分散電源の新しい単独運転検出方法(その 4)

3
2011 March vol.461
平成23年3月 461号
R&D NEWS KANSAI
▲
巻頭言
冷蔵庫は暖房機?
▲
研究紹介
X線を活用した電線の内部腐
食検出システムの開発
NEWS KANSAI
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Contents
▲
巻頭言
冷蔵庫は暖房機?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
▲
研究紹介
研究開発室 電力技術研究所 電力基盤技術研究室(系統)
分散電源の新しい単独運転検出方法
(その4)
~適用系統の拡大と確実な検出を目指した検出方法の改良~・・・・・・
電力技術研究所 電力基盤技術研究室(流通)
X線を活用した電線の内部腐食検出システムの開発・ ・・・・・・・・・・・
2
4
電力流通事業本部 NW 技術部門 NW 技術システムグループ
系統運用、配電運用の効率的な業務運営を目指した
テレコン情報システムの開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
電力システム技術センター 変電グループ
系統安定度機能を向上した SVG の開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
8
研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター
保温材を利用した保水性パネルの開発および
実証試験結果について・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター
竹炭の建材等への適用調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10
12
研究開発室 電力技術研究所 プロジェクト研究室
ナノ空間を有するコア・シェル構造ナノ粒子を用いた
電極材料の開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
研究開発室 エネルギー利用技術研究所 総合エネルギー研究室
14
多機能電力貯蔵装置の開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
16
平成 22 年度 R&D News Kansai 総目次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
18
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
巻 頭 言
冷蔵庫は暖房機?
㈶地球環境産業技術研究機構 (RITE) 理事・研究所長
山地 憲治
先日久しぶりに会った友人の米国の研究者から
笑い話を聞いた。彼の知人の経験で実話らしいの
だが、暑かったので冷蔵庫のドアを開けて涼んで
いたが、用事が出来たので、そのままにして外出
して帰ったら部屋が逆に暑くなっていたというの
である。冷蔵庫は庫内の熱を外に出すが、熱は部
屋の中に移動するだけである。冷蔵庫のドアを開
けていると庫内が冷えないので冷蔵庫はフルパ
ワーで運転を続け、部屋全体としては冷蔵庫が消
費した電気が熱になって暖房になる。当たり前の
ことだが、冷蔵庫のドアを開けて涼んでいる間は
そのことに気がつかない。これは笑い話ですむが、
全体を考えないとこのような滑稽な間違いを犯す
ことはよくある。同じ理由だが、スケールを大き
くして言えば、冷房機は地球にとっては暖房機で
ある。
私の研究分野はエネルギーシステム工学である
が、システム工学の基本の一つは境界を明瞭にす
ることである。冷蔵庫の例のように、境界を狭く
して局所的に考えると実現する効果も、境界を広
くしてより大きなシステムで考えるとまったく逆
になることはよくある。内部に相互作用があるシ
ステムでは、システムを分割して得られる効果を
単純に足し合わせても、システム全体としての効
果にはならない。経済学ではこれを合成の誤謬と
呼んでいる。
別の例を挙げれば、照明の暖房効果も面白い。
LEDのような効率的な照明でもエネルギー消費は
ゼロにはならず、使用した電気は最終的には熱に
変わって暖房効果を持つ。わが国のように冷房需
要が大きい国では、照明の効率を上げると冷房負
荷が下がるというメリットについては意識されて
おり、研究も行われているが、暖房効果が小さく
なることによるデメリットについてはほとんど考
慮されていないと思う。しかし、気候条件が異な
り暖房需要が大きい国ではこのデメリットが無視
できない。数年前の国際会議で聞いたカナダの研
究者の発表は、照明の効率化に伴う暖房負荷の増
大に関するものだったが、結果は次のようなもの
である。省エネについては、家庭用の照明の90%
を蛍光灯にすると、照明用のエネルギー需要はベー
スライン(特段の普及政策をとらなかった場合)
より58%減る。しかし、照明の暖房効果も少なく
なることを考慮すると、別途暖房用エネルギー消
費が増えるので、正味では37%減にとどまる。
より面白いのはCO2削減効果で、これは電力の
CO2排出原単位に依存して大きく変化する。カナダ
全体では省エネ効果の場合とほぼ同様な結果にな
るが、ケベック州のように水力発電がほとんどの
州では、照明の暖房効果の減少を化石燃料による
暖房で補うために、蛍光灯に切替えることで、逆
にCO2排出量は増えるというのである。
このようなシステム効果としての合成の誤謬は、
エネルギーシステムの中だけでも他に数多く見出
せる。例えば、電気自動車のCO2削減効果は、中国
のように効率の低い石炭火力発電が中心の国では、
電力需要の増大によるCO2排出がガソリン需要減に
よる削減量を上回る。バイオ燃料についても、米
国のようにトウモロコシからエタノールを製造す
る場合には、製造工程での化石燃料の使用から発
生するCO2がバイオマス利用によるCO2削減効果を
大きく相殺してしまう。
システム境界を常に意識して、合成の誤謬に陥
らないよう研究開発を進めていただきたい。
略歴
1950年2月25日生。1972年4月東京大学工学部原
子力工学科卒業。1977年3月東京大学大学院工学
系研究科博士課程修了、工学博士。同年、㈶電力
中央研究所入所。その後、米国電力研究所(EPRI)
客員研究員、電力中央研究所・エネルギー研究室
長等を経て、1994年東京大学教授(大学院工学系
研究科電気系工学専攻)
、2010年より㈶地球環境産
業技術研究機構(RITE)理事・研究所長、東京大学
名誉教授。エネルギーシステム工学に関する研究
に従事。エネルギー・資源学会副会長。日本エネ
ルギー学会副会長。日本学術会議会員。
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
1
研究紹介
研究開発室 電力技術研究所 電力基盤技術研究室(系統)
分散電源の新しい単独運転検出方法(その4)
~適用系統の拡大と確実な検出を目指した検出方法の改良~
分散電源(太陽光・風力発電やコージェネレーションなどの発電設備)が連系されている
系統では、単独運転(分散電源だけで負荷に電力を供給する状態)を防止するために単
独運転検出装置を設置しなければなりません。単独運転検出装置には様々な方式が使われ
ていますが、いずれの方式も課題があるため、高調波に着目した新たな方式を研究してい
ます。これまでに本方式の概要(R&D 2008 年3月号)
、実験設備での検証試験(R&D
2008 年7月号)
、小水力系統での検証試験(R&D 2009 年7月号)について紹介してき
ました。本稿では適用系統の拡大と確実な検出を図るための改良を行ったので紹介します。
アドミタンスの周波数特性
アドミタンス Y
変電所
開放
単独運転の範囲 配
単独時
連系時
検出点
負荷
分散電源連系
のお客さま
分散
電源
単独発生
時 間t
2
[秒]
第1図 基本的な検出原理
[単独前]
2.基本的な検出原理
第1図に基本的な検出原理を
示します。分散電源が系統から
切り離されることにより、系統回
路定数、高調波の分布状態が変
化するため、アドミタンスの周波
数特性は変化します。本方式は、
この変化により単独運転を検出
するものです。第2図に最も基本
的なケースである分散電源側高
調波が大きい場合の等価回路に
おける検出点での主な高調波の
流れを示します(以下「高調波
の流れ」という)
。
単独前は、高調波アドミタン
スは、一般的にYL,YdよりYsの方
が大きいため、高調波電流は分
散電源側から系統側へ流れます。
そのため、検出点からみた高調
波アドミタンスはYsがみえます。
単独運転移行後は、系統側が切
り離されるため、単独系統内に
YLとYdが残りますが、IdがILに比
べて大きいため、高調波電流は
分散電源側から負荷側へと流れ、
検出点からみた高調波アドミタ
ンスはYLへと変化します。一般的
にYsよりYLの方が小さいため、高
[Hz]
周波数f
電
線
負荷
高調波アドミタンス Yn
1.研究の背景とねらい
単独運転検出装置には大きく
受動的方式と能動的方式があり
ますが、どちらの方式も信頼度
等で課題があります(詳細はR&
D2008年3月号を参照下さい)
。
したがって、信号注入を行わず
に確実に検出できる新たな方式
を研究しています。
検出点
単独形成
しゃ断器
Is ↑
IL ↑
Ys
系統側
YL
Yd
分散電源側
負荷側
[単独後]
検出点
単独形成
しゃ断器
Ys→YL
↑ Id
IL ↑
YL
負荷側
Yd
↑ Id
分散電源側
Is:系統側高調波電流源
Ys:系統側高調波アドミタンス
IL:負荷側高調波電流源
YL:負荷側高調波アドミタンス
Id:分散電源側電流源
Yd:分散電源側高調波アドミタンス
ΔY=
|Y| (単独後)
|Y| (単独前)
-1=
|YL|
|Ys|
-1<α(検出判定の
ための閾値)
アドミタンス変化により検出が可能
