Weekly Market Report 1. 為替相場概況

発⾏:市場営業部
Weekly Market Report
Jun 13, 2016
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
6月の米利上げ観測が大幅後退、英国のEU離脱懸念もあり円高地合いに
USD/JPY (1週間の値動き)
英国の世論調査で
EU離脱派多数
週間最安値
106.26を示現
コメント
(出所)Bloomberg
先週のドル円相場は、前週末発表の5月米雇用統計の弱い結果、イエレン議⻑が講演で利上げタイミングに⾔及しなかったこと、英国のEU離脱
懸念等を受けて上値の重い展開となった。9日、原油価格が反落し資源国通貨が売られる中、リスク回避ムードの⾼まりもあり米国⾦利も低下、
ドル円は週間最安値の106.26円を示現している。週末、英国の世論調査でEU離脱⽀持派が残留⽀持派を上回ったことで、ユーロが売られる
展開となり、ユーロ円は約3年振りに120円を割り込んだ。ユーロ下落に伴いドル円も上値を抑えられ、結局106円台後半で越週している。
今週のFOMCでは、来週23日(木)に英国のEU離脱投票を控えており、追加利上げに動くとは考え難い。注目は3月以来となるドットチャートが
更新される点だ。利上げ予想中央値が引き下げられれば円⾼に振れる可能性が⾼い。日銀⾦融政策決定会合は前回に比べ過度な緩和期
待は盛り上がっていないが、現状維持となった場合も円⾼材料となろう。当面は英国のEU離脱懸念からリスクオフの展開が続くことになるだろう。
(市場営業部/土橋)
USD/JPY(2年間)
今週の経済指標(予定)
日付
イベント
予想
6/14(火)
(米)小売売上⾼速報(前月比)
0.3%
6/15(水)
(米)NY連銀製造業景気指数
-5.0
6/15(水)
(米)FOMC
-
6/16(木)
(日本)日銀⾦融政策決定会
-
6/16(木)
(米)CPI除⾷品・エネルギー(前年比)
2.2%
6/17(⾦)
(米)住宅着⼯件数
1,150K
今週のレンジ予想(USD/JPY)
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
牧野 剛
104.90-107.90
英国のEU離脱懸念等を背景にドル円は上値の重たい展開。日銀のサプライズ(追加緩和)には注意が必要。
國井 靖子
104.00-108.00
日米⾦融政策は据え置きを予想。英国国⺠投票までリスク回避が強く下値リスクに警戒。英ポンド・ユーロの動きに注意。
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Jun 13, 2016
2. 円⾦利相場概況
世界的な⾦利低下の流れが継続か。
10年国債⾦利と債券先物 (1週間の値動き)
10年債利回り
債券先物
コメント
(出所)Bloomberg
先週の円債市場は、米国雇用統計の悪化による米国債利回りの低下の影響を受け、⾦利低下の流れでスタート。7日に⾏われた30年債
⼊札は過去最低の落札利回りとなり堅調な結果となった。10日は米国債を始めとした海外⾦利の低下の影響が国内市場にも波及し、10
年債、20年債利回りが過去最低を更新。円⾦利スワップ市場についても⾦利低下圧⼒が強まり、各年限のスワップレートは大きく低下した。
米国雇用統計の悪化に端を発したリスクオフムードを背景に、海外⾦利も大きく低下しており、今週も⾦利低下の流れが継続すると思われ
る。今週はFOMCや日銀の⾦融政策決定会合、来週23日は英国のEU離脱にかかる国⺠投票と重要イベントが目⽩押しである。日銀の
⾦融政策決定会合については、⼀定の緩和期待は残るものの、株安円⾼の流れも⼀服している事や英国国⺠投票前に緩和カードを切る
事は想定しずらく、現状維持の可能性が⾼いと思われる。主要イベントを織り込み、債券が買われやすい状況であるが、イベント通過後の⾦
利上昇には⼀定の注意が必要だろう。
