき、はらんだセールの裏側に入ってく
裏風
る風。裏風が入るか入らないかの限界点にセールをトリム(調
整)すると、ベスト。
燃料タンクの量が少なくなったとき、船が揺れると、エンジン
エア抜き
への燃料供給パイプに空気が入り、エンジンが止まってしま
う。こうしたときにパイプの空気を抜く作業。
エルボ
L型にまがったパイプの部品一般を言う。エンジンの排気口は
エルボになっている。この部分は、冷却に使った海水と排気を
一緒に吐き出すので、腐食が進みやすい。Anne5では、昨年、
溶接で補強した。
222
エンジン
Anne5の場合は、ヤンマー社製のディーゼルエンジン。48馬力
4気筒。ディーゼルは、点火に電気によるプラグを使わないの
で、水に強く、シンプルで故障が少ない。昨年、ハウステンボ
スで故障した部品が、翌日朝には届くなどヤンマーのサポート
体制は良い。
オートパイロット
内蔵するコンパスで、設定された方位に進むように自動的に舵
を取る装置。GPSプロッターとつなぐと、WPへ自動的に向かう
機能もあるが、Anne5では、単純に、その時の方位を守るよう
にAUTOボタンを押す。進度の変更は、1度又は10度単位の変針
ボタンで微調整する。オートヘルともいう。
オーナーズチェアー
船の後部の転落防止用のステンパイプ(パルピット)に組み込
まれた椅子。見晴らしがよく安全なので、オーナー気分になれ
る。
オーパ
オートパイロットの略呼称。
オーバーヒール
帆走性能を損なうほど大きな船の傾き。
オールハンズ
乗員全員が、デッキに出るなどして作業すること、
オモテ(面)
船首のこと。古くから船乗りに定着している言葉。ヨット用語
では“バウ”。(➡トモ(艫)、スターン)
オルタネーター
海図
風、E、W、S、N
エンジンに付いている発電機。自動車に付いているそれと同じ
もの。
海上の地図。チャート。海域によっていろいろな縮尺がある。
昨年の日本周航の時は30枚ぐらい用意したが、今回の大トライ
アングルでは、東京湾からルソン島まで入った1枚の海図だけ
を買い足した。
風向き。East(東)、West(西)、South(南)、North(北)を示
す。
双胴船。小型のディンギーから、大型のヨットまである。船体
カタマラン
が平行に2体あり、船が傾かない。横倒しになった時起き上が
れないと心配するが、大丈夫のようだ。
真追手で風を受ける時、メインセールの反対側にポールを出
観音開き
ギアドモーター
してジブセールを張るもの。2枚のセールが観音開きの形とな
る。
ギアーを組み込んだモーター。回転数を抑えて強い力を発揮す
るなどできる。Anne5特製電動ウィンチは、日本製のギアドモ
ーターを採用して自作したもので、信頼性も高い。
キール
ヨットの船底に突き出している、重い板状のかたまり。風上に
向かうときに横流れを防ぐのと、重心を下げる2つの目的があ
る。
気象FAX
気象庁が、ほぼ24時間、電波で送信している気象データ画像サ
ービス。現況の天気図や予想、台風進路予想などを、20分単位
程度で、それぞれの画像を一日に数回発信をしている。通常の
短波受信機とパソコンがあれば、だれでも受信できる。
機帆走
セールとエンジンを同時に使って走ること。
キャビン
船室。船の中央にある主船室をメインキャンビン。その他に
Anne5には、4室あるがそのうち2室は物置と化している。
グーグルアース
アメリカのグーグル社が無償でネットに提供している、全世界
の航空写真、地図。
クォーター(クウォー
ターリー)
斜め後ろから風を受けた帆走。風が前に振れるとアビーム、後
ろに振れるとランニングとなる。
クルージングスピン
追い風の時に、前方に広げる軽くて巨大なセールがスピン。こ
れを小型にして扱いやすくしたのがクルージングスピン。長い
靴下のようなカバーで覆ったままセールを揚げ、その後で靴
下を脱がせて展開するための、便利なソックスをAnne5は装備
している。本来、スピンポールを使って展開するが、Anne5で
