社会科学系小論文 推薦図書 - KIFL info-web

【推薦図書①】情報と消費から社会を見る
『現代社会の理論 -情報化・消費化社会の現在と未来-』
[社会科学系小論文 推薦図書]
見田宗介著 /岩波新書
「環境と資源の限界」「世界の半分が飢えるという限界」という、
経済学部,社会学部,国際学部,法学部,総合科学部など
二つの限界問題をとらえながら、現代の社会について展望した書。
環境問題や南北問題が、情報化社会・消費化社会の原理そのものに
社会科学系学部では、法学、政治学、経済学、社会学、社会福祉学といった観点から、
現代の社会現象を研究する。この分野で求められるのは、現代社会の様々な課題に対す
る関心と、それを分析し、解決策を提案する能力を求められる。この為、出題テーマと
して時事的な問題が頻出されている。出題されるテーマについて、問題の背景を政治、
経済、国際社会の動きなどを含めて考えておくことが必要になる。又、ある
複数の視点や観点から分析、考察する論理的な思考法も身につけておく。
現象を
よって生み出されること、にもかかわらずこの社会が魅力的であ
り、未来への可能性を持つことが論じられている。
【推薦図書②】ワーキングプアの人たちの実態を知る!
『ワーキングプア
いくら働いても報われない時代が来る』
門倉貴史著/宝島社新書
所得格差が広がる中で、
「ワーキングプア(働く貧困層)
」と呼ばれ
【社会科学系
小論文頻出テーマ】
る人たちが増えている。一生懸命働いても収入が低いという現状、
この問題の背景、具体的な解決策を、豊富なデータとワーキングプ
アの人たちへのインタビューをもとに解説。格差社会についての理
①現代社会特有の諸問題
格差問題や少子化高齢化問題など、現代社会において問題となっている様々なこと
について原因や関連を知り、自分なりの意見や考え方を持つ。
②経済システム・労働の問題
動きの激しい経済動向の中における日本企業の社会的課題や雇用問題について問わ
れる。それらの課題や問題について企業側と労働者側、両方の側から問題をとらえ、
自分なりの解決法を探る。
解が一層深まる。
【推薦図書③】文化・文明と国際社会について
『文明の衝突と 21 世紀の日本』サミュエル・ハンチントン著
鈴木主税訳/集英社新書
冷戦後の世界の国々は、文化や文明の違いによって、類別されつつ
ある。日本は、より複雑化する世界の中でどう行動していくべきな
のか?
国家対国家という過去の国際社会の枠組みではなく、民
族・宗教・領土・文化などが絡み合った「文明」の単位で現在の国
③国際社会とグローバル化
際社会を読み解いた一冊。日本がこれからどのような選択をすれば
いいのかを提示している。
グローバル化が進み、金(資本)
・情報・労働力・文化などがボーダレス化する現代
において、世界は今後どのように動くのか、その中で日本はどのような姿勢・態度
をとるべきかを考える。
【推薦図書④】再生可能エネルギーの可能性を探る
『分散型エネルギー入門』
④環境・エネルギー問題
地球環境問題の難しさや矛盾を踏まえ、その影響や対策法について考える。
伊藤義康著/講談社ブルーバックス
この本では、太陽光や風力など、あらゆる再生可能エネルギーのし
くみを丁寧に解説している。今後のエネルギー供給をどうすればよ
いかについて考えるときに、理想論ではなく現実的な意見を打ち出
すための手助けになる一冊だ。
[人文科学系小論文 推薦図書]
【推薦図書①】グローバル化が進む世界で相互理解を考えるための入門書
『異文化理解』
文学部, 人文学部, 外国語学部, 文化学部 など
青木保著/岩波新書
「文化」「異文化」をテーマにした入試で、最頻出の著者の本。文
人文科学系学部は、人間と、人間によってつくられる文化を学問の対象としている。し
たがって、「人間」「文化」、文化を支える「言語」が重要テーマとなる。これらのテー
マでは普段意識しない抽象的な問いが投げかけられることが多い。抽象的な内容を自分
自身へと引きつけて考える力、新たに与えられた観点から様々な現象を自ら読み解き整
理する力が重要となる。また、様々な問題を抱える現代社会を、人間の本質や文化的背
景から深く考察する力も求められる。「現代社会」の問題に着目し、背景を考える力も
養っておきたい。
化研究の第一人者がわかりやすく解説してくれるので、入門書と
して最適だ。異文化間の衝突が続く現代において、安易でステレ
オタイプな文化観に陥ることなく、真の相互理解をするための方
法がわかる。
【推薦図書②】言語のしくみを丁寧に解説
『教養としての言語学』
鈴木孝夫著/岩波新書
【人文科学系頻出テーマ】
私たちが日常使っている「言語」について、動物の伝達行動から
分析し、丁寧に解説している書。そもそも「言語」とは何か?人
間や社会の営みの中で、どういう役割を果たしているのか、「言
①文化
文化とは何かについて知識を深めるとともに、文化が人間・社会とどうかかわり、ど
のような対処が必要であるのかについて考えを深める。
②言語
文化の基本である「言語」は、どのような意味や役割を持つのか、さらに人間や社
会への影響に至るまで思考を深める。
語」の基本を押さえることができる。著者の『ことばと文化』は
入試でも頻出なので、あわせて読んでおきたい。
【推薦図書③】哲学の目で「わたし」を見つめる
『じぶん・この不思議な存在』
鷲田清一著/講談社現代新書
「わたし」って誰? 「自分」って何? 本当の「自分」ってどこ
③人間・生き方
人間とはどのような存在か、自分自身はどのように生きるべきか、客観的な視点と、
自分を分析する視点との両面から探る。
かにいるの?
