ホワイトペーパー - Stratasys

FDMおよびPOLYJET 3Dプリンティング
用途に適したテクノロジーを見極める
フレッド・フィッシャー
FDM
(熱溶融積層法)とPolyJetの2つのテクノロジーは、利用可能な最先端かつ有効なアディティブ・マニュファク
チャリング(AM)技術もしくは3Dプリント技術です。これらのテクノロジーは、導入しやすい価格のデスクトップ・
モデリング機器から、資本支出予算から拠出される大規模かつ工場設置向け設備にいたるまで広範に活用されてお
り、精密かつ精巧なモデルから高耐久性製品まで様々なアウトプットが可能です。アプリケーションとメリットと
いう観点で重なる部分があるものの、これら2つのテクノロジーに基づくプラットフォームには明確な違いがあり、
それぞれユニークなメリットがあります。それらの相違点を把握することは、お客様のアプリケーション、要望や
制約に見合った的確なテクノロジーを選択するためのベースラインとなります。
F O R A 3 D W O R L D TM
ホワイトペーパー
FDM
(熱溶融積層法)
とPolyJetの2つのテクノロジーは、利用可能な
最先端かつ有効なアディティブ・マニュファクチャリング(AM)技術も
しくは3Dプリント技術です。これらのテクノロジーは、導入しやすい
価格のデスクトップ・モデリング機器から、資本支出予算から拠出さ
れる大規模かつ工場設置向け設備にいたるまで広範に活用されて
おり、精密かつ精巧なモデルから高耐久性製品まで様々なアウトプ
ットが可能です。アプリケーションとメリットという観点で重なる部分
があるものの、
これら2つのテクノロジーに基づくプラットフォームに
は明確な違いがあり、それぞれユニークなメリットがあります。それ
らの相違点を把握することは、お客様のアプリケーション、要望や制
約に見合った的確なテクノロジーを選択するためのベースラインと
なります。
テクノロジー
高耐久性FDMパーツ
これらは真に、
あらゆる人々とアプリケーション向けのものであり、
多
くの企業がFDMとPolyJetの両方のテクノロジーを活用して個々の
システムの強みを活用しています。ただし、予算の関係でどちらか一
方を選択する必要がある場合は、
操作性、
モデル特性、
マテリアル・オ
プションについて検討してみてください。
比較対照してみましょう
FDM
(熱溶融積層法)
:
熱可塑性プラスチック・フィ
ラメントが高温のヘッドを経
由し、高圧力の下で精巧な糸
状の半溶解プラスチックとし
て押出されます。高温のチャ
ンバー内において、この押出
成形プロセスで継続的にプラ
スチック粒子を積層し、レイ
ヤーを成形します。このプ
ロセスを繰り返して熱可塑
性 プ ラ ス チ ッ ク の パ ー ツ が
作成されます。
PolyJetのディテール表現
FDMとPolyJetそれぞれのテクノロジーについて3つのカテゴリーで
比較し、一般的な意思決定基準について検証します。操作性では、操
作環境、
ワークフロー、
および時間を取り上げます。モデル特性では、
アウトプットの品質に関わる事項について取り上げます。マテリアル・
オプションでは、FDMならびにPolyJetプロセスで利用可能な物性を
取り上げて比較します。
操作性
FDMプロセス
PolyJet 3Dプリンティング:
速度
多くの場合、パフォーマンスの欠陥測定とともに、造形スピードが優
先事項となる傾向にあります。FDMとPolyJetテクノロジーを含め、
い
かなる積層造形技術でも造形スピードを一般化するには、
あまりにも
多くの要因があります。PolyJetの方が造形スピードが速いこともあ
りますが、
常に、
というわけではありません。
4個以上のインクジェットヘッドと
紫外線ランプを搭載したキャリッ
ジは、UV
(紫外線)
照射により硬化 PolyJetプロセス
するフォトポリマーの微細粒子を
積層しながらワークエリアを行き来します。マテリアルの薄膜層をプ
リントした後、
完全な3Dモデルが造形されるまで同じプロセスを繰り
返します。
これらの確立された技術は、宝飾品から建築、航空宇宙、家電製品ま
で広範な業界でモデルや完成品を製造するために活用されています。
また、
これらのテクノロジーを活用したシステムは、
一式につき100万
円代~数千万円の範囲で入手することができます。
よりゆっくりと造形するシステムは、全工程としてみるとより速く作業を
完了できる可能性があります。
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ファイル準備から、
多くのジョブを経てモデルの納品を完了するまでに
要した時間を評価した場合、
平均値で見ると、
FDMとPolyJetの合計経
過時間は同等かつ競争力があるものでした。
Stratasysのホワイトペーパー
「The Speed Myth — Perceptions vs.