は、このセールをゼネカーのように船首に固定して展開してい
るので、風下への角度が必要となり、風下へのセーリングでは
その効果が限定的になる。
223
ク ロス(クローズド ホ
斜め前から風を受けた帆走。Anne5は、風に向かって、45~50
ールド)
度で進むことができる。
減圧弁
ケンケン
スキューバをする時に背負ったタンクの空気圧を、海中で人が
口で吸いこむことができるよう圧力調整する器具。
航海中に船尾から流す釣り用具、方式。浮がしぶきをあげ、魚
を呼び寄せ、イカの疑似餌にカツオやサバ、シイラが掛る。
夜間、他船に自船の向きを示す灯火。左に赤(左舷燈)、右に
舷燈
緑(右舷燈)をかざす。相手船の赤を見たら避け、緑が見えた
らそのまま行くことができるルール。
通常船の後部、背もたれなどで仕切られ一段低くなっていて、
コックピット
舵があるエリア。Anne5の場合、操船のすべてがこの中で出来
るので、トラブルがあるなど以外は、ここから出て船首などへ
行くことはない。
コックピットから船内(キャビン)に入るための階段。航海中
コンパニオンウェイ
は、この最上段に座って、前方や周囲を見る(ワッチする)時
間が、最も多い。
コンプレッサー
スクリューの点検や船底磨きなどで海中に潜るときに、エアー
を送るための機械。小一時間潜ったことがあるが、疲れ果てて
危険。又、時々使って慣れていないと、いざというとき使えな
いことが今回分かった。
サイホン式油面計
自作したメインタンクの油量計。不要となった発電機への給油
パイプに透明ビニールをつないで、サイホンの原理で油面の位
置を外部から見えるようにしたもの。航行中は船の揺れで、大
まかにしか読みとれない。
左舷
船の左側面。左側、ポートサイド。(➡右舷、スターボードサ
イド)
シールテープ
水道工事をする時に、パイプのねじに巻きつけて締め、水漏れ
を防ぐテープ。
シェークダウン
船の建造や改修をしたとき、実際に船を走らせて不具合を調べ
たり改善点を見つけること。
シバー
風が無かったり、真正面から吹くなどして、セールに風がはら
まず、バタバタすること。
ジブ(ジブセール)
マストの前部に展開する帆(セール)。メインセールに当たる
風の流れを整える機能と自身で推進力も発生する。
ジブシート
ジブセールの端(クリュー)を後方へ引くシート。右と左へ張
ることがあるので、それぞれ用に2本ある。風が上手くはらむ
ように長さを調整する。調整するポイントは、裏風(セールの
裏側へ回る風)がほとんどない状態まで常に出す。引き過ぎな
い。
224
風が強くなってジブセールをリーフした(一部を巻き取った)
ジブシートリーダー
とき、セールの後ろ端(ジブクリュー)を引くブロック(滑車)
の位置を前方に変えるなど調整するためのレール。
ジブセールを上げるためにマストの上部から降りているロー
ジブハリヤード
プ。ファーラーがある場合は、台風などの時以外はジブを下さ
ないので、いつも上げた状態になっている。
ジブセールを小さくしたり、格納するために巻き取る装置。マ
ジブファーラー
ストを前方から引いて支えるフォアステーに巻き付ける形とな
る。
後方から風を受けているとき、メインセールを左右入れ替える
ジャイブ
こと。一旦十分に引き込んで、舵で風下に船を向け、裏風の力
を少し借りて入れ替える。
ナチュラルジャイブがあった時、ゆっくりセールが入れ替わる
ジャイブプリペンダー
ようにするための減速・抵抗装置。昨年、これがなかったの
で、八戸沖で強風の中、ナチュラルジャイブを繰り返ししてロ
ープを切ったりステーのターンバックルを3本も痛めた。
シャックル
シャワールーム
金具やロープをつなぐための部品。U字型の開いた方にピン(シ
ャックルピン)を差し込みねじ込んで締める。Anne5には、各
種サイズのシャックルを予備として積んでいる。
シャワー付きトイレが2室あり、一方をトイレ専用に、他方を
食料一時置き場兼、シャワールームとして使っている。
シュノーケリング