自分固有の個性を自分の内面に求める常識を疑
って、他者との関係の中に自分の姿を描き出すことを提案してい
る。哲学書にもかかわらず、とてもわかりやすく書かれている編
入受験者にお薦めの名著。
④現代社会特有の諸問題
様々な問題の背景にある現代社会・現代人の意識の特徴、価値観について、現代人
の一人である自分自身に照らして考えを深める。
【推薦図書④】変容する社会における日本人の意識を知る
『現代日本人の意識構造[第七版] 』
NHK 放送文化研究所編/NHK ブックス
日本人の意識が 35 年間でどのように変わってきたのか? 時代背
景とともに解説している。例えば女性の働き方への意識や、子ども
を持つかどうかという意識が、大きく変わってきていることがうか
がえる。社会の移り変わりと、日本人の意識の変化を関連づけなが
ら考えてみよう。
【推薦図書②】教育問題と労働問題をあわせて考える
[教育系小論文 推薦図書]
『下流志向
学ばない子どもたち働かない若者たち』
内田樹著/講談社文庫
教育学部(文系) など
学ばない子どもたちの増加と、働かない若者たち(ニート)の増加という問
【教育学部頻出テーマ】
の考え方はどのようなもので、どのような歴史的文脈の中で生まれてきて、
題の背景には、社会全体に流れる共通の考え方があると筆者は主張する。そ
広まってきたのかについて考えていく。教育問題と労働問題について同時に
考える中で、すべての現代日本社会の問題に通じる、日本人の意識の変化に
①教育・若者・子ども
ついて知ることができる一冊。
学校という視点から現代の若者や子どもの置かれた状況と、これからの教育のあり
方を考える。
【推薦図書③】日本と世界の文化の関係がわかる
『17 歳のための世界と日本の見方セイゴオ先生の人間文化講義』
②現代社会での生き方
現代社会における様々な問題について分析し、新たな生き方を考えるための視点を
獲得する。
松岡正剛著/春秋社
文化はどのように生まれ、変化してきたのか、人々は文化にどのようにかか
わってきたのかをイラスト入りでわかりやすく解説している。日本の文化と
世界の文化の意外な共通性もわかる。歴史の教科書とは違う観点から、日本
③文化論と異文化理解
グローバル化が進む現代において、日本文化を含む文化への認識と、異文化につい
て考えを深める。
の文化、世界の文化の見方、考え方を学んでみよう。
【推薦図書④】自然と人間のつき合いかたを考える
『いちばん大事なこと―養老教授の環境論』
養老孟司著/集英社新書
④環境問題
環境に関する教育の必要性が学校で高まっている。環境問題について知るきっかけ
にする。
大の虫好きでもある著者による環境論。環境問題は最大の政治問題であると
いう考えにもとづき、人類が自然環境という複雑なシステムをコントロール
しようとして失敗を繰り返したことを振り返る。自然との上手なつき合い方
【推薦図書①】「学校」の意味を知る
『学校って何だろう
をわかりやすい言葉で論じた一冊。
教育の社会学入門』
苅谷剛彦著/ちくま文庫
「どうして勉強するの?」の話に始まり、試験、教科書と知識、先
生の世界、生徒の世界など、学校の中で「当たり前」と思われてい
ることに疑問を投げかける。話は寺子屋から世界の学校にまで及
ぶ。授業がわかりやすくておもしろいと評判の大学の先生が書いた
1 冊。
【ニュースに強くなるための推薦図書】
『大学生・新社会人のためのニュース解体深書
時事問題はこうして読み解け』
大重史朗著/揺籃社
小論文やレポートを書くための知識の引き出しを増やすことのできる、時事問
題のネタ本。