第2図 検出点での主な高調波の流れ
[基本的なケース(│Id│>│Is│, │IL│)]
調波アドミタンスは低下し、単独
運転を検出することができます。
3.従来の検出方法の問題点と
対応策
従来の方法は、分散電源側に
安定した高調波源があれば検出
は可能ですが、以下のようなケー
スでは検出ができませんでした。
以下にその対応策を示します(第
3図参照)
。
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
(1)分 散電源側と負荷側の高調
波源が等しい場合
(│Is│<│Id│=│IL│)
│Id│と│IL│の大きさが等しく逆
位相の場合、単独運転移行後、
分散電源側と負荷側とで循環電
流が流れ、検出点に高調波電圧
が発生しないため高調波アドミ
タンスが大きくなり検出できませ
ん。対策として高調波電圧によ
る検出を行います。単独時、高
調波電圧が0に低下するため電
圧による検出が可能となります。
(2)負荷側高調波源が大きい場合
(│Is│<│Id│<│IL│)
単独前の高調波アドミタンス
はYsがみえ、単独後はILが大きい
ため、Ydがみえます。│Ys│≦│Yd│
の場合、高調波アドミタンスが
低下しないため検出できません。
対策としては、高調波電流によ
る検出を行います。検出点の高
調波電流はIdからILへと増加する
ため、電流による検出が可能と
なります。
(3)系統側高調波源が大きい場合
(│Is│>│IL│>│Id│)
単独前はIsが大きいため高調
波電流は系統側から分散電源側
へ流れ検出点からみた高調波ア
ドミタンスはYdがみえます。単独
運転移行後はILが大きいため単
独前と同じくYdがみえるため、単
独前後でアドミタンス変化はなく
検出することはできません。しか
し、高調波電圧による検出が可
研究開発室 電力技術研究所 電力基盤技術研究室(系統)
分散電源の新しい単独運転検出方法(その4)
(1)負荷側と分散電源側の高調波源が
等しい場合(|Is|<|Id|=|IL|)
(3)系統側高調波源が大きい場合
(2)負荷側高調波源が大きい場合
(|Is|<|Id|<|IL|)
[単独前]
(|Is|>|IL|>|Id|)
[単独前]
検出点
単独形成
しゃ断器
Is ↑
IL ↑
Ys
系統側
[単独前]
YL
Yd
負荷側
検出点
単独形成
しゃ断器
↑ Id
Is ↑
IL ↑
Ys
系統側
分散電源側
YL
[単独後]
検出点
単独形成
しゃ断器
IL ↑
|V|前→0
YL
分散電源側
分散電源側
YL
Yd
電圧変化により検出が可能
○
系統側
YL
分散電源側
検出点
IL ↑
|Is|
|Yd|
分散電源側
|I| (単独後)
|IL|
-1=
-1>γ
|Id|
|I| (単独前)
○
電流変化により検出が可能
→ |V|後=
YL
↑ Id
Yd
|IL|
|Yd|
負荷側
ΔV=
↑ Id
Yd
負荷側
↑ Id
|V|前 =
負荷側
0
ΔV=
-1=
-1=-1<β ΔI=
|V|前
|V| (単独前)
|V| (単独後)
IL ↑
Ys
[単独後]
|Id|→|IL|
負荷側
Is ↑
単独形成
しゃ断器
IL ↑
↑ Id
↑ Id
検出点
単独形成
しゃ断器
Yd
Yd
負荷側
[単独後]
検出点
単独形成
しゃ断器
|V| (単独後)
|V| (単独前)
|IL|
-1=
|Is|
分散電源側
-1<β
○
電圧変化により検出が可能
判定基準:ΔY<α、ΔV<β、ΔI>γ (α:アドミタンス変化率判定閾値、β:電圧変化率判定閾値、γ:電流変化率判定閾値)
4.実系統による改良した検出
方法の検証
第4図に示すような実系統で
改良した検出方法の検証を行い
ました。第5図は、発電機出力と
負荷をバランスさせCB①を開放
し、単独運転へと移行した時の
波形です。
第5次は電 圧 変 化 率が閾 値
-0.2(弱条件)を超え、第7次
はアドミタンス変化率が閾値-0.4
(強条件)を超えることで約0.4
秒で単独運転を検出しました。
なお、実系統において単独運転
以外の系統擾乱で不要検出が発
生する課題があります。
5.不要検出防止対策
単独運転でないにもかかわら
第1表 改良した検出条件
○:検出項目
第7次 ΔY 7
ΔV 7 ΔI 7
第5次
α1 α2 β1 β2
(強) (弱) (強) (弱)
γ1
α1
○
○
○
-
○
-
○
○
○
○
○
○
(弱) ○
γ1
ΔI 5 (強) ○
-
○
-
○
○
○
○
○
β1
ΔV 5 (強)
β2
CB
強条件:アドミタンス、電圧、電流が大きく変化する条件
弱条件:強条件には至らないが変動が検出できる条件
ず不要検出してしまう課題に対
しては、第5次と第7次のAND条
件での検出とすることや、高調波
電圧、高調波アドミタンスが設
定値より低下した場合には検出
をロックするなどの対策を講じる
ことで大幅に不要検出件数を減
らすことができました。
6.まとめ
今回の改良により、検出に関し
ては一応の完成と考えています
が、更なる信頼度向上に向けて、
不要検出防止が今後の課題です。
単独系統
CB
CB
CB
一般
負荷
(強)
○
○
ΔY 5 (強)
α2
(弱) ○
➀
CB:しゃ断器
単独運転
検出装置
CB
CB
一般
負荷
一般
負荷
所内
負荷
発電機容量
発電機
8200kVA
第4図 試験系統図
第7次アドミタンス変化率 第5次電圧変化率
(4)改良した検出方法
第1表に示すような組み合わ
せにより検出するものとしまし
た。ここで単独運転を判定する
指標である閾値に強条件(α1, β1,
γ1)と弱条件(α2, β2)を設け
ることにより、第5次と第7次の
どちらかが大きく変化し、残りの
次数がわずかでも変化すれば検
出する条件とすることで、より確
実な検出が可能となりました。
第3図 各高調波条件での検出方法
単独発生
0
-0.2
-0.4
-0.6
閾値(弱)
-0.2
閾値(強)
-0.4
0.2
0
-0.2
-0.4
-0.6
閾値(弱)
-0.2
閾値(強)
-0.4
-0.8
検出
検出信号
能です。単独前は│V│=│Is│ / │Yd│
であり、単独後は│V│=│IL│ / │Yd│
です。│Is│>│IL│のため、電圧が低
下するため、電圧検出が可能と
なります。
0
1.0
2.0
3.0
4.0
時間(s)
第5図 検出波形
本研究は、日新電機㈱との共
同研究で実施しています。
執 筆 者
執 筆 者:井上 忍
所 属:研究開発室 電力技術研究所 電力基盤技術研究室(系統)
主な業務:電力系統解析業務に従事
連絡先
社用:97-7069
外線:050-7104-2444
研究に携わった人
電力技術研究所 電力基盤技術研究室(系統) 出野 賢一
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
3
研究紹介
電力技術研究所 電力基盤技術研究室(流通)
X線を活用した電線の内部腐食検出システムの開発
架空送電線に一般に用いられる鋼心アルミより線では、塩分や水分がより線の内部に浸透す
ると、内部のアルミ線が腐食することがあります。このような内部腐食が進行すると、いず
れは電線の性能に影響をおよぼすこととなりますが、従来の方法では、腐食がある程度進行
した段階でないと把握が困難であり、内部腐食を初期の段階で検出する方法の確立が課題と
なっていました。本研究では、X線を活用し、電線の内部腐食を初期の段階で検出するシス
テムを開発しましたので紹介します。
1.研究の背景とねらい
当社の架空送電線の約5割が
建設後30年以上を経過してお
り、今後、さらに設備の高経年
化が進んでいきます。架空送電
線については、巡視や点検によ
り設備実態を把握し、必要に応
じて設備更新を行なっています
が、今後は、増加する高経年設
備に対して計画的な設備更新を
行なっていく必要があります。
架空送電線に一般に用いられ
る鋼心アルミより線では、塩分
や水分がより線の内部に浸透す
ると、それらを介して鋼心線と
内部のアルミ線が電気的に接触
し、内部のアルミ線が腐食する
ことがあります。この内部腐食
の進行は経過地の環境条件に
よって異なるため、腐食状況を
設備ごとに把握する必要があり
ます。
電線の内部腐食状況の把握
は、現在は、鉄塔上や電線上で
隙間のある断面
鋼心線
アルミ線
X線透過量
4
の目視点検等により実施してい
ますが、この方法では、内部腐
食がある程度進行し、腐食生成
物の発生によって電線がふくれ
て太くなってからの発見となり
ます。今後、増加する高経年設
備に対して計画的な設備更新を
行なう上では、設備実態を高
精度に把握することが重要とな
るため、内部腐食を初期の段階
で検出する方法の確立が課題と
なっていました。
2.研究概要
X線を活用して、その撮影画
像から内部の健全性を診断する
手法は一般に知られています
が、撮影画像を見るだけでは鋼
心アルミより線の内部腐食の状
況を把握することはできませ
ん。また、架空送電線を非破壊
で検査するためには、上空に張
られた電線上で撮影するための
装置が必要となります。このた
め、本研究では、電線メーカー
として電線の強度試験等の知見
健全な電線
腐食した電線
X線
をもつ株式会社ジェイパワーシ
ステムズと、X線による健全性
腐食による減肉(黒色箇所)
診断等の知見をもつ九州電技開
発株式会社と共同で、X線撮影
腐食生成物(黄色箇所)
画像から内部腐食状況を検出す
る手法および電線上でX線撮影
するための装置の開発を進めて
第1図 X線の透過量
きました。
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
(1)内部腐食検出手法の開発
第1図に示すように、健全な
鋼心アルミより線では、アルミ
線や鋼心線との間に隙間がある
ことから、そのX線透過量の起
伏は大きくなります。これに対
し、内部腐食が進行すると、ア
ルミ線が減肉するとともに、そ
れに代わって発生した腐食生成
物がアルミ線や鋼心線との間の
隙間まで満たすため、X線の透
