NPO法人スペイン文化交流センター サラマンカ 〔スペイン文化瓦版 vol.1〕 2005.3.26発行 <映画> スパニッシュ・アパートメント(2002年・西仏合作) 1年間の交換留学でスペインにやって来たフランス人学生が、他のヨーロッ パ各国からやって来た学生と一緒にアパートをシェアする中で成長してい く物語。スペイン語での作品名 Una casa de locos (変人たちの家)から 分かるように、登場人物は個性的でアクの強い人ばかり。彼らの出身国 は、フランス、スペイン、イギリス、イタリア、ドイツ、ベルギー、デンマーク。 言葉も生活習慣も全く異なる彼らが一緒に暮らすとどうなるのか??? ヨーロッパでは、この映画の影響で交換留学を希望する学生が増えたと か・・・。考え方の違いから、時にはぶつかりながらも友情を育んでいく様子 は、それも納得の面白さです。 舞台はスペイン第二の都市バルセロナ。ガウディの建築物など、美しい街並みも見所のひとつ。 バルセロナは、スペインの中では、モードの発信地であり異色の街です。地理的にフランス・イタ リアなどに近いため、その昔、新しい情報はまずバルセロナから入ってきました。そのため流行 に敏感でおしゃれな人が多いです。マドリードがクラッシクで重厚なイメージだとすれば、バルセ ロナは自由で斬新なイメージ。スペインを代表する芸術家の多くがこの地で生まれました。バル セロナはまた、独立心の強いことでも有名です。スペインの一部でありながら、スペイン語ではな く独自の言語、カタルーニャ語を日常的に話し、スペイン人ではなくカタルーニャ人だ、と豪語 する人も少なくありません。その背景には、フランコ独裁政権時代にカタルーニャ語の使用を禁 止され、カタルーニャ人としてのアイデンティティを否定された過去があるのです。そんなことも 知っておくと、映画をより楽しめるはずです。 <歴史散歩> イスラムとスペイン スペインの文化の多様性は、ローマ帝国やゲルマン民族、フランスなどの影響もありますが、 最も大きい影響は、イスラム教です。今回はちょっとイスラム教とスペインの関係についてちょっ と触れてみたいと思います。 カトリックの国としてイベリア半島を占めていたゲルマン民族の西ゴート王国が、衰退してきた 8世紀、ちょうどこの頃イベリア半島の南、アフリカ大陸の北には、イスラム教徒が繁栄しておりま した。イスラム教徒は、ジブラルタル海峡を渡って、わずか数年のうちにイベリア半島全体を占 領し、一大イスラム文化により、南部アンダルシア地方を中心に文化・芸術を極めました。このイ スラム教徒は1492年にグラナダ王国が滅亡するまで、実に800年近くもイベリア半島に強い影 響を与え続けました。 このイスラム教徒に占領されていた時代に、南部の街コルドバは、当時のヨーロッパでも最先 端を行く学問・芸術・文化の都市となりました。また、現在グラナダにあるアルハンブラ宮殿は、 イスラム芸術の素晴らしさを現代に伝える美しい宮殿です。また、現在では、スペインの代表的 な食べ物として知られるパエーリャも、元はと言えば、イスラム教徒がもたらしたお米がなければ 生まれませんでした。このように現代のスペインにもイスラム文化は、スペインの文化の一つとし て根付いています。 <料理> Pan con tomate(パン・コン・トマテ) バルセロナがある地中海沿岸のカタルーニャ地方でよく食べられる一品です。作り方は 簡単。輪切りにしたフランスパンの断面にトマトをすりこみ、そこにオリーブオイルをかけ、 仕上げに塩をちょっと振りかければ完成です。パンにトマト!?と思われるかもしれませ んが、これが合うんです!トマトの水分とオリーブオイルで柔らかくなったフランスパンの 食感がポイントなので、しっかりと固いフランスパンで試してみてください。 <音楽> David Bisbal Operacion Triunfo(オペラシオン・トゥリウンフォ)というオーディション番組から2001年に デビューし、今やスペインだけでなく、ラテンアメリカでも大人気の歌手です。これが、た だのオーディション番組ではないんです!歌手を目指す若者が共同生活を送りながら 歌の練習に励み、週1回の本放送時には毎回その中の2人が歌い、視聴者の投票に よって得票の少なかった者は、一人また一人と脱落していきます。参加者は24時間テレ ビカメラを通して視聴者の目にさらされ、自由に出かけることはもちろん、電話をするこ と、家族や友人に会うことも出来ないのです。 テレビ番組の企画モノと言うと、話題性だけで実力が伴っ ていないため、一時のブームで終わってしまう、という印象 がありませんか?そんな常識を覆してくれたのが、彼で す。ラテンポップスの王道を行く、ノリの良いダンスナン バーが得意。印象的な天然パーマヘアをなびかせなが ら、クルクルと回るダンスが彼の代名詞です。 <ひとことスペイン語> Hola(オラ) おはよう、こんにちは、こんばんは、全てに対応する便利な一言。スペイン人は、本当に よく挨拶を交わします。そんなスペインでは、私たちも気軽に一声かけてみましょう!街を 歩いていてちょっと目が合った人に、乗ったバスの運転手さんに、入ったお店の店員さ んに、あらゆる場面で一言 Hola と言うだけで、その場が和みます。あまりに便利なの で、これに慣れてしまうと、日本語でどう挨拶したらいいのか分からなくなってしまうほどで す。スペインで誰かに会ったらまず Hola と言ってみて下さい。単純なスペイン人は、容 赦なくすごい勢いのスペイン語で返してくるかもしれませんが・・・(笑)。 アルハンブラ宮殿/ライオンの中庭 (グラナダ) 発行者 : NPO法人スペイン文化交流センター サラマンカ 埼玉県朝霞市西弁財1丁目10番9-1403号 執筆:久場結奈 / 編集:河村浩一 Homepage : http://www3.to/salamanca/ e-mail : [email protected]
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