The JT65 Communications Protocol

The JT65 Communications Protocol
Joe Taylor, K1JT
日本語訳 Toshihisa Takahashi、JH1OQW
要約 JT65 はアマチュア無線の極めて微弱な信号処理を対象としているディジタルプロトコ
ルである。これは VHF に於ける EME 通信が最適化出来るように設計されている。そしてこ
のような QSO の手順と標準化を効率良く行うことを目的としている。JT65 は非常に弱い信号
に対しても対処できる強力なエラー訂正プログラムを組み込んでいる。本論文は JT65 の技術
仕様とその意図する動機及び設計フィロソフィの背景情報を扱っている。さらに WSJT と呼ば
れるコンピュータプログラム内の JT65 遂行の詳細とその感度及びエラーレートの関連につい
て解説している。
1
Introduction
火花通信は 80 数年前に連続信号に取って代られている。多かれ少なかれ通常の場合、on―off
キーイングによるモールスコードを用いた国際通信はその時から、また殆どのアマチュア無線
でも微弱信号通信モードとして採用されて来ている。モールスは便利であり、応用自在であり、
人手によって符号化と復調が出来る。On-off キーイングは簡単な装置であり、その占有バンド
幅は小さい。その選択は誰でも簡単に出来ている。しかしながら CW の符号化も CW の変調も、
最適の条件ではないということを簡単に示すことが出来る。信号とノイズの比を夫々dB カウントする時
に、アマチュア無線に於ける流星通信や EME では、他の選択肢を探した方が大変良い理由がある。
サウンドカードを備えたパソコンは幅広い可能性を持った実験をする時に黄金のような機会を提供す
る。
そのプログラムであるWSJT1,2,3 ( Weak Signal communications, by K1JT )は非常に
効率的なコーディング(符号化)と変調の技術をアマチュア無線のWeak‑Signal通信へ導入した
私の努力の結果である。プログラムの要点は殆ど全てのVHF/UHFのWeak‑Signal運用者の知ると
ころとなり、彼等の多くは通常使用を行っている。VHFに於ける流星通信では圧倒的の大多数が、
またEME通信の半数が現在WSJTの支援を利用している。
本論文でのJT65は、WSJTによってサポートされている通信プロトコルの1つである。JT65はEME
伝播路を通るような極めて微弱な電波を用いた通信用にハッキリした意図を持って設計してい
る。このプログラムの操作手順についてはWSJT User s Guide 4に述べられている。ここ
にはこのプロトコルの完全な技術説明とWSJTに実装している方式の一般解説を述べている。
最新式のディジタル通信システムは情報理論の数学をベースにしている。この分野は1948の2つの論
文 5 Claude Shannonが証明した。情報は任意の低いエラーレートを持ったノイズチャンネル上を運
ばれ、その情報処理量はチャンネルのバンド幅と信号と雑音比(SNR;signal−to−noise ratio)のみに
依存する。
1
非常に低い SNR に於ける低エラーレートを達成するためには数学的にユーザー情報を符号化
してコンパクト(簡潔)にする必要があり、注意深く作られた冗長性を持たせている。この簡
潔さは送信パワーを最小にしたり、情報処理能力を最大にするために必要である。冗長性は雑
音と変化するチャンネル上を伝わるメッセージエラーの無いことを保証するために必要である。
無線伝送のためには、符号化されたメッセージはある種の変調を使用したキャリアに乗せる必
要がある。その可能性の制限はほとんど無い;情報は増幅度、周波数、キャリアの位相、また
はそれらの組み合わせによって伝送することが出来る。一般に使用できるディジタル変調手法
は on-off キイング(増幅変調を一定にする)、phase-shift キイング(PSK)、frequency-shift
キイング(FSK)を含んでいる。JT65 プロトコルは 65-tone(65 個のトーン)の FSK を使い、
これは一定の増幅度と位相が連続した波形を用いている。この変調方式は on-off キイングより
も非常に効率が良く、最良のコーディング技術と結びつくと効果が発揮できる。さらに
phase-shift キイングよりも周波数変動に対する許容度がはるかに高い。
セクション§2 は JT65 の設計思想を誘導するための背景情報で始まる。セクション§3 はシス
テムデザイン全体を高いレベルで紹介する。プロトコル自体は§4−8と Appendix A であ
る。§9−12 は JT65 信号の受信と解読についてである。プロトコルの仕様については JT65
の有効なメッセージの符号化を送信波形にする定義をしている。JT65 信号を解読するため必要
な全ての情報を用意している。WSJT に於いて、これらのタスクがいかに実施されるかの本質
的な情報を含んでいる。各種の JT65 の遂行、特に受信に使用されるアルゴリズムについて、
そしてその可能性についての説明をしている。この論文は他人がこの WSJT を使用するための
動機付けになることを希望し、このような努力がこのモードの処理能力と利便性の更なる改良
に繋がることである。
2
EME
QSO’s:Requirement and Procedure
(EME QSO に於ける要求事項とその手順)
アマチュア無線はまさに趣味の活動である。多くの人々にとって全ての国々、全てのアメリカ
州、そして可能な限りDXCCのエンティティを増やすためのコンタクトが目標ゴールに上げられ
る。これらのゴールはEMEを用いると特に困難が伴う。その理由から多くのハムは大きな欲望を
持ち挑戦的になるのである。ゲームに参加するために、参加者はいくつかの基礎的なグラウン
ド・ルールに同意する必要がある。
信号が適度に強くそして熟練を積んだハム同士がエラーフリーでコンタクトが出来た場合には
QSO が完結したかどうかの判定は容易である。HF バンドで珍局が現れた時、パイルアップのな
かでの速攻の QSO は一般に次のようなコンタクトのやりとりが行われる。
1.CQ HC8N
2.
K1JT
3.K1JT 599
4.