Reality」
で概要を説明しているように、
造形時間だけに注目したり、
一
般化したりしないでください。その代り、
全工程に要した時間を評価す
るようにしてください。
Objet Studioの使用感はシンプルです。
プリプロセス
いずれの技術でも、プリント用ファイルをわずか数クリック、
かつ5分
未満の手順で作成することが可能であり、
とてもシンプルなフロント
エンドのファイル作成機能を有しています。
相違点:FDMのProduction 3Dプリンタでは、アプリケーション・ニ
ーズに応じてパーツ構築プロセスを調整できる洗練されたユー
ザー管理機能を追加しています。全てのビルドパラメーターは
ユーザーに公開されています。
ポストプロセス
サポート材料除去とパーツ洗浄におい
て、FDMとPolyJetでは違いがあります。
PolyJetでは、ジェル状のサポート材を除
去するために手短なマニュアル作業と、
ウォータージェットによるクリーニング
を行います。FDMでは、完全自動化さ
れていながらも長めの作業時間を要す
る工程、つまりタンクに浸して可溶性 FDM自動化サポート材除去
サポート材料を除去する方法、もしく
は 硬 質 サ ポ ー ト 材 料 を 簡 易 な 工 具 で
割 って除去する方法のいずれかを選択
します。
いずれかのテクノロジーを選択する
にあたり、ビジネスで必要となる業務
上のニーズを評価してください。例え
ば、スタッフ数は少ないですか?もし
そうであれば、完全自動化の選択が最
適です。もしくは、迅速なターンアラ
ウンドが最優先ですか?
PolyJetサポート材除去
オフィス環境
いくつかのアディティブ・マニュファクチャリング(AM)技術とは異な
り、
Stratasysの全てのテクノロジーでは、
密閉されたラボやOSHA
(労
働安全衛生管理局)
の呼吸保護対応は必要ありません。空中に飛散
する粉塵や温湿度に対する配慮も不要であり、全てのシステムで必
要となるのは最小限の配管および電気的な作業のみです。後者につ
いては、
一般的な電源と水道設備
(ポストプロセス時に使用)
へのアク
セスのみとなります。
これらがお客様の作業空間に収まるのであれば、
FDMとPolyJetはい
ずれもオフィスに配備しやすい仕様になっています。ただし1つだけ例
外があります - 最大規模のシステムであるFortus900mcとObjet1000
は、
大規模な設備であるため大きな作業エリアが必要となります。
利便性
FDM 3Dプリンタのインサイトソフトウェアは、フィル密度な
どの全ビルドパラメーターの管理が可能です。
機器においては、
いずれも10分未満のファイルアップロード時間でモ
デルをプリントすることができます。
ファイルセットアップ(プリプロセス時)の簡潔さに加え、FDMと
PolyJet双方の利便性に寄与する要素がいくつかあります。
• 材料交換:3Dプリンタのマテリアル・カートリッジを交換するだけ
でOK、
とても簡単です。
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• 造形用セットアップ:ビルドシート
(FDMのみ)
を挿入、
システムが稼
働温度に達したら
「スタート」
を押し、あとはその場を離れることが
できます。
• 完了後:ドア/フードを開き、ジョブ完了のわずか数秒後に
パーツを取り出すことができます。
ランニングコスト
ランニングコストはPolyJetの方が少し割高になるため、予算が最優
先事項となる場合にはFDMを選択された方がよいかもしれません。
ハードウェアと材料双方の消耗品がその主な要因です。
FDMについては、
ビルドトレイ
(シート)
と噴射ノズルの定期的な交換
が必要です。ただしこれらは、PolyJet3Dプリント用の2000時間以上
の使用毎に交換が必要となる高機能プリントヘッドに比べると安価
となっています。
また、モデルの立法センチ単位の総材料コストについても、FDMの
方が低く抑えることができます。カートリッジについては、各テクノ
ロジーで比較可能な重量単位の材料コストがかかります。それで
も、FDMの方が使用するサポート材料が少なくて済むため、モデル