過量の起伏は小さくなります。
開発した内部腐食検出方法はこ
のX線透過量の変化に着目して
おり、この変化の程度を「差画
像処理」
により抽出し、
「ニュー
ラルネットワーク(NN)手法」
により解析することで、内部腐
食状況を電線の残存強度を指標
として評価しています。
(a)X線撮影画像の差画像処理
差画像処理とは、第2図に示
すように、得られた撮影画像を
小さな区域に分割し、電線の垂
直方向に隣接する区域の透過量
の差の絶対値(差分値といいま
す。
)を計算し、その差分値に
より再画像化するという処理の
ことです。この処理により、X
線透過量の起伏の変化のみを抽
出することが出来ます。
電力技術研究所 電力基盤技術研究室(流通)
X線を活用した電線の内部腐食検出システムの開発
X線透過量
X線
電線
腐食した電線
|A-B| |B-C| |C-D|
差分値
透過量 透過量 透過量 透過量
A
B
C
D
X線撮影画像
①X線撮影画像を
小さな区域に分割する。
健全な電線
②隣接区域の透過量の
差分値で再画像化する。
③差分値で、X線透過量の起伏の
変化のみが抽出される。
第2図 差画像処理のイメージ
ブレーキ
電線
X線の向き
第1表 残存強度評価結果
X線検出パネル
撤去電線
(鋼心アルミより線 410mm2)
サンプルA
サンプルB
無線伝送機器収納部
残存強度
システム推定結果
引張試験結果
270 kgf
283.4 kgf
270 kgf
261.5 kgf
誤差
▲4.7%
3.3%
寸法:縦 104cm
X線発生源
横 26cm
高 114cm
重量:55kg(X線発生源や無線等含)
写真1 X線撮影装置
(b)NN手法による解析
ニューラルネットワーク
(NN)手法とは、学習能力に
よってパターン認識や定量化が
難しい問題を解くことに用いら
れる手法です。本研究では、こ
の手法を利用し、内部腐食の程
度が既に判明している電線のX
線差画像と残存強度の組み合わ
せを学習データとして事前に蓄
積しておくことで、新たに評価
したい電線の差画像から、残存
強度の推定を行うシステムを構
築しました。
(2)X線撮影装置の開発
開発したX線撮影装置を写真
1に示します。電線上での作業
を効率的に行なうために、軽量
な可搬型のX線発生装置を採用
するとともに、フレームの材質
にアルミを採用し、形状を三角
形状にする等の軽量化を図って
います。
電線のX線撮影は、ブレーキ
により本装置を電線に固定した
後、
X線作業主任者の指示の下、
装置の前後にX線管理区域旗を
明示し、作業員が管理区域の外
に離れた後に行います。撮影で
得られた画像データは、この撮
影装置から地上側のパソコンに
無線伝送されるため、撮影結果
をただちに確認することができ
ます。
3.研究成果
実際の架空送電線から撤去し
てきた電線を用い、開発したシ
ステムで評価した残存強度の推
定結果と、実際に引張試験によ
り得た残存強度を、第1表に示
します。この結果から、開発し
たシステムでは数%の誤差で残
存強度を推定できており、多少
の誤差はあるものの内部腐食を
初期の段階で検出することが可
能となっています。
また、開発したX線撮影装置
を用い、実際の電線上で撮影作
業を行うことで作業性に問題が
ないことを確認しました。
4.今後の取り組み
今後は、電線張替工事などで
入手できる撤去電線を活用し、
様々なサイズ、様々な腐食程度
の電線について学習データをさ
らに蓄積し、精度検証、精度向
上を行いながら、実用化を検討
していきます。
執 筆 者
執 筆 者:水野 公平
所 属:電力技術研究所 電力基盤技術研究室(流通)
主な業務:架空送電線に関する研究開発業務等に従事
連絡先
社用:97-7102
外線:050-7104-2469
研究に携わった人
電力システム技術センター 架空送電グループ 西村 哲治
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
5
研究紹介
電力流通事業本部 NW 技術部門 NW 技術システムグループ
系統運用、配電運用の効率的な業務運営を目指したテレ
コン情報システムの開発
配電自動化システムの構成機器の一つである変電所子局(以下、配電テレコンという)は、
高経年化対策や太陽光大量連系に備え系統運用を高度化していくために改善が必要となって
いました。そこで、IP(インターネットプロトコル)技術を活用することで、低コストで高経
年化対策と高性能化が図れるため今回、連携システムを開発しましたので紹介します。
視制御や潮流監視などに必要な
高速伝送や機能拡張が困難であ
り、
抜本的な対策が必要でした。
そこで部門の垣根を越えた業務
最適化を検討する中で配電テレ
コンを新たに開発するのではな
く、近年設置が進んでいる給制
IPテレコンと連携することで、
メンテナンスコストの低減や資
産圧縮および、より高度な系統
運用が可能になるよう、給制IP
テレコンとの連携システムとし
てテレコン情報システム
(以下、
TISという)を開発しました。
1.システム開発の背景
1980年代後半から配電自動
化システムの運用を開始し、変
電所情報(配電線電流・リレー
情報など)については、配電テ
レコンを設置し取得していま
す。この配電テレコンは導入か
ら長期間(最長24年)が経過し、
機器故障が増加する一方、補修
部品が枯渇してきており、改修
が困難な状況になってきていま
す。 ま た、 現 在1200bpsの 専
用プロトコルを採用し、系統運
用の高度化を図るための電圧監
2.システム概要
本システムは、配電 テ レ コ
ンを廃止し、給電制御所シス
テムや給制IPテレコンとのIP網
(100Mbps)を介した連携に
よる変電所情報の収集を実現し
ました。これにより伝送量の多
いテレメータ情報を短周期で配
電自動化システムにて取得する
ことが可能となりました。シス
テム構成を第1図に示します。
(1)システムの特徴
給制IPテレコンと連携するた
<従来のシステム構成>
【変電所】
【営業所or給電制御所】
配電系統
配電テレコン
配電自動化
中央装置
親局
6.6kV
専用回線(1200bps)
情報伝送ルート
給電制御所
システム
給制IPテレコン
(系統運用部門)
<IP化に対応したシステム構成>
【変電所】
配電系統
【営業所or給電制御所】
今回新設
TIS
6.6kV
配電自動化
中央装置
IPNW(100Mbps)
情報伝送ルート
給制IPテレコン
(系統運用部門)
第1図 TISを用いたシステム変更概要
6
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
給電制御所
システム
電力流通事業本部 NW 技術部門 NW 技術システムグループ
系統運用、配電運用の効率的な業務運営を目指したテレコン情報システムの開発
第1表 TISの主な機能
機能分類
給制システム設備情報連携
給制-配電システム情報照合
給制IPテレコン情報連携
回線監視・異常処理
めに、給電制御所システムと配
電自動化システムの変電所情報
の連携差異を明確化し、現行の
配電テレコンから伝送される情
報の処理機能と共存させ、かつ、
伝送情報の拡張や高速伝送によ
る自動化機能の更なる高機能化
までを実現可能としています。
また、TISのOSにはLinuxを採用
し、GUIはブラウザ技術を活用
して汎用性を高めるとともに、
高速な安定した処理と経済性を
両立したシステムを構成しま
した。
(2)機能の概要
TISの主な機能は、給制IPテ
レコンの情報項目を分析し、逐
次伝送されているタイミングや
情報量に対して適切に配電自動
化システムで利用できる伝送情
報に変換し配電自動化システム
へ連携する機能です。また、給
制IPテレコンとの回線や装置異
常を監視し通知する機能を有し
ます。内容を第1表に示します。
これらの機能を実現するため
に工夫した点は、流用開発によ
るコスト低減と、伝送情報の高
速なポジション変換機能にあり
ます。配電テレコンからの情報
は変電所タイプごとにポジショ
ンが固定されていますが、給制
IPテレコンからの情報は変電所
内容
給制システムからの設備情報連携
給制-配電システム紐付け情報の更新処理
給制-配電側ポジション変換テーブル生成処理
照合情報確認・修正処理(マンマシンインターフェース)
給制-配電システムポジション変換処理
給制IPテレコンデータ(リレー情報など)加工処理
給制IPテレコン回線監視処理
TIS異常監視処理
タイプによって固定されておら
ず、変電所内の設備数によって
伝送される項目数やポジション
が可変となっています。このた
め配電自動化システムでこの情
報を扱うためには、変換処理が
必要となり、TISにて処理を行う
ことで高速なポジション変換を
可能としました。この処理にお
いては配電自動化システムおよ
び給電制御所システムより設備
情報を連携し、変換テーブルを
作成することで処理することと
しました。さらに変電所設備の
増減による変換テーブルの自動
更新も可能としています。また、
配電自動化サーバや給電制御所
システムの既存伝送I/FをTISに
移植することで開発費を最小限
に抑えることができました。
3.試作機による検証
従前の営業所親局と共存して
高速に処理する必要があること
や、現場機器の状態変化情報は
多岐に亘ることから、機能実装
したTISのプロトタイプシステム
を開発し、モデル営業所におい
て検証を行いました。検証期間
中は全ての状態変化情報の処理
結果をログ出力しモニタリング
を行い、十分な機能・性能が実
現できていることを確認したこ
とで実用化の目処を得ました。
4.今後の予定
今後、高経年化している配電
テレコンから順次改修を実施し
ていくものとし、平成22年度
については17変電所について
改修を行う予定です。また、太
陽光連系などの分散型電源への
対応として、配電自動化システ
ムからの変電所送出電圧の直接
制御やIP高速伝送を活用した配
電線電圧制御集中化機能などの
高機能化についても検討してい
く予定です。