599TU
5.73 HC8N
この通信モデルでは K1JT は通信相手のコールサインは決して送信しない。この状況下では相手
のコールサインが明々白々であるからである。この時の信号強度は S9 ではないかもしれないが、
これについては意に介さない。コンタクトの交換が行われた後に、両局は自信を持って、その
QSO をログブックに記録する。そして、その後このコンタクトを確証するために QSL カードを
2
交換するかもしれない。
VHF/UHF の世界で、特に EME 通信では信号はしばしば特に弱く、大いに熟練を積んだ局同士間
でもエラー無しでのコンタクトは少ない。結果として、どうしたら必要最小限の QSO を構成で
きるか、信頼できる標準が必要がある。長い間確立されてきたルールは両局の完全なコールサ
インのコピー、シグナルリーポートまたはその他の情報、そしてこれらの情報の全てが受信さ
れたことを明白に確認できたこと。これらのガイドラインは全てのタイプの Weak‑signal QSO
にも当てはめることが出来る。これらのタイプとは Tropo, Meteor scatter, EME,その他の
伝播モード、すべての信号方式と装置などである。
これらのガイドラインに綿密に従うと、常識ある VHF 局による必要最小限の EME QSO は一般に
次のような手順によって進行する:
1. CQ SV1BTR…
2.
SV1BTR K1JT…
3. K1JT SV1BTR OOO…
4.
RO…
5. RRR…
6.
73
スケジュールを決めた QSO に対しては、時間と周波数は前もってアレンジしているので、#1
は勿論必要は無い。省略の(…)はメッセージの繰返しを含み EME コンタクトでは殆ど日常的
に使用され成功のチャンスを最大にする。OOO のメッセージ部は最も短いシグナルリポート短
縮表現である。この表現は、あなたの信号は少なくともある時間解読が可能であり私は両方の
コールサインをコピーしている。 RO は短縮メッセージ(shorthand message)でシグナルリ
ポートおよび承認の両方を示している。この意味は 私は両方のコールサインと私のシグナル
リポートをコピーした。そして貴方のリポートは O である。 K1JT が SV1BRT から送られた承認
である RRR を受信する時にその QSO は完全であるが、SV1BTR はまだこれを知らないので、
73 またはコンタクトの終了を示す 我々は完了している などを送信するのが習慣的である。
短縮メッセージは無線と地上電信が始まって以来広く使用されており、慣れ親しんでいる Q 符
合も広く世界的に理解されている。これらは 情報の符号化 とよばれる通信理論の最も単純
な形式である。 OOO… (連続波の間隔が短いスペースによって区切られてこれが3個続くの
を繰返す。長いスペースの後はこの 3 分の1のスペースが来る)短点よりも長点の方がコピー
しやすく、ハッキリしたシグナルリポートを表す信号として、賢く経験を積んだ CW マンが極め
て弱い信号を識別するために編み出したものである。
3.System
Design
Figure 1は現代のディジタル通信システムのフローダイアグラムを表している。低い S/N に
於いて最大の効果を上げるために、ユーザーメッセージは最小限の冗長性を持たせて、情報の
符号化をしたコンパクトな形にする。後から議論されるが、数学的に冗長性を持たせているの
で、もしノイズまたは信号の欠落によりある部分が破壊されてもそのメッセージを完全に回復
させることが出来る。このプロセスは 前方エラー訂正 または FEC として知られている。符
合化情報はエラー訂正情報を含み、キャリア上に配置している。この無線信号レベルは EME で
は伝播ロスが 250dB 又はそれ以上になる。そして増幅度とノイズ、周波数、 path modulation
と呼ばれる位相変化などが加わる。受信では、その信号が検波され解読されて、その結果をユ
3
ーザーに知らせる。
エラー訂正を高めることを除いて、Figure1のダイアグラムの流れは、伝統的なアマチュア無
線の CW 通信も現代のディジタル技術も同じ流れであることを示している。前のページで CW
EME QSO アウトラインの語句の中で、 SV1BTR こちらは K1JT、私は両方のコールサインをコピ
ーした を SV1BTR K1JT OOO と圧縮フォームにして情報の符号化ができる。一定量のエラ
ー回復能力を高めるために、そしてそのメッセージがコピー出来るチャンスを増加するために、
CW オペレータは送信時間内に圧縮メッセージを多数回繰返して送信する。更にコピーのチャン
スを高めるために、彼は1回の送信でただコールサインの繰り返し送信に75%の時間を割き、
OOO の繰り返し送信に残りの 25%の時間を費やす。彼は受信オペレータがこれらの習慣につい
て知っており、それに従って受信することを期待する。これらの情報符号化の全ては、weak−
signal の特長を知れば知るほど、そのコピーが更に容易になることである。極めて限界ギリギ
リの条件下では、熟練したオペレータは彼が前もって期待するメッセージの部分と受信した内
容とを照合しながら受信をする。もし良好な照合が見つかればメッセージのコピーは保証され
たと考えることが出来る。
Fig1ディジタル通信システム情報の流れの概要を示す。
4.JT65 Source Encoding(JT65における情報の符号化)
JT65はまさに同類の技術を使用して送信されるメッセージはコンパクトで効率的であることか
4
ら始まる。WSJT4.7User sGuideで記載しているように、JT65の標準メッセージ Type 1
は2つのコールサイン、1つのグリッドロケータと視覚のシグナルリポートから構成されてい
る。先のモデルQSOであるSV1BTRとK1JTのようにQSOが進みメッセージ2、3が続く。情報の符
号化は標準のアマチュア局のコールサインが作られるルールを用いている。このため必要とす
る情報ビット数を最小化するためにこの情報を使用する。アマチュア局のコールサインは1つ
又は2つの接頭辞から構成されており、その内少なくとも1つは文字であらねばならない。続
いて1つの数字と1つから3つの文字が続く。このルールを内で、コールサインの可能な局数
は37×36×10×27×27×27に等しいか幾分267百万局を超える。(27と37は最初なるが故に
