従業員の死亡に対する補償金申請の ご案内 労工署 (2015 年 11 月) はじめに この冊子は、従業員補償条例(ECO)の死亡に対する補償の主な条項を簡潔にまとめたも のです。関連する法律の条項が準ずるのは条例の原文のみであることにご注意ください。 死亡に対する補償とは? 従業員が就労中、または就労によって引き起こされた事故(または規定されている職業病) の結果死亡した場合、その従業員の雇用者は ECO に基づきその従業員の生存中の遺族 に対し、死亡に対する補償金を支払う義務があります。さらに雇用者は死亡した従業員の 葬儀費用、また医療費のうち、ある程度の金額を払い戻す義務もあります。 死亡に対する補償金額の算出方法は? 支払われる補償金の金額は、死亡した従業員の年齢および月給により下記の通り算出さ れます。 死亡した従業員の 年齢 補償金額 40 歳未満 月給の 84 ヶ月分 40 歳以上 56 歳未満 月給の 60 ヶ月分 56 歳以上 月給の 36 ヶ月分 または最低補償金額 いずれか多い方の金額 補償レベルの詳細については表 1 をご参照ください。 補償金を受け取る資格があるのは? 死亡に対する補償金 死亡に対する補償金は死亡した従業員の「家族構成員」に支払われます。ECO では、死亡 した従業員の「家族構成員」(血のつながりがある家族または法律に則った養子縁組による 家族)とは下記の人々を指します。 配偶者または同居者 (「同居者」とは事故発生時にその従業員の妻または夫として従業 員と同居していた人を指します)、 子ども、 両親または祖父母、 事故発生の 24 ヶ月前からその従業員と同じ世帯構成員として同居していた孫、継 親、継子、兄弟、姉妹、義理の母、義理の父、義理の息子、義理の娘、義理の兄弟、 義理の姉妹、同父母の兄弟姉妹の子ども、異母兄弟姉妹、および異父兄弟姉妹。 補償金は死亡した従業員の遺族の中で受け取り資格のある人に表2の通り配分されます。 葬儀費用および医療費 死亡した従業員の葬儀費用または医療費を支払った人はその費用の払い戻しを受け ることができます。(払い戻し金額の上限については表1をご参照ください。) 1 労工署署長による決定 適用の範囲 雇用者および補償請求の全関係者の同意が得られている事故について、労工署署長(以 下「署長」)が死亡に対する補償金の金額および/または葬儀費用や医療費の払い戻し額、 およびそれらの補償金が誰に対して支払われるのかを決定します。 申請提出期間 死亡に対する補償金決定のための申請: 従業員が死亡した日より6ヶ月以内。 葬儀費用/医療費の払い戻し: 従業員の火葬/埋葬の日または署長が雇用者からの決定への同意を受理した日、い ずれか遅い方の日より 30 日以内。 決定および証明書の発行 申請を受理した後、署長はその事案が自ら決定するべきものであるか否かを判断します。 決定するべきものである場合には署長による決定が下され、申請者全員および雇用者に それぞれ証明書が発行されます。証明書には支払われる補償金額および誰にそれが支払 われるのかが明記されています。 雇用者または申請者は署長の決定に対し異議を申し立てることができます。そのような場 合には署長が自らの決定を再考し、再考証明書を発行します。また補償関係者は署長の 決定に抗議して地方裁判所に訴えることもできます。 補償金仮払い 死亡に対する補償について署長による決定が下されることになっている場合、死亡した従 業員の配偶者 (同居者は含まれません) は死亡に対する補償が決定されるまでの間に、 署長に対し補償金仮払いを申請することができます。そのような申請が受理された際には、 署長によって証明書が発行されそれに署長決定の詳細が明記されます。 補償金仮払いは雇用者から死亡した従業員の配偶者に対して支払われます。仮払いは初 回の支払いとそれに続く毎月の支払いから成り、毎月の支払いは死亡した従業員の月給 の 50%に相当する金額ですが、仮払いの合計は死亡に対する補償金全額の 45%を上回っ てはいけないことになっています。仮払いの合計金額は配偶者が受け取る補償金から差し 引かれます。 2 裁判所の判決 署長が補償申請に対し自ら決定を下すのが適切でないと判断した場合や雇用者または申 請者のうち誰かが署長による決定請求申請を行うことに同意しなかった場合、その事案は 地方裁判所で判決を受けることになります。原告は従業員が死亡した日より 24 ヶ月以内に 裁判所に訴えなくてはなりません。 裁判所で判決を受ける場合、死亡した従業員の遺族は下記の方法で法律上の手続きを開 始することができます。 (a) 法律援助署に対し、法律的な援助を申請する、 (b) 地方裁判所に直接申請する、 (c) 弁護士を雇って訴訟を起こす 労工署の死亡案件事務所は死亡した従業員の遺族を支援し、遺族から要請があれば法律 援助署や地方裁判所への紹介を行います。 死亡に対する補償申請方法は? 死亡に対する補償申請をする人は、従業員の死亡後できるだけ速やかに労工署の死亡案 件事務所まで電話連絡してください。 申請者は下記の書類をお持ちください。 (a) 申請者自身の ID カード、 (b) 死亡した従業員の ID カード、 (c) 死亡した従業員の死亡証明書または認可されている遺体の埋葬/火葬証明書、 (d) 死亡した従業員と申請者の関係を証明する書類 例:結婚証明書、出生証明書、 または住居証明 香港以外の地域に居住している遺族 香港以外の地域に居住している死亡した従業員の遺族が補償申請をする場合、下記の書 類が必要です。 (a) 身分証明書 例:パスポートなど (b) 死亡した従業員との関係を証明する証明書/書類、 (c) 代理申請手続きを行う弁護士に対する委任状 これらの書類がその遺族が居住している現地の言語で書かれている場合、英語の翻訳を 付ける必要があります(中国語または英語の場合翻訳は必要ありません)。またこれらの書 類は現地の当局や公証人により認証され、中国外交部領事司 (遺族が中国に居住してい る場合) または中国海外領事館員 (遺族が中国以外の国/地域に居住している場合)によ り認定されている必要があります。 3 雇用者がするべきことは? 雇用者は死亡事故発生の際事故発生より 7 日以内に、従業員の死亡に対する補償金を支 払う義務が発生するか否かにかかわらず、所定のフォーム(フォーム 2 / 2A) を労工署に 提出しなくてはなりません。雇用者が正当な理由ものなく事故の報告を怠ったり、署長に虚 偽の情報を提供したりすることは違法行為であり、有罪判決を受けた場合には$50,000 以 下の罰金が科せられます。 雇用者が死亡事故に対する補償金を支払うことに異議がない場合、署長による決定請求 の申請提出に同意します。署長によって証明書が発行された後誰からも異議や訴えがない 場合、雇用者は証明書に従って補償金の支払いまたは葬儀費用や医療費の払い戻しを行 います。 雇用者が正当な理由もなく証明書/再考証明書に従って支払いを行わない場合、証明書/ 再考証明書に記載されている補償金額/支払い金額に追加金が上乗せされます。またそ の場合雇用者は違法行為を犯したことになり、有罪判決を受けた場合$100,000 以下の罰 金が科せられます。 詳細は下記までお問い合わせください 労工署 従業員補償課 死亡案件事務所 Room 601, 6/F., Harbour Building 38 Pier Road, Central, Hong Kong Tel: 2852 3994 Fax: 2854 4166 (この冊子の内容は労工署ホームページ http://www.labour.gov.hk にて閲覧できます) 労工署 従業員補償課 2015 年 11 月 4 表1: 従業員補償条例に定められている 補償レベル 項目 事故発生日 死亡に対する 補償金額算出のための 死亡に対する 葬儀費用および医療費の 月給の上限 最低補償金額 払い戻し金額の上限 $21,500 $310,000 $35,000 $23,580 $340,040 $70,000 $26,070 $375,950 $76,220 2010 年 8 月 1 日から 2012 年 7 月 20 日 2012 年 7 月 21 日から 2015 年 3 月 4 日 2015 年 3 月 5 日 以降 2015 年 11 月現在 5 表 2: 死亡に対する補償金配分 補償金を受け取る資格がある遺族 補償金の配分比率 1. 配偶者 / 同居者のみ 配偶者 / 同居者に 100% 2. 子どものみ 子どもに 100% 3. 両親 / 祖父母のみ 両親 / 祖父母に 100% 4. 配偶者 / 同居者および子どものみ 配偶者 / 同居者に 50% 子どもに 50% 5. 配偶者 / 同居者および両親 / 祖父母のみ 配偶者 / 同居者に 80% 両親 / 祖父母に 20% 6. 配偶者 / 同居者、子ども、および両親 / 祖父母の み (他に補償金を受け取る資格がある遺族がいるか否 かにかかわらず) 配偶者 / 同居者に 45% 子どもに 45% 両親 / 祖父母に 10% 他の遺族は補償金を受け取ることができ ない 7. 子どもおよび両親 / 祖父母のみ 子どもに 80% 両親 / 祖父母に 20% 8. 生存している配偶者 / 同居者、子ども、両親 / 祖 父母がいない場合で、他の遺族のみ 他の遺族に 100% 9. 配偶者 / 同居者および他の遺族のみ 配偶者 / 同居者に 95% 他の遺族に 5% 10. 子どもおよび他の遺族のみ 子どもに 95% 他の遺族に 5% 11. 両親 / 祖父母および他の遺族のみ 両親 / 祖父母に 95% 他の遺族に 5% 12. 配偶者 / 同居者、子ども、および他の遺族のみ 配偶者 / 同居者に 50% 子どもに 45% 他の遺族に 5% 13. 配偶者 / 同居者、両親 / 祖父母および他の遺族 のみ 配偶者 / 同居者に 75% 両親 / 祖父母に 20% 他の遺族に 5% 14. 子ども、両親 / 祖父母および他の遺族のみ 子どもに 75% 両親 / 祖父母に 20% 他の遺族に 5% 注意 1: 同じ範疇に複数の人がいる場合には補償金はその人達の間で均等に配分される。ただし死 亡した従業員に生存中の両親と祖父母がいる場合、この遺族の範疇においては下記の通り 配分される。 両親に 70% 祖父母に 30% 注意 2: 他の遺族には事故発生の 24 ヶ月前からその従業員と同じ世帯構成員として同居していた 孫、継親、継子、兄弟、姉妹、義理の母、義理の父、義理の息子、義理の娘、義理の兄弟、義 理の姉妹、同父母の兄弟姉妹の子ども、異母兄弟姉妹および異父兄弟姉妹が含まれる。 6
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