執 筆 者
執 筆 者:中辻 賢吾
所 属:電力流通事業本部 NW 技術部門 NW 技術システムグループ
主な業務:
連絡先
社用:92-3416
外線:050-7104-0558
研究に携わった人
電力流通事業本部 NW 技術部門 NW 技術システムグループ 光藤 隆二
南大阪営業所 岸和田 NW 技術センター 飯田 義和
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
7
研究紹介
電力システム技術センター 変電グループ
系統安定度機能を向上した SVG の開発
定態安定度の向上や電圧安定度の向上を実現してきた静止形無効電力補償装置(SVG:Static
Var Generator、以降、SVG と呼ぶ)に、さらなる系統安定度の向上として過渡安定度向上機
能を持った SVG を開発・導入すべく、
研究を進めてきましたので、
以下にその内容を紹介します。
1.背景
当社では、長距離送電線を伴
う水力幹線系統の安定度向上を
目的に、
自励式変換器を用いた
SVGを開発し1991年に犬山開閉
所へ導入しました。このSVGは、
世界初の電力系統用SVGとして、
設置当初から今日まで送電容量
の向上や系統の安定度向上に大
きく貢献してきました。
現在まで
に開発・導入したSVGは、
上記の
定態安定度向上を目的とした犬
山開閉所SVGに加え、
都市部老朽
火力の廃止に伴う系統の電圧安
定度向上を目的とした神崎変電
所SVG
(2003年運開)
があります。
SVGを適用した写真を第1図に示
します。
第1図 SVG適用実績
(左写真:犬山SVG,右写真:神崎SVG)
一方、
近年の電力自由化の進展
に伴い、
送電系統の一層の有効活
用など設備構成の効率化が望ま
れており、
送電ルート変更なども
行なわれています。
そのため、
電
力系統の構成や線路潮流など、
系
統状況も過去と比較して大きく
変化してきました。
このような状
況の中、
系統特性の変化に伴って
SVGに対する系統側からの要求
事項も変化してきました。
2.系統側からの要求事項
第2図に検討対象の系統を示
します。
第2図の右側にある発電
機群から全潮流が長距離送電線
を経由してB変電所、
C変電所へ
供給される154kV系統を設定し、
8
長距離送電線の電気的中間点に
あるA開閉所にSVGの設置を想
定しました。
系統側からの新たな
要求事項として、このSVGにより
過渡安定度の向上を図ることを
目的として検討を行いました。
ま
た、
本想定系統は線路重潮流時に
は、
定態不安定となるように設定
し、その定態安定度を向上しな
がら、
第2図に示すような系統故
障が発生した場合にも発電機の
脱調を防止できるSVGの検討を
行いました。
第2図 検討対象系統図
(1)過渡安定度の条件
対象とする系統故障が発生し
た場合に発電機群が脱調するこ
とを防止する
(過渡安定度向上)
必要があります。
もっとも過酷な
事故として第2図に示すような次
の2つの系統故障を想定して検
討を行いました。
故障A:C変電所275kV片母線
3LG事故(100msec後事
故除去)
故障B:B変電所77kV母線引出
し線路至近端3LG事故
(233msec後事故除去)
(2)定態安定度の条件
発電機群が全台フル運転した
場合の発電機出力
(約300MW)
を長距離送電線で送電した場合
に、
電力を安定に送電できること
(定態安定度向上)
が必要です。
線
路潮流がある値以上となり重潮
流化した場合には、SVGはQバイ
アス運転を行い、
一定の進相無効
電力を出力させることで、
定態安
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
定度をさらに向上させることにし
ました。
3.過渡安定度向上制御と必要
容量
検討対象の系統は、
系統の同期
化力が比較的小さく、ダンピン
グ力についても比較的弱い特性
を有しています。
そこで、それぞ
れの系統特性を向上させること
で過渡安定度向上を図ることと
しました。
同期化力向上はSVGに
AVR制御を適用することで実現
し、ダンピング力向上はPSS制御
を適用することで実現することに
しました。
過渡安定度向上に対応
したSVG制御ブロックを第3図に
示します。
特に、
系統故障が発生
した直後の電圧低下時にはAVR
制御による同期化力向上効果を
期待し、
系統電圧を支えることで
過渡安定度1波目の脱調を防止
します。
さらに、2波目以降の系
統動揺に対してはPSS制御によっ
てダンピング力を向上させること
で脱調を防止します。
これらの過
渡安定度向上に対応した制御方
式を適用し、
発電機脱調を防止で
きるSVG容量を安定度解析により
計算しました。
その結果、
第4図の
解析結果に示すようにSVG容量
過渡安定度制御
母線電圧
ΔV形
AVR
同期化力
線路潮流
PSS
SVG出力
ダンピング力
無効分
指令
Qバイアス
定態安定度
第3図 過渡安定度向上対応SVG制御
電力システム技術センター 変電グループ
系統安定度機能を向上した SVG の開発
第1表 SVG仕様
69*09$
SVG システム仕様
78MVA+52MVA
定格容量
定格交流電圧・電流
154kV,292A・195 A
変圧器構成
多重変圧器
装置構成
2 並列システム
3 段多重+2 段多重
インバータ 1 段仕様
適用素子・構成
6kV-6kAGCT,1S1P
インバータ方式
3 レベル単相×3 相
26MVA
定格容量
定格交流電圧・電流
3846V,2255 A
定格直流電圧
±3000V
PWM 制御
5 パルス
69* ߥߒ
69* ߥߒ
69*09$
第4図 SVG有無時の発電機内部相差角
は130MVA以上が必要であるこ
とが明らかとなりました。
4.SVGの主回路構成の検討
コンパクトで低損失な130MVA
のSVGシステムを実現するため
の定格仕様を検討しました。主
回路構成図を第5図に示します。
世界最大容量6kV-6kA-GCT
(Gate
Commutated Turn-off thyristor)
を用いた3レベル単相変換器を
適用することで、
使用素子数およ
び変圧器多重段数の低減を図り
ました。
また、SVG点検などによる
停止を考慮し、
信頼度向上を目的
にSVGシステムを2並列構成とし
ました。
2並列システムの冗長構成と
す るにより、SVG2台 運 転 時 は
SVG容 量130MVAが 確 保される
ため、
過渡安定度向上効果が期待
でき、さらに定態安定度も確保
できます。
SVG1台停止時におい
ても、残り1台のSVGの運転によ
り定態安定度維持のためのQバ
イアス量を確保できるため、
定態
安定度向上効果が期待でき、
発電
機出力全量の送電が可能となり
ます。
PWMスイッチング パルス数
については、
過渡安定度向上を目
的としていることから、
系統事故
時の過渡現象などに対する運転
継続性を向上させることを考慮
し、5パルスの適用を想定しまし
た。
また、
安定度解析の結果から、
系統電圧1.15PUにおいて定格進
相無効電力を系統へ供給できる
ように機器仕様を設定しました。
SVGの定格仕様を第1表に示し
ます。
5.瞬時値解析によるSVG運転
継続性の確認
要求仕様を満足するSVGの運
転継続性を確認するために、対
象となる電力系統、SVG主回路、
SVG制御などを詳細に模擬した
瞬時値解析モデルを構築し、
故障
A、
Bによる瞬時値解析を実施し
ました。
故障Aの解析結果を第6
図に示します。
故障AはSVG運転
継続に対して厳しい条件となっ
ています。
第6図 故障Aの瞬時値解析結果
母線3LG故障が発生すると、
故
障発生直後および故障除去直後
に過渡現象が発生し、
電圧歪が生
じています。
しかし、SVGはその
過渡現象に対しても運転停止に
至るような過電流は発生してお
らず、
直流電圧に対する影響も大
きくなく、
良好に運転継続してい
ることがわかります。
瞬時値解析検討によって、
系統
故障時におけるSVGの高度な運
転継続性を確認することができ、
過渡安定度向上に望ましい運転
継続性を実現することが可能と
なりました。
6.あとがき
今回の研究結果により、
過渡安
定度向上を目指したSVGの実現
性の見通しを得ることができまし
た。また、詳細なSVGの定格仕様
の検討により、
事故中の運転継続
性に優れ、コンパクトで高性能
なSVGを構築することができるこ
とがわかりました。
今後は、この
SVGの実器適用に向けて詳細検
討を実施していく予定です。
執 筆 者
第5図 SVGの主回路構成図
上図:SVG主回路並列システム構成、
下左図:ハーフブリッジ主回路、
右下図:GCT素子写真
( )
執 筆 者:新木 依子
所 属:電力システム技術センター 変電グループ
主な業務:変電関係技術の業務に従事
連絡先
社用:97-4474
外線:050-7104-6010
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
9
研究紹介
研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター
保温材を利用した保水性パネルの開発および実証試験
結果について
火力発電所から排出される産業廃棄物として、高温蒸気配管等に取り付けられた保温材が発
生します。この保温材は特徴として高保水能力を有していることから、本研究では、この高
保水能力を活かしヒートアイランド対策などで活用できる保水性パネルの開発と、その活用
方法について実証試験を実施しています。
1.背景と目的
保 温 材は、火 力 発 電 所 の 高
温蒸気配管等を覆い、配管から
の熱放散を抑えるために取り付
けられており、点検、工事等で
取り外した保温材は復元が可能
であれば再利用し、復元できな
いものは無焼成レンガおよび路
盤材としてリサイクルされてい
ます。
この保温材はポーラス状であ
るため、断熱以外に高保水能力
も有しています。この特徴を利
用し、保水した水を蒸発させ気