発生して、続く3つの位置は1文字が欠落かまたは1文字または多分1つの数字となると思わ
28
れる)。だから 2 は268百万より大きく、28ビットあれば如何なる標準コールサインも重複す
4
ること無く符号化に十分である。同様に地球を蔽う4数字グリッドロケータは180×180=32400、
15
で 2 =32768よりも少なく、グリッドロケータを表すには15ビットあれば十分である。EMEメ
6
ッセージを効率良く符号化するこれらの重要なアイディアは1996年にClarkとKarn によって初
めて提案された。如何なるType 1のメッセージも28+28+15=71ビットへ情報の符号化が出来
るので、さらにもう1つシグナルリポートが追加できる。比較のためいに、メッセージ SV1BTR
K1JTOOO はモールスコードでは、グリッドロケータを除いても、170ビット(ここで1ビッ
トはキーダウンのドットのインターバルとして定義する)が必要になる。JT65のメッセージは
CWのメッセージよりも非常にコンパクトになる。だからこの間更に多くの情報を伝えることが
出来る。実際に、JT65のプロトコルは他の方法でシグナルリポートを符号化する。グリッドロ
nd
ケータとコールサインに代わる任意の文字を含むメッセージを72ビットを使用して表す。43キ
ャラクタとアルファベットを用いて、最大平文の長さは13文字(最も大きい整数は71log 2/log
43=13.084よりも小さい)である。この制限の大きさに従うと、JT65は1つのメッセージの中で
何でも送信と受信が出来る。
上記で示したように、可能な28ビット値の中の約600万はコールサインに必要ではない。これら
のスロットの一部は CQ 、 QRZ など特別なメッセージ類に割り当てられる。CQは望まれる応
答周波数を示すために3数字を従える場合がる。
(もしK1JTが標準呼び出し周波数144.120で CQ
113 K1JT FN20 を送信するならば、この意味は144.113を受信し、いかなる応答にも答える
ことを示している)。 ‑NN または R‑NN 形式の数値シグナルリポートはグリッドロケータの
代わりに送信することが出来る。NN数は01から30の間であることが必要である。もしライセン
7
スを発行する当局が国の識別接頭辞または移動接尾辞をコールサインに付加する要求がある場
合には、例えばZA/PA2CHRまたはG4ABC/Pなどのようになる。もしこの形が使用されるならば、
この付加情報はグリッドロケータの場所で送られる。メッセージの符号化についての詳細の一
部はAppendix Aのなかにある。そして add‑on の接頭辞と接尾辞はAppendix Bに掲載され
ている。
5.Forward
Error
Correction
72ビットの中に圧縮した後に、JT65のメッセージは定義された重複の無い306のエラー訂正ビッ
トへ拡大される。このFECコーディングレートr=72/378=0.19となる。また各々のメッセージ
は冗長比378/72=5.25で送信されるといえよう。良いエラー訂正コードを持つことはただ単に
同じメッセージを5回繰返すよりも、結果として実行能力と感度が遥かに優れたものになる。高
い冗長性を持つことはJT65がQSBを受けても極めて高い受信能力を持つことを意味している。
認識できる信号は送信してから10ないし15秒の間はソフトウエアに対して完全な解読を続ける
ことが出来る。このように見える不思議な現象の源は コーディングゲイン と呼ばれるもの
72
でその理由は難しくは無い。可能なユーザーメッセージの合計は72ビットであり 2 である。こ
21
378
れは4.7×10 よりも僅かに大きい。378ビットの可能なパターン数は極めて大きな数 2 であり、
113
6× 1 0 を越えている。72ビットのユーザーメッセージと387ビットの コードワード または
重複の無い387ビットシーケンス間の1対1の対応は、このコードで使われる必要なシーケンス
の割合が非常に小さなものであることが明白である。選択されたこれらのシーケンスは、数学
的に厳密なセンスで、お互いに異なっている可能性がある。
5
非常に多様性に富んだ数多くの効率の良いエラー訂正コードが知られておりそして数学的にも
理解されている。その中でベストなものがReed Solomon コードであり、現代のCD−ROMsとハ
ードディスクに使用されており極めて低いエラーレートを作り出すために使用されている。
JT65のために、私はこのReed Solomon コードRS(63,12)を選択しており、72ビットのユーザ
ーメッセージを63個の6ビット チャンネルのシンボル;Channel Symbols を送信のために符
号化する。このコードの中で各々のコードワードは少なくとも52個所(1つのナットシェル)内で
お互いに異なって格納されている。これがパワフルの理由である。非常に低いSNRの時でさえハ
ッキリしたシーケンスはお互いに全く混乱無しに行われる。
Fig.2 3つのJT65メッセージは72ビットをパックした形でユーザーに見えるようにした。これは12×6ビット
シンボル値で示している;そしてこれはFEC‑エンハンスしたシーケンス63×6ビットのチャンネ ルシンボルで
ある。このチャンネル シンボルは64トーンのFSKを用いて送信するようになっており、各々のシンボル値は
夫々1つのトーンに分けて送信される。
1つの例として符号化したシーケンスを3つのメッセージ例を用いてFig.2に解説している。
パックされたメッセージ:packed message のラベルの付いたラインは各々の符号化した情
報を示し、72ビットのユーザーメッセージは12‑6ビットシンボルのシーケンスとして表示され
ている。左から右へ読んでゆき5番目の9から5へ数字が変わった時に時に、最初のコールサイン
の最終文字がFからEに変わる。最終のパックされた シンボルが16から17に変わった時にはグ
リッドロケータがJO40からJO41に変わる。他の点ではこのパックされた3メッセージは完全に一
致している。一方この完全に符合化されたチャンネル シンボルのシーケンスは殆ど全くお互
いに異なって現れる。
(このように異なっていることはどんなチャンスも生まれない。もしそれ
が解読可能であっても、これらのメッセージの1つがノイズ破壊された場合は別のものの1つと
して解釈を誤る。)もしSNRがバンド幅2.7Hzで2ないし6dBよりも低くても(WSJTで使用している
