2011 年 10 月 9 日(日) 、10 日(月)41 ローマ人への手紙 11:11~24 「拒否の解決(2)―異邦人の救い―」 1.はじめに (1)末日聖徒イエス・キリスト教会のこと ①今では「モルモン教」とは言わない。 ②Church of Jesus Christ of Latter-day Saints(LDS) ②異端や新興宗教を信じることは、 「ばくち」の世界に似ている。 ③聖書的信仰は、文脈の中で捉える必要がある。 *日本の伝道における人間関係の文脈 *キリスト教を歴史観として捉えることの重要性 (2)ロマ書 9~11 章の文脈 ①拒否の現実:イスラエル人の一部しか救われていないのは、神の計画である。 ②拒否の理由:イスラエルの拒否の理由は、彼らの頑なさにある。 *イスラエルの頑なさは、神の義についての無知から来ている。 ③拒否の解決:神の計画通りに進んでいる。 *レムナントの存在がある。イスラエル全体が拒否したのではない。 (3)きょうの箇所 ①イスラエルの拒否は一時的である。 ②やがてイスラエルは民族的救いを経験する。 ③終末論は、イスラエルの救いを土台にして考えなければ、開かれてこない。 2.アウトライン (1)異邦人の救いの目的(11~12 節) (2)パウロの異邦人伝道の目的(13~16 節) (3)異邦人への警告(17~21 節) (4)まとめ(22~24 節) 3.メッセージのゴール(適用) (1)異邦人信者の使命 (2)置換神学からの脱却 このメッセージは、異邦人の救いの目的について学ぼうとするものである。 1 2011 年 10 月 9 日(日) 、10 日(月)41 ローマ人への手紙 11:11~24 Ⅰ.異邦人の救いの目的(11~12 節) 1.11a 「では、尋ねましょう。彼らがつまずいたのは倒れるためなのでしょうか」 (新改訳) 「では、尋ねよう。ユダヤ人がつまずいたとは、倒れてしまったということなのか」 (新共同訳) (1)訳の違い ①新改訳は、 「目的」という意味で訳している。 ②新共同訳は、 「結果」という意味で訳している。こちらの方がよい。 (2) 「彼ら」とは、大半のユダヤ人のこと。 ①レムナントではない、不信仰なユダヤ人。 ②ロマ 9:30~33 (3) 「つまずいた」とは、メシアを拒否したということ。 (4) 「倒れる」とは、決定的な失敗のこと。 ①ギリシア語で「ピプトウ」という。 ②再び立ち上がることのできない、修復不可能な倒れ方のこと。 2.11b 「絶対にそんなことはありません。かえって、彼らの違反によって、救いが異邦人に及ん だのです。それは、イスラエルにねたみを起こさせるためです」 (1) 「絶対にそんなことはありません」 ①ギリシア語で「メイ・ゲノイト」 。 ②英語で「God forbid」 。 ③神の忠実な性質から考えて、あり得ないこと。 ④新約聖書に 15 回出てくる。 *14 回がパウロによる使用 *11 回がロマ書に出てくる。 *3 回がガラテヤ書に出てくる。 *修辞疑問文が多い箇所では、これは当然である。 (2)神の人類救済計画のステップ 2 2011 年 10 月 9 日(日) 、10 日(月)41 ローマ人への手紙 11:11~24 ①イスラエルの大半がメシアを拒否する。 ②その結果、救いが異邦人に行く。 ③イスラエルがねたみを起こし、やがて民族的救いを経験する。 (例話)放蕩息子のたとえ話 (3) 「それは、イスラエルにねたみを起こさせるためです」 ①すでにロマ 10:19 に出ていた。 「でも、私はこう言いましょう。 『はたしてイスラエルは知らなかったのでしょう か。 』まず、モーセがこう言っています。 『わたしは、民でない者のことで、あな たがたのねたみを起こさせ、無知な国民のことで、あなたがたを怒らせる。 』 ②申 32:21 からの引用 ③ギリシア語で「パラゼイロタイ」という動詞。 *パラ(そばにいる) *ゼイロタイ(嫉妬させる) 3.12 節 「もし彼らの違反が世界の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となるのなら、彼らの完成 は、それ以上の、どんなにかすばらしいものを、もたらすことでしょう」 (1)小から大への議論がある。 (2)小とは、 「彼らの違反が世界の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となる」 。 ①「彼らの違反」 、 「彼らの失敗」とは、メシアを拒否したこと。 ②「世界の富となる」とは、人類にとって益となるということ。 ③「異邦人の富となる」とは、異邦人が救われるということ。 (3)大とは、 「彼らの完成」と、それがもたらす祝福のこと。 ①「彼らが全部救われたなら」 (口語訳) ②「彼らが皆救いにあずかる」 (新共同訳) ③ギリシア語で「プレイロウマ」 。 ④英語で「their fulness」 。 ⑤それがもたらす祝福とは、メシアの再臨、千年王国の成就。 Ⅱ.パウロの異邦人伝道の目的(13~16 節) 3 2011 年 10 月 9 日(日) 、10 日(月)41 ローマ人への手紙 11:11~24 1.13 節 「そこで、異邦人の方々に言いますが、私は異邦人の使徒ですから、自分の務めを重んじ ています」 (新改訳) 「では、あなたがた異邦人に言います。わたしは異邦人のための使徒であるので、自分の 務めを光栄に思います」 (新共同訳) (1) 「あなたがた」という言葉に強調点がある。 ①ロマ 9~11 章は、イスラエルの救いについて論じている箇所である。 ②突然パウロは、 このテーマが異邦人にも関係していることを思い出させている。 (2) 「異邦人の使徒」 ①定冠詞がないので、 「an apostle of Gentiles」である。 ②つまり、他にも異邦人伝道をしている人がいたということ。 (3) 「自分の務めを重んじています」 ①ギリシア語では「ドクサゾウ」 。 ②英語では、 「glorify」 「praise」 。 ③彼はこの務めを、光栄に思っている。 2.14 節 「そして、それによって何とか私の同国人にねたみを引き起こさせて、その中の幾人でも 救おうと願っているのです」 (1)異邦人の救いは、イスラエル人にねたみを起こさせる。 ①11 節と同じこと (2) 「幾人でも」 ①今は、少数のイスラエル人しか救われない。 ②イスラエルの民族的救いは、終末的出来事である。 3.15 節 「もし彼らの捨てられることが世界の和解であるとしたら、 彼らの受け入れられることは、 死者の中から生き返ることでなくて何でしょう」 (1)12 節と対句になっている。小から大への議論。 (2)小とは ①「彼らの捨てられること」 4 2011 年 10 月 9 日(日) 、10 日(月)41 ローマ人への手紙 11:11~24 ②これは、 「世界の和解」につながる。つまり、異邦人の救いのこと。 (3)大とは ①「彼らの受け入れられること」 ②これは、 「死者の中から生き返ること」につながる。 *ユダヤ人の霊的覚醒の素晴らしさを表現している。 4.16 節 「初物が聖ければ、粉の全部が聖いのです。根が聖ければ、枝も聖いのです」 (1)民 15:17~21 初物奉献の規定 (2) 「初物」と「根」 ①アブラハム、イサク、ヤコブ(族長たち) ②神のために選び分けられたという意味で、聖い。 (3) 「粉の全部」と「枝」 ①イスラエル全体のこと ②民族的救いの根拠 Ⅲ.異邦人への警告(17~21 節) 1.17~18 節 「もしも、枝の中のあるものが折られて、野生種のオリーブであるあなたがその枝に混じ ってつがれ、そしてオリーブの根の豊かな養分をともに受けているのだとしたら、あなた はその枝に対して誇ってはいけません。誇ったとしても、あなたが根をささえているので はなく、根があなたをささえているのです」 (1)不自然な接ぎ木 ①通常は、野生種の木に栽培種の枝を接ぐ(粘土をかぶせ、布で覆う) 。 ②パウロの例話は、あり得ない接ぎ木である。 ③異邦人の救いは、あり得ないことが起こったのだというのがパウロの論点。 ④24 節 「もとの性質に反して」 (2)例話の内容 ①折られた枝とは、レムナントでないイスラエル人。 ②接ぎ木された野生種の枝とは、異邦人信者。 5 2011 年 10 月 9 日(日) 、10 日(月)41 ローマ人への手紙 11:11~24 ③「ともに受けている」とは、レムナントとともにという意味。 ④オリーブの木はイスラエルのことではない。イスラエルはこの木の所有者。 ⑤この木(根の豊かな養分)は霊的祝福の源である。 *アブラハム契約のこと *神がイスラエルと結んだ契約 *異邦人は、アブラハム契約の祝福に接ぎ木されたのである。 (3)例話の適用 ①誇ってはならない。 ②異邦人信者は、根によって支えられている。 2.19~21 節 「枝が折られたのは、私がつぎ合わされるためだ、とあなたは言うでしょう。そのとおり です。彼らは不信仰によって折られ、あなたは信仰によって立っています。高ぶらないで、 かえって恐れなさい。もし神が台木の枝を惜しまれなかったとすれば、あなたをも惜しま れないでしょう」 (1)これは、一度救われても、その救いを失う可能性があるという教えではない。 ①これは、イスラエル人と異邦人の対比である。 ②個人の救いを論じているのではない。 (2)この聖句から、誤った結論を出してはならない。 ①これは、 「霊的祝福の源」から切り離されるという意味。 ②神の矯正的裁きが来る。 ③頑なな状態に放置される。 Ⅳ.まとめ(22~24 節) 1.22 節 「見てごらんなさい。神のいつくしみときびしさを。倒れた者の上にあるのは、きびしさ です。あなたの上にあるのは、神のいつくしみです。ただし、あなたがそのいつくしみの 中にとどまっていればであって、そうでなければ、あなたも切り落とされるのです」 (1)神の性質:いつくしみときびしさのバランス ①いつくしみを強調すると、普遍的救いに流れやすい。 ②きびしさを強調すると、喜びのないクリスチャン生活になる。 6 2011 年 10 月 9 日(日) 、10 日(月)41 ローマ人への手紙 11:11~24 (2)イスラエルの上にある「きびしさ」を見ると、信仰に留まることの必要性を学ぶ。 2.23~24 節 「彼らであっても、もし不信仰を続けなければ、つぎ合わされるのです。神は、彼らを再 びつぎ合わすことができるのです。もしあなたが、野生種であるオリーブの木から切り取 られ、もとの性質に反して、栽培されたオリーブの木につがれたのであれば、これらの栽 培種のものは、もっとたやすく自分の台木につがれるはずです」 (1)大から小の議論 ①大は、異邦人の接ぎ木。 ②小は、イスラエル人の接ぎ木。 (2) 「自分の台木」 ①神がイスラエルと結んだ 4 つの無条件契約 *アブラハム契約 *土地の契約 *ダビデ契約 *新しい契約 ②彼らを押しとどめているのは、不信仰だけである。 結論 1.異邦人信者の使命 (1)ユダヤ人に「ねたみ」を起こさせること ①クリスチャンという名称は、 「メシア」と関係がある。 ②異邦人信者は、ユダヤ人のメシア待望を先に体験した人々である。 ③私たちは、メシアニック・ジャパニーズである。 ④米国の調査では、メシアニック・ジューの大半が異邦人の伝道で救われている。 (例話)フルクテンバウム師の救い:Ruth Wardell の導き (2)教会は、ユダヤ人に「ねたみ」ではなく、 「怒り」を起こさせてきた。 2.置換神学からの脱却 (1)きょうの箇所には、傲慢な異邦人信者へのパウロの怒りが見える。 7 2011 年 10 月 9 日(日) 、10 日(月)41 ローマ人への手紙 11:11~24 ①イスラエルが不信仰に陥ったので、イスラエルを見下す異邦人がいた。 ②彼らは、異邦人の救いこそ神の計画のクライマックスであると考えた。 ③聖書のクライマックスは、神の計画がすべて成就し、神の栄光が現れること。 (2)置換神学の内容 ①イスラエルは不信仰のゆえに、契約の民としての特権を失った。 ②旧約聖書でイスラエルに約束されていた祝福の預言は、教会が引き継いだ。 *「イスラエル」という言葉を、異邦人教会に適用する。 *当然、教会を「新しいイスラエル」 、 「霊的イスラエル」と呼ぶようになる。 ③基本的には、反ユダヤ的神学である。 ④もしイスラエルと結んだ契約が破棄されたとするなら、私たちの救いも破棄さ れる可能性がある。 8
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