化熱で現在都市部において問題
となっているヒートアイランド
現象の対策等に活用出来るので
はと、より有効・有益なリサイ
クル手段として、保温材を原料
とした保水性パネルの開発およ
びその保水性パネルを利用した
実証試験に取り組むこととしま
した。
2.保水性パネルの概要
(1)保水性パネルとは・・・
保水性パネルとは、ケイ酸カ
ルシウム保温材の粉体を含有し
たセメント成形体で、内部に無
数の毛管と微小空隙を有してお
り(土壌の団粒状構造と同じ)
、
水を吸い蓄えることができるコ
ンクリートパネルであります。そ
の無数の毛管と微小空隙に蓄え
られた水が日射や風の影響で内
部の毛管を伝ってパネル表面か
10
保水性パネル
第1図 保水性パネルとパネル表面が冷やされるイメージ
ら水が蒸発し、その気化熱によ
りパネル表面が冷やされるとい
うものです(第1図)
。
(2)冷却能力
保水性パネルは優れた冷却能
力(温度上昇緩和能力)を有し
ています。その実績 値として、
夏場の屋外にてコンクリート平
板と保水性パネルの表面温度を
比較した結果、日中の気温が一
番高い時間でコンクリート平板
の表面温度が64.5℃であったの
に対し、保水性パネルの表面温
度は37.5℃と保水性パネルの蒸
発気化熱により27.0℃温度上昇
を緩和できるという結果が出て
います(第2図)
。
(3)軽量な保水性パネル
この保 水 性 パネルは主 成 分
として非常に軽量であるケイ酸
カルシウム保 温 材の 粉 体( 密
度0.17g/cm3以下 )を使 用して
いるため、乾 燥 状 態 の 密 度 が
0.72g/cm3程度、満水状態の密
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
度が1.44g/cm3程度のものです。
例えば建物内部への遮熱効果お
よびヒートアイランド現象の抑
制を期待し建物の屋上へ敷設す
ることを考えた場合、軽量であ
第2図 屋外での保水性パネルとコンク
リート平板の表面温度
第3図 保水性パネルとコンクリート
平板の密度
研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター
保温材を利用した保水性パネルの開発および実証試験
写真1 校舎屋上の保水性パネルを敷設
した風景
写真2 試験区および対照区の測定風景
ることからさまざまな建物へ利
用が可能です(第3図)
。
3.校舎屋上への保水性パネル
敷設による遮熱効果実証試験
平成22年7月から9月にか
けて、廃校となった校舎を使用
し、保水性パネルの活用方法の
一例である建物屋上へ保水性パ
ネルを敷設した場合の建物内へ
の遮熱効果の実証試験を実施し
ました。
(1)試験方法
写真1のように保水性パネ
ルを校舎屋上の1教室分(約
85m2)に敷設し、保水性パネ
ルを敷設した直下の教室(以下
試験区という)と保水性パネル
を敷設していない屋上直下の教
室(以下対照区という)に、そ
れぞれ写真2のように温度計、
体感温度計および天井熱流計を
設置し測定を実施しました。な
お、保水性パネルは常に水を含
んでいる状態を保つため、保水
性パネルの上に緑化用の散水
チューブを這わせ夜間に水を供
給しました。
b.天井面熱流
第6図の試験区と対照区の天
井面熱流測定結果から、試験区
の天井面熱流はほとんどマイナ
ス側で推移しており、天井面か
ら常に教室内の熱を奪っている
状態であったことが確認でき、
一方対照区の天井面熱流はプラ
ス側で推移していることが多
く、天井面から教室内に熱を与
えている状態が多かったことが
確認できました。
3.まとめ
今回、
保水性パネルを開発し、
その使用例の一つである建物屋
上への敷設による遮熱効果を検
証した結果、直下の室温および
天井面熱流から遮熱効果がある
ことが実証出来ました。
現在、この保水性パネルの実
教室から熱を奪う← 天井面熱流(W/㎡) →教室に熱が入る
室温(℃)
40.0
(2)試験結果(速報)
試験区室温
対照区室温
38.0
a.試験区室温と対照区室温
教室の窓を閉めた状態で試験 36.0
区室温と対照区室温とを比較し 34.0
平均室温差:2.1℃
た場合、試験区室温の方が平均 32.0
最大室温差:2.4℃
で2.1℃、最大で2.4℃低いとい 30.0
0:00
4:00
8:00 12:00 16:00 20:00
う結果を得ることが出来ました 第4図 窓を閉めた状態での試験区室温と
対照区室温
(第4図)
。
また、学校に生徒がいる時間
帯だけ窓を開けた状態で試験区
室温と対照区室温とを比較した
場合、試験区室温の方が平均で
0.5℃、最大で1.5℃低いという
結果を得ることが出来ました。
なお、この試験区室温は一階下
の教室の室温と同等でありまし 第5図 窓を開けた状態での試験区室温と対照
区室温および一階下の教室室温
た(第5図)
。
15
試験区
対照区
10
5
0
-5
-10
-15
第6図 試験区天井面熱流と対照区天井面
熱流(H22.7.27 ~ 8.22)
用化を目指し、製造工場での量
産技術開発に着手し、建物の屋
根部分などに敷設した場合の省
エネ効果を検証することを検討
してます。
最後に、保水性パネルは株式
会社森生テクノと共同研究にて
開発し、実証試験は和歌山大学
システム工学部 山田准教授お
よび株式会社森生テクノと共同
研究にて実施したものです。
執 筆 者
執 筆 者:羽田 雄一
所 属:研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター
主な業務:環境保全・リサイクル研究に従事
連絡先
社用:83-4072
外線:050-7104-8916
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
11
研究紹介
研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター
竹炭の建材等への適用調査
昨年5月から5回にわたって舞鶴発電所建設にあたり当社が地域密着型の研究として5年間
取り組んだ「竹の炭化による CO2 固定・有効利用研究」について紹介してきましたが今回が
最後となります。竹炭の持つ吸着機能に着目して開発した床下調湿材とシックハウス対策用
の内装資材について紹介します。
2.床下調湿材への適用
(1)吸湿放湿性能
調湿材としての竹炭の性能を
把握するとともに、最適な炭種
(高温炭、中温炭、低温炭)を
選定するため、竹炭の吸湿量、
放湿量を測定しました。結果を
第1図、第2図に示します。竹
炭の調湿性能は、市販の竹炭や
木炭の性能と同等以上であるこ
とがわかりました。また調湿材
に用いる竹炭は、中温炭もしく
は高温炭が適していることがわ
かりました。
(2)床下調湿性能確認試験
45㎝四方の不織布の袋に竹
炭(中温炭,高温炭)2.5㎏を
放湿量
吸湿量
150
60
100
40
(g/㎡)
(g/㎡)
1.竹炭の建材等への適用
舞鶴竹炭研究においては、地
元産業に密着した分野への活用
を目指して、農・水産業への適
用について検討を行ってきまし
たが、有効利用範囲を広げるた
め、竹炭の吸着性能を生かした
活用として建築資材への適用に
ついて検討を行いました。
50
0
0
低温炭
中温炭
舞鶴竹炭
高温炭 市販竹炭 市販木炭
対照(調湿用)
第1図 竹炭の放湿性能
詰め、床下調湿材を試作しまし
た。試作した床下調湿材の性能
を確認するため、舞鶴実験セン
ター学習コーナー(約32㎡)
の床下に敷き詰め、湿度を測定
しました。施工状況を第3図に
示します。床下調湿材は、2週
間毎に抜取り、調湿材がない場
合も測定し、比較しました。
(3)試験結果
15 ヶ月間の床下調湿試験結
果を第4図に示します。竹炭を
敷き詰めた床下では、春季~夏
季頃までは、竹炭を敷き詰めて
いない場合と比較して、10 ~
20%程度の調湿(除湿)効果
がありました。秋季~冬季にか
けては、温度の低下に伴って竹
炭による調湿効果が低下し、冬
季では竹炭を敷き詰めない場合
施工前
竹炭調湿材敷き詰め状況
第3図 調湿材施工状況
12
20
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
低温炭
中温炭
高温炭 市販竹炭 市販木炭
舞鶴竹炭
対照(調湿用)
第2図 竹炭の吸湿性能
より湿度が高く、吸湿した水分
を放出しているものと考えられ
ます。1年経過後の春季には、
気温の上昇に伴い、再び竹炭の
調湿効果が現れ、繰り返し使用
が可能であることがわかりま
した。
3.内装資材への適用
(1)化学物質の吸着性能
竹炭の吸着性能がシックハウ
ス対策の建築資材として活用で
きないかを検討するため、代表
的な化学物質であるホルムアル
デヒドとキシレンの吸着性能を
試験しました。結果を第1表に
示します。竹炭の吸着性能は市
販竹炭および木炭と比べ同等か
それ以上であることがわかりま
した。
施工後
研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター
竹炭の建材等への適用調査
100
屋外
竹炭あり
竹炭なし
湿度(%)
90
80
70
60
50
夏 季
秋 季
冬 季
春 季
3
3/ /2
1
3/ 6
3
4/ 0
1
4/ 3
2
5/ 7
5/11
25
6
6/ /8
22
7
7/ /6
20
8
8/ /3
1
8/ 7
9/31
1
9 4
10/28
/
10 12
/2
1 6
111/9
/2
1 3
122/7
/2
1
1
1/ /4
18
2
2/ /1
15
3
3/ /1
1
3/ 5
2
4/ 9
1
4/ 2
2
5/ 6
5/10
24
春 季
第4図 床下湿度の変化(H19.3 ~H21.5)
第5図 竹炭シート
第1表 竹炭の吸着性能
ホルムアルデヒド濃度(ppm)
試
キシレン濃度(ppm)
料
0時間
4時間
吸着率
0時間
4時間
吸着率
12.0
0.2
98 .3%
11.0
0.4