6
通常のバンド幅での換算では2500Hz、‑28から−24dBになる)完全で正確なユーザーメッセージ
を高信頼度で受信ができる。この計算書はSNRの関数として伝達エラーレートを明快な計測によ
って定量化することが出来る。そのような計測はAppendix CのなかのJT65に対して要約されて
いる。
6.Interleaving and Gray Coding
(配列を変えて高速化を計り更にグレーコード化する)
符号化ができたら、JT65シンボルは横から横への流れを7×9のマトリックの中へ入れて
順序を変える。それから読み出す場合には縦から縦への順序で行う。私は最初にJT65をデザイ
ンした時にFECを勉強した。シンボルの順序を急激に変えることはそのシステムの大きな免疫性
を脱落させると誤って信じていた。事実は、そうではなく、その効果は無害であり、その順序
はその後続いて起こるプログラムバージョンでもJT65の信号の一貫性を完全に残している。並
び替えられたシンボルはバイナリ−からグレーコードに変換される。そしてこれは周波数の不
安定性に対する許容度をJT65に対して大きくする。
7. Shorthand
Message
先に話題にしたが、CWモードのように、JT65は強力で効率的な方法として、度々使用されるメ
ッセージに対して特別なシグナルフォーマットを使用する。現在3メッセージが定められている。
送信No4,5、と6のSV1BTRとK1JT間のCW QSOのモデルに使用されており、このメッセージは
RO
RRR と 73 である。単一周波数のキャリアのオンオフではト ツー ト ツー ツ
ーツーがJT65では RO とないり、これは2つの特別に設定された周波数とキーイングレートを
用いて交互に送信する。このように波形は容易に識別され易くまた他の信号との区別がつきや
すい。JT65の normal メッセージ(平文)も同様なことがいえる。本当に多くのユーザーが発
見しているように、JT65のショートハンドメッセージはオペレータの耳または目によっても解
読が可能であり、コンピュータによっても同様である。
8. Synchronization
and
Modulation
JT65は1分間のT/R(送信/受信)のシーケンスを使用して送信機と受信機の間の厳しい同期を要
求する。典型的なアマチュア局の装置はオープンループの中では十分な精度のタスクを成し遂
げることは出来ない。このため、擬似ランダム 同期ベクトル:Sync Vector を符号化され
た情報ビットの間に分散させている。それは相対的な時間と周波数誤差を正確に較正すること
ができ、デコーダー(解読器)が働くことのできる範囲内の厳密な構成要素を作り上げることが
できる。加えてそれはある送信状態の中でそれを成し遂げるにはあまりにも弱い信号の時でさ
えその解読が可能であり、連続的な送信の平均化が可能である。信号の同期は非常に重要で(シ
ョートハンドメッセージは除く)各々の送信の半分は同期信号を送るために捧げられている。
JT65の送信は126の隣接している時間間隔に分けられる。各々の長さは0.372秒(11025サンプル
/秒の時サンプル数が4096)となる。各々の時間間隔以内の波形は増幅が一定のサイン波で、65
波の周波数が前もって割り当てられておりその中から1波が取り出される。周波数は周波数間隔
に対して位相が連続している方法で行われる。送信は通常、UTCの秒目盛がT=1秒から始められ
てt=47.8秒に終了する。同期信号は1270.5Hzであり、通常、Fig.3のトップに示されるように、
擬似ランダムシーケンスの1で示すインターバルで送信される。これらのシーケンスは数学的
な特性を持っており、基準化された自動調整機能はゼロでない遅延(lags)を1から殆ど0にする。
この結果のように、それは優れた同期ベクトルを作る。
符号化したユーザー情報を同期信号には使用されない63個のインターバルの間で送信される。
7
各々のチャンネルシンボルは1270.5+2.6917(N+2)mHzの周波数トーンを発生させる。ここでN
は0≦N≦63の範囲の整数であり、mはJT65のサブモードA,BとCに対して1,2、と4を割り当てる。
シグナルリポートの OOO は擬似ランダムシーケンスのなかの同期とデータ位置を逆にする
ことによって伝達される。平文は厳しい同期に頼っているので、それらはUTC分の始まりにのみ
解読される。
1,0,0,1,1,0,0,0,1,1,1,1,1,1,0,1,0,1,0,0,0,1,0,1,1,0,0,1,0,0,
0,1,1,1,0,0,1,1,1,1,0,1,1,0,1,1,1,1,0,0,0,1,1,0,1,0,1,0,1,1,
0,0,1,1,0,1,0,1,0,1,0,0,1,0,0,0,0,0,0,1,1,0,0,0,0,0,0,0,1,1,
0,1,0,0,1,0,1,1,0,1,0,1,0,1,0,0,1,1,0,0,1,0,0,1,0,0,0,0,1,1,
1,1,1,1,1,1
Fig.3 JT65の擬似ランダムシーケンスは同期ベクトルを使用している。その自己相関機能をグラフで表現して
いる。中央の際立った関連スパイク波は送信と受信局の同期時間と周波数を現している。
ショートハンドメッセージは同期ベクトルを使用しない。そして交互に変化するトーン1.486
秒(16384サンプル)のその間隔を使用する。その下側の周波数は1270.5Hzであり常に同期トー
ンと同じである。その周波数間隔は26.917nmHzでありRO,RRR,と73に対してn=2,3,4の値を持
っている。そのショートハンドメッセージがQSOに関連してくるまで送信機と受信機のその周波
数オフセットは高い精度で常に計測されている。この結果、これらのメッセージはその局のコ
ールサインが事前に解読されているかしっかりとオペレータにより識別されていることができ
る。正確な時間同期はショートハンドメッセージでは必要は無く、だからそれらは送信を通じ
て何時でもスタートすることが可能である。
今の時点で、JT65はモールスコードのように文字によるメッセージを送信するのではないと言
うことをハッキリさせるべきである。代わりに、全体のメッセージを72ビットの単一の記号列
に置き換えている。これらの記号列を63組−6ビットシンボルのシーケンスにしている。これら