マスク(水中眼鏡)と水面で空気を吸うシュノーケル及びフィ
ンの3点セットを使う潜水方法。
シンク
船内の台所の流し。
シングルハンド
一人で航海すること。
ジンバル
船内で使うガス台をいつも水平に保って、料理ができる仕組
み。
スキューバー
空気のボンベを背負って潜水する方法。
スターボード
右側。(➡ポート)
スターボードタック
右開きの意味。セール(ブーム)が船首に向かって、左側に出
ていて、右側が空いている状態。反対はポートタック。ヨット
レースでは、ポートタックのヨットは、スターボードタックの
ヨットを避けなければならないルール。(➡スターボードタッ
ク)
スターン
船の後方部分。昔からの船乗り言葉では、艫(とも)。(➡バ
ウ、オモテ、面)
スターンチューブ
スクリューシャフトが船底を貫通するところに使い、浸水を防
止する部品。
225
ステー
ストップボタン
スピン(スピネーカ
ー)
スピンポール
マストを周囲から引いて保持するワイヤー。位置によってフォ
アステー、サイドステー、バックステーと呼ぶ。
電気を使わないディーゼルエンジンは、車のようにイグニッシ
ョンスイッチで切りにしてもエンジンは止まらない。このた
め、デコンプ(シリンダーの圧力を逃がす)するためのストッ
プボタンを押してエンジンを止める。
追い風の時に、ジブセールの代わりに艇の前方に展開する、薄
くて巨大なセール。
スピネーカーを展開するために、メインセールの反対側に、マ
ストから横に突き出すポール。
スピンラン
スピネーカーを揚げて(展開して)帆走すること。
スプリング
ばね。
スプレイ
しぶき。スプレイをかぶるなどと言う。
スライドハッチ
コンパニオンウェイの上部をふさぐスライド式の半透明の板。
Anne5では、この板をコックピットのチャートテーブルにし
て、海図やPCを広げている。
226
セーリング
帆走。セールを揚げて走ること。機帆走ではない状態。
セーリングカヌー
セールを装備して帆走できるようにしたカヌー。国内では、日
本で著名ヨットデザイナー横山親子が設計し、琵琶湖隊とか木
曽川隊などの同好グループがあるアクアミューズを指す。
セールアップ
セールを揚げること。
セールダウン
セールを下す、又は巻き取る、格納してしまうこと。
セールトリム
セールの形を風に合わせて整えること。セールのトップ(ピー
ク)とタック及びクリューを締めるとセールがフラットになり
アールが浅くなるなど、調整をする。
ゼネカー
ジブセールに代えて、より大きく展開できる軽いセール。主と
してアビーム又はクオータリーで使用する。セールのタック(
前方下)を船首又は、船首から前方に伸ばしたポールの先に固
定する。
ソレノイド
電気を通すと磁石で心棒を引いたり押したりする電気部品。
ターンバックル
ステーやライフラインの長さを調整する部品。棒の両端にねじ
が反対に切ってあり、バックルを回すことで、伸び縮みを調節
できる。
タッピングビス
薄い板や樹脂に使うビス。もみ込んで固定するもので、形は、
木ビスと似ているが、ビス部分が斜めになっていないもの。
ダブルハンド
二人で船に乗って、航海すること。
チャート
海図。電子海図も普及してきているが、Anne5は海図が主で、
GPSプロッターなどは、その補助として使う。
チャートテーブル
船内にあって、海図を広げる机。Anne5では、2台のパソコン
が占拠している。
沈(ちん)
1ないし2人乗りの小型ヨットが転覆すること。沈起しは、新
人の初期のトレーニング項目。
ミニブログ。140文字以内の文章を簡単にネットにアップでき
る仕組み。仲間が書いた文章をいつも見たい場合は、フォロア
ツイッター
ーとして登録したおくと、ごまんとある中から、フォローして
いる人たちの文章だけを見ることができる。ツイッターの意味
は、”つぶやきをする人、つぶやき装置”など。
ツイット
デーライン
つぶやきそのもの。「ツイッターにツイットした」と言う使い
方。
その日一日で航海した距離。
エンジンを止めるエンジン内部の動作。シリンダーの穴を開