9 6.4%
市販木炭
12.0
0.3
97 .5%
12.0
2.0
8 3.3%
市販竹炭
14.0
0.5
96 .4%
9.6
0.1
9 9.0%
舞鶴竹炭
対照
第2表 竹炭シートの吸着性能
ホルムアルデヒド濃度(ppm)
試
0時間
舞鶴竹炭シート
参考
(文献値)
キシレン濃度(ppm)
料
107.0
24時間
吸着率
31.0
0時間
24時間
71%
852.0
837.0
吸着率
2%
炭ボード
-
-
81%
-
-
80%
珪藻土壁
-
-
77%
-
-
10%
石膏ボード
-
-
64%
-
-
0%
吸着建材
一般建材
※文献値:(財)建材試験センター,建材試験情報 9,2006年,
「小型チャンバー法による室内空気汚染濃度低減建材の低減性能試験」
(2)竹炭シート試作、性能評価
竹炭の建築資材への適用方法
として、竹炭を塗料化し、不織
布シートに塗布した竹炭シート
(竹炭量62 ~ 65g/㎡、厚さ
0.5㎜)を試作し、吸着性能を
確認するため、ホルムアルデヒ
ドとキシレンの吸着試験を実施
しました。試作した竹炭シート
を第5図に、吸着試験結果を第
2表に示します。竹炭シート
は、一般的な内装建材より高い
吸着性能を示しましたが、市販
の吸着建材にはおよびませんで
した。
4.研究結果
竹炭の有効利用範囲の拡大を
狙って、建築資材への適用につ
いて試験を行いました。床下調
湿材については、春季から夏季
にかけて10 ~ 20%の床下湿度
の改善が見られ、調湿材として
有効であることを確認しまし
た。シックハウス対策用の内装
資材として開発した竹炭シート
については一般建材より優れた
化学物質吸着性能を発揮しまし
たが、市販の吸着材には及ばす
残念な結果となりました。
5.まとめ
本研究により、利用されず放
置された竹材を炭化することに
よって、農業資材や水質浄化資
材、あるいは建築資材として有
効に活用できることを示すこと
が出来ました。また、地中に埋
設することにより地球温暖化対
策にも貢献するものと考えられ
ます。
最後に、本研究の実施にあた
りご協力いただいた京都府、舞
鶴市、ふるさと大浦21、舞鶴
市森林組合、舞鶴市漁業共同組
合、KANSOテ ク ノ ス な ど 多 く
の方々に感謝いたします。
執 筆 者
執 筆 者:原 昌久
所 属:研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター
主な業務:環境保全・リサイクル関係の研究に従事
連絡先
社用:83-4068
外線:050-7104-9098
研究に携わった人
研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター 渡辺 郁夫
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
13
研究紹介
研究開発室 電力技術研究所 プロジェクト研究室
ナノ空間を有するコア・シェル構造ナノ粒子を用いた電極
材料の開発
風力発電や太陽光発電のような新エネルギーは、エネルギー自給率の向上や地球温暖化防止に
資するほか、分散型エネルギーシステムとしてのメリットも期待でき、低炭素社会への移行に
伴い、今後、導入量が着実に伸びるものと考えられます。一方で、これら新エネルギーは、自
然の影響を受けやすく出力が不安定であり、電力系統に大量に連系した場合、周波数の維持だ
けでなく、火力発電などの集中型電源の運用にも大きな支障が発生し、電力系統の運用が困難
になることが予想されます。
このため、
これら新エネルギーの出力の平滑化や瞬時電圧低下対策、
停電発生時のバックアップなど大容量の蓄電デバイスが必要となってきています。現状のリチ
ウムイオン二次電池は、二次電池の中では、高効率でエネルギー密度が最も高い性能を示して
いるものの、更なる高容量化が求められています。本研究では、高容量リチウムイオン二次電
池の基盤技術である、新規な高容量電極材料を創生することをねらいとして実施しています。
1.高容量電極材料の課題
高容量電極材料については、
シリコンやスズなど多くの材料
が知られていますが、電池の充
放電に伴うリチウムイオンの挿
入脱離により電極材料が大きく
膨張・収縮することが問題となっ
ています。電極材料は集電体(ア
ルミや銅などの金属箔)の上に
形成されていますが、電極材料
が大きく膨張・収縮を繰り返す
と、集電体からの剥離や電極自
体の微粉化により充放電のサイ
クルを繰り返すことによって電
池の容量が減少するという問題
があります。
この問題に対して私たちは、
ナノテクノロジーを活用し、ナ
ノ空間を有するコア・シェル構
造ナノ粒子を創生して問題の解
決を図ろうと考えました。概念
図を第1図に示します。粒子の
コア部分にリチウムイオンが挿
入脱離する材料を用い、ナノ空
間を有することによりコア部分
の体積が膨張・収縮しても粒子
全体として膨張・収縮の緩和が
図れ、充放電のサイクルによる
電池の容量低下を防ぐことがで
14
Li+
Li+
Li+
Li+
Li+
Li+
Li+
Li+
第1図 問題解決の概念
ヘプタン
+
Sn4+
H2O
SnS2
S2-
(粒径 数 nm)
AOT
Si(OCH3)3(CH2)3SH
(MPTS)
加水分解・
脱水縮合
HO
HO
OH
OH
OH
OH
-Si(OCH3)3
SiO2
逆ミセルの破壊
SnS2
SiO2
水素による
還元
SnSx
SiO2/SnS2
SiO2/SnSx
第2図 ナノ空間を有するコア・シェル構造ナノ粒子の合成フロー
きるのではと考えました。
2.ナノ空間を有するコア・シェ
ル構造ナノ粒子の合成方法
ナノ空間を有するコア・シェ
ル構造ナノ粒子の合成は、逆ミ
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
セル法を用い、界面活性剤には
AOT(
[2-エチルヘキシル]
スルホン酸ナトリウム)を使用
しました。
界面活性剤の分子は、
水になじみにくい部分(疎水
基)
と水になじみやすい部分(親
研究開発室 電力技術研究所 プロジェクト研究室
ナノ空間を有するコア・シェル構造ナノ粒子を用いた電極材料の開発
サイクル特性試験結果(容量保持率)
サイクル特性試験結果(容量)
700
容量維持率(%)
容量(mAh/g)
600
500
400
300
200
100
0
1
25
50
75
100
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
1
第3図 サイクル特性試験結果(容量)
水基)があり、疎水基を内側に
して包み込んだ状態をミセルと
よび、親水基を内側に包み込ん
だものを逆ミセルと呼びます。
有機溶媒(本合成の場合はヘプ
タンを使用)にわずかな水を分
散させ、逆ミセルでこの水を包
み込み、化学反応を行なって微
粒子を作る方法を逆ミセル法と
呼びます。この方法で、コアが
SnS2、シェルがSiO2のコア・シェ
ル構造ナノ粒子を合成し、最後
に粒子を水素ガスで還元してコ
アの硫黄分(S)を粒子外に排
出し、粒子内にナノ空間を作製
します。試料の合成フローを第
2図に示します。
3.充放電試験および結果
合成した試料を用いて評価用
の電池を作成しました。評価用
電池の外観を写真1に示します。
電極の大きさは、Φ16.0mmで
対極には金属リチウム、電解液
25
50
75
100
サイクル数
サイクル数
第4図 サイクル特性試験結果(容量保持率)
に は1M LiClO4/(EC+DME)
を用いました。この評価用電池
を用いて充放電のサイクル試験
を行いました。試験条件は、電
位範囲0.05 ~ 3.0V、電流密度
( 電 極 材 料 あ た り )0.1A/gで
100サイクルの充放電を行いま
した。サイクル特性試験結果を
第3図および第4図に示します。
図の横軸は、サイクル数を示し
ています。また、第3図の縦軸
は電極材料の重量あたりの容量
を、第4図の縦軸は初回放電量
を100%とした容量保持率を示
しています。初回放電容量は、
電極材料あたり約660Ah/gと大
きな容量を示しています。一方、
容量保持率は100サイクル後で
36%と低い値ですが、通常のス
ズ(Sn)に比較するとサイクル
性能の改善が認められます。
4.今後の予定
ナノ空間を有するコア・シェ
ル構造ナノ粒子を電極材料に用
いることにより、サイクル性能
の改善が認められました。今
後、
さらに合成条件の最適化や、
シェル部分の表面修飾などによ
り材料のサイクル性能の向上を
図る予定です。
なお、本研究は、北海道大学
触媒化学研究センター大谷研究
室との共同研究で実施したもの
です。
執 筆 者
執 筆 者:今井 義博
所 属:研究開発室 電力技術研究所 プロジェクト研究室
主な業務:主に電極材料の開発に従事
連絡先
社用:97-7032
外線:050-7104-2427
写真1 評価用電池の外観
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
15
研究紹介
研究開発室 エネルギー利用技術研究所 総合エネルギー研究室
多機能電力貯蔵装置の開発
当社は日新電機㈱および川崎重工業㈱と共同で、平成 22 年 10 月に、ニッケル水素電池
を用いたものとしては初めて、電力ピークシフト、瞬低対策、停電対策を同時に兼ね備
えた「多機能電力貯蔵装置」を開発しましたので、これについて紹介します。
2.多機能電力貯蔵装置の概要
電力変換器は屋内仕様で、中
リチウムイオン電池やニッケ
第1図に今回開発した多機能
にサイリスタスイッチ、変圧
ル水素電池等の二次電池は、自
電力貯蔵装置の概要を示しま
器、インバータ、開閉 器 等 を
動車用・風力発電用等で技術開
す。装置は日新電機㈱本社構内
収納しています。変換器容量
発が急速に進められており、さ
に設置しました。電池盤は屋
は62.5kVAで す が、 過 負 荷 耐
らなる高性能化や量産による低
外仕様となっており、中に電
量を利用して瞬低対策として