のシンボルはラジオチャンネルで送信される:それらのある部分は完全に受信されるが、その
他はノイズによって破壊される。もしそのシンボルが十分であれば(確率的に設定した範囲内
であれば)正しく、完全な72ビットに圧縮されたメッセージは正確に回復させることが出来る。
解読されたビットはその時人が読めるようにメッセージを送ったものに翻訳される。この符号
化技術と強力なFECはメッセージが決してバラバラに受信されないように保証する。メッセージ
のコンポーネントはお互いの間では間違うことは出来ない。コールサインは誤って,もしくは数
文字失われて表示されることは無い。コールサインの文字O又はRに対してシグナルリポートま
たは了承などを混同するようなチャンスはない。N8CQまたはEM73のようなグリッドロケータに
なるような誤った解読のチャンスも無い。もし貴方がSKDしたパートナーのコールサインが示さ
れず逆に他の局のコールサインがあれば、あなたは意図したようにスケジュールが保たれてい
8
るという結論は決してしないだろう。
9.Reception
and
Demodulation
(受信と復調)
WSJTにより受信したJT65信号はベースバンドに変換されて良く知られたDSP技術のシーケンス
を使用して分析される。このプロセスはおよそ0‑3kHz範囲のオーディオ信号を11025サンプル/s
のディジタル化した信号を用いて始まる。
ディジタル信号はローパスフィルターされて、数2で割られることによりサンプル数を下げる。
パワースペクトルは2048‑サンプルのブロックからディスクリートフーリエ変換を用いて計算
され、そして擬似ランダム同期パターンをテストする。同期パターンからのピークを見つけて
要求された周波数と時間誤差を確立する。それはドップラシフトとEME通信の遅延を含み、さら
に周波数較正と時間セッティングの誤差が含まれる。その同期を確立するための精度は周波数
においては1.5Hz付近であり時間精度は0.03秒である。一度同期が確立されると、プログラムは
小さなグループのトーン間隔上を再測定する。滑らかなカーブをその結果にフィットさせる。
このため、小さな周波数の変動の追跡と補正が可能となる。シンボル間の位相合否の追跡は要
求されない。
正確な同期情報の支配下に、プログラムは63チャンネルのシンボル毎に64−ビンスペクトルを
計算する。これらのスペクトルは分解能2.7mHz(即ちサブモードJT65Bではm=2なので5.4Hz
となる)であり、非常に弱い信号にたいして、それらは本質的にノイズのように見える。
個々のデータトーンはそのノイズ上では見つけることが出来ないかもしれない。
平均上では、しかしながら、各々のトーン間隔のなかに信号を含んだひとつの周波数ビンは他
よりも大きな増幅度を持っている。統計的な既知のランダムガウスノイズ分布を使用してWSJT
は送信された各々の可能値を持つシンボルの確率を計算する。この確率情報は同期したシンボ
ル数のスペクトル計測に基づいており、受信した情報の基礎となる。グレーコード化し、
シンボルをインタリーブ(データの配置を変えてアクセスを高速にする)し後に削除される。
その確率データは解読器に送られる。
10.Reed
Solomon
Decoder
(リードソロモン解読器)
(RS63,12)のような小さなエラー訂正コードでも invert 逆にするか又は符号化効率を上げ
るのは非常に困難である。基本的な問題がこれである:63チャンネルのシンボルの各々に対し
て測定したスペクトルを与えることは、ユーザーメッセージとして確実に識別することが出来
る唯一の72ビットのシーケンスがあるだろうか?原理的に、1つは受信したスペクトルに対し
72
てその結果を関連させるために 2 の符号化したユーザーメッセージとの組合せの照合を行わ
ねばならない。そのようなアプローチは全く不可能である。しかしながら:現在の3GHzのコン
ピュータと制限の無いメモリーと非常に効率的なプログラムを用いても,この方法で受信した
1つのメッセージを解読するためにはおよそ2億年の時間がかかってしまう。
リードソロモンコードは経済的に重要であり、それはメッセージを解読するアルゴリズムが数
学的に非常に良く定義されているからである。このアルゴリズムは複雑性を変化させてさらに
この方式の理想的な感度を追求するように動作する。プログラムバージョン4.5以降のWSJTはリ
ードソロモン解読方式に最新式のアルゴリズムを採用している。それはRalf Koetterと
Alexander
8
Vardy の論文に論拠している。この使用しているプログラムは彼等の会社である
9
CodeVector Technologiesからライセンスを受けている。受信されたシンボル値のソフト解決
統計情報を与えて、この解読器は各々の分析された伝達情報に対してハッキリした結果を出す
ことが出来る。非常に高い信頼性を持って、それは72ビットの送信されたメッセージか、また
は結果の無いフラグの何れかに変える。
WSJT解読器のエラーレートは信号レベルの関数として注意深く計測されている。この結果は
Appendix C.に要約している。簡単に要約すると、K‑Vデコーダ(解読器)は ほぼ常に解読出来
る から 殆ど解読に失敗する までカーブが急激に変化することを示しており、この間の信
号対雑音比はWSJTのスケールで示すとおよそ‑23から‑25dB(JT65B)に減少する。この結果の
クリーンデータ (ガウス分布のノイズを加えて、フェーディングも含み、他の信号の混信は
ないものとする)を更に示し、RS(63,12)のアルゴリズムを解読しているK‑V曲線からエラーレ
ートを求めることは非常に稀であり、あなたも見たことが無いと思われる。
11.Deep‑Search
Decoder
(ディープサーチ解読器)
72
何がK‑V解読器の解読に失敗させたのか?何か更に出来ることはないのか? 2 の組合を実行し
てユーザーメッセージを解読するには時間がかかりすぎて人生はあまりにも短いことに気が付
72
くことになる。しかしながら実際のEME QSOで送信されるメッセージ数は 2 よりも非常に小さ
く貴方が思っているよりも更に小さい。もしもっともらしく興味あるメッセージが最初にテス
トされるならば‑多かれ少なかれ人が非常に弱いCW信号をコピーするのと同じ方法である−そ
してサーチアルゴリズムが 時間切れ を実行したならば、もし実行時間が過ぎた後に組み合
