第6学年の実際

第6学年の実際
1 単元名
ハンドボール (ボール運動 ゴール型)
2 単元設定の理由
⑴ 児童の実態
第6学年の児童 108 名は第5学年においてハンドボールの学習を経験している。ハンドボールに対す
る意識調査では、9割の児童が、
「好き」
「どちらかといえば好き」と答えており好感度は高い。また、
ハンドボールの楽しかったところとして、
「シュートを決めたとき」が最も多く、次いで「パスがつな
がった時」
、
「相手のパスやシュートがカットできたとき」となっている(複数回答)
。また、楽しくな
かったところとして「パスがつながらない時」が最も多く挙げられている。このことから、
「チームで
協力してボールをつなぎ、シュートを決めることができるようになる」ことが本単元における児童の楽
しさの中心であり、目指す姿であると考えられる。
技能面の実態として、シュートについては、約4割の児童がねらったところに勢いよく投げ込むこと
ができるが、勢いのないボールしか投げることのできない児童も約3割いる。また、キーパーにとられ
ないようにゴールの隅やキーパーの足下にワンバウンドさせることのできる児童は全体の2割ほどし
かいない。パスについては約6割の児童が味方の受けやすいところに投げることができる。しかし、シ
ュート同様に約3割の児童がしっかりと投げることができない。受けることについては、体の前でしっ
かり受けることができない児童が3割程いる。また、移動しながら受けるということになると、ほとん
どの児童が不十分である。ボール操作に関する技能においては個人差が大きいため、その改善が必要で
ある。ボールを持っていない時の動きについては、パスをつなぐために相手のいない場所に素早く走り
こむ必要があることは理解しているが、実際にゲームの状況に合わせて素早く移動できない児童が3割
程いる。
思考・判断面においては、昨年度の経験から、ゲーム記録を参考にしたり、互いの動きを見合ったり
しながら自分や友達のよさや課題をとらえ、話し合いや練習を通して課題を解決してこうとする姿が見
られる。
⑵ 単元のとらえ
ハンドボールは、2つのチームが攻守入り混じった状態で、主に片手でボールを操作しながらパス
をつないだり、ドリブルをしたりしてボールを相手ゴールの近くまで運び、ゴールにボールを投げ込
むことで得点を競い合う運動である。使用するボールは片手で操作できる程度の大きさと重さである
ことからボール操作が容易であるためスピード感のあふれるゲームが展開される。また、パスがつな
がりやすいことにより、シュートチャンスが多く生まれる。さらに、シュートにおいても特別な技能
を必要としないため、バスケットボールやサッカーと比べ得点しやすい運動である。そのためより多
くの児童が「チームで協力してパスをつなぎ、シュートを決めること」の楽しさを味わうことができ
る。ボール操作が比較的簡単なため、短い練習時間でもシュートやパスの技能を身に付けることが可
能である。そのため、ボールを持たない時の動きに課題意識が向かいやすくゴール型に共通する動き
の習得に適した教材だといえる。特にボールを持たない時の動きを含んだ集団での動きを身に付ける
ことは今後、バスケットボールやサッカーなど、ゴール型のボール運動の学習に生かすことができる。
- 110 -
3 指導の手立て
⑴ 指導内容の明確化を図る。
①本単元での目指す動き
ボール操作
ドリブル
シュート
○ ボールを
片手でつき
ながら、ボ
ールを運ん
だり、相手
をかわした
りすること
ができる。
パス
出し手
ボールを持たない時の動き
受け手
○ 勢いのあるボ ○ 受けやすい ○ 移動しな ○ 相手のいない場所に素早く移動
ールをねらった
パスを出すこ
がらいろい
することができる。
ところに投げ込
とができる。
ろ な 方 向 か ・ 出し手がパスの方向を選択できる
むことができる。 ・ 正面に出す。
らのパスを
ように移動する。
・ 隅に投げ込む。 ・ 受け手の動
受 け る こ と ・ マークを外すことができる。
・ バウンドさせ
きを予測して
ができる。
○ 声やジェスチャーでパスを要求
る。
少し前に出
することができる。
す。
② 本単元における指導内容
ア 相手のいない場所を生かしてパスをつなぎ、シュートする。
C
左右の空間を生
左サイドと右サ
かしてパスをつな
イドから相手ゴー
ぎ、シュートする。
B
C
B
A から B、B から
込み、パスを受けて
C とタイミングよ
シュートする。
B と C が重なら
く正確にパスを出
A
すとともに、動きな
ル前に素早く走り
A
ないように動くこ
がらしっかりとキ
とで2つのパスコ
イ 相手のいない場所を生かしてドリブルでボールを運び、シュートする。
C
B
A
ボールを持って
本単元では、アの動き「相手のいない場
