Excel による行列式計算 1 3次正方行列

Excel による行列式計算
1 3 次正方行列
の行列式
を求める.第 1 行の成分に関して展開すると
であった.以下では,この式を利用するが,式中の 2 次正方行列の行列式の計算には Excel が内蔵している行
列式計算の関数 MDETERM() を用いる.
(1) Excel 新画面で,領域 A1:C3 に行列
(2) 行列
を入力する.
(図 (a) 参照)
の第 1 列と第 2 列にあたる A1:B3 を,D1:E3 へコピーする.
(図 (b) 参照)
(a) 領域 A1:B3 を選択して
Ctrl
+
C
の後
(b) セル D1 を選択して(選択するセルは 1 個でよい.)
+
Ctrl
(3) セル A4 に,後で検証に使うため MDETERM() を用いて行列式
は,セル A4 を選択して,=mdeterm(a1:c3) を入力,
(ここで,=mdeterm の a1:c3 の部分は,=mdeterm(
Enter
V
.
の値を求めておくことにする.それに
.行列式の値が表示される.
(図 (d) 参照)
まで入力した後,領域 A1:C3 を選択すると自動的に入
力される.
(図 (c) 参照)その後,) をつづけて入力すればよい.)
図
(a)
図
(b)
図
-1/5-
(c)
図
(d)
(4) セル A5 に
Enter
の値を求める.それには,セル A5 を選択し,=A1*mdeterm(B2:C3) を入力,
.これで,求める値が表示される.
(図 (f) 参照)(このとき,A1 の入力は,= の入力後,セル A1 をク
リックすればよく,また,B2:C3 の入力は,=A1*mdeterm( まで入力した後,領域 B2:C3 を選択すればよい.
(図 (e) 参照))
と の値を求める.
(5) セル B5 と C5 に,それぞれ,
(a) セル A5 を選択し,
Ctrl
+
C
.これで,セル A5 の内容がクリップボードにコピーされる.
(b) 二つのセルから成る領域 B5:C5 を選択して(図 (g) 参照),
に,求める二つの値が表示される.
(図 (h) 参照)
図
(e)
図
(f)
+
Ctrl
図
V
.この結果,セル B5 と C5
(g)
図
(6) 最後に,セル D5 に A5, B5, C5 にある 3 個の値の和を求める.これが,行列式
(h)
の値である.これに
は,セル D5 を選択して,=sum(a5:c5) と入力すればよいのであるが,セル D5 を選択後,Excel のツー
ルバーに見えるアイコン
そこで,
Enter
をクリックすると,自動的に =sum(a5:c5) が入力される.
(図 (i) 参照)
を押すと値が表示される.
(図 (j) 参照)この値が,セル A4 の値と同じならばよい.
図
註 1 (5)(b) の貼り付け操作について
(i)
図
(j)
ここで行っている 貼り付け は,値を貼り付けているのではなく,セル A5
にある数式を貼り付けている.しかも,セル A5 の数式=A1*MDETERM(B2:C3) そのままではなく,セル
B5 には=B1*MDETERM(C2:D3) を,C5 には=C1*MDETERM(D2:E3) を,と必要な変更を Excel が自動的に
行った上で貼り付けている.Excel は,一般に,数式をコピーすると,数式に含まれるすべてのセル・ア
ドレスを,コピー元のセルとコピー先のセルの差分だけ変更する.数式に含まれる定数は変更されない.
註 2 冒頭の
の第 1 行の成分に関する展開式では,第 2 項は でマイナス符号であった.しかし
ながら,(5)(b) では,(2) でコピーした列の順番が原因で列が入れ替った 2 次行列式 を含む計算
式を貼り付けている.実際,数学的には,
が成り立つので,マイナス符号を考慮する必要がなかったのである.
-2/5-
註 3 つぎに述べる 4 次正方行列の場合には,このマイナス符号を処理する必要が出てくる.この方法による行
列式計算でのマイナス符号の処理は,一般に,奇数次正方行列については必要なく,偶数次正方行列に
ついては必要になる.
2 4 次正方行列
行列
の行列式
を求める.第 1 行の成分に関して展開すると
であった.以下では,この式を利用するが,式中の 3 次正方行列の行列式の計算には Excel が内蔵している行
列式計算の関数 MDETERM() を用いる.
(1) Excel 新画面で,領域 A1:D4 に行列 を入力する.
(2) 行列 の第 13 列にあたる A1:C4 を,E1:G4 へコピーする.
(図 (k) 参照)
(a) 領域 A1:C4 を選択して
Ctrl
+
C
の後
(b) セル E1 を選択して(選択セルは 1 個でよい)
Ctrl
+
V
(3) セル A5 に,後で検証に使うため MDETERM() を用いて行列式
は,セル A5 を選択して,=mdeterm(a1:d4) を入力,
(ここで,=mdeterm の a1:d4 の部分は,=mdeterm(
Enter
.
の値を求めておくことにする.それに
.行列式の値が表示される.
(図 (m) 参照)
まで入力した後,領域 A1:D4 を選択すると自動的に入
力される.
(図 (l) 参照)その後,) をつづけて入力すればよい.)
図
(k)
図
-3/5-
(l)
図
(m)
(4) セル A6 に の値を求める.それには,セル A6 を選択し,=A1*mdeterm(B2:D4) を入
Enter
力,
.これで,求める値が表示される.
(図 (o) 参照)(このとき,A1 の入力は,= の入力後,セル A1
をクリックすればよく,また,B2:D4 の入力は,=A1*mdeterm( まで入力した後,領域 B2:D4 を選択すればよ
い.図 (n) 参照)
(5) ここでは,偶数次の正方行列を扱っているので,前回より 1 ステップ余分な操作が必要になる:セル A6
を B6 にコピーし,さらに,この B6 を選択するとここに保存されている数式が 数式バー に表示される
(下図 参照)
から,この数式の先頭にカーソルを移し,そこに 符号を挿入する.
を押すと B6 に の値が表示される.
(6) セル C6 と D6 に,それぞれ,
と の値を求める.
Enter
(a) 二つのセル A6:B6 を選択し,
Ctrl
+
C
.これで,セル A6:B6 の内容がクリップボードにコピー
される.
(b) 二つのセルから成る領域 C6:D6 を選択して(図 (p) 参照),
Ctrl
+
V
.この結果,セル C6 と D6
に,求める二つの値が表示される.
(図 (p) 参照)なお,図のような#記号が表示された場合には,列
の幅が狭すぎるということなので,列ラベル(この場合 D)を選択し,書式メニューから列を選択,さ
らに列の幅の自動調整をクリックすればよい.
図
(n)
図
(o)
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図
(p)
(7) 最後に,セル E6 に A6 D6 にある 4 個の値の和を求める.これが,行列式 の値である.これには,セ
ル E6 を選択して,=sum(a6:d6) と入力すればよいのであるが,セル E6 を選択後,Excel のツールバー
をクリックすると,自動的に =sum(a6:d6) が入力される.
(図 (q) 参照)そこ
に見えるアイコン
で,
Enter
を押すと値が表示される.
(図 (r) 参照)この値が,セル A5 の値と同じならばよい.
図
(q)
図
-5/5-
(r)