わせがないということが分かったならば上記のような強制的なアプローチが事実上行われる。
WSJTでは、丁度これを行おうとするアルゴリズムが Deep search と呼ばれる手順である。
このディープサーチはもっともらしいコールサインとグリッドロケータのリストを使用してス
タートする。このようなリストは長いあいだ殆どのEMEオペレータによって記憶または記録によ
って維持されている。これらはどの局が、微弱なCQをだしているのか、あなたのCQに答えてい
るのか、貴方のQSOの最終に答えているのかを決定する時に大きな助けとなる。WSJTディープサ
ーチ解読器において、エントリーした個々のリストは CQ とWSJTユーザーのホームコールサ
インのペアであり、それによって仮に作られてテスト用のメッセージである。もしNcコールが
そのリスト内に存在するならば、およそ2Ncメッセージを発生させてこれを完全に符号化する。
そしてそのチャンネルシンボルが受信したスペクトルと良く一致するかをテストする。
貴方がともかく選んだそれらしいコールサインのリストから(その局を)言い当てることが出
来る。WSJTでも実例ファイルを用意しており、VHF/UHFバンドでweak signalの通信で活動して
いる世界中のほぼ5000局のコールサインを網羅している。良く知られているJT65ユーザーはか
れら自身のファイルを持っており、必要に応じてコールサインに加えるか、削除するかのメン
テナンスをしている。効果があるのは、貴方のコールサインが組合せフィルターのセットを定
義する。そしてそれは貴方にあった設定になっており、貴方が受信を期待するメッセージの集
合に感度が最高になるように調整している。このディープサーチはデータベースに無いコール
サインを含んだメッセージまたは平文、CQの傍に何かあるもの、またはファーストメッセー
ジ欄のあなたのコールサインに対しては感度が高くない。そのようなメッセージ類はK‑Vアルゴ
リズムの注目に値する感度で解読することができる。しかしながら、先に定義した少集合以内
の如何なるメッセージにはディープサーチ解読器が低いエラーレートを保っている間では4dB
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以上の感度が得られる。これらの4dBの感度は スケジュールゲイン として広く認められて
いるものと等価であるということは明白である。これはCWオペレータが前もってコンタクトを
アレンジしているか、または良く知っているコールサインをコピーしている時と同じような経
験をすることが出来るものと同じである。
12.Decoding
Shorthand
Messages
(短縮メッセージの解読)
さらに、期待される擬似ランダムパターンを持った同期信号を探すために、WSJTはJT65の設定
されたショートハンドメッセージを持つ信号が変化するのをサーチする。幾つもの周波数が計
測されて先に送信された同期信号の中身を比較する。その変調波が決められた矩形波サイクル
に従う変調波を確かめるテストを行う。もしその周波数類と変調波が一致すればそしてもしそ
の増幅度が予めセットした閾値を超えれば、あるショートハンドメッセージが決定されること
になる。近接した周波数と時間の許容度の理由から、非常に低い解読不良率を維持している間
は更に低い検出限界をセットすることが可能である。ショートハンドメッセージにたいする計
測された感度曲線はAppendix Cのなかにあり、K‑Vアルゴリズムとディープサーチ解読器に関
する情報も含んでいる。
13.Operator
Responsibilities
and
Message
Integrity
(オペレータの責任とメッセージの完全性)
JT65を含むWSJTモードのQSOは全ての段階での活動的なユーザーの参加を要求する。バーディ、
QRM,QRNまたは、マルチパスによる信号の歪み発生などの変則的な事態の中でオペレータを巻き
込むことがプログラムの出力の誤りを避けるために必要である。殆どのオペレータは、JT65の
QSOを初めの数回行うことで必要な熟練を容易に獲得していることが分かる。§2で述べている
ように有効なQSOを行うためのガイドラインを見るとき、JT65の特別の特性に言及したところを
参考にすると良い。WSJTによるコンタクトは本質的にその内容を記録している。JT65QSOが成功
裏に完結した時に、両者は必須の情報が交換されていることを知っている。さらにもし望むな
らばその記録されたWAVEファイルを見ればそれを証明することが出来る。これらのファイルは
誰でもそれを証明ができるように、その完全なコピーはビット追跡が可能なように記録されて
いる。特に興味があるか、困難であったQSOに対しては記録されたWAVEFORMとスクリーンイメー
ジはEメールによってしばしば交換が行われている。私は私自身のQSOやそのバンドのモニター
から、または他人が私に数多く送ってくれたデータからJT65のWAVEファイルを数多く蓄積して
ライブラリーを作っている。これらのファイルはWSJTの感度を最適化したり、エラーレートを
最小限にするためのアルゴリズムの検討のために実際のコンディションデータが非常に役立っ
ていることが証明できている。更なる発展はこの分野で、数年以内にやってくることは確かで
ある。
14.On‑the−Air
Experience
(QSOでの経験)
JT65の初めての実用バージョンは2003年11月に完成した。初期のQSOテストをN3FZと実施したが
JT65はVFH/UHF Weak‑signalの愛好家の新しい大きな武器になるということを直ちに確信した。
エラー訂正コードの実利はweak‑signalのアマチュア無線通信にたいして非常に明白である。
NASAの厳しい情報の符号化と強力なFECを用いて深遠な宇宙の写真を地球に送ってくるという
ことに、殆ど驚きも無く実感している。深遠な宇宙通信において、1dBでも感度を改善すること
は数100万ドルのコストを削減することが出来る。これは大きなアンテナと送信パワーに莫大な
費用がかかっているからである。
JT65プロトコルの仕様は最初の開発段階からマイナーな方法で発展してきている。その間に、
解読器は堅実に改良されてQSO能力の相当大きな進展を見た。どの位多くのEME QSOがJT65を用
11
いて実行されたか知る由も無いがその回数は数千回を上回るのは確かである。ユーザーはプロ
