山 口 県 に お け る リンドウの 生 産 実 態 と 安 定 栽 培 に 向 け た 取 り 組 み ( 徳 佐 寒 冷 地 分 場 ) ○ 宮 長 千 歌 子 ・ 大 中 靖 美 *・ ( 生 産 環 境 部 ) 平 松 禮 冶 * 背 景 下関市豊北町を中心に栽培されているリンドウは、露地栽培が可能であり、 今後中山間地域での普及が期待される品目である。 このため、西南暖地の特性を活かした早生品種の育成や、有望系統の維持・ 増殖への取り組みが望まれている。 一方、産地では、株枯れ・縮葉症状の発生が生産安定面で問題となっている。 そこで、農業試験場では、産地と協働して課題解決を図るため、プロジェクト チームを立ち上げた。 プロジェクトでは、現地と連携した早生品種の育成及び有望系統の維持・増 殖技術の開発に加え、株枯れ・縮葉症状の要因解明と対策として、高地温の影 響、生理障害、病害虫防除の面から検討した。 目 的 生産実態調査の結果を踏まえ、マルチ資材による地温抑制効果と株枯れ症状 の関係、縮葉症状の原因を明らかにし、対応策を確立する。 成 (1) 果 黒マルチに対して地温抑制効果はタイベックマルチ(以下タイベック) が最も高く、次いで白黒ダブルマルチ(以下白黒ダブル)であった(図 1)。 (2) 全体的に株枯れ症状の発生は少ないが、黒マルチ、タイベックでは定植 3年目と2年目を比べると発生が増加し、白黒ダブルでは発生が少ない傾 向がある(表1)。 (3) 白黒ダブルは、「サマーハイジ2」と「豊北育成系統」では株枯れ症状 が認められない(表1)。 (4) 「長野育成系統」は、黒マルチと比べると白黒ダブル、タイベックで切 り花品質が向上するが、その他の品種については、マルチの種類による大 きな差は認められない(表2)。 (5) 縮葉症状は、「サマーハイジ」、「セプテンハイジ」に発生し、他品種 にはほとんど発生せず、品種間の差が強く認められる。 (6) 縮葉症状の改善には、石灰やホウ素資材の土壌施用や葉面散布で、わず かな改善が見られるが、経営的な改善効果までは至っていない(図2)。 * ‑ 27 ‑ 退職 45 温度(℃) 40 35 30 0:00 22:00 20:00 18:00 16:00 14:00 12:00 10:00 8:00 6:00 4:00 2:00 20 0:00 25 時刻 気 温 タイベックマルチ地 温 黒 マルチ地 温 白 黒 ダブルマルチ地 温 マルチの種類が株の枯死率に及ぼす影響 マルチの種類 サマーハイジ2 タイベック 白黒ダブル 黒 しなの3号 タイベック 白黒ダブル 黒 ブルーハイジ タイベック 白黒ダブル 黒 長野育成系統 タイベック 白黒ダブル 黒 豊北育成系統 タイベック 白黒ダブル 黒 枯死率(%) 定植2年目 定植3年目 5.0 0 0 0 0 2.5 5.0 0 0 0 2.5 0 0 0 0 2.5 0 2.5 7.5 5.0 12.5 5.0 5.0 5.0 0 0 2.5 2.5 0 2.5 表2 定植3年目の切り花長別の採花本数の比率 品種 サマーハイジ2 しなの3号 ブルーハイジ 長野育成系統 豊北育成系統 マルチの種類 タイベック 白黒ダブル 黒 タイベック 白黒ダブル 黒 タイベック 白黒ダブル 黒 タイベック 白黒ダブル 黒 タイベック 白黒ダブル 黒 60 切り花長別の採花本数の比率(%) 75cm以上 90cm以上 75cm以下 80.7 73.1 19.3 91.9 84.2 8.1 91.4 82.0 8.6 89.6 80.1 10.4 95.2 90.9 4.8 97.3 95.5 2.7 81.5 65.5 18.5 79.1 58.7 20.9 85.8 78.3 14.2 71.1 39.4 28.9 76.4 40.3 23.6 48.5 26.7 51.5 39.1 14.1 60.9 28.9 5.2 71.1 34.0 7.8 66.0 縮葉株率の推移 葉面散布区 葉面散布・株 元潅注区 株元潅注区 対照区 40 慣行区 30 20 図2 5月26日 10 4月26日 縮葉株率(%) 50 8月24日 品種・系統 (平 成 15年 8月 23日 ・ 晴 天 ) 7月25日 表1 気温・マルチ内地温の経時変化 6月25日 図1 リンドウへのCa剤葉面散布等による縮葉発生改善試験 における縮葉株率の推移 ‑ 28 ‑
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