いる時に(A)
、自分
所を生かしてパスをつなぎ、シュートす
の前に相手がいな
る。
」と、イの動き「相手のいない場所を
い場合や、
BとCに
生かしてドリブルでボールを運び、シュー
相手のマークがつ
トする。
」をどの児童にも身に付けさせた
いていてパスが出
い指導内容として位置付ける。
せない場合は、ドリ
ウの動き「ドリブルで相手を引き付け、
ブルでボールを運
パスをつないでシュートする。
」はイの発
ウ ドリブルで相手を引き付け、パスをつないでシュートする。
(発展的な内容)
ドリブルでボールを
運んでいるとき(A)に
B(または C)について
C
B
A
いたマークがきた場合
は、ノーマークになっ
た B(または C)にパ
スを出して、シュート
につなげる。
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③ 児童の実態に応じたゲームの設定
ボール操作のしやすさと安全面を考慮し、ボールはライトドッジボール 0 号球を用いる。片手で
操作できる程度の重さと大きさであることから、パスやシュートといったボール操作が比較的容易
である。そのことにより、ゲームにスピード感が生まれるとともに、ボールを持たない時の動きを
含んだ攻め方の動きを身に付けることに課題意識が向かいやすい。また、当たってもいたくない程
度の硬さであるため、ボール運動に対して苦手意識を持っている児童にボールに対する恐怖心が生
まれにくい。ゲームでは、フィールドプレイヤー3名、キーパー1名(攻撃にも参加してよい)と
し、ゲームに出る人数を少なく設定する。また、コートを縦32m、横15mと広くし、相手のい
ない場所が生まれるようにする。以上のことにより、指導内容に示した相手のいない場所を生かし
てパスやドリブルでボールを運びシュートする動きが生まれるようにする。また、人数を少なくす
ることはボールに触れる機会を増やし、パスやシュートを多く経験させることにもつながる。この
ことによって、一人一人がゲームの楽しさを味わえるだけでなく、課題としてとらえたことを、次
のゲームで改善するための機会を多くもつことができるようにする。
毎時間の初めに、パスとシュートのドリルゲームを行う。
<ドリルゲーム>
<シュート>
C はゴール前に走
<パス>
一列に並び、パスを
り込みながらパスを
したら、
向かいの列の
受け、そのままシュ
最後尾に並ぶ。
A
B
C
パスをしたらすぐ
に前方に走るという
ートするという動き
を身に付ける。B は
B
動きを身に付ける。
C に正確なパスを出
す動きを身に付ける
また、タスクゲームとして単元の前半は「本単元における指導内容」で示した、ア、イの動きを
中心に、相手のいない状態で実践する。単元の後半はチーム内で攻めと守りに分かれて実践する。
⑵ 目指す動きの具体的な姿を見せ、学び合いの活性化を図る。
本単元における望ましい学び合いの姿を以下のように設定する。
自分や友達のよさや課題に気付き、示範や助言をしたり、友達の動きや助言を参考にして自
分でやってみたりしながら、目指す動きを身に付けようとする姿。
そして目指す動きの具体的な姿を見せる手立て(①②)と学び合いの活性化を図る手立て(③④⑤)
を講じる。
① 本単元の指導内容となる動きの提示
本単元の指導内容となる動きを図で表したものを掲示することで、ハンドボールの攻め方を理解
することができるようにするとともに、学習中に動きの確認ができるようにしておく。また、それ
に基づいて設定したドリルゲームやタスクゲームの動き方についても図で表したものを掲示する。
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② 視聴覚機器の活用
児童が自分の動きを客観的に捉えることができるようゲームや練習の様子をVTRに記録し、教
室で視聴できるように準備する。
③ 教師による即時評価
ゲーム中に目指す動きが見られた場合はすぐに称賛し、動きの意識付けを図る。何がよかったの
かを端的な言葉でコートの全員に聞こえるように伝える。
ボールを持たないときの動きについては、
コート外から動くべき場所やタイミングに関する声かけをしたり、
コート内で一緒に動いたりする。
場合によってはゲームを止め、動き方を指導する。
④ 作戦・練習タイム、振り返りタイムの設定
ゲーム前に作戦・練習タイム、終了後に振り返りタイムを設定する。作戦・練習タイムでは、作
戦を選択したり工夫したりするとともに、その動きに沿ってチームで練習する。練習タイムを通し
て、互いの動きを見合いながら助言したり、友達のよい動きを取り入れたりすることができるよう
にする。振り返りタイムでは、成果や課題を出し合い、次時のめあてがもてるようにする。また、
練習や話し合いが停滞しないように教師も積極的に参加し、指導や助言を行う。