グラムのバグや操作上の改良の報告に躊躇しないのでWSJTはそのようなフィードバックによっ
て大きな利益を受けている。新しいEME愛好家のグループが多数発生した。これはJT65 QSOは
従来の方式が要求する設備よりも非常に控えめの設備によって遂行できること分かったからで
ある。数100のJT65 EME QSOは2mバンドで、150wの送信電力とシングル八木アンテナによっ
て作られている。そして ビックガン と呼ばれるステーションは送信電力5wでEME通信が出
来ている。多分50MHzでのEME QSOは長い間最も困難な離れ技と考えられてきたが、通常の通信
となった。
15.Looking Ahead 将来への展望
JT65の技術仕様の拡大または大きな改訂の必要性にについての将来の見通しは持っていない。
しかしながら、JT65の遂行能力についての改良するかもしれない多くの方法を考えることは出
来る。スタートとして、受信したオーディオデータは全体の受信時間が完了してからのバッチ
モードよりも、受信しながら適宜処理すべきだと考える。これはリアルタイム処理のディスプ
レーが必要になる。そしてこれは受信したデータを20ないし30秒後に信号の早い解読が必要に
なると考えている。あるサウンドカードはそれらのサンプリングレートの誤差が0.6%の大きさ
を持つということが分かった。WSJTで使用している現在のJT65解読器はそのようなエラーを訂
正する機能は無く感度が不必要に影響を受ける。信号を見つけることと混信の抑圧は巧くいっ
ている。必要な信号の周波数変動を追跡するためのアルゴリズムは今のところ改善することが
出来る。特に432と1296MHzにおいてドップラーが起こす周波数の変化をしっかりと追跡できる
ことは確かに望ましい。送信/受信シーケンスのもっと正確なタイミングコントロールは必要と
思われWindowsのもとでも可能かもしれない。解読手順の処理スピードは改善が出来る…そのリ
ストが相当数ある。たぶんその他はこれらのある改善またはもっとハッキリした改良の考えな
どをチャレンジとして取り上げることになるだろう。
Appendix
A:
Detail
of
Message
Encoding
付録A:メッセージ符号化の詳細
幾つかの段階で発生するJT65メッセージの符号化は§4‑6で説明している。ユーザーメッセージ
は初めに符号化され72ビット小さな集団になる。このビット集合は12−6ビット情報シンボルに
詰め込まれる。そしてリードソロモンコードの51パリティのシンボルが加えられる。63チャン
ネルのシンボルがインタリーブ(並び替えられて)され、グレーコード化され、64−トーンの
FSKによって送信される。同期ベクトルは65番目の周波数で送られる。2つのトーン間隔は最も
低いデータトーンよりも低い。
ある任意の選択として、メッセージをパッキングしチャンネルシンボルに並べる。これらの更
なる詳細を示す。JT65を実行する内容を簡単に理解するために、実際のソースコード例で示す
のがベストである。次に付け加えたのはフォートランプログラムでありLinux下で簡単にコンパ
イルすることが出来る。ここではメインプログラムをリストしている;フルソースコードであ
り必要なサブルーチンを含んでいる。そしてLinuxでファイルを作ることが出来る。これは
pulsar.Princeton.edu/ joe/K1JT/JT65code.tgzからダウンロードが出来る。コンパイルしたプ
ログラムはJT65メッセージ(コマンドライン上にエンコードして引用している)を受け付ける。
そしてパックしたメッセージに答える。チャンネルシンボルは6ビット値である。プログラム出
力例としてFig.3に示し§5で説明している。
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Appendix
B:
Support
Callsign
Prefixes
and
Suffixes
コールサインのプレフィックスとサフィックスはJT65によってサポートされている。そのリス
トはAppendix Aの中で紹介しているように、ソースコードアーカイブ
pulsar.Princeton.edu/ joe/K1JT/JT65code.tgz の中のファイルpfd.fにある。サポートして
いるサフィックスは/Pと/0から/9を含み、プレフィックスリストは下記に示している。付加的
なプレフィックスとサフィックスは将来このリストに加えることが出来る。北極の5°以内の如
何なるグリッドロケータはサポートしていない代わりに450個のプレフィックスが用意されて
いる。
Appendix
C:
Measured
Sensitivity
and
Error
Rates
(計測された感度とエラーレートの関係)
JT65のプロトコルは全てに対して1回で定義することが出来る。通信上の処理能力は特に復調器
のソフトウエア実行能力によって決まる。WSJTバージョン4.9の§9‑12で概略を説明しているが
JT65の解読については3つの段階に分けられる:ソフト処理によるリードソロモン解読器、ディ
ープサーチ解読器、そしてショートハンドメッセージの解読器である。§13で強調しているの
は、バーディ、空電雑音、その他の混信、そしてオペレータの介在が解読過程の本質的な部分
である。オペレータは Zap を有効にするとバーディを取り除くことが出来る。 Clip 機能
は広い帯域にわたりスパイク性ノイズを低減することが出来る。 Freeze は同期信号のサーチ
範囲を制限する。このような支援機能とプログラムのグラフィックスおよび数学的な表示など
を使用することによって解読器からのスプリアス出力を捨てて本物を摘出することが出来る。
送信周波数に、単純な減衰、ホワイトガウシアンノイズを加えて、レイレイスフェージング係
数を掛けることによって通常の状態を作り出し、その時の感度と解読器のエラーレートを実際
に計測することが出来る。このような方法によるシュミレータのソフトウエアはLinuxベースで
作られており、初期段階(非常に本質的な部分)のWSJTプログラムを発展させた。このシュミ
レータはWSJTのすべてのディジタル信号を発生させることが出来る。そしてバンドを制限した
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ガウシアンノイズと、これにS/Nを設定して特性を決めて、そしてフェーディングを加味したこ