デコンプ
け、圧力を抜き、圧縮による点火ができないようにして、エン
ジンを止める。
デッキ
船の上部全体。コックピットエリアを除く場合がある。
天気 b、c、r
天気記号。晴れ、曇り、雨の意味。
テンション
ロープなどにかける、張力。引っ張り具合。
テンダー
通い船。沖にアンカリングしたとき、岸まで行く小型のボー
ト。ハードやゴムボート、手漕ぎやエンジン付きなどがある。
トーレール
デッキと船体(ハル)の接合ライン上に取り付ける、穴の開い
た金属製の板。普通、船をぐるりと巻いている。
ドジャー
コンパニオンウェイの上部を、雨やしぶき風から守る覆い。通
常はたたんである。外洋ではハードドジャーが常識と言われて
いるが、Anne5は、折りたためる、ソフトドジャー。コックピ
ットから前方を見る解放感が捨てきれない。
トッピングリフト
スピンポールの位置を決めるために上からつりさげるロープ。
トッピングリフトの他に、前方へフォアガイ、後方へアフタガ
イの3本で、スピンポールの位置が決まる。
トモ(艫)
古来、船乗りの用語で、船尾のこと。ヨット用語では“スター
ン”。
トリミング
セールのアールや各種シートの張り具合を調整して、帆走性能
を引き出すこと。
トレースモード
レーダーで、表示した影をそのまま消さずに帯状に表示し続け
ること。この表示で、相手船の変化した方向などが分かる。
ナイト(ナイトセ ー リ
ング)
夜間航海すること。
227
追い風で帆走しているとき、風や波、舵の関係で、突然セール
が左右入れ替わること。ブームがすごい勢いで入れ替わるの
ナチュラルジャイブ
で、頭を打って落水、失神のまま溺れる危険がある。ヨットで
最も気を付けなければならないことの一つ。Anne5の場合は、
コックピットに立っていても頭上を通過するので、まだ良い
が、一般的には、必ず、頭が当たる。
ニアミス
ネット
衝突まではいかないが、接近すること。
インターネットのこと。船上では、無線ランや携帯電話網、衛
星電話などで接続する。
ネットサーバー
インターネット上にあって、いろいろな目的でデータを大量に
ためることができる装置。
バース(桟橋)
マリーナで船を係留して保管する桟橋。
バース(寝床)
船内で、主として寝る部屋。
安全索。人と船体を結合して、落水などを防ぐロープ。肩と腰
のベルトと、そのベルトにつながって容易に船体の金具やワイ
ハーネス
ヤーにひっかける部品で構成される。夜間航海やシングルハン
ドでは、船内にいる時以外は、ライジャケと共に、必ず付けて
いる。ビル工事などでも使われているもの。
228
ハーバー
港。ヨットの係留施設は、ハーバー、又はマリーナと呼ばれて
いる。
ハイ、パイ
船を数える単位。1パイとか2ハイとかいう。1隻、2隻の意味。
バウ
船の前部のこと。古来の船乗り用語では、”オモテ”。(➡スター
ン、オモテ、面)
バウデッキ
船の前部の甲板。
はえ縄
漁具の一種。餌を付けた糸を一定間隔にぶら下げたロープを海
中 に流す漁法。マグロの場合は、ロープの長さは数キロに及
ぶ。
パッキング
キャップの内側に敷いて、栓をしたとき漏れないようにするた
めのゴム板、又はゴム輪。
ハッチ
ヨットに付いている窓。確実な防水構造で、夜間、キャビンの
光が外へ洩れないようにすべてのハッチにカーテンが付けてあ
る。
ハリヤード
ジブセールやメインセールを揚げるロープ。ジブハリ、メイン
ハリ、スピンハリなどと略して言うことがある。
ハル
船体。上部のデッキを除いた、船体側面を意味することがあ
る。
瞬間的に出る電気信号。流量計や速度センサーでは、羽根に磁
パルス
石を埋めておき、その磁石がセンサーの近くを通るとこれをパ
ルス信号として取り出し、計測を行う。通信分野では、このパ
ルスがある、ないで、デジタル通信が行われている。
ヒール
セールに受ける風によって、ヨットが傾くこと。ヒールするな
どいう。
ピッチング
波などで、船が前後に揺れること。
ビニミ(ビニミトッ
プ)