単位では低コストといえます。PolyJetシステムでは微細な液状粒子
を支えるために、
より多くのサポート材料が必要となります。
パーツ特性
表面仕上げ
PolyJetは、3Dプリンタから取り出してすぐ
に塗装ができるほどサーフェイス仕上げを
提供します。鏡面仕上げにするための電気
メッキ加工等で一部の表面不完全性が目
立つ場合でも、
わずかな水研磨を施すだけ
で滑らかで光沢のある表面を得ることが
できます。
この点についてはFDMでは異なります。押出成形プロセスによ
り、横壁には目視できる積層痕と表面上下部の「ツールパス」が
生成されます。これらを除去することは可能ですが、自動フィ
ニッシング・ステーションもしくは手作業による仕上げがポスト
プロセス時にオプションとして必要となります。
解像度と機能の詳細
高解像度と精密なディテール表現は、PolyJetプロセスの特長で
す。600 x 600 dpiのプリントを16~32ミクロン厚の積層ピッチで行
い、PolyJetは非常に小さく精巧なテクスチャーを再現することがで
きます。このため、解像度が最重要検討事項である場合は、PolyJet
が最適といえます。
精度
公 開されて いる仕 様 書によると、寸 法 精 度につ い ては F D Mと
PolyJetの双方のプラットフォームにおいて、
システムから取り出した
時には比較的同等の結果を示しています。
しかし時間経過と負荷を
かけた場合、FDM材料がより優れた寸法安定性を示しています。こ
れは生産パーツとしてモデルを使用する場合に重要な要素です。
大きさ
注記:下記の仕様は簡略化されています。正確な仕様については、
ス
ペック表をご覧ください。
PolyJetとFDMを搭載している機器では、127×127×127mmから
1000×800×500mmの造形サイズを提供しており、中規模から大規
模レベルでは同等のオプションを有しています。異なるのは、小規模
な造形サイズのカテゴリーです。FDMには、
デスクトップ上に設置で
きるエントリーレベルの設置面積の小さな機種があります。PolyJet
の最小機種は240×200×150mmで、3Dプリンタは作業エリア近くに
スタンドをおき設置するのが最適です。
最大規模モデルの場合は、3Dプリンタの方向について考慮が必
要です。例えば、最大規模の機種であるFDM900mcとObjet1000
の造形サイズは同程度ですが、Fortus 900mcの高さは最大36
インチです。一方でObjet1000の高さは最大20インチです。幅に
ついても同様です。Fortus 900mcの24インチに対し、Objet1000
は31インチです。
マテリアル
多くの場合において、FDMとPolyJetの最大の相違点は対応して
いる材料です。熱可塑性プラスチックそのものから熱可塑性プ
ラスチック・ライク樹脂、硬質材料から軟質材料、不透明材料
から透明材料まで、全600種類以上のオプションがあります。
PolyJetは、広範なニーズに対応する製品リアリズムを提供しま
す。その独特で他に類を見ないデジタルマテリアル(2種類の材
料をプリントヘッドで混合)により、広範なカラースケール、
透明度、強度、硬度や柔軟性を提供する450種類を超えるオプシ
ョンがあります。例えば、柔軟性のあるゴムライクパーツは、
硬度27~95のショアAを使用してプリントすることができます。
どんな形状のモデルであっても46種類の材料から選択して一
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括で造形できるため、硬質構造の柔軟性を持つオーバーモール
ディングなどのアプリケーションも1回のプリントジョブで再現
することができます。
マテリアルのバリエーションが必要なのであれば、PolyJetが最適
なプラットフォームとなります。
高い耐久性をもつFDM熱可塑性プラスチック部品
F D MとP o l y J e tを ペ アリングしたこと
で、Stratasysは工業向けのアプリケー
ションを幅広く手掛けることができるよう
になりました。FDMのメリットと合致した
ニーズを持つ企業、
また、PolyJetのメリッ