れらの環境の中にWSJTの信号を挿入している。この結果のオーディオファイルはWAVフォアマッ
トで記録することが出来る。その時ファイルをオープンしてWSJTを解読することが出来る。そ
れらはまたシュミレータ内で直接解読が可能である。使用するコードはLinuxでコンパイルされ
るがWSJTと完全に一致する。
Fig.4‑JT65Bに対するSNR特性を計測した結果を示している。KVラベルの曲線はKoetter‑Vardyアルゴ
リズムを示し、DSはディープサーチあるごリズムの結果を示している。KVアルゴリズムの誤解読の
レートは計測するためには非常に小さすぎる。DSアルゴリズムに対しては ハードエラー レート
は0.03%であり、グラフに示すにはあまりにも小さすぎる。 ? と A が付いた曲線は解読メッ
セージに?がある場合のディープサーチのソフトエラーレートを示し、図中の左下に示す。Aは積極
的な解読がリクエストされたことを示している。
数十万回のJT65の送信についてのシュミレーションがこのような方法で行われている。前段で
はデバックと解読器のファインチューニングのために、後段では完成したプログラムの感度と
エラーレートを計測するために行われた。シュミレーションの結果はFig.4と5に要約されてい
15
る。Fig.4を求めるために1000回ほど送信が繰返されて、SNRのレベルを‑30、‑29、…‑20dBのレ
ベルで行われ、2つのコールサインとグリッドロケータを持った標準JT65メッセージを用いた。
全てのWSJT解読器(Versionは4.9)は11,000回夫々テストランが行われた。Fig.4の中の実線と
丸ドットの曲線はKoetter‑Vardy解読器の結果を図示している。本質的な結論として96%の正解
解読率時のSNRは‑23dBであり、41%では‑24dBになり3%では‑25dBとなる。誤りのない解読はKV
解読器を用いることで如何なるテストでも再現が可能であった。
ディープサーチアルゴリズムについては、四角い点と長い点線を用いて曲線を示している。
92%の解読率では‑27dBであり、58%では‑28dB、17%では‑29%となる。3つの ハードエラー
‑4
(?フラグの無い解読エラー)は11,000回の送信テストの中ではおよそ2.7×10(Fig.4で示す
には非常に小さい)であった。もし1つが?マークを持ったメッセージが解読されると、そのナ
ンバーに対して正しいコピー率は93%、73%および29%とでは‑27、‑28、‑29dB(△印と短い点
線の曲線)と増加する。WSJTの Aggressive decoding を選択すると解読率が向上して、97%、
82%および41%が‑27、‑28、‑29dB(△印と短い点線の曲線)となる。しかしながら解読不良率
も増加し、特に‑28dBとそれ以下‑29dBでは29%となる。
同様の計測はサブモードであるJT65AとCでも同様である。その結果はFig.4に示したように
JT65Bと同じ傾向である。JT65Aに対しては約1dBほど左にシフト(JT65Bより感度が良い)して
おりJT65Cに対しては約1dB右にシフトしている。
JT86の平文はその同期ベクトルがはっきり見つけられないと解読ができない。WSJTにおける同
期手順はサブモードJT65A,BとCでは全く同一である。Fig.4で図解しているようにSNRが‑29dB
よりも小さい時には同期不良が解読作業の多くの失敗の原因になっている。同期を掛けること
は他の理由でも非常に重要である。同期を正しくすることは蓄積された平均メッセージを解読
するのが可能になる。送信されたメッセージがディープサーチアルゴリズムで解読可能である
かは無関係である。Fig.5では同期レートが計測されている。SNRが10dBレンジを越える値を用
いてシュミレーションのための送信を1000回繰返した。同期が93%達成ではSNRは‑28dB、74%
で‑29dB、44%で‑30dBと19%では‑31dBとなった。これらの計測結果から、メッセージを平均す
ることは例えば3回の送信を平均すると‑26dBになり、8回の送信では‑28dBになり、20回となれ
ば‑29dBとなる。これらの結論はWSJTのQSO経験からも一致している。
シュミレータはJT65ショートハンドメッセージの解読レートの計測にも使用された。これも
Fig.5で図解している。各々のSNRで1000回繰返された。ショートハンドメッセージは88%の解
読率ではSNRは‑31dBとなり、60%で‑32dBそして26%では‑33dBとなる。1100回の試行でショー
トハンドメッセージの解読が正しくなかったのは5回であった。5回すべては注意深いオペレー
タによってスプリアスによるものとして判断された。原因としては計測された周波数のズレが
通常の許容範囲よりも大きかった。
他にも多くの理由がありJT65のQSOの遂行能力はここで示したシュミレーションの結果とは幾
分異なるかもしれない。Fig.4と5で示した計測結果は付加したホワイトガウシアンノイズ
(AWGN)とフェーディング無しの理想的な条件下で行われている。
(付加的なシュミレーション
としてはレイレイスフェーディングの効果が追加されるが、その結果は同様な傾向になり、そ
の曲線は数dB右へシフトされる)。バーディの影響、その他の混信そして ノン・ガウシアンノ
イズは数量化するのが難しい。私はしばしばWSJTをモニターモードにして時には数日間そのま
まにしておく私の受信機は144.100から144.160の間を任意に受信する。私は人口の多い地域に
住んでおり、2mバンドでは他の信号と同様に数多くのバーディが現れたり続いたりしている。
典型的な誤解読レートはバンドが静かな時は平均して1時間に1回ないしは2回よりは多くは
無い。
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スプリアスを解読したファイルを検証してみると常に背の高いパルスがその付近に見えるので
オペレータは有効でない情報を見つけ出して避けることが出来る。このように意図した方法で
使用するときに、WSJTは高く正確な通信プロトコルとなる。
Fig.5
SNRを関数としてのメッセージの同期とショートハンドメッセージのコピーレート
Version:
March
8
2005
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