価格化が期待できます。一方、
池を48個収納しています。電
100kVAの負荷に1秒間電気を
電力ピークシフトは、電力設備
池1個のエネルギー容量は約
供給します。電力ピークシフト
の効率利用による二酸化炭素の
2.1kWhで あ る た め、48個 で
は、定格出力時で概ね1.5時間
削減・経費削減に寄与でき、お
102kWhのエネルギー容量とな
行うことができます。
客さまにとっても基本料金が低
ります。監視装置では、電池の
減できるため、電気をより効率
電 圧、 電流、温度等を監視し
よく使っていただくことができ
ます。
1.背景とねらい
ます。また、お客さまからは瞬
低対策・停電対策に関する強い
要望がありました。
このような電力ピークシフ
ト、瞬低対策、停電対策を行う
装置としては、大規模のビルや
工場を対象とした大容量のナト
リウム硫黄電池を用いた多機能
電力貯蔵装置がありますが、中
小容量のものはありませんで
した。
電力変換器 (日新電機㈱製作)
また、中小規模のビルや工場
向けに鉛蓄電池を用いたものが
電力変換器
<装置仕様>
ありますが、高性能の蓄電池を
用いた電力貯蔵装置はありませ
定格電圧
AC210V
定格出力
50kW
エネルギー容量
102kWh
変換器容量
62.5kVA
瞬低対策
100kVA-1秒間
場向けに、高出力・高効率な川
停電対策
62.5kVA-10分間
崎重工業㈱製のニッケル水素電
電力ピークシフト
概ね1.5時間(定格出力時)
んでした。
そこで、主として高圧のお客
さまである中小規模のビルや工
池を用いた多機能電力貯蔵装置
を開発しました。
16
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
210V
サイリスタスイッチ
変圧器
インバータ
電池盤
電池
<装置構成>
第1図 多機能電力貯蔵装置の概要
研究開発室 エネルギー利用技術研究所 総合エネルギー研究室
多機能電力貯蔵装置の開発
系統
停電対策時
開放
系統
瞬低対策負荷
瞬低対策、
瞬低・停電対策負荷
サイリスタスイッチ
OFF
瞬低対策負荷
瞬低・停電対策負荷
サイリスタスイッチ
OFF
充電
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
電池の充電状態
バイパス投入
5
700
11
12
13
14
15
100
50
600
0
-50
電流
-100
6
7
8
9
7
8
9
10 11 12 13 14 15
40
温度(℃)
瞬低対策負荷
瞬低・停電対策負荷
5
35
30
電池
25
盤内
(電力ピークシフト、
(待機)
10
500
サイリスタスイッチ
ON
瞬低対策負荷
瞬低・停電対策負荷
サイリスタスイッチ
ON
9
650
550
系統
系統
8
電池電流(A)
(停止)
7
放電
電圧
電池電圧(V)
停電対策
6
待機
20
5
充電)
6
10
11
12
13
14
15
時刻
第2図 装置の状態
第3図 電力ピークシフトの検証
の20%まで充電し、当日の朝
率を有していることが分かりま
装置の状態を第2図に示しま
6時から定格出力である50kW
す。電池温度は真夏の暑い時期
す。装置のメンテナンス等の停
で電池容量の90%まで充電し
に行ったにもかかわらず、許容
止時はバイパスが投入され、負
ました。放電は13時から50kW
温度である40℃に対して十分
荷と系統が直結されます。待機
で行い、電池容量の20%になっ
余裕があり、問題が無いことが
時はインバータがいつでも電力
た時点で終了させました。電池
分かりました。
ピークシフト、瞬低対策、停電
容量20%は、瞬低対策および
対策が行えるよう待機していま
停電対策を行うために常時残し
す。瞬低対策時はサイリスタス
ておく容量として設定してお
日新電機㈱本社構内で、平成
イッチがOFFになり、電池から
り、また電池の劣化防止のため
24年度末までフィールド試験
全負荷に電気が供給されます。
に100 % ま で 充 電 せ ず90 % ま
を行う予定です。
瞬低対策開始後1秒が経つと、
でとしています。
3.制御方法
開閉器を開放し、瞬低・停電対
その結果、電池の充放電効率
策負荷にのみ電気を供給しま
(放電電力量/充電電力量)は
す。電力ピークシフトおよび充
92.1%であり、非常に高い効
5.今後の予定
電時は、負荷に供給しながら電
池の充放電を行います。本制御
方法については特許を出願しま
した。
4.電力ピークシフトの性能検証
第3図に電力ピークシフトの
例を示します。前日に電池容量
執 筆 者
執 筆 者:池田 敬一
所 属:研究開発室 エネルギー利用技術研究所 総合エネルギー研究室
主な業務:二次電池関連の研究に従事
連絡先
社用:97-7264
外線:050-7104-2627
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
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平成 22 年度 R&D News Kansai 総目次
2010 年5月号~ 2011 年3月号
件 名
タイトル
巻 頭 言
発行月
マリンバイオによる燃料生産への期待・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.5
東京農工大学工学部 教授 松永 是 リニューアル工学のすすめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
早稲田大学理工学術院総合研究所 客員教授(専任) 伊東 弘一 未来エネルギーと科学技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
国際熱核融合エネルギー機構(ITER)機構長 本島 修 地産地消考・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授 横山 明彦 研究開発とドラッカー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.1
研究開発室長 大田 龍夫 冷蔵庫は暖房機?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.3
地球環境産業技術研究機構(RITE) 理事・研究所長 山地 憲治 研 究 紹 介 系統・制御
操作票作成PCシステムの開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
RTDSを用いたアナログモデルの開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
抵抗接地系に適用する地絡距離リレーの開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.1
分散電源の新しい単独運転検出方法(その4)
~適用系統の拡大と確実な検出を目指した検出方法の改良~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.3
送電
耐食電線の開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.5
OFケーブル障害と事故点の早期発見・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
立体画像処理を用いた寸法測定技術の現場適用性評価・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
経年CV ケーブルの劣化調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
X線を活用した電線の内部腐食検出システムの開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.3
配電
誘導電動機および同期発電機による配電線断線検出への影響評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
スペーサ配列装柱に対応した間接活線工法の開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
油入ブッシング用油面レベルセンサの開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
情報通信
バーチャル・リアリティを活用した労働安全意識向上に関する研究・ ・・・・・・・・・・・・・・ H22.5
無線アドホックネットワークを利用した簡易画像監視装置・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.5
言語分析によるコミュニケーション情報分析システムの開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
センサーネットワークを用いた車両入出庫管理に関する研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
ラックマウントサーバの耐震強度検証・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
20kV 級新方式架空配電線路における耐雷対策の解析的検討・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
変電所屋内で利用できる可視光による無線通信・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
系統運用、配電運用の効率的な業務運営を目指した
テレコン情報システムの開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.3
水力・変電