コックピットに日陰を作るカバー、シート。使わない時は、
Anne5では後方、頭上にまるめている。
ビルジポンプ
ピンホール
ブイ
船底にたまった水を排水するポンプ。船底に水がある場合は、
まず最初になめて、海水か淡水かを調べることが大切。自動的
に感知して排水する方法と、手押しポンプで排水する方法が
る。
ハリで開けたような穴のこと。
海上に浮かべる印。魚具を沈めた位置を示す簡単なものから、
航路を示す小型の浮標まで、幅広く指す。
フィリップフロップ
パルスが来るたびに出力が反転する、ロジック回路。
ブーム
メインセールの下部を留める太いアルミパイプ。セールの出し
具合を調整するメインシートは、このブームの出し入れを調整
する。
ブームバンク
ブームを下へ引いて、セールの大きさやアールの深さを調整す
る装備。ブームが下がらないように持ちこたえる機能もある。
フェンダー
船の周りにぶら下げ、岸壁やほかの船との接触を防ぐ、防舷用
具。空気が入った筒状のものが多いが、Anne5では、直径1mほ
どの滴型フェンダーを使っている。
フォアガイ
スピンポールの位置を決めるために下方に引くシート。この
フォアガイとトッピングリフト、後方へ引くアフタガイの3本
で、スピンポールの位置が決まる。
フット
セールの下の辺。メインセールの場合は、ブームに沿った辺。
フラットフェンダー
棒状や滴型フェンダーに対して、2m×1mほどの板状の防舷用
具。
ブランケット
山や島影などで風が遮られ、弱くなったエリア・海域。
ブリッジ
ヨットの船尾に、レーダーやソーラパネルなどを取り付けるた
めに付ける門型梯子。
フル(フルセール)
セールをリーフ(縮帆)することなく、目いっぱい展開するこ
と。
ブロー
突然強く吹く風。息を吹きかけられるように、一瞬吹き付け
る。
229
リーチングやランニングで、ブローを受け、ヨットが倒れんば
ブローチング
かりにヒールして、舵で一時的にコントロールできなくなり、
風上へ切りあがってしまう現象。
ブロック
滑車。
プロトコール
電気通信上の通信手順。送っていいですか?いいですよ!など
の手順。手順確立までなどをハンドシェークともいう。
プロパーコース
ヨットが目標に向かう正しいコース。上りの場合は、ジグザグ
コースとなるため、上り一杯がプロパーコースとなる。
プロペラシャフト
230
スクリューシャフト。スクリューを回すために船底後方に突き
出した棒。
ベア・ベアリング
ヨットが風下へ向かうこと。風下は、ブームが出ている側。風
下のことを「シモ」と言うことがある。(➡ラフ)
ヘサキ(舳先)
船の前部。ヨット用語では“バウ”。
ペラ(プロペラ、
船を推進するための羽根。回転は、エンジンから直結してい
スクリュー)
て、シフトギアはない。
ヘルム
舵とり。ヘルムスマンは、舵を取っている人を指す。
ポ・ポイント
(リーフ)
➡Pポ 参照。
ボー(Baud Rate)
通信速度。テレタイプの時代は毎秒英数字10文字、。今は、毎
秒1千万文字。でも、衛星電話では、ハンドシェークに手間取
って、メールは実用不可。ショートメッセージ機能があるそう
だが、英数字のみとのこと。
ボースンチェアー
マストに上るとき使う、椅子。
本船
海の人は、小型船舶以外は、なんでも本船と言うことがある。
ポンツーン
マリーナなどにある、船を留めるための浮桟橋。
マイル(海里)
海上の距離を示す単位。1マイルは1.825Km。道路のマイル
1.6Kmとは違う。これは地球の緯度の1分を1マイル(海里)とし
たから。
マストヘッド
マストの天辺。マストトップには、航海燈、停泊燈、風速セン
サー、風向きセンサー、風見(目視用)、国際VHF/AIS共用アン
テナなどが装備されている。
マストリーフ
メインセールをリーフ及び格納する仕組み。ジブセールはフォ
ーステーに巻き付けたが、Anne5のメインセールも、、マスト
の中の心棒にセールを巻きつけて、リーフしたり格納したりす
る。
マリーナ
主としてレジャー用のボートやヨットを係留する場所。宜野湾