⑤ 補助ラインの活用
コートを縦に3分割する補助ラインを引く。作戦に沿った練習やゲームでは補助ラインを目安に
して動くことで空間認識を高められるようにする。ボールの軌跡図を取る際にも、補助ラインを目
安にすることで実際の動きに近い記録となり、振り返りの際に有効に活用できるようにする。
4 目標および評価規準
運動への関心・意欲・態度
○ 互いに学び合いながら進
単
元
の
目
標
運動についての思考・判断
運動の技能
○ 目指す動きを理解し、自 ○ 相手のいない場所を生かし
んで練習やゲームをしよう
他のよさや課題に気付く
て、ドリブルをしたりパスをつ
とする。
ことができる。
ないだりしてボールを運び、シ
○ ルールやマナーを守り、安 ○ ハンドボールの攻め方
全に配慮しながら、公正にゲ
を理解したり、一人一人を
ームを運営しようとする。
生かした作戦を立てたり
ュートすることができる。
することができる。
① ルールやマナーを守り、自 ① 目指す動きを理解し、自 ① 正確なパス出しとキャッチ、
学
習
活
動
に
お
け
る
評
価
規
準
分たちで公正にゲームを運
分の課題を意識しながら
営しようとする。
練習やゲームに取り組ん
② 助言や示範をしながら互
でいる。
いに学び合い、進んで練習や ② 攻め方を選択・修正し
ゲームをしようとする。
③ 最後まで全力でゲームに
取り組み、勝敗を素直に受け
シュートをすることができる。
② ドリブルでボールを運ぶこ
とができる。
③ 出し手がパスの方向を選択
て、作戦を立てたり、自分
できるように相手のいない場
の位置取りを理解したり
所に素早く移動したり、マーク
している。
を外したりすることができる。
入れようとする。
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5 指導と評価の計画(総時数7時間)
時
10 分
20 分
30 分
40 分
45 分
評価の観点
関
思
技
○ 試しのゲームを行い、学習のめあてと見通しをつかむ。
1
学
習
準
備
めあての
確認
ゲームの
進め方や
ルールを
知る
VTRの視聴による試しのゲームの
振り返り
①
・ 単元のめあてを決める。
・ ハンドボールの攻め方を知り、
攻め方のモデルを設定する。
試しのゲーム
ねらい①
モデルによる攻め方の理解とその実践による動きづくり
2
C
C
B
C
B
3
A
A
4
5
本
学
習
準
備
・
準
備
運
動
・
パ
ス
や
シ
ュ
ー
ト
の
ド
リ
ル
ゲ
ー
ム
め
あ
て
の
確
認
タスク
ゲーム1
作戦・練習タ ゲーム2
ゲーム
3 分×2
イム
3 分×2
学
習
の
ま
と
め
(
よ
か
B
っ
た
動
き
や
A
学
び
合
い
の
姿
の
交
振り返り
流
(チーム) )
整
理
運
動
と
用
具
の
片
付
け
①
①
②
①
②
ねらい②
モデルとチームの特徴を生かした作戦づくりとその実践
③
ねらい①で身に付けた3つのパターンから攻め方を選択すると
時
ともに、自分たちのチームの特徴が生かせるように、一人一人の
位置取りを考えて作戦をたて、実践する。
6
7
タスク
ゲーム
ゲーム1
作戦・練習
タイム
ゲーム 2
ハンドボール大会をする
振り返り
②
(チーム)
③
- 114 -
③
6 具体的な展開
⑴B研(2組:伊藤弥生)
①主眼
モデルの攻め方を使って練習やゲームをすることを通して、空いている場所を生かすことのよさ
に気付き、パスやドリブルを選択してゴール前までボールを運び、シュートできるようにする。
②準備
教師:ボール ゴール 得点板 ビブス ホイッスル ストップウォッチ CD CDラジカセ
児童:学習カード
③展開
学習活動・内容
1 学習準備をする。
教師の指導・支援の実際
○ 音楽に合わせて心と体をほぐしていけるようにした。
・準備運動
○ 一人ずつボールを持ち、ボールの扱いに慣れさせるような
・パス、シュートを中心としたド
運動を行った。
リルゲーム
2 本時のめあてを確認する。
○ 前時までの学習を振り返り、本時のめあてを確認した。
めあて 空いている場所を生かし、モデルの攻め方を使ってシュートを決めよう。
3 ゲームをする。
○ モデルの作戦をイメージして、相手のいない状況で動きを
(1)タスクゲーム
確かめ合った。
(2)ゲーム1(前後半3分)
○ 相手のいない場所を生かしてパスをつなぎ、シュートする
場面が見られた場合には、称賛し、動きの意識付けを図った。
C
C
B
C
B
B
A
A
- 115 -
A
○ 相手のいない場所を生かしてドリブルでボールを運び、シ
ュートをする場面が見られた場合には、称賛し、動きの意識
広がって、パス!
パス!
(3)作戦・練習タイム
付けを図った。
相手も仲間も前にいない。ドリブルだ!