トに合致したニーズを持つ企業にとって、
双方のテクノロジーを採用している企業
に倣うことが最良の手段かもしれません。
ゴムライク材料ならびに透明材料は PolyJet で使用
することができます。
一方、熱可塑性プラスチックそのものの機能性と耐久性を求め
るアプリケーションについては、FDMが適切なプラットフォー
ムとなります。一般的に使用されているABSから最先端のUltem
まで、さまざまな産業用プラスチックを網羅した10種類の材料
を活用できます。材料オプションには帯電防止性、FST(炎、
煙、毒性)レイティング、対化学性、超耐熱性などがありま
す。FDMは、難易度の高い生産ジョブのための可溶性パターン
の生成も可能です。
PolyJet生体適合性材料
FDMとPolyJetともに、USP Plastic Class VIからISO10993基準に
準拠した生体適合性材料も提供しています。これらは、補聴器、
歯科的処置、外科的な矯正固定器具、また食品や薬品処理などに
活用することができます。
アディティブ・マニュファクチャリング技術は、医療機器から
工業製品にいたる広範な産業での製品開発のコンセプト、デザ
イン、生産部品などの分野で普及しています。アプリケーション
ごとに、その他と共有できる要件だけでなく独自で特有な要求が
あります。各ジョブにとって最適なツールがFDM、PolyJet 3Dプ
リントのいずれであるかの判断は、究極的にはアプリケーション
のニーズによって決まります。
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FDMとPolyjet
パフォーマンス
精密
FDMテクノロジー
PolyJetテクノロジー
• リアル熱可塑性プラスチック
• 滑らかな表面仕上げと細やかなディテール
• 頑丈で安定した高耐久性パーツ
• 最終製品の外観と感触
• 最終製品の機械特性
• マルチマテリアル・プリンティング
StratasysのFDMおよびPolyjetテクノロジーは、何百もの豊富なマテリアル・オプションを提供します。
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PolyJet
3Dプリント
FDM
(熱溶融積層法)
操作性
プロセス時間
プリプロセス
ポストプロセス
オフィス環境
利便性
特性
表面仕上げ
機能の詳細
精度
サイズ
マテリアル
硬質
柔軟性
高耐久性
透明
高性能
生体適合性
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PolyJetは商標です。FDM、Stratasys、
ならびにObjetはStratasys LTD.の登録商標です。
Stratasys | www.stratasys.co.jp | [email protected]
7665 Commerce Way
Eden Prairie, MN 55344
+1 888 4803548
(米国フリーダイヤル)
+1 952 9373000
(海外から)
+1 952 937 0070 (Fax)
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+972 74 745-5000 (Fax)
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+1 866-6761533(Fax)
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Technologyは、米国ならびにその他の国々におけるStratasys Inc.の商標です。その他のすべての商標はそれぞれの所有者に帰属します。事前の通知なし
に製品仕様が変更される場合があります。印刷地:米国 SSYS-WP-SSYS-InkjetComparison-12-13
Stratasysの3Dプリンタ、マテリアル、およびアプリケーションの詳細については、ウェブサイト(www.stratasys.co.jp)
または、お電話(03-5542-0042)へお問い合わせください。