マリーナなど、志摩の場合は、志摩ヨットハーバー。
ミート
船と船が接近すること。
航海中、周囲の状況を確認すために、コンパニオンウェイから
ミーヤキャット
顔を出す様が、立ち上がって周囲を警戒する上野動物園のミー
ヤキャットに似ていると思った。
メイン、メインセール
メインシート
メインシートトラベラ
ー
メインタンク
マストに沿ってあげる、ヨットの主となる大きいセール。小型
ディンギーではメインセールだけの船もある。
ブーム(すなわちメインセール)の出し入れを調整するロー
プ。
ブームの引き込み量を調節するために下部のブロックの位置を
調整するレール。上り一杯になると、風上側へ引き、ブームを
できるだけ引き込みたくなる。
主となる燃料タンク。
主船室の中央にある、テーブル。Anne5では、テーブルを下し
メインテーブル
てマットをはめると、周りのソファーと高さがそろって、大き
なベッドになる。
メーラーソフト
メールを送信するためのパソコンソフト。
モバツイ
ツイットする時、簡単な操作で写真を付けることができるソフ
ト。携帯の写真をアップする時、特に便利。
もやい、舫い
船を留めるもの。もやいロープ。舫う。
ヤンマー
日本の主力ディーゼルエンジンメーカー。丈夫さと部品供給力
が良いと思う。
ライジャケ
ライフジャケットの省略呼称。
ライフジャケット
救命具。一人乗りの漁船は装着義務があると聞くが、ヨットの
場合の法律にはないと思う。しかし、海上保安庁は、全員装着
を強力に指導している。
ライフライン
船の周りを転落防止のために囲っている、ワイヤー。
ライフログ
生活の中で、睡眠や勉強時間、家事の時間などを記録したデー
タ。こうしたデータを集め、分析することで、願う夢をかなえ
ようというのが、当社製iPhoneソフト、”MyStats”。
ラット
舵輪。大きなわっぱの舵。船が大きくヒールしたとき、風上側
に身を乗り出しても手が届くように、大きなわっぱとなってい
る。大型だからと、コックピットを広く使うために、左右に2
個ラットを持つ船も出てきた。小型ヨットでは、舵に直結した
棒、テラーとなる。
ラ二ヤード
セールを上げるためのロープ。メイン、ジブ、スピンの3種類
あり、メインラ二ヤードなどと言う。
ラフ・ラフィング
ヨットが風上へ針路を向けること。風上とは、風を取り入れて
いる側、ブームがてている反対側。風上のことを「カミ」と言
うことがある。(➡ベア)
231
リーチ
リーフ
セールの後ろの斜めの辺。
セールを、風の強さに合わせて小さくすること。セールを変え
たり、一部を下したり、巻き取るなどの方法がある。
リカット
古くなったセールを修正すること。
リフレクター
ヨットでは、レーダーリフレクターのことを言う。
リリース
レーダー
釣った魚を海に戻すこと。ニュースを新聞社などの連絡するこ
と。ソフトの新製品や改善版を流通させること。
暗闇や霧の中でも周りの船や陸地の位置が見える装置。フルノ
製小型レーダーは27万円ぐらい。
レーダーアンテナドー
レーダーの回転するアンテナを収容する、鍋を伏せた形のドー
ム
ム。
FRP(樹脂)で出来た船は、周りの船のレーダーに映りにくいの
レーダーリフレクター
で、レーダー波の反射を助けるための器具。法定装備品ともな
る。
レグ
ワッチ
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コース。トライアングルの第一レグは、三重から小笠原だっ
た。
自船の周りを目視監視すること。安全航海の鉄則。
ファイブ
ヨットアン 5 のつぶやき航海記 2
大トライアングル編
駒井俊之 著
© Toshiyuki Komai
発行 2012 年 2 月 20 日
発行者 横山三四郎
出版社 eブックランド社
東京都杉並区久我山4- 3- 2 〒 168-0082
デザイン:川端幕府
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