(市場営業部/吉岡)
⾦利スワップ変化(1週間)
(%)
5年円⾦利スワップ推移(2年間)
(%)
今週のレンジ予想 (10年国債利回り)
予想者
伊藤功⼀郎
伊豆浦 有⾥恵
今週のレンジ
-0.19%-
-0.13%
-0.19%-
-0.12%
予想のポイント
日米⾦融政策に関わるイベント控えて動意薄となるも債券市場の好需給環境やリスクオフムードが燻るなか⾦利は上昇し⾟い。
円債市場は外部環境からの追い風を受けて買われ易く、⼀段の⾦利低下余地を探る展開。
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Jun 13, 2016
3. 今週のトピックス
日本国債に対する内外の投資家動向
国内⾦融機関のシェアが減少する⼀⽅で、海外投資家の存在感が増している。
海外勢の保有残高は過去最高レベル。
日本国債保有シェア推移(国庫短期証券含む)【図1】
財務省のHPによりますと国債及び政府保証債務の現在残⾼は
1,090兆円を超えています。また日本銀⾏から公表されている「資
⾦循環統計」によりますと、国債・財投債、国庫短期証券を含む
残⾼(以下、国債残⾼)は2015年12月末で1,030兆円を超
える状況となっています。
「資⾦循環統計」の国債残⾼の部門別の保有シェア(図1)を
⾒てみますと、⿊⽥総裁の就任前は10%前半だった日本銀⾏の
シェアが2015年12月では30%を超えるレベルまで上昇しています
。⼀⽅で国内銀⾏を中⼼とする「預⾦取扱機関」は、量的質的
緩和政策により、利回りが低下した影響もあり保有シェアが20%
前半まで低下しています。
国内勢がシェアを減少させる中、シェアを拡大しているのが、海外
勢です。2015年12月時点で10%超の保有シェアを占めていま
す。国債残⾼は1,000兆円を超える水準まで残⾼が増加してい
ますが、その1割、凡そ100兆円以上を海外投資家が保有してい
る事となり、過去最⾼の保有残⾼を記録しています。
(出所:日本銀⾏、資⾦循環統計)
海外勢銘柄別買付シェア推移【図2】
短期の買付シェアの45%が海外勢。中期債も上昇傾向。
日本証券業協会から発表された2016年4月の「国債投資家
別売買⾼」によりますと、海外勢は総じてシェアを拡大させており、
総買付額の25%程度を海外勢が占めています。
海外勢の銘柄別買付シェア(図2)を⾒ますと、国庫短期証券の
買付シェアを大きく拡大しており、2016年4月時点では買付額の
45%を占めています。これは先にマイナス⾦利を導⼊した欧州投
資家からの資⾦流⼊に加え、国内⾦融機関の海外投資ニーズを
背景としたドル円のベーシス・スワップスプレッドに着目した資⾦流⼊
が原因と⾔われています。また国内⾦融機関がマイナス⾦利政策
により、日本国債への投資意欲が減退する中、最近では海外勢
が中期債についても買付シェアを拡大させており、2015年2月以
降、14ヶ月連続の買越しを記録しています。
(出所:日本証券業協会)
ドル円のベーシス・スワップのスプレッドは拡大傾向。今後も
海外勢の日本国債への資⾦流⼊は継続。
ドル円のベーシス・スワップのスプレッド推移【図3】
%
bp
日本国債の利回りは日本銀⾏のマイナス⾦利政策導⼊以降、
10年債までマイナス圏に突⼊し、更なる低下余地を探る状況とな
っています。依然として国内⾦融機関の海外投資の意欲は強く、
ドルの調達意欲は旺盛です。図3のドル円ベーシス・スワップのスプ
レッドが拡大傾向にある事や、日銀の国債買取りの安⼼感から、
海外勢の日本国債への資⾦流⼊は当面は継続し、保有シェアは
拡大すると思われます。今後の保有シェア次第では、海外勢の売
買動向が日本国債の利回りに影響を与える要因になる事も考え
られます。引き続き海外勢の日本国債市場への資⾦流⼊につい
て注目していきたいと思います。
(市場営業部/吉岡)
(出所:Reuter)
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