水車部品の土砂摩耗管理予測手法の開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
微量PCB移動式洗浄処理システムの開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
水力発電所パッキン類の使用限界推定研究・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.1
系統安定度機能を向上したSVGの開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.3
火力・原子力 海水系統に付着する生物をマイクロバブルにより抑制する技術の開発・・・・・・・・・・・・・ H22.5
コンバインドサイクルプラントの高pH-AVT(O)処理法の適用性評価・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
18
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
平成 22 年度 R&D News Kansai 総目次
2010 年5月号~ 2011 年3月号
件 名
タイトル
発行月
研 究 紹 介 火力・原子力 化学反応を利用した臭気対策・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
土木・建築
鋼板コンクリート内部のコンクリート充填状態確認手法の開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
ダム貯水池の濁水等挙動予測モデルに関する研究・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
社有建物を対象としたユニバーサルデザインガイドラインの構築・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
被覆ブロック安定性に関する実験的評価と解析手法の開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
地中熱の有効活用に関する研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
載荷速度および孔食が及ぼす鋼材の耐荷力特性への影響評価について・・・・・・・・・・・・・ H23.1
環境
舞鶴地域における竹材の炭化研究・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.5
CO2回収への膜コンタクタの応用・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
竹炭による水質浄化研究・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
シアノバクテリアによるバイオマスプラスチック生産技術・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
竹炭を用いた土壌改良材の研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
竹炭たい肥の農業への利用研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
菌根菌を活用した樹勢回復技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.1
竹炭を用いた藻場造成研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.1
保温材を利用した保水性パネルの開発および実証試験結果について・ ・・・・・・・・・・・・・・ H23.3
竹炭の建材等への適用調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.3
商品評価
家庭用生活状態簡易計測システムの開発研究・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.5
家庭用厨房熱源(IHクッキングヒーターおよびガスコンロ)の差異による
室内空気環境評価について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
個別分散式空調機のシミュレーションモデルの開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.1
商品開発
ナノ粒子を用いた電極材料の開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.5
高効率温水ヒートポンプ「HEM-HR90」の開発・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.5
寒冷地におけるハウス栽培の最適化研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
小型エコキュート(フルオート)の開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
100kVA級SiC過負荷インバータの開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
船舶の電化推進~プラグインハイブリッド船の開発~・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.1
ナノ空間を有するコア・シェル構造ナノ粒子を用いた電極材料の開発・・・・・・・・・・・・・ H23.3
総合エネルギー 大量合成に対応した複合微粒子合成用噴霧熱分解装置の開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
可変速制御風車の制御高度化・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.9
電気自動車の性能評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.11
LNG冷熱等を利用する熱電材料の研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.1
多機能電力貯蔵装置の開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.3
社内案内
第39回全社技術研究発表会 総合大会を開催・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H21.11
トピックス
スポットネットワーク系統用保護リレーの開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
平成22年度第66回電気学術振興賞(論文賞)受賞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H22.7
第58回電気科学技術奨励賞受賞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.1
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ H23.1
第4回ロボット大賞「中小企業基盤整備機構理事長賞受賞」
R&D NEWS KANSAI 2011.March No.461
19
福
近松公園
小園小
JOY
ホームセンター
線
聖トマス大
名神高速道路
山幹通り
マクドナルド
線
タイヨー
電力技術研究所
バークレーン
エネルギー利用技術研究所
尼崎次屋局
大江橋
朝日新聞
堂島川
大江橋駅
渡辺橋
関西電力
渡辺橋駅
国道2号線
神戸
新幹
京阪中之島線
アバンザ堂島
阪急
山陽
サントリー
ビル
JR 北新地駅
線
御堂筋
地下鉄
駅
新福島
JR 東西線
駅
百合学院高
尼崎上坂部局
大阪マルビル
地下鉄四ツ橋線
阪神
駅
福島
阪神百貨店
田
線
福知山
西梅田駅
島駅
駅
梅田
駅
梅田
園
塚口駅
阪駅
JR 大
東署
御堂筋
淀屋橋駅
なにわ筋
四ツ橋筋
肥後橋駅
土佐堀川
スーパー
マルハチ
東海道
本線
尼崎
駅
関西電力(研究開発室)
電力技術研究所
エネルギー利用技術研究所
〒530-8270 大阪市北区中之島 3 丁目 6 番 16 号
〒661-0974 兵庫県尼崎市若王寺 3 丁目 11 番 20 号
TEL. 06-6441-8821
TEL. 06-6491-0221(電力技術研究所)
大阪市営地下鉄四ツ橋線「肥後橋駅」から徒歩約 5 分
TEL. 06-6491-0222(エネルギー利用技術研究所)
京阪中之島線「渡辺橋駅」から徒歩約 3 分
阪急電鉄神戸線「園田駅」から徒歩約 15 分
JR「尼崎駅」より尼崎市バス「近松公園」から徒歩約5分
●“R&D News Kansai”についてのお問い合わせ、またはお気づきの点がありましたら、下記までご連絡ください。
関西電力株式会社 研究開発室 研究推進グループ:家永 健
TEL.050-7104-1190 FAX.06-6441-9864
E-mail:[email protected]
●インターネット『URL〜http://www.kepco.co.jp/→ 研究開発情報→R&D News Kansai』にて
掲載内容をご覧いただくことが出来ますのでご利用ください。
2011年 3月号 No.461 2011年3月15日発行
発行所
関西電力株式会社 研究開発室
〒530-8270 大阪市北区中之島3丁目6番16号
TEL.06(6441)8821㈹ FAX.06(6441)9864
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