○ 相手のいない場所へ移動することができない児童には動き
・ゲームの成果と課題につい
がわかるように声かけをし、コート内外の味方同士で声をか
て話し合い、次のゲームの作
け合うことができるように助言した。
戦に応じた動きづくりを行 ○ 話し合いが停滞している場合は、教師が見取ったよい動き
う。
や課題を伝えたり、児童から聞きだしたりして、活性化を図
った。
○ 学び合いの姿が見られた場合は称賛し、価値付けた。
○ チームごとにゲームを振り返り、よかった動きやうまくい
った作戦について話し合うことができるように言葉かけを行
った。
(4)ゲーム2(前後半3分)
○ 作戦がうまくいかなかったチームには、原因を児童ととも
に考えたり、助言したりして、次時の課題にするように促し
た。
(5)ゲームの振り返り
○ チームの良かったところを発表させ、次時への活動意欲を
高めた。
4 本時の学習を振り返り、まとめ ○ 本時で見られたよい動きや学び合いの姿を紹介し、称賛し
る。
5 整理運動と後片付けをする。
た。
○ チームで協力して片付けができるように声かけをした。
- 116 -
④結果と考察
ア、
【着眼1】指導内容の明確化
○ 相手のいない場所を生かしてパスをつなぎ、シュートする。
左右の空間を生かしてパスをつなぎ、シュートする作戦をモデル提示したところ、それを参
考にして攻め、点につなげることができた。
・ 最初は、モデルの真似をして、ギザギザの作戦をして点につなげた。二回目、三回目はコー
トを3つに分けて、それぞれ場所を決めてパスがつながりやすくなるようにして、四回目から
は作戦を作って成功できた。
(K.F 男)
・ モデルを意識してでき、パスがつながったり、点が入ったりした。
(S.K 女)
○ 相手のいないに場所を生かしてドリブルでボールを運び、シュートする。
同じチームの仲間が空いている場所に移動できていない場合に、ドリブルでゴールまでボール
を運ぶことができたことはあったが、
「素早く移動する」
「コートを広く使う」ことに意識を強
くもたせたことにより、有効にドリブルを使うことはできなかった。
ゴールまでボールをつなげるときに仲間がいなかったら、ドリブルで行っていたけど、仲間
がいるときは協力してゴールまでもっていくことができました。
イ、
【着眼2】
「目指す動き」の具体的な姿を見せるための手立てをとり、学び合いの活性化を図る。
○ 本単元の指導内容となる動きの提示
本単元の指導内容となる動きを図で表したものを掲示することで、攻め方を理解し、学習中
に動きを意識することができた。また、ふり返りのときに図によって作戦を確認することがで
きた。
○ 教師による即時評価
チームでのふり返りの時間に、ボールを持っていない児童が空いている場所に移動できてい
たことを評価したことにより、児童が動き方を理解することができ、動きがよくなった。しか
し、他の児童に広めることができなかったので、全体のふり返りの場で全体に指導するべきで
あった。
○ 作戦・練習タイム、振り返りタイムの設定
振り返りタイムを設定したことにより、チームで反省をしたり、作戦を考えたりして、児童
がチームワークの高まりを感じることができた。また、チームでの話合いにより、作戦がうま
くいったり、パスがつながってシュートができたりと、成功を味わうことができていた。教師
の助言により、作戦が成功したチームも見られた。
初めは、あまりチームプレイがうまくいかず、パスもつながりませんでした。でも、ふり返
りや練習をすると、パスやモデルがうまくいって、パスもシュートもうまくいくようになって
いきました。
負けたときには、
「次にはこうしよう」とチームで決めたことを実践したら、勝てた。
(D.
H 男)
- 117 -
○ 学習カードや視聴覚機器の活用
ゲームの様子をVTRに記録し、教室で視聴したところ、
「素早く移動する」動きを児童が
客観的に捉えることができ、理解を深めることができた。
〇 補助ラインの活用
コートを縦に3分割する補助ラインを引き、補助ラインを目安にして動くことで空間認識
を高められ、作戦もうまくいくようになった。
チームで三角形を意識することになり、左、右、真ん中と決めると、三角形ができ、とても
パスがしやすかった。
(Y.H 女)
⑵C研 (3組:久山利香)
① 主眼
一人一人の位置取りを考えて練習やゲームをすることを通して、空いている場所に味方と重なら
ないように素早く移動することの大切さに気付かせ、パスやドリブルでボールを運びシュートでき
るようにする。
② 準備
教師:ボール ゴール 得点板 ビブス ホイッスル ストップウォッチ CD CDラジカセ
児童:学習カード
③ 展開
学習活動・内容
教師の指導・支援の実際
1 学習準備をする。
○ 音楽に合わせて心と体をほぐしていけるようにする。
・ 準備運動
・ パス、シュートを中心とした ○ 一人ずつボールを持ち、ボールの扱いに慣れさせるような
ドリルゲーム
運動を行う。
2 本時のめあてを確認する。
○ 前時までの学習を振り返り、本時のめあてを確認する。
めあて 作戦を立てて、味方と重ならないように、空いている場所に素早く移動して
パスやシュートをしよう。
攻め方のモデル
①
②
C
③
C
B
C
B
B
A
A
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A
T:前回の振り返りから、もっとシュートするにはどう動いたらいい?
(前回よかった動きの作戦を振り返る。
)
C:味方と重ならないように。
C:左右どっちに行くか決めておくといい。
3 ゲームをする。
(1)タスクゲーム
○ モデルの作戦をイメージして、3対1の状況で動きを確か
め合った。
モデル②の動きを確認しているチーム
モデル①の動きを確認しているチーム
(2)ゲーム1(前後半3分)
○ 味方と重ならないように、位置取りを考えているチームを
称賛した。
○ 味方と重ならないように、相手のいない場所に素早く移動
してパスをつないでいる場面が見られた場合には、称賛し、
動きの意識付けを図った。
味方が重ならないように、左右の位置取りを考えて
動いている。
(3)作戦・練習タイム
・ゲームの成果と課題について ○ チームで考えた位置取りはよかったか、味方が重ならずに
話し合い、次のゲームの一人一
動けたか話し合い、次のゲームに活かせるように助言した。
人の位置取りを考えた作戦を
確認し合い、練習を行った。
「左右に分かれる作戦はできたけど、
ゴール前で真ん中に集まりすぎた。
」
「もっと開かないと。
」
- 119 -
(4)ゲーム2(前後半3分)
○ 相手のいない場所を生かしてドリブルでボールを運び、シ
ュートをする場面が見られた場合には、称賛し、動きの意識
付けを図った。
○ 相手のいない場所へ移動することができない児童には動き
がわかるように声かけをし、コート内外の味方同士で声をか
け合うことができるように助言した。
相手の前に出てパスを受けようとする動きが見られた。
味方と重なったり相手の後ろに位置取りしたりするこ
とが多かった児童が、広がることを意識できるようにな
ってきた。
(5)ゲームの振り返り
○ 話し合いが停滞している場合は、教師が見取ったよい動き
や課題を伝えたり、児童から聞きだしたりして、活性化を図
った。
「相手が固まっているところに
○ チームごとにゲームを振り返り、よかった動きやうまくい
いってしまった。でも、後半は
った作戦(位置取り)について話し合うことができるように
よかった。
」
言葉かけを行った。
「三角形の形ができた。
」
○ 作戦がうまくいかなかったチームには、原因を児童ととも
「後半は、味方が重ならないよ
に考えたり、助言したりして、次時の課題にするように促し
うに動けた。
」
た。
「○○君が、外から声をかけて
空いてる場所や誰にパスするか
教えてくれたのがよかった。
」
4 本時の学習を振り返り、まとめる。 ○ チームの良かったところを発表させ、次時への活動意欲を
高める。
○ 本時で見られたよい動きや学び合いの姿を紹介し、称賛し
た。
5 整理運動と後片付けをする。
○ チームで協力して片付けができるように声かけをした。
④結果と考察
ア、
【着眼1】指導内容の明確化
○ 指導内容について
本時では、指導内容ア「相手のいない場所を活かしてパスをつなぎ、シュートする」と指導
内容イ「相手のいない場所を活かしてドリブルでボールを運び、シュートする」に関して実践
を行った。本単元に入る前、パスを投げたり捕ったりすることが難しいが児童が3割以上、相
手のいない場所に素早く移動することができない児童が多いという学級の児童の実態があった。
- 120 -
徐々にボール操作に慣れてきたが、まだパスやドリブルなど技能面で課題がある児童が多いと
いう学級の実態、ボールを持たない時の動きを身に付けさせたい思いから、指導内容ウ「ドリ
ブルで相手をひきつけ、パスをつないでシュートする」に関しては、発展的内容としてとらえ、
このような動きが見られたとき、児童に紹介をする程度にとどめた。
実態や時間数から考えて、指導内容ア、イだけでも十分であった。
○ 本単元での目指す動きについて
シュートに関しては、本時の2ゲームで10名の児童がシュートをすることができた。ゴー
ルの隅をねらったり、キーパーにとられないようにバウンドさせたりすることは、できるよう
になった児童が多くなった。しかし、勢いのあるボールを投げたり、ゲームの中でシュートを
したりすることができる児童はまだ少ない。
パスに関しては、本時のゲームでほとんどの児童が味方にパスを出すことができたが、止ま
った位置に出したり、味方や相手の動きを見ていなかったりなどのため、つながらない場合が
多く見られた。また、受ける技能については、止まった状態や近い距離では捕球できるが動い
ている状態では捕球できない児童が多く、課題が見られた。
ボールを持たない時の動きに関しては、本時のめあてである「味方と重ならないように、空
いている場所に動く」ということは、多くの児童が意識して動くことができ、各チームで位置
取りを考えてゲームに臨んでいたため、前時までより味方同士の重なりが減り、空いている場
所に広がることができていた。しかし、相手からカットされないようゴール前へ素早く行き、
ロングパスをする場面が多くなり、パスがつながらないことが増えた。7時間の中では難しい
が、相手のマークをかわす動きも身に付けていくことが必要だと感じた。
イ、
【着眼2】
「目指す動き」の具体的な姿を見せるための手立てをとり、学びあいの活性化を図る
○ 本単元の指導内容となる動きの提示について
「左右の空間を活かしてパスをつなぎシュートする」
「左サイドと右サイドから相手ゴール
前に素早く走り込み、パスを受けてシュートする」
「ボールを持っているときに、自分の前に
相手がいないときやマークが付いていてパスが出せない場合は、ドリブルで運びシュートする」
という3つの動きを図で示し
(資料1)
、子ども達がイメー
資料1
ジできるようにした。その結果、
相手のいない場所を活かして
パスをつないだり、ドリブルで
ボールを運んだりしてシュー
トするという指導内容が明確
になり、チームの作戦の中では
っきり表れていた。
○ 作戦・練習タイム、振り返りタイムの設定について
ゲーム前にタスクゲームを行い、チームの作戦の動きを練習し確認し合った。チームで、それぞ
れの位置取りを決めて、練習を行っていた。ゲーム1の後は、チームで振り返りを行い、ゲーム2
に向けての練習タイムを設けた。ゲーム2の後は、振り返りタイムを設け、よかった動きや次時の
課題をチームで話し合った。
(資料2)
- 121 -
(資料2)
「ここで、かたまってた。
」
「○○くんがこっちにいったらいい。
」
「ロングパスが多かったよ。
」
「つながらなかったから、もっと近くで」
「バウンドパスはうまくいったね。
」
○ 学習カードや視聴覚機器の活用について
チーム用の学習カードには、ゲーム記録としてボールの軌跡図をとった。
(資料3)
(資料3)
ピンク
白
ピンクチームの軌跡を見ると、ロングパスが多いことがわかり、
「ロングパスでシュートの機
会ができたが、キャッチできないことが多かった」また、
「だいぶ広がれるようになった」と振
り返ることができた。白チームの軌跡を見ると、パスをつないでシュートまでもっていってい
ることや、
「ギザギザパス」の作戦で動けていることがわかる。振り返りタイムでは、
「ギザギ
ザパスができた。めあてができた。
」と自分たちの動きを振り返ることができた。
個人カードには、成果や課題を書く欄を設け、自己評価ができるようにした。本時の振り返りで
は、
(資料4)のような成果や課題が書かれていた。一人一人が振り返ることで、次時のめあてをも
たせることができるので有効であった。
ゲームの様子をビデオに撮り、自分たちの動きをみることで、客観的にとらえることができ
有効であった。
(資料4)
・ 人が重ならないようにうまく広がってプレーすることができた。少しドリブルやロングパスが多
かったので、次はショートパスを多くしてパスがつながるようにする。
・ ジグザグパスをしてシュートしてゴールできた。すぐにチームの人がパスしやすいところに素早
く動けたところがよかった。
・ 空いているところを見つけて素早く動くことができ、コートの左右を使ってプレーすることがで
きた。
・ 前の時間に左右に分かれていたチームの動きを活かしてやってみるとうまくいった。
- 122 -
⑶A 研(1組:沖村 亨)
①主眼
一人一人の位置取りを決めて練習やゲームをすることを通して、相手のいない場所に味方と重な
らないように素早く移動することの大切さに気付かせ、パスやドリブルでボールを運びシュートする
ことができるようにする。
②準備
教師:ボール ゴール 得点板 ビブス ホイッスル ストップウォッチ CD CDラジカセ
児童:学習カード
③展開
学習活動・内容
指導・支援上の留意点
1 学習準備をする。
○ ドリルゲームの行い方と動きのポイントを提示した。
・ 場づくり
・ 準備運動
○ パス、シュートの個別指導を
・ パス、シュートのドリルゲーム
行った。
・パス
:相手の少し前方に出す。
:パス出しの後、すぐに動き出す。
・シュート
:勢いのあるボールをゴールの隅に、ワンバウンドさせ
るように投げ込む。
M児
Y児
M児
Y児
Y児
①Y 児の走り込む速さと位置を考え、Y 児の前方にパスを出す M 児。
②M 児からのパスを走りながらキャッチする Y 児。③ゴールの隅をねらってシュートする Y 児。
2 本時のめあてを確認する。
めあて
作戦を立てて互いの位置を決め、味方と重ならないように相手のいない場所に素早く動いて
ボールをつなぎ、シュートを決めよう。
○ 前時の振り返りにおいて「パスを受けようと、相手のい
ないところに走り込んだ時に、同じように走り込んできた
味方とぶつかってしまってパスがつながらなかった。
」こと
が課題として挙がった。そこで、
「味方と重ならないように」
互いの位置取りを決めて、ゲームで生かそうということを
本時のめあてとした。
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3 ゲームをする。
⑴タスクゲーム(3分)
3対2の状況で、攻める動きを繰
○ ゲーム開始前に、コート外の児童に対して、モデルの動
きになっているかどうかを確認するように声かけをした。
り返す。
2コートを使い、3対2を代わる代わる行うようにしていたが、タスクゲームの
進め方を理解できていない児童が多いように感じたので一度ゲームを止め、全体に
進め方を確認した。しかし、その後のグループもスムーズにゲームの出入りができ
なかった。このままでは、効率が悪くなると感じたため中止した。
⑵ゲーム
・3グループに分かれて、
<体育館>
①ゲーム(前後半3分)
(出入口側) (ステージ側)
(ステージ)
②振り返り・作戦タイム
練習コート
振り返り・作戦タイ
③練習タイム
ゲームコート
ム
を行う。
①黄-白
①ピンク-水
①赤-緑
②赤-緑
②黄-白
②ピンク-水
①ゲーム(前後半3分)
・ 役割分担に沿って運営する。
○ 相手のいない場所へ素早く移動することができない児童
・ 味方と重ならないように相手
には、相手のいない場所や動きだしのタイミングが分かる
のいない場所へ素早く動くこと
ようにコート外から声かけをしたりコート内で一緒に動い
ができているかということを意
たりした。
識しながらゲーム記録をとる。
○ 味方と重ならないように相手のいない場所へ素早く移動
した児童やそこへパスを通した児童を称賛し、動きの意識
付けを図った。
○ 動きが味方と重なってしまう児童には、作戦に応じた動
くべき場所や動きだしのタイミングが分かるようにコート
外から声かけをしたりコート内で一緒に動いたりした。
ゲーム(1試合目)ピンク-水
O児を中心に指導。相手のいない場所に一緒に動いて導く。O児にパスが回るよう
に他の児童に対して、O児の走りこむ位置を前もって教えたり、O児が移動した位置
を指さしたりしながらパスが回るようにした。
キーパーから中央の味方へのパスが何度もカットされていた水色チームに対して、
「ジグザグ作戦が今日の作戦だったことを思い出させ、
横に広がるように助言。
C
ゲーム(2試合目)黄-白
K児、M児に相手のいない場所への素早い移動を中心に指導。
B
ゲーム(3試合目)赤-緑
S児、I児を中心に指導。
ゲームを通して、よい動きを見付け、即時評価。
- 124 -
A
ゲーム(2試合目)黄-白 における指導の様子(相手のいない場所への移動)
K児
K児
①
②
①黄チームのキーパーがボールを保持するとすぐに、
「Kさん。前。
」と声をかける。
②K児の前に立ち「ここまで早く。
」と声をかける。
K児
K児
③
④
③教師は、ドリブルで相手を引き付けるキーパーに、K児へパスを出すように声をかける。
④相手のマークが離れたK児にパスを出すキーパー。この後、K児はパスを受けシュート。
ゲーム(3試合目)赤-緑 における指導の様子(パスをつなぐこと)
S児
I児
①教師はS児と同じような位置取りをして、キーパーからのパスを要求する。
「こっち。S君にパス。
」
②S児にI児の位置を指さし、パスを出すように声をかける。
「右!Iさんにパス。
」
②振り返り・作戦タイム
・ ゲームの成果と課題について話
し合う。
ゲームを動画で振り返る
- 125 -
作戦ボードで動きを確認
○ ゲーム記録と VTR をもとに、味方が重ならないように
動くことができたか、一人一人の位置取りはよかったかな
どを話し合い、成果と課題を出すように声かけをした。
○ ゲームの動きを児童とともに振り返り、よい動きの価値
付けを行った。
○ 話し合いが停滞している場合には、教師が見取ったよい
動きや課題を伝えたり、児童から聞き出したりして、活性
化を図った。
③練習
黄チーム:マークされている場面からの動きを確認。
ドリブルで相手を引き付けてパスを出す
タイミングを覚えるために繰り返し練習する。
教師は、相手役になっている児童に、わざとドリブルに
C
B
A
引っかかったふりをして、マークを外すように声をかける。
○ 作戦に応じた動きを繰り返し練習させることで、動きの
定着を図った。
○ 作戦に応じた練習になっているかを確認し、ずれていれ
ば助言した。
○ 示範や助言をしながら練習をしている姿を称賛し、よい
学び合いの姿として価値付けた。
○ ゲームで見られた課題が改善されている個人やチーム
を称賛し、練習タイムでの学び合いを価値付けた。
4 本時の学習を振り返り、まとめ
る。
○ チームのよかったところを発表させ、学級全体に広める
ようにした。
○ 作戦が成功しなかったチームについてはその原因を児
童とともに考え、次時の課題にするように助言した。
○ 児童が紹介した動きに補足説明を行い、動きの共有化を
図った。
○ 本時で見られたよい動きや学び合いの姿を紹介し、称賛
した。
よかったところ(一部)
赤: 試合で使う攻め方と、誰がどこに動くか作戦を決めていたので、みんなが動き方が分
かっていてうまくいった。
うまくいかなかったところ
水:場所のことばかりを気にし過ぎてしまった。その場所でじっとしていたのでうまくいか
なかった。
5 整理運動と片付けをする。
○ 協力して行うように声をかける。
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④ 結果と考察
ア【着眼1】技能の指導内容の明確化について
実践終了後、技能に関するアンケートを実施したところ、資料1のような結果が得られた。
ボール操作の技能及び、ボールをも
資料1 技能に関するアンケート結果
たない時の動きについてほとんど
の児童が、
「よくできた」または「で
きた」と答えており、技能の定着を
実感していることが分かる。
この要因の1つは、着眼1「技能
の指導内容の明確化」にあると考え
る。ボール運動「ゴール型」のゲー
ムには攻め方が多様にある。しかし
それだけに、ただゲームをするだけ
では攻め方を経験するだけにとど
まり、定着には至らない。
そこで、本実践では技能の確実な定着を図るために目指す動きを設定し、その内容をもとに攻
め方のモデルを作成した。作成にあたっては、児童が目を向けると思われる攻めの動きを想定し
て、単元の学習開始前に行った。単元の学習に入ってからは、前時のまとめの時間の発言内容や
その時間に見られた目指す動きの成果や課題を取り上げ、次時の目指す動きに目が向くようにし
た。また、作成の際には、前時とのつながりが生まれるように、その時間の攻め方に対する守り
の視点から新しい動きを加えていくことで、児童の実態とゲーム様相に応じた攻め方のモデルに
なるようにした。
資料2 攻め方のモデル作成までの過程
①学習前の想定
第2時
第1時試しのゲーム
C
B
A
学習のまとめ
外側の相手がいな
いところに動いたら
パスがつながった。
パスカットされな
いようにパスコース
を2つ作る攻め方に
目を向けるだろう。
前時で気付いた外
側の空間を生かした
攻め方に目を向ける
だろう。
これまでの経験から
外側の空間を生かして
パスをつなぐだろう。
取
り
上
げ
相手のマークがつ
くだろう。パスを出
せない時の攻め方に
目を向けるだろう。
第3時
C
B
取
り
上
げ
A
C
第4時
B
取
り
上
げ
A
学習のまとめ
○ 外側に動いたらパ
スがつながった。
▲ 相手から動きを読
まれてカットされた。
学習のまとめ
マークのついていな
い味方にパスしたらが
つながった。2人が同時
に動くともっといいよ。
C
B
A
学習のまとめ
マークされてい
たらドリブル。さ
れていなかったら
パスでもいいよ。
単元の前半では、攻め方のモデルの提示を通してその時間に身に付ける動きを焦点化し、共通
理解を図った。全員が共通のめあてをもち、ゲームで試したり、成果や課題を振り返りながら練
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習したりすることができた。単元の後半では、3つのモデルの中から複数の攻め方をゲームや相
手の状況に応じて使い分けていくことで相手に作戦を読まれないようにして勝とうとするチー
ムや1つの攻め方の完成度をより高めていくことで相手に勝とうというチームが見られるよう
になった。ボール運動の学習では必ずと言っていいほど児童が作戦を考える活動がある。しかし、
児童が主体的に考えれば考えるほど作戦が複雑になり、実際のゲームでは全くと言っていいほど
生かされていないという場面が見られることがある。しかし、本実践における攻め方のモデルは
目指す動きをもとに児童の技能実態と思考の変容から作成されているため、児童にとって理解し
やすく、動きも簡単なため常にゲームの中で生かすことができるものであった。児童は新しく動
きを考えて作戦を作るのではなく、攻め方のモデルをもとに、1人1人の特徴を生かして役割を
決めたり、位置取りを修正したりしながらモデルを作戦に変えていった。そのため児童の立てた
作戦がゲームの中で常に生かされて
資料3 攻め方のモデルについてのアンケート結果
いた。単元終了後に、
「攻め方のモデ
ルはゲームで役に立ちましたか?」と
いうアンケートをしたところ次のよ
うな結果が出た。90%以上の児童が
「とても役立った」
「まあまあ役に立
った」と答えており、攻め方のモデル
が効果的に活用されたことが伺える。
(資料3)
イ.
【着眼2】目指す動きの具体的な姿を見せ、学び合いの活性化を図ったことについて
実践終了後、多くの児童が技能の定着
を感じることができた要因の2つ目は、
資料4 目指す動きの具体的な姿を見せたこと
についてのアンケート結果
目指す動きの具体的な姿を見せること
で学び合いの活性化が図られたためで
あると考える。
本実践では、児童による動きの紹介や
動画の視聴を通して目指す動きの具体
的な姿を見せた。それに対しては児童全
員が「とても役に立った」
「まあまあ役
に立った」と答えていることから、有効
な手立てであったことが分かる。
(資料
4)また、学び合いの活性化を図る手立
資料5 友達同士で教え合ったり攻める動きを身に
付けたりするために役に立ちましたか?
てについてのアンケート結果は次のよ
うになった(資料5)
。この結果による
と、教師の即時評価、作戦・練習タイム、
ボールの軌跡図によるゲーム記録はど
れも、90%以上の児童の児童が「とて
も役に立った」
「まあまあ役に立った」
と答えている事柄、これらの手立ては学
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び合いを活性化するために有効であったと考える。特に練習タイムでは、得意な児童が苦手な児
童に対して、動き方を教えたり、パスを出すタイミングの声かけをしたりする姿が見られた。ま
た、シュートが苦手な児童に対しては、実際に投げ方をやって見せるなど、言葉だけでなく示範
を通して教える姿も見られた。一方、苦手な児童は友達の助言を参考にしたり、動きの真似をし
たりしながら練習に取り組むなど、望ましい学び合いの姿が多く見られた。
単元終了後の感想文には仲間とともに学び合うことで、技能を身に付けることができた喜びを
多くの児童が書いていた。
資料6 単元終了後の児童の感想文
○ 私はボール運動が苦手でした。でもハンドボールはとても楽しくできました。それはチームがまと
まっていたからだと思いました。みんなでジグザグパスを中心とした攻めでシュートにたくさんつ
なげられました。うまくいかなかった時は記録をしたノートとともにみんなで動きを見直しました。
アドバイスをしてもらって私が上手になったり、友達にアドバイスをして友達が上手になったりし
ました。そこで気が付いたのは、楽しさは「チームで協力し、自分たちで作る」ということでした。
それに気が付いてから、ボール運動が大好きになりました。
(F児)
7 成果と課題
⑴ 成果
本実践では、学び合いを通して技能を身に付け、成功する喜びを味わわせることを目指して取り組
んできた。資料7からは、多くの児童が仲間とともに学び合いながら技能を身に付けようと学習に取
り組むことができたこと。そして、資料8からはできる喜びや勝つ喜びなどが学習を通して味わうこ
とができたことが分かる。
以上のように、本実践では、学び合いを通して技能を身に付け、成功する喜びを味わうことができ
た。これは、本実践の大きな成果である。
資料7
○ 友達に教えたり、
教えてもらったことをやって
みたりしながら、
攻める動きを身に付けようとす
ることができた。
資料8
○ できる喜び、勝つ喜び、作戦が成功した喜び
など、学習を通して喜びを味わうことができた。
⑵ 課題
① 状況が目まぐるしく変わるゲーム・ボール運動領域の学習において、集団での動きの変容や課題
を的確に見取り、指導に生かしてくための教師自身の「動きを見る目」を高めていくことが必要で
ある。
② 視聴覚機器の活用は目指す動きの具体的な姿を見せるためには非常に有効な手段であるが、運動
場では見せる時間が確保できないため、実際の動きを見せる時間を設定することが必要である。場
合によってはゲームの回数を減らし動きを見せることを中心とした時間を単元計画の中に位置付け
